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2020年2月

重量貨物の輸送・運搬時に注意すべき事を解説しました。成型機・プレス機・充填機・旋盤・炉などの据付について。 | 輸送・ロジスティクス

重量貨物の輸送・運搬時に注意すべき事を解説しました。成型機・プレス機・充填機・旋盤・炉などの据付について。

タイで活動をしていると製造業のお客様から機械の据え付けや取り外しのご要望を受ける事が多いです。 機械には色々なものがあり成型機、充填機、プレス機、旋盤、炉、製造ライン一式などあるのですが、人の手で簡単に持ち運びができる物ではありません。中には数百トンある機械もあります。 一般的に機械の単価は安くありません。 大量生産された商品の中の一つであれば少々ダメージがあったとしても多めに見てもらえるのですが(それでも破損はダメだが)、機械の輸送中にダメージが発生してしまうと大ごとになります。 筆者はこれまでに数々の機械を据え付け搬入、取り外し、梱包などをやってきました。中にはプラントを組み立てるお仕事もしてきました。 その数々の経験を踏まえて重量物の輸送で、今回は機械の据付についてご説明をしていきたいと思います。 重量物の輸送はとにかく安全第一 当たり前と思われるかもしれないのですが、本当に安全第一です。 中には「こんなんチャチャっと運べるでしょ!?」と思われる方もいるかもしれませんが何かあった時が本当にヤバイのです。 重量貨物を倒した時のリスク 重量物は重心のバランスを取るのが簡単ではありません。ここを間違えてフォークで少しあげて動かした時に倒れてしまう事もあります。 重量貨物が倒れる時に人が巻き込まれたら人命に繋がります。これは絶対にあってはいけない事です。 そして倒れた重量貨物を元に戻すのは簡単な事ではありません。 問題があった時のリスクがとても高いので重量物の輸送には細心の注意が必要なのです。 図面とパッキングリストを確認する 機械の種類にもよるのですが基本的に図面か写真を頂くようにしています。 機械の具体的なサイズや重量はどの重機を使って積み下ろすのか、据付するのかを図るために必要です。 特に重量を知るのが大切です。パッキングリストに書かれた重量を信用して重機を手配するのですが、ここが間違っていた時がありました。 危険過ぎた例 機械の据付を依頼されており港から機械をトレーラーに載せてお客の工場まで配送。 パッキングリストには6.3tonと書いてあったのでトレーラーから積み下ろす為に10tonフォークを準備しました。実際に持ち上げてみると不安定でどうもおかしい。なかなか降ろせない。危険と判断し作業を中止して翌日クレーンを手配。 すると貨物の実重量は9.2tonありました。 ※クレーンには計器がついていますので。10tonフォークでは10tonの貨物はその場で少し持ち上げられるくらいですが、取り廻しは出来ません。 作業を中止して正解で、無理に積み下ろそうとしていたら貨物(機械)が倒れていたかもしれません。 事前に下見が必要 重量貨物は楽々と動かせるものではありません。少し動かしたり、方向を変えたりするだけで一旦止まって機材を入れて動かします。 積み下ろした位置から、据え付けする位置までどういう経路で運ぶのか。お客様には経路の道中にある物は片付けてもらうなど依頼しないといけません。 必要な重機や道具を使って重量貨物を移動させる 各サイズフォークリフト、クレーン、チェーン、ベルト、ローラー、仮置き土台、鉄板、ブルーシートなどなど。 状況に応じて必要な重機や道具を使って動かしていきます。 レベル出しで水平に 機械は水平に置かれないといけません。置く場所が水平でない場合もありますし、高さを調整しないといけない場合もあります。 計器を使って貨物が水平であるかを確認して設置完了。 試運転をする 据え付けが終わったら機械を試運転します。ここは私たちの業務範囲ではないのですが、試運転に問題があればまた機械を解体する為に作業員が必要な場合があります。 弊社では機械のオーバーホールの為の作業員派遣もやっておりますので機械が正常に動くまでサポートをさせて頂きます。 おすすめの業者様 上述しているように重量貨物やオーバーサイズの貨物の取り扱いには危険が伴います。慣れていない業者に仕事を依頼すると作業の段取りや重機の手配、そして最悪の場合は事故につながる可能性もあります。 タイにおいては弊社は自信を持ってサービスを提供させて頂きます。 そして日本側での弊社のお勧めの業者様はジャパントラスト様です。ジャパントラスト様は独立系フォワーダーとして多くのネットワークがあり特に日本→アメリカ向けには大きな強みを持っています。 工作機や大型貨物、そして長尺貨物などの取り扱いも非常に慣れていらっしゃるので安全に、かつコストも抑えたご提案をして下さいます。 [keni-linkcard url="http://www.jpntrust.co.jp/lp/over-gauge/" target="_blank"] まとめ 今回は重量貨物の取り扱いで機械の据付に焦点を当ててご説明をさせて頂きました。とにかくは安全第一で運ぶ事。その為には経験が豊富な重量屋さんと協力して作業をします。 輸送コストは高くなりがちですが、それでも弊社ではローカルの強みとコミュニケーション能力を活かして安全にリーズナブルな価格でサービスをご提供させて頂いております。 重量物の輸送で必要な際はお問い合わせ下さい。

コンテナの種類やスペックを徹底解説!20ft・40ftコンテナからISOタンクまで、各種サイズ・重量・規制・修理などについて説明しました。 | 輸送・ロジスティクス

コンテナの種類やスペックを徹底解説!20ft・40ftコンテナからISOタンクまで、各種サイズ・重量・規制・修理などについて説明しました。

コンテナは海上輸送にとっては欠かせないもので様々なタイプのものがあります。それぞれのコンテナの特徴を理解し、適切なコンテナを選択しなければ行けません。 月間のコンテナ輸送本数が2,000本を超える弊社グループでは様々なご依頼がございます。その経験の中で得てきた情報を元に本日は海上輸送におけるコンテナについて様々な角度から説明をしていきたいと思います。 アニメーション動画でコンテナについて解説! それぞれのコンテナの特徴を動画を使って解説しました。なぜOpen TopやFlat Rackコンテナが高いのか?そんなことについても解説をしています。 コンテナの種類 海上輸送に使用されるコンテナには一般的に以下の種類に分類されます。貨物によってそれぞれのコンテナを使い分けます。 ドライコンテナ - Dry Container 一般的なコンテナです。20’フィート, 40’フィート, 40’フィート・ハイキューブの3タイプがあります。 自動車パーツ、金型、プラスチック成形品、化粧品、原材料、鉄鋼品、木材など一般貨物と呼ばれるものや、危険品(温度管理不要)を輸送する際もドライコンテナを使用します。 リーファーコンテナ - Reefer Container 断熱材が使用されており温度・湿度が調整できるコンテナです。設定可能温度は-25度〜+25度(船会社によって異なります)。 輸送・取り扱い費用はドライコンテナに比べて高くなります。主に温度管理が必要なフルーツ、冷凍食品、生花、薬品などに使用されます。 輸送中・ターミナルで電力費用が発生する リーファートラックは輸送している間やターミナルで本船の出航を待っている時もコンテナ内の調節した温度を維持しなければいけません。 その為、トレーラーは特別なジェネレーターを搭載していなければいけませんし、ターミナルにおいても電力を供給し続けなければいけないので追加費用が発生します。 まれにコンテナの機材トラブルや港でプラグが入っていなかったとかの問題を聞くことがあります。 オープントップコンテナ - Open Top Container 天井がないコンテナです。貨物の高さがハイキューブコンテナ(約2.7m)を超える場合に使用されます。 本船ではこのオープントップコンテナの上に別のコンテナを積み上げる事は出来ないので、積載出来る場所に限りがあるため費用は高くなります。 輸送中は天井部にシートをかけて貨物が雨に濡れないようにしています。 フラットラックコンテナ - Flat Rack Container 壁と天井がないコンテナです。一般的なコンテナに収まらないサイズの貨物の場合に使用されます。またドライコンテナに積載が困難な貨物の場合にフラットラックコンテナを使用する事があります。 オープントップと同様に本船上に積載出来る場所に限りがあるので費用は高くなります。 ISOタンクコンテナ - ISO Tank Container 液体を輸送するときに使用するコンテナです。積載出来る容量はタンクの種類によって異なり、約11,000リットル〜26,000リットルです。液体の危険品を輸送する際にも使用されます。 ドライコンテナでドラム缶を積載して輸送するより一般的に輸送可能量が多く、液体の積み込み・積み降ろしも容易になるのでコストダウンが見込めます。 コンテナのサイズ 貨物を効率的に積載するのにコンテナのサイズは重要です。船会社によって若干の誤差はありますので詳細は各船会社のホームページをご確認下さい。 貨物を積載するのに重要なのがコンテナの内寸です。主に以下の内寸を理解しておけば基本は問題ありません。 ドライコンテナ サイズ 20 フィートコンテナ 【外寸】長さ:6.05m / 幅: 2.43m / 高さ:2.59m 【内寸】長さ:5.86m / 幅: 2.35m / 高さ:2.38m 40 フィートコンテナ 【外寸】長さ:12.19m / 幅: 2.43m / 高さ:2.59m 【内寸】長さ:12.03m / 幅: 2.35m / 高さ:2.38m 40フィートコンテナは20フィートコンテナの「長さが2倍」とだけ覚えれば大丈夫です。 40 フィート・ハイキューブ コンテナ 【外寸】長さ:12.19m / 幅: 2.43m / 高さ:2.89m 【内寸】長さ:12.03m / 幅: 2.35m / 高さ:2.70m 40フィートハイキューブは普通の40フィートコンテナと「高さ」が違うだけです。 コンテナの最大積載重量 タイのでは道路を通行出来る貨物の積載重量がトラック・トレーラーによって決まっているためコンテナに積載する最大積載重量に制限があります。 詳細は船会社によって異なるのですが一般的に以下の重量を積載可能重量として捉えていただければと思います。 20’ & 40': 約28MT ※3軸シャーシーを使用した場合 ポイントとしては20’フィートでも40’フィートでも積載可能重量は同じという事です。40’フィートだから20’フィートの倍の重量を積めるわけではありません。 重たいコンテナを輸送するには危険が伴います。 道路を輸送する最中だけではなくコンテナをターミナルで動かす時や、本船に積み込む時、また積み降ろす時など、最大積載重量を超えてしまうと大きな事故につながりかねません。 万が一、重量貨物で事故をすると大変なことになります。重たいので転がってしまうと元に戻すのは簡単ではありません。また重たいので人命に関わる危険が高いです。 更に一般的に機械なども重量物でInvoice Valueが高いのです。保険対応が大変になります。とにかく気をつけましょう。 コンテナデポ・バンプール タイでは船会社のコンテナがそれぞれが契約したDepoに保管・管理されています。お客様から本船予約があると指定されたデポに空のコンテナをピックアップに行き貨物を積み込みます。 また輸入地で貨物の積み降ろしを終えたコンテナは輸入地側で指定されたコンテナデポに戻されます。日本だとコンテナバンプールという呼び方をします。 コンテナ 点検・クリーニング・修理 使用済みのコンテナはデポに戻されクリーニングをされます。またコンテナに穴が空いていたり、床が剥がれてしまっていたり、重度に錆びていたりすると修理されます。 コンテナについてタイでよく発生する問題 コンテナが汚い 弊社ではこれが最も多い問題だと認識しています。本船予約を船会社にするときにAグレードと呼ばれるキレイなコンテナをリクエストしますが、実際にデポで引き渡されるのは、汚れていたり、臭いがあったり、床が剥げていたり、酷いものであれば天井に穴が空いていたりします。 お客様にお届けしたコンテナがこのような状態だと貨物を積み込む事は出来ませんので、コンテナを交換する為にデポに戻ります。この際の輸送費用はもちろん物流業者が負担することになります。 コンテナを届ける時間が遅れる 弊社では極力このような無駄を避ける為にコンテナをピックアップするトレーラーのドライバーに引き取り前の点検をするように指示しています。 このコンテナ引き取りの際にデポから割り当てられたコンテナを一度拒否して別のコンテナを受け取ることが出来るのですが、この時に他のトレーラーがあれば最後尾に回らなければいけません。 この拒否を2度、3度続ける事になるとお客様の指定した時間通りにコンテナを届けることが出来ない場合があります。 コンテナクリーニング費用 まれに輸入地側から言われる事ですが、積み降ろしをしたコンテナの状態は非常にキレイなのに何故 クリーニング費用が発生するのかという問題です。 各船会社によって違いはありますが一般的に一度 使用したコンテナはデポにて点検・掃除・クリーニングなどをされますので、その費用だとご理解を頂いております。 まとめ フォワーダーの業務を通してコンテナに関する事をまとめてご説明しました。 弊社では様々な貨物を安全に効率的に輸送する為に最適なコンテナを選び、また発生しやすい問題を出来るだけ避けるように日々の業務をしております。

FCLとLCLの違いを解説!コンテナ積みと混載の損益分岐点を理解して最適な物流を手配しましょう。 | 輸送・ロジスティクス

FCLとLCLの違いを解説!コンテナ積みと混載の損益分岐点を理解して最適な物流を手配しましょう。

一般的な海上輸送では20フィートコンテナや40フィートコンテナで輸送するFCL、また他社の貨物と一緒に運ぶ混載便(LCL)があります。FCLは自社の貨物だけでコンテナをいっぱいに出来る場合に使う輸送方法です。 今回、あるお客様がLCLの問題を発生させてしまい、また別のお客様も同じ問題を発生させようとしていた経緯がありました。 今回は注意喚起の意味も込めてFCLとLCLの違いを説明した上で、LCLを使う際の注意点を解説します。 FCLとLCLの違い まず名前の違いから見てみましょう。 ・FCL:Full Container Load ・LCL:Less Than Container Load というのが直訳ですが、貿易関係者以外は特に正式名称を覚える必要はないかと思います。 FCL コンテナ輸送 コンテナに貨物を詰め込むにあたり、まずコンテナの内寸と最大積載重量を把握しましょう。これを理解していると効率的な貨物の輸送が出来ます。 コンテナのサイズ(内寸) 20フィートコンテナ: 2.3m(幅) x 5.7m(縦)x 2.4m(高さ) 40フィートコンテナ: 2.3m(幅)x 12m(縦)x 2.4m(高さ) 40フィートHC(ハイキューブ):2.3m(幅)x 12m(縦)x 2.7m(高さ) 注:船会社によってコンテナの内寸が若干異なる事があります。 コンテナの最大積載可能重量 20’, 40’, 40’HC: 約25ton 重さに関しては20フィートであれ、40フィート(HC含む)であれ、同じ25tonが最大となります。40フィートだから50tonまで積載可能かというとそうではありません。 これはとても重たい貨物を船に乗せる時や貨物の乗ったコンテナをトレーラー等で移動させる時に危険が伴う為、重量の規制が定められているからです。 注:船社によって最大積載重量の許容重量が違う場合がありますが、25tとしている会社が多いです。 LCL 混載輸送 一方で20フィートや40フィートコンテナ1本を埋めることが出来ない貨物量の時に利用するのがLCLです。 LCLの場合は1RT(Revenue Ton)が最低積載ボリュームとなり、1RT以下でもその分の料金が請求されます。 RTとは1CBM = 1Tonがイコールという条件でどちらか大きい方の単位を採用するものです。 FCLとLCLのローカルチャージの違い FLCであれLCLであれローカルチャージという港を使用する際に発生する諸費用があります。 ここでの注意点としてFLCとLCLのローカルチャージが全く別の計算方法を取られるということです。 FCLの港費用 THC (Terminal Handling Charge):ターミナル・ハンドリング・チャージという港内でコンテナを動かす費用があります。 20’フィートで○円、40フィートで○円という固定された費用です。 例えば、 ・THC - 20フィート: JPY 35,000/20’ ・THC - 40フィート: JPY 49,000/40’ 船会社によってTHCの価格は違いますので詳しくは各船会社のホームページをご確認下さい。 LCLの港費用 LCLでもFLCと同様にTHCがあり、更にLCLではCFS(Container Freight Station): コンテナ・フレート・ステーションという港や倉庫でコンテナに貨物を積み下ろしする場所の費用が発生します。 LCLのTHCとCFSチャージは固定の金額ではなくRTの大きさによって変わります。 例えば、一般的な日本側の港費用は以下の通りです。 ・THC - JPY 1,500/RT ・CFS - JPY 3,980/RT もし5CBM(2ton)の貨物をLCLで輸送した場合の港の費用は以下のようになります。 ・THC - JPY 1,500 x 5 = JPY 7,500 ・CFS - JPY 3,980 x 5 = JPY 19,900 FLCとLCLの損益分岐点 FLCかLCLか、どちらで輸送した方が価格メリットがあるのか? ある一定のボリュームを超えた時点でLCLよりFCLで輸送した方がメリットが出るのですが、その損益分岐点はフォワーダーが提示する費用によって異なります。 海上運賃だけを見てはいけない ここが大きなポイントなのですが、損益分岐点を見る時に海上運賃だけを見てはいけません。 例えば、以下の条件の場合 FLCかLCLかどちらがメリットがあるかを考えてみましょう。 条件:貨物サイズ・重量・数量 貨物ボリューム: 1.1m x 1.1m x 1.0m/パレット(1.21CBM/パレット) 貨物数量:10パレット 貨物重量:500kg/パレット トータルボリューム:12.1CBM トータルウェイト: 5ton 条件:海上運賃 FCL:USD 300/20’ all in LCL:USD10/CBM 条件:日本の港費用 FCL : THC - JPY 35,000/20’ LCL: THC - JPY 1,500/RT CFS - JPY 3,980/RT 答え FCLの諸費用 ・海上運賃:USD300 ・港の費用:JPY 35,000 為替:USD 1 = JPY100として ・合計:JPY 30,000 + JPY 35,000 = JPY 65,000 LCLの諸費用 ・海上運賃:USD 10 x 12.1CBM = USD 121 ・港の費用 THC: JPY 1,500 x 12.1CBM = JPY 18,150 CFS: JPY 3,980 x 12.1CBM = JPY 48,158 為替:USD 1 = JPY 100として ・合計:JPY 12,100 + JPY 18,150 + JPY 48,158 = JPY 78,408 海上運賃だけを見るとLCLの方がメリットがありますよね?しかし、港の費用を合わせて見てみると、FLCの方が価格メリットがある事が分かります。 インコタームズに注意する インコタームズとは輸送費用の取引条件でして、EXW, C&F, CIF, FOB, DDU, DDPなどがあります。詳しくはこちらに記載しています。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/incoterms/?lang=ja" target="_blank"] CIFやCRFの場合に特に注意が必要 CIFでは輸出者側は輸出側の国内輸送費用と海上運賃までしか負担しません。LCLの輸送の時に気をつけなければいけないのは「輸入地側の港の費用」です。 輸出者がFCLとLCLの損益分岐点を理解していないと、海上運賃の安いLCLで運ぶ事があったりします。 クレームが発生した件 弊社のお客様(輸出者)は別の物流業者を使って日本向けに通常 20パレットをFCLで送っていたけれども、ボリュームが減ったからと言って14パレットをLCLで輸送手配してしまいました。 14パレットを1CBM/パレットの14CBMで単純計算しても日本側のTHCとCFSが確実に20’のTHCより高くなってしまうわけです。 FCL港費用 - THC: JPY 35,000/20’ LCL港費用 - THC: JPY 1,500 x 14 + CFS: JPY 3,980 x 14 = JPY 76,720 この時のインコタームズがCIFで日本の港費用は日本側が支払わなければいけません。輸入者側からいつもの倍以上の港の費用がかかったとのことでクレームになった事例があります。 これはその別の物流業者のミスでもあります。14パレットのものがLCLでBookingされた時点でお客様に確認をしなければいけません。 まとめ FLCとLCLでは損益分岐点がありますがそれはフォワーダーの見積もり次第です。 でも1-5パレットくらいであればLCLで輸送する方がメリットがあるでしょう。※貨物の「高さ」ももちろん関係しますが。 そして10パレット近くになると一般的にはFCL(20’)の方がメリットがあると予想出来ます。 輸出者側と輸入者側で支払う項目が異なるのでFLCをLCLに変更するときはインコタームズと港の諸経費も含めて事前に確認をしておきましょう。

フォワーダーの大切な仕事を解説!海上貿易ではコンテナ本船のスペース確保ほど重要な仕事はない。 | フォワーダーの仕事

フォワーダーの大切な仕事を解説!海上貿易ではコンテナ本船のスペース確保ほど重要な仕事はない。

国際物流を担うフレイトフォワーダーの仕事で重要な一つはコンテナ本船のスペースをいかに確保出来るかという事です。 タイからだとソンクラーン(タイの旧正月)やチャイニーズニューイヤー(春節)、エンドオブイヤー(年末年始)などの長期連休前にはどの工場も貨物を出したいという傾向がありますので、必然的に本船スペースは少なくなります。 また製造現場やオペレーションミスによっての緊急対応の場合も本船スペースが必要だけども取りにくい状態です。 筆者もタイでフォワーダーをするまではこのスペースの重要性についてそれ程まで認識をしていませんでした。 今回はフォワーダーの仕事としてのスペース確保に焦点を当てて説明していきたいと思います。 なぜフォワーダーの仕事でスペースが重要なのか? 日本国内の宅配や、DHLやFedexなどのクーリエサービスを利用するときに「スペースが取れない」という話を聞く機会はまずないので、本船のスペースの問題は一般的ではありません。 しかしコンテナで送る程の量の貨物は主に商業用貨物です。 商業用の貨物で納期トラブルが発生した場合・・・ ・小売:店頭に商品が並ばない ・飲食:材料がない、提供する商品がない ・工場:製造ラインがストップする という大問題が発生してしまいます。 その為、納期トラブルが出たらエアーで飛ばすなどの対応をして、とてつもなく高い輸送費用を払ってでも対応するのが一般的です。 なぜ本船のスペースがなくなるのか? 上述もしていますが、長期休暇の前はどの工場も貨物を出したいという思いがあります。休暇中はもちろん生産がストップしますし、また通関業務もストップするからです。 貿易ではとにかく遅れてはいけない 貨物が止まらずに常に流れていればこのような問題はないのですが、休暇のために流れが止まってしまうとその動きを取り戻す為に時間がかかり遅れにつながります。 製造業の場合は生産スケジュールに基づいて商品が作られます。スケジュールに遅れがあると、またその先の工程や取引先でも遅れが発生してしまうのでとにかく遅れには敏感なのです。 これらの遅れを避ける為に多くの製造業が休み前には一斉に貨物を送るので本船スペースがなくなりがちになります。 船社のサービス(航路)が少ない 船会社もビジネスです。利益が見込めない航路のサービスをずっと続けている訳にはいきません。少ない航路では当然ながら貨物が集中しがちです。そうなったときにスペースは取りにくくなります。 CYカットオフの直前 お客様の都合でカットオフの直前にスペースを取って欲しいという依頼がたまにあるのですが、この時もスペースがない場合が多いです。 弊社では2週間前にBookingを頂ければ基本的には問題なくスペース確保ができますが、2日前の直前などでは船社のCS担当者ではなく、営業担当者に掛け合わないといけません。 なぜスペースが取れないのか? これは業界の風習のようなものがありまして、タイでは船会社とフォワーダーとの人間関係が結構大きな要因でもあります。 船会社にも営業担当者がいて、この営業担当者も自分のお得意先には融通を効かせるところがあります。 このように船会社の営業担当者と良い関係があればスペースは取りやすいですし、営業ではなくCS担当者のみとのやり取りをしている場合 スペース確保に融通が効かない場合があります。 弊社がスペースを取りやすい理由 弊社ではグループ会社各社を含めて毎月2,500本以上のコンテナの輸出入の取り扱いがあります。 特にアジア、東南アジア、中東、ヨーロッパに集中しておりこれらの地域では複数の船会社の協力の元でお客様の貨物を運んでおります。 ですので複数の船会社の営業担当者やタイ支店の代表者たちと良い関係が構築出来ております。 日系フォワーダーの下請けもやってます タイに進出したばかりの日系企業で大手企業を除いて、それほど貨物を集められる会社は多くありません。 なのでその日系企業が船社にBookingをするよりフォワーダーだけども弊社を利用した方が選択肢も多くコストメリットもあるので現在4社程の下請けをさせて頂いております。 とはいえあまり同業者の取引先を増やすとやりにくくもなりますので、あまり積極的に増やす予定はございません。 まとめ フォワーダーはサービス業で自社のアセット(設備)をもっておりません。船会社のスペースも代理店であるフォワーダーの営業力で取りやすい状況を作っております。 フォワーダーにとってはどれだけ多くの貨物を集められるかはやはり大切なポイントです。多くの仕事があるからこそ船会社からもメリットのある価格や待遇を受ける事が出来るのです。 スペースにお困りの荷主様は是非お問い合わせください。

タイでお酒・アルコール飲料を輸入販売する為の登録書類とラベルや注意書きなどについて解説しました。 | 物流コラム

タイでお酒・アルコール飲料を輸入販売する為の登録書類とラベルや注意書きなどについて解説しました。

私たちはタイで日本酒の輸入通関を対応させて頂いております。お酒(アルコール)の輸入は一般貨物とは異なり少しややこしいという印象です。 お客様より「お酒を輸入販売したい!」とご依頼を頂いてから最低でもタイでの販売開始までに4、5ヶ月かかってしまいます。 なぜか?それはお酒の販売ライセンス取得と販売するお酒のラベル登録があり、単に書類を提出するだけではなく人脈が少々なりと関係しているからです。 今回は弊社の実績を元にお酒のライセンス・ラベル登録についてご説明をしていきたいと思います。 リアルに実感しているややこしさなども含めてお話をしていきましょう。 タイの酒の輸入ライセンスを取得する まず必要なのがお酒の輸入ライセンスです。アルコールの輸入はタイ税務省物品税局(Excise Department, of Ministry of Finance: 物品税局)で管理されております。 タイの酒の輸入販売ライセンス申請に必要書類 ライセンス登録に必要な書類 1. 酒類販売ライセンス申請書(Por.Sor.08-05) 1. Application form of Alcholole License 1. แบบฟอร์มคำขออนุญาติขายสุรา 2. 会社登記簿謄本(6カ月以内に発行したもの) 2. Company Registration(Issued within 6 month) 2. หนังสือรับรองบริษัท (อายุไม่เกิน 6 เดือน) 3. 代表者の身分証明書コピー 3. MD passport with Signature 3. สำเนาพาสปอร์ตกรรมการผู้มีอำนาจ 4. 酒類販売場所の住居登録証(コピーでOK) 4. Warehouse/Sales Shop registration document(Copy) 4. หนังสือรับรองคลังสินค้า ที่สามารถจัดเก็บสุรา 5. 販売場所が賃貸の場合:貸主の販売同意書と賃貸契約書 5. If the shop is rent, Owner agreement and Rental contract is required. 5. ในกรณีเช่าที่จัดเก็บ ต้องมีหนังสือสัญญาเช่าสถานที่เก็บสินค้า 6. 販売場所と周辺の地図(手書きは不可) 6. Shop Map/Drawing (not hand writing) 6. แผนที่คลังสินค้า/ผังจัดเก็บคลังสินค้า 英語とタイ語でも記載をしておきましたのでコピペをしてタイ人担当者にお伝え下さい。 お酒のラベルを登録する お酒の輸入販売ライセンスを入手出来たら次は輸入するお酒をそれぞれ登録する必要があります。 お酒の登録はお酒のラベル毎に登録します。 【例】 ・日本泰の清酒(720ml) ・日本泰の清酒(300ml) これらのラベルは別々で登録となります。 お酒のラベル登録に必要な書類 ラベル登録に必要な書類・情報 1. 輸入酒類ラベル使用申請書(Por.Sor.08-04) 1. Application form of the Alcohol label for import 1. แบบฟอร์มคำขออนุมัติฉลากสุรา 2. 第一種酒類販売ライセンス(コピーでOK) 2. Alcohol license 2. ใบอนุญาตินำเข้าสุรา 3. 独占輸入代理店を示す書類 3. Authorized Letter 3. จดหมายแต่งตั้งให้เป็นตัวแทนจำหน่ายจากผู้ผลิต 4. ラベルサンプル5枚 4. Label Sample 5pcs 4. ฉลากสินค้าจำนวน 5 ชิ้น 5. アルコール度数15度以上の醸造酒の場合:蒸留酒を含有していない証明書(製造業者の社印とレターヘッド) 5. If the alcohol percentage is over 15%: certification showing it does not include spirit(Supplier Letter Head and Stump) 5. กรณีสุรามีแอลกอฮอล์เกิน 15% ต้องมีจดหมายแก้ไขปริมาณ แอลกอฮอล์จากผู้ผลิต โดยเป็นหัวจดหมายจากผู้ผลิตรวมทั้งตราประทับผู้ผลิต 6. 成分証明書(製造業者の社印とレターヘッド) 6. Certificate of Analysis (Supplier Letter Head and Stump) 6. หนังสือแสดงส่วนผสมของสุรา ที่ออกโดยผู้ผลิต โดยมีหัวจดหมายและตราประทับผู้ผลิต 7. 製造工程表(製造業者の社印とレターヘッド) 7. Manufacturing Process (Supplier Letter Head and Stump) 7. ขั้นตอนการผลิต ที่ออกโดยผู้ผลิต โดยมีหัวจดหมายและตราประทับ ของผู้ผลิต 8. 商品サンプル(ケースバイケース) 8. Product Samples (Case by Case) 8. ตัวอย่างสินค้า 9. 店頭販売 予定価格 9. Suggested Retail Price 9. ราคาขายปลีกแนะนำ (ขอที่กรมสรรพสามิต) ラベルのサンプルについて 日本語表記を全てタイ語に翻訳する必要があります。プリントアウトして余白にタイ語翻訳の記載をしましょう。※弊社で代行可能です。 弊社で代行させて頂く場合はラベルのデータ(PDF or AI)を頂きます。 店頭販売予定価格の補足 ラベルの登録をする時に該当の商品を店頭でいくらで販売するのかも登録します。 タイでのアルコールにかかる物品税は25%。それに国内税(10%)、健康振興基金負担金(2%)がかかり、更に付加価値税(7%)がかかります。 このようにタイでの酒税の比率は決して低くなく、タイ国の財源に貢献をしております。 そして輸入者側からしたら売値を上げたくないので、この税金額を下げるために輸入時の申告価格を下げるテクニックがあります。 ですが極端にそれが安く、また店頭販売予定価格と乖離があった時に関係当局から指摘を受ける可能性があります。 指摘を受けた時のペナルティーで後から追徴課税なども考えられます。 弊社としてはこの手のテクニックを推奨しておりません。 一銘柄につき輸入登録は一社のみ タイへのお酒の輸入登録については一銘柄につき一社の独占販売を決まりとしています。 筆者の推測ですが、独占販売にしないと競争により店頭販売予定価格が下がりタイ国の税収入に影響するからだと思っております。 もしどうしても輸入販売したい銘柄が既に他社様で登録されている場合、勝手に登録販売してはいけません。 注意警告文の手配 タイでのアルコール印象でのラベル規則では「飲酒は運転能力を低下させる」、「未成年へのアルコールの販売をしてはいけない」という表記のタイ語ラベルを義務付けています。 弊社では以下の内容でラベルを手配しております。 注意書きラベルサンプル 【注意】 ・20歳以下の者へのアルコールの販売を禁じる ・飲酒運転は運転能力低下に影響する ・20歳以下の者はアルコールを飲んではいけない。 【Warning】 ・Do not sell alcohol to persons under 20 years of age. ・Drinking alcohol reduces the ability to drive vehicles. ・People under the age of 20 should not drink. 【คำเตือน】 ・ห้ามจำหน่ายสุราแก่บุคคลที่มีอายุต่ำกว่า 20 ปีบริบูรณ์ ・การดื่มสุราทำให้ความสามารถในการขับขี่ยานพาหนะลดลง ・บุคคลซึ่งมีอายุต่ำกว่า 20 ปีบริบูรณ์ไม่ควรดื่ม まとめ タイでのお酒の輸入者登録・ラベル登録は慣れていないとかなり時間と手間を要します。 上述した申請書や必要書類を準備してタイ人社員を含めた自分たちで出来なくはないですが、弊社のような代行業者を使用することを強くお勧めします。 登録をするには関係当局の担当者とある程度の人間関係が出来ている方がスムーズに事が進みます。タイという人脈社会では特にです。 もし輸入販売したいお酒がございましたらお問い合わせ下さい。 注:販売の代行はしておりません。

タイでランプ(割れ物)を梱包する!安全とコストのバランスをとり最適な物流をアレンジするのがフォワーダーの仕事。 | 輸送・ロジスティクス

タイでランプ(割れ物)を梱包する!安全とコストのバランスをとり最適な物流をアレンジするのがフォワーダーの仕事。

国際物流において貨物の安全性は当然ながら大切です。海上輸送や航空輸送では輸送中に船や機体が大きく揺れる事があります。 その時に貨物に十分な梱包やラッシングがない場合、貨物ダメージのリスクが高くなってしまいます。 今回のお客様はランプ(ランタン)をタイから日本に輸入されるとの事で物流を手配する事になりました。ガラスを使っているランプは当然ながら壊れやすい貨物です。 タイの梱包業者に仕事を依頼して安全な梱包をするのですが、今回はこの作業風景をご紹介していきたいと思います。 タイで割れ物を梱包する タイで製造販売されているランプはとてもデザイン性が高く、筆者としてもこれまで3回コンテナで日本まで輸送しています。 お客様曰く、かなり安いとの事。 そしてこれらの割れ物を運ぶためにしっかりと梱包します。 梱包業者に貨物を送る トラックいっぱいのランプが倉庫に届きました。タイは人件費が安いのでとにかくマンパワーで積み下ろしをしていきます。 色んなサイズのランプがあります。流石にこれらをコンテナに直積み(バラ積み)するのは危険だと判断しました。総額で300万円くらいありますから。 貨物の量が多いので、購入したものが全て送られてきているかを確認します。日本に到着してから届いていない商品を見つけてしまうと追加でエアーやLCLで送る事になります。 梱包方法を検討する 梱包業者の偉い人が出てきてくれました。この時点では2.3m x 1.1mのパレットを作って梱包しようかという話になっていました。 結局はプラスチックパレットでいけると判断。パレットにぴったりと乗るように乗せ方を考えなければいけません。 パレットに貨物を乗せたらラップをします。これで安心度が少しアップ。 二段積みをします。あまり高くなりすぎると重心が高くなり不安定になるので荷崩れの可能性が上がります。 現場で高さの指示をちゃんとします。 貨物が二段積みできるかどうかも事前に確認する必要があります。重たい貨物の場合は無理に高く積んではいけません。 ラップで全部グルグルに巻いて、コーナーにサポートを当てます。そしてバンドで縛って荷崩れを防ぎます。 最後に「Fragile(割れ物)」のステッカーを貼って完成。 ケースマークとパッキングリストを作る 最後にそれぞれ梱包したパレットごとにケースマークを貼ります。ケースマークの仕様は会社によってそれぞれです。 ケースマークの目的はどの番号に何の貨物が入っているか分かりやすくする為です。LCL(混載)の時などはどこ行きの貨物か分かるように向け地が書かれることもあります。 まとめ お客様の貨物を安全に運ぶのがフォワーダーの仕事です。バラ積みするかパレットに乗せるかはお客様の判断にもより事前に打ち合わせをしなければいけません。 日本では積み下ろしであまり作業員を使えないからパレットに乗せる事の方が多いですが、バラ積みの方が積載量が多く物流コストを最小限に抑える事が出来ます。 安全に運ぶのは勿論のことなのですが安全を考えすぎてオーバースペックの梱包をするとコストが無駄に上がります。 お客様と話しながら安全とコストのバランスを取るのが大切だと思います。

航空運賃の計算方法を解説!貨物の実重量と容積重量を正しく計算してクーリエやLCLとメリットを比較しよう。 | 輸送・ロジスティクス

航空運賃の計算方法を解説!貨物の実重量と容積重量を正しく計算してクーリエやLCLとメリットを比較しよう。

航空運賃の具体的な計算方法をご存知ですか?海上輸送よりも輸送日程が短いというメリットがある航空輸送ですが、費用の把握をしておけば必要以上の輸送費用を抑えることにも繋がります。 また貨物の重さによっては航空輸送の中でもDHL、Fedexというクーリエサービスを選んだ方が輸送費用を低く抑えることができる場合もあります。 今回はこの航空輸送費用の具体的な計算方法をご説明します。 容積重量と航空運賃の計算方法について動画で解説 航空運賃はどのように計算されるのか? 一見、難しそうな航空運賃の計算ですが実は、必要な要素を理解して計算の仕方を覚えておけば意外と簡単に費用計算を行うことができます。 航空運賃を計算する時の要素 ・実重量 ・容積重量 ・航空運賃(航空レート) 費用の計算を行う前にまず実重量と容積重量の比較が必要です。 実重量と容積重量を比較したときに、より単位が大きい重量が航空運賃の計算に適用される要素となります。 あとはより大きい重量に航空運賃(航空レート)をかけるだけで、航空運賃を算出することが出来ます。 航空運賃を計算する際に必要な要素 航空運賃を計算する際に必要な実重量・容積重量とはそれぞれ何を表しているのでしょうか?それぞれの重量の意味を知ることで実容量と容積重量の違いを確認しておきましょう。 実重量 文字通りになってしまいますが、実重量とは実際の重量のことを表します。つまり商品(パレットを含む)の重さを量りにかけた際の重量です。 容積重量 容積重量とは荷物の体積から換算される重量のことを言います。例えば体積が大きい荷物の場合、輸送を行っている航空機の面積を多く占めることになりますよね。 貨物が軽いからと言っても使用している面積が大きければ1回の輸送に対して送れる荷物量は少なくなってしまいます。 そのため実重量と容積重量と比較を行うことで体積も考慮に入れた航空運賃の算出が可能となります。 貨物の輸送には重さとサイズ両方が意図しています。実重量(kg)と容積重量(m3)という単位の違うものを比較しなければいけないので、その為の計算方法をご説明していきます。 実重量と容積重量の算出方法 実重量を計算する 貨物と貨物を梱包したカートン・パレットの重量を量りましょう。 容積重量を計算する 容積重量は、体積(cm3)を6,000で割ることで計算をすることができます。 容積重量(kg) = 体積(縦cm × 横cm × 高さcm) ÷ 6,000 航空運賃の計算方法 最後に、実重量と体積重量を比較して、より大きい重量に航空運賃を掛けましょう。 「実重量 or 容積重量」 × 航空運賃= 航空運賃 以上が航空運賃の計算方法です。次にタイへの貨物輸送を想定した計算式の例を見ていきましょう。 タイから日本への貨物を送る際の航空運賃を計算する ここではタイから日本へ貨物を送る場合を例として運賃の計算をしています。 (例) 貨物重量:500kg 貨物サイズ:縦115cm・横115cm・高さ165cm 1. 実重量を量る 貨物が1パレット分の実重量を500kgです。 2. 容積重量を計算する 縦115cm × 横115cm × 高さ165cmを1パレット。計算した体積を6,000で割れば、容積重量を計算することができます。 体積 = 115cm × 115cm × 165cm = 2,182,125㎤ 容積重量 = 2,182,115 ÷ 6,000 = 約363kg 縦115cm・横115cm・高さ165cmの場合、容積重量は363kgとなります。 3. Chargeable Weightを出す 実重量 500kg > 容積重量 363kg この場合は実重量をChargeable Weightとして採用します。 4. Chargeable Weightに航空運賃をかける タイから日本への航空運賃:THB 54/ 1kg 航空運賃 = 500kg × THB 54 = THB 27,000 今回の例では航空運賃はTHB 27,000となります。 クーリエサービスを使用する場合 45kg以下の荷物を輸送する場合、フォワーダーを通した航空輸送よりもDHLやFedexなどクーリエを使った輸送の方が費用を抑えることができます。 クーリエとは「国際宅配」をイメージするとわかりやすいかもしれません。 45kg以下の貨物の場合フォワーダーを通した航空輸送ではタリフレートと呼ばれる定価の航空運賃が適用されるのためです。45kg以下の貨物の場合はクーリエを利用した方が安く貨物を送ることができるのです。 これも損益分岐点のようなものがあるので50kgくらいではまだクーリエの方が安い場合が多いです。しかし100kgを超える航空貨物となるとフォワーダーのレートを使用した方がメリットがあります。 まとめ 航空運賃の計算方法はいかがでしたでしょうか?航空貨物の運送にかかる費用計算法を把握しておくことで、海上輸送やDHL、Fedexなどクーリエとの費用比較を行うことができます。その中で最適な費用を選択しましょう。

海上輸出のBookingの流れを解説!タイでFCLコンテナ輸出を手配する時の必要書類と情報などを説明しました。 | フォワーダーの仕事

海上輸出のBookingの流れを解説!タイでFCLコンテナ輸出を手配する時の必要書類と情報などを説明しました。

貨物を海外に海上輸出したい時どのような手順で手続きを進めていくのでしょうか。小口の貨物をEMSやDHLなどの航空便で送った経験はあると思いますが、海上輸出となると個人レベルではあまり体験する機会がありません。 海上便で貨物を送るとなると海外引っ越しを除いて大体が商業用の貨物だと思います。海上輸送では混載便やコンテナ便などで輸送をするのですが今回は具体的なBookingの流れについてご説明していきたいと思います。 Bookingの流れを動画で解説 1. フォワーダーにBooking依頼をする もしあなたが貨物を海外に輸出したい時フォワーダーに予約の連絡をしましょう。基本的にはメールで行われます。 緊急の場合 LINEのチャットで依頼される場合や電話で依頼される場合もありますが後ほど正式にメールで依頼をして頂いております。 Booking依頼に必要な情報 1. 貨物:名前・種類 (一般貨物、危険品貨物、冷蔵貨物) 2. 積み地 3. 向け地 4. コンテナのタイプ(20ft, 40ft, 40HC) & コンテナの本数 5. 貨物重量 6. 希望スケジュール 7. 希望船社 8. その他特別なリクエスト フォワーダーへのBooking依頼の例 1. Cargo: Car Parts 2. POL: Bangkok 3. POD: Tokyo 4. Container: 40HC x 2, 20dry x 4 5. Cargo Weight: about 15ton/container 6. Schedule: ETD BKK 24th Mar 7. Carrier: TS Line 8. Remark: free time 21days このように要点を簡潔に書いてメールにてご連絡ください。 船会社のスケジュールについては別途フォワーダーにお問い合わせ下さい。 2. フォワーダーが船会社にBookingをする(スペースの確保) 頂いた予約依頼の情報を元にフォワーダーが船会社に予約依頼をします。この時に重要なのが本船のスペースです。 急ぎでない場合、遅れても良い貨物の場合はスペース確保は大きな問題ではないのですが出荷スケジュールが決まっている貨物については本船のスペースが確保できないと貨物を送ることが出来ません。 スペース確保の重要性については、こちらの記事に記載しております。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/about-forwarder/?lang=ja" target="_blank"] 3. Booking Confirmationを入手する フォワーダーが本船スペースを確保出来たら船会社からBooking Confirmation(書類)を入手し、またフォワーダーからお客様にもBooking Confirmation(書類)を送られます。 Booking Confirmationの内容 ・Shipperの名前 ・Cneeの名前 ・本船名 ・コンテナの種類・数量 ・ETD/ETA ・積み地/揚げ地 ・CY搬入日 ・CY Cut Off Date(CY締め切り) ・船会社名 ・備考 4. フォワーダーに書類を提出する 貿易実務の現場では急ぎや変更などが頻繁に行われますので上記の対応を取っていますが、正式なBooking予約では以下の書類をお客様(Shipper)よりご提出頂く事になります。 ・Shipping Instruction(通称:S.I) ・Invoice ・Packing List 出荷の1ヶ月前の予約や急ぎでない案件の場合、また何度も輸出している案件の場合、最初から上記の書類を手配して頂いてから予約をして頂いたほうがスムーズです。 InvoiceとPacking Listは商取引で一般的に使われるものですが、Shipping Instruction(S.I)はフォワーダーがB/Lを発行する際の元となる書類です。 5. 通関・トラックの手配を依頼する 輸出通関手配 貨物を海上輸出する際には輸出通関をしなければいけません。フォワーダーに貨物情報を知らせて通関手配を事前に準備します。 貨物によってはタイ政府からの書類を入手しないと輸出が出来ない上げ地(向け地)側で通関が通らない、関税が高くなる場合があります。 初めて輸出する貨物の通関につきましてはお早めにお問い合わせ下さい。 トレーラーの手配 またコンテナを工場まで持っていく為のトレーラーも必要です。港のカットオフの時間や積み込み時間を考慮して、何時にコンテナが到着してほしいかを確認しましょう。 トラックもフォワーダーに依頼すれば手配をしてもらえます。 6. コンテナを手配する お客様側からしたら依頼した日時に空のコンテナが到着しているのですが、私たちはその空のコンテナをコンテナデポから事前に取りに行っています。 朝一のローディングの場合は前日の夕方に空コンテナをピックアップしておき、翌朝にお客様の工場に向かいます。 コンテナデポでは予約した船会社からのコンテナが割り当てられるのですが、コンテナの質が悪い(穴あき、汚れ、サビなど)場合があります。 質の悪いコンテナが割り当てられてしまったらトラックドライバーは受け取りを拒否して、再度 新しいコンテナをピックアップするために列の後ろに並びなおさなければいけません。 タイでコンテナが時間通りに来ないという問題の背景にはこういうコンテナデポでの問題も関係しています。 7. 貨物を積み込む 一般的に貨物の積み込みはお客様によって行われます。フォークリフトを使ったり、作業員が手で直接積み込んだり、積み込み方法はお客様の貨物によってそれぞれ異なります。 トレーラーの待機時間 貨物の積み込みに時間がかかる場合、オーバータイムが発生することがあります。トレーラーの無料待機時間は主に2〜4時間です。 トラック業者によって異なる場合がありますが、弊社では4時間とさせて頂いております。 VGMをフォワーダーに連絡する VGMとは貨物の正しい重量を船社に報告するルールです。VGMの提出締め切りがありまして、締め切りまでにフォワーダーに貨物の実重量を連絡しなければいけません(誤差10%くらいならOK)。 提出方法は船会社によって異なりまして、特定のフォームにお客様のサインが必要なものや、フォワーダーがシステムで入力するだけで済むところもあります。 8. 港にコンテナを運び込む 貨物を積み終わったコンテナを港まで運びます。 CYカット(カットオフ・リターン) 港の事をCY(Container Yard)といい、予約した本船に貨物を載せるために「CYカット」という貨物を持ち込む締め切り日時が設けられております。飛行機の搭乗予約時間の締め切りのようなものです。 これは「カットオフ」や「リターン」という言葉でも使われます。 CYカットは”場合によって”延長可能です。 ※毎回延長可能ではありません。どうしても積み込みに時間がかかる、または港まで渋滞に巻き込まれてしまう可能性があります。 ”事前に”カットオフまでどうしても間に合いそうにないと分かった場合は、フォワーダーにカットオフの延長を依頼しましょう。 フォワーダーへの連絡なしにコンテナが港に遅れて到着しても受け取ってもらえませんのでご注意下さい。 9. 本船が出港する 貨物を搭載した本船がタイの港を出港します。 10. B/Lの発行 船が港を出港すると船会社よりB/Lが発行されます。主に出港日の翌日 or 2日後に発行されます。急ぎの場合はフォワーダーにご連絡下さい。 まれにB/L部隊がB/L作成に忙殺されていて発行に時間がかかる場合がございますので。 B/Lの役割と取り扱いについてはこちらの記事に記載しております。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/about-bl/?lang=ja" target="_blank"] まとめ 今回は輸出の一連の流れを説明しました。全体を理解していることで事前に準備しておくことや、もし問題が発生したときに備えることが出来ます。 もし何かご不明点がありましたら弊社スタッフまでお問い合わせ下さい。

Freight PrepaidとCollectの違いとは?貿易条件を理解しShipperとCneeから代金回収リスクを減らそう。

貿易には色んな専門用語があります。今回ご説明する用語は「Prepaid」,「Collect」です。筆者も国際物流の仕事に携わったときはこの貿易用語の理解が大変でした。 このような感じでした。。このような疑問を持っているのは筆者以外にもいらっしゃるでしょう。なので今回はPrepaidとCollectの違いについて分かりやすく解説をしていきたいと思います。 フレート・プリペイドとコレクトのアニメ動画解説 Freight Prepaid とCollectの違いとは まずPrepaidとCollect。これは運賃(Freight)のことを指しており、B/Lには”Freight Prepaid”と”Freight Collect”というように記載をされております。 違いを理解するのは簡単です。これらの英単語を翻訳したら以下のようになります。 Freight PrepaidとCollectの違い Freight:運賃 Prepaid: 事前に支払う Collect: 回収する Freight Prepaidは運賃を前払いする。すなわち輸出地側が運賃を支払うということになります。一方でFreight Collectは運賃を回収する。輸入地側で運賃を回収するという意味です。 誰が運賃を支払うのか ・Freight Prepaid: Shipperが運賃を支払う ・Freight Collect: Consigneeが運賃支払う ”運賃”とは何の運賃を支払うことなのか この場合の運賃というのは国際輸送費用です。なので海上運賃や航空運賃の事を指します。B/L(船荷証券)やAir Waybill(航空運送状)に記載するものなので輸出地側や輸入地側のトラック輸送費、港の費用、通関費用は関係ありません。 関連するインコタームズ 国際輸送費用を輸出者・輸入者のどちらが負担するのかということですので、これらはインコタームズにも関わってきます。 関連するインコタームズ  Freight Prepaid:C&F, CIF, CFR, DDU,DDP Freight Collect:EXW, FOB 上記では一般的に使用するインコタームズのみ記載しましたが、インコタームズの詳細についてはこちらをご確認下さい。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/incoterms/?lang=ja" target="_blank"] Prepaid/CollectはShipperとCnee次第 Freight PrepaidにするかFreight Collectにするかは、輸出者(Shipper)と輸入者(Cnee)のインコタームズの取り決めによります。 商品を購入する輸入者側が物流は自分でコントロールしたいという場合、ターム(インコタームズの事)をEXWやFOBにするでしょう。 また輸入者が物流のことは面倒だから輸出地側に完全に任せたいというのであれば、一般的にCIF条件などで取引されます。 積み地フォワーダー泣かせのFreight Collect これは弊社の案件の一例なのですが、タイ- インド間の取引でFreight PrepaidやFreight Collectにするかどうかで論争になった事があります。 タイ側で輸出者様と商談を進めており、輸出者様(タイ)が運賃を支払うFreight Prepaidで決まりかけていました。取引条件はCIFでした。 しかし、貨物を輸出しようとする直前に輸出者様(タイ)と輸入者様(インド)で話の内容が変わったのか、Freight Collectにするとの事。 EWXに変更になりました。この案件はタイで進めていたもので(タイで運賃を船会社から入手して案件獲得につながったので)、船社に対して私たちフォワーダーは運賃をPrepaid(前払い)しなければいけません。 MasterとHouse B/Lに記載されるFreight "Prepaid"と"Collect" ・Master B/L: Freight Prepaid ・House B/L: Freight Collect になります。 Master B/LとHouse B/Lの違いについてはこちらをご参照ください。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/hbl-mbl-difference/?lang=ja" target="_blank"] インドから代金を回収する そしてお客様から運賃の回収をするのはインドです。弊社のインド代理店がインドの輸入者様に連絡を取って運賃を回収して、タイに国際送金するという形になります。 こうなるとタイ側でのコントロールが難しくなるのです。 為替リスクが発生する 更にEXWですのでタイ側のトラック運賃、通関費用、港の諸費用は基本的にタイバーツで発生し、インド側にはUSDで請求をすることになります。ここで為替リスクが発生し為替に関しての取り決めなどもしなければいけません。 はたしてインドの会社が無事に支払日までに支払ってくれるのだろうか。。代金の支払いを遅らせる事が経理の実績だと言われるインド。 日本相手なら全く問題ないFreight Collectですが、インド相手だと出来ればFreight Prepaidで対応したい案件でした。 国際取引のバランスを取る 上記の例がややこしいのは積み地側/輸出者側で物流の取引がほぼ確定していた事です。これがインド側(揚げ地側)で物流業者が輸入者に営業をかけてインド側主体での取引だとそれほど問題視する事はなかったでしょう。 国際取引というのは、言葉・文化・通貨だけでなく、それぞれの国の商習慣の違いもあるので単純なものではありません。そのバランスを取れるのが物流においてはフォワーダーなのかなと思います。 まとめ 輸出者、輸入者の立場からしたらFreight PrepaidとFreight Collectは取引条件の取り決め事項ですので割と単純なルールです。 しかし単なる運賃支払いのルールではなく その取引が決まる背景まで含めて見た時、スムーズな国際取引をするためにはフォワーダーとの連携が重要になって来ます。

インコタームズのDDP・DDU・DAPの違いについて解説!輸入時の税金の支払いやリスク負担の分岐点とは? | インコタームズ

インコタームズのDDP・DDU・DAPの違いについて解説!輸入時の税金の支払いやリスク負担の分岐点とは?

[keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/ddu-ddp/" target="_blank"] インコタームズのDDPとDDUは、いわゆるドアtoドアで手配する貿易条件です。 お客様の貿易条件の取り決めは色々あります。輸出側と輸入側でどちらが物流の手配、費用負担・危険負担をするのか。全てのお客さまが貿易に詳しい訳ではありません。 タイのフォワーダーである筆者は基本的に自分たちでコントロール出来る物流を好みますのでDDP,DDUも頻繁に手配しています。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/incoterms2020-d-group/?lang=ja" target="_blank"] 【関連動画】インコタームズ2020のDAP/DPU/DDPについて解説 DDPとは DDPはDelivered Duty Paidの略称で貿易条件の種類であるインコタームズの一つです。 運賃と保険料を輸出者が負担する取引条件のことを指し、日本語では仕向地持込関税込渡しとも言います。 インコタームズの中で、Dグループと呼ばれる条件グループに含まれます。 DDPの特徴 DDPは現在11種類あるインコタームズの中で最も輸出者の負担が大きく、輸入者の負担が小さい取引条件です。 このDグループの条件(DDP/DAP/DPU(DAT))においてのみ輸入通関を輸出者が行います。また、輸入国における輸送費用まで輸出者が負担するのもこの条件だけです。 つまり輸出者は、契約時に定められた指定仕向地に貨物が到着するまでの費用と責任を負担することになります。 そのためDDP条件での取引では、自国だけではなく輸出地におけるフォワーダーや運送業者との取引経験など貿易の豊富な経験が輸出者には求められます。 一方、輸入者側から言えば、DDP条件では基本的に指定仕向地に貨物が到着するのを待っていればよく、貿易経験が浅い場合でも最もリスクの少ない取引条件だと言えます。 ただし、通関などに必要な書類を輸出者から求められた場合はそれに協力する必要があります。 DDPにおける貨物の引渡し場所、費用負担・危険負担の分岐点 DDP条件では、契約時に定められた輸入国側のある地点が貨物の引き渡し場所及び費用と責任の移転場所となります。この場所は指定仕向地と呼ばれ、指定仕向地に到着するまでは輸出者が費用(税金を含む、全ての輸送費用)や責任を負担することになります。 また危険負担には輸送中の商品ダメージなども含まれそうした損害が発生した場合の補償も輸出者の負担となります。 DDUとは Duty Unpaidの略称で日本語では仕向地持込関税抜き渡しとも呼ばれます。先ほど説明したDDP条件との違いは、輸入地における関税の支払いです。 DDP条件では輸入地における関税も輸出者が支払いますがDDU条件では輸入者が支払いの義務を負います。 インコタームズ2010での改正について ・DDU条件は廃止され、代わりにDAP条件が設けられた DDU条件は最新版であるインコタームズ2010では廃止され、同じDグループの取引条件であるDES、DAFと共に、新たに設けられたDAP条件へと移行することが推奨されています。 これには特にコンテナ輸送の場合、輸入地におけるターミナル使用料の負担義務がどちらにあるのかが不明確な為に荷下ろし義務を輸入者負担とするDAP条件でそれを解決するという目的があります。 DDU条件はDAP条件への移行が推奨されているものの未だに実務では使われる条件です。 また、DDU条件のようなインコタームズ2000の取引条件も使用が禁じられているわけではないので状況によってはDDU条件での取引となることもあるでしょう。 その場合、書類に”As per Incoterms 2000”などと記載するのが望ましいとされています。 DAP条件とは DAP条件は、インコタームズ2010で新たに設けられた取引条件です。Deliver At Placeの略称で、日本語では仕向地持込渡とも呼ばれます。 DAPは輸入港または輸入国におけるターミナル(埠頭、港湾地区の倉庫、コンテナヤード、鉄道の駅など)において、輸入通関前に、輸送手段(船や飛行機、トラックなど)の上で荷降ろしの準備ができた状態で貨物を輸入者に引き渡します。 引き渡しの時点で、危険・費用負担も輸入者へ移転します。つまり、荷降ろしにおける危険・費用は輸入者が負担することになります。 まとめ 今回はDDP条件とDDU条件について詳しく見てきました。DDP条件はインコタームズの諸条件の中でも最も輸出者の負担が大きく、輸入者の負担が小さい取引条件です。 輸出者の負担が最も小さいのはEXW条件でしたが、DDP条件はそれと真逆の取引条件だと言えるでしょう。 輸出者としてDDP条件を用いる際は現地での荷降ろしや通関業務などに問題がなく指定仕向地まで確実に貨物を送ることができることを十分に確認する必要があります。 そのためには現地のフォワーダーなど関連業者との連携が不可欠です。 フォワーダーを通しても輸入国で許認可取得や通関許可を取得するのが難しい場合はDDPを避けてDAPなど通関業務の無い取引条件を選択することが望ましいでしょう。 企業様の貿易・新人研修にお勧めの無料コンテンツ