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2020年6月

ドレーの依頼方法とは?スムーズに依頼するためのポイントとコツを解説しました。 | 輸送・ロジスティクス

ドレーの依頼方法とは?スムーズに依頼するためのポイントとコツを解説しました。

今回はドレーをスムーズに依頼するための手順とポイントやコツについて解説したいと思います。 まずドレーとは何かを軽くおさらいしましょう。ドレーとは海上輸送で使われているコンテナを陸上輸送することを言います。輸入の場合は保税地区にあるCY(コンテナヤード)から輸入者の工場など指定の場所まで輸送すること、輸出の場合はその逆で輸出者の工場や倉庫からCYまで輸送することです。 その輸送を主たる業務として経営している会社のことを「ドレー会社」と呼びます。ドレー会社はトラクタヘッドやシャーシを保有していますのでそちらに予約の手配をし輸送を依頼することとなります。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/container-drayage/?lang=ja" target="_blank"] 色んなドレー会社がある 基本的にはフォワーダーは多くのドレー会社と付き合いがあります。一つのドレー会社だけでは回せないですしドレー会社によって得意な分野も違います。 色んなドレー会社 ・遠距離のドレーを安く引き受けてくれる。 ・高いけど無理を聞いてくれる。 ・MGシャーシを沢山保有している。 など様々な会社がありますので依頼のTPOに併せてお願いするドレー会社を変えています。なので自身に付き合いのあるドレー会社などがなければフォワーダーに全てお願いしてしまえばよいでしょう。 フォワーダーは他の顧客分も含めて多くの依頼をドレー会社にしておりますので、その分スポットで依頼をするよりも安い料金でドレー輸送を依頼できる場合が多いです。 ドレー手配を依頼する時のポイント フォワーダーに依頼をする際にもいくつか覚えておいていただきたいポイントがあります。 まずは昨今ではドレーの確保が難しくなっていることです。これはドライバーの高齢化や人件費の高騰などにより人手不足となっているドレー会社が多いことが一つです。 また首都圏では最近こそ先行き不透明でそれほどでもありませんが、昨年ころはオリンピック関連施設の建設ラッシュなどでそちらに車両や人手が回ってしまっていたことなどもあげられます。 そういった事情から、ドレーの依頼は少しでも早めに!が原則です。 平常期と繁忙期 輸入の場合であれば日本への到着予定日が判明し納期の目途がついたらまずはドレーの確保をフォワーダーへ依頼するくらいでOKです。インボイスやパッキングリストといった通関に必要な書類はまだなくても構いません。 現地からのBLコピーとともに「こういった貨物が到着しますのでドレーの確保お願いします。納入は〇日を予定しています」と連絡すればすぐに手配してくれるはずです。 ・平常期:1週間前 ・繁忙期:2週間前(遅くとも) 中国など船足の短い国でしたらBLコピーがなくても先に情報だけ流しておくのも全然問題ありません。むしろ後で慌てなくて済みフォワーダーとしても大変助かりますのでドレー依頼はとにかく早めにが鉄則です。 繁忙期のドレー手配 そして繁忙期です。日本の年末年始、ゴールデンウイーク、お盆休みの前後は非常にドレーが混み合い、確保が難しいです。これはフォワーダーも胃をキリキリとさせているところです。 繁忙期のドレー手配のコツ ・年末年始:11月の終わり頃 ・ゴールデンウィーク:4月初旬〜中旬 ・お盆休み:7月後半頃 だいたい年末年始分は11月終わりころGW分は4月当初、お盆休み分は7月後半からドレーの確保合戦が始まりますので、2週間前でもすでに予約で一杯なんてこともざらにあります。 ここの時期に輸出入が決まりましたらすぐにフォワーダーへ連絡してドレーの確保を依頼しましょう。 MGシャーシの手配 あとはMGシャーシも確保が難しいです。そもそも所有しているドレー会社が少ないですし、大手と呼ばれるドレー会社でも所有本数は10本前後くらいです。 数少ないMGシャーシを取り合っているのが現状です。なので冷凍鶏肉や生鮮マンゴーなどMGシャーシで輸送する必要があるものの場合にもとにかく早く依頼するよう心掛けて下さい。 キャンセルについて あまり早く依頼するとキャンセル料が心配。。。という方もいると思いますが依頼先に確認が必要ですが基本的に3日前くらいまではキャンセル料はかからない会社が多いです。 直前に依頼が来て慌てて依頼をするよりも、事前に連絡を入れてもらって念のためにでも確保をしておく方がフォワーダーとしても心のゆとりができますしミスも減りますので有難いです。不確定だからと言って遠慮はせず早めに連絡してしまって問題ありません。 積み込み・積み下ろしの現場の調整 ドレーを依頼して納品(作業)日時が決定したら必ずその時間からバンニング又はデバンニング作業ができるよう現場の調整をしっかりしておいて下さい。 ドレー料金の解説でもお伝えしましたがスタートが遅れたりして余計な時間がかかると待機料が発生してしまいますので要注意です。 ドレーの依頼方法 ドレーの依頼方法もここで簡単にお話ししておきます。 フォワーダーにドレーを依頼する場合 フォワーダーへ依頼する際は輸入の場合はBLとA/N(アライバルノーティス)、納品日時と納品場所を連絡すればOKです。D/O(デリバリーオーダー)の手配や輸入許可書の受け渡しなどは全てフォワーダーでやってくれます。 輸出の場合も作業日時と作業場所、本船情報を伝えれば問題ありません。本船のbookingも同じフォワーダーへ依頼している場合には本船情報も既に業者が知っているので不要です。空のコンテナを船社へ予約する手続なども手配してくれますのでとても簡単です。 早めの依頼さえ心がけていただければ大きな問題も起きにくいでしょう。 自社でドレーを手配する場合 自分で依頼する際はフォワーダーに任せていた部分の手配が必要です。輸入であればD/Oと許可書をドライバーさんへ渡さなければなりません。輸出の場合は船社へ空コンテナの予約を入れる必要があるでしょう。 慣れてしまえば難しい手続ではありませんが手間はかかりますし、フォワーダー程タイムリーに手配もできないでしょうから、よほどの理由がない限りはドレーはフォワーダーへお任せするのがおすすめです。 ちなみに依頼方法ですがドレー会社は今でもfaxが主流となっています。 急ぎの場合はまず電話で仮予約をし、その後、注文書などの形で本船情報やコンテナ情報、納品or作業日時及び場所などを記載してfaxで送ります。そちらに料金を追記して送り返してもらえば料金の確認もできるのでgoodです。 まとめ ドレーの依頼のポイントはこのような感じになっています。自分でドレーの手配をすることが出来ますが、やはりフォワーダーに依頼する方が選択肢も多いしフレキシブルな対応も可能になります。 そして大切なことですが、とにかくは依頼を早めにすることを心がけていただければきっと大丈夫です!

冷凍マンゴーをタイから輸入したい!植物防疫・食品届・検査など食品の輸入手続について解説しました。 | 物流コラム

冷凍マンゴーをタイから輸入したい!植物防疫・食品届・検査など食品の輸入手続について解説しました。

近年は海外の名産品なども割と手軽に輸入食品販売店やネットショップで手に入るようになりましたね。 「自分でも個人輸入してあの国のあれが食べたい!」や「輸入食品ビジネスを立ち上げたい!」なんて思った方もたくさんいらっしゃるかもしれませんが、食品を輸入するには通常の輸入よりも複雑で手間がかかり費用も発生する手続が沢山あります。 今回はその食品の輸入手続について解説したいと思います。食品と言っても多岐に渡りますので、タイ産の冷凍マンゴーを題材として進めていきましょう。 冷凍マンゴーの輸入方法を動画で解説! 食品・植物を日本に輸入する 食品を輸入するのにはほとんどの場合、特別に資格や免許が必要なわけではありません。 極端な話、自動車部品メーカーが食品を輸入しようとしても、今から説明する厚生労働省や農林水産省の許可手続を取れば何の問題もありません。 1. 植物検疫・防疫をする まずマンゴーは食品であるとともに植物でもありますので、農林水産省管轄の植物検疫所の許可を受けなければなりません。 後で説明しますが食品は個人使用の場合は届出が不要ですが、植物は用途に関係なくすべてが検疫の対象です。 Phytosanitary Certificateをタイから入手 植物検疫をクリアするためにまずは輸出国政府機関が発行した「植物検疫証明書(Phytosanitary Certificate)」の取得が必要です。 これがなければ植物を輸入することはできません。輸出者から必ず入手するようにして下さい。入手できなければ貨物は輸入できず滅却処分となってしまいます。 植物、輸入禁止品等輸入検査申請書の提出 貨物が到着しましたら輸入地を管轄する植物防疫所へ植物検疫証明書とインボイス、パッキングリスト、BLなどの書類をそろえて「植物、輸入禁止品等輸入検査申請書」を提出し検査を受けます。 検査の結果、合格となれば「合格証明書」が発行されます。 万一、病害虫が発見されると不合格となりますが消毒によって病害虫を取り除くことが可能であれば消毒後に合格となります。消毒にかかる費用は輸入者負担です。 植物防疫検査にかかる費用概算 植物検疫検査手続きは輸出入・港湾関連情報処理システム(NACCS)を使用してできますので、通関業者へ依頼するのが一般的かと思います。 費用の大体の目安としては ・植物検疫検査申請料   1品目15,000円〜20,000円 ・植物検疫検査立会費用  1件 10,000円〜15,000円 ・植物検疫検査シフト料  1件 25,000円〜30,000円* ・保税定温倉庫への輸送  1件 25,000円〜30,000円**(定温コンテナ(リーファー)の場合) *輸入港コンテナヤードから植物検疫検査場所までのドレー(コンテナ輸送)料金のこと。 **検査には数日かかります。定温コンテナはCYに放置しておくわけにいきませんので保税定温倉庫へのショートドレー(短距離コンテナ輸送)が発生する為。 これくらいの費用は最低限かかってきます。検査の申請や立会は頑張って自身で行ったとしても、コンテナの輸送料金などはどうしても発生しますので、植物の輸入の際には十分注意する必要があります。 2. 食品届けの提出 - 食品検疫 植物検疫をクリアしますと次は食品検疫が待っています。ここからは厚生労働省管轄の食品検疫所への申請となります。 ちなみに、個人使用目的で輸入する際には特に手続は必要ありません。自分が自宅で冷凍マンゴーを食べる場合には規制はないのです。なのでここではビジネス目的での輸入についてのお話となります。 まずは食品届を厚生労働省管轄の食品検疫所に提出します。 食品検疫の必要性 これは食品衛生法によるもので、人体への安全性を確保し衛生上の問題発生を防止するために避けては通れません。私たちの体内に入るものなのですから当然と言えば当然ですよね。 具体的にどの国から何をどれだけ輸入するのか、それには日本で禁止されている添加物や残留農薬などが含まれていないかなどを検疫所に届け出て、確認を受けることで税関からの輸入許可も受けることができるようになります。 届出申請は輸入地を管轄する食品検疫所にて行います。 通関業者に代行を依頼する場合は凡そ5,000円~1万円程度の代行手数料が発生します。届出のフォームは食品検疫所のサイト内にありますので、自身で申請することも可能です。 先ほどの植物検疫所も今回の食品検疫所も、基本的には各税関官署の近くにあります。 食品届申請に必要な書類 必要書類 ・原材料表 ・製造工程表 ・その他(食品による) これらは輸出者側で用意すべき書類ですので、輸出すると決めたら早めに輸出者から入手しましょう。通関業者へ依頼を代行する場合にもこれらの書類を入手するのは輸入者の責任です。 食品届は貨物到着の7日前から事前提出ができますので、なるべく早く提出するようにすると良いです。なぜなら検疫所が申請書類だけでは輸入許可の判断が難しいと感じたり、何か怪しい点があると疑ったりした場合には検査になる可能性があるからです。 自主検査 検査の内容が自主検査指導などであった場合には輸入者は自己の負担で登録検査機関に検査を依頼しなければなりません。 費用が発生するのはもちろんですが、検査日数もかかります(約5営業日)ので輸入の際にはこのことも十分念頭においておくといいですね。 検査命令 また食品検疫では検査命令というものがあります。 輸入時の自主検査やモニタリング検査、国内流通段階での収去検査などにおいて法令違反が判明するなど法違反の可能性が高いと見込まれる食品等について輸入者に対し輸入の都度検査の実施を命じる制度です。 ここでの検査の費用も輸入者が負担し、検査結果が判明するまでは輸入することができません。 一部 免除対象のサプライヤーもありますし検査命令は必ずなされるわけではありませんが要請されれば必ず検査を実施する必要がありますので注意しなければなりません。 冷凍食品規格検査 さらに付け加えますと、冷凍マンゴーは冷凍食品規格検査というものもあります。 成分規格として大腸菌群の数が規格内に収まっているか、保存基準として定められている保存温度や容器が守られているかなどの検査があります。 これらの検査命令や冷凍食品規格検査をクリアするために分析検査費用として大体8万~9万円程度の費用がかかります。 今回は冷凍マンゴーを題材にとって解説しておりますが、他の食品でも様々な検査が設定されております。 輸入の前にはそれぞれの食品についてどのような検査が必要か、どれくらいの費用が発生しそうかをあらかじめ下調べすることが大切です。 検査合格 - 食品等輸入届出済証 書類審査・検査の結果、違法でないと判断されると「食品等輸入届出済証」が輸入者に渡されます。 税関で輸入申告を行う際にこの届出済証と植物検疫の合格証明書を添付し、申告の際に番号も入力することで税関からの輸入も許可されます。 つまりこの二つの検疫を経てやっと税関からの輸入許可が叶うこととなります。 まとめ 冷凍マンゴーの輸入くらい簡単に出来そう!と思われていた方もいらっしゃるかもしれませんが、一般的な商品の輸入よりもかなり手間と費用が掛かることをご理解頂けましたでしょうか。 かといって食品や植物の輸入をお勧めしていないわけでは決してありません。このような手続と費用が掛かることをきちんと理解し、正しい手順を踏めば問題なく輸入をすることができます。 通関業者でも食品専門のチームがある会社もありますので、そのようなところに依頼をして協力しながら二人三脚で進めていくと良いでしょう。

コンテナ・ドレージとは?輸出・輸入で使うドレーの手配や料金体系を解説しました。 | 輸送・ロジスティクス

コンテナ・ドレージとは?輸出・輸入で使うドレーの手配や料金体系を解説しました。

昨今の日本では「ドレーが取れない」という言葉をよく聞きます。私も日本に貨物を送る時でスケジュール通りに必ず届けないといけない場合、ドレーの手配に関しては気を使ってしまいます。 またタイからであっても、「ドレーの費用は安くないな。。」という印象もあります。 このドレーとはいったい何のことでしょうか?今回はドレーの料金体系について解説したいと思います。 ドレーについて動画で解説 物流におけるドレーとは? まず「ドレーとは何か?」から説明を始めましょう。ドレーとは海上輸送で使われている20フィートや40フィートなどのコンテナを陸上輸送することを言います。 輸入の場合は保税地区にあるCY(コンテナヤード)から輸入者の工場など指定の場所まで輸送すること、輸出の場合はその逆で輸出者の工場や倉庫からCYまで輸送することです。 ドレーに関する名称 業者によっては「ドレージ」と呼ぶこともあります。違いはありません。同じ会社の中でもドレージと呼ぶ人とドレーと呼ぶ人に分かれることもあるくらい、何の差もないので気にしなくていいと思います。 アルファベットで綴る時は「DRAYAGE」となります。アライバルノーティスのチャージ費用として記載されていることもありますのでこのスペルは覚えておくとよいですよ。 その輸送を主たる業務として経営している会社のことを「ドレー会社」と呼びます。業務の性質上、港の周りに営業所のあることが多いですね。 ヘッド/ トラクタヘッド/ トレーラーヘッド 時々 トラックの頭だけが走っているような車両を大きな道路で見かけませんか? あれはトラクタヘッドであの後ろに海上コンテナを専用に積載するトレーラをつなぎ、そこにコンテナを固縛して、牽引して輸送先まで運んでいます。 2軸・3軸シャーシ そのトレーラのことをシャーシと呼びますので、ドレー車両のこと自体を「シャーシ」と呼ばれる方が乙仲には多い印象です。 ドレーの料金というのは「ラウンド制」、つまり往復料金で設定されています。 港からコンテナを引き取って倉庫や工場まで輸送し、倉庫で貨物を積み降ろししてまた港までコンテナ運ぶという流れですのでどうしても往復での依頼となるのはご理解いただけると思います。 ドレーの費用について 基本的には港から輸送先までの距離で決められています。細かく何キロで何円、というよりは地域で設定されている業者さんが多いです。 例えば名古屋港から豊田市であれば3万円という形ですね。宅配便の料金設定をイメージしていただければわかりやすいです。各業者さんで料金表をお持ちだと思いますので、都度確認していただければ問題ありません。 特に何もなければこの基本料金だけでドレーの依頼はできますが、他にも付加的に様々な料金がかかってきますのでそちらも十分注意をしておきましょう。 待機料金 まずは待機料金の発生する場合があります。コンテナを港から運んできてドライバーさんは、当然また港へ戻らなくてはならないので倉庫で工場を積み降ろししている際はその周辺で待機をしています。 通常の時間内であればこの待機料金も基本料金の中に含まれています。大体2時間くらいでしょうか。しかしその時間を超えて待機が発生した場合にはその分の待機料が請求されることになります。 1時間5,000円くらいが相場です。なのでドレーを依頼して倉庫へ着く時間を指定した際には、必ずその時間から積み降ろしが開始できるよう社内で調整しておくのがよいです。 3軸シャーシ その他には3軸費用というものがあります。シャーシには大きく分けて2軸と3軸があります。この軸とは、左右のタイヤを連結させている棒のことなので2軸の場合はタイヤ4個、3軸の場合はタイヤ6個になります。 貨物重量とシャーシの種類 もし、コンテナの総重量がおおよそで20フィートなら約20トン、40フィートなら約24トンを超える可能性がある場合は、3軸シャーシを使用しなければならないと国内関係法令で定められています。 運送会社としてこの法を破るわけには決していかないので、ドレー会社は重量の重い貨物の輸送依頼が来たら念のため3軸を用意したいと言うことが多いです。 3軸シャーシは大体プラス3,000円~5,000円かかりますし、2軸よりも圧倒的に台数が少ないので貨物の重量が大きい輸出入をされる場合にはその費用も意識してドレー依頼も早めに行うようにされると安心です。 MGシャーシ(Reefer用) あとはMGシャーシ費用というものがあります。これはリーファーコンテナと呼ばれる温度を一定に保つことのできる低温輸送用コンテナを運ぶことができるシャーシです。 MGはMotor Generatorの略で、電力を供給する発電装置がついており輸送中もリーファーコンテナ内の温度を保つことができます。 このMGシャーシは料金がとても高くなります。凡そ2倍ほどと思っていただいて大丈夫です。またシャーシ自体の購入費用が高いので保有しているドレー会社も少ないです。 大きいところでも数える程度しか保有していなく、リーファーコンテナの需要が高まる夏場などは取り合いになります。なのでもしもリーファーコンテナでの輸送があればすぐにシャーシを確保すると良いです。 走行距離 最後に1点、長距離のドレーを依頼する際にも注意が必要です。例えば東京港~青森県など長距離となる場合は交代要員としてもう一人ドライバーさんを乗せての運送となります。 当然ながら人件費が2倍となり合計でのドレー料金もかなり高くなります。 海上運賃が安いからといって遠くの港へコンテナを到着させたりすると結局ドレー料金が割高になり損をしてしまうこともありますので、輸出入の際にはコンテナドレー料金も念頭において計画を立てるようにされるとよいですね。 まとめ ドレーの料金体系についてご理解いただけましたでしょうか。正確な料金設定はドレー会社さんによってまちまちですので必ず確認してくださいね。 ドレーは通関業者を通して通関などと一式でご依頼される方が多いですが、自分で依頼することももちろんできます。そうすることで、お得なドレー料金を手配できる可能性もあります。 次回はその依頼のコツなどについてお話したいと考えています。

インコタームズ 2020と2010の違い・変更点について解説をしました。 | インコタームズ

インコタームズ 2020と2010の違い・変更点について解説をしました。

今回はインコタームズ 2020と2010の違いについて解説したいと思います。 10年ぶりの変更ということで業界の片隅で話題になっているインコタームズ2020ですがフォワーダー視点で解説をしていきます。 インコタームズとは? まずインコタームズとは何なのか?軽くおさらいしておきましょう。 インコタームズとは、貿易取引における費用負担や危険負担の範囲について取り決めた世界共通のルールです。「CIP」や「EXW」のように、アルファベット3文字で表されています。貿易取引を経験済の方であれば一度は必ず目にしているでしょう。 貿易取引では商品そのものの価格に加えて運賃や保険料、通関料、関税消費税など取引に関わる様々な費用が発生する上に、台風などの災害や事故など輸送中にも多くのリスクを抱えています。 そのため、その費用やリスクを誰がどの範囲まで負担するかということをインコタームズで明記しています。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/incoterms/?lang=ja" target="_blank"] インコタームズの法的強制力は? こう聞くと貿易において法的強制力を持つもののように思えますが、実は法律や国際協定ではないので強制力はありません。 しかし、輸出入者がお互いの責任範囲を明確にしてスムーズな取引をするためには非常に有効なルールであるため、国際貿易の慣習として世界中の取引で利用されています。 ですから必ずしもこのルールに則り貿易をする必要はありませんが、今後海外と取引をする上ではぜひ理解していただきたいと思います。 インコタームズ2010〜2020への変更点 さて2019年9月10日 ICC国際商業会議所から10年ぶりの改定となる「インコタームズ2020」が発表され、2020年1月1日より発効されました。 2010と2020の違いとしては以下の6つのポイントにまとめてみました。 インコタームズ2010と2020での違い 1. 前書きや利用者の解説ノートの設置 2. 項目別に費用の危険負担の比較が容易になった 3. CIF及びCIPにおける保険の補償範囲の違い 4. FCA,DAP,DPU,DDUで売り主又は買主が自己の輸送手段を用いての運送手配 5. FCA規則に船積済みの付記のあるB/Lを含める。 6. DATを廃止しDPUを新設 6つにまとめてもなんだか難しく聞こえてしまいますが一つずつ簡単に要旨を押さえていきましょう。 1. 前書きや利用者の解説ノートの設置 インコタームズのノートに前書きや利用者の解説箇所を設置してより理解しやすいようになりました。 2. 項目別に費用の危険負担の比較が容易になった 項目別に義務部分の対比をすることが簡単になりました。どのインコタームズを使用するとどの費用を負担することになるか、一目でわかるようになっています。 1と2のどちらもインコタームズの書籍を購入しないと読めません。ですがフォワーダーでも本を目を通している人は少ないので、特に読まなくても支障はないと思います。 3. CIF及びCIPにおける保険の補償範囲の違い CIFとCIPにおける保険の補償範囲の違いについては少し説明します。 インコタームズ2010では、売り主はロンドン国際保険業者協会のC約款又は類似の約款により規定されている最低限の補償範囲に準ずる補償を売り主負担で手配する義務が課されました。 約款とは簡単に言えば契約上の決め事で、つまりここでは保険契約を結ぶ場合の規則やルールですね。 そして2020ではCIFでは引き続きC約款が適用されますが、CIPではA約款に準拠する保険を付さなければならないというルールができました。 A約款は、すべてのリスクをカバーしています。なので買主にとって手厚い保険となり、売り主側の保険料は高くなります。 インコタームズ2020 ・CIF:C約款 ・CIP:A約款(オールリスク) つまりは商品そのものの価格も上がる可能性があります。そして保険料は日本側輸入時には課税標準(関税などをいくらにするかを決める際の価格)に組み込まれますので、消費税や関税も高くなることになります。 取引をされる場合にはそのことも念頭においてタームや保険付保の交渉をされるとよいでしょう。 4. FCA,DAP,DPU,DDUで売り主又は買主が自己の輸送手段を用いての運送手配 一部の規則において売り主又は買主が自己の運送手段を用いて運送の手配を行うことが認められました。フォワーダーの立場からしますとあまり関連のない規定となりますので詳細は割愛します。 5. FCA規則に船積済みの付記のあるB/Lを含める FCA規則で、輸出国で貨物の船積をする前に船積証明が付記されたBLの発行を求めることができるようになりました。 銀行の信用状で取引をされる方には便利になったかと思います。この規則を制定することで、FOBほど認知度が上がらないFCAを広めようという意図が感じられます。 6. DATを廃止しDPUを新設 DAT廃止及びDPU新設に関連してここからは改定後のインコタームズについてお話します。 改定によってインコタームズは2種類11条件となりました。 海上輸送と内陸水路運送のみで使える条件 ・FAS - Free Alongside Ship ・FOB - Free On Board ・CFR - Cost and Freight ・CIF - Cost Insurance and Freight 全ての輸送モードで使える条件 ・EXW - EX Works ・FCA - Free Carrier ・CPT - Carriage Paid To ・CIP - Carriage and Insurance Paid To ・DAP - Delivery At Place ・DPU - Delivery at Place Unloaded ・DDP - Delivery Duties Paid と大きく二つに分けられます。 つまり飛行機やコンテナで輸送をするのにFOBやCIFなどのインコタームズを指定するのは誤りということです。ここでいう海上輸送とは、在来船などのことを指しています。 インコタームズ Dグループの変更 変更点は2010ではあったDATが廃止され、DPUが新設されました。 DPUでは、売り主は、輸入国側の指定仕向け地までの輸送と荷卸し義務を負います。買主は輸入通関の部分で費用と危険を負担します。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/incoterms2020-d-group/?lang=ja" target="_blank"] INVOICE上のインコタームズ 実際にINVOICEを作成されている方はINVOICE上のインコタームズの記載の仕方が気になるところかと思います。 正しくは、”CIF SHANGHAI INCOTERMS[R]2020”のように記載することとされています。しかしながら、実際にはこのように正しく記載されているインボイスは少ないのが現実です。 多くは「CIP SHANGHAI」「FCA OSAKA」のような形で書かれています。そして通関上にも特に問題はありません。この記載でも運賃負担がどちらかは十分にわかりますので通関に差し支えないのです。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/inv-pkl/?lang=ja" target="_blank"] 輸出入者での合意が必要 前にも言いました通りインコタームズは推奨ルールでしかありませんので、このルールに則っていなかったとしても基本的な貿易取引条件さえ決めておけば貿易取引は完了できます。 もちろん事故や災害のリスクはいつも付きまといますが、万が一そのようなリスクに遭ったとしてもきちんとした契約書などがあれば当事者同士の話し合いで解決できるものです。インコタームズを絶対視しすぎず細かな部分は売買契約書などで定めておけば安心です。 また少し前にも言いましたように本来であれば、航空輸送などにFOBやCIFを使用するのは誤りです。でも現実のINVOICEでは数多く見られます。 まず正しい情報を知っておくこと 最近でこそ、正しくFCAやCIPと記載されているものも見受けられるようになりましたが、正直言いまして災害や事故などのリスクがなければFOBやCIFでINVOICEが作られていても何ら問題なく通関も荷役も進むのです。 しかしながら、フォワーダーの立場に立ってみますと顧客から頂いたINVOICEが正しくFCAやCIPと記載されていますと「あ、このお客様は物流のことをちゃんと勉強されて理解されているな」と一目を置くポイントとなります。 今後永く貿易を続けられるのであれば、この機会にぜひとも正しいインコタームズを使用していただきたいです。 まとめ インコタームズを一度に覚える必要はありません。改定された11種類のインコタームズをきちんと暗記し、スラスラと間違いなく説明できる人はフォワーダーの中でさえ少ないでしょう。 まずはご自分の貿易取引の中でよく使われている条件のものをしっかりと理解して覚えることが重要です。そして新たな貿易取引が始まった際などに新しいインコタームズを使用することになれば、またそのタームを自分で調べて理解し、覚えて正しく使用する。それで十分だと思います。 前回の改定が2010年、前々回が2000年であったことを考えますと次は2030年が予想されます。その際にも廃止や統合、新設があると考えられますので、テストのようにすべてを丸暗記しようと頑張るのではなく自分に必要なタームを一つ一つしっかりと理解しましょう。 そうすればいつ改定があっても慌てることなく対応できること間違いなしです。