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2022年3月

上海市ロックダウンで国際物流は?陸送、海上、航空への影響 | 物流ニュース・物流ラジオ

上海市ロックダウンで国際物流は?陸送、海上、航空への影響

どうもこんにちは、飯野です。 海事新聞のニュースから、「上海市ロックダウン、上海港平常通り、海上輸送混乱なし。エアーの貨物便は欠便」についてお話していきたいと思います。 2022年3月30日イーノさんの物流ラジオ 上海市のロックダウン 中国・上海市で始まった3月28日からのロックダウンとなっていますが、懸念されていた国際輸送への大きな混乱は生じていないようです。 世界最大のコンテナ港である上海港は、3月29日時点では、通常通りのオペレーションを行っているなど、本船もスケジュール通り動いています。 港での影響 上海市外から上海港への輸出コンテナ貨物の搬入は可能ですが、工場バンニングのFCLに限定されており、港でバンニングができない状況です。 LCLなどは市街の倉庫でバンニングされているのかもしれません。 港湾は重要なインフラと位置付けられ、24時間の稼働体制を維持しており、作業員や管理スタッフは、外部から隔離された状態で作業を続けていると記事は報じています。 船社情報によると、3月29日時点ではコンテナバンプールの稼働率が一部低下しているが、バージや鉄道のオペレーションにも支障は出ていないとのことです。 陸側への影響 これに対して、陸側の物流は停滞しており、今後の輸出入貨物の船積みと引き取りに影響が出ることが予想されています。 これまでの中国の港封鎖では、トラックドライバーの隔離など、陸送の方に問題がありましたが、今回はどうなるのでしょう。 ドレージ車両を含めたトラックはドライバーの陰性証明などの条件を満たせば通行が可能です。しかし、市内の通行規制や市外との移動制限、ドライバーの出勤困難などで陸送の遅延の深刻化が懸念されています。 これまでと同じような影響が出てきそうです。 これに伴い、これまで上海港までトラック輸送されていた輸出入貨物の輸送需要が、バージや鉄道に流入することも予想されます。 エアー便欠便相次ぐ 一方でエアーは、キャンセルが相次いでいます。 全日本空輸(ANA)と日本航空(JAL)は28日に日本―上海間で貨物便を全便欠航し、日本貨物航空(NCA)は28日夜のフライトをキャンセルしています。 関係者によると、上海浦東空港での航空便の着陸は可能、グランドハンドリング業務の人員が確保できないため、欠航便が発生しているとのことです。 話が逸れますが、タイも空港倉庫の人が足りておらず、問題が多発しています。飛行機から積み荷は降ろされますが、なかなか倉庫に入らず、ブレークバルク(開墾)されません。 上海はもっとひどい状態なのではないでしょうか。 世界最大港のシャットダウンの影響 今回のロックダウンは、上海浦東空港が位置する上海市東部で28日―4月1日まで、西部で4月1日から5日までわけて施行されます。 港は問題ありませんが、トラック輸送で不具合が生じ、貨物の引き取りが困難になりそうです。 上海港は世界最大の港なので影響は大きく、北米、欧州への輸送にはどのように影響するのかが注目です。 また情報をアップデートしていきたいと思います。

燃料費高騰により北米の輸送形態に変化??配送スピードからコスト重視へ。 | 物流ニュース・物流ラジオ

燃料費高騰により北米の輸送形態に変化??配送スピードからコスト重視へ。

どうもこんにちは、飯野です。 本日はJoc.comの記事から、「米国荷主が燃料費上昇に備えて、マーケットが変わるかもしれない」というお話をしていきたいと思います。 2022年3月29日イーノさんの物流ラジオ 燃料費の高騰 別の放送でもお伝えしましたが、現在、原油高で船やトラックの燃料費が上がっています。 石油価格報告機関によると世界のコンテナ船船隊の約70%を動かす、低硫黄燃料油(VLSFO)の価格が上昇しています。 3月14日時点で、895ドル/トン。ウクライナ侵攻前の2月23日の726ドル/トンから約160ドルの値上がり、また、2021年の高値617ドル/トンに比べると約280ドルの値上がりをみせています。 また高硫黄燃料油は3月14日時点で623ドル/トンで、侵攻前の2月23日の534ドル/トンから約90ドルの値上がり、2021年の高値、504ドル/トンに比べると約120ドルの値上がりとなりました。 よって、現在は排ガス洗浄装置のスクラバーに投資をする会社も出てきています。 荷主への影響 荷主はロシア・ウクライナ戦争が続く中、新たな燃料コストと輸送への影響を懸念しています。 すでに海上、陸上、航空運賃が高騰している中、荷主は燃油サーチャージの引き上げに備える必要があります。 これがどのように影響するかというと、米国のサプライチェーンにおいて、「配送スピード」から「コストへと重点を移す」ことになる可能性があるとのことです。 コロナ以来、スピードに集中してきた荷主にとっては大きなリセットとなり、これがどの程度になるかは、原油や燃料の価格がどの程度まで上昇するかにかかっています。 高止まりする原油価格 トラックのガソリン価格ですが、米国エネルギー情報局(EIA)によると、米国のディーゼル燃料の平均コストは依然として高いままとのことです。 ディーゼル燃料の価格の約半分は原油価格によりますが、旺盛な貨物需要とそれに伴うサプライチェーンの混乱により、ディーゼルおよびガソリンの価格は、高止まりする可能性が高いとしています。 3月14日現在、トラック輸送や鉄道燃料サーチャージのベースとして使用されるEIA米国ディーゼル小売価格の平均は1ガロン当たり5.25ドルでした。 これは、米国荷主が2022年の予算化していた2021年10月と11月の平均3.68ドルから1.57ドル上昇しています。 西岸発のトラック主要路線のレートは、港の混雑が緩和され需要が軟化したため下落しましたが、もしかしたら今後数週間のうちにコストが上昇することになるだろうと記事は報じています。 輸送形態の変化 ある北米のメーカーは輸送頻度を減らすと述べています。 一部の顧客には、毎週小口で貨物を配送するよりも、月に1回でトラック積載量を増やして届ける方が良いケースもあるということです。 インターモーダルへの移行 特に長距離輸送の場合、荷主はインターモーダル鉄道を利用する傾向が強まるかもしれません。インターモーダルの燃料サーチャージは、トラック輸送の約半分です。 例えば、米国で最も輸送量の多いルートの一つ、ロサンゼルスからシカゴまでの輸送での燃料サーチャージは、 ・長距離トラック輸送の場合:約1,700ドル ・インターモーダルの場合:約1,050ドル とはいえ、内陸部のインターモーダル鉄道ヤードキャパ不足や、シャーシ不足もあるため、切り替えはそれほど簡単なものではないとしています。 今後は鉄道が混雑する可能性があります。 輸送能力の縮小懸念 北米のアナリストは燃料費の高騰は、「小規模輸送業者の数」と「輸送距離」を減らすことになるため、さらに輸送能力を縮小させるだろうとしています。 「スポットで荷物を運ぶ経営者が破産するか、少なくともどの荷物を運ぶかを考え直すきっかけになるのではないか」と続けています。 「スピーディな配送」と「燃料費高騰のトレードオフ」が、顧客と荷主の交渉の鍵となるようです。 週に1回以上注文している顧客が、迅速な配送を望むのであれば、顧客はその費用を支払わなければならず、その場合、荷主はコスト上昇を吸収できるのかが問題となります。 今後の影響 これまでは物流のネットワークの混乱により、荷主の平均トラック積載重量は過去1年間で10~20%減少しました。スピード重視の対応のため、トラックに余分スペースがありましたが、今後はトラックの積載をMaxにして輸送する必要があります。 今後どうなるかの個人的な予想ですが、 ・北米の小売店の棚がスカスカに ・北米の倉庫のキャパが逼迫 ・北米の鉄道に目詰まり発生 また、鉄道を選びたい荷主が、トラックの使用を控えることになるから、港が混雑する可能性もあると考えます。燃料費の高騰がこういう形で影響してくるかもしれません。 引き続き、情報をアップデートしていきます。

海運大手マースク、2023〜2025年に北米で300台のEVトラックを導入。自動運転化進める。 | 物流ニュース・物流ラジオ

海運大手マースク、2023〜2025年に北米で300台のEVトラックを導入。自動運転化進める。

どうもこんにちは、飯野です。 本日は「マースクが300台のEVトラックを2023~2025年に導入」についてお話していきたいと思います。 2022年3月28日イーノさんの物流ラジオ マースク、300台のEVトラック導入 海運大手マースクは北米で300台のEVトラックを2023~2025年に導入すると発表しました。 スウェーデンのアインライド社と提携し、マースクが導入する車両に、同社のプラットフォームを使用します。 アインランド社 アインランド社は2016年に設立された物流系のスタートアップ企業で、自立倉庫型の8tトラックやEVトラックなどの運行システムを開発しています。 車両は、中国電気自動車大手のBYD社のものを使用し、そこにアインランド社の運行システムを搭載します。 マースクの脱炭素取り組み マースクは北米で海上だけでなく、陸送でも脱炭素に取り組んでいくことになります。 「今回のEVトラックの導入で、輸送形態に関係なく、全ての分野において脱炭素に取り組む姿勢を示すことができた」とマースクの担当部門のトップは述べています。 マースクは現在世界第二位のコンテナ船社であり、近年、様々な企業の買収を進めており、海運のみでなく、トータルロジスティクスを目指し、戦略をシフトしています。 マースクは今年2月、パイロット・フレイト・サービスという会社を16億8000万ドル(約250億円)で買収しています。 北米の電気トラック 北米では完全な電気トラック輸送への移行が目標とされています。 現在北米ではトラックドライバー不足が深刻で、8万人ほど足りていないと言われており、お店の商品が欠品しています。 よって、先ずは一般道路より運転が簡単な高速道路で自動運転を進めていく方針を取っています。 高速道路での自動運転化 長距離トラックのドライバーは拘束時間が長いことが問題となっているので、高速道路での自動運転化ができれば、州をまたぐ長距離部分をマンパワーに頼る必要がなくなります。 ドライバーは住んでいる地域のみの運行で対応できるというメリットがあります。 州によって異なる規則や、安全性の面での問題がまだまだありますので、すぐに実現することは難しいでしょう。 しかし、これが実現できれば、現在のような人手不足によるサプライチェーンの乱れは起きなくなり、将来的にそのような運行形態が期待されています。 日本でのドライバー不足 日本でもドライバー不足の問題が起こっており、高齢化も問題となっています。それほど稼げず、成り手も少ないため、ドライバーがどんどん減っていっている状況です。 一方、北米のドライバーは年収がかなり高いのですが、市場の需要に追いつけず、ドライバーが足りていません。 同じドライバー不足でも、北米と日本では状況が違っています。 YouTubeに日本近海をRoRo船(自動車船)の内航船で、コンテナを別の地域にシャーシごと運ぶ動画がありましたが、そこではRoRo船までヘッドがコンテナを運び、別の地域でトラックのヘッドを引き取るという流れでした。 こういう取り組みが既にあるため、今の深刻なドライバー不足を鑑み、日本の長距離輸送も自動運転になっていくと思います。 テクノロジーの情報も引き続きアップデートしていきたいと思います。

ONEの投資戦略!コンテナ船事業に専念。2030年までに2兆4,000億円を投資。 | 物流ニュース・物流ラジオ

ONEの投資戦略!コンテナ船事業に専念。2030年までに2兆4,000億円を投資。

どうもこんにちは、飯野です。 今日は海事新聞のニュースから、「ONE、30年度までに200億ドル(約2兆4000億円)投資」についてお話していきたいと思います。 2022年3月25日イーノさんの物流ラジオ ONEの投資 ONEの投資の方向性についてお話していきます。 オーシャンネットワークエクスプレス(ONE)のジェレミー・ニクソンCEO(最高経営責任者)の3月23日のオンライン事業説明会の内容がニュースに取り上げられていました。 その中で「2022年度から2030年度までに、船舶、ターミナル、デジタライゼーションなどに200億ドル(約2兆4000億円)以上の投資を行っていく」とニクソンCEOは語っています。 ONEは2018年4月からサービスを開始し、初年度は赤字を計上だったものの、翌19年度は黒字に転換しました。2021年度はコンテナ運賃市況で、税引き後純利益は153億9800万ドル(約1兆8,000億円)を見込んでいます。 トップクラスの収益 邦船3社時代に比べて規模を拡大したほか、さらに効率化も追求しており、コンテナ船社としてトップクラスの収益力を誇っています。 ONEは確かに安くはありません。けれど、日系の大手はONEを選んでいる印象です。弊社では、お客さんには複数の航路スケジュールを提案し、ONEが選ばれるといった感じです。 今後の事業領域 事業領域については今後もコンテナ船事業に専念するとしています。 マースクやCMA―CGMなどが進めているロジスティクス分野への展開については明確に否定しました。 ロジスティクスについては、邦船3社の下記ロジスティクス会社があるからかもしれません。 Yusen Logistics MOL Logistics K Line Logistics コンテナ船事業 世界の海上コンテナ輸送は過去数十年にわたって年率6%の成長を遂げてきましたが、引き続き長期的成長トレンドは続くと、ONEは予想しています。 市場の伸びに合わせた継続的な投資を行っていく姿勢を取っています。 中心となる船への投資について2021年12月末時点で、ONEの船隊規模はで211隻で154万2,702TEUです。古い既存船との入れ替えももちろんありますが、2030年度の運航船隊規模は200万TEUを大きく超える見通しです。 ちなみに MSC:645隻で428万4,728TEU マースク:738隻で428万2,840TEU TEUではONEはMSC、マースクの分の半分未満なので、流石に、これは届かないのではないかと思います。 今後の見通し 現在のコンテナ運賃市況は中国の旧正月明け以降、アジア発北欧州・地中海向けを中心に軟化傾向が続いています。 これについてニクソンCEOは、「確かに軟化傾向だが、過去5年間と比較してもそれほど落ち込みは大きくない」と指摘しています。 今の高騰したコンテナ運賃市況は徐々に値下がりはするものの、「2022年は船社にとって明るい見通しを持っている」とのことです。 年内いっぱいは、ある程度の高い運賃市況が続いていくとの予測を示しました。 ONEが強みを持つ北米航路については、小売業の在庫水準は依然として低く、ブッキング需要は旺盛です。 更に北米西岸港湾の労使交渉などの大きな不確定要素があると記事は締めくくっています。 各社の投資方針 ONEがどのように投資をしていくのか、ということが記事には書いてあります。ラジオでは取り上げていないませんが、脱炭素にも投資をしていますので、詳しくは概要欄をご覧ください。 ONE、30年度までに200億ドル投資。長期目標、ROE10%へ ONEやMSCは船を中心に投資しています。 今後、船が増えていったらどうなるのか、について僕の予想ですが、コロナ前の低価格には戻らず、デジタル化がキーワードだと思います。 船社のデジタル化とデジタルフォワーダー 分かりやすい例だと、マースクがロジスティクスを広げていっているので、Door to Doorでデジタル管理が出来ます。こっちの方が、利便性が高いと思います。 逆にMSCやONEのように船会社が船を中心に投資していくとすると、そこはデジタルフォワーダーが生きる場所になるかもしれません。 船が増えるので、スケジュールも多くなるでしょう。 デジタル管理されるため、AIで需要予測が可能となりある地域で需要が低いときは、別の地域に船を回して調整するなど対応ができていくのではないでしょうか。 海運自体はなくなりませんが、関わり方が変わってくると思います。 常に情報をとっていきたいと思います。

関税率の適用順位について | 輸送・ロジスティクス

関税率の適用順位について

この記事を動画で見る どうもこんにちは、飯野です。 今回は、例を用いて「関税率の適用順位」について解説をしていきたいと思います。 関税とは まず関税とは、簡単に説明すると「外国からの輸入商品に対して支払う税金」です。 税金なので、支払う相手は「国」ですね。つまり、最終的に関税は「国の収入」になります。関税は、消費税や法人税と同じように国の財源となり、徴収された税金は私たちの生活に必要な公共サービスなどに充てられます。 また、海外から輸入された商品に税金をかけることで、国内の商品価格との差が大きく出ないように調整されます。 関税は、国内の産業を守るために必要な政策でもあるのです。 通常、関税は輸入者あるいは輸入通関を依頼されたフォワーダーが輸入申告時に税関へ支払います。これを納税申告と言い、申告額に相当する金額を納税しないと、原則として輸入許可は下りません。 関税率について ここで、輸入商品にかかる「関税率」について説明をします。実は、消費税のように全て一律10%(一部商品は8%)ではありません。 関税率は、大きく6つの種類に分けられています。 ざっくりと下記の種類があります。 ・基本税率 ・暫定税率 ・協定税率 ・特恵税率 ・特別特恵税率 ・経済連携協定(EPA)税率 関税率の種類について詳しくは、別動画でも解説しているので、概要欄にリンクを貼っておきます。 興味のある方はぜひご覧ください。 関税の基礎知識について 関税率の適応順位 原則として、関税率の適用順位は次のとおりです。 ①特別特恵税率、経済連携協定(EPA)税率 ②特恵税率 ③暫定税率 ※④協定税率 ⑤基本税率 協定税率は基本税率・暫定税率より低い場合に適用され、基本税率・暫定税率は協定税率と同じか低い場合に適用されます。 基本税率・暫定税率>協定税率 → 協定税率が適用 基本税率・暫定税率≦協定税率 → 基本税率・暫定税率が適用 特別特恵税率、経済連携協定税率、または特恵税率の場合は、「無税」または「一般の税率より低い税率」が適用されます。 輸入者側としては、できるだけ低い関税を適用されたいですよね。 しかし、これらの優遇された関税率を適用させるためには、対象国の原産品であることを証明した「原産地証明書」が必要となります。 原産地証明書の発行には、輸出者の手続きが必要となるので、必ず輸入申告時までに送付してもらうようにしましょう。 原産地証明書を提出するのとしないとでは、関税率が大きく異なります。貿易取引で損をしないよう、気をつけましょう。 例1:乳児用手袋を日本へ輸入 では、インドネシアから乳児用の手袋(編み方はメリヤス編み)を輸入したときの関税率を例として、紹介します。 今回、編み方を「メリヤス編み」と指定しているのには理由があります。 輸入品が衣類の場合、HSコードは次の3つのカテゴリーに分けられます。 ・61類:メリヤス編み、クロセ編み ・62類:メリヤス編み、クロセ編み以外 ・63類:新品ではない中古の衣類品 HSコードについて HSコードとは、Harmonized Commodity Description and Coding Systemの略称で、貿易取引で扱われる商品に充てられる分類番号のことです。 その商品がどういうものなのかを世界共通で理解できるように統一されたシステムで、輸出入をスムーズに行うために重要な役割を果たしています。 HSコードについては別動画で詳しく紹介しているので、興味のある方は概要欄のリンクをぜひご覧ください。 HS Codeについて HSコードの確認 商品を輸入するためには、「HSコード」と「適用される関税率」を事前に調べましょう。 今回の例の乳児用の手袋のHSコードをウェブタリフで調べてみると、次のコード番号であることが確認できます。 6111.20-1504 分類番号は、輸入する商品の材質や構成、男性向けまたは女性向けか、などから決められます。品目の分類が難しい場合は、個人で判断せずに税関やフォワーダーへ相談するようにしましょう。 関税率の確認 乳児用の手袋、HSコード「6111.20-1504」の関税率は次のとおりです。 ・基本税率:9% ・暫定税率:7.4% ・協定税率:- ・特恵税率:- ・特別特恵税率:無税 ・経済連携協定(EPA)税率:無税 今回はインドネシアから輸入しているので、経済連携協定税率が適用されます。 このとき、商品がインドネシア原産品であるかがポイントです。 ①インドネシアの原産品であり、 ②輸出者側から原産地証明書が発行され、 ②税関で受理される。 上記に当てはまると、「経済連携協定税率が適用された」となり、関税は「無税」になります。 もしここで、輸入者が、経済連携協定税率が適用されることを知らなければ、暫定税率の7.4%が適用されてしまい、本来無税のはずが大きな損を受けてしまうことになります。 しかし、このような場合には、輸入申告時に、税関あるいはフォワーダーから指摘が入ることが多いです。 例2:革靴を日本へ輸入 それではもう一つ、「革靴」の輸入を例に挙げて紹介します。 革靴は、さまざまな輸入商品の中でも関税が高いことで知られています。 基本的に、革靴の関税率は「一足あたり4,300円、または、商品価格の30%のどちらか高い方」です。 関税割当制度 革靴の輸入は関税割当制度の対象商品となりますが、今回の解説では割愛しています。 関税割当制度とは、特定の品目を対象に、一定の輸入数量の枠内に限り無税または低い税率の関税(一次税率)を適用させるというものです。 この一定の輸入数量を超える分については、一次税率より高い税率の関税(二次税率)を適用することで、国内生産物を保護します。 革靴の関税率 今回はマレーシアから、マレーシア原産品である革靴を輸入することにします。 商品である「革靴」のHSコード「6403.59-019」の関税率は、次のとおりです。 ・基本税率:- ・暫定税率:- ・協定税率:30%又は4,300円/足のうちいずれか高い税率 ・特恵税率:- ・特別特恵税率:- ・経済連携協定(EPA)税率:無税(協定国によっては関税率あり) マレーシアから輸入する場合は、経済連携協定税率が適用されるため無税となります。 しかし、原産地証明書を申告時に提出しなければ、協定税率が適用され、商品の30%又は4,300円/足のうちいずれか高い税率で支払わなければなりません。 革靴はさまざまな品目の中でも特に高い関税率ですので、革靴を輸入する際は、関税率についてあらかじめ理解しておくとよいでしょう。 まとめ 今回は、関税率の適用順位と2つの品目を例に関税率についてご紹介しました。 関税率は一見難しそうに思われがちですが、覚えておくのは今回紹介した6つの関税率のみです。 ややこしいHSコードは、私たちフォワーダーや税関に任せておけば大丈夫です。この動画でざっくりでも関税率の基本ルールを理解してもらえれば、幸いです。 今回の動画が役に立ったという方は、チャンネル登録、いいね、SNSでのシェアをどうぞ宜しくお願い致します。 今回は以上です。どうも、ありがとうございました! ・Twitter で DM を送る https://twitter.com/iino_saan ・LinkedIn でメッセージを送る https://www.linkedin.com/in/shinya-iino/ お問い合わせは「ツイッター」と「LinkedIn」のみで承っております。

なぜ?北米のディスカウント店が大盛況!サプライチェーンのボトルネックをビジネスチャンスに。 | 物流ニュース・物流ラジオ

なぜ?北米のディスカウント店が大盛況!サプライチェーンのボトルネックをビジネスチャンスに。

どうもこんにちは、飯野です。 本日はウォール・ストリート・ジャーナルの記事から、「サプライチェーンの乱れによる出荷遅れで、ディスカウントストア大盛況」についてお話していきたいと思います。 2022年3月23日イーノさんの物流ラジオ ディスカウントストアの盛況 一般の小売業者を悩ませているサプライチェーンの乱れが、アパレルのディスカウントショップに利益をもたらしていると記事は報じています。 港の混雑により、入荷の遅れた衣類などをディスカウントストアのバイヤーが買い占めています。 サプライチェーンの問題を活用 アパレルは季節商品なので、シーズンを過ぎた衣類を大手ブランド店が余った在庫をディスカウントチェーンに売却したり、アウトレット店に大幅値下げで移したりするのが小売業のパターンです。 コロナ渦には、小売店による在庫補充ラッシュがありました。 それによりロサンゼルス港やロングビーチ港などの主要港が大混雑し、配送に大きな遅れが出るきっかけとなりました。 独自の購買チャンス アメリカのアナリストは、「サプライチェーンの混乱は、主に在庫処分のためのオフプライス小売業者にとって独自のチャンスを生み出す」とし、「フルプライスの小売業者は遅延している注文を受け入れるか否かを決めなければならない」と述べています。 ディスカウントストアにとってはチャンスであり、定期販売している小売店には分岐点になります。 あるディスカウントストア・チェーンの担当者は、サプライチェーンの問題は「独自の商品供給力をもたらした。私たちは現在の市場でチャンスを狙い、ブランドへアクセスする重要な力を持っている」と発言しています。 小売業者の過剰在庫 多くの小売業者が前倒し発注を行い、大手商社が船をチャーターしてボトルネックを回避していますが、現在の遅延により春物商品の発売が危ぶまれています。 GAPのCEOは、西海岸の港の混雑と昨年のベトナム工場の操業停止により、季節商品には8週間から10週間の遅れが生じたと述べました。 また、あるアパレル小売企業は、出荷の遅れのため、秋にアウトレット店で販売する商品の1200万ドル相当の在庫を保管しているそうです。 ディスカウントストアの購買環境 このサプライチェーンのボトルネックは、ディスカウントストア自身の購買活動にも影響を及ぼしています。 ディスカウントストアのバーリントンは、リードタイムの長期化、輸送中の商品の増加により、在庫が直近の1年間で、10億2000万ドルに達したと報告しています。これは2年前の7億7700万ドルから約30%の増加です。 同社のCEOは、小売業全体で出荷問題が起こったが、これらの問題により、オフプライスの購買環境は実に好調である、と述べています。 ビジネスチャンス 在庫が増えているとはいえ、小売業者の売上高に対する在庫の比率は、最近になって徐々に上昇していますが、まだ歴史的には低水準にとどまっています。 ディスカウントストアのサプライチェーンに流入する商品の数が増えるという見通しです。 業種によっては、コロナによって良い方向に向かい、ビジネスチャンスになることもあります。こういった経済の流れを読むには、常日頃から時世や情報をたくさん得ることだと思います。 こういった情報も日々アップデートしていきたいと思います。

7月北米西岸港湾の交渉、混雑回避に向けて荷主は準備。東岸での貨物量に変化。 | 物流ニュース・物流ラジオ

7月北米西岸港湾の交渉、混雑回避に向けて荷主は準備。東岸での貨物量に変化。

どうもこんにちは、飯野です。 本日はWSJの記事から、「北米輸入業者が7月に行われる北米の労働協約に備えて、サプライチェーンを再構築している」というテーマについてお話していきたいと思います。 2022年3月22日イーノさんの物流ラジオ 7月、北米西岸労働協定失効 今年の7月に北米西岸の労働協約が期限を迎えて失効し、再交渉が始まります。その間は北米の西海岸の港湾でストがある予定です。 2014年の交渉の前回のストライキも結構長引いて、西岸港湾の機能が落ち、東海岸を使う動きがありました。 荷主の早期対応 今回もストがあり、まだサプライチェーンの目詰まり解消していないので、荷主さんたちはとにかくストに備えようとしています。 一部の荷主は今年の年末年始のホリデーシーズンの注文を前倒し、西岸から東海岸、メキシコ湾岸へ貨物を迂回させようとしています。 とはいえ、「選択肢に限りがあるため、未だに多くの企業がLA港、LB港経由での貨物受け取りを希望している」と3rd パーティーロジスティクス会社の社長は述べています。 今回の西岸の労働交渉 西岸の労働交渉は、シアトルがあるワシントン州からLA、LB港がある南カリフォルニアまでの29港の、22,400人の港湾労働者を対象としています。 今年の交渉はサプライチェーンの混雑により、何十隻も沖待ちしている中行われることになります。 多数の沖待ちの中での交渉 西岸の混雑をさけるため、ヒューストン港から、ジョージア州のサバンナ港、サウスカロライナ州のチャールストン港まで沖待ちが発生しています。 北米の各港で沖まちが発生している状態での交渉になります。 個人的には労働組合側の交渉が有利に感じます。この状況を早く解決したかったら、要求をのむように進めるような気がします。 船社との交渉 あるロジスティクス会社の社長は、「スペース確保のため、例年より早い時期に契約に合意した荷主もいた」と述べています。 日本と同じ感じで、とにかくスペース優先志向です。 「LA、LB港は米国の輸入コンテナの40%近くを取り扱っており、他の港ではLA、LB港の貨物の多くを処理することは難しいだろう」と同氏は発言しています 大手小売企業は、東海岸で確保できるキャパシティには限界があることを理解しているし、あまり遅くなると、東海岸向けのスペースは埋まってしまう可能性があるとのことです。 中小の輸入者は長期契約取れず、直前予約しかできません。緊急時の対応策はあっても、どの程度の混乱が生じるかは様子を見るしかありません。 東海岸でのコンテナ取扱量増加 今、東海岸の取扱量に変化があります。 ここ数ヶ月、東海岸の港を経由するコンテナ量は西海岸を経由するコンテナ量よりも急速に増加しています。 この理由は、単にLA、LB港での混雑により、貨物の取扱量低下したため、東海岸の港へ迂回されたのか、まだ明確にはなっていません。 西海岸の主要港への輸入は12月に前年比14%減少、東海岸の輸入量は13%近く増加し、メキシコ湾岸の輸入は14%近く増加しました。 労働組合との交渉 全米小売業協会は2月、港湾労働者組合(ILWU)と使用者団体である太平洋海事協会(PMA)に対し、早期に協議を開始するよう促しました。 今回の協議内容は、西海岸の就業規則、自動化、福利厚生など多岐にわたります。 太平洋海事協会(PMA)は、3月16日に直ちに交渉を開始する準備ができているとしましたが、港湾労働組合(ILWU)は、5月までは準備が整わないとしています。 交渉長期化の懸念 ILWUとしては市場が混乱している方が有利に交渉を進められるため、すぐにやる理由はありません。 小売業連合会のサプライチェーン担当副社長は、「多くの荷主は契約が切れる6月末までに交渉がまとまるとは思ってはいないが、ILWUとPMAもこれ以上の混乱が起きないように尽力をつくしているのか?そのようには全く見えない」と述べています。 労働組合側に有利な状況なので、今回のテーマの港の自動化なんて通らないかもしれません。 交渉にはだいぶ時間かかりそうです。 また情報あり次第アップデートしていきたいと思います。

運賃交渉にて、フォワーダーに厳しい条件。ネームドアカウントが縮小、運賃アップ。 | 物流ニュース・物流ラジオ

運賃交渉にて、フォワーダーに厳しい条件。ネームドアカウントが縮小、運賃アップ。

どうもこんにちは、飯野です。 本日は海事新聞のニュースから、「フォワーダーへのコンテナ運賃交渉、ネームドアカウントが縮小」についてお話していきたいと思います。 2022年3月18日イーノさんの物流ラジオ フォワーダー向け運賃交渉 日本市場で2022年度のコンテナ運賃の交渉は実荷主向けが終盤戦を迎えており、これからフォワーダー向けが本格的にスタートします。 現在の状況では、船社側が実荷主を重視している姿勢がより鮮明で、フォワーダー側では警戒感は強まっています。 ネームドアカウント縮小 具体的には、船社側はフォワーダーに対し、特定の荷主の代理となるネームドアカウントを例年以上に縮小するだろうということです。 フォワーダーが「〇〇社の運賃はいくら」という形で割安な価格を入手していたものが、だんだんなくなっていきます。 一部の船社では、フォワーダーへの運賃は毎月改定のFAK一本にするところもあります。 縮小の背景 ネームドアカウントは、FAKなどに比べて安いですが、船会社にとっては一定の貨物量を見込めるほか、細かい荷主との調整もフォワーダーに委託できる利便性があります。 しかし、船社関係者は、「北米向けのネームドアカウントでは、フォワーダーが元受けになるといっても、実際は船社がトラックを手配してドアデリまで行っている。それなら船社が直接、実荷主と契約した方がいい」としています。 スペース逼迫の影響 以前では、船社は船のスペースを埋めるためフォワーダーに対して、あえてネームドアカウントの運賃を提供してきたという意識がありました。 しかし現在はスペースが逼迫しているため、スペースを埋める努力をする必要はありません。船社としても無理にネームドアカウントの運賃を提示する必要もなく、その縮小する方向で動いています。 昨年もネームドアカウントを縮小していた船社がありました。 今年は複数船社が特にスペースが足りていない北米航路で、フォワーダーへのネームドの運賃提供を中止するなど、縮小傾向はより顕著になっています。 北米内陸向け 北米の内陸向けも、これまではフォワーダーへのネームドでは内陸地点の倉庫までのドアデリバリーを提供していましたが、FAKでは内陸向けも鉄道ランプまで(倉庫まで運びません)、フリータイムもタリフ通りなど、かなり条件が厳しくなっています。 フォワーダーにとって厳しい状況 フォワーダーにとっては運賃仕入れの選択肢が減るため、一般的には厳しくなるとみられています。 特定の荷主に対して、有利な価格で得ていたのがなくなり、特定の荷主への運賃が上がる可能性があり、そうすると、他のフォワーダーに取られやすくなります。 事業拡大のチャンス フォワーダーによっては、購買力や海上以外のネットワークを活用することで、逆に事業拡大のチャンスと捉える向きもあります。 タイではネームドという概念があるかどうか分かりませんが、弊社ではネームドはもらっておらず、全部毎月改訂のFAKレートで戦ってきました。 フォワーダー同士の協力 今回は主に日本から北米向けの話ですが、こういうのことが世界的に広まると弊社のようなローカルの立場では更に攻めやすくなるという印象です。 ネームドを持っている一部のフォワーダーさんには厳しい状況ではあります。 昨日もお伝えしましたがデジタル化も含めてフォワーダーの立場での状況が変わってきています。 個人的に大切だと思うのは、フォワーダー同士の協力関係であり、強みを活かし合うことではないでしょうか。 業界が変わって行くタイミングだと思いますし、大手さんは、大手で独自でいけるかもしれませんが、弊社のような中小は特に協力が必要なのではないかと思います。

海上輸送、燃料費高騰!ロシア・ウクライナ情勢で記録的な燃料価格、年間70億ドルの追加コスト?! | 物流ニュース・物流ラジオ

海上輸送、燃料費高騰!ロシア・ウクライナ情勢で記録的な燃料価格、年間70億ドルの追加コスト?!

どうもこんにちは、飯野です。 本日JOC.comの記事から、「荷主、運賃上昇に加え、燃料サーチャージの上昇に直面」についてお話していきたいと思います。 2022年3月16日イーノさんの物流ラジオ コンテナ運賃大幅引き上げ ロシアがウクライナに侵攻した後に石油市場が高騰しています。 バンカー変動燃料価格がここ2週間で大幅に上昇し、現在ただでさえ高い海上運賃なのに、さらにコンテナ運賃の大幅引き上げの可能性があるということです。 低硫黄燃料価格高騰 石油価格報告機関によると、低硫黄燃料(VLSFO = Very Low Sulfur Fuel Oil)の価格は、2月24日のロシアのウクライナ侵攻前に比べ、なんと26%上昇。 現在シンガポール、ニューヨーク、ロッテルダムの主要ハブ港で1トン当たり平均986ドルとなっています。 以前、燃料価格について放送した際、2月14日付シンガポール市場の低硫黄重油の価格は、トン当たり752ドルでした。 この1ヶ月で、230ドル/トンほど上がっています。 スクラバー搭載でC重油使用 低硫黄燃料はスクラバーが装着されていない世界の船体の70%を動かしています。スクラバーというのは排ガス洗浄装置のことです。 質の悪いC重油を燃やすとPM2.5が発生するため、質の高い低硫黄燃料を使いましょうという規制がありますが、スクラバーを搭載していると、船は従来の価格の安めなC重油を使えます。 C重油高騰 とはいえ、C重油も現在は650ドル/トンに上昇しています。 2月中旬で536ドルでしたが、ここひと月ほどで約120ドルの値上げを見せています。 低硫黄重油がUSD980/トン、C重油がUSD650/トンでUSD330/トンの差があり、かなりC重油にメリットのある価格差になってきています。 価格高騰の影響 Hapag-LloydのCEOは先週木曜日の記者会見で、「エネルギー価格の上昇は本当に心配なことである」と述べています。 「燃料価格は1トン500ドルから1,000ドル程度まで上がっている」と続け、「Hapag-Lloydは年間450万トンの燃料を使用しているため、20億ドルから25億ドルのレンジでの、追加コストを意味する」としています。 記事は、荷主は、通常燃料価格に1〜2ヶ月遅れて請求が来るBAFを通じて、燃料費上昇のピンチを感じることになるだろうと報じています。 BAFについて 海上輸送の費用には、BAF(Banker Adjustment Factor)という燃料の割増料金があります。FAF、EBSという名前でも使われており、燃料費の変動があったときに調整される費用のことです。 燃料費用は船社がある期間まで契約しており、その間は基本的に上がらないことになっています。緊急のBAFというのは以前にとても不評だったため、Hapag-Llyodは今回は緊急のBAFやサーチャージを課すつもりはないと伝えています。 BAFの価格が上がり、今後、荷主の費用負担が増してきます。 コンテナ船業界への追加コスト 分析会社のSea-Intelligence は最新のニュースレターで、「バンカー燃料価格が年間を通して現在の水準で推移した場合、コンテナ船業界は年間70億ドルの追加コストを負担することになる」と推定しています。 燃料費の高騰は船会社にとっては大きな負担です。 コスト負担は? 同じく、海上輸送の分析会社Vespucci MaritimeのCEO兼パートナーは、今週のLinkedInに投稿した記事で、「このコストはすぐに転嫁される」と警告しています。 「荷主は、次回の運賃改定で記録的な高額のバンカー・サーチャージが課されることを予期するだろう」と述べています。 船社がこの費用を吸収するのか、荷主に遅れて請求するのか、もしくはすぐに荷主に転嫁するのかが注目だと思います。 低硫黄燃料費がUSD980/トンは過去最高値だと思います。C重油との価格差もかなり空いてきたので、スクラバーに投資する船会社も出てくるかもしれません。 実務やっている現場としては、やはり運賃の値上がりが気になるところです。最近は、コントロールできないことが色々起こりすぎていると実感しています。 また情報アップデートしていきます。

貿易取引における決済方法 1 – L/C, D/A, D/P | 輸送・ロジスティクス

貿易取引における決済方法 1 – L/C, D/A, D/P

この記事を動画で見る どうもこんにちは、飯野です。 今回は貿易取引における決済方法について、解説していきたいと思います。 荷為替手形決済 貿易における決済方法は、大きく2つに分かれます。 銀行が輸出者と輸入者との間に入って代金の立替えをするかしないかによって、「荷為替手形決済」と「外国為替送金決済」に分かれます。 今回の動画は「荷為替手形決済」を中心に解説をし、「外国為替送金決済」は別の動画で解説することにします。 荷為替手形とは 荷為替手形とは、為替手形という輸出者が輸入者に商品代金を支払うよう指示した手形に船荷証券(B/L)や輸入国での通関に必要なInvoice, Packing Listなどの船積書類を添付したものです。 そして荷為替手形には、「信用状付手形」と「信用状なし手形」があります。 海外とのビジネスのリスク 海外の企業とビジネスを行う貿易取引には、さまざまなリスクがつきものです。 例えば ・国の違いによる、言語・法制度・経済状況などによるリスク ・貨物の損害リスク ・為替変動のリスク ・信用性のリスク ・代金回収のリスク ・商品入手のリスク ・資金負担のリスク 今回のテーマ「決済方法」に焦点を当てる場合、「信用性のリスク」と「資金負担のリスク」に注意をしなければいけません。 なお、為替変動のリスクも大きいのですが、為替予約を行うことでリスクを回避できるので、今回は割愛しますね。 信用性のリスク まず「信用性のリスク」です。 信用性のリスクは相手先の経済状況などの情報が把握しにくいことから信用上の不安を持ち、契約を進めても問題ないかの確証が持てないことです。 もし相手側の信用状態を把握しないまま契約を結んでしまうと、資金繰りの都合で決済が遅れる、などのトラブルが起こる可能性があります。 確実に代金回収を行うためには、ビジネスを始める段階から信用調査機関などを利用して相手先の信用状態を把握することが大切です。 資金負担のリスク 次に「資金負担のリスク」とは、前払い・後払いかの決済方法により、輸出者または輸入者が代金を立て替えることで、どちらかが一方的に資金を負担するリスクのことです。 輸出者と輸入者ともに、資金運用を滞りなく回すために双方が交渉をしてなるべくリスクを負わない決済方法で契約します。 リスク回避の決済方法 貿易取引において、これらの2つのリスクを回避できるのは、「信用状付荷為替手形決済」- 通称 L/C決済です。 信用状と荷為替手形を組み合わせることで、輸出者・輸入者双方の負担を軽減させることができます。 貿易取引における決済方法 次に貿易取引で利用される代表的な決済方法についてご紹介していきます。 ・信用状付荷為替手形決済(L/C決済) ・信用状なし荷為替手形決済(D/A、D/P決済) そして、これらに加えて「外国為替送金決済(T/T決済)」もあるのですが、別の動画で解説しますね。 それでは、それぞれのメリット・デメリットを含めてみていきましょう。 信用状付荷為替手形決済 まず「信用状付荷為替手形決済」です。これは一般的にL/C決済と呼ばれています。 輸出者が信用状条件に記載されている書類を銀行へ呈示することを条件に、銀行が輸入者に代わって商品代金の支払いを確約する決済方法です。 銀行へ提出する書類が信用状の内容と相違があれば、支払いが行われない場合があります。 L/C決済のメリット メリットは、信頼性の高い銀行が輸入者に代わって代金を支払ってくれるため、輸出者は安心して取引ができます。 ここで注目すべきは、輸出者は輸入者からの代金決済を待たずに、輸出地で荷為替手形を呈示すると代金を回収できるということ。 輸出者は少しでも早く商品代金を受け取りたいので、L/C決済は輸出者側にとって安心な決済方法と言えます。 L/C決済のデメリット デメリットは、銀行が間に入ることで高い手数料が発生すること。 また、書類に不備(ディスクレ)があれば、決済に時間がかかり、同時に輸入者も船積書類を受け取るのが遅くなってしまうことも難点です。 信用状なし荷為替手形決済 次に「信用状なし荷為替手形決済」です。 これには D/A決済(引受時書類渡し:Documents against Acceptance) D/P決済(支払時書類渡しDocuments against Payment) の2種類の決済方法があります。 輸入者に手形を引き受けてもらう(Acceptance)か、決済してもらう (Payment)か、いずれかの方法で輸出者は代金を回収します。 D/A決済 D/A決済は、輸入者が手形期日までに支払いを引き受けることを条件に船積書類を引き取ることができる条件のことです。 輸入者は手形に記載されている期日まで支払いが猶予(期限)されていることから、期限付手形(ユーザンス手形)とも言われています。 そして支払日の記載には、次の2種類があります。 D/A決済の記載 D/A決済の支払い日の記載の一つは ・一覧後定期払い 「At ○○ days after sight」と記載されていて、輸出者が○○の日数を設定します。 輸入者は手形を引き受けた日から○○日後に支払う義務がある、ということが明記されています。 D/A決済の支払い日の記載のもう一つは ・確定日後定期払い 「At ○○ days after ×× days」と記載されていて、××にはB/L dateなどの確定日が設定されていることが多いです。 輸入者は××に表記された確定日以降の○○日後に支払う義務がある、ということが明記されています。 D/A決済のメリット・デメリット D/A決済のメリットは、輸入者にあります。 なぜなら、輸入者は決済前に船積書類を入手し商品を受け取ることができるからです。 一方で、輸出者からすると、輸入者が手形を引き受けた時点で商品所有の権利が移ってしまうので、輸入者の信用度だけがよりどころとなるリスクの高い決済方法です。 D/P決済 次にD/P決済について説明をします。 D/P決済は、荷為替手形の決済をすれば輸入者は船積書類を引き取ることができる条件のことです。 手形を決済(一覧)しないと書類を受け取れないことから、一覧払手形(At Sight手形)とも言われています。 D/P決済のメリット・デメリット D/P決済のメリットは、輸出者にあります。 なぜなら、輸入者が決済を行わない限り書類が渡されることがないので、代金回収リスクを避けることができ、商品も輸出者側の所有となるからです。 逆に、輸入者は商品を受け取る前に支払う必要があるので資金を負担することになります。 決済方法の選び方 D/A決済とD/P決済は、L/C決済と異なり、輸出者が荷為替手形を銀行へ提出しても、すぐには代金を回収することができません。 そのため、輸出者の立場からすると輸入者によほどの信頼がない限り避けたほうがいいかもしれません。 特に初めての取引ではリスクを考慮してL/C決済を利用するケースが多いです。D/AとD/P決済を行う場合は、包括保険への加入を検討するようにしましょう。 もし「コストを少しでも抑えたい」、「取引相手との信頼関係がまだ築けていない」、「書類の取引はややこしいから避けたい」という場合は、L/C決済やD/A・D/P決済ではなく、外国為替送金(T/T決済)の方がスムーズです。 外国為替送金についてはまた別の動画で解説させて頂きますね。 まとめ いかがでしたでしょうか。 今回は海外と取引を行う上で重要視すべき決済方法について解説しました。 初めての取引で不安のある場合はL/C決済、また取引になれた企業間ではD/A、D/P決済をするというように取引に合わせた決済方法を上手く選択することが大切です。 今回ご紹介した決済方法のメリット・デメリットを理解し、ビジネスが有利に働くように心がけましょう。 もし今回の動画が為になったという方はチャンネル登録、いいね、SNSでのシェアをよろしくお願いします! 今回の内容は以上になります!ありがとうございました! ・Twitter で DM を送る https://twitter.com/iino_saan ・LinkedIn でメッセージを送る https://www.linkedin.com/in/shinya-iino/ お問い合わせは「ツイッター」と「LinkedIn」のみで承っております。