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2020年7月

危険品の輸送について解説!SDSの確認点・危険品クラス・UN番号などを理解して海上・航空輸送をスムーズに手配しましょう。 | 輸送・ロジスティクス

危険品の輸送について解説!SDSの確認点・危険品クラス・UN番号などを理解して海上・航空輸送をスムーズに手配しましょう。

「危険品の輸送」と聞いてどのようなことをイメージされるでしょうか? 危険なものを運ぶの? そもそも運べるの? 実は危険品にはいろんな種類があって身近な製品に使われているのも危険品だったりします。 一般的に危険品といって思いつくものは人によって違うと思います。爆薬やライターなどを思いつくかもしれません。それらももちろん危険品なのですが、今回は国際輸送上で危険品と扱われる物はどんなものか見ていきましょう。 危険品の輸送を動画で解説 危険品について まず私が取り扱った危険品を思い返してみました。 車のエンジン、車のバッテリー、エンジンオイル、接着剤、ドライアイス、圧力タンク、ノートパソコン(リチウムイオン電池)、スプレー缶、バーベキュー用木炭、塗料など これらを見て意外な物は含まれていませんか? まず大事なことは初めて輸送する貨物が危険品に該当する物ではないかと疑ってみることがです。 もし危険品を通常貨物として輸送してしまうと、航空機や船の運航に影響をあたえたりトラブルがなくても罰金が科せられることもあります。例えば米国では最高27,000ドルの罰金とされています。 もしかしたら危険品かもしれないと思った場合は、フォワーダーに確認してみましょう。 UN番号と危険品クラス 危険品を国際輸送する場合は国際的に決められた規則があります。 国連で「危険品輸送にする勧告」(通称オレンジブック)で定められたルールにのっとって輸送します。 危険品にはすべて国連番号(United Nation Number)という番号が付けられており通称でUN番号・UNナンバーと呼ばれております。 それらを危険度別に1から9までのクラスに分類しています。 危険品のクラス 1. 火薬類: 花火、発煙筒など 2. 高圧ガス: 燃料ガスボンベ、消化器、スプレー缶など 3. 引火性液体類:ガソリン、灯油、塗料など 4. 可燃性物質類:活性炭、マッチ、硫黄など 5. 酸化性物質:漂白剤、過酸化ソーダなど 6. 毒物類:殺虫剤、農薬など 7. 放射性物質類:核燃料物資など 8. 腐食性物質:蓄電池、水銀、硫酸など 9. 有害性物質:リチウム電池、ドライアイス、磁石など こういったものが危険品とされるのです。 危険品は船会社や航空会社それぞれ載せられるものが決まっており、載せられるものでも量が決まっています。しかも それぞれの会社によって規定が違うのです。 そのため事前に船積みできるかどうか確認しなければなりません。 一般的に航空会社は船会社よりも厳しい規定を適用しています。UN番号で問い合わせすれば、積載できるかどうかを教えてもらえます。 このように覚えておきましょう。 危険品を取り扱う時の事前準備 危険品を実際扱うとなると、船会社、ヤード、港湾、通関業者すべてにSDSを送付し、コンテナ危険品明細書(通称赤紙)などを事前に提出します。そして貨物を安全に取り扱うための指示をだします。 その他にも貨物へ貼るラベル、ケースマーク、包装容器の種類など細かい規定がいろいろあります。また、その輸出入地それぞれの国の危険品の規制があります。運送上の経由地である積み替え港でも適用されることがあります。 そのため現地にもSDSを送り事前に連絡しておく方が後々のトラブルになるのを防げます。 SDSとは? そのUN番号、9つのクラスはどうやって知ることができるのでしょうか。SDSという書類にのっています。SDS(Safety Data Sheet)は安全データーシートというもので、化学物質が含まれる製品に発行されるものです。 以前はMSDSという名称でしたので、現在では両方使われています。SDSは化学物質のメーカーや製造者が発行し使用者に渡されるものです。国際物流では必要になる書類なので必ず取り寄せなければいけません。 どこで入手するのか SDSは製造者やメーカーのホームページでダウンロードできたり、電話やメールで問い合わせすればすぐに送ってもらえます。英文のものが必要です。一部、中国に輸出する場合は中国語が必要になる場合があります。 SDSの記載事項 SDSに記載されていることは、製品の取扱方法からもし漏れたときの対処方法や有害性の情報などがのっており16項目に分かれてます。 9項の危険品情報では引火点が書いてあります。航空貨物でも海上貨物でも必要な情報です。14項の輸送上の注意の欄では、日本の消防法などの分類と国際規制について書かれています。 そこには先ほど出てきた積載できるか確認するための番号UN番号と9つのクラス等が書かれています。 危険品の通関ついて 危険品の通関で気をつけることは危険品はフリータイム(貨物が無償で保管できる期間)がとても短いため、通関を急ぐ必要があるということです。 また危険品はもし通関にトラブルがあり許可が遅れてしまうとスケジュールが大幅に遅れてしまうだけでなく、デマレージの金額が跳ね上がってしまいます。 早めに準備をしてSDSの内容をきちんと確認して通関準備には時間をかけましょう。 危険品の国内輸送について 輸送時、保管時に気をつけることは、国際輸送するからといってオレンジブックに定められた国際規定だけを気にしてはいけないと言うことです。 日本の国内に貨物がある場合は、日本の毒劇物取扱法、消防法、高圧ガス保安法などの規定に準じた取扱をしなければなりません。 例えば通常のコンテナヤードには一時保管はできるものの、長い保管はできない為その危険物を取り扱うことができる倉庫に保管しなければなりません。 その保管倉庫では消防法が適用されます。トラックで輸送する場合は毒マークをつけたりもします。 まとめ 危険物を安全に輸送するためには、いろいろな規定があることがわかっていただけましたでしょうか。なかなか普段から危険品を扱っていないと、危険品を輸送するのは大変です。 危険品を輸出入するためには、危険品への知識をもったフォワーダーに依頼し、専門の業者と協力して取り扱うことをおすすめします。

特定原産地証明書の取得方法について解説しました!EPAに使われる原産地証明の申請・発行のタイミングなど。 | 輸送・ロジスティクス

特定原産地証明書の取得方法について解説しました!EPAに使われる原産地証明の申請・発行のタイミングなど。

貿易での商取引で意識することの1つに関税があります。これにより製品の代金が関税により上がってしまい、輸入後に価格面での競争力がなくなってしまいます。 それを避けるために特定原産地証明書を使うのですが、これにより協定を結んでいる国同士であれば特恵税率という関税が無税・減税というメリットあります。 今回はこの特定原産地証明書の取得方法する方法について解説したいと思います。 関連するブログへのリンクを貼っておきますのでご一読いただければ理解がより深まると思います。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/epa/?lang=ja" target="_blank"] [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/certificate-of-origin/?lang=ja" target="_blank"] [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/normal-co/?lang=ja" target="_blank"] 一般の原産地証明書と特定原産地証明書の違い まずは原産地証明書の違いについてお話したいと思います。一般に原産地証明書といわれるものは貨物の原産地を証明するためのもので、輸入国の法律や規則に基づく要請や契約や信用状で指定がある場合に提出します。 一方、今回のテーマである特定原産地証明書は日本が締約する「EPA経済連携協定」に基づくものです。協定によって決められた特恵関税の適用を目的としているものです。 各地の商工会議所ではありません。ここが違うポイントとして重要なところです。 発給機関の違い ・一般の原産地証明書:各地の商工会議所 ・特定原産地証明書:日本商工会議所 各地の商工会議所と、日本商工会議所 発行機関が「各地の商工会議所」か「日本商工会議所」か、字面で見ると大して違いが無いように思えてきますが実際は全く異なる機関です。 もし一般の原産地証明書の取得のために各地の商工会議所で貿易登録をしていたとしても、特定原産地証明書を取得するためには改めて日本商工会議所にも貿易登録をしなければなりません。 例えば日本商工会議所の名古屋事務所が名古屋商工会議所の中にあるように両者の距離感が近いので勘違いされやすいのですが、日本商工会議所への貿易登録が済んでいなければ発行は決して叶いません。 特定原産地証明書の取得が必要となりそうな場合には必ず事前に貿易登録をしておくように忘れないでください。 EPAの規定などを確認する 日本商工会議所への貿易登録を済ませ、輸出しようとする産品のEPA税率の有無と税率を確認しします。そして、それぞれのEPAに定められる原産地規則に基づいた原産資格があることをちゃんと確認できたら日本商工会議所に判定審査を依頼します。 ちなみにこのように、「産品がそれぞれEPAに定められる原産地規則等を満たしている」とその産品は特定原産品と呼ばれます。 申請は窓口ではなくインターネットで 原産品の判定を依頼するためにはオンラインの専用システム「特定原産地証明書発給システム」から「原産品判定依頼書」を入力し日本商工会議所に提出をします。 特定原産地証明書関連の申請は一般の原産地証明書とは違って、窓口申請ではなくインターネットでの申請ができるのです!これはとても便利ですね。 日本商工会議所が原産品判定に関して必要な情報を受理してから原産品判定番号を付与するまでの期間は、原則3営業日かかります。なるべく早く済ませるようにしましょう。 特定原産地証明書の取得 ここまで完了しましたら後は輸出する産品に対する特定原産地証明書を取得します。こちらも原産品判定の依頼と同様オンラインシステムから申請可能です。 日本商工会議所が証明書発給に必要な情報を受理してから審査結果を通知するまでの期間は、原則2営業日かかります。 何かと日にちのかかる申請ですので余裕をもって準備してください。 発給手数料 発給時には交付と引き換えに発給手数料を納付する必要があります。基本料は申請1件につき2,000円、加算額は1品あたり500円です。 原産品判定番号の使用が20回を超えると21回目から50円になります。 ★特定原産地証明書の発給手数料 ・2,500円(1回目~20回目) ・2,050円(21回目以降) 発給審査が完了しますとシステムから発給申請一覧で発給手数料を確認することができます。 納付方法 発給手数料は原則、発給事務所の窓口で交付と引き換えに納付します。こちらはチケット制ではなく現金で支払うことができます。事務所が遠い場合は銀行振り込みも認められていますし、月当たりの件数か金額が多い場合は後日振り込み払いとすることもできます。 ご自分の都合に合わせて確認してみて下さい。 特定原産地証明書の受け取り 原則通り手数料を窓口で現金払いする場合にはシステムから「引換書・受領書」を印刷し、窓口へ出向いて引換書の提出とともに現金で納付すれば完了です。 発給申請は輸出者しかできませんが引換は代理でも問題ありません。 多少の手数料が取られるとは思いますがわざわざ足を運ぶ手間が減りますし、そのまま現地への発送も依頼してしまえばより楽かつタイムリーな手配になります。 申請のタイミング 申請は船積みが確定してから船積みまでが原則とされています。船積みが確定というのは曖昧な表現ですがおススメはBLの内容を確認してからです。 というのも、原産地証明書にはBL番号を入力することこそありませんが船積み地や便名などの情報も入力しなければならないからです。 特定原産地証明書の取得には例外もあり ここでざっとお話しましたことは特定原産地証明書の一般的な流れです。実際は協定ごとに異なる原産地規則がありますのでそれぞれの協定に基づく形で発給されます。 例えば、日シンガポール協定に基づく特定原産地証明書のうち、ビール等4品目に対する証明書に限り一般の原産地証明書と同じように各地の商工会議所で発行されます。 また日オーストラリア協定は自己申告制度が導入されていますので、輸出者、生産者さらには輸入者が原産品申告書を作成することが可能です。原産品申告書は税関様式に則ったフォームであれば問題ないので、この場合は特定原産地証明書を取得する必要がありません。 代わりに原産品明細書が必要だったり事前教示が勧められたりしていますので、一概にどちらが楽と言えるものではなさそうですが輸出者輸入者の双方にとってメリットのある方法を選ぶことができます。 まとめ 特定原産地証明書の取得の流れにつきましてご理解いただけましたでしょうか。 EPA自体、この数年で始まったものですので、これからまた規則が変わることは十分に予想されます。特定原産地証明書の取得が必要な方はいつも最新の情報をチェックしておくようにされると良いでしょう。

一般原産地証明の取得方法について!原産地証明を商工会議所で入手する方法について詳しく解説しました。 | 輸送・ロジスティクス

一般原産地証明の取得方法について!原産地証明を商工会議所で入手する方法について詳しく解説しました。

貨物を外国に輸送する時、貿易では原産地証明書を取得する場合があります。そして輸出で取得する原産地証明書は大きく分けて「一般原産地証明書」と、EPA経済連携協定に基づく「特定原産地証明書」の2種類があります。 どちらも「原産地証明書」という名称が含まれていますので不慣れな方は混同しがちだと思いますが取得目的も効果も大きく違います。 一般原産地証明 対象国:全世界 目的:輸入国側の法律や規則で必要。貿易取引の契約書や荷為替信用状(L/C)を運用 申請方法:窓口による書類申請 特定原産地証明 対象国:日本と経済連携協定を締結している国と地域 目的:EPA経済連携協定に基づき関税の優遇を受ける 申請方法:インターネットでの電子申請 どちらの原産地証明書を取得しようとしているかで、企業登録方法や申請手続もかなり変わってきますので、初めて取得をしようとするときにはご自分がどちらの証明書を求められているかをしっかりと確認してください。 今回は一般原産地証明書の取得方法について解説したいと思います。 特定原産地証明の取得方法は以下のリンク先の別記事にて解説していますが、それぞれに違いがありますので混同されないようにご注意下さい。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/epa-co/?lang=ja" target="_blank"] 原産地証明書とは? まず原産地証明書とは何かを簡単にご説明します。原産地証明書とはその名の通り、取引の対象となっている物品が特定の国又は地域で生産又は加工をされたことを証明する書類のことです。 貿易では基本的に関税を低くするために取得されることが多いです。英語では「Certificate of Origin」と表記されます。英文では「Cert」や「C/O」と略して呼ばれることもあります。 原産地証明書は輸出者が手配します。輸入の場合であれば輸出者から原本を入手するだけで基本的にはOKですので、取得方法は主に輸出者に関係する作業となります。 原産地証明書の全体像についてはこちらに記載をしました。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/certificate-of-origin/?lang=ja" target="_blank"] 一般原産地証明 さて以下に一般原産地証明書の取得方法について詳しく説明をしてきます。 一般原産地証明が必要とされるケース ・輸入国側の法律や規則で必要とされている場合 ・貿易取引の契約書やL/C(Letter of Credit)を使用するのに要求される場合 商工会の窓口のみで入手可能 一般原産地証明書は各地の商工会議所で窓口での書面申請により発給を受けることができます。郵送やメールで対応してくれる商工会議所は今のところ聞いたことがありません。 原産地証明書が必要とされる取引を開始する前に忘れずに商工会議所への登録を済ませて下さい。 さらに原産地証明書は原本でないと効果を発揮しません。 なので事前に原産地証明書用紙も商工会議所で購入しておきます。地域によって価格に違いはありますが窓口で100枚綴り500円程度で販売されています。 一般原産地証明の取得手続き さて船積が確定しましたら原産地証明書の発給手続きを始めます。各商工会議所のHPに印刷用のフォームがありますのでそちらに入力し、先ほど説明しました証明書用紙に印刷すると良いでしょう。 サインを除いてすべての記載事項を黒字または青字で英文で記載します。 記載ミスに注意 詳しい記載内容はここでは省略いたしますが、一字一句、決して間違いの内容に記載して下さい。窓口で申請する際にはかなり細かくチェックされます。 少しの間違いもないか何度も確認をしてから印刷をするようにしましょう。 サインも正確に 無事に記載事項が証明書用紙に印刷できましたら、サインを入れます。このサインは先に述べました貿易証明登録の際に商工会議所へ提出したサインでなければなりません。発給の際には登録のサインと相違がないかをしっかりとチェックされています。 少し自体が崩れているというだけで発給が不可となるケースもあります。なので他人の筆跡を真似てサインをしてもまず間違いなく見破られますので必ずサイン登録した本人がサインします。あらかじめ複数人のサインを登録しておくと安心ですね。 本人のサインであっても、登録の際と同じようなサインが書けるように十分注意してください。 商工会議所にて申請する 書類が準備できましたら商工会議所へ持参し発給申請をします。申請の際に一部は商工会議所側での控えとなりますので、ご自分の必要な部数 プラス 一部を持参するようにしてください。 窓口は平日の日中しか開いていません。夜間、土日は対応してもらえません。また、年末年始など混み合うときは午前で申請締め切りなどイレギュラーな対応となることもあります。 持参される際には窓口の空いている時間や申請の締め切り時間をあらかじめ確認しておく必要があります。 一般原産地証明所発行の手数料 申請の際にも手数料がかかります。こちらは1件あたり1,000円程度となります。券売機で必要な手数料分のクーポン券を購入して、それを申請書類と一緒に提出するスタイルです。 喫茶店のコーヒーチケットのように、10枚の値段で11枚綴りなどお得な冊子式クーポン券も各地で発売されていますので、度々原産地証明書を申請される方は購入されても良いでしょう。 無事に審査が通りましたら発給印やサインなどの入った原本が返却されます。後は現地へ送るなどすれば輸出側の手配は終了となります。 フォワーダーに依頼 申請手順としてはこんな感じでそれほど難しいものではありませんが、商工会議所へ出向いたりするのは少し手間に感じられますよね。お忙しい方は多少手数料が取られますがフォワーダーへ依頼するのも一つの手です。 商工会議所への申請はもちろん原産地証明書の作成から引き受けてくれるところも多いので料金がかかっても手間を減らしたい方はぜひフォワーダーに相談してみて下さい。 フォワーダーに依頼する際の注意点 フォワーダーに依頼する際の注意点ですが、フォワーダーが作成したとしてもサインは必ず貿易登録通りでなければなりません。 毎回、フォワーダーが作成したものを送ってもらってそれからサインしていては逆に手間ですので100枚綴りの証明書用紙を購入し、そちらに全てサインを入れてフォワーダーに預けておくという形で進めるとスムーズです。 これを受け入れていただけるかどうかもフォワーダー次第だと思いますので要相談です。 ちなみに、このやり方にOKが出てサインを入れる際ですが100枚一気にサインを入れると手が疲れてきてしまい、後半はサインが崩れてきて商工会議所からNGが出るレベルのサインになってしまう方も時々いらっしゃいます。 まとめ 一般原産地証明書の取得手順についてざっとお話ししましたがお分かり頂けたでしょうか。窓口でしか発行してもらえない書類ということで手間な側面はありますがまとめてサインをする、フォワーダーに依頼をするなどで対応が可能です。 是非ご参考にして下さい。

冷凍鶏肉をタイから輸入したい!動物検疫・植物届けなど、食肉の輸入手続きを解説しました。 | 物流コラム

冷凍鶏肉をタイから輸入したい!動物検疫・植物届けなど、食肉の輸入手続きを解説しました。

タイ産の食品と言いますとマンゴーやドリアンなどの植物・フルーツを思い浮かべる方が多いと思いかもしれません。タイは植物だけでなくブロイラー(食肉用の鶏)の飼育量が多く日本にとって最大の鶏肉・鶏肉調製品供給国なんです。 生産量こそ米国やブラジルに比べると少ないですが、きめ細かなカットや異物混入の低減などによりシェアを伸ばし冷凍鶏肉などの合計輸出額はブラジル次ぐ世界第二位で米国と同程度にまでなりました。 そんなにタイ産の鶏肉を食べている実感はないかもしれませんが、マクドナルドのチキンナゲットはタイ産の鶏肉なんです。先日、イオンの食品売り場で売られていた鶏肉の唐揚げも原産地を見たらタイでした。身近なところにタイ産の鶏肉はたくさんあるのです。 ではこのタイ産の冷凍鶏肉をどのような手順で輸入するのか?詳しく説明していきたいと思います。 食肉の輸入について動画で解説 冷凍鶏肉の輸入概要 食肉及び食肉製品の輸入に際しては家畜伝染予防法に基づく畜産物の輸入検査と、食品衛生法に基づく食品等輸入検査を受ける必要があります。 その2つをクリアしてから税関での申告となります。一つずつ見ていきましょう。 1. 動物検疫をする まずは家畜伝染予防法に基づいた動物検疫の手続についてご説明します。 海外から家畜の伝染病の侵入を防止するため、農林水産省が動物検疫所にて家畜から作られる肉製品などの畜産物を対象に輸出入検査を行っています。この検査は量の多少・個人用・商用等の用途にかかわらず必ず受ける必要があります。 食肉は家畜伝染予防法に基づく指定検疫物です。輸入される動物や畜産物などを介して日本に家畜の伝染性疾病の病原体が持ち込まれる恐れがあるので動物や畜産物などのうち特にその可能性の高いものを指定検疫物として指定しており鶏肉もそちらに該当します。 タイでHealth Certificateを取得する 指定検疫物の輸入にあたっては輸出国の政府機関、つまり日本の動物検疫所に相当する期間が行う検査に合格し、その機関の発行した輸出国検査証明書(Health certificate)の添付がなければ輸入してはならないとされています。 難しく聞こえますが輸出国での検査や証明する事項は輸出国と輸入国の間で事前に決められておりますし、普段から鶏肉を輸出されているタイの業者さんは慣れています。輸出が決まったらこの検査証明書を輸出者より入手しておきましょう。 貨物が到着してからの手続きの流れ 貨物が日本の港に到着しましたら原則として検査を希望する日の前日までに輸入港を管轄する動物検疫所へ以下の書類を提出して検査を受けます。 検査と共に必要な書類 ・輸入検査申請書(畜産物) ・Health Certificate ・B/L ・Invoice ・Packing List 検査の結果 合格となれば「合格証明書」が発行されます。万一、伝染性疾病の病原体への汚染(または汚染の可能性)が発見されると不合格となりますが消毒後に合格となります。 動物検疫の費用概算 動物検疫検査手続きは輸出入・港湾関連情報処理システム(NACCS)を使用してできますので、通関業者へ依頼するのが一般的かと思います。 費用の大体の目安としては ・動物検疫検査申請料:15,000円〜20,000円/品目 ・動物検疫検査立会費用:10,000円〜15,000円/件 ・動物検疫検査ショートドレ-料:20,000円〜25,000円/件 *MGシャーシ利用 検査の申請や立会は頑張って自身で行ったとしてもコンテナの輸送料金などはどうしても発生しますので、鶏肉の輸入の際には十分注意する必要があります。 2. 食品届の提出 - 食品検疫 動物検疫をクリアしますと次は食品検疫が待っています。ここからは厚生労働省管轄の食品検疫所への申請となります。 マンゴーの輸入解説でもお話ししましたが個人使用目的で輸入する際には特に手続は必要ありません。自分が自宅で冷凍鶏肉を食べる場合には規制はないのです。 なのでここでは商売目的での輸入についてのお話となります。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/frozen-mango-import/?lang=ja" target="_blank"] 食品検疫の必要性 まずは食品届を厚生労働省管轄の食品検疫所に提出します。 これは食品衛生法によるもので、人体への安全性を確保し衛生上の問題発生を防止するために避けては通れません。私たちの体内に入るものなのですから当然と言えば当然ですよね。 具体的に冷凍鶏肉をどれだけの量でタイのどこの誰から輸入するのか、それには日本で禁止されている添加物や残留農薬などが含まれていないかなどを検疫所に届け出て確認を受けることで税関からの輸入許可も受けることができるようになります。 届出申請は、輸入地を管轄する食品検疫所にて行います。通関業者に代行を依頼する場合は凡そ5,000円~1万円程度の代行手数料が発生します。届出のフォームは食品検疫所のサイト内にありますので自身で申請することも可能です。 食品届に必要な書類 必要書類 ・製造工程表 ・原材料表 これらは輸出者側で用意すべき書類ですので、輸入が決まったら早めに輸出者から入手しましょう。動物検疫でも提出した輸出国検査証明書は検疫合格後に返却されますのでそれを食品検疫でも提出すればOKです。2通必要なわけではありません。 食品届は貨物到着の7日前から事前提出ができますのでなるべく早く提出するようにすると良いでしょう。 食品検疫の検査 検査の内容が自主検査指導などであった場合には輸入者は自己の負担で、登録検査機関に検査を依頼しなければなりません。 書類審査・検査の結果、違法でないと判断されると「食品等輸入届出済証」が輸入者に渡されます。 3.税関で輸入申告をする 税関申告で必要書類 1. 動物検疫の合格証明書(動物検疫) 2. 食品等輸入届出済証(食品検疫) 3. B/L 4. Invoice / Packing List これらの書類をもって申告の際に以下の税表番号も入力することで、税関からの輸入も許可されます。 冷凍ブロイラーの税率 税表番号:0207.14.220 一般関税:12% EPA関税:8.5% 決して低いとは言えない関税がかかってきますのでこちらも忘れないで下さい。EPAを使う場合には原産地証明書の入手も必要です。 鶏肉は部位によって申告内容が異なる 鶏肉は骨付きのものや一匹丸々のもの、そして肝臓などの内臓といった部位によって税関への申請が変わってきます。 まとめ タイから冷凍の鶏肉を輸入する流れはざっとこんなところです。食肉を輸入するなんてハードルが高い、と思っていた方もいらっしゃるかもしれませんが、一つ一つの手順をちゃんと踏めば実現でいることがお分かりいただけましたでしょうか。 昨今のヘルシーブームにより、鶏肉の需要は今後も高まると予想されます。安全で安心でおいしい冷凍鶏肉を輸入することで日本の人たちの健康維持に貢献出来たりします。

原産地証明書について解説!EPAやFTAで優遇される特恵関税とは? | 輸送・ロジスティクス

原産地証明書について解説!EPAやFTAで優遇される特恵関税とは?

貿易や物流の仕事を必ず出てくる書類があります。それは原産地証明書です。既に貿易に携わっている人であれば「関税を安くするための書類でしょ??」と理解されているかもしれません。 実際にはその用途としての機能が強いのですが、今回は原産地証明書の全体像からご説明をしていきます。 原産地証明書とは? 原産地証明書とはその名の通り、取引の対象となっている物品が特定の国又は地域で生産又は加工をされたことを証明する書類のことです。牛肉や水産品のトレーサビリティのために発行されたりもしますが、貿易では基本的に関税を低くするために取得されることが多いです。 英語では「Certificate of Origin」と表記されます。英文メールでは「Cert」や「C/O」と略して呼ばれることも多いので海外とメールでよくやり取りをされる方は覚えておくといいでしょう。 原産地証明が必要とされる場面 さて原産地証明書は輸出でも輸入でも必要とされる場合があります。輸出で必要とされる場合は大きく二つあります。 一般原産地証明書(非特恵) まずは非特恵の原産地証明書です。これは契約上指定されていたり、輸入国側で輸入を禁じている国で作られた物品ではないことを確認するために必要だったりします。 詳しくはこちらの記事に書きました。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/normal-co/?lang=ja" target="_blank"] 特定原産地証明書 もう一つが特定原産地証明書です。これは経済連携協定(EPA)に基づくもので、この協定を結んでいる国の輸入者は特定原産地証明書を用いることで特恵関税の適用を受けることができ一般税率よりも低い関税率で輸入ができるのです。 輸入者は協定で決められている規則を満たしていることを証明するためにこの原産地証明書が必要となり、輸出者側が発行手続きをして送ってあげる必要があります。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/epa-co/?lang=ja" target="_blank"] EPAとは? ここでEPAという単語を初めて聞いたという方のために簡単にですがご説明したいと思います。EPA経済連携協定は、特定の国や地域同士での貿易や投資を促進するために輸出入に係る関税の撤廃・削減や投資環境の整備などを約束した条約です。 EPAとFTAの違い よく似たものに「自由貿易協定(FTA)」もあります。こちらは名前の意味する通り、特定の国や地域同士での物品及びサービス貿易の自由化を定めたものです。 EPAはFTAの内容も含めつつ貿易だけではなくさらに人の移動やや知的財産、投資など様々な分野での協力を含む幅広い経済関係の連携強化を目的とする協定です。 GSP - Generalized System of Preferences 輸入の場合では輸出と同じくEPAに基づく特恵関税制度に加えて、開発途上国・地域を原産地とする鉱工業産品および農水産品の輸入については、先進国による国際的途上国支援制度があります。 経済的に発展が遅れている、いわゆる発展途上国から輸入する貨物の関税を低くして日本へ輸出をすることで、発展途上国の経済力の上昇に貢献するというこの制度はもう何十年も前から取り組まれているのです。 この時の原産地証明書を使うのですがこの原産地証明書の名称は「Form A」です。 原産地証明書の種類 EPA - 日本と経済連携協定を結んでいる国々 シンガポール、メキシコ、マレーシア、チリ、タイ、インドネシア、ブルネイ、アセアン、フィリピン、スイス、ベトナム、インド、ペルー、オーストラリア、モンゴル。 そしてEPAに基づく特定原産地証明書の書式名は、連携している国同士の頭文字を取って名付けられています。 ・Japan - Thailand: 「JTEPA」 ・Vietnam - Japan: 「Form VJ」 例えば、日本とタイであればJTEPA(JAPANとTHAILANDのEPA)、日本とベトナムであればフォームVJ(VIETNAMとJAPAN)などです。これはわかりやすくてよいですね。 FTA - ASEANの自由貿易協定 そしてASEANで締結されている自由協定には色んな種類があり、それぞれの経済協定で使う原産地証明のフォームの名前も違います。 ASEAN諸国との取引をする時はどの貿易協定が使えるのかを事前に確認しておきましょう。 GSP - 日本と後発開発途上国 日本と特別特恵受益国として指定する受益国(47カ国)を原産地とする産品については、品目により無税になる関税の優遇措置があります。 この後発開発途上国から発行される原産地証明書は「Form A」です。 原産地証明の種類のまとめ 色んな原産地証明書の種類と名前が出てきましたので、少し整理をしましょう。 1. 一般原産地証明 2. 特定原産地証明 ・ EPA - 経済連携協定: JTEPA・VJ Formなど ・ FTA - 自由貿易協定: Form AK・Form Dなど ・ GSP - 一般特恵原産地証明: Form A 原産地証明書は2種類しかありません。「一般原産地証明」と「特定原産地証明」です。 一般原産地証明は原産地を証明するだけのものなので非特恵(関税の優遇なし)です。 一方で、特定原産地証明にはEPA、FTA、GSPがあります。それらは各国の経済連携協定(EPA)や自由貿易協定(FTA)、そして発展途上国に対しての経済的な特恵(GSP)があります。 全て関税に対する特恵(無税・減税)があります。 原産地の規則 さてここで日本とタイとの経済連携協定を使って輸出入をするとします。これは日本とタイとで結ばれた協定ですのでどちらかの国で生産されてさえいれば全て関税の削減又は撤廃が認めると考えがちですが実はそうでもないのです。 EPAの原産地規則で決められている条件をクリアしなければなりません。 詳細に説明するとかなり長くなってしまいますので簡単に説明しますと原産地の基準として3つの条件が定められています。 ①日本(タイ)で完全に生産された産品であること(WO) ②日本(タイ)の原産材料のみを使用して日本(タイ)で生産された産品であること(PE) ③外国の原材料を実質的な変更をして日本(タイ)で生産された産品であること(PS) このように、かなり細かい条件となっております。輸出入が決まりEPAを使って関税を低くしようと考えた場合にはこの条件をクリアしているかをしっかりと吟味しなくてはなりません。 どこで原産地証明書を取得するのか? その原産地証明書はどこで入手するのかと言いますと各地にある商工会議所で発行してもらえます。 輸入の場合は輸出国の行政機関が発行することとなります。当然ですが日本では発行することはできません。輸入が決まり次第、輸出者に原産地証明書を取得するよう依頼しましょう。 原産地証明書に関する注意点 原産地証明書は輸入通関の際に原本が必要となります。コピーではまず受け付けていただけません。航空機での輸入や海上輸送でも中国や韓国など船足の短い国の場合には、なるべく早く原本が手元に届くように輸出者側としっかり調整をして下さい。 そうでないと、原本を待つ時間がなくせっかく送ってもらった原産地証明書を使用することなく通常の関税を支払ったり、原本を待っている間に保管料が嵩んで結局関税よりも高くなってしまったりということも起きかねません。 まとめ 細かな条件は色々ありますものの原産地証明書は難解なものでは決してなく、協定や基準をしっかり理解して利用すれば輸出入の双方にメリットがあります。 まずは自分の貿易取引が特恵関税を使えるものであるのかどうか、調べるところから始めてみましょう!