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2025年11月

安田倉庫とセンコーグループのM&Aが示す物流業界再編の加速 | 物流ニュース・物流ラジオ

安田倉庫とセンコーグループのM&Aが示す物流業界再編の加速

安田倉庫が帝人物流をM&A 安田倉庫が11月14日、帝人グループの物流会社帝人物流を完全子会社化することを発表しました。 帝人物流は合成繊維や化学品の物流を中心に、西日本エリアで事業を拡大してきた企業です。 今回、帝人物流の株式を100%保有する帝人フロンティアから65億円で株式を取得し、グループ化を進める動きとなります。 先行グループHDはバルーンをTOBで子会社化 もう一つの動きとして、センコーグループホールディングスがバルーンをTOBにより連結子会社化し、株式を非公開化する方針を示しました。 買付総額は約167億円とされています。 先行グループは液体貨物や危険品貨物の輸送、重量物輸送にも強みを持ち、双方の海外拠点の相互活用や海外事業の連携を進める考えです。また、人材確保や育成の効果も期待されています。 物流業界に広がるM&Aの流れ これらの動きから見えてくるのは、物流業界におけるM&Aや統廃合が一段と加速しているという現実です。 商社系物流企業においても、このような買収の動きが進むのは少し意外に感じる部分もありますが、親会社への依存度の違いによって戦略が異なるケースも多く存在します。 大手はさらに規模拡大へ、中堅も再編の波に 大手物流企業は、積極的な買収を通じて事業規模を拡大し、競争力を強化する動きを続けています。 一方で、中堅規模の企業も買収されるケースが増えており、物流の効率化・集約が進む状況です。 一方でベンチャー物流の動きも活発に 再編が進む中で、物流ベンチャーによる新しいサービスや仕組みの提案も増えています。 業界としては大手企業の規模優位が強いものの、ベンチャーの存在感にも注目が集まっており、今後の競争環境を左右する可能性があります。 物流業界は今後もM&Aや統廃合を通じて大きく形を変えていく局面にあります。効率化と規模の追求が進む一方で、新興企業の挑戦も続き、業界全体の動きに注目が必要です。 動画視聴はこちらから

ヤマト運輸がベトナム人ドライバー500人採用へ──2024年問題を超える“構造改革”とは | 物流ニュース・物流ラジオ

ヤマト運輸がベトナム人ドライバー500人採用へ──2024年問題を超える“構造改革”とは

2025年11月14日イーノさんの物流ラジオ 日本の物流業界に大きなインパクトを与えるニュースが飛び込んできました。 ヤマト運輸が2027年から5年間で、最大500人のベトナム人長距離ドライバーを採用すると発表しました。 深刻化するドライバー不足に対して、構造的な解決策として業界全体の注目を集めています。 なぜヤマト運輸はベトナム人ドライバーを採用するのか? ヤマト運輸は、全国の拠点間を結ぶ長距離(幹線)輸送を担う人材として、年間100人ペースで採用を進めます。 背景にある課題は次の通りです。 日本人ドライバーの高齢化──40〜60代が中心で退職が集中 2024年問題──残業規制で稼働が減少し、人員不足が悪化 若手離れ──労働環境と生活スタイルがミスマッチ 長距離輸送を維持するためには、海外プロ人材の本格活用が不可欠になってきました。 ベトナム最大手「FPT」と協業する理由 ヤマト運輸は、IT・教育大手のFPT(日本法人)と協業し、採用から育成まで一気通貫のプロセスを構築します。 採用 現地教育(日本語・安全教育) 日本語学校での語学学習 日本での追加研修1年間 外免切り替えで大型免許取得 若い労働力が豊富で、日本語教育が進んでいるベトナムは、物流分野との相性が非常に良い国です。 日本で走れるようになるまでの流れ ヤマトの育成プログラムは体系的です。 2025年12月:募集開始 半年間:ベトナムで語学・交通ルール・安全教育 日本で1年間の研修 外免切り替えで大型免許取得 教育期間は1.5〜2年。 “即戦力採用”ではなく、“日本式プロドライバー育成”というスタイルです。 外国人ドライバーは2024年問題の“本格的対策”となるか? 長距離輸送は人が集まりにくく、全国で維持が難しくなっています。 今回の決断は「外国人が日本の幹線輸送を担う時代」の始まりとも言えます。 期待される効果は次の通りです。 長距離輸送の安定化 ドライバー不足の緩和 国際人材活用モデルの確立 今後、佐川急便・日本郵便など他社が追随する可能性も高いでしょう。 日本の物流はどう変わるのか? ヤマトの決断は、日本の物流に次の変化をもたらします。 長距離輸送の安定化 外国人ドライバー導入の加速 日本式安全教育の国際展開 物流の国際化が急進 まとめ   ヤマト運輸の決断は、日本物流が抱える構造問題に切り込む大きな一手です。 ドライバー不足が慢性化するなかで、日本の物流は外国人プロフェッショナルを迎える新たな段階へ進みました。 この動きは、今後10年の日本物流のあり方を決定づけるターニングポイントとなるでしょう。 動画視聴はこちらから