
2021.06.28
インコタームズの取り決め方
どうもこんにちは飯野です。 今回は貿易取引におけるインコタームズの決め方についてお話をしていきたいと思います。 このチャンネルではインコタームズについて複数の動画で解説をしております。なのでインコタームズのルールは理解出来たけれども、そもそも貿易取引においては、誰が決めるの?と疑問に思われた方もいるかもしれません。 貿易の初心者にとっては意外な盲点かなと思いますし、これについて知っている方が貿易を有利に進められるケースもありますので、今回は詳しく解説をしていきます。 それではいってみましょう。 インコタームズの基本概念 最初にインコタームズの基本的な概念をご説明させて下さい。インコタームズは輸出者と輸入者の間で取り決められる、 貨物輸送の A.「費用」と「責任」を B.「誰が」「どこからどこまで」を負担するのか を明確にしたルールです。 詳しくはこの動画でインコタームズという再生リストにまとめていますので、そちらをご覧ください。 いつ・どのように決められるの? インコタームズは輸出者と輸入者の間で取り決められると説明しましたが、いつ、どのように決められるのでしょうか?これは見積もりを依頼する時点で、どちらかが提案します。 輸入者、いわゆる購入者が見積もり依頼をするときに、例えばFOB Bangkokで見積もりを下さいと言ったり、CIF TOKYOで見積もりを出して下さいと伝えます。 もしくは輸出者、販売者がこの商品の値段はこんな感じだよと伝えるときに、FOBで出してきたり、ご丁寧に相手国の港までのCIF価格を計算して出してくれる場合もあります。 インコタームズを含んだ価格について ここで、このインコタームズを含んだ価格について説明します。例として、タイの工場から日本の東京の倉庫に、冷凍マンゴーを輸送するものとしましょう。 輸入者が日本で販売する為の原価計算をする時には、製品代金に加えて、タイの工場から東京の倉庫までの「輸送費用」を確認しないといけないですよね。 EXWでの製品価格 例えばこれがEXWで見積もり依頼をした場合。EXWは輸出側の工場で受け渡しという条件なので、輸送費用が含まれていない見積もりが、輸出者から出てきます。 このときに輸入者は製品代金と別に、自分で輸送費用を確認しなければいけません。日本側のフォワーダーに依頼をして、タイの工場の住所から東京の配送先までの住所を連絡して費用を確認します。 FOBでの製品価格 次に、FOB Bangkokで見積もり依頼をした場合。FOBは輸出側の港にて、船の上で貨物を受け渡す条件です。この場合、輸出者は製品代金にバンコク港までのタイ国内の輸送費用、通関費用、港の費用などの諸経費を含めて見積もりを提出します。 バンコクの港から東京の倉庫までの輸送費用は輸入者が自分で確認します。 CIFでの製品価格 そして、CIF TOKYOで見積もり依頼をした場合。CIFは輸入側の港で貨物を受け渡す条件です。この場合は、輸出者は製品代金に東京の港までの、タイ国内の輸送費用、輸出通関費用、輸出側の港の費用、海上運賃、保険代金を含めて見積もりを提出します。 輸入者が貿易に得意であればあるほど、EXWを指定して、工場からの全ての物流を自分でコントロールすることが出来ます。反対に貿易があまり得意でないという場合はCIFやDDPなど輸送を輸出側に任せる事も出来ます。 貿易の得意・不得意について この貿易の得意・不得意についても、もう少し詳しく解説しましょう。 頻繁に特定の商品を輸出入していたら、その貿易取引について詳しくなりますよね。各国の規制、運賃の相場、安全に運ぶ方法なども経験から最適なものを選べると思います。 例えば、先ほど説明したEXWで冷凍マンゴーをタイから日本に輸入する場合。EXWはタイ国内の輸送も日本からコントロールすることになります。何か問題があった時でも取引のあるフォワーダーが、タイの輸送でも問題なく対応してくれるという安心感がないと選ぶのは難しいでしょう。 また輸送量も大きなポイントです。もし輸入者がバンコクから東京までを、毎月1本のコンテナで輸送しているとしましょう。しかし輸出者は東京に複数のお客さんがいるとして、バンコクから東京まで毎月10本のコンテナを輸送しているケースもあります。 この場合、輸出者と輸入者でどちらの方がフォワーダーから価格メリットがある海上運賃を得られるでしょうか?一般的にボリュームの多い方が交渉もしやすくメリットのある輸送費用を得られます。 なので自社での取扱量が少ない場合で、輸出者が複数の取引先をその国に持っている場合は、輸出者側にCIFで見積もり依頼する方がメリットがあるケースもあります。 特定の地域に強いフォワーダーに依頼する 他には特定の地域に強いフォワーダーと取引があること。自社の輸送量は多くないけれども、タイから日本までの輸送を得意としているフォワーダーと取引が出来れば、メリットのある輸送費用を得られることが出来ます。 この場合は自社の取り扱いが毎月1本だっとしても、EXWやFOBでも良いでしょう。 弊社の場合ですと、タイから日本であれば毎月100本以上のコンテナを輸出していますので、弊社にご連絡を頂ければメリットのある輸送費用をご提案出来ます。 このように輸出者、輸入者、フォワーダーの、取り扱い輸送量を考慮し、自社にとってメリットのある条件を選ぶのが、貿易取引におけるインコタームズの選び方になります。 まとめ それでは今回の内容をまとめましょう。 今回はインコタームズのルールを理解しているけど、インコタームズの取り決め方が分からないという人のために解説をしました。インコタームズは輸出者と輸入者の間で取り決められ、輸入者(購入者)が見積もり依頼をするときに、FOB BangkokやCIF Tokyoのように指定して条件を決めます。 その条件を決める際に有利になる情報は輸出者・輸入者の取り扱いボリュームです。輸送量が多いほどメリットのある運賃を得ることが出来ます。また、あなたが特定の地域を得意としているフォワーダーと取引があれば、自社のメリットのある条件を選ぶ方がよいでしょう。 今回説明したように、単にインコタームズを選ぶだけでも「正しい貿易の知識」がある方が、あなたの取引は上手くいく可能性があります。このチャンネルでは使える貿易・物流の知識を定期的に更新していきますので、是非チャンネル登録をして学んで頂ければと思います。 今回のお話は以上です!ありがとうございました! ・Twitter で DM を送る https://twitter.com/iino_saan ・LinkedIn でメッセージを送る https://www.linkedin.com/in/shinya-iino/ お問い合わせは「ツイッター」と「LinkedIn」のみで承っております。