column

2020年4月

物流における実重量と容積重量の違いとは?LCL・航空輸送・トラック輸送でそれぞれ違う容積重量の計算方法を紹介します。 | 輸送・ロジスティクス

物流における実重量と容積重量の違いとは?LCL・航空輸送・トラック輸送でそれぞれ違う容積重量の計算方法を紹介します。

主に航空便で貨物輸送をする時に気をつけないといけないのが容積重量です。しかし、容積重量は航空便だけでなく海上輸送のLCLやトラック輸送、そして倉庫でも使われる重さとなります。 実重量と容積重量の違いをよく理解をしていなければ正しい物流コストを算出することは出来ません。今回は物流における容積重量と実重量の違いと、各種物流においての容積重量の計算式についてご説明をしていきたいと思います。 実重量と容積重量 まず実重量と容積重量とは何でしょうか?これは物流業界では基本の重さに対する専門用語です。実重量とは実際の重さのことで、そして容積重量とは貨物の大きさを重さに変換した時の重量のことです。 そうなんです。容積重量が物流業務での重さを理解する肝なんです。 アニメーション動画で容積重量について解説 Chargeable Weigthとは? より分かりやすく理解できる為に、貿易の実務で一般的に使用されるChargeable Weightを一緒にして説明をしていきます。 Chargeable Weightとは貨物の大きさと重さを比較して大きい方を費用換算に使う重量のことです。大きいものと重いものという単位が違うものを比較するというのがポイントです。   物流業では限られたスペースでビジネスをしている 物流では限られたスペースを使ってお客様の貨物の配送や保管をします。 これは船会社、航空会社、トラック会社、倉庫会社のような限られたスペースを使ってビジネスをする場合、大きさや重さのどちらか一方の単位だけで費用換算をするとフェアではない場合が出てくるからです。 同じ1トンを扱うにもこれはフェアでしょうか? 例をあげましょう。航空輸送で「1トンの水」と「1トンの綿」を運ぶ場合どちらの方がスペースを多く取るでしょうか? 水は重いけれど かさばりません。しかし綿は軽くて非常にかさばるので、水より遥かに大きなスペースを使います。 航空会社からしたら同じ1トンという実重量で費用換算してしまうと、かさばる綿の場合はスペースを大きく使うので損をしてしまいます。 まず単位を同じにして比較をする 貨物の大きさと重さが全く違うとフェアではなくなってしまう。。そうならない為に貨物の容積を重量換算する容積重量が使われます。 そして実重量と容積重量を比較して どちらか大きい方をChargeable Weightとして費用換算するのです。 それでは実際に実重量と容積重量の比較をみていきましょう。 海上輸送LCLと倉庫での容積重量の計算方法 まず海上輸送のLCLと倉庫の場合ですが、大きさと重さを比較するルールがあります。 このルールは絶対に覚えておかなければいけません。 例えば ・貨物の実重量:1.5ton ・貨物サイズ:0.8m(縦) × 0.9m(横) × 1.7m(高さ) = 貨物の体積: 1.22m3 先ほどの 「1m3=1トン」というルールを使えば1.22m3=1.22トン(容積重量)となります。 そして実重量が1.5トンで容積重量は1.22トン。この場合の大きい重量(Chargeable Weight)は実重量の1.5トンとなります。 航空輸送での容積重量の計算方法 次に航空輸送での容積重量の換算法を見てみましょう。 航空輸送では先ほどの海上輸送や倉庫でのルールとは違うものになります。 先ほど説明した例とは違い航空便では一般的にcm2とkgが使われます。また会社によっては6,000ではなく5,000でわる場合もありますが、6,000の方が一般的です。 例をあげましょう。 ・貨物の実重量:50kg ・貨物サイズ: 70cm(縦) × 90cm(横) × 90cm(高さ) = 貨物の体積: 567,000cm3 568,000(体積cm3) ÷ 6,000 = 94.5kg(容積重量) 実重量が50kg, 容積重量が94.5kgということでChargeable Weightは容積重量の94.5kgとなります。 混載トラックでの容積重量の計算方法 そして日本での混載トラックの場合、基準となるルールですが これも同様に単位には気をつけてください。 例を見てみましょう。 ・貨物の実重量:50kg ・貨物サイズ:0.7m(縦) x 0.9m(横) x 0.9m(高さ) = 体積:0.56m3 0.56(体積m3) × 280 = 156.8kg(容積重量) 実重量が50kgで容積重量は156.8kgです。この時のChargeable Weightは 容積重量の156.8kgとなります。 航空便でのChargeable Weightを計算しよう 最後にケーススタディーをしてみましょう。 2リットルの水が12本入った箱があります。これを100箱、航空輸送で出荷をする予定です。 箱のサイズは縦90cm、横30cm、高さが40cmです。 この貨物を輸送する時のChargeable Weightはいくつになるでしょうか? まとめ いかがだったでしょうか。今回は容積重量と実重量の違いと計算方法について解説をしました。 これは物流業界では基本の専門用語で計算方法はルールとして覚えなければいけません。LCL、航空輸送、倉庫、トラック輸送の実務で頻繁に使われる内容ですので今回の動画の内容を理解をして、使えるようになりましょう。

海上コンテナ輸送の一連の流れを解説!輸出・輸入の貿易業務のお仕事では貨物と書類の流れを理解することが重要です。 | 輸送・ロジスティクス

海上コンテナ輸送の一連の流れを解説!輸出・輸入の貿易業務のお仕事では貨物と書類の流れを理解することが重要です。

コンテナを使った海上輸送をする時、どのような流れで「貨物」と「書類」が動いているのかを貿易担当者なら理解しておかなければいけません。国際物流で貨物が輸出先から輸入先に送られるまでに実際は様々な工程があります。 貿易事務の担当の場合、輸入だけ、輸出だけ、通関だけなどと役割が分かれている場合があると思います。その場合、自分の担当している業務は分かるけれどもそれ以外の工程は分からず偏った貿易の知識だけとなってしまいます。 一方で貿易の実務担当者・営業マンの場合はざっくりした流れだけを理解しがちです。どの場面でどの書類が発行され、処理されているのかを学んでいきましょう。 海上コンテナ輸送の流れに関するアニメ動画解説 アニメーション動画を使っても海上輸送の一連の流れを解説しています。動きがありますので理解しやすいと思いますので是非こちらもご覧ください。 輸出者・輸入者で商品の売買について合意される 貨物を出荷する前に、輸出者様と輸入者様とでの商品の仕様・価格・数量・納期などについてのやりとりがあります。これらの取引条件などに双方の合意が出来てから貨物を出荷する流れとなります。 この時の取引内容がInvoiceやPacking listに記載され、また輸入時に登録が必要な貨物の場合は事前に準備をします。 海上輸出貨物の全体の流れ まず全体の流れをご紹介します。ざっとみていただいても分かるように、1件のコンテナ輸送案件でかなりの作業工程が行われています。 1.工場で製品が生産される / 2.お客様からBookingのリクエストがある / 3.フォワーダーが物流の手配をする / 4. 必要書類の確認をする / 5. 空のコンテナをピックアップする / 6. 空コンテナをお客様に届けて貨物をピックアップ 7. 貨物が港に到着する ※輸出通関を忘れずに / 8. コンテナが船に積み込まれる / 9. 本船が港を出港するとB/Lが発行される / 10. 海上輸送する 11. 本船が港に到着する2〜3日前にA/Nが発行される / 12. 輸入者はA/Nの支払いをしてB/Lも差し入れる / 13. フォワーダーから輸入者にD/Oがリリースされる 14. 輸入通関をする / 15. ヤードでD/Oを差し入れて貨物がリリースされる / 16. 貨物がお客様にお届けされる 輸出側の国内輸送と海上輸送 海上輸送をするにもお客様の工場から港に本船にコンテナが乗せられるまでのプロセスがあります。一つずつ解説をしていきましょう。 1. 工場で製品が生産される 個人レベルではコンテナを使って輸送するケースは流石に稀ですが工場では毎日商品を生産していて毎週 海外に出荷している工場もあります。 弊社のお客様でも自動車パーツ、冷凍食品、紙、革製品、化粧品、スクラップ、包装資材など多種多様にわたる貨物をコンテナで海上輸送をしています。 ※その他、お米、マンゴー、パイナップル缶詰、ドライフルーツ、ドリアン、ゴムの木、鶏肉といったタイならではの商品も多く輸送しております。 2. 輸出のBooking依頼がある 完成した商品のQCが終わったら、工場の出荷担当者からフォワーダーにBooking依頼があります。 このBooking時に、必要なコンテナの種類や本数、貨物の引き取り日、積み地、揚げ地、Cut Off、ETD、ETA、フリータイム、直行便・経由便などの連絡があります。 3. フォワーダーが物流を手配する お客様から頂いた情報を元にフォワーダーが本船予約・トラックの手配・通関手配、それぞれの必要書類の確認をして準備を進めていきます。 基本的にワンストップサービスを依頼されるお客様が多く、フォワーダーが本船予約以外の物流手配もすることでお客様にとっては一つの窓口で物流を完結出来るメリットがあります。 4. 必要書類の確認 そしてここが大切なのですが必要書類の確認作業です。どれか一つの情報でも間違っていると、正しく通関を通すことができませんし本船に乗せることが出来なくなります。 また原産地証明を発行する場合で書類にミスがあれば関税の優遇が受けられません。書類のミスに関しては特に中をしなければいけません。 5. 空コンテナをピックアップする お客様の貨物を引き取る為に、貨物引き取り日の朝か、前日の夕方にコンテナデポに空のコンテナをピックアップに行きます。コンテナデポはコンテナバンプールとも呼ばれます。 デポには使い終わった船会社のコンテナを掃除し、修理し終わったものが沢山積み上げられています。空コンテナのピックアップの際の注意は、コンテナ品質です。 コンテナグレードAで予約したにも関わらず、質の悪いコンテナが割り当てられる事は少なくありません。弊社のサービスでは、コンテナを引き取るドライバーに必ずチェックをさせて質の高いものを選んでお客様にお届けしております。 6. 工場でコンテナに貨物を積み込む 空のコンテナをお客様の工場に届けたら、コンテナに貨物を積み込みます。規模の多いお客様だと1日に何十本というコンテナを使う場合があり積み込みにかかる時間を計算しトラックの配車スケジュールも管理したりします。 コンテナは海上では大きく揺れる場合がありますので、貨物がコンテナ内で動かないようにしっかりとラッシング(固定)もしなければいけません。 7. 貨物が港に到着する 貨物を乗せたコンテナが本船に積み込まれる港に到着します。コンテナのCut Offという言葉が使われるのですが締め切り時間のことだと理解してください。 またContainer Returnはコンテナが船に乗せるために港に戻っていなければいけないということです。 AFRやVGMを事前に済ませておく コンテナが船に乗せられる前に ・AFR(日本向け:輸出の事前申告 - ETDの24時間前) ・VGM(コンテナの総重量の申告義務) を済ませておかなければいけません。 輸出通関をする そして通関の輸出申告も済ませておかなければいけません。 上述したように、貨物が工場でコンテナに積み込まれ、船に乗る前までに色んな申請事項を済ませておかなければいけないのです。 8. 本船にコンテナが乗せられる 港には本当に大量のコンテナが集められています。その為、港湾内での荷役の時間も十分に必要だということでCut Offは守らなければいけないのです。 港・ターミナルでの荷役について コンテナが船に乗せられる時はガントリークレーンという大型のクレーンに吊られて積み込まれます。吊り上げるのでコンテナの総重量が大きなポイントとなります。 40’フィートコンテナだと20’フィートコンテナの倍の重量を積むことが出来るのかという問い合わせをたまに聞きますが、設備上の関係で出来ません。20’フィートであれ、40’フィートであれ貨物重量は大体25トンくらいまでと覚えておきましょう。 このように本船には大量のコンテナが積み込まれます。コンテナ船に積めるコンテナの本数には限りがありますのでシーズンによってはスペースが取りにくくなります。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/forwarder-space/?lang=ja" target="_blank"] 9. B/Lが発行される コンテナが本船に積み込まれたらB/Lが発行されます。その後、フォワーダーから発行されたB/LがShipperに送られ、ShipperとConsigneeの間で商品の代金支払いなどのやりとりがあります。 オリジナルB/Lの場合はShipperからB/Lの原本がConsigneeにDHLやFedexなどのクーリエサービスで送られます。このようにConsigneeはD/Oを引き取るためのB/Lを入手しておかなければいけません。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/about-bl/?lang=ja" target="_blank"] 10. 海上輸送する 海の上でコンテナが船に揺られながら各港で積み込み・積み下ろしを繰り返して、スケジュール通りに進んでいきます。よく天候の問題で船が遅れる場合がありますがこれだけは仕方がありません。 海上輸送では近海であれば数日で到着し、日本ーヨーロッパのようなロングルートだと2ヶ月近くかかったりする場合もあります。 輸入のプロセスのご紹介 ここからは輸入のプロセスになります。貨物が積みあげられる港に到着してから、配送先まで届けられるまでの貨物と書類の流れです。 11. A/Nが発行される 本船が入港する2−3日前に輸入側のフォワーダーからArrival Noticeが発行され、輸入者に送られます。 このArrival Noticeには、港の諸費用やD/O費用などの諸々の費用があり輸入者はそれを支払わなければいけません。 12.A/Nの金額をフォワーダーに支払い、B/Lを差し入れる 輸入の流れを詳しく見ていきましょう。 輸入者は貨物引き渡し書類であるD/Oを入手しなければいけません。その為にA/Nに書かれている金額をフォワーダーに支払います。 そしてA/Nの支払いのタイミングと同時に、Shipperから入手したB/Lも差し入れます。オリジナルB/Lなら原本を差し入れ、サレンダーB/Lならコピーをフォワーダーに提出します。 D/Oがリリースされる A/Nの支払いとB/Lの差し入れと引き換えに、輸入側のフォワーダーがConsigneeにD/Oをリリースします。 D/Oも原本だけでなく、D/O LessといったID番号を発行する簡素化された手続きもあります。 貨物の輸入通関をする 輸入者がコンテナを引き取るにはD/Oだけでなく輸入通関も完了しておかなければいけません。Invoice, Packing List, 原産地証明などの書類を使い、システムに入力して通関士によって輸入申告がされます。 申告に何も問題がなければ税関から輸入許可が出ますが、問題があれば検査などが発生します。 D/Oをヤードに差し入れて、貨物がリリースされる D/Oを入手し輸入通関も完了したConsigneeは、D/Oをヤードに差し入れて、コンテナ貨物を引き取ることが出来ます。 コンテナが配送先に到着し,貨物を積み下ろして配送完了 コンテナを乗せたトレーラーが届け先まで運んできて、貨物の積み下ろし作業をして配送完了となります。 まとめ いかがだったでしょうか。コンテナに貨物を乗せて輸送しているだけのように見えますが、色んな工程で必要書類が出てきます。 この書類に間違いがあると貨物はスムーズに輸送されませんし、書類の修正などに時間がかかって港での保管の超過料金が発生するのもよくあります。 全体の流れをよく理解して、スムーズな国際物流が手配できるようになりましょう。