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2020年5月

InvoiceとPacking Listの書き方について解説!貿易書類のサンプル・テンプレートとしてダウンロードも可能です。 | 輸送・ロジスティクス

InvoiceとPacking Listの書き方について解説!貿易書類のサンプル・テンプレートとしてダウンロードも可能です。

今回のテーマは貿易におけるINVOICEとPACKING LISTの書き方について分かりやすく解説していきたいと思います。 まず、そもそもINVOICEとPACKING LISTとは何でしょうか? 貨物を輸出するときには必ず作らなければならない書類、輸入するときには乙仲や通関業者へ提出しなければならない書類、との認識を持っていらっしゃる方は多いと思います。 では実際にどのような役割があるかについて確認していきましょう。 InvoiceとPacking Listの書き方を動画で解説しました 貿易におけるInvoiceの役割 まず最初にINVOICEの役割についてです。 INVOICEは日本語にすると「請求書」です。皆さんが通信販売などで商品を購入したときに商品とともに送られてくる請求書、それのことです。 貿易では、INVOICEを元にどんなものが輸出入されているかの確認や、輸入国でいくら税金を払わなければならないかの計算がされます。 なので「仕入書」や「送り状」と訳したほうがしっくりくるかもしれません。関税法上、輸出入の申告においてほぼ例外なく必要となる書類です。 貿易におけるPacking Listの役割 続いてPACKING LISTの役割です。こちらは日本語にすると「梱包明細書」です。 貿易ではPACKING LISTでどの貨物がどれくらいの数量で輸出入されているか、どのような荷姿で梱包されているか、貨物にどのようなマークが付けられているか、などの確認をします。 つまりInvoiceもPacking Listもどちらも貿易にとってなくてはならない書類ということです。 なので たかが仕入書、梱包明細書と思わず、正確な情報を明確に記載することが重要です。 絶対にやってはいけない事 間違っても、税金を安く済ませたいから商品の価格をわざと低く記載したり、運賃を節約するためにボリュームを小さめに記載したりすることはあってはならないことです。 もし仮に、乙仲業者や通関業者はうまくやり過ごせたとしても税関の事後調査で指摘されて多大な追加税を払うことにな理ます。 また船や飛行機に積載する段階になって判明して輸出できなくなり、貨物の引き取りや船のキャンセルで余計なお金や時間がかかったりするのは目に見えています。 そういったことを防ぐためにも、貿易にとって大切なこれらの書類の書き方をしっかり覚えておきましょう。 InvoiceとPacking Listの例 - ダウンロード可能 「書き方の前に書式はどこにあるの?」という方もいらっしゃるかもしれませんが、INVOICEもPACKING LISTも特定のフォームはありません。 もし1から作る必要があるという方がいらっしゃいましたら、弊社で使っているものをテンプレートとしてお使いください。 こちらからダウンロードすることが可能です。 【形式:エクセルファイル】 ・Invoice ・Packing List ・Shipping Mark Invoiceの書き方 それではまずINVOICEの書き方から解説します。 INVOICEには輸出入者情報に加えて、輸出入される物の品名・数量・金額、船やフライトの便名などの輸送情報などが主に記載されます。基本的には英語表記です。 そしてこのINVOICEが請求書としての役割にプラスして輸出入時の通関書類にもなるのです。つまりINVOICEを見ればその貿易の内容がわかるように作成することが重要です。 また、記入は細かく正しく分かりやすくというのが大切です。 Invoice作成時のポイント ここからは基本的な記載事項についてお話します。 売り手と買い手の情報 輸出者(=送り主、シッパーとも言います)の社名・住所・電話番号・FAX番号などを記載します。 同じように輸入者(=受取人、コンサイニーとも言います)の社名・住所・電話番号・FAX番号などを記載します。 Invoiceの番号について インボイス番号の決め方に特に決まりはありませんので、任意の番号で構いません。 連番にする、日付を利用する、送り先の国名や会社のイニシャルを入れる、などルール決めをしておくと便利でしょう。今まで見てきた感じではやはり日付を利用されているパターンが多かったです。 本船情報について 利用する飛行機や船の便名、出港日も記載します。業者に依頼していて不明な場合は確認しましょう。 支払条件はその貿易取引のものを正しく書いてください。電子送金決済を意味するT/Tなどが多いです。 到着する港や空港の名前、国名も記載しておきます。 取引条件について 貿易取引条件の明記も必要です。インコタームズで規定されている取引条件に沿って記載しておけば問題ないでしょう。 FOB OSAKAやCIF SHANGHAIといった表現で大丈夫です。 貨物の詳細情報について そして重要な、貨物の明細についてです。輸出入する貨物の品名、個数、単価、合計金額を記載します。 通関業者はこの品名を見て申告する税表番号を決めていきますので、分かりやすく詳しく書くことがポイントです。 できれば品名だけでなく材質や使用目的なども書いてあるとよいでしょう。材質ならWOODENやSTEEL、使用目的ならFOR CARなど書いてありますと通関業者はとても助かります。 シッピングマークについて シッピングマークはこちらも規定のものはありませんので任意で構いません。 オーソドックスなものは上から会社名、向け地、箱の番号(連番など)、生産国もしくは輸出国名(MADE IN JAPANなど)でしょうか。 サインして完了 最後に輸出者の名前と、担当者のサインを記入します。 近年はサイン入りのINVOICEでないと輸入申告ができない国も増えていますので、しかるべき担当者の方が忘れずにきっちりサインをするようにすると良いですね。 Packing Listの書き方 続いてPACKING LISTの書き方です。 PACKING LISTの内容は実はINVOICEとほぼ変わりません。フォームも同じものを使っている会社がほとんどです。 貨物の単価や合計金額ではなく、貨物の大きさや重さ、梱包前の重量と梱包後の重量などを記載します。 ケースの数や、どのケースに何が何個入っているかなども書かれていると、もし貨物が検査になったときにスムーズに進みます。 InvoiceとPacking Listをまとめる 実務上の話をしますと、実はPACKING LISTは、ほぼ例外なく必要なINVOICEとは違い、他の書類(B/Lや他の明細書)などで貨物の個数重量がわかるような書類があればなくてもOKです。 なので、輸送する貨物が少ない場合は、INVOICEとPACKING LISTを一つにまとめてしまっても問題ありません。 もちろん、貨物の管理には大変有効な書類ですし、到着地で貨物が行方不明になってしまった場合(嘘のような話ですが本当にあります)にもPACKING LISTがあると捜索に役立ちます。 ぜひ正確でわかりやすいPACKING LISTの作成も心掛けて頂ければと思います。 まとめ 以上がINVOICEとPACKING LISTの書き方となりますがいかがでしたでしょうか。 慣れてしまえばそれほど難しい書類ではありません。あらかじめフォーマットさえ決めてしまえば後は輸出入の都度、必要事項を書き換えるだけで作成することができるでしょう。 繰り返しになりますがINVOICEもPACKING LISTも細かく、正しく、わかりやすく、が重要です。 この3つのポイントを忘れずに作成すればスムーズな貿易取引が期待できます!

インコタームズ2020 DAP/DPU/DDPについて解説しました。 | インコタームズ

インコタームズ2020 DAP/DPU/DDPについて解説しました。

今回はインコタームズ2020のDグループのDAP/DPU/DDPについて解説をしていきたいと思います。 インコタームズの2000/2010/2020と時代を経て、取引をより分かりやすく明確にする為の規則の変更がありました。しかし既に廃止されたDDUやDATなども普通に商習慣的に実務で使われたりします。 インコタームズのDグループでは変更された条件が複数あり少しややこしく感じてしまいますので、今回はインコタームズ2020のDグループにフォーカスを当てながらも、また廃止された条件やDグループの取り扱いの実務上の話や注意点もさせて頂きます。 インコタームズ2020のDグループを動画で解説 インコタームズについて まずインコタームズについて簡単に説明しておきましょう。インコタームズは簡単に言えば貿易取引において売り手と買い手での、費用負担とリスク負担の取り決め条件です。 売り手と買い手で、どこからどこまでの費用とリスクを負担するかを明確に決められた国際的な貿易条件だと覚えておいて下さい。 インコタームズの図解についてはこちらに分かりやすく記載しています。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/incoterms/?lang=ja" target="_blank"] インコタームズ2020のDグループ まずはDAP/DPU/DDPの「用語の解説」と「費用負担とリスク負担」について、それぞれ一つずつ説明していきます。 DAPについて まずはDAPです。DAPはDelivered at Placeの略称で仕向地持込渡しと日本語では呼びます。 DAPでは輸出者が輸入先の指定場所にて荷下ろしする前までの費用とリスクを負担します。 なので輸出側は荷下ろしをする義務はありませんし、荷下ろし中のリスクの負担は買い手になります。 そして輸入通関や関税・消費税を含む税金は輸入側の負担となります。 DPUについて そしてDPUですが、DPUはDelivered at Place Unloadedの略称で、荷卸込持込渡しです。 DPUの貨物の費用負担とリスク負担では輸出者が輸入先の指定の場所にて荷下ろしが完了するまでの費用とリスクを負担します。 輸入通関は買い手の負担になり、輸出側に輸入通関をする義務はありません。 DDPについて 最後にDDPです。DDPはDelivery Duty Paidの略称で仕向地持ち込み渡し関税込みと日本語では言います。 DDPは配送が完了するまでの費用とリスクを売り手が全て負担する取引条件です。 DPUやDAPでは通関は買い手負担でしたが、DDPでは通関や税金も売り手が負担する事になります。 インコタームズ2020 Dグループの違い一覧 Dグループの費用負担とリスク負担をまとめるとこのようになります。 Dグループまとめ DAP (仕向地持込渡し) ・輸出側の負担:指定先までの輸送費用とリスク ・輸入側の負担:通関・関税・消費税、積み下ろし作業 DPU (荷卸込持込渡し) ・輸出側の負担:指定先までの輸送費用とリスク、積み下ろし作業 ・輸入側の負担:通関・関税・消費税 DDP (仕向地持ち込み渡し関税込み) ・輸出側の負担:指定先までの輸送費用とリスク、通関・関税・消費税を負担 ・輸入側の負担:積み下ろし作業 DDPの荷下ろしの義務ですが買い手が負担する事になっています。 もしあなたが買い手側として、荷下ろしが難しい機械設備などの輸送で、どうしても貨物の荷下ろしを輸出者側の責任でやってほしいならDPUを指定しましょう。 契約書・船積み書類への記載方法 インコタームズのDグループでは荷下ろしする場所を明記することが大切です。なので契約書やInvoiceなどではこのように記載します。 DAP/DPU/DDP 「住所」 Incoterms2020. DPU 「ABC Warehouse Shinagawa」 Incoterms2020 場所にはTokyoやKobeなどの港や地域の名称ではなく、特定の場所が分かるように記載をしましょう。 輸入側のフォワーダーについて インコタームズのDグループは輸入側の買い手が指定する届け先まで貨物を手配しなければいけません。 なので輸出者である売り手は、輸入先の事をよく知っている必要があります。この時に必要なのが輸入側でのフォワーダーです。 輸出側で取引のあるフォワーダーがこれから貨物を送る地域にフォワーダーの支店や代理店があるのかを確認しなければいけません。 DDPでよくある問題 輸入先のフォワーダーとDDPについて実務的な例をあげます。 DDPは輸入時の関税と消費税を輸出者が払うことになっています。しかしそれは輸入側のフォワーダーが税金を一旦 立替えており、後に輸出側のフォワダーに請求書が送られています。 この時にもし税金の金額が大きいとちょっと問題になります。輸入側のフォワーダーで税金の立替の上限金額を決めている会社も少なくありません。 輸出側と輸入側のフォワーダーの関係も重要です。取引を始めたばかりの代理店であれば高額な税金の立替は拒否される可能性が高いです。 なのでDDPを依頼された輸出側のフォワーダーは事前にInvoiceを輸入側に送って、税金の立替について輸入側と確認をしなければいけません。 DDUとDATは使えないのか? インコタームズの2010と2020で既に廃止されているDDUとDATですが、全く使うことが出来ないのか?というと問題なく使えます。 インコタームズは売り手と買い手の間で取引がスムーズに行われるように決められた規則ですが、法律ではありません。 インコタームズ2020ではICC(国際商業会議所)がDATの代わりにDAPを使いましょうと推奨していますが、あくまで推奨です。 売り手と買い手での明確な合意があれば取引で問題などが生じたとしても、話し合いなどで解決することが出来ます。 なので契約書やInvoiceにDDUやDATと記載して、売り手と買い手でそれに合意をしていたら基本的に問題はありません。 まとめ 今回はインコタームズ2020のDグループについて詳しく解説をしました。 現在では新しいインコタームズの規則が決まったばかりですが、まだまだ商習慣的にインコタームズ2010で廃止されたDDUが使われていたりします。 今回説明したようにインコタームズはあくまで規則であり、売り手と買い手の取引の合意をサポートするものです。義務ではありません。 ですが物流の担当者として新しい情報をしっかりと理解し、お客様との取引で明確な合意の元で取引が出来るようになりましょう。