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2021年11月

北米西岸港湾で混雑解消の兆しあり!超過料金の効果か!?まだ楽観視はできず。 | 物流ニュース・物流ラジオ

北米西岸港湾で混雑解消の兆しあり!超過料金の効果か!?まだ楽観視はできず。

どうもこんにちは、飯野です。 今日は海事新聞に、「アメリカの西岸の混雑緩和の兆しが見えた」という記事がありましたので、それについて話をしていきたいと思います。 2021年11月30日イーノさんの物流ラジオ 北米西海岸、沖待ち、滞留コンテナ減少 北米西海岸の入港待ちのコンテナ船と滞留コンテナが減少したとニュースがありました。 分かりやすく、LA港、LB港を同じにして説明します。ざっくりと感覚的に理解いただければと思います。 船の港の沖まちが 11月5日時点:33隻 11月24日時点: 23隻 と10隻の減少となりました。 輸入の滞留コンテナ本数は、11月1日時点で2万8,358本。 そこで、11月15日からトラックの場合は、荷揚げして9日以上の滞留コンテナに超過料金を課すという対策を取ったところ、11月24日時点で1万6,157本までに減少しました。 11月1日から24日までで約28,000本から16,000本のなり、約40%の減少となりました。 鉄道向けは6日以上の滞留でペナルティーですが、 11月11日時点:1,643本 11月24日時点:319本 とこちらも大きく減少しました。 今後の問題 沖まちが減り、滞留コンテナが減ったとはいえ、問題はあります。 ・年末に向けてコンテナの出荷量増加。 ・内陸の混雑状況がどうなっているかが不明。 ・倉庫や工場で貨物の積み下ろしのマンパワー不足。 ・空コンテナ返却のドライバーとシャーシ不足。 北米のコロナ感染者数は1日平均で感染者数:73,000人、死者800人程出ています。そういった意味で、マンパワーの状況が気になるところです。 港の部分的な改善情報だけなのでまだなんとも言えません。まだ楽観視は出来ないですが、内陸、マンパワー、シャーシ不足の情報を取っていく必要があると思います。 引き続き、情報を更新していきます。

DHL 「水素トラック」の試験運用開始!水素ステーションの設置問題は? | 物流ニュース・物流ラジオ

DHL 「水素トラック」の試験運用開始!水素ステーションの設置問題は?

どうもこんにちは、飯野です。 今日は海事新聞で、「DHL、水素トラックを試験運用開始」というニュースがありましたので、これについて話していきたいと思います。 2021年11月29日イーノさんの物流ラジオ DHL、水素を燃料とするトラック試験運用開始 DHLエクスプレスが水素を燃料とする「燃料電池型長距離トラック」の試験運用を始めたと発表しました。 試験はベネルクス地域(ベルギー、オランダ、ルクセンブルクの3か国の集合地域)で運行し、アメリカのアップルの貨物を配送するとのことです。 試験運用段階でCO2排出量を最大350トン削減できると見込んでいます。 ちなみにDHLはアメリカで創業され、1998年にドイツポストという会社に買収されドイツ企業になっています。よって、今回の取り組みもアメリカではなく、ヨーロッパで試験が行われています。 ヨーロッパは特に環境に対して厳しく、2035年までにハイブリッドを含むガソリンエンジン車の新車販売を禁止するとしています。 移動式の燃料ステーション DHLのグループが水素トラックを導入するのは初めてであり、1日約200キロメートル運行しています。 ここからがポイントなのですが、この試験運用では移動式の燃料ステーションで燃料補給しています。トヨタが一般自動車を水素燃料電池で攻めていて、懸念されているのは、水素ステーションの普及の問題があります。 水素ステーションの設置は、現時点で1箇所あたり4億円かかると言われており、今のガソリンスタンドのように普及させるは、現実的ではありません。 しかし今回のDHLのトラックはB2Bなので、走るルートは決められ、水素ステーションの設置位置を限定できます。一般自動車は使えないようにして、DHLの商用車のみ使えるとなると現実的ですよね。 しかも移動式の水素ステーションを使っていますので、街中から外れたところとかで給油するのかもしれません。 商用車の大型トラックでの運用 DHLはラストワンマイルであれば、充電インフラがこれから普及するため、電気自動車の運用が効率的としています。しかし脱炭素化には長距離輸送での再生可能エネルギーの活用が不可欠とし、水素トラックの試験運用を決定しました。 グループの脱炭素化戦略の一環として、水素を活用した低炭素大型車両の開発を進めています。 サプライチェーンは配送地点が各地にあり、そこまでは大型トラックで輸送し、そこで、仕分けして小さなトラックが走っていく形です。大型トラックの輸送部分を水素トラックで運用するということなので、結構、現実的だと思いませんか? 商用車の脱炭素についても今後、注目して、発信していきたいと思います。

FOBについて(改訂版) | インコタームズ

FOBについて(改訂版)

この記事を動画で見る どうもこんにちは、飯野です。 今回はインコタームズのFOBに焦点を当てて、輸出者、輸入者の立場からみた貿易条件について見ていくことにしましょう。 FOBとは 貿易取引において重要なのは貨物の費用負担がどこからどこまで含まれているか、また危険負担の範囲もどこからどこまでかということです。 今回取り上げるFOBは実務ではよく使用されるものですが、実をいうと元々は在来船の取引条件です。 国際商業会議所ではコンテナ船取引ではFOBの代わりにFCAを使用するように勧めていますので、FCAも併せて見ていきます。 それではいってみましょう。 まず用語の説明です。FOBはFree On Boardの略称で日本語では本船渡条件といいます。 輸出地の港に停泊する船の船上に貨物が置かれたときに、費用や危険負担の責任が移転する取引条件のことです。 FOBにおいて、輸出者側が負担する費用は、輸出国内の輸送費、輸出通関、港・空港などで発生する諸経費などです。 一方で輸入者側が負担する費用は海上・航空運賃、輸入側の港・空港などの諸経費、輸入通関費用、輸入国内の輸送費用などになります。 FOBの取引条件では「FOB TOKYO」のように、FOBの後には輸送する際に利用する輸出側の港の名前が表記されます。 「FOB TOKYO」であれば、「東京港で船にのせた時点で、貨物の責任が輸出者から輸入者に移転しますよ」という意味になります。 ここでは具体的な港名を入れなければいけません。東京港で船に乗せるまで責任を負うという意味ですからこの港の名前は重要です。 輸出側から見たFOB ここで輸出者と輸入者の立場からFOBについて確認していきましょう。 FOBでの輸出者の物流手配は、貨物を準備し、梱包し、国内のトラック配送と輸出通関手配です。 自国の港まで責任を持てば、その後の船や飛行機の輸送、輸入地での輸送は輸入者に委ねることが出来るので、輸出者側から見たら比較的責任負担の軽い取引条件だと言えます。 輸入側から見たFOB そして輸入者の物流手配は、船や飛行機での輸送、保険の手配、輸入地での通関、配達などです。 船や飛行機での輸送から手配するということは、輸入者の責任で輸送することになり、特定国からの輸送に慣れていれば希望の輸送手段を選べ、運賃にメリットがでやすい取引方法です。 実際の取引 1 では実際の取引ではFOBはどのような時に使用するのでしょうか。 取引を考えてみると、買い手あっての取引ですから、買い手の希望が優先されるのが一般的です。 買い手は製品代金だけよりも、手元に届くまでに全部でいくらかかるのか知りたいのが一般的です。そのため、FOBよりも海上運賃などが含まれているCFRなどの条件を使うことが多いです。 しかし、買い手が物流手配のベテランだった場合、出来る限りコストを下げようとする場合に検討するのが自社での輸送手配です。 その場合FOBの条件にすれば、輸送の責任は負わなければなりませんが、運賃を下げることが出来るわけです。   一方で、輸出者の方が大量の貨物を普段から運賃込みのCFRなどで輸送しているのであれば、FOBではなく運賃込みの取引条件を使う方が良いでしょう。 何事も取扱量が多く慣れている方が、手配がスムーズですしコストメリットもあります。 例えば弊社の場合、日本や中国からのタイへの輸入の取り扱いは多いので、それなりのメリットを持っています。しかし、アフリカや南米からの輸入はほとんどないので、費用も安くなく 取り扱いも慣れていません。 この場合は日本や中国からであればFOB、アフリカや南米からはCFRと使い分けます。お客様によりメリットのある方を提案しています。 FCAとは ここでFOBと合わせて覚えておきたい、FCAについても説明をしておきます。 FOBは説明してきたように、費用負担とリスク負担が本船に乗った時に売り手から買い手に移ります。 そしてFCAは、Free Carrierの略で運送人渡条件といいます。これは費用負担やリスク負担は貨物が「本船に乗る前の指定された場所」で、売り手から買い手に移ります。 これはCYであったり、特定の倉庫であったりします。 FOBとFCAはほとんど変わらないもののように扱われていますが、リスク負担が「指定された場所」か「船に乗せられる時」かの違いは、実際のトラブルの例を考えると 大きく違いがありますので理解しておきましょう。 輸出の際にコンテナターミナルに荷物を搬入した後、船に乗せる前に災害があったり、船に乗せる際に貨物を水没させるような事故があった場合、FCAではリスクは輸入者に移っていますので、輸出者にとってはよりリスクの少ない条件になります。 また、航空貨物でのFOBの条件は実際には使われていますが、飛行機に載せる場合ではリスク負担がどこからなのかあいまいになってしまいますので、FCAを使用するようにしましょう。 FCAでは具体的な地名や指定地を表示しましょう。FCA NARITA AIRPORTなどです。 まとめ 今回はFOBについて詳しく見てきました。FOB条件は輸出港に停泊する船の甲板上で責任が移転します。 輸出者、輸入者どちらの立場の場合でも、見積もりや取引にあたってFOB条件について正確に理解しておくことは重要です。 FOB条件での取引を考える際はそのメリットやリスクについて十分に検討した上で契約を結びましょう。 今回の内容がお役に立てましたらチャンネル登録や、いいね!あとSNSでシェアをして頂けると非常に嬉しいです!また次の動画でお会いしましょう。ありがとうございました! ・Twitter で DM を送る https://twitter.com/iino_saan ・LinkedIn でメッセージを送る https://www.linkedin.com/in/shinya-iino/ お問い合わせは「ツイッター」と「LinkedIn」のみで承っております。

注意!外国企業との契約書は、まず疑うべし。代金回収、支払い期限など。 | 物流ニュース・物流ラジオ

注意!外国企業との契約書は、まず疑うべし。代金回収、支払い期限など。

どうもこんにちは、飯野です。 今回は、外国企業と取引する時の契約書についてのお話ししていきたいと思います。 2021年9月6日イーノさんの物流ラジオ 代理店契約 おかげさまで、YouTubeが世界中で見てもらえているので海外のフォワーダーと取引を開始することが増えてきました。 小さい会社なので、契約書の確認は私が行っています。 海外のフォワーダーからタイからの輸出案件がありますが、1回だけのスポットだけだと契約書は結びませんが、レギュラー案件になると契約書を結ぶケースが多いです。 フォワーダーの仕事は輸出側と輸入側の二国間で1つの案件をサポートします。 タイからの輸出案件の依頼で多いのが、他の国のフォワーダーが、既に別のタイのフォワーダーと取引があるなか、スペースが取れないという問い合わせです。 弊社では比較的スペースが取りやすいという強みがあります。何度か使っていただき、サービスレベル等でリピーターにもなっていただくケースが多いです。 また、YouTube視聴者にはインドの人が多く、本当にインド向けの案件が増えました。 海外との契約書 インドのフォワーダーさんと、スポットで何回かの取引後、向こうから契約の提案をいただき、向こうのフォーマットが送られてきました。 フォワーダー同士の契約で特に大きいのがお金の支払いの部分です。 特にタイからの輸出の場合は弊社が船会社に先払いすることがほとんどで、お金はインド側のフォワーダーさんが回収して、送ってもらうという流れです。 貿易に詳しい、インドと取引の経験がある人は、ご存知かと思いますが、これを聞いて、ヒヤヒヤしませんか? インドの会社の一部は、支払いを遅らせるのが経理担当者の功績、腕の見せ所という話が合ったりします。 私たちの立場からすると、先払い分は絶対に回収しないといけません。最初にこのインドの新しい代理店契約を結ぼうとしたとき、支払いサイトを45日にしてくれ、と言われました。 担当者曰く、大きい会社だから、場合によっては90日の条件をのんでくれているケースもある、とのこと。 弊社は大体、月末締めで30日です。 大きい会社で、なんで45日も必要なのか、と聞いたところ、いろいろな設備に投資しているから、必要との答えがありましたが、それはそちらの都合ですよね、という感じですよね。 その会社の契約書の一部を確認すると、 ・輸入者からの代金回収の延長を、リスクを考慮した上で認める。 との文言がありましたが、輸入者からの回収が延長したとしても、あなたの会社はしっかり払って、と思います。 また、 ・お金に関する論争(dispute)があったら、Max 2ヶ月で解決させる。 という文言もありました。2ヶ月以上たったらどうするの、という話になります。 弊社が先払いしているので、不利な立場におり、弊社の契約書のフォーマットを使うように交渉中です。もしくは、ちゃんとお金に関してのルールを明記するよう求めています。 海外の契約書の場合は、まず健全に疑ってかかった方がいいと、経験上思います。

ILWU(北米西岸港湾労働組合)、労使協約の1年延長を拒否 | 物流ニュース・物流ラジオ

ILWU(北米西岸港湾労働組合)、労使協約の1年延長を拒否

どうもこんにちは、飯野です。 本日は、海事新聞より「北米西岸港湾の労使交渉でILWUが1年延長を拒否」というニュースについて話していきたいと思います。 2021年11月25日イーノさんの物流ラジオ 来年6月、労使協定失効 来年6月末に北米西岸港湾の労使協約が期限を迎え、交渉が始まります。 そこでは、 ILWU- 北米西岸港湾の労働組合 PMA - 太平洋海事協会(港の使用者団体) この2つの団体が交渉します。 PMAは来年7月1日から現行協約の1年延長を申し入れましたが、ILWU(労働組合側)はこれを拒否したと報じられています。 ILWUとPMAの主張 PMAの会長(港の使用者団体)は「貿易業界からは既に、今回の協約更改交渉が混乱を招く結果になるとの懸念が出ている。経済の回復期において、協約延長はビジネスを守るために必要なステップだ」と依頼しています。 一方、労働組合の組合長は、2017年に既に延長に合意しているため、更に延長は無理だと発言しています。 現行協定が締結されたのが2014年であり、それから7年に渡って、港の労働者にとって重要な課題の解決を待ち望んでいるとコメントを発表しています。 現行協約が締結された2014年は、交渉が難航し、まとまるまでに9ヶ月もかかっております。 その間、北米西岸港湾の稼働が意図的にスローダウンし、米国発着のサプライチェーンが大きく混乱しました。 最終的にはホワイトハウスが介入し、まとまる結果となりましたが、この時も西海岸から東海岸を使う動きがあり、東海岸向けの運賃が上昇しました。 交渉が長引けば、物流の混乱続く 今回の労働協約のテーマで港のオートメーションがあります。 自動化となると港湾の仕事が減少、またはなくなりますので、労働組合側がゴネる可能性が十分にあります。また、コロナ前から続いている港の混雑で、多忙により大幅な賃金アップ交渉などもあるかもしれません。 よって早い段階でホワイトハウスが入ってくる可能性もあります。 私がサプライチェーンの乱れは来年いっぱい続くといっていたのは、このことがあったためです。来年7月に交渉が始まり、10月前に中国の国慶節、そしてクリスマス商戦と続きます。 かなりの確率で、物流が乱れることが予想されます。 貿易、物流の関係者さんは来年旧正月には落ち着くとか、甘い見通しをせずに、普通にあり得る最悪のシナリオを想像しておいた方が良いと思います。

EXWについて(改訂版) | インコタームズ

EXWについて(改訂版)

この記事を動画で見る どうもこんにちは、飯野です。 今回はインコタームズのEXWに焦点を当てて、売り手と買い手のそれぞれの立場から見た、メリットとデメリットについて解説をしています。 以前にも同じ内容の動画を制作しましたが、より分かりやすく説明していきますのでご覧ください。 それではいってみましょう。 EXWとは まずインコタームズとは貿易の取引条件ですが、貨物の輸送代金が、どこからどこまで含まれているのか、取引の責任がどこまであるのかを示したものです。 今回のEXWはEX-WORKSの略称で、日本語では工場渡し条件と呼ばれます。 インコタームズには全部で11種類の貿易条件がありますが、EXWは売り手にとって責任範囲が最小のものです。 以前にインコタームズの特徴を解説した動画がありますのでリンクを貼っておきます。 インコタームズを簡単に理解する方法!Eグループ/Fグループ/Cグループ/Dグループの特徴を解説しました。 ではもう少しEXWについて詳しく見ていきましょう。 EXWでは売り手である輸出先の工場から貨物が出荷され、輸入側の配達先に到着するまでの全ての輸送費用とその間の輸送にかかるリスクを、買い手である輸入者が負担する取引条件です。 輸出者が貨物を自社の拠点である工場や倉庫などで、トラックに引き渡した時点で輸出者の責任は終わります。 つまり、輸出国での輸送費用から、輸出通関、船・飛行機等の運賃、輸入地での通関や届け先までの費用や危険負担については、全て輸入者が負担することになります。 ただし輸出者も関係省庁から輸出の認可を取得したり、輸入通関を行う際に輸入者が必要とする情報を提供したりすることについては、サポートする義務があると定められています。 貿易取引では何と言っても相手との人間関係が大切です。 輸出者・輸入者のメリット・デメリット それでは、これから輸出者と輸入者それぞれの視点でEXWの取引のメリット・デメリットについて、実際の取引を確認しながら見ていきましょう。 輸出側のメリット まずは輸出者から見ていきます。 輸出側にすると、商品を期日内に生産し、自社の敷地内で輸入者に貨物を引き渡せば後は貿易の全ての業務を輸入者が行ってくれるということになります。 輸出者は生産や仕入れだけに専念することが出来るのが最大のメリットです。輸出者にとったら代金の回収以外は国内の取引と大きく変わりません。 そういう意味では、これから海外への輸出を始めようとしている場合や、輸出先の相手が取引したことのない国の場合などに適した貿易条件だと言えます。 輸出側のデメリット では輸出者側から見たEXWのデメリットについて考えてみましょう。 EXW条件での買い手は、相手の敷地内で貨物を受け取り、全ての運送業務を自社で手配しなければなりません。 ということは、買い手は貿易取引について熟知している必要があります。つまりEXWにおける輸入者は貿易のベテランである可能性が高いのです。 このような取引相手に対し、輸出者が国内外の物流費用を利用し大きく儲けるということは難しいかもしれません。 輸入側のメリット 一方で輸入者側から見たEXWのメリットはどのようなものでしょうか。 輸入者側にとってはEXWでは物流をコントロールし、自社で運送会社や保険会社を選択することが出来るので、そうした意味でも買い手にとっては最も安く輸入することが出来る条件だと言えるでしょう。 さらに、輸送などの手間やリスクを全て自社が負担することで、売り手に対して値下げなどの提案する事が可能だったりもします。 輸入側のデメリット 一方で輸入者側のデメリットは、やはり輸送に伴う危険を最も幅広く負担しなければならない点でしょう。 輸出者の敷地から、あらかじめ定められた国内の地点まで、全てのリスクについて責任を持たなければいけません。 また輸出国での輸送や輸出通関を行わなければなりません。 輸入者自らその手配をするのは難しいため、取引を行っているフォワーダーに任せることになりますが、そのフォワーダーの力量にかかっています。 そのフォワーダーがそれらの手配について可能なのか、価格面で良い条件を出せるほど得意なのかを確認する必要があります。 もし取引先のフォダーがそれらの業務を行うことが出来ない場合は、他のフォワーダーを探すかEXWの使用を避けて契約しなければなりません。 実際の取引 実際の取引では、どのような場面でEXWは使用されるのでしょうか。 サンプル輸送 一番多いのはサンプル輸送だと思います。商品を試しに送ってみたり、最初の取引の際には商品代だけの価格であるEXWにする場面を目にします。 少量の貨物をクーリエで輸送すれば、EXWの取引の手配が出来ます。クーリエを使用すれば、指定の場所から引き取り、輸出通関して、航空輸送され、輸入通関して配達するまで一貫して手配してくれます。 料金もパッケージ料金で決まっているので、分かりやすいのが特徴です。貿易初心者でもすぐに手配できます。 買い手が得意な輸送地域 次に一般的に使用されるのは、買い手が得意な輸送地域であるときです。使用しているフォワーダーがとても競争力のある価格を持っているのであれば、それを利用しない手はありません。 フォワーダーは一貫輸送を売りにしているところが多いですから、相手地域の輸送から通関まで全てきちんと任せられるところに依頼すれば、魅力的な価格、サービスを受けられるわけです。 まとめ 今回はEXWについて解説しました。EXWのメリットデメリットについてまとめるとこのようになります。 輸出者からみたEXWのメリットとしては ・生産や仕入れに専念できる ・物流の危険負担が最も少ない ・貿易手続きはほぼ不要 そしてデメリットは ・輸送手段を選べない ・価格交渉が不利になるかもしれない そして輸入者からみたメリットは 、 ・最も安く輸入することができる ・物流を自社でコントロールすることができる デメリットとして ・物流の全てのリスクを負担する必要がある ・フォワーダーの実力によっては使えない場合がある 今回はEXWについて詳しく見てきました。輸出者・輸入者の双方の立場からEXWの条件を考えていますので自社の状況に照らし合わせて頂ければ、より理解が深まると思います。 EXWはインコタームズの中では最も輸出者側の負担が少ない条件ですので、これから海外へ販売展開を考えている場合であれば 輸入側の取引相手に一度EXWでの取引を打診してみるのも良いかと思います。 また、輸入者の場合でも価格を抑えたい場合は、EXWで輸入を行うことができないかフォワーダーなどと相談して検討してみると良いでしょう。 今回の内容がお役に立てましたらチャンネル登録や、いいね!あとSNSでシェアをして頂けると非常に嬉しいです!また次の動画でお会いしましょう。ありがとうございました! ・Twitter で DM を送る https://twitter.com/iino_saan ・LinkedIn でメッセージを送る https://www.linkedin.com/in/shinya-iino/ お問い合わせは「ツイッター」と「LinkedIn」のみで承っております。

北米 LA、LB港湾 24時間稼働、機能せず!ターミナルとトラック会社連携取れず、物流の目詰まり解消までほど遠く。 | 物流ニュース・物流ラジオ

北米 LA、LB港湾 24時間稼働、機能せず!ターミナルとトラック会社連携取れず、物流の目詰まり解消までほど遠く。

どうもこんにちは、飯野です。 今日は、「北米西岸港湾の24時間稼働が機能していない」というテーマで話していきたいと思います。 2021年11月24日イーノさんの物流ラジオ 北米、24時間営業機能せず ウォール・ストリートジャーナルに、「LA、LB港での混雑が悪化している。9月あたりに、バイデン政権がサプライチェーンの目詰まりを解消するため、LA、LB港に24時間営業を要請したが、ほとんど機能していない」と記事がありました。 ロングビーチ港のあるターミナルでは、9月中旬、24時間ゲートをオープンするとアナウンスがありましたが、25台のトラックの引き取り予約があれば、夜間の営業を行うと条件を付けていました。 結果的に、その条件を満たしたのは一晩だけで、平均的にトラック予約は5台ほどしか来なかったとのことです。 トラック会社とターミナルの対応 ターミナルの担当者は、「夜間営業にかかる費用は1日あたり約1万ドル、予約をしても、トラックが来ない場合もあり、来なかったトラック会社に罰則はない。ターミナルの費用だけが発生する」と発言しています。 一方で、トラック会社は、ターミナルの予約制限があまりにも厳しく、予約を取るのに苦労したとコメントしています。 あるトラック会社によると、コンテナを引き取るときのターミナルの要求は、「特定のキャリアのコンテナで、特定の空コンテナと、特定のシャーシで、特定の最小単位じゃないといけない。」であったとのことです。 よくコメントが理解できなかったのですが、おそらく、トラック会社も夜間の運航を嫌がっているのだと思います。 夜間の稼働により、ドライバーのオーバータイムの発生、シャーシ不足も発生します。 目詰まり解消見えず そういうこともあり、先週 は86隻のコンテナ船が沖まちという記録になりました。 ロサンゼルス港の上層部は、トラック運転手や倉庫はそのような時間帯には働かないため、ターミナルオペレーターは24時間365日のオペレーションに移行することに消極的だとしています。 一方で、トラック会社はトラック会社で、消極的です。 こうなると、目詰まり解消することはなく、ずっと本船のスペース不足が続いていくでしょう。 昨日もお話ししましたが、実務がとても大変になるので、サプライチェーンの乱れは本当に早く解消してほしいと思います。 バイデン政権は、荷主やトラック運転手、倉庫にシフトの延長を呼びかけていますが、それに対してロングビーチ港の事務局長は「時間がかかると思います」と消極的な姿勢を見せています。 ホワイトハウスは大手企業と話をして、ウォルマート社、ターゲット社、フェデックス社などは、コンテナを引き取る際に、夜間や週末を有効に使うことを約束していますが、他のトラック会社があまり協力的ではありません。 よって、新しい規制としてLA、LB港で11月15日から、海上ターミナルにコンテナが9日以上放置された場合、超過料金請求することを発表しました。 今週末、今月末くらいにはその成果が分かるかと思います。 荷主さんも超過料金払いたくないので、トラック会社に圧力をかけ、引き取りが進むのか、もしくは何も変わらないのか。 引き続き注目してアップデートしていきたいと思います。

12月は海上運賃アップ、スペースも超タイト!北米のワクチン接種進まず | 物流ニュース・物流ラジオ

12月は海上運賃アップ、スペースも超タイト!北米のワクチン接種進まず

どうもこんにちは、飯野です。 今日は実務の話をしていきたいと思います。 11月末になり、12月の運賃が各船会社から上がってきています。サプライチェーンの乱れにより、各社とも大幅に値上げ傾向にあります。 それに加え、スペースが取れません。 2021年11月23日イーノさんの物流ラジオ 年末に向けての出荷増加 毎年、年末年始に向けて、スペース確保が難しくなりますが、今年はコロナの影響で一段とスペースが取れない状況です。 営業マンとしても荷主さんからリクエストをいただいて、送りたいけれども、全部は送れない状態になっています。 できる限りお客さんのリクエストにお応えしていきたいのですが、100%はご希望に添えない現状をご理解いただきたいと思います。 年明けのスペースは? 1月早々は少し落ち着くと思いますが、2月上旬に中国の旧正月があるので、1月下旬からまたすぐにスペースがタイトになるでしょう。 昨日の放送でもお伝えしましたが、海上運賃の正常化はある調査会社によると最短で1年半かかるとのことです。 今回の例でいうと、2023年の中旬までということになります。 スペースに関してはその調査会社は伝えていませんが、物流の目詰まり、特に北米のサプライチェーンがポイントです。 北米のワクチン接種義務化は? 北米のワクチン接種が50数%で止まっており、進んでいません。ワクチン接種していない人は普通にコロナでダウンしている中、マスクしていない人も多いようです。 ワクチン義務化が決まれば、少しずつ目詰まりも解消していくとは思います。 しかし、ワクチン接種していない一定数の作業員の方たちがコロナでダウンしてしまったら、目詰まりの解消には時間がかかってしまいます。 そうすると、本船スペースは取りにくい状態が続くということになります。 運賃が高いのは物流業界にとっては良いことですが、スペースがないのはサプライチェーンの乱れにもなりますし、実務でもとても忙しくなります。 個人的には北米でワクチンの義務化が決まって欲しいと思う今日この頃です。12月のスペースはとてもタイトだということをお伝えしたいと思い、お話いたしました。

海上コンテナ運賃の正常化まで1年半!?調査会社が分析!2023年中旬までと発表 | 物流ニュース・物流ラジオ

海上コンテナ運賃の正常化まで1年半!?調査会社が分析!2023年中旬までと発表

どうもこんにちは、飯野です。 今日の海事新聞に「コンテナ運賃、正常化へ最短1年半」という記事があったので、それについて話していきたいと思います。 デンマークの海事調査会社シーインテリジェンスが最近、今後のコンテナ船運賃動向に関する見通しを発表しました。 2021年11月22日イーノさんの物流ラジオ 過去20年のコンテナ運賃の動向 シーインテリジェンスがCCFIの過去20年の変動を分析し、コンテナ運賃動向について発表しました。 CCFI(中国輸出コンテナ運賃指数)とは、上海航運交易所が算出・公表している、中国出しコンテナを対象とした運賃の指数のことです。 今回の運賃上昇を除くと、過去20年で、5回の運賃上昇・下落の周期が発生しています。 5回の平均の週当たり下落率を当てはめると、運賃正常化までは26カ月、最短で18カ月かかるとしています。 更に、今回の運賃上昇はこれまでより激しいため、正常化までにさらに時間を要する可能性もあると指摘しており、最短で2023年の中旬ぐらいまでかかるとのことです。 CCFIのチャート CCFIのチャートを見てみましたが、ここ20年、直近の運賃上昇は、2016年から2017年にかけて、その前に、過去最低で2015年から2016年にかけて過去最低まで値下がりしています。 この影響で韓国の船会社Hanjinが倒産し、日本郵船は2017年に約2,700億円の赤字を出しています。 その前の値下がりと値上がりが2010年から2012年に下がっており、2012年〜2013年にかけ高騰しており、チャートを見るとよくわかるのですが、年単位で上がり下がりを繰り返しています。 海外のサイトに見やすいチャートがあったので概要欄にリンクを貼っておきます。 Freight rate reduction could take 30 months 今後の海運市況と物流コストへの意識 現在の上がり率が異例なので、過去5回の値上げ、値下げを見ると最短で1年半、一般的には26ヶ月かかるということです。ある条件を考慮した場合は30ヶ月くらい続く可能性もあるとしています。 これが本当であれば、海運業界は向こう1−2年は好景気が続くということになります。 現場の立場からすると良いことではありますが、運賃を製品単価にちゃんと転嫁していく必要があり 、輸送費用はタダではないということを、エンドユーザーさんたちに理解していただきたいと思います。 全日本トラック協会が「送料は無料じゃありませんキャンペーン」を今年やっていましたが、物流コストに関しての意識がこの期間に変わっていけばいいと考えています。 スペースも含め、今後どのようになっていくのか、引き続き注目し、情報を更新していきたいと思います。

アジアで稼ぐ日立物流!インドで最新の物流センター建設、アジアでの3PL拡大 | 物流ニュース・物流ラジオ

アジアで稼ぐ日立物流!インドで最新の物流センター建設、アジアでの3PL拡大

どうもこんにちは、飯野です。 今日は「日立物流、アジア事業 売り上げ倍増へ」というテーマでお話をしていきたいと思います。 2021年11月19日イーノさんの物流ラジオ 日立物流、アジア事業拡大へ 今日の海事新聞で、「日立物流は、アジア事業の売り上げ倍増を目指す」というニュースがありました。 日立物流は挑戦的な企業で、2021年4月にはマースクと提携したり、また2020年にはLogistieed Cafeというカフェをオープンし、情報発信スペースを作ったりなど、積極的な動きが見える会社です。 そんな日立物流ですが、2020年度の中国を除くアジア地域の売上高は390億円でしたが、将来的には1,000億円規模を目標とする、と発表しています。 インドに物流センター建設 アジアでの3PLを拡大しようとしているんですね。 3PLとは物流の一括受託のサービスのことで、荷主に対して包括して物流業務を受託して遂行するサービスです。 特にインドでは物流センターの集約需要があり、そこにも力を入れています。 インドでは同一製品・サービスに対する税率が全国で統一され、州をまたぐ販売にかかっていたCST(中央売上税)が撤廃されました。 州をまたいでも税金が掛からなくなったので、物流センターを分散させる必要がなくなり、今後はより効率的な集約した最新鋭の物流センターを建設する予定です。 東南アジアでのコールドチェーン また、タイ、マレーシアでのコールドチェーンにも力を入れていくとのことです。コールドチェーンは、生鮮食品や医薬品などを、低温に保つ物流方式です。 私がタイに来た8年前くらいからコールドチェーンが注目と言われています。 国が豊かになると輸入が増えていきます。 タイでも今年からスシローが進出してきて、大人気で、既に4号店もあり、急拡大しています。 また、タイでは屋台が減ってきています。規制がかかるようになり、いろいろな地域で屋台街が撤去されていっています。それにより、スーパー・コンビニの冷凍食品の需要が増えています。 アジアの伸びしろに注目 日立物流は来年度にスタートする中期経営計画に向けて、「アジア圏の3PLリーディングカンパニー」を掲げています。 同社のアジア代表の執行役は「アジアの伸びしろは日本国内よりもむしろ大きい。3PLでアジアの地域ナンバー1になり、“アジアで稼ぐ日立物流”が目標だ」と意気込みを語っています。 実際に伸び代は、日本よりアジア地域にあるのは間違いありません。 日本のマーケットは物流に関するところでは割と成熟しているので、日本で物流サービスのシェア拡大となると既存のパイの取り合いとなってしまいます。日本の拡大の場合は、これからはDXの部分になっていくと思います。 また、今後は日系企業であってもローカルの案件を積極的に取りにいく必要が出てくるでしょう。 日系企業は日系企業とのみ仕事をしがちです。しかし、それだと日系の製造業などの上限が天井なので、日系物流企業の成長は見込めません。 弊社でも創業当初は日系のお客さんが9割くらいでした。今はYouTube効果もあり、日系が全体の6割くらいに下がってきています。 個人的には安定してきたという感じがあり、いい傾向だと考えています。 物流業界は古い業界ですが、今となっては時代も違いますし、それに応じて考え方を変えていく必要があります。 日立物流は積極的な企業なので、引き続き個人的にも応援をしていきたいと思います。