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2020年10月

物流YouTuberって何?タイでフォワーダーを経営する僕が「超ニッチ」なユーチューバーになった理由をお話しします。 | 物流ニュース・物流ラジオ

物流YouTuberって何?タイでフォワーダーを経営する僕が「超ニッチ」なユーチューバーになった理由をお話しします。

今日は動画を始めた経緯についてお話をしてみたいと思います。 今年の4月からこの動画を始めて、現在で半年がたちます。 改めて振り返ってみますとこの動画を始めた経緯をお伝えするのも面白いかと思いました。 動画を始めた理由 その1 最初は思いつきから この動画を始めたきっかけは4月にタイではコロナの影響でロックダウンが始まって、本当にすることがなくなったからです。 自宅待機もありましたし、出社してもお客さんのところに営業に行けません。 その中で何をしようかと思っていて、ある時「あ、YouTuberになろう!」と思いました。 本当に思いつきでした。YouTuberになって何か発信をしてみたいなと思ったのがきっかけです。 コロナでもう新規営業できない? 他にも理由があります。 最近では世界中でコロナが広がっているとはいえ、タイではお客さんの会社や工場に問題なく訪問することが出来ています。 しかし、4月の時点ではどうなるか全く分かりませんでした。 実際にお客さん所に訪問して営業なんて出来るのか?新規の営業はかなり難しくなるのではないか?と不安になりました。 だから物流のノウハウをYouTubeで発信したら、それを興味があるお客さんから問い合わせがあり、そこに訪問で出来が出来たら何とかなるのではと思いました。 物流YouTuberになった半年の成果 実際この動画を半年やってみて、物流の問い合わせが動画から増えたかは まだ分かりませんが、見てくれている人は日に日に増えてるというのが数字で良く分かります。 今、チャンネル登録者数が2,500人を突破しています。見て頂いている皆様、本当にありがとうございます。 動画を始めた理由 その2 動画をスタッフの新人教育に利用 そして、他にもこの動画を始めた理由があります。 僕がやっているのは国際物流で、インコタームズ、B/L、フリータイムなど、世界共通のものが多いです。 だから最初は日本語で発信をして、それを英語に翻訳し、タイ語にも翻訳をする。そうするとタイ人のスタッフの教育に使えると思ってやり始めました。 弊社ではタイ人のスタッフを15名ほど雇っていますが、未経験の人を雇うこともあります。 残念なことに、未経験の人を採用・教育をして、知識がついてきた所で辞められることも沢山ありました。 辞められてしまうと、今まで教えてきた時間、労力が無駄になってしまいます。ずっとこれについて何とかしないと思っていました。 YouTubeを使ってタイ語で国際物流に関するノウハウ、知識を残します。 そして未経験の新人が入ってきたら、最初はオリエンテーションで概要を説明しますが、細かい物流のノウハウなどは動画を見ると理解が出来るようにしました。 動画がお客さんへの説明にも役だつ 他にも、既存のお客さんが物流に関する疑問などがあればURLを送るだけで、お客さんも動画を見てくれて簡単に理解してくれます。 更にお客さんのタイ人のスタッフ様にも理解をしてもらうために、タイ語版の動画もフル活用しています。 目標は「タイに関する物流のことならイーノさん」へ 次の目標としては、この動画を見てくれた人に「タイに関する物流のことならイーノさん」に聞いてみようと思ってもらうことです。 日本語だけではなく英語でも更新をしているので、国際物流の業務に関係する方がいらっしゃれば 日本語や英語の動画を通じて、「タイの物流なら弊社(HPS)を使ってみよう」と思ってもらえるようにすることです。 物流YouTuberの活動の感想 ほぼ思いつきや遊びで始めたようなYouTuberの活動ですが、半年やってきてみて意外にも伸びたなと僕が一番驚いておいます。 物流YouTuberとしての今後の展望 前回からフリートークスタイルで話もしており、物流のノウハウ以外にも実際に起こしてしまった物流のミスや問題についてお話をしようと思います。 まとめ では今回の内容をまとめましょう。なぜ僕が物流のYouTuberになろうかと思った理由は、コロナで暇だったからです。 他には「ニューノーマル」として、お客さんのところに行けなくなるかもしれないと思ったので、新しい営業の手段として始めました。 更に社員教育です。英語に翻訳してタイ語に翻訳して、自社やお客さんのタイ人のスタッフ様の物流に関する教育に役立てています。 最後は、国際物流では世界共通の内容が多いので、海外の各社スタッフ様から「タイの物流に関してイーノさん」に問い合わせをしてもらえるようにと思いを込めて更新をしています。 チャンネル登録などお待ちしております!

IATAの役割とは。航空貨物の安全な輸送に欠かせないIATAについて解説しました。 | 輸送・ロジスティクス

IATAの役割とは。航空貨物の安全な輸送に欠かせないIATAについて解説しました。

IATAという言葉を聞いたことはありますか? 航空貨物を取り扱っている方は、どこかで耳にしたことがあるかもしれません。 IATAはイアタまたはアイアタと読みます。 International Air Transport Associationの略で、日本語では国際航空運送協会といいます。 貿易に関する仕事をしている方は、IATAについて基礎知識をつけておくと航空貨物の取扱について疑問が時にある時にどういう人に聞けば良いのかということが分かります。 それでは、IATAについて詳しく説明していきましょう。 IATAとは何か ①どういう組織か IATAとは世界各国の国際航空会社が集まり、設立されたものです。 1945年に設立され、現在約290社の航空会社で構成されています。これは定期国際航空輸送会社の82%を占めています。 ②IATAの目的 IATAは航空会社の安全な運行を一番の目的としています。 安全、確実、そして経済的な航空運送を発展させ、航空貨物による貿易を推進、研究し、業者間での協力を目指しています。 また、最近では環境に対する影響を減らすことにも取り組んでいます。 IATAは世界中の航空輸送において同一のネットワークの中で、同様の輸送サービスが提供できる事を保証しています。 ③具体的に何をしているのか 国際定期便のスケジュールの調整のガイドラインを定めたり、航空運賃や発券・運用ルールを決め、実行することが重要な任務となっています。 航空会社の2レターコード、空港の3レターコードはIATAで決められたものであり、世界標準のものとなっています。 ④IATA公認代理店について IATAは航空券の販売には代理店制度をとっており、一定の基準を満たした認可された代理店が航空券を自社で発券することが出来ます。 旅行代理店などが航空券の発券のために取得していますが、貿易に関わるものとして重要なのがIATA公認貨物代理店です。 自社で航空貨物のB/Lを発券するにはIATA公認貨物代理店の資格が必要です。 また、IATAの公認貨物代理店になると日本のIATAなどが母体となって作られた社団法人 航空貨物運送協会(JAFA)の会員となります。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/airwaybill/?lang=ja" target="_blank"] ⑤ディプロマについて IATAでは国際航空輸送業務に関する知識を有する人を認定しています。 航空貨物を取り扱う代理店の公認認定基準として、各営業所に基礎コース以上のディプロマ資格者と危険物コースのディプロマ資格者が2名以上在籍していなくてはなりません。 航空貨物を取り扱うフォワーダーでAWBを発券するためには、ディプロマの有資格者が必要なのです。 JAFA経由でIATAのトレーニングプログラムに申し込み、講習と試験を受け、ディプロマの資格を取得できます。 コースには2つあります。 ・基礎コース 国際航空貨物の運送状(AWB)及び輸送スケジュールの作成、運賃計算等についての基礎知識を学びます。 ・危険物コース IATA危険物規則書についての関連書類、輸送梱包等の専門知識を問うものです。 危険物の資格は有効期限が2年間のため、2年に一度ごとに講習をうけ、試験にパスし更新していかなければなりません。 しかも、危険物の資格者が各営業所にいないと、危険品の取扱ができません。 試験は英語で行われ、世界100カ国で同じ試験問題を使っています。そのため、世界で通用する資格となっています。 航空貨物を取り扱うフォワーダーでは、基礎コースは新人の間に取得することが多く、費用は5万円以上かかります。 IATAに属していない航空会社について 近頃、台頭してきている格安航空会社はIATAに加盟していません。 そのため、今までのIATAの基準の運賃に満たない格安価格が設定されているのです。 IATAに関するその他の事 加盟していない格安航空会社が増えてきていることもあり、IATAの地位は以前に比べて下がってきていると言っている業界人もいます。 また、JAFAでの業界内会議で、料金について話が出たことがあり、そこでの話が独占禁止法にふれるということで参加していた業者が何社も摘発されてしまった過去があり業界内の協力のやり方が難しくなってきています。 そうであっても、IATAのルールは世界基準として使用されており、航空会社と航空関連企業との連携を図る意味でも、守るべきルール、ガイドラインとしてこれからも航空会社の運航に必要不可欠なものとなっています。 まとめ IATAについて、まとめてみました。 IATAは航空会社の安全な運行に必要なものです。 航空貨物について、疑問点があったらIATA航空貨物代理店に問い合わせてみるのが最善です。 ディプロマの資格に興味を持った方がおられましたら、航空貨物を取り扱っているフォワーダーに聞いてみましょう。

保税輸送について解説!OLTやILT輸送のメリットや必要手続きなどをご説明します。 | 輸送・ロジスティクス

保税輸送について解説!OLTやILT輸送のメリットや必要手続きなどをご説明します。

保税輸送はなかなか聞き慣れない単語かもしれませんが、貿易をする上で知っておくと役にたつことがあります。 フォワーダーにとって保税輸送は毎日当たり前のように手配しているとても身近なものです。 保税輸送について知り、輸出入のビジネスでコスト削減につながる可能性もありますので、しっかり理解していきましょう。 保税輸送とは何か 保税輸送とは、指定保税地域や保税蔵置場などの相互間で、外国貨物のまま運送することです。 外国貨物というのは関税や消費税を払っていない状態で、国内にある貨物ではありますが保税地域に置かねばならず、税関の管理下にあります。 この外国貨物のままというのがポイントなのです。 ここで外国貨物というのをおさらいしておきます。 外国貨物は日本に到着したばかりで、輸入の申告の許可をうけていないもの、または輸出の申告をした後に税関の許可をもらったあとのもので船や飛行機に積みこんでいないものをさします。 外国貨物を決められた場所に置いていないと、税関の役割である税金の徴収が難しくなります。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/hozei-chiiki-bonded-area/?lang=ja" target="_blank"] そのため、保税輸送とは指定保税地域や保税蔵置所などの許可を受けた場所から外国貨物を動かす際には、前もって税関の承認をもらってから承認をもらった蔵置所等に動かす運送のことをいいます。 一般的には保税輸送はOLT(OVER LAND TRANSPORT)と呼ばれています。これは陸送による保税輸送をさしています。トラックやドレージによる輸送です。 ちなみに内航船などを使い船による保税輸送をILT(INTER CORST TRANSPORT)といいます。コンテナのフィーダーや原料の輸送などに使われます。 保税輸送が必要な場面 保税輸送は実務で輸出入の手配をしていると色々な場面で行われていると実感します。 以下にどのような場面で保税輸送が行われるか紹介していきます。 ①指定保税地域から保税蔵置場まで 輸入の場合 一般的には海上コンテナは、指定保税地域(ヤード)に下ろします。そこですぐさまに輸入通関を行い、通関許可になれば貨物は内国貨物として引き取れるので、保税輸送は行われません。 そして、すぐに通関できない事情などがある場合は、保税蔵置所などに保税輸送することになります。指定保税地域は保管期限が1ヶ月と短いため、それを超して蔵置することはできません。 保税蔵置所は長く蔵置することを目的にフォワーダーなどが税関から許可をうけて、保税蔵置所の許可をもらっているもののため、フォワーダー自身の倉庫や提携倉庫に保税輸送し保管や貨物の検品などを行った上で、輸入通関することができるのです。 LCL貨物の場合、指定保税地域(ターミナル)から保税蔵置場(CFS – Container Freight Station)に保税輸送されてから、それぞれの混載貨物として搬入されます。 輸出の場合 輸出の場合でも、LCLでは保税蔵置所(CFS)でバンニングなどをしてそこで輸出通関した場合は、指定保税地域(ターミナル)まで保税輸送します。 ②保税工場で加工、製造する 保税工場では外国から輸入した原料を税関に届け出た方法で保税工場で外国貨物のまま加工・製造ができます。 その行為をするために指定保税地域から保税工場まで保税輸送します。 ③保税展示場で展示・改装・仕訳をする 保税展示場では外国貨物のまま展示会でお客様に見せたり、注文をとったりすることができます。 指定保税地域や保税倉庫から保税展示場へ保税輸送し、そのまま外国へ積み戻すことができます。 保税輸送をする理由 ここでは保税輸送をする理由について、紹介していきます。 保税輸送はLCL貨物では必然的に保税輸送しなくてはなりませんが、そういう理由以外でも、うまく保税輸送を使うことによってメリットを生むことができるのです。 それについて説明していきましょう。 ①保管料の節約 船からおろされた貨物は指定保税地域(ヤード)に蔵置されますが、そこでフリータイム(無料保管期間)が過ぎた後の保管料(デマレージ)は高額です。 船の航路、コンテナの大きさや種類によって金額が違いますが、一定のフリータイムを過ぎると一日あたりどんどん金額が加算されていきます。 すぐに通関できないもの、引き取りできないものは保税蔵置所へ保税運送した方が保管料がかからずに済むことが多いです。 もちろん、保税蔵置所でも保管料はかかります。 1ヶ月以内に引き取りできるのであれば ① 指定保税地域で1ヶ月以内の範囲で保管しデマレージを支払った方がいいのか ②それとも保税蔵置所に保税運送し保管料と保税蔵置所での入出庫作業料とを比べて どちらがお得か検討したほうがいいでしょう。 ②関税、消費税などの税金の支払うタイミングを図ることができる 例えば品物を海外で安く大量に仕入れたとします。販売先が決まるまで保税蔵置所で保管して、売れた時点で輸入通関し税金を支払えば資金繰りがよくなります。 このように指定保税地域では1ヶ月しか置けない物を保税蔵置所に保税運送すれば保管期限が2年となるため、販売のタイミングで税金の支払いを行うことが可能になるのです。 ③品物を確認してから輸入通関できる 輸入申告する前に保税輸送をして保税蔵置所で点検・仕分け等の検品を行うと実際の貨物にあわせた申告ができます。 例えばワインを輸入するとします。 一部の商品にラベル不良やワインボトルの割れがあり、輸入商品の価値がなくなったとき、税関の承認を受ければ関税や消費税未納の状態で品物の滅却処分ができます。 コンテナ単位で内容確認をせずに輸入通関してしまうと、なかなか後から関税や消費税を取り戻すことは難しいのです。 保税運送の手続き 外国貨物を運送する際には、税関に前もって承認を得る必要があります。 保税運送の流れ ①運送手段や運送先、記号、番号、品目、数量、価格等を記載した「外国貨物運送申告書」を作成し、税関に提出し承認を得ます。 ②必要があれば税関職員の検査があります。 ③関税額に相当する担保の提供を求められることがあります。 ④貨物の運送手段や距離等を踏まえて、相当と認められる運送期間を指定されます。 ⑤運送の承認を受けたものは、運送目録を蔵置場に提出した上でその確認を受けます。 ⑥運送目録を到着地の蔵置場に提出し、到着確認を受けます。 ⑦到着の確認を受けた日から1月以内に、「外国貨物運送申告書」を到着地の税関へ提出しなければなりません。 発送地、到着地の税関が同じ場合は簡易審査となります。申告価格等も必要なく、検査や担保の提供は求められません。 その他の保税輸送の制度 保税輸送は個別に一件ずつ手配するものだけではなく、包括保税輸送という制度があり1年以内期間を指定してまとめて申請することもできます。 船社のフィーダーやインランドデポへの定期的なコンテナ輸送に使用されます。 また、最近の認定事業者制度により保税輸送も特定保税運送者では保税輸送の承認をしなくても保税輸送が可能です。 まとめ 保税輸送について、ご理解頂けましたでしょうか。 保税運送は外国貨物を蔵置している保税地域からその他の保税地域へ運送することにより、保管期間を延ばしたり、税金の支払いのタイミングを変えたりすることができます。 保税輸送は貿易をしている上で、理解しているとメリットを受けられることがあるので、この記事をしっかり読んでおきましょう。

保税地域とは?通関手続きに関わる原則を解説しました! | 輸送・ロジスティクス

保税地域とは?通関手続きに関わる原則を解説しました!

輸出入で取り扱う貨物については輸出入の手続き前に、指定の指定の場所に搬入をする作業が生じてきます。 実は貨物の搬入場所には、明確なルールが存在しています。 まずは貨物を保税地域と呼ばれる場所に搬入をすることが多いのですが、保税地域とは一体どのような場所で どういった取り決めがあるのでしょうか? 保税地域は税関で取り決められ、輸出入代行業者の業務に大きく関わっています。 保税地域とは? 保税地域とは何かを理解する前に、まずは一旦輸出入の原則から考えてみましょう。 輸出の手続きの流れについては、次のようになっています。 輸出手続きの流れ 1. 国内貨物を搬入 2. 輸出通関で申告を行う 3. 外国貨物として船会社もしくは航空会社へ搬入 4. 海外へ運ぶ 輸出では初めに国内貨物をshipperの元から指定の場所まで搬入しています。 続いて、輸入の流れです。 輸入手続きの流れ 1. 外国貨物を搬入 2. 輸入通関で申告を行う 3. 国内貨物として日本国内へ配送する 輸入の場合では、初めに航空輸送もしくは海上輸送で外国から運ばれてきた貨物を飛行機・船から引き取り、指定の場所(上屋、ターミナル)へ搬入しています。 ※輸入通関時には、対象の貨物に関税が発生しています。 内貨と外貨の違い 扱いが変わるだけで、貨物そのものの内容は変わりませんが、輸出時に国内貨物⇒外国貨物、輸入時は外国貨物⇒国内貨物へと扱いが変化しています。 外貨とは、輸出時に通関で許可を受けた後の貨物、輸入時は通関前に外国から日本に到着した貨物を示します。 なので、日本国内にありながら外国貨物もそのまま持ち込みや保管ができ、日本ではない地域として保税地域というものが設けられています。 保税地域と通関について 通関手続きをする際には貨物を保税地域に持ち込み、通関許可が切れると貨物が内貨から外貨へもしくは外貨から内貨へ切り替わります。 基本的には、申告をして外貨もしくは内貨に切り替わった後に他の場所に輸送手配を行います。 保税地域に搬入し、申告をせずにそのまま貨物を保管している場合もあります。 保税地域の定義 保税地域とは、関税法第30条で定められており、日本国内で外国貨物の積み下ろし・運搬・保管ができる場所のことを示します。 外国貨物は、原則保税地域以外に置くことはできません。 よって、輸出入時に外国貨物扱いとなっているものは、保税地域に置かれなければなりません。 では、なぜ外国貨物に関して保税地域が設けられているのでしょうか。 保税地域は、税関がある場所から指定の距離までの間で設けられていなければならず、貨物は税関の管轄下に置かれ管理がしやすくなっています。 また、輸入通関時には申告貨物に対し関税を徴収しなければなりません。取り纏めて貨物を集約している保税地域が、確実な関税の徴収にも役立っていると言えます。 5種類の保税地域 保税地域は、機能と目的によって5つに分類されています。 それぞれの保税地域によって、貨物の保管期間も異なります。 ①指定保税地域 ②保税蔵置場 ③保税工場 ④保税展示場 ⑤総合保税地域 税関ホームページより(https://www.customs.go.jp/hozei/) ①指定保税地域 保税地域は、大半が税関長の許可を基に設置されますが、その中でも指定保税地域のみは財務大臣の許可の下設置されることになります。 国、都道府県、市などの公共団体が所有・管理している土地や建物などに設置していますが、一時的に貨物を蔵置することを目的としているため、蔵置期間は他の保税地域の種類と比較して、1カ月と短くなっています。 ②保税蔵置場 保税蔵置場とは、フォワーダーが自社の倉庫や貨物施設で設置している場合が多いです。 貨物の積み下ろしから、保管までをすることを目的としています。保管をしている期間は、輸入の関税はかかりません。 輸出入の貿易実務においては、保税蔵置場へ貨物を運ぶ手配をすることが多くなっているため、必然的に関わる機会が最も多いと言えるでしょう。 ③保税工場 保税工場は、外国貨物の加工・製造ができる保税地域です。 加工食品や工業製品がよく製造されています。 ④保税展示場 保税展示場は、外国貨物を展示する会場とされています。 外国貨物を、関税を課さずに展示に利用できる場所で、国際的な博覧会や商品の展示場として利用されています。 展示を目的として利用するため、蔵置期間は税関長が認めた期間となっており、特に定められていません。 ⑤総合保税地域 総合保税地域は②~④の保税地域の総合的な機能を持っている保税地域とされています。 保税蔵置場を巡る動き 紹介した5種の保税地域の中でも、フォワーダーの業務に日頃大きく関わっているのが、②の保税蔵置場です。 保税蔵置場は貨物を搬入し、保管まで出来る働きをしています。 フォワーダーが自社倉庫を保税蔵置場として新たに設置ケースもありますが、その際には税関への申請が必要となります。 保税蔵置場の場所は、地域管轄の税関から25km~100kmの距離に設置するように取り決めされています。 空港や港周辺は税関も近くに位置し、貨物の輸送のため、フォワーダーなどの自社貨物施設が集中しています。 倉庫が空港や港から近ければ、輸出時に貨物が倉庫に搬入してから、船会社や航空会社への持ち込みを早くすることができます。 すると輸出通関後の、貨物を海外に輸送するスケジュールに融通が利きやすくなるメリットがあるわけです。 例えば航空会社へ短時間で持ち込みができれば、搬入した後の貨物に対し、追加で時間のかかる梱包などの作業もしやすくなります。 フォワーダーの保税倉庫申請がしやすくなった 航空貨物に関しては、近年税関行政の規制が緩和された影響により、取り扱い貨物量の多い成田空港周辺にフォワーダーの貨物施設が増加した流れがありました。 元々は保税蔵置場は空港内か公共の航空貨物ターミナル内で設置され集約されていましたが、フォワーダーが持つ倉庫などの貨物施設の許可申請がしやすくなりました。 他に、近年特定輸出申告制度が新たに定められました。 これによって、特定の荷主が輸出申告を行う場合には、貨物を保税地域に搬入をしなくても申告を行うことが可能になりました。 これにより、輸出貨物のよりスムーズな手続きや運送が可能となった流れがあります。 まとめ 保税地域は、多くのフォワーダー業務に当たり前に関係していますが、安全な貿易のための管理や規制に役立っていると言えます。 近年は保税地域に関する規制緩和の動きがありましたが、今後も貿易体制の変化で保税地域を巡る、法令全体の動きがあるかもしれません。 輸出入の手続きに関わるため、注視していく必要があるでしょう。

タイで会社設立から軌道に乗せるまでの強烈な奮闘記!Siam Ishikawa  Metalsの佐藤さんにインタビューしました。 | 物流コラム

タイで会社設立から軌道に乗せるまでの強烈な奮闘記!Siam Ishikawa Metalsの佐藤さんにインタビューしました。

タイでの仕事にコミットして活動する日本人がいる。仕事の拠点をタイに移し、会社の事業を軌道に乗せるのはとても大変なことです。 今回のお客さまインタビューはSiam Ishikawa Metals Co.,Ltdの佐藤さん(MD)です。佐藤さんは駐在ではなく活動拠点を完全にタイに移し、会社設立から手探り状態で積極的に活動に取り組まれているお客さまです。 そんな佐藤さんのタイでの苦労話しや物流に関するご意見をインタビューして来ました。 Siam Ishikawa Metalsについて 佐藤さんの仕事について タイで苦労した事 HPSの物流サービスについて 佐藤さんの今後の展望について Siam Ishikawaについて 会社名:Siam Ishikawa Metal Co.,Ltd 住所:Bangkok Free Trade Zone, 999/52 Moo 1, Tambol Bangsaothong, Amphur Bangsaothong, Samutprakarn 10570 Thailand TEL:+66-2-180-0301 Website:石川金属株式会社のホームページ まとめ 他にも「これは記事に出来ないな。。」と思える更にリアルな話を聞いて、もの凄く奮闘をされている佐藤さん。 タイで立ち上げた拠点を軌道に乗せるというのが本当に楽なことではないと思いました。 国際物流に関しては弊社をご利用いただき、今回のインタビューの内容でもありましたが信頼をして頂いていると思います。これからもSiam Ishikawaさんの活動をフォワーダーとしてサポートさせて頂きます。

Thai Showa Paxxs 星野さんへのインタビュー。タイ在住13年のベテラン営業マンによる積極的な営業術。 | 物流コラム

Thai Showa Paxxs 星野さんへのインタビュー。タイ在住13年のベテラン営業マンによる積極的な営業術。

今回のお客様インタビューはプライベートでも仲良くさせてもらっているタイ昭和パックスの営業マン 星野さん。飯野とは7年のお取引を続けて頂いているお客さまで、タイスタッフのみでオペレーションや問題解決も出来るほどの関係です。 またタイ在住歴13年の経歴のある今回のお客さまだが、非常にアグレッシブで学ぶことの多い営業スタイルをされています。 Thai Showa Paxxsについて 星野さんのお仕事内容について タイで苦労したこと HPSの物流サービスについて 星野さんの今後の展望 Thai Showa Paxxs Co.,Ltd 住所:Eastern Seaboard Industrial Estate (Rayong) 64/14, 18 Moo 4, Off Highway No.331 Road, Tambol Pluakdaeng, Amphur Pluakdaeng, Rayong 21140, Thailand 電話:+66(0)38-954-507~10 FAX:+66(0)38-954-511 ホームページ:https://www.showapaxxs.co.th/ まとめ ザ・営業マンと言える星野さんのインタビューでしたが、いかがでしたでしょうか。お客さん同士でも積極的に交流されており非常に広い人脈をお持ちで積極的に営業活動をされております。 私としても通常業務において大きな問題発生や、物流全般 または物流以外の貿易に関することのアドバイスもさせて頂いており、貿易・物流というお客さまのビジネスの一部分ですが貢献出来ているのではないかと思います。 星野さん、インタビューにお付き合い頂きましてありがとうございました。

日本の食材を世界へ!タイの高級ホテル・レストランへ「凄い鮮魚・野菜」を届けるFood Agent Japan – 起業家 唐津社長にインタビュー! | 物流コラム

日本の食材を世界へ!タイの高級ホテル・レストランへ「凄い鮮魚・野菜」を届けるFood Agent Japan – 起業家 唐津社長にインタビュー!

Food Agent Japanについて なぜ起業しようと思ったのか? 起業当初の活動について 勢いしかない唐津社長の営業 HPSを知ったきっかけ、サービスについて タイのFDA登録、酒のラベル登録について Food Agent Japan 会社名:フードエージェントジャパン株式会社 住所:〒550-0013 大阪市西区新町1−19−14-3301 コンタクト:contact@food-agt-japan.com Website: https://food-agt-japan.com/ Instagram: https://www.instagram.com/food_agent_japan/?hl=ja まとめ とても内容の濃いインタビューで私としてもとても刺激がありました。 タイで起業する大変さは私も経験していますが、唐津さんの場合はほとんど一人で会社の立ち上げ、仕入れ、物流、営業をゼロから積み上げていかれました。 こだわった商材を選んだこと、気合と勢いの営業、弊社を含め 周囲を巻き込むパワーが凄い社長さんです。 今後もFood Agent Japanさんの発展がもの凄く楽しみです。

価値経営でタイ人スタッフたちの動機付け・環境提供を徹底しているプロ経営者!Yamamura International Thailandの畑中さんへのインタビュー。 | 物流コラム

価値経営でタイ人スタッフたちの動機付け・環境提供を徹底しているプロ経営者!Yamamura International Thailandの畑中さんへのインタビュー。

物を運ぶには、物を作ってくれる人、物の売買を仲介する人が必要になります。私はタイで国際物流業の会社をしていますが自分の会社が存続できているのは、物流を必要としてくれているお客様のおかげです。 今回、初めてインタビュー形式でお客さまの事業内容、タイでの仕事の奮闘記、物流の悩みなどを紹介してみようと思いました。 第一回目のゲスト(お客さま)はYamamura International (Thailand) Co.,Ltdの畑中さんです。 Yamamura International Thailandについて ガラス商社の存在意義 畑中さんのお仕事内容 HPSの物流サービスについて Yamamura International (Thailand) Co.,Ltd 住所:Ploenchit Center 17th Floor,2 Sukhumvit Road, Klongtoey Bangkok 10110 THAILAND Tel: +66 2656 8700 Email:info@yamamura-international.co.th Website:www.yamamura-international.co.th Company Map: http://www.yamamura-international.co.th/jp/contact-us/ まとめ 初めてのお客さまインタビューでしたがいかがだったでしょうか。 海外で存在価値を出す為にスタッフの動機付けを徹底し、高いコミュニケーションレベルで情報共有の精度を上げる。それが商社としての価値を生み、お客さんのお役に立てていると確信している畑中さん。 更に人を資産として良さを磨く畑中さんの仕事スタイルは私も見習わねば!と思うほどです。 Yamamura Thailand様とはタイスタッフも含めてとても仲良くお仕事をさせて頂いているのでポジティブな意見が多かったのですが、基本的には他のお客様に対しても同様で日本人とタイスタッフとの両輪でサービスをご提供しています。 タイからの輸出、タイへの輸入などタイに関連する物流案件がございましたら是非 お問い合わせください。

L/C(信用状)取引について解説!具体的な流れとメリットについてご説明します。 | 輸送・ロジスティクス

L/C(信用状)取引について解説!具体的な流れとメリットについてご説明します。

貿易取引の中で「L/C=信用状」という書類を使い、銀行を介して輸出入と支払いの一連の手続きが行われることがあります。 L/C案件では、お金の流れと物や各書類の受け渡しの流れが、他の支払い方法による貿易取引とは少々異なります。 輸出者と輸入者が初めて契約するときにL/Cが使われることが多いのですが、貿易業務に携わっているとL/C案件を扱うケースは度々発生してきます。 貿易業務の基礎となる、L/Cを使った取引の流れを一から押さえていきましょう。 L/C取引について動画で解説 L/Cとは? まず、L/Cという書類の性質から見ていきましょう。 L/Cとは、「Letter of credit」の略で、「信用状」を意味します。貿易は、そもそも輸入者が輸出者から物を買い、代金を支払う仕組みです。 輸出者:代金回収のリスク 輸出者にとって、貿易取引において輸入者から製品の代金が確実に支払われるか不安がつきまとうことになります。 製品を輸出したのに代金が支払われないという事態が生じれば製品そのものの代金・輸送費などを輸出者が負担することになり、損をしてしまいます。 特に輸出者が輸入者と取引の実績がない場合、輸入者の支払い能力の信用に不安がある場合に、輸出者にとってこの懸念は大きくなります。 このL/Cは、銀行が発行する信用状で、銀行が輸入者に代わり輸出品の代金の支払いを確約します。 何らかの理由で、万が一輸入者が代金の支払いが不可能になった場合、銀行がその責任を負うことになります。 L/Cを用いると、輸出者に対して手形の買取がすぐに行われるので、輸出者にとっては確実に支払いが行われることとなります。 銀行は輸入者に対して、財務状況など支払い能力があるかを事前に判断した上で、L/Cを発行します。 貿易取引の各支払い方法の特徴 L/C以外の条件での支払い方法はいくつかありますが、通常輸入者が代金を銀行振り込みする支払い方法が採用されているケースが多いです。 銀行為替(外国為替送金) 輸入者が代金を銀行振り込みの送金で、前払い・後払い両方のパターンがあります。 T/T(Telegraphic Transfer)がよく使われていますが、T/Tでは2つの銀行間の電信送金がされます。 信用状なし荷為替手形決済 D/P、D/Aと表し、L/Cと同様に手形を使用した決済です。 L/Cと同じく荷為替を使って支払い手続きがされますが、信用状がないために輸出者へ支払いが保証された状態ではないことが大きく異なる点です。 L/Cの使用に関しては、国際商工会議所が取り決めている「信用状統一規則」で定められています。 多くの国同士の取引の中で採用されているので、世界中で普遍性のあるものだと言えます。 L/C決済 そしてL/Cを用いた取引では、輸出者と輸入者が最初の売買契約の時点でL/Cを使うことに合意し決定をします。 L/C案件では支払いに関して通常の貿易業務とは大きく異なりますが、B/Lなどの書類作成時にも特別に注意が必要となっています。 L/C取引の主要ポイント L/Cを使った取引の中で、他の決済方法にはない大きなポイントがあります。 最初の保証から、貿易取引をした貨物の受け取りまでの流れで、銀行が大きく絡んでくることになります。 銀行が絡むL/Cのポイント ①製品の輸出手配が行われる前に、銀行が最初に信用状を発行し輸出者に対して支払いを保証する。 ②輸出者から荷為替手形(為替手形+船積書類)の提示があった時点で、銀行が手形の買い取りをする。 ③輸出者は、信用状の内容に従った船積書類を為替手形と一緒に提出しないと、手形の買取がされない。 ④輸入者は、手形の代金を支払わないと銀行から船積書類を受け取れず、貨物の引き取りができない。 L/C取引の流れ では、これから具体的にL/C取引の流れを順番に見ていきましょう。 L/C取引で登場するメインの当事者 A. 輸入者 a. 輸入者の取引銀行=「信用状発行銀行」 B. 輸出者 b. 輸出者の取引銀行=「通知銀行」「買取銀行」                                      ※説明上、輸入者とその取引銀行の所在地をA国、輸出者とその取引銀行の所在地をB国とします。 【2011年発行 日本貿易実務検定協会編『最新貿易実務ベーシックマニュアル』より引用】 ①売買契約【輸入者(A国)-輸出者(B国)】 両者が売買契約を結び、このときにL/C=信用状を用いた取引を条件に合意し、契約を決定します。 ②信用状の発行依頼【輸入者(A国)→輸入者の取引銀行(A国)】 輸入者は、輸入者の国の取引をしている銀行に信用状の発行を依頼します。 この時点で銀行は、輸入者の支払いの信用状況を審査します。 審査が通れば、輸入者の信用状況に応じて銀行から信用状の発行限度額が決定されます。 その発行限度額の範囲内で信用状が発行されることになりますが、信用状を開設するときに輸入者と銀行は約定書を交わします。 ③信用状発行【輸入者の取引銀行(A国)→輸出者の取引銀行(B国)】 輸入者の取引銀行は、国を超えて輸出者の取引銀行に向けて信用状の発行をします。 信用状は、一度発行されると銀行と輸出入者の当事者全員の同意が得られないと取り消しや変更ができない(=取消不能信用状)として扱われます。 2つの銀行は、暗号コードで銀行間がやり取りできる、異なる国同士の銀行間で結ぶコルレス契約を両者が結んでいる必要があります。 ※輸入者の取引銀行は、信用状を発行する銀行のため、輸出者の取引銀行と区別して「信用状発行銀行」とも呼ばれます。 ④信用状通知【輸出者の取引銀行(B国)→輸出者(B国)】 輸出者への信用状通知は、輸出者の取引をしている銀行経由で行われます。 ※輸出者の取引銀行は、信用状の通知を輸出者へ行うことから、輸入者の取引銀行と区別して「通知銀行」とも呼ばれます。 ⑤保険証券入手 ここではしっかりと保険もかけて貨物の保証をします。 ⑥船積依頼 輸出社はフォワーダー or 船会社に貨物を輸送するための本船予約をします。 ⑦輸送、船荷証券(B/L)入手 輸出者は、船会社や保険会社など各所へ該当貨物の輸出手配を依頼、必要書類を入手します。 ⑧荷為替手形買取依頼【輸出者(B国)→輸出者の取引銀行(B国)】 輸出者は作成した為替手形と合わせて、入手した船積書類(B/L・インボイス・パッキングリストなど)を添付し、代金を回収するために荷為替手形として銀行へ提示します。 このとき、船積書類は信用状の内容通りに作成することが必要です。 商品名、条件、輸入者、輸出者の表記などは、事前に通知された信用状の内容に一致していなければなりません。 輸出者からL/C案件で輸出手配依頼があった時点で船会社やフォワーダーは信用状の内容を確認し、各書類が内容と完全に一致しているかチェックが必須となります。 ⑨買い取り代金支払い(手形の買取)【輸出者の取引銀行(B国)→輸出者(B国)】 銀行は、手形の商品代金の支払いをします。 このときに、輸出者から提示された船積書類が信用状の内容と完全に一致しているかどうか銀行からチェックされ、一致していないと支払いがされないことになります。 この時点で、輸出者は商品の代金回収ができたことになります。 ※手形の買取をすることから、輸出者の取引銀行を「買取銀行」とも呼びます。 ⑩荷為替手形の送付【輸出者の取引銀行(B国)→輸入者の取引銀行(A国)】 手形の代金を請求するため、買取銀行は信用状発行した輸入者の取引銀行へ手形を送付します。 ⑪手形代金の支払い請求【輸入者の取引銀行(A国)→輸入者(A国)】 銀行は、立て替えていた支払代金を輸入者に請求をします。 製品を輸入するための代金は、最終的に輸入者が負担し支払いをすることになります。 ⑫手形代金の支払い【輸入者(A国)→輸入者の取引銀行(A国)】 輸入者が、取引銀行へ代金の支払い手続きをします。 ⑬船積書類引き渡し【輸入者の取引銀行(A国)→輸入者(A国)】 輸入者が銀行に代金を支払ってから船積書類を受け取ることになります。 輸入者は船会社などから輸入貨物を受け取るためには、B/Lを含む船積書類が必要ですが、代金支払いを確実に行ってもらうために、代金の支払いと引き換えに船積書類が銀行から引き渡されることになります。 ⑭資金移動(口座移動)【輸入者の取引銀行(A国)→輸出者の取引銀行(B国)】 輸出者から手形の買取を行った、輸出者の取引銀行へ、輸入者の取引銀行から代金の入金がされます。 ⑮B/L呈示 入手したB/Lを提示します。 ⑯貨物受け取り 輸入者は、銀行経由で引き渡しされたB/Lを船会社に呈示し、最終的に輸入貨物を受け取ることになります。 L/Cの記載内容 L/Cには、輸入者と輸出者が取り決めた貿易取引内容の詳細が明記されています。 その内容が、今回銀行から支払い保証の対象となる取引条件となります。 信用状への主な記載事項 ・輸入者名(信用状発行依頼人) ・輸出者名 ・輸入者の取引銀行名(信用状発行銀行) ・輸出者の取引銀行名(通知銀行) ・金額 ・保険 ・荷為替手形の条件 ・必要書類の条件 ・取引対象となる商品名 ・船積条件(積出地、仕向地など) L/Cを使った取引のメリット L/C案件は輸出者にとって最もメリットがある取引方法なので、取引の中で輸出者のことを「受益者」と呼ぶこともあります。 銀行に保証された取引 まず、銀行が間に入って保証をすることで、代金の回収が確実に行われることが最大のメリットと言えます。 このメリットを活用し、特に財力に不安のある発展途上国の企業との輸出取引を始めるときに、L/Cが使われている実績が多く見られます。 確実な代金回収と貨物の受け取り 次に、輸入者・輸出者双方に対して資金負担と貨物の受け渡しのズレによるリスクを低減させることができます。 輸出者は、商品の船積手配後に手形によりすぐに銀行から代金を回収することができます。 送金による輸入者の前払いの支払い条件による場合でも、輸出者にとっては事前に代金回収ができます。 しかし、それでは輸入者にとって事前に行った支払いよりも、手配後の貨物の受け取りが遅くリスクが発生することとなります。 支払いから貨物入手までのタイムラグがない L/C案件では、輸入者が代金支払い後に船積書類を入手します。 その後、貨物を書類と引き換えに船会社より受け取ることになりますが、前払い送金の条件時よりはその期間のずれが短縮されているため、リスクが低減されています。 条件通りの貨物受け取りが可能に また、輸入者によっては事前に信用状で、取引の条件を明確に提示するため、条件通りの手配、貨物の受け取りが確約されることになります。 輸出者が銀行に信用状通りの船積書類を呈示することが、輸出者にとっては支払いを受ける条件になるため、信用状通りの条件で正確に書類を用意、貨物も書類の内容に沿ったものでなくてはいけません。 L/Cのメリットまとめ まとめると、L/C取引で次の3つのメリットが得られることになります。 L/C取引での3つのメリット ①代金回収リスクの回避(⇒輸出者) ②資金負担リスクの軽減(⇒輸出者、輸入者) ③商品入手リスクの回避(⇒輸入者) まとめ L/Cを使用した取引は、輸出者・輸入者双方にとっていくつかのメリットがあります。 そのメリットを活かした取引をスムーズに進めるためには、手配時に船積書類の作成に注意を払うことが最も重要となります。 L/Cを使った取引で、書類の記載で不一致が生じてしまえば、大きな問題になったり支払いの遅延を生じさせることとなる場合もあります。 手配する場合には、各関係者がより慎重に取り扱っていく必要があるでしょう。