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2026年1月

世界は自動化、日本は足踏み。港湾DXが進まない本当の理由 | 物流ニュース・物流ラジオ

世界は自動化、日本は足踏み。港湾DXが進まない本当の理由

世界では港湾の自動化が急速に進んでいます。 一方で、日本の港湾はその流れから大きく遅れつつあるのが現実です。 本日は海事プレスの特集記事をもとに、世界で進む港湾自動化の実態と、日本が抱える構造的な課題について整理していきます。 動画視聴はこちらから 世界では港湾自動化がスタンダードになりつつある まず、世界の現状を確認しましょう。 国土交通省のデータによると、2023年時点で世界のコンテナ取扱量上位20港のうち17港で、すでに自動化技術が導入されています。 特に新設されるターミナルでは、自動化を前提とした設計が当たり前になっています。 なぜ世界は自動化を選ぶのか 理由は大きく二つあります。 一つ目は安定稼働です。 自動化されたクレーンや搬送設備は、24時間365日、休まずに稼働できます。 人間のように疲労やシフト制約がなく、一定の生産性を維持し続けられる点は、サプライチェーン管理において極めて重要です。 二つ目は労働環境の改善です。 港湾作業は酷暑や極寒といった過酷な環境下で行われます。 遠隔操作を導入すれば、作業員は空調の効いた屋内から安全に作業できます。 これにより、女性や高齢者、現場経験豊富なベテラン人材も働き続けられる環境が整います。 日本で自動化が進まない理由 日本では一部ターミナルで遠隔操作が導入されていますが、完全自動化には至っていません。 背景には三つの大きな壁があります。 労働組合との合意形成 高騰するコストとROIの問題 既存インフラの制約 労組・コスト・インフラという三重苦 港湾自動化は雇用に直結します。 世界では自動化に反対する港湾労組の動きが活発化しており、日本でも慎重な調整が不可欠です。 さらに、日本の港湾労働者は技能水準が非常に高く、自動化しても生産性が劇的に向上しないケースもあります。 結果として、多額の投資をしても回収が難しいという現実があります。 日本港湾が進むべき現実的な道 短期的に日本で完全無人港が一気に広がる可能性は低いでしょう。 しかし、労働人口が減少する中で現状維持は不可能です。 今後は人を置き換える自動化ではなく、人を支える自動化が現実解になります。 技術論以上に重要なのは、コストを誰がどう負担するかという合意形成です。 船社、港湾事業者、荷主を含めたサプライチェーン全体での議論が、日本の物流を止めない鍵になるでしょう。

紅海危機、再燃か?フーシ派が攻撃再開を示唆、スエズ運河復帰に暗雲 | 物流ニュース・物流ラジオ

紅海危機、再燃か?フーシ派が攻撃再開を示唆、スエズ運河復帰に暗雲

紅海情勢は一度落ち着きを見せたかに見えましたが、ここに来て再び緊張が高まっています。 本日は、フーシ派による攻撃再開示唆と、それに伴うスエズ運河復帰見送りの動きを整理し、今後の海運市況への影響を読み解きます。 動画視聴はこちらから フーシ派が「攻撃再開」を示唆、再び高まる紅海リスク イエメンの親イラン武装組織であるフーシ派が、紅海を航行する商船への攻撃再開を強く示唆しました。 背景にあるのは、米国によるイランへの軍事的圧力の強まりです。 フーシ派は先週末、YouTubeなどの動画プラットフォームに挑発的な映像を投稿しました。 その動画には「Soon(間もなく)」という文言とともに、商船が炎上する映像が含まれていたとされています。 さらに声明では、米国がイランを攻撃した場合、報復を行うと明言しました。 紅海は世界のコンテナ物流における最重要ルートの一つであり、ここでの緊張再燃は即座に海運判断へ影響します。 米国とイランの緊張がフーシ派を刺激 海外メディアの報道を総合すると、米国はイランの核開発問題や地域武装組織への関与を警戒し、紅海およびペルシャ湾周辺で軍事プレゼンスを強化しています。 これに対し、イランの後ろ盾を持つフーシ派は、紅海を事実上の交渉カードとして利用する構えを見せています。 紅海という物流の要衝を不安定化させることで、米国とその同盟国に圧力をかける狙いです。 スエズ運河復帰に急ブレーキ、船社の判断は分かれる この緊張の高まりは、直ちに船社の運航判断に影響しています。 一部船社では「スエズ運河へ段階的に戻れるのではないか」という見方が出ていました。 しかし、今回のフーシ派の警告により、その動きは一気に後退しました。 フランスの大手船社CMA-CGMは、欧州航路の一部で計画していたスエズ復帰を取りやめ、引き続き喜望峰経由での運航を継続すると発表しました。 安全を最優先する判断です。 一方、マースクはインド―米国東岸を結ぶMECLサービスについて、紅海・スエズ経由への変更を発表していました。 しかし現状では、この決定が再び見直される可能性が極めて高いと見られています。 今後の影響、運賃とサプライチェーンはどうなるか 結論として、スエズ運河への全面復帰は当面遠のいたと見るべきでしょう。 喜望峰経由の長期化により、リードタイム短縮は期待しづらい状況が続きます。 燃料費や用船料の高止まりも避けられません。 一方で、足元では旧正月前の需要一巡により運賃には下落圧力がかかっていました。 しかし紅海情勢の再悪化により、供給スペースが再び引き締まる可能性があります。 運賃下落が止まり底堅く推移するシナリオ 地政学リスクを背景にスポット運賃が反発するシナリオ さらに、米国とイランの直接衝突に発展すれば、ホルムズ海峡封鎖リスクが浮上します。 その場合、原油価格の高騰とバンカーサーチャージ急騰が物流コストを直撃するでしょう。 荷主企業にとっては、長めのリードタイム設定や代替ルート、航空輸送への切り替え準備など、BCPの再確認が不可欠な局面です。 地政学リスクが市況を左右する状況は、まだしばらく続きそうです。

【市況解説】SCFI 3週続落、1500ポイント割れ。春節前の需要減と今後の運賃動向 | 物流ニュース・物流ラジオ

【市況解説】SCFI 3週続落、1500ポイント割れ。春節前の需要減と今後の運賃動向

足元のコンテナ運賃市況に、はっきりとした下落シグナルが出てきました。 2026年に向けた市況を占う上で、今回のSCFI下落は重要な転換点になりそうです。 動画視聴はこちらから SCFIが3週続落、1,500ポイントを割り込む 1月23日、上海航運交易所が発表したSCFIは、総合指数が前週比7%安の1,458ポイントとなりました。 これで3週連続の下落となり、約1か月半ぶりに1,500ポイントを割り込んでいます。 これまで底堅さを見せていた中東航路や地中海航路も含め、主要航路がほぼ全面安となった点が今回の特徴です。 SCFIは短期需給を最も敏感に反映する指数であり、連続下落は実需の弱さを示します。 主要航路別に見る運賃下落の実態 北米西岸向けは40フィート当たり2,084ドルと、前週比5%下落しました。 東岸向けも9%安の2,896ドルとなり、6週ぶりに下落へ転じています。 欧州向けも弱含みで、北欧州は20フィート当たり1,595ドル、地中海向けは2,756ドルまで下落しました。 特に目立つのが中東向けで、24%安の1,288ドルと急落しています。 南米西岸向けも939ドルまで下がり、昨年以来初めて1,000ドルを割り込みました。 北米:年始の値上げ分がほぼ解消 欧州:需要回復の鈍さが鮮明 中東:供給過多が顕在化 下落要因は「春節前需要の早期収束」 今回の最大の要因は、中華圏の春節前需要が想定より早く息切れした点です。 例年であれば1月下旬まで駆け込み需要が続きますが、今年は1月中旬以降、出荷量が急速に鈍化しました。 船会社は減便やブランク・セーリングで供給調整を行ってきましたが、それでも需要を下支えできなかった形です。 構造問題としての「供給過剰」は依然解消されず 別の視点として見逃せないのが、新造船の竣工ラッシュによる供給増です。 Drewryなどの分析でも、2026年にかけて船腹供給は需要成長を上回る見通しが示されています。 特に中東航路の急落は、配船調整が追いついていないことを象徴しています。 今後の市況見通しと注意点 短期的には、春節期間から2月後半にかけて閑散期入りが確実視されます。 このため、運賃の反発材料は乏しく、弱含みから横ばいの展開が基本シナリオです。 一方で、船会社はさらなる欠便強化やサービス再編で市況防衛を図る可能性があります。 運賃は安いがスペースが取れないという局面が、春節明けに突発的に発生するリスクには注意が必要です。 物流担当者にとっては、単なる運賃水準だけでなく、供給戦略とスペース確保を含めた判断が求められる局面に入っています。

【物流DX】海コン陸送に特化した新マッチングサービスが登場。多重下請け構造の解消と「2024年問題」への新たな一手となるか? | 物流ニュース・物流ラジオ

【物流DX】海コン陸送に特化した新マッチングサービスが登場。多重下請け構造の解消と「2024年問題」への新たな一手となるか?

日本の港湾物流、とくに海上コンテナの陸送を巡る構造的な課題に対して、ひとつ注目すべき新サービスが登場しました。 本日は、1月27日の海事プレスで報じられた「海コン陸送マッチングを開始。ロジテクノサービス/Xグラビティ」というニュースをもとに、物流DXの観点からその意味と可能性を読み解いていきます。 動画視聴はこちらから 新サービス「海コンマッチング」とは何か 今回発表されたのは、荷主・フォワーダーとドレージ会社を直接つなぐ海上コンテナ輸送に特化したマッチングプラットフォームです。 開発したのはロジテクノサービスとXグラビティの2社で、2026年2月から本格展開が予定されています。 仕組みは非常にシンプルです。 荷主やフォワーダーが、輸送したいコンテナ案件を登録します。 ドレージ会社が、対応可能な日程や空車情報を登録します。 条件が合致した場合にマッチングが成立します。 ここで最大の特徴となるのが、マッチング成立まで両者が匿名であるという点です。 条件が合致し、実際に取引が成立する段階で初めて会社名が開示され、その後はプラットフォームを介さずに直接交渉へ移行する設計になっています。 利用料金は1アカウントあたり月額6,600円で、初期費用は無料です。 さらに、2月中の登録であれば3か月間無料というキャンペーンも予定されています。 なぜ今、このサービスが必要とされているのか このサービスが登場した背景には、日本の海コン陸送を取り巻く二つの深刻な構造問題があります。 ① ドライバー不足と「2024年問題」 まず一つ目は、慢性的なドライバー不足です。 これに加えて、時間外労働の上限規制、いわゆる「2024年問題」が本格的に影響し始めています。 長距離輸送や無理なスケジュールが組めなくなり、ドレージの供給力そのものが低下しています。 さらに、本船スケジュールの遅延や港湾混雑が常態化していることで、直前の再配車が極めて難しくなっています。 ② 多重下請け構造による利益圧迫 もう一つの問題が、日本の運送業界に根深く残る多重下請け構造です。 元請けから二次、三次へと仕事が流れる中で、実際に走るドレージ会社の取り分は年々圧縮されています。 記事でも触れられていますが、「もらい仕事」だけでは利益が残らないという声は現場で非常に多く聞かれます。 一方で、中小のドレージ会社が自力で荷主を開拓するには、営業リソースや情報が不足しているのが実情です。 「匿名性」という日本的課題への解答 このサービスで特に興味深いのが、匿名性を前提に設計されている点です。 既存の協力会社との関係を考えると、「他社を探している」と表立って動くことは、日本の商習慣では心理的ハードルが高いのが現実です。 匿名であれば、しがらみを気にせず、条件だけでフェアに取引先を探すことができます。 これは、単なるITサービスではなく、現場の空気を理解した実務設計だと言えるでしょう。 匿名で需給を可視化し、成立後は直接取引へ移行するという設計は、多重下請け構造を崩すための現実的なアプローチです。 将来像:コンテナ・ラウンドユースへの可能性 記事によると、将来的には輸出と輸入のコンテナをマッチングする機能も視野に入れているとのことです。 これは、いわゆるコンテナのラウンドユースを促進する仕組みにつながります。 輸入後に空で返却されているコンテナを、そのまま輸出バンニングに活用できれば、コスト削減とCO₂削減の両立が可能になります。 これまで調整が難しかったこの分野も、データが集積されれば実現性は一気に高まります。 まとめ:DXは「現場の詰まり」を解消できるか 今回の海コンマッチングは、単なる配車効率化ツールではありません。 ドライバー不足、多重下請け、2024年問題という日本物流の構造課題に、DXで正面から切り込む試みです。 このサービスがどこまで広がるかは、登録企業数と実利用の積み重ねにかかっています。 ドレージ不足というピンチを、構造改革のチャンスに変えられるのか。 今後の展開を、継続的に追っていきたいと思います。

土日・夜間は荷役しません!日本港湾で広がる不稼働の波と抜港リスク | 物流ニュース・物流ラジオ

土日・夜間は荷役しません!日本港湾で広がる不稼働の波と抜港リスク

日本の港湾で、これまで「当たり前」とされてきた24時間稼働体制が、静かに崩れ始めています。 特に地方港を中心に、人手不足を理由として土日や夜間の荷役作業をあえて止める 動きが全国規模で広がっています。 これは一時的な対応ではなく、日本の港湾物流の構造そのものが転換点に差し掛かっていることを示しています。 動画視聴はこちらから 全国に広がる「港が止まる」現実 現在、日本各地の港で以下のような対応が進んでいます。 博多港では深夜帯の荷役不稼働を試験的に導入 北九州港 太刀浦地区では日曜荷役休止と土曜ゲートクローズを実施 苫小牧港ではRTG稼働数を減らし同時荷役能力を縮小 小樽港では土曜日のコンテナヤードを終日クローズ 九州から北海道まで、地域を問わず「稼働時間を削る」という判断が連鎖しています。 港が動かないのではなく、人を守るために動かさないという判断です。 背景① 人手不足と働き方改革の板挟み 最大の要因は、慢性的な港湾労働者不足です。 少子高齢化により担い手は減少し、これまで残業で支えてきた現場も、働き方改革による時間外労働規制で限界を迎えています。 「人がいないなら無理をしない」 という判断は、もはや避けられない現実です。 背景② 船の大型化と遅延の連鎖 コンテナ船の大型化により、一度の寄港で扱う貨物量は急増しました。 さらに海外港の混雑や天候不順で遅延した船が一気に到着することで、限られた時間帯に業務が集中します。 結果として、人員と処理能力のミスマッチ が慢性化しています。 背景③ 若年層確保のための苦渋の選択 夜間や休日勤務が多い職場は、若年層から敬遠されやすくなっています。 港運事業者にとって、稼働時間の制限は離職防止と採用強化のための現実的な選択肢です。 最大の懸念 日本パッシング 最大のリスクは、船会社による 日本港の抜港 です。 利便性が低いと判断されれば、釜山港や中国港湾へのシフトが進む可能性があります。 一度失った寄港地の地位を取り戻すのは容易ではありません。 港を止める判断は、生き残るための賭けでもあります。 今後の二極化シナリオ 今後、日本の港湾は次の二極化が進むと考えられます。 地方港は稼働時間を絞りDXと省人化で生産性を高める 主要港は24時間体制維持を目指すが自動化投資が鍵 日本の港湾物流は「いつでも動く」時代から「計画的に動かす」時代へ移行しています。 荷主側も前提条件を見直し、余裕あるサプライチェーン設計が求められます。

ONE、2026年度「欧州直航休止」と釜山シャトル新設の全貌 | 物流ニュース・物流ラジオ

ONE、2026年度「欧州直航休止」と釜山シャトル新設の全貌

本日は、ONE(オーシャン・ネットワーク・エクスプレス)が発表した、2026年度からの日本―東アジア航路の大規模再編について解説します。 動画視聴はこちらから 欧州直航休止と釜山トランシップへの完全移行 今回の発表で最も重要なのは、日本発欧州向けの直航サービスが終了し、釜山でのトランシップに完全移行する点です。 ONEはこれまで北米・欧州・アジアを結ぶ振り子配船を採用してきましたが、2026年度からこれを解消します。 欧州航路は日本寄港をやめ、釜山をハブとするハブ&スポーク型へ移行します。 週2便の「釜山シャトル」新設 代替策として、 Japan Shuttle East Japan Shuttle West という週2便の釜山シャトルが新設されます。 東京・名古屋・神戸から釜山へ送り、そこから欧州向け母船へ接続する仕組みです。 なぜこの再編が必要だったのか 最大の理由はスケジュール安定性の回復です。 振り子配船は効率的ですが、欧州港湾混雑や紅海情勢悪化が起きると遅延が全航路に波及します。 ONEは欧州航路を切り離すことで、北米・アジア域内航路の品質を守る判断をしました。 これはマースクとハパックロイドの「Gemini Cooperation」と同様、世界的な潮流です。 荷主への影響と評価ポイント 荷主が最も気にするのは以下です。 リードタイムの変化 釜山での接続安定性 ONEはFE4など欧州直航便を用意し、輸送日数は現行水準を維持するとしています。 評価の分かれ目は、実運用での釜山接続品質です。 ポジティブな側面:南アジア直航の強化 一方で、日本―インド・パキスタン直航のJTIサービスが新設されます。 これはチャイナ・プラス・ワン戦略に合致し、南アジア向け輸送品質を大きく高めます。 日本港は「基幹航路の寄港地」から「高頻度フィーダー拠点」へ役割転換が進みます。 まとめ 今回の再編は日本港にとって構造転換を意味しますが、定時性という確実性を得るための合理的判断です。

【2026年海運市況】エジプト・ソフナ港新ターミナル稼働と、スエズ運河回帰の現実 | 物流ニュース・物流ラジオ

【2026年海運市況】エジプト・ソフナ港新ターミナル稼働と、スエズ運河回帰の現実

本日は、エジプト・ソフナ港の新コンテナターミナル稼働と、そこから見えてくる海運各社のスエズ運河回帰トレンドについて解説していきます。 動画視聴はこちらから ソフナ港に誕生した新ハブターミナル 2026年1月15日、エジプトのソフナ港で同国初となる半自動化コンテナターミナル「RSCT(Red Sea Container Terminals)」が稼働を開始しました。 ソフナ港はスエズ運河南側、紅海の入り口に位置する地政学・物流の要衝です。 運営はハチソン・ポーツ、CMAターミナルズ、COSCOシッピング・ポーツのコンソーシアムで、30年間のコンセッション契約を締結しています。 ハチソン・ポーツ単独でもエジプトへの投資額は約18億ドル規模とされています。 ターミナルの処理能力と戦略的価値 RSCTは水深18メートルを確保し、世界最大級のコンテナ船にも対応します。 第1フェーズで年間170万TEU、将来的には350万TEUまで拡張される計画です。 重要なのは、このターミナルが港単体ではなく、鉄道・高速道路と一体で設計されている点です。 スエズ運河回帰の兆候が数字に表れる 2023年後半からの紅海危機により、多くの船社は喜望峰ルートへ迂回していました。 しかしDrewryによると、2026年1月11日までの1週間でスエズ運河通過のコンテナ船は26隻と、直近5週間で最多を記録しています。 Maerskが一部定期航路をスエズ経由へ復帰 CMA CGMも段階的に回帰 Gemini Cooperation(Maersk×Hapag-Lloyd)も採用検討 エジプト国家戦略「SCZone」とランドブリッジ構想 背景にあるのが、エジプト政府主導のスエズ運河経済特区(SCZone)構想です。 ソフナ港は内陸工業地帯と高速道路・鉄道で直結され、さらに紅海と地中海を結ぶ高速電気鉄道が建設中です。 これは実質的に「陸上のスエズ運河」として機能する可能性があります。 なぜ今、船社はスエズに戻り始めたのか 理由は安全面だけではありません。 喜望峰迂回による燃料費増加、ETSなどの環境コストが船社の経営を圧迫しています。 その中で、複線的な代替ルートを持てる安心感が、スエズ回帰を後押ししていると考えられます。 今後の市況への影響 短期的には、スエズ利用船は段階的に増える可能性があります。 その結果、アジア―欧州間のリードタイム短縮と実質キャパシティ増が発生します。 これは海上運賃に対して下押し圧力となる可能性があります。 一方で中東情勢は不透明なため、船社はスエズと喜望峰を切り替えるハイブリッド運用を継続するでしょう。 まとめ 今回のポイントは、「スエズが安全になったか」ではなく「選択肢が増えた」という点です。 ソフナ港を核にした新たな物流網が、今後のサプライチェーン設計に影響を与えていく可能性があります。

マースク、スエズ運河へ本格復帰。中東情勢と「品質回復」の賭け | 物流ニュース・物流ラジオ

マースク、スエズ運河へ本格復帰。中東情勢と「品質回復」の賭け

本日はマースクがスエズ運河へ本格復帰する決断と、その裏側にある地政学リスクについて整理します。 紅海危機以降、主要船社が公式にサービス復帰を宣言するのは今回が初めてであり、物流正常化の試金石とも言える動きです。 動画視聴はこちらから マースクが発表したスエズ本格復帰の概要 大手海運会社のマースクは、中東とインドから米国東岸を結ぶ自社単独サービスMECLについて、従来の喜望峰経由からスエズ運河経由へ戻すと発表しました。 これは単なる航路変更ではなく、紅海情勢悪化以降、主要船社が本格的な復帰を公式に打ち出した初の事例です。 具体的には、西行きは1月15日にジュベルアリを出港したコーネリア・マースク、東行きは1月10日にノースチャールストンを出港したマースク・デトロイトがスエズ経由で運航を計画しています。 紅海危機後の象徴的な一歩として業界内で大きな注目を集めています。 復帰の理由は「サービス品質」と「効率回復」 マースクがこの決断に踏み切った理由は大きく二つあります。 一つ目はサービス品質の回復です。 喜望峰経由では輸送日数が大幅に延び、スケジュールの不安定化が避けられませんでした。 スエズに戻すことでリードタイムを短縮し、顧客にとって最も効率的な輸送品質を提供する狙いがあります。 二つ目は運航効率とコスト削減です。 遠回りをやめることで燃料消費が減り、船の回転率も改善します。 マースクは昨年12月と今年1月に試験通航を行っており、一定の安全確認が取れたと判断したとみられます。 別ソースが示す地政学リスクと懸念 ただし、今回の決断は決して安全が完全に回復したことを意味しません。 現在、イラン国内では反政府抗議活動への強硬弾圧が続き、情勢は極めて不安定です。 米国や欧州諸国はイランへの圧力を強めており、軍事的緊張が再燃する可能性も否定できません。 ここで懸念されるのが、イランを後ろ盾とするフーシ派による紅海での商船攻撃再開です。 政治的報復としての攻撃再燃リスク 戦争危険保険料の再上昇 荷主側の安全懸念の根強さ 世界荷主団体は、今回のスエズ回帰について「時期尚早」とする慎重な見解も示しています。 今後の市況と物流への影響 短期的には、マースクに追随する船社と様子見を続ける船社で二極化が進むと見られます。 スエズ復帰が進めば供給スペースが増え、海上運賃には下押し圧力がかかります。 一方で、紅海航行に伴う保険料は高止まりする可能性が高く、総物流コストが本当に下がるかは不透明です。 スエズ復帰は正常化への一歩ですが、依然として薄氷の上を歩く判断と言えます。 まとめ 今回のマースクの動きは物流正常化への象徴的な第一歩です。 しかし、地政学リスクは依然として高く、荷主は常に喜望峰へ戻るシナリオを想定したリードタイム管理が求められます。 中東とイラン情勢は、今後も物流リスクそのものとして注視が必要です。

マーケットにないものを売れ。ハラル和牛とタイ向け冷凍混載便という二つの商機 | 物流ニュース・物流ラジオ

マーケットにないものを売れ。ハラル和牛とタイ向け冷凍混載便という二つの商機

本日は「マーケットにないものを売る」という視点から、私自身が現場で感じた二つのビジネスチャンスについてお話しします。 価格競争が激しい物流業界において、まだ市場に存在していない商品やサービスを見つけ出すことが、事業成長の大きな鍵になると改めて感じた一日でした。 動画視聴はこちらから 大阪の屠畜場視察で見えたヒント 昨日、私は大阪の食肉卸業者と屠畜場を、お客様と一緒に訪問しました。 食品輸送を手がける中での現場視察でしたが、単なる見学ではなく、将来につながる明確なビジネスの芽を感じる時間になりました。 その中で特に印象に残ったのが、ハラール認証を取得した和牛の存在です。 ハラル和牛は「存在しない市場商品」 訪問した屠畜場では、イスラム圏向けのハラール対応が行われていました。 包丁を都度新調することや、宗教的手順を厳格に守ることなど、一般的な屠畜とは比較にならないほど厳しい管理体制が敷かれています。 同行したお客様からは、ドバイ向けに和牛の引き合いがあるという話もありました。 調べてみると、ドバイを含む中東向けの牛肉輸出では、ハラール認証が必須条件となっています。 さらに印象的だったのが、マレーシアの話です。 一緒に訪問した方は、マレーシアに家族がおり、和牛をお土産に頼まれることが多いそうですが、現地の空港で食べた牛肉について「段ボールを食べているようだった」と表現していました。 これは現地で流通している牛肉の品質が、決して高くないことを端的に示しています。 日本の和牛は、飼料管理や飼育方法を徹底し、安定した品質とサシを実現しています。 つまり、イスラム国家であるマレーシアにおいて、ハラール認証を取得した高品質な和牛そのものが、まだ市場に存在していない商品だと感じました。 タイ向け冷凍冷蔵LCLという空白市場 二つ目のビジネスチャンスが、タイ向けの冷凍冷蔵LCL、いわゆる混載輸送サービスです。 タイ向けの食品輸送を手がけていると、「冷凍冷蔵のLCL定期便はないのか」という問い合わせを頻繁に受けます。 しかし実際には、タイ向けの冷凍冷蔵LCL定期サービスは市場に存在していません。 香港向けには冷凍LCLが存在 シンガポール向けにも定期混載便が存在 台湾向けも同様 一方で、タイだけが完全な空白地帯になっています。 フォワーダーとしては、FCL手配か、スポットでの混載委託しか選択肢がありません。 「ないのであれば、自分たちで立ち上げてもいいのではないか」という発想に自然と行き着きました。 小さく始めて市場をつくる発想 毎週運航は現実的ではありませんが、月2便程度であれば現実的です。 初期は赤字になる可能性もありますが、定期的に1パレット程度を出したい荷主が複数集まれば、事業として成立します。 自分が持つメディアを活用しながら貨物を集めるという戦略も視野に入っています。 まとめ。マーケットにないものを売れ 今回の視察を通じて改めて感じたのは、「マーケットにないものを売る」という視点の重要性です。 既存市場の商品やサービスは、どうしても価格競争に陥りがちです。 だからこそ、「これは本当に市場に存在しているのか」という問いを持つことが、新たな価値を生みます。 物流に限らず、どの業界でも応用できる考え方だと思います。 ぜひ皆さんも、この視点でビジネスチャンスを探してみてください。

【2026年の北米向け海上輸送】春節前の駆け込み需要でスポット運賃が急騰。今後の市況はどうなる? | 物流ニュース・物流ラジオ

【2026年の北米向け海上輸送】春節前の駆け込み需要でスポット運賃が急騰。今後の市況はどうなる?

本日は、2026年の北米向け海上輸送を取り巻く足元の市況について、春節前の駆け込み需要で急騰しているスポット運賃の背景と、今後の見通しを詳しく解説していきます。 一見すると久々の強気相場に見える今回の運賃上昇ですが、その実態は一時的な季節要因なのか、それとも本格回復の兆しか。 数字と現場の声をもとに整理していきましょう。 動画視聴はこちらから 北米向けスポット運賃が4週間で40%超の急騰 まずは、足元の数字を確認します。 S&P Global傘下のPlattsのデータによると、1月8日時点における北アジア発・北米西海岸向けのスポット運賃は、4週間前の12月中旬と比較して約42%上昇し、40フィートコンテナあたり2,175ドルまで急騰しました。 同様に北米東海岸向けも33%上昇し、3,175ドルを記録しています。 また、Drewryが公表する世界コンテナ運賃指数(WCI)でも、上海発ロサンゼルス向けの運賃は3,000ドル台に回復しており、北米向け全体で明確な底上げが確認できます。 短期間でこれだけの上昇率が出るのは、2025年後半以降では極めて珍しい動きです。 最大の要因は春節前の駆け込み需要 では、なぜ今このタイミングで運賃が急騰しているのでしょうか。 最大の要因は春節前の駆け込み需要です。 2026年の春節は2月17日と、例年よりやや遅めの時期に設定されています。 中国の工場が長期休暇に入る前に出荷を前倒しする動きが1月に入って本格化しており、北米向けの船腹が一気にタイト化しています。 中国工場の長期休暇前の前倒し出荷 北米小売向けの最低限の在庫補充 春節後の物流停滞を避けたい心理 ロサンゼルス・ロングビーチ港の予測でも、1月上旬から中旬にかけて輸入量がピークを迎え、週あたり21万〜22万TEUという高水準が見込まれています。 船会社の供給調整が運賃上昇を後押し もう一つ重要なのが船会社側の供給調整です。 2025年秋以降、荷動きが落ち着く中で、船会社各社はブランク・セーリングを積極的に実施してきました。 これは単なる減便ではなく、運賃の暴落を防ぐための戦略的な供給管理です。 需要増と供給抑制が同時に起きたことで、スポット運賃が一気に跳ね上がる構図となっています。 2026年の構造は依然として供給過剰 ただし、ここで視点を少し引いてみる必要があります。 DHLや複数の物流メディアによると、2026年の世界のコンテナ船隊の供給能力は前年比4〜5%増と予測されています。 一方で、世界全体のコンテナ需要の伸びは約3%にとどまる見通しです。 つまり構造的には、供給が需要を上回る状態が続くことになります。 現在の運賃上昇は、ファンダメンタルズの改善というより、季節要因と供給調整が重なった結果と捉えるのが現実的です。 春節後の反動と長期契約交渉が最大の焦点 今後の市況を見るうえでのポイントは次の二点です。 春節明けの反動による荷動き減少 2026〜27年サービスコントラクト交渉 春節後の2月後半以降は、例年通り閑散期に入るため、運賃が再び下落基調に戻る可能性があります。 一方で船会社は、現在の高いスポット運賃を材料に、長期契約運賃の引き上げを狙っています。 しかし荷主側も船腹余剰の現実を理解しており、交渉は引き続き荷主優位で進む可能性が高いでしょう。 まとめ 今回の北米向け運賃上昇は、春節前需要と供給調整が重なった短期的な強含みです。 2026年全体で見れば供給過剰感は根強く、春節後の反動と長期契約交渉が市況の分かれ目になります。 目先のスポット運賃だけに惑わされず、在庫動向や船会社の供給戦略を冷静に見極めていくことが重要です。 本日は以上です。どうもありがとうございました。