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2021年7月

【フォワーダー2.0】デジタルフォワーダーの時代、中小企業の今後の戦い方。 | 物流ニュース・物流ラジオ

【フォワーダー2.0】デジタルフォワーダーの時代、中小企業の今後の戦い方。

フォワーダーのデジタル化が日本でもやっと進んできたような気がします。業界ではデジタルフォワーダーという名称のスタートアップがアメリカ、ヨーロッパ、中国で注目されていました。 私個人的に注目していたデジタルフォワーダーのスタートアップはアメリカのFlexport。最近では住友商事のVCが出資したという中国のYunquna。そして日本のデジタルフォワーダーの始祖 Shippioです。 これらのスタートアップの動きを見て、タイにある弊社グループでもデジタルフォワーダー化するべきだ!と2020年1月にグループミーティングで提案しました。現在はペンディング中です。理由は以下にて説明します。 そして、ここ最近日系の大手フォワーダーにデジタル化の動きが見えるようになってきました。 さすが日通。契約した船社のスペース・Booking・価格などの情報が社内にオンタイムで共有される。「確実」にスペース状況が分かるというのは昨今の海運ではマジで必要な要素。この一元管理は今後、通関やトラックにも広がっていくはず。物流業界が面白くなってきたぞ!https://t.co/khegnPiAl7 — イーノさん@物流会社の社長🇹🇭 (@iino_saan) July 20, 2021 予想通り大手フォワーダーから、どんどんデジタル化が進んでいくよね。中小フォワーダーとして生き残り戦略を考えないと。 【コンテナ】三菱商事ロジ、船腹予約の新PF稼働。貨物動静確認まで一元管理 https://t.co/qkuJss4d8M — イーノさん@物流会社の社長🇹🇭 (@iino_saan) July 22, 2021 タイトルで「フォワーダー2.0」と流行りの〇〇2.0を使ってしまいましたが、フォワーダーも遂に新しいステージに行くタイミングだと思ったので考察を書いていこうと思います。 デジタルフォワーダーとは? デジタルフォワーダーという言葉に馴染みがない方の為に簡単にご説明します。デジタルフォワーダーとは、独自のITプラットフォーム(PF)を使い、見積もりの即時提出、荷主からのBooking、貨物のトラッキングを一元管理しているフォワーダーです。 簡単にこれまでのフォワーダーと比較をしてみましょう。 従来のフォワーダー ・見積もり:都度確認、メールや見積書にて提出 ・Booking:メールでBookingを受付 ・トラッキング:営業やカスタマーサービスが調べて連絡 デジタルフォワーダー ・見積もり:PFで表示 ・Booking:PFで受付 ・トラッキング:PFで表示 このようにプラットフォーム(PF)で一元管理され、簡単に必要な情報にアクセス出来る仕様です。 見積もり、Booking、トラッキングは現時点での主要な機能ですが、今後は更にサービスが広がっていくと思います。 その他の機能(一部は未来予測) ・B/Lの間違いチェック*S.I、INV、PKLからAIで間違い探し ・eB/L(制度改正が必要) ・本船の残りスペースの表示 ・各港の混雑状況の表示(沖待ち日数) ・写真をアップロード -> HS Codeの表示 ・HS Codeを入力して必要書類(他法令)の表示 ・HS Codeを入力して配送可能(主にDG)か事前確認 ・輸入関税・消費税金額の自動算出 ・Arrival Noticeの電子送付 ・D/OのQRコード化 ・輸入申告のオンタイム状況の表示 ・フリータイム切れまでのカウントダウン ・デマレージ費用のオンタイム表示 ・配送先の住所を入力してトラック費用の算出 などなど。AIとブロックチェーンなどの技術も使って、技術的には全て出来る内容だと思います。 これまでデジタル化が進まなかった原因 物流のお仕事に従事されている方なら、上記のような便利なツールや機能があったらいいなと思うのではないでしょうか。他の業種では既に使われている技術なのに、なぜ物流業界ではデジタル化が進まなかったのか? これは ・物流業界の人たちの考えが古すぎる(コンサバ) ・業務プロセスが多く、関係各社が分かれている この2つが主要な問題です。 弊社でもプラットフォームを導入するにあたり、全体会議を何度もやりましたが つまづいたのは上記の理由です。 致命的問題:関連業社が多すぎる件 コンサバは時間が解決してくれると信じているのですが、もう一つの問題が厄介です。 私たちフォワーダーは(特に中小企業は)基本的にはアセット(自社の設備)を持たないケースが多いです。なので船・飛行機を含め、通関、トラック、倉庫などを複数の業者に外注しています。 各社で使っているシステムが違う 現在ではそれぞれの業者・会社が自社の都合の良いようにシステムを導入しています。システムがないと膨大な物流手配の情報は取り扱えないのですが、このシステムが足枷となります。 1件の輸送をする為の関係各社のシステムが違うので、フォワーダーのプラットフォームと各社のシステムとの連携が①技術的、②権利的に難しいのです。特に後者②が深刻だと思ってます。 システム業者からしたら、「なんでそんなプラットフォームと連携しないといけないの?」となります。実際に弊社のプラットフォーム開発ではここで止まりました。 IT企業あるある このように各社のシステムが違うのに、現存のデジタルフォワーダーはプラットフォームどのように一元管理をしているのでしょうか? これは私たちもプラットフォームを作ろうとしたので分かりますが、表向きはIT開発をしているけれども、運用は人がやる仕組みになってしまいます。 現在、船会社はBookingを各自社Webサイトで受け付けていて、トラック会社はメール(またはFAX)でのBooking受付が殆どです。 なので ・フォワーダーのプラットフォームでBookingを受ける ->自動で各船会社・航空会社のWebサイトへBookingする ->自動でトラック会社へメールでBookingする このようなシステムは技術的には出来なくないと思いますが、小額投資しか出来ない弊社だとそれは無理でした。自動で出来ないので、人が泥臭くBookingやキャンセル手配をすることになります。 大手企業はトップの鶴の一声か? 私自身が大手フォワーダーの内部にいるわけではないので勝手な想像なのですが、冒頭で紹介した日通や三菱ロジでは、トップが「デジタル化するぞ!」と言ったら、関連会社のシステムも合わせられると思ってます。 大手は自社でアセットも持っているので、それに合わせたプラットフォームも開発がしやすいんですよね。そういう意味で大手企業ほどコンサバかと思っていますが、やるときはパワーを使って変えられる強みだと思います。 大手フォワーダーがデジタル化する脅威 デジタルフォワーダーというスタートアップが出て来て、いきなり市場が取れる程 この国際物流業界は甘くありません。確かにプラットフォームは便利ですし、これからはトレンドがきて、今後は一般化するでしょう。 しかし貨物を海外に運ぶというフォワーダーの仕事においての前提条件は、貨物を運べるスペースをしっかりと持っていることです。取り扱いスペースがなければ、見積もり・Booking・トラッキングをいくら便利にしても、そもそも運べません。 冒頭に紹介した日通は日本No.1フォワーダーの購買力を生かし、複数の船会社とスペースを契約。そのスペース状況をオンタイムで内部に共有しているとあります。 2022年下旬まで購買を制すものが有利 この記事を書いている現在はコロナによるコンテナ不足、本船のスペース不足の為に海上運賃が過去最高に高騰しています。特にアジアからアメリカやヨーロッパ向けなどは、貨物を送りたくても送れない状況が続いています。 こちらの記事でも書きましたが、現在はフォワーダーの二極化が始まっています。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/selected-forwarder/?lang=ja" target="_blank"] スペースが取れるフォワーダーはキャリア(船会社・航空会社)と共に収益を上げ、スペースが全く取れない会社は残念ながら仕事が取れません。 このコンテナ不足、スペース不足はいつになったら解消するのか?という話題はよく聞きます。現状からすると年内までは続くという見方が強まって来ました。 また2022年7月1日にアメリカ西海岸の労働組合の労働協約が失効するので、また北米西海岸で一悶着があり、コンテナの目詰まりが発生するでしょう。全くスペースが取れないことはないと思いますが、タイトな状態になる可能性は十分にあります。 中小フォワーダーはどうやって対抗すべきか? このような市場の状態において、中小フォワーダーはこれからどのようになっていくのでしょうか?結論を言いますと、従来のアナログで海上輸送・航空輸送のみを対応するフォワーダー1.0は淘汰されます。 すぐにではないでしょうが、全ての大手フォワーダーがデジタル化を完了させて攻め込まれると、中小のアナログフォワーダーは勝てません。 テクノロジー化が進むにつれてコストは下がります。更に大手は強い購買力でスペースが取れますし、物流管理をデジタル化することで人件費も下げられます。 中小フォワーダーの救世主が現れるか? このように書くと、自社でシステム開発をしなければいけない!莫大なコストがかかる!と心配になったかもしれませんね。大丈夫です、ご安心ください。 上述しましたが弊社でもデジタル化を進めようとしたくらいなので、他の中小フォワーダーでもデジタルプラットフォームを採用することは可能です。 実はフォワーダー用のプラットフォームを開発してくれる会社があります。また今後はサブスク(月額課金)でプラットフォームを使わせてくれる会社も増えてくるとも思います。 世界各地でトータル・ロジスティクスすべし プラットフォームを導入すれば大丈夫か?というと、そうではありません。プラットフォームはこれからの必要最低条件です。 プラットフォームが出来たことで、価格に透明性が生まれます。船会社・航空会社の代理店業としてスペースのみを販売していたフォワーダーは、この価格のガラス張りで「利ざや」が抜けなくなるのです。 デジタル化が進むことで簡単に価格が比較され、多くの場合で選ばれるのが最も安く貨物を運んでくれる会社。または適度な価格でワンストップ・サービスしてくれる会社です。 国際物流は海上・航空輸送だけではありません。その前後の陸送、通関、梱包など、また貨物によって運び方も変える必要があったりします。 海外の代理店との連携を強化する 更にいうと、トータルロジスティクス(ワンストップ)だけでは生き残れません。大手企業ももちろんトータルでサービスを提供して来ますし、ここでポイントになってくるのが 海外の支店・代理店の存在です。 国際物流は2国間で貨物輸送手配をします。そして大手企業は海外に自社の支店を持っていることが多いですが、それが足枷になるケースもあります。 海外に支店があるのと、海外の支店のサービスが良いは全く別の話。 これは大手フォワーダーに勤めていた人から聞いた話ですが、海外の支店のサービスが悪かろうと、そこを使わなければいけない縛りがあるそうです。 中小フォワーダーの場合は各地に支店がなく、ローカルのフォワーダーと代理店契約をしている場合も多いと思います。そして、そのなかで良い代理店を選べるというのが逆に強みだったりします。 まとめ やっとこの国際物流業界でも空気が変わって来ました。技術的には出来そうなのに 構造上の問題でなかなか進まなかったデジタル化。これがDXというトレンドワードによって、このコンサバ業界が動き始めたのです。 ここで変われない会社は間違いなく淘汰されます。弊社グループでもまだ変われていないので、個人的にこのまま行くとヤバいと感じていますが、大切なのは変わろうとする意思と行動。 もしデジタル化に時間がかかったとしても、中小フォワーダーと関連業者による強い連携があれば大手企業とも戦っていけると思っています。 さぁ、フォワーダー2.0に向かって動き出そう。 追伸 変わる必要なんてない!今後フォワーダー業界は安泰だ!と楽観している方のために、こちらの動画をご紹介します。 日本の海運の歴史を解説した動画ですが、かつては日本の船会社は12社ありました。現在の邦船社は3社(日本郵船・商船三井・川崎汽船)。コンテナ事業は1社(ONE)に統一されました。

保税輸送について | 輸送・ロジスティクス

保税輸送について

保税輸送について動画で解説 どうもこんにちは。飯野です。 今回は保税輸送について解説をしていきたいと思います。 これまで保税の基礎、保税地域、貿易における保税の重要性と 数回にわたり保税に関して説明をしてきましたが、今回説明する保税輸送もこれらの全てに関連することなので、抑えておかなければいけない知識です。 それではいってみましょう。 保税輸送とは 保税輸送とは 指定保税地域から保税蔵置場などへ輸送する時に、外国貨物のまま運送することです。これだとちょっと分かりにくいですよね。もう少し詳しく解説します。 外国貨物とは通関で輸出許可得たあとで船や飛行機にまだ積みこんでいないもの、そして輸入地の港や空港に到着して、まだ輸入申告の許可を受けていないものを指します。 貨物自体は国内にあるけれども、外国の貨物という保税状態の扱いとなります。またこの外国貨物は保税地域に置く必要があります。 この保税地域には港(指定保税地域)、保税倉庫(保税蔵置場)などがあります。輸入の場合ですが、まだ輸入通関が完了していない外国貨物を、港から指定の保税倉庫に輸送する場合は、保税の状態のまま移動させる保税輸送が必要になります。 OLT(OVER LAND TRANSPORT)とは 保税輸送は専門用語ではOLT(OVER LAND TRANSPORT)と呼ばれます。これは陸送による保税輸送を指していて、トラックやドレージによる輸送です。 ILT(INTER CORST TRANSPORT)とは また内航船などを使い船による保税輸送をILT(INTER CORST TRANSPORT)といいます。コンテナのフィーダーや原料の輸送などに使われます。 タイのOLT輸送 タイの場合だと、ラッカバンというICD(内陸のコンテナデポ)に貨物を積んだ輸出コンテナを搬入し、OLTでレムチャバン港に運んでから船に乗せたり、 タイのILT輸送 輸入ではレムチャバン港に本船が到着し、コンテナを積み下ろしてバンコク港にフィーダー船でコンテナを輸送するILTがあります。 フォワーダーにとっての保税輸送 保税輸送はフォワーダーにとっては非常に身近なものです。例えば時間がかかる税関検査の場合。港に貨物を長期間置いておくとフリータイムが切れて、デマレージという超過保管料金が発生します。 このデマレージを避けるために、近くの保税倉庫に貨物を保税状態で移動させて、検査が完了してから輸入通関をすることになります。 またLCL(混載貨物)の場合は、CFS(コンテナ・フレート・ステーション)という保税蔵置場に貨物を搬入し、コンテナに詰め込んでから港(指定保税地域)に保税輸送します。 タイ・ミャンマー・第三国の国際複合輸送 タイで活動している私として 最近多く対応しているのが、ミャンマーが絡んだ保税輸送です。タイとミャンマーは隣同士の国で、タイをハブとした輸送が可能です。 昨今のミャンマーでは政情不安や、世界的なコンテナ不足という問題も重なり、ミャンマーのヤンゴン港を使用するより タイのレムチャバン港を使用する方が安定して貨物の輸出入が出来ます。 そのため輸出の場合だと、ミャンマーのMyawaddy、タイのMaesortという国境をトラックの保税輸送(OLT)で超えて レムチャバン港まで外国貨物として輸送し、レムチャバン港からアメリカや日本に海上輸送するケースが最近は増えています。 こういった複合輸送を手配できるのがフォワーダーの仕事の醍醐味だなとも思いますし、保税の知識は貿易・国際物流に携わる人であれば必ず抑えておきたいところです。 まとめ 今回の保税輸送について、ご理解頂けましたでしょうか。これまで制作した保税に関する動画のリンクを全て概要欄に貼っておきますので、合わせてみて下さい。 チャンネル登録がまだという方は是非ともよろしくお願いします。 今回のお話は以上になります。また次の動画でお会いしましょう。ありがとうございました! ・Twitter で DM を送る https://twitter.com/iino_saan ・LinkedIn でメッセージを送る https://www.linkedin.com/in/shinya-iino/ お問い合わせは「ツイッター」と「LinkedIn」のみで承っております。

貿易実務での保税の重要性 | 輸送・ロジスティクス

貿易実務での保税の重要性

貿易実務での保税の重要性について動画で解説 どうもこんにちは飯野です。 今回は貿易実務において保税が重要だという理由について説明したいと思います。 貿易初心者の人のために「保税の基礎」という内容を別の動画で解説をしました。概要欄にリンクを貼っていますので、基礎から学びたい方はそちらからご覧下さい。 輸入貨物には関税・消費税がかかる 貨物を輸入する時には、一般的に税金(関税・消費税)がかかります。しかし輸入において保税状態であるということは、税金をまだ払っていないということです。このポイントが非常に重要です。 現代の貿易においては、製品や原材料を単純に輸出入するだけではありません。各国で違った部品を作ったり、仕入れたりをして、別の国で最終製品に仕上げる加工貿易というものがあります。 加工貿易を理解する 加工貿易のポイントをもう少し詳しく説明しましょう。 製造メーカーが材料を調達する時に、国内で材料調達をするより、生産コストが安い国から調達をする方がコストメリットがある場合があります。それを最終製品に仕上げて、海外(第三国)に輸出するのが加工貿易です。 税金の優遇措置をとらない加工貿易の場合、材料を輸入する時に税金がかかります。そして更に最終製品が他の国に輸入された時にも税金がかかってしまうと、最終製品の価格は必然的に高くなります。 製品価格が高いと価格競争力がなくなり、売りにくくなってしまいますよね。 自動車での加工貿易の例 自動車の生産で例を上げましょう。 タイヤはA国、ハンドルはB国、ブレーキはC国から調達するとします。そして最終的な組み立ては日本。完成した車をアメリカに販売するとしましょう。 タイヤ、ハンドル、ブレーキなどのそれぞれのパーツの輸入で税金(関税・消費税)が日本でかかり、そして完成した車にはアメリカで輸入の税金がかかるという状態です。 アメリカの国産車と比較すると価格が高くて売りにくい!という問題が出てきます。 保税を利用した加工貿易 このような状態を避けるために加工貿易では保税を利用します。ここで登場するのが保税地域を解説する動画で登場した、保税蔵置場や保税工場です。タイではFreeZone内の工場や倉庫もこれにあたります。 輸入において保税状態であるというのは、まだ税金(関税・消費税)を払っていない状態だと最初に説明しました。この保税状態で加工をして、そのまま他国へ輸出をすると部品や材料に対しての税金がかかっていない状態で貿易を取引が出来るのです。 もちろん最終製品の関税・消費税は他国では発生しますが、保税を利用しない場合に比べると価格メリットがあり、競争力が生まれることになります。 色んな種類の加工 製品によって色んな加工があります。自動車のように大きな設備を使って加工を加えるものもあれば、衣服のタグを変えるくらいの簡単な加工もありますし、また加工でなくても 保税状態で仕分け・再梱包などをして再輸出をするケースもあります。 保税倉庫で仕分け・再梱包 例えば、色んな服が1つの袋に入った古着を カンボジアからタイに輸入して、特定のブランドだけを仕分けして、マレーシアに送るというようなビジネスだってあります。 この時にタイでの輸入税を避けるために タイの保税倉庫で仕分け・再梱包をして 輸出をすれば、タイで税金を払い、更にマレーシアで税金を二重で支払うより、安くなりますよね。 展示会貨物の保税 合わせて展示会貨物についても説明をしておきましょう。 国際展示会では各企業が自社の製品を 色んな国で展示することになります。販売ではなく、展示が目的なので展示会が終了したら元の国に戻さなければいけません。 この時に輸入の関税や消費税がかかってしまっては問題なので、保税展示場という施設を利用したり、ATAカルネという仕組みを使って課税されることなく貨物の輸入をするのが一般的です。 まとめ このように現代の国際貿易には、保税を使った メリットのある貿易取引が出来るような仕組みがあります。 このチャンネルでは使える貿易・物流の知識を随時発信していますので、是非チャンネル登録をして学んで頂ければと思います。 今回のお話は以上です!ありがとうございました! ・Twitter で DM を送る https://twitter.com/iino_saan ・LinkedIn でメッセージを送る https://www.linkedin.com/in/shinya-iino/ お問い合わせは「ツイッター」と「LinkedIn」のみで承っております。

保税地域について | 輸送・ロジスティクス

保税地域について

保税地域について動画で解説 どうもこんにちは。飯野です。 今回は保税地域というテーマでお話をしていきたいと思います。 以前の動画でも説明しましたが、貿易や国際物流には保税というものがあります。保税とは国内にありながらも、外国の貨物の扱いとなっている状態のことです。 詳しくは「保税の基礎」という動画で詳しく解説していますので、そちらをご覧ください。 この保税状態になった貨物を保管出来る場所は決まっていて、保税地域と呼ばれます。今回は保税地域の目的と機能を、詳しく見ていくことにします。 それではいってみましょう! 5つの保税地域 まず保税地域には、機能と目的によって次の5つの種類があります。 ・ 指定保税地域 ・ 保税蔵置場 ・ 保税工場 ・ 保税展示場 ・ 総合保税地域 今回説明している内容は日本の関税法に基づいたもので、他国の場合は名称や制度が異なりますのでご注意ください。 一つずつ見ていきましょう。 指定保税地域 まずは指定保税地域です。指定保税地域は国や地方公共団体などが所有し管理する、土地および建物などの 公共施設において、日本では財務大臣が指定した場所です。 この保税地域が国際物流で必ず利用される、コンテナヤードのことで、船から積み下ろした外国貨物を一時保管することが出来ます。また税関手続の簡素化、迅速化のために、各地の税関の近くに設置されています。 保税蔵置場 次に保税蔵置場です。保税蔵置場とはフォワーダーなどの自社の倉庫や貨物施設で、税関庁の許可を受けた施設です。いわゆる保税倉庫や上屋等がこれにあたります。 主に貨物の搬入、積み下ろし、保管を目的としています。輸入の場合、保管をしている期間は関税はかかりません。この場所で貨物を仕分けをしたり、ラベル貼りや簡単な作業をすることも出来ます。 保税工場 保税工場は、外国貨物の加工・製造ができる保税地域です。主に加工貿易をするために使用されます。輸入した原材料には税金はかからず、保税工場で加工を加えて再輸出をする事が出来ます。 魚介類の缶詰、菓子、鋼材、電線、船舶、自動車、精密機械など、様々な分野の製品が保税工場で生産をされています。 私が活動しているタイにおいては、FreeZoneと呼ばれる保税地域内に工場があります。国によってはこのように保税工場というものはなく、FreeZone内の工場として存在していると思います。 保税展示場 保税展示場は、外国貨物を展示する会場とされています。 外国貨物を関税を課さずに展示できる場所で、国際的な博覧会や商品の展示場として利用され、簡易的な通関手続で貨物を展示保管する事が出来ます。 もし この保税展示場を使用しない国際展示会であれば、再輸出免税制度やATAカルネを使用して免税手続きを取らなければいけません。 総合保税地域 総合保税地域は、保税蔵置場、保税工場、保税展示場の3つの保税地域の総合的な機能を持っている保税地域とされています。 日本では中部国際空港や横浜国際流通センターなどがあります。 まとめ 今回は保税地域について説明をしました。貿易の初心者の方は、まず大まかに保税地域にはそれぞれ目的と機能があると理解して頂ければ大丈夫です。 次回は貿易において、なぜ保税が重要なのか?についてご説明をします。今回説明した保税地域の内容も関係しています。チャンネル登録がまだの方は、ぜひこの動画の終了時によろしくお願いします。 今回は以上です!ありがとうございました! ・Twitter で DM を送る https://twitter.com/iino_saan ・LinkedIn でメッセージを送る https://www.linkedin.com/in/shinya-iino/ お問い合わせは「ツイッター」と「LinkedIn」のみで承っております。

国際物流における「保税の基礎」 | 輸送・ロジスティクス

国際物流における「保税の基礎」

国際物流における「保税の基礎」について動画で解説 どうもこんにちは、飯野です。 今回は国際物流における「保税の基礎」について解説をしてきたいと思います。 輸出入で取り扱う貨物は、船や飛行機に載せられる前、また輸入地に到着した後に「保税」という状態になっています。 国際物流の初心者にとっては、この保税という状態が分かりにくいかと思いますが、今回は保税にまつわる 名称、地域、目的について基礎的な知識を解説していきたいと思います。 それではいってみましょう! まず輸出入の流れを理解する 保税とは何かを理解する前に、貨物の輸出入の流れを見てみましょう。 まず輸出手続の流れはこのようになっています。 ・国内貨物を特定の場所(保税地域)に搬入する
 ・通関で輸出申告を行う
 ・外国貨物として船もしくは飛行機に搭載する
 ・海外へ運ぶ このように、国内貨物を輸出者から引き取り、指定場所に運んでいます。 続いて、輸入の流れを見てみましょう。 ・外国貨物を船・飛行機から積み下ろし、ターミナル・上屋に搬入する
 ・通関で輸入申告を行う
 ・国内貨物として届け先へ配送する このような流れになります。 国内にあるけれども外国貨物? この時のポイントは、通関手続きをしたときに対象の貨物が、 ・輸出の場合は国内貨物から外国貨物の扱いとなり ・輸入の場合は外国貨物から国内貨物の扱いとなることです。 例えば、タイから日本に海上輸送する場合で、港で輸出通関をすると 貨物は物理的にはタイ国内にあるけれども、「外国にある」という扱いとなります。 もちろん海上輸送中も外国貨物扱いです。そして貨物が日本に到着して、輸入通関されるまでの一時保管されている間も外国貨物の状態です。 そして輸入通関が完了すると、その貨物は日本の貨物として扱われることになります。 保税・内貨・外貨・保税地域とは? 合わせて名称も説明しましょう。 先ほど説明したように、貨物が国内にあるけれども、外国貨物という状態を「保税」といいます。そして国際物流の業界では、国内貨物は「内貨」と呼ばれ、外国貨物は「外貨」と呼ばれます。 貨物自体は変わりませんが、輸出入の通関許可を受けた時点で、呼び方と扱いが変わります。通関手続きが保税におけるターニングポイントということです。 貨物を内貨から外貨扱いにすることで、国内にありながら外国貨物の持ち込み・保管が出来る「保税状態」になるのですが、それを保管出来る場所のことを「保税地域」と呼びます。 外国貨物は、原則保税地域以外に置くことはできません。その為、輸出入時に外国貨物扱いとなっているものは、保税地域に置かれなければいけません。 まとめ 国際物流のプロセスにおいて、貨物は必ず保税状態になります。そして貿易にはこの保税状態を利用した、様々な製造やサービスがあります。 その為には別の動画で説明する、保税地域や保税輸送というものを理解して、上手く使わなければいけません。 保税のテーマについて随時更新をしていきますので、チャンネル登録がまだという場合はこの動画の終了時に是非とも登録ボタンを押して下さい。 今回は以上になります!ありがとうございました! ・Twitter で DM を送る https://twitter.com/iino_saan ・LinkedIn でメッセージを送る https://www.linkedin.com/in/shinya-iino/ お問い合わせは「ツイッター」と「LinkedIn」のみで承っております。

2021年6月物流ニュース | 物流ニュース・物流ラジオ

2021年6月物流ニュース

どうもこんにちは飯野です。 本日は2021年6月分の物流ニュースをお届けします。6月に報道された物流や海運に関するニュースをまとめてみました。 物流に興味がある方、物流関係者の方に役立つ情報を厳選しておりますので、物流のニュースをご覧になった方も、ご覧になっていない方でも分かるように解説していきたいといます。 それでは、いってみましょう。 「2021年1月から3月期 コンテナ船社、記録的な好決算」 主要コンテナ船各社は最高益を大幅に更新し、記録的な決算内容が発表されました。 例年1-3月期はコンテナ輸送の閑散期にあたり、赤字計上する船会社もありますが、今期はコロナ禍の反動で各社とも異例の過去最高益を記録しました。運賃の値上がりが影響し、売り上げ、利益ともに倍以上という驚異的な数字となりました。 船社最大手マースクは売上が前年同期比31%増となりました。40フィートの平均運賃は35%上昇する一方で燃油価格は3割弱も下落したため、4半期の利益額は過去最高となっています。 その他船社各社も大幅増益し、仏のCMAーCGAも前年同期の倍増、中国のCOSCOシッピングホールディングスも売上高がほぼ倍増。その他これまで赤字決算だった台湾のエバーグリーンや陽明海運、韓国HMMも黒字転換し、最高益となり活況をみせています。 「北米航路の混雑、港湾から内陸へシフト。シャーシ不足が深刻化」 昨年から北米航路が混雑し、貨物滞留を引き起こしていますが、その混雑している場所が北米西岸から内陸部へと変化しています。 これまで、北米航路は西岸港湾で沖待ちコンテナ船が40隻超えと港湾に混雑が集中していました。現在は港湾から内陸部にシフトしており、急増する貨物への対応が悪化しているとのことです。 内陸部の中継地点であるシカゴの各鉄道ターミナルに貨物が滞留しており、引き取りに時間がかかっています。 米国の鉄道ターミナルでは一般的にシャーシにコンテナを載せた状態で平置きで運営しています。この方法だとトラックはヘッドだけで来てその後はすぐに、ピックアップできるなど利点が多いのです。 しかし、コンテナの急増やシャーシ不足からコンテナを直置き・段積みに変更せざるを得ない状況になっています。その結果コンテナを直置きしたものの、最終的にはシャーシに載せての輸送になります。シャーシオペレーションの手間が増えたこともあり、貨物滞留を引きおこしています。 シャーシ不足は深刻で船会社はコンテナとシャーシの早期返却を荷主に呼びかけています。 「北米東岸、欧州のコンテナ運賃高騰。塩田港の影響か」 中国・上海航運交易所が発表した上海発北米向けのコンテナ運賃は西岸向けが40フィートコンテナ当たり4,658ドル、東岸向けが8,554ドルとなりました。 西岸向けは2週間ぶりに下落しましたが東岸向けは最高値を更新しました。また北欧州・地中海向けは20フィートコンテナあたり6,000ドルを突破するなど、値上がりが続いています。 これは中国の塩田港の混雑が運賃上昇に影響を与えているようです。 中国の塩田港では港湾遅延が深刻化しており、周辺港の蛇口、南沙港にも波及しており、輸出コンテナの搬出制限が行われています。2021年6年10日時点で、本船遅延は15日程度となっています。 塩田港は新型コロナウイルスの感染者が発生し、検疫が強化されターミナルの処理能力は通常の約3割に落ちこんでいるといいます。そのため船社各社は塩田港の抜港や寄港地変更で対応しています。 この混雑が主にスエズ運河経由の欧州向けや北米東岸向けのサービスに影響を及ぼしており、需要が逼迫している中で運賃高騰に拍車がかかりそうだとのことです。 「マースク社、脱炭素化に向け新サービス Co2排出量測定ツールを提供」 マースクは顧客のサプライチェーン全体で排出されるCo2を測定できる、排出量ダッシュボードの提供を開始しました。 これは顧客が自社製品の輸送にどれだけCo2が排出されているかを分析する装置で、1つの輸送モードだけではなく、船舶、トラック、飛行機などの輸送モードごとのドアツードア全体の排出量を測定できます。 既にマースクの顧客10社が試験的に利用し、その結果をマースクにフィードバックしたことで、今回の本格的な提供開始となりました。 「アメリカ小売大手 ホームデポ、コンテナ船をチャーター、自社輸送へ」 コンテナ船輸送が逼迫している中、荷主がついにコンテナ船をチャーターする動きがでてきました。 アメリカ小売り大手のホームデポは、7月自社輸送を開始するこのことです。アメリカ アマゾン社が航空輸送網を整備するなど、荷主も自ら輸送手段の確保の動きがありますが、コンテナ船をチャーターするのは極めて珍しいことです。 アメリカ海運専門誌がまとめた2020年のアメリカコンテナ輸入企業ランキングによると、ウォルマート、ターゲットに次いで3位。消費財関連の需要が高いです。 コロナ禍の巣ごもり需要で小売業の需要は急拡大し、消費需要はこれから繁忙期に突入することもあり、ホームデポでは輸送スペース確保に乗り出したようです。 「クリスマス商戦に影響が?中国の港の滞留で出荷ラッシュに混乱」 続いては、アメリカからのニュースです。 中国の塩田港の滞留により、世界のサプライチェーンがさらに混乱すると言われています。 ロサンゼルス港とロングビーチ港は1日平均30隻のコンテナ船が貨物の搬入を待っています。パンデミックによって引き起こされた世界的サプライチェーンの混乱は、消費者にとっては数週間に及ぶ配達の遅れを意味しています。 年末の輸入のピークシーズンは8月となっていますが、今期は需要が過度に多く、船のスペースや空のコンテナの供給が極端に不足しており、7月初旬に本格化すると予想されています。 それでもなお混乱は続きクリスマスの買い物リストに影響を与えるかもしれないと、デンマークの海洋コンサルティング会社のCEOは予想しています。 「利益率の低下や過剰在庫などのブルウィップ効果発生の危険性」 パンデミックからの急回復をめざす会社にとって危険な、ブルウィップ効果が現れる危険性が指摘されています。 このブルウィップ効果とは、企業が需要の急増に対応するために、必要以上の製品を発注して、需要の継続的な増加に備えたり、在庫切れを回避したりする現象のことです。 その需要の歪みはサプライチェーンの各段階を経るごとに増幅されていき、その結果、消費者の現実的な需要とはかけ離れ、過剰在庫を引き起こし、利益率を下げることになり、せっかくの経済回復の足を引っ張ることなります。 3月の企業在庫の売上高に対する比率は全体で1.23で、1992年から考えると最も低い数字になっています。そのため大量発注をしてブルウィップ効果の犠牲にならないようにと、警鐘を鳴らしています。 まとめ それでは今回のニュースの解説のコーナーです。 6月では中国の塩田港の混雑が話題になりました。ニュースで解説したようにコロナによる感染対策で港の処理能力が大幅に落ちたことが原因でした。 現在 先進国の各国でワクチン摂取が進んできていますが、まだまだ逼迫した状況で、一つの港でこのように問題が発生するとサプライチェーン全体に影響する状態です。 それは港湾だけでなく、アメリカの内陸はシャーシ不足という問題で物流の目詰まりが発生してきました。更にクリスマス商戦の為のアメリカ輸入が7月初旬に早まるとも予想されています。 今後のワクチン接種の状況やクリスマス需要を考えると、コンテナ不足問題は年末まで解消しない恐れもあります。 それに伴い、ホームデポがコンテナ船をチャーターするという動きをとりました。ここまで海上運賃が上がりスペースが取りにくい状況ですので、超大手荷主ならではの力技です。 Amazonも航空輸送を整備しているとのことで、これからは荷主が自らアセットを持つ時代が来るかもしれません。非常に興味深いニュースでした。 そしてマースクのCO2排出量測定ツールの提供。現在、世界で進められようとしている脱炭素の動きに燃料だけでなく、こういう形で差別化を図ろうとしてくるのは、流石コンテナ業界のNo.1だと思いました。 海上輸送だけでは差別化が非常に難しい業態です。アセットを持つ船会社がこのような動きを取ったのは良い傾向だと思いますし、貨物を運ぶ周辺でこのようなサービス提供が出来ると私自身も非常に勉強になりました。 今回の物流ニュースはいかがだったでしょうか。物流の今が理解できたのではと思います。今回参考にしたニュースのソースは概要欄にリンクを張っておりますので、詳しくはそちらをご覧ください。 現場からは以上です!ありがとうございました。 ・Twitter で DM を送る https://twitter.com/iino_saan ・LinkedIn でメッセージを送る https://www.linkedin.com/in/shinya-iino/ お問い合わせは「ツイッター」と「LinkedIn」のみで承っております。

貿易における環境保護条約について | 物流コラム

貿易における環境保護条約について

どうもこんにちは。飯野です。 本日は貿易における、環境保護を目的とした国際ルールについてお話をしていきたいと思います。 国と国とをまたいで取引をするのが貿易です。各国の法律・ルールが異なる企業同士で取引をするにあたり、守らなければいけない環境保護に関する国際条約があります。 このような条約がないと、地球の生態系や環境破壊を気にせずに 利益追求だけを考える企業が現れてしまいますので、貿易において環境保護は外せないテーマなんです。 それでは、いってみましょう。 ワシントン条約 まずはワシントン条約です。 ワシントン条約は絶滅危惧種を保護するための国際条約で1975年に発行され、世界で約170国が加盟しています。この条約で保護されている身近な例を挙げますと、象牙のハンコや、ワニやヘビなどの革製品、鷹や虎の剥製などがあります。 商業目的のための過度な取引を防止し、種の絶滅の恐れがある生物をリストアップし、程度に応じて国際取引の規制をしています。 養殖されている経済動物であったとしても貿易取引には許可申請が必要です。CITESという書類を輸出国側で発行し、日本であれば経済産業省に事前に許可申請をして、許可が降りたら輸入が出来るようになります。 ワニ革をCITESで申請 私も以前にタイの地方にいる業者さんから、養殖のクロコダイルが増えすぎて困ってると相談を受けて、クロコダイルの革製品の取引をしていた時があります。 その時の書類申請は慣れてしまえば手間としては問題ありませんが、やはり役所が関係することなのでスケジュール通りにはいかない事が多かったです。 正規の方法を取らずに輸入する 競合の個人事業主も結構いましたので、高価なワニ革製品を税関で没収になるケースもあったかもしれません。 生物多様性上約 一緒に覚えておきたいのが生物多様性条約です。 ワシントン条約は絶滅危惧種の保護を目的とするものですが、生物多様性条約は1993年に発行され、世界で約194カ国・地域が締結し、生物の多様性の保全や、生物資源の持続可能な利用などを目的とするものです。 生物の多様性の保全に必要なのは、外来種の侵入防止が重要です。日本においては外来生物法で被害を及ぼす恐れがある生物を特定外来種に指定し、飼育や栽培、輸入などを規制しています。 外来種ブルーギルによる影響 日本において外来種で有名なのはブルーギルかなと思います。滋賀県の琵琶湖ではブルーギルが急増したことにより、モツゴという魚の 卵や稚魚・成魚が捕食され激減したというレポートもあります。 特定の地域の生物が 外来種によって絶滅の危機に晒される恐れもありますので、どんな生物であっても自由に国をまたいで取引や輸入されるものではりません。 バーゼル条約 そしてバーゼル条約です。 バーゼル条約とは有害廃棄物の国境を越える移動、及びその処分の規制に関する条約で、1992年に発行されました。 この条約が締結された背景としては、1980年代に欧米などの先進国からの廃棄物がアフリカの開発途上国に放置されて、環境汚染が生じるなどの問題がありました。 何の事前の連絡・協議なしに有害廃棄物の国境を越えた移動が行われ,最終的な責任の所在も不明確な状態でしたので、アフリカの国からしたらとんでもないことです。 有害物質の種類 有害物質の例として、水銀、鉛、ヒ素、ダイオキシンなどがあります。再生利用を目的としたスクラップの取引にはこれらの有害物質の含有に注意が必要です。 例えば、ブラウン管、使用済みのニッケル・カドミウム電池、電子部品スクラップ、金属含有のスラッジなど。これらを取り扱うには輸出入にも各関係局からの事前許可が必要です。 輸出側からの書類を入手し、運搬業者や処理業者のリストを含めた情報を日本だと経済産業省に申請をします。具体的な書類の内容は経済産業省のHPにも載っていますし、わかりやすい資料のリンクを貼っておきます。 マルポール条約 海洋汚染を防ぐための国際条約もあります。それがマルポール条約です。 この条約は船舶の運航や事故による海洋汚染を防止するための条約で1973年に採択され、油類はもとより、バラ積み有害液体物質、梱包して輸送する有害物質、汚水および廃棄物のすべてが規制の対象とされています。 LSSチャージ この条約の中で、船舶燃料に含まれるSOx(硫黄酸化物)の濃度を抑制する規制が2020年に改定されました。これはPM2.5による大気汚染、人体の健康被害への対策です。 船舶燃料を低硫黄のものを使用することで、PM2.5を発生させないようにする為の決まりですが、その影響でローサルファーチャージが海運業界では発生するようになりました。 このローサルファーチャージについては別の動画で詳しく解説をしていますので、リンクを貼っておきます。 SOLAS条約 最後に海上人命安全条約のSOLAS条約です。 SOLAS条約とは、1912年のタイタニック号の海難事故を受けて制定された、船舶の安全確保を目的とする国際条約です。環境保護とは少しテーマが離れますが、貿易実務に関連する内容なのでご説明したいと思います。 貿易においての船舶の安全を確保するという意味で、コンテナの総重量を管理する必要があり 荷主はコンテナの総重量を正しく申告する義務があります。その総重量の確定方法がVGM(Verified Gross Mass)として2016年にSOLAS条約で制定されました。 沢山貨物をコンテナに積み込んだほうが荷主としては輸送効率が上がります。コンテナの積載可能重量は各国の道路交通法にも基づいて決まっていましたが、意図的にコンテナ重量を虚偽申告したり、また総重量を正しく測定する方法が分からず誤申告をしたりで、コンテナの荷崩れの事故が発生していました。 重たいコンテナを船の高い位置に置いてしまうと、バランスが悪くなり荷崩れが起こってしまいます。その為に VGMというルールが組み込まれ、現在ではカットオフ前に正しい総重量を申告することになっています。 先日更新したニュースの動画でも、SOLAS条約が改正される予定であるとお伝えしました。自動運航船を安全に運行する為のルール追加ということでしたが、このように時代が変わるにつれて条約は改定されていきます。 まとめ それでは今回のお話をまとめましょう。 昨今では温室効果ガス削減をはじめとする環境対策が注目を浴びております。今回ご説明したように貿易にも環境に関する各種の国際条約の制限を受けるようになっています。 貿易で環境に関する条約は、ワシントン条約、一緒に覚えておきたい生物多様性条約、バーゼル条約、マルポール条約などがあります。また船舶の安全を確保するSOLAS条約についても今回はご説明しました。 貿易実務者としては、自社がこれから取り扱おうとしているものが、特定の条約・規制を侵害するものではないかをしっかりと確認しなければいけません。 規制は時代によって変わります。 特にこれからの時代は 環境に対する規制は更に強まっていくと思いますので、まず貿易には環境保護に関連する条約があることを知り、実務では各法規制や基準を守りながら商取引をしていかなければいけません。 これからもこのチャンネルで貿易について一緒に学んでいきましょう。今回のお話は以上になります!ありがとうございました! ・Twitter で DM を送る https://twitter.com/iino_saan ・LinkedIn でメッセージを送る https://www.linkedin.com/in/shinya-iino/ お問い合わせは「ツイッター」と「LinkedIn」のみで承っております。