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2023年6月

北米西岸港湾の労使交渉、ついに暫定合意! | 物流ニュース・物流ラジオ

北米西岸港湾の労使交渉、ついに暫定合意!

どうもこんにちは、飯野です。 本日は、6月16日付の海事新聞の記事から、「北米西岸港湾の労使交渉、新労働協約でついに暫定合意」についてお話していきたいと思います。 2023年6月16日イーノさんの物流ラジオ 北米西岸港湾、労使交渉ついに合意 米国西岸港湾の労使である使用者団体側のPMAと労働組合側のILWUは、現地時間6月14日、6年間の新しい労働協約を結ぶことで両者が暫定合意したと発表しました。 1年を超える長期化 2022年5月から始まった米国西岸港湾の労使交渉は異例の長期化となり、直近では組合によるスローダウンもあって港湾機能が一部停止に追い込まれるなど、緊張が高まっていました。 急転直下、労使間で暫定合意できたことにより、懸念された物流の混乱は避けられそうです。 現時点では、両者が暫定合意した新協約の具体的な条件などについては明らかになっていません。 今後は正式な合意に向けて両者が手続きに進むことになります。 新労働協約の契約期間は前協約が期限切れとなった2022年7月1日時点にさかのぼって適用される見通しです。 北米労使交渉の流れ 2022年5月から始まった労使交渉は、当初から難航するのではとの観測が強く、異例の13カ月に及びました。 労使交渉は当初、目立った動きは少なく、ターニングポイントとなる2022年秋の米中間選挙以降も大きな進捗は見えませんでした。 年明け以降、複数の主要項目で労使が合意するなど進展したものの、6月に入ってから一転して労使間の対立が激化しました。 組合による争議などによって、主要港での荷役機能が停止するなど緊張感が高まりました。 最終的に労使は暫定合意したものの、現地の報道によると、「この1週間はストライキやロックアウトの混乱か合意かどちらになるか分からない状況だった」とのことです。 北米東岸へのシフト 13カ月と長期化した労使交渉により、不安定な西岸諸港を敬遠し、荷主が東岸港湾ルートにシフトする動きが目立っていました。 米誌ジャーナル・オブ・コマース(JOC)によると、アジアからの米国輸入コンテナに占める西岸港湾のシェアは、1−5月の期間だけの統計で、2021年の62%から2022年は58.6%、さらに2023年は56%まで減少しました。 西岸港湾のターミナル関係者・事業者の間では、長期化する労使交渉に不満を強めており、そうした空気が組合などへの妥結に向けた圧力になったという見方もあります。 ピークシーズンに向けて ついに今回の北米西岸の労使交渉が終了となったわけですが、終盤にいざこざがあったものの、結果的には大きな混乱はなく暫定合意に至った印象です。 今年の中国の10月1日の国慶説前は特に問題もなくスムーズに貨物が流れるでしょう。 北米のインフレ 北米のマーケットの需要も、5月の消費者物価指数が前年同月比の4.0%、一時期9%ほどあり、かなり締め付けられています。 インフレが続き物価が高いため、人は商品を買わなくなっています。 そうすると、今年のクリスマスシーズンの輸送需要もかなり抑えられる可能性が高いでしょう。 このままいくと、スポット運賃は下がる一方になるので、船会社は不稼働船を増やし、供給量を調整するという流れになるのではないかと思います。 労使交渉終了で新たなステージか なんとなく今回の労使交渉の終了がコロナが終わり、次のフェーズに向かう一区切りのような感じが個人的にはしています。 ここから注目されるイベントは脱炭素だと思います。 各社がグリーンエネルギーを使った船を開発したり、次世代エネルギーに投資をしたりしていますよね。 あとはDX化。 イノベーションが起こるようなDX化は僕が知る中では今のところないので、これからの業界の変化は引き続き注目でございます。

日本郵船、宇宙ビジネスに参入!ロケットの洋上発射構想 | 物流ニュース・物流ラジオ

日本郵船、宇宙ビジネスに参入!ロケットの洋上発射構想

どうもこんにちは、飯野です。 本日は、6月14日付の海事新聞の記事から、「日本郵船の挑戦、宇宙ビジネスに参入」についてお話していきたいと思います。 2023年6月14日イーノさんの物流ラジオ 日本郵船の宇宙関連ビジネス 日本郵船が宇宙関連ビジネスに取り組んでいます。 船舶運航で培った技術や知見を活用し、ロケットの洋上発射や、再利用可能なロケット1段目の回収を担うなどの宇宙関連ビジネスを構想しています。 打ち上げた衛星を利用し、より高度な船舶管理体制の構築に役立てていく方針です。 日本郵船の新たな挑戦 日本郵船はこれまでにない海上輸送需要の創出や、海・陸・空を超える新たな分野への進出により、収益基盤のさらなる強化につなげたい考えです。 郵船が検討しているのは、ロケットの洋上発射です。 ロケットを船舶に載せ、発射ポイントまで運航、洋上からロケットを打ち上げます。 洋上での発射の利点 国内のロケット発射施設は、鹿児島県や北海道など陸上に展開しています。 船舶からの打ち上げが可能になれば、地球の自転エネルギーを最大限利用でき、赤道にもっと近づけるようになり、国土から遠く離れることで、安全に打ち上げられるメリットもあります。 ロケットの回収システム また、再利用が可能なロケット1段目の回収システムの構築にも目を向けています。 ロケットを発射すると、燃焼後に分離したロケット1段目は宇宙に向かわず落下します。 郵船が目指すのは、それを回収し、ロケットの再利用につなげるシステムです。 若手の育成プラグラムからの発案 宇宙関連ビジネス参入のきっかけは、若手・中堅社員が主な対象の人材育成プログラム「NYKデジタルアカデミー」です。 将来のビジネスリーダーを育成するプロジェクトにおいて、新規事業のアイデアを出し合う中でロケットに着目しました。 宇宙事業開発チームの発案者は「未知の領域に挑戦し、しっかりと形にしていくことで、社員一人一人や海運会社を志す人の心構えもきっと変わる」と意欲的です。 宇宙産業への取り組み 宇宙に挑戦する、というのは夢が広がりますね。 しかも海事クラスターならではの形で、宇宙産業に取り組むというのはとても面白いと思います。 船の上から宇宙ロケットを飛ばす想像はありませんでした。 日本郵船はお金を持っているので、こういったプロジェクトに参入できます。 ものを運ぶという仕事をしているけれども、こういった新しい領域で挑戦する会社は応援したくなりますね。 スタートアップへの投資 また、今日の海事新聞に、MOLがスタートアップを支援するMOLプラスについての記事がありました。 お金持っている船会社が、アイデアと元気があるスタートアップに投資をし、新しいことを作り出して、業界に貢献するという形ができつつあります。 こうしたことは、コロナで業界が潤ったため、思い切った投資ができるようになったと思います。 我々、中小企業も頑張りたいですね。

MOLとMLG、ケニア物流企業と提携へ! | 物流ニュース・物流ラジオ

MOLとMLG、ケニア物流企業と提携へ!

どうもこんにちは、飯野です。 本日は、6月13日付の海事新聞の記事から、「MOLとMOLロジスティクス、ケニア物流企業と提携へ。東アフリカでFWと陸送を強化」についてお話していきたいと思います。 2023年6月13日イーノさんの物流ラジオ 商船三井、ケニア物流大手と提携 商船三井は6月12日、グループの商船三井ロジスティクス(MLG)と共同で、ケニア物流大手GCSベロジックと戦略的提携を目的とした覚書を5月26日に締結したと発表しました。 GCSベロジックは、通関業、トラック輸送、サプライチェーン、物流DXサービスを提供し、トラック約170台、専門チーム約490人を有する企業です。 ナイロビに本社を置き、モンバサ、ナウルに事務所、倉庫を構えています。 アフリカでのフォワーディング展開 商船三井グループはケニアに現地法人 MOL SHIPPING (Kenya)と、商船三井ロジスティクスのナイロビ支店を有し、アフリカ発着の海上・航空フォワーディング事業、内陸輸送事業を手掛けています。 内陸輸送はこれまでも既にGCSベロジックへの業務委託などを通じ、同社と連携したサービスを提供してきました。 商船三井は今回の覚書締結により、自社グループの世界的ネットワークと海運、インフラ、物流業界の専門知識と、GCSベロジックの東アフリカ地域のネットワークと物流事業ノウハウを融合させ、同地域での物流課題の解決、新規産業の創出、経済の発展に貢献することを目指すとしています。 商船三井グループは、経営計画「BLUE ACTION 2035」のポートフォリオ戦略・地域戦略において、アフリカを含む新興国地域での物流事業など非海運事業の新規開拓・拡大を掲げています。 フォワーダーのアフリカ進出 最近のニュースでは欧米系や日系のフォワーダーのアフリカ展開が進んでいるように感じます。 アフリカはこれからのマーケットであり、インフラやITなどがこれまで整備されていなかったため、リープフロッグで一気に最新のテクノロジーが導入されています。 個人的にアフリカの物流事情は全く分からないのですが、これからアフリカ関係の物流のニュースは頻繁に出てくると思います。 投資先の選定 今回の商船三井のように、どこに投資をするかというのはとても大切です。 アフリカ進出はこれからも増えていくでしょうし、一周まわって製造業は日本に回帰する可能性も十分あるます。 世の中の流れがどんどん変わっていくので、ちゃんと追い、勝ちやすいところで戦うということが大事なのではないでしょうか。

パナマ運河、水不足で運航制限!輸送遅延に拍車? | 物流ニュース・物流ラジオ

パナマ運河、水不足で運航制限!輸送遅延に拍車?

どうもこんにちは、飯野です。 本日は、6月12日付の海事新聞の記事から、「パナマ運河で水不足。運航制限で輸送遅延に拍車か」についてお話していきたいと思います。 2023年6月12日イーノさんの物流ラジオ パナマ運河、運航制限 北米西岸での労使交渉とともに、パナマ運河での運航制限も北米航路に影響を与えています。 パナマ運河では、過去にも雨が降らない渇水期に運航制限や通航料の値上げ問題が発生しています。 水不足の影響 今年は降水量が少なかった影響でパナマのガトゥン湖の水位が大幅に低下し、十分な利用可能水量を確保することが難しい状況となっています。 そのため、3月1日時点では船舶の最大喫水制限が15.09メートルだったものが、5月30日には1.68 メートル分さらに引き下げ、13.41 メートルとすることになりました。 1万5000TEU型のネオパナマックス型の船では、最大喫水が13.41メートルになると積載量が40%絞られるといわれています。 こうした状況を受け、一部コンテナ船社では積載する貨物量の調整や、パナマ運河通航のサーチャージの導入を行う方針です。 各船社の対応 独船社のハパックロイドは東アジアから北米東岸向けの3サービスについて、7月1日から1コンテナ当たり260ドルのチャージを導入すると発表。 他船社でも、同月からアジア発北米東岸ガルフ向けで1コンテナ当たり300ドル程度のチャージを適用する動きが出ています。 西岸労使交渉との関係 アジア発北米向けのコンテナ輸送では昨年以降、北米西岸での労使交渉への不安から、西岸港湾ルートから東岸・ガルフ経由ルートへのシフトも進展しています。 米国西岸港湾では6月2日から組合による争議で混乱が生じていますが、「パナマ運河の運航制限もあり、東岸向けに貨物が流れないことを見越して西岸労組は動いているのではないか」と見る関係者もいるようです。 西岸での労使交渉が難航し、代替の東岸ルートも確保が難しい状況となる中、アジア発北米向けのスポット運賃が急上昇する可能性も出てきています。 運河のコンテナ船運航 パナマ運河を通行するには、かなりの水の量が必要となります。近くの湖の水を使っており、水不足だと十分な水深を確保できなくなります。 よって、大型船は積荷量を減らして軽くしないと通行ができず、その分サーチャージを請求する形となります。 雨季で水不足は解消か 基本的にはパナマは6月が雨季のようで、水不足問題は解消に向かうと思われますが、気候変動の影響で雨が長期間十分に降らなかった場合、サプライチェーンに影響を及ぼす可能性があります。 本日の海事新聞の記事では、そうした場合、スポット運賃がアップする可能性があるとのことでした。 パナマ運河の水不足問題や西岸港湾の労使交渉も含めて注目をしていきたいと思います。

米国の西岸港湾、混乱が続く。カナダ西岸港湾はストライキの投票へ | 物流ニュース・物流ラジオ

米国の西岸港湾、混乱が続く。カナダ西岸港湾はストライキの投票へ

どうもこんにちは、飯野です。 本日は、6月7日付海事新聞の記事から、「米国の西岸港湾、コンテナターミナルの混乱が続く。カナダ西岸港湾はストライキの投票へ」についてお話していきたいと思います。 2023年6月8日イーノさんの物流ラジオ 北米西岸、混乱続く 米国西岸港湾では現地時間の6月5日時点でも、幾つかのコンテナターミナル(CT)で閉鎖や混乱が続いている模様です。 作業員が出勤しているターミナルでも、通常の作業スピードよりかなりスローダウンするなど滞っているとのことです。 物流の混乱を懸念し、全米小売業協会はバイデン大統領に対し、労使交渉を調停するよう要請しました。 カナダ西岸港湾の動き 一方、カナダ西岸港湾の労働組合であるカナダILWUは8-9日に、ストライキの可否を決める組合員投票を行うと発表。 西岸港湾の混乱はさらに拡大する可能性があります。 労働者側の賃上げ要求が発端 6月5日の西岸港湾各ターミナルの状況は、2日に比べてやや正常化したようです。それでも一部では閉鎖や作業遅延、作業員派遣拒否などのトラブルが発生しています。 今回の争議は、組合側が提案した賃上げに対して使用者側が拒否したことが発端といわれています。 組合側の賃上げ要求額は、時給7.5ドル増。 これは次の労働協約の6年間の期間中、毎年実施するもので、計算すると6年で賃金は倍となります。 使用者側であるPMA(太平洋海事協会)によると、過去20年間の賃上げ幅は時給0.5ドルから1.5ドルの範囲とのことです。 カナダILWU、スト突入か カナダ西岸港湾の労使交渉では、政府調停の下で順調に交渉しているものと見られていました。 しかし、今回のカナダILWUの行動が、米国西岸のILWUを支援するための動きかどうかは不明です。 ただ、これまでカナダ西岸と米西岸の港湾が同時期にストライキに突入したことはありません。 カナダの動きと北米西岸への影響 カナダの西海岸でストをやるかどうかの投票が今日か明日に行われます。 これがLA、LBの方にも波及してくるかどうかが注目です。 港湾労働者の賃上げ 今回の港湾ストップの強行策は賃上げがテーマです。 ILWUの港湾労働者たちの年収は2,000万円以上あるとされており、さすがにちょっと高すぎではないかと個人的には感じたりもします。 しかし、コロナ禍でもしっかり仕事をしていたり、船会社はかなりの売り上げをあげていたりと、この賃上げの権利は主張してくるのも自然な気がします。 とはいえ、6年で賃金が倍になる交渉をするというのはかなり強気の交渉ではないでしょうか。 どうなっていくのか、今後も目が離せません。

キューネ・アンド・ナーゲル、南アフリカの物流企業を買収。低温物流を強化! | 物流ニュース・物流ラジオ

キューネ・アンド・ナーゲル、南アフリカの物流企業を買収。低温物流を強化!

どうもこんにちは、飯野です。 本日は6月7日付の海事新聞の記事から、「キューネ・アンド・ナーゲル、南アフリカの生鮮に強い物流企業を買収。低温物流を強化」についてお話していきたいと思います。 2023年6月7日イーノさんの物流ラジオ KN、低温物流強化へ 欧州の国際物流大手キューネ・アンド・ナーゲル(KN)は6月6日、南アフリカに本社を置く物流会社モーガンカーゴを買収することで合意したと発表しました。 モーガンは生鮮貨物の取り扱いに強みを持つフォワーダーで、2022年度の年間貨物取扱量は航空で4万トン超、海上で2万TEU超。 KNはモーガンをグループに加えることで、低温物流を強化していく方針です。 買収について モーガンは南アフリカ本社のほか、英国、ケニアにも自社拠点を置くフォワーダーです。 KN傘下に入ることで、これらの国々の顧客と、キューネが各地で展開するコールドチェーン(低温物流)施設などのネットワークの接続性を改善できるとのことです。 キューネはアフリカなど高成長市場での事業拡大は、現行の経営計画ロードマップ2026に合致していると説明しています。 モーガン買収により、アフリカでの存在感を高め、さらに今後は中東・アフリカ地域での取り組みを加速するとしています。 KNによる買収 キューネは生鮮物流強化に、各地域に強みを持つ物流企業の買収を続けてきました。 2018年にはエクアドルのパンアトランティック ロジスティクス、2019年にはワールドワイド ペリッシャブルカナダ、2021年には水産物フォワーディングに特化したノルウェー企業サルモスペッドなどをそれぞれ買収しています。 国際輸送業界のM&Aの加速 キューネも買収を広げています。 昨日、Twitterでこのようなことをツイートをしました。 https://twitter.com/iino_saan/status/1666014567238082561 こういったニュースがあると、リアルにM&Aは業界で進んでいくと実感します。 また、こんなツイートもしました。 https://twitter.com/iino_saan/status/1665633939002884097 日本企業に向けて 僕は平日毎日、物流業界のニュースを発信しており、一般の人よりは業界のニュースを見ていると思います。 また人材紹介業も経営しているので、マーケットの流れと、人の行動心理と流れを考えると、最初に紹介したM&Aが増えるというツイートの内容は全く的外れだとは思いません。 これを聞いて不愉快に思う人は一定数でいると思いますが、警笛を鳴らさないと、「時すでに遅し」となるケースが普通にあると思います。 そうなった時、日本の会社はどうなっていくか?20年後はどうなっているか? 少しでも明るい未来に向かったら良いと思い、日々発信をしております。 お叱りの言葉を受けるかもしれませんが、ご理解頂けますと幸いです。

北米西岸港湾、 ILWUが争議行動を開始! | 物流ニュース・物流ラジオ

北米西岸港湾、 ILWUが争議行動を開始!

どうもこんにちは、飯野です。 本日は6月6日付の海事新聞の記事から、「北米西岸港湾、労働組合側 ILWUが争議行動を開始」についてお話していきたいと思います。 2023年6月6日イーノさんの物流ラジオ 北米西岸労使交渉、争議行動発生 北米西岸港湾でついに大規模な争議行動が発生しました。 西岸港湾に就航する船社やターミナルで構成するPMAは現地時間6月3日、「労働組合側のILWUが一致団結した行動を展開し、ロサンゼルス港とロングビーチ港にある複数のターミナルが事実上の操業停止に追い込まれた」と発表しました。 ターミナル停止の影響 西岸港湾の労使交渉は先月までに自動化など複数項目で合意に至るなど順調に進んでいたものの、一転して争議により労使の緊張が高まりました。 PMAによれば、LA・LB港以外にも、「オークランド港、タコマ港、シアトル港、ワイナメ港で同様の労働争議が発生し、ターミナルの操業が停止して深刻な影響を及ぼしている」とのことです。 現地からの報道では、6月2日の朝からLA・LB港にある複数のターミナルで朝のゲートオープンから数時間後にはトラックの搬出入受け入れが停止になったとされています。 オークランド港でも2日午前中に閉鎖となるなど混乱が生じています。 ILWUの主張 一方、ILWUは「労使交渉が決裂したという報道は誤り」との声明を発表しています。 そのうえで、「われわれ労働者はコロナ禍期間中、命を危険にさらしながら物流を維持してきた一方、海運業界は天文学的な利益を上げてきた」と述べ、「そうした組合員の英雄的努力を認めないような経済パッケージに妥協することはない」とコメントしています。 貨物量増加前の行動 今回の労使交渉が始まる前、コロナ禍でも働いていた労働組合側は、船会社側が多大な利益を上げているのが周知の事実のため、確実に交渉は難航するとされていました。 しかし、直近の港の自動化のテーマでの交渉がスムーズに行われており、不思議に感じていました。 この時期に行動することを狙っていたようにも感じます。 一般的に北米向けは、6月、7月、8月とピークシーズンサーチャージが加わるほど貨物量が増えます。 10月1日に中国の国慶節があり、それまでに中国の工場は貨物の製造を増やして出荷します。 さらに11月の第4週目の金曜日にブラックフライデーのセールやクリスマスホリデーに向けたセールもあります。 それまでに十分な在庫がないといけません。ここで貨物が安定的に輸送されなければ、大変な状況となります。 今後の予想 しかし、個人的にはタイミング的にちょっと早い感じもします。 労使交渉は2022年5月から開始し、1年強続いています。 北米の荷主はこういうこともあろうかと、西海岸だけでなく、東海岸やメキシコ湾岸に貨物を流してリスク回避をしようとしています。 今回のターミナルストップという強行策は、少し早いタイミングではないでしょうか。 もう少し後にずらし、作業のスローダウンやターミナルストップにする方が、交渉は有利になると思いますが、ここで抗議を開始し、政府介入して終わるタイミングかもしれないと、個人的には予想をしております。

物流改善、政府,荷主に義務付け!関税立替はもうやめにしないか。 | 物流ニュース・物流ラジオ

物流改善、政府,荷主に義務付け!関税立替はもうやめにしないか。

どうもこんにちは、飯野です。 本日は6月5日付の海事新聞の記事から、二つの記事についてお話していきたいと思います。 まず一つ目は、「物流改善、政府が荷主に義務付け」です。 2023年6月5日イーノさんの物流ラジオ 荷主に物流改善義務付け 政府は6月2日、第2回「我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議」を開催し、物流革新に向けた政策パッケージを承認しました。 荷主企業の物流改善への取り組みを促進するため、特に大手企業に対して役員層での物流管理責任者の配置、勧告などを伴う物流負荷軽減計画作成など規制的措置を含む法案を、2024年 通常国会への提出を視野に具体化していきます。 ドライバーの時間外労働問題 国土交通大臣は同日会見し、「物流は国民生活を支える重要な社会インフラであり、ドライバーの時間外労働の上限規制が強化される2024年問題への対応は喫緊の課題だ。対策を何もしなければ、2024年には14%の輸送力不足に陥るという試算もある。」と語っています。 また、「政策パッケージに盛り込まれた対策で、可能な取り組みから速やかに実施し、規制的措置などの枠組みも確実に整備する」としています。 政策パッケージの内容 その政策パッケージは 1.商慣行の見直し  2.物流効率化  3.荷主・消費者の行動変容 の三つの柱で、荷主・物流事業者の物流改善を評価・公表する仕組みの創設など、具体的施策を打ち出しました。 通関業者の関税立替について 二つ目の記事は、「公正取引委員会、2年連続で関税立て替え 注意喚起」です。 公正取引委員会は荷主が関税や消費税などを直接支払わず、通関業者に立て替えさせる行為を独占禁止法上の問題につながる恐れがある事例に2年連続で取り上げました。 併せて、「参考」の形で、立て替え払いの解消事例を掲載し、荷主と通関業者に改善を促すとともに、「引き続き注視していく」としました。 公取委は独禁法などの違反への監視を強めています。 荷主への注意喚起 実際には荷主に立ち入り調査をしたり、注意喚起文章を送ったりと対応をとっています。 こうした動きは、立て替え払いの改善を着実に後押ししています。 ある大手通関業者では直近の数カ月間だけでも複数荷主の立て替え払いが解消しました。 ただし、一部の荷主は「違反しても、すぐに罰則があるわけではない」とし、全く聞く耳を持たず、先の関係者は「報復行為が予想されるため、通報しようにもできない。公取委、そして関税局にも、もう一段と踏み込んだ対応を期待する」と語っています。 依然荷主の立場が強い日本 日本では荷主あっての物流事業者のようなところがあり、荷主の立場がかなり強くなっています。 2つ目の記事の通関会社の関税・消費税の立替がその最たる例で、通関業者が数千万円という関税・消費税を立替える場合もあるほどです。 更に、通関業者が金利などをとっていないケースが大半です。 関税立替の負担 今はリアルタイム口座というものがあり、荷主がリアルタイム口座から税金が引き落とされるケースもあります。 本来、通関会社は通関をする会社であって、金融機関ではありません。 トラックドライバーの荷訳 また、トラックドライバーが荷物を積み下ろしすることも商習慣的に決まっています。 それに対し疑問もありますし、ドライバーの待機時間の長期化の問題もあります。 商習慣の撤廃 物流業者なんていくらでもいる、いくらでも替えられる存在だと思っている人は一定数でいます。 その為、買い叩かれることも良くあります。 しかし、そろそろ、この昭和からの流れの悪しき商習慣を終わらした方がよいのではないでしょうか。 製造業にとってみれば、製品単価にそこまで影響しないレベルでコストを叩き、物流会社が疲弊するという、そんなことをしている場合ではありません。 この業界が良い方向に1日でも早く、良い状態になっていけばと願っております。

水素燃料のバージ船、欧州でデビュー! | 貿易実務の基本

水素燃料のバージ船、欧州でデビュー!

どうもこんにちは、飯野です。 本日はJOCの記事より、「水素燃料のバージ船、欧州の内航船輸送でデビュー」についてお話していきたいと思います。 2023年6月2日イーノさんの物流ラジオ 水素燃料のバージ船、公開 ロッテルダムで初の水素エンジン搭載のゼロエミッション内航船が就航し、ハブ港と内陸部のターミナルを結ぶ運航を開始しました。 ゼロエミッション船会社のFuture Proof Shipping(FPS)は、今週初めにベルギーにあるナイキの欧州物流キャンパスでこの船を公開した後にゼロエミッション船のH2 Barge 1を就航しました。 ナイキの契約 ナイキは、ゼロエミッション輸送への取り組みを加速させることを目的とし、この水素バージ船をチャーター契約しています。 同社のヨーロッパ、中東、アフリカ地域のオペレーション & ロジスティクスのvice presidentは「H2 Barge 1は、当社が物流と輸送の分野で持続可能な進歩に投資している重要な例である」と述べています。 水素燃料バージ船について このバージ船のコンテナ容量は明らかにされていませんが、FPS社は、ロッテルダムとBCTN社の内陸ターミナル間を「週に数回」航行することにより、年間2,000トンのCO2を削減することができると主張しています。 FPSのCEOは、水素で動くバージ船は「海運の未来にとって極めて重要である」と述べています。 水素燃料 水素は、エネルギー密度が従来の船舶用燃料の半分であるため、貯蔵タンクを大きくしなければならず、貨物の積載量が減ってしまうため、長距離航路では現在のところ実現不可能です。 しかし、小型の船舶で短時間の航海をする場合には有効です。 SDGsへの意識 先日、大手の外資フォワーダーのグローバルアカウントの方とお話をさせて頂き、今、日本の大手荷主で意識されていることは、SDGsとのことでした。 大手企業は値段も重要視しますが、環境に対しても何かしらの対応をしないといけません。 特にヨーロッパ向けの場合、カーボンプライシングといった、炭素税やEU-ETSでCO2の排出量取引もあり、脱炭素の取り組みが重要なマーケットとなっています。 代替燃料候補 今回の記事では水素エンジンのバージ船が登場しました。まだまだ水素燃料の実現というのは、技術的に開発中です。 一方、アンモニア燃料は水素より早く市場に入ってく可能性があります。 アンモニアは既に肥料用途で輸送・貯蔵の実績があり、エンジン開発が進められています。 このような脱炭素エネルギーの中で、開発が早いのがメタノールやLNGです。 今日の海事新聞でも、メタノールがカーボンニュートラルに向けて即導入可能な燃料だと報じられていました。 メタノールは従来の重油に比べて10-15%ほどのCO2削減が可能で、マースクはメタノール船を多く発注しています。 よって、SDGsを気にする大手荷主が脱炭素という点でマースクを積極的に選ぶ可能性は高いでしょう。 とはいえ、技術はどんどん進んでいるので、今回の水素バージ船デビューのように水素コンテナ船やアンモニアコンテナ船の実現が近づいてきているのかもしれません。

CMA-CGM、フランスのメディアへの出資拡大! | 物流ニュース・物流ラジオ

CMA-CGM、フランスのメディアへの出資拡大!

どうもこんにちは、飯野です。 本日は、6月1日付の海事新聞の記事から、「CMA―CGM、短期間にフランスのメディアへの出資拡大」についてお話していきたいと思います。 2023年6月1日イーノさんの物流ラジオ CMACGM、仏メディアに出資 仏の船社CMA―CGMは5月25日、デジタルメディア運営の仏ラ・トリビューン社の株式100%を取得すると発表しました。 CMA―CGMは多角化戦略の一環として昨年来、仏メディアへの出資を拡大しており、仏国内での存在感を高めるのが狙いとされています。 ラ・トリビューン社について ラ・トリビューンはフランス、アフリカに17拠点を置き、テクノロジーや気候変動、責任投資などの重要な経済上の問題を主に取り上げています。 既に100%デジタルモデルへと移行しており、ビジネス・金融領域でのオンラインメディアとしては最大手だとのことです。 CMACGMのメディア買収 CMA―CGMは2022年、ラ・プロヴァンス、コルス・マタンという2つの仏メディアを買収し、テレビ局M6グループにも一部出資しています。 さらに今年4月にも、オンラインメディアのブリュットの株主にもなりました。 CMA―CGMは今回買収したラ・トリビューンのDXでの専門知識や、イベント開催の実績などから、2022年に買収した2つのフランスメディアと並ぶ存在になるだろうと説明しています。 また、CMA―CGMが拠点を置くマルセイユ地域での存在感も高められるだろうとしています。 船社のメディア買収 今回の記事によると、CMACGMはフランスで短期的に複数のメディアを買収しています。 メディアは多くの人たちにリーチでき、物流より一般的です。 海運業はボラティリティが大きく、収益が良い時は良い反面、リスクが高くもあります。 CMA-CGMは船だけでなく、倉庫やロジスティクスといった総合物流への路線をとっています。 メディア事業への期待 今の時代、メディアを抑えるというのは結構重要だと考えています。 メディアは多くの人にアプローチできる場所です。例え、物流に繋げなくとも、多くの人にリーチできるメディアがあれば、いろいろな展開が可能になります。 物流は無くなることはありませんが、物流事業も拡大しながら、メディア事業も同時並行で拡大しているCMA CGMに今後も注目です。