column

2022年7月

北米西岸労使交渉、妥結に向けて一歩前進。港は、内陸部の混雑悪化中 | 物流ニュース・物流ラジオ

北米西岸労使交渉、妥結に向けて一歩前進。港は、内陸部の混雑悪化中

どうもこんにちは、飯野です。 本日は、7月29日付海事新聞の記事から、「米西岸労使交渉、医療給付で暫定合意。妥結に向け前進したが、肝心の港は混雑悪化」についてお話していきたいと思います。 2022年7月29日イーノさんの物流ラジオ 北米労使交渉、前進 2022年の米国西岸労使交渉は7月27日、医療給付の項目で暫定合意に至りました。 医療給付の分野だけではありますが、労使交渉の妥結に向けて大きな一歩となりました。 港湾への影響は 交渉の詳細は不明ですが、現時点では労使対立による荷役混乱は出ていない模様です。 ただ、旺盛なコンテナ荷動きにより、港の処理が追い付かず、西岸ターミナルで混雑が深刻化しています。 内陸向け輸送を担う鉄道会社も引き受け本数の制限を始め、予断を許さない状況です 今後の展開 今回の労使交渉の声明では、ILWUとPMAにとって最大の焦点である自動化問題については特に言及されていません。 米バイデン政権による働き掛けもあり、混乱なく労使合意に至るのではという見方が有力になりつつあります。 時期は不明ですが、8月か9月には暫定合意するのでは、という見方も出てきています。 前回2014年の労使交渉では、8月26日に健康保険給付金について暫定合意となり、そこからまた交渉が続き、最終的に合意に至ったのが、翌年の2月20日です。 まだまだどうなるかは分かりません。 ポイントは港の自動化と、ホワイトハウスがいつ入ってくるか、という点だと思います。 港湾混雑の傾向 米国西岸労使交渉は大きな波乱なく進んでいますが、肝心の港の混雑は再び悪化する傾向にあります。 北米西岸の一部ターミナルでは、今週までにヤードのコンテナ保管スペースがほぼ満杯となり、来週以降は本船の荷役を一時的に停止せざるを得ない状況にまで追い込まれています。 内陸部の混雑悪化 LA、LBの両港からの内陸向けのインターモーダル輸送では、鉄道の荷役場へのシャーシ不足のため、西岸港湾は実質的に内陸向けの輸送の制限を行っています。 北米内陸部では昨年、コンテナ貨物の大量流入により鉄道輸送の混雑状況が悪化しました。このためUP鉄道が、内陸向け国際コンテナ貨物の引き受けを一時的に停止した経緯があります。 現場から 現場で働いている感覚では、まだスペースは取りやすい状態が続いており、混雑の影響はそれほど感じられません。 このまま問題なくスムーズに行くのか、もしくは急にスペースが取れなくなるのか、運賃が再度上昇となるのか、引き続き目が離せない状況です。

DSVより、2022年上期の海運業界は好調とみる!運賃は下がり続けるか? | 物流ニュース・物流ラジオ

DSVより、2022年上期の海運業界は好調とみる!運賃は下がり続けるか?

どうもこんにちは、飯野です。 本日は7月28日付の海事新聞の記事から、「DSV、上期の金利・税引前利益が2.1倍」についてお話していきたいと思います。 2022年7月28日イーノさんの物流ラジオ DSV、上期利益前年比2倍 デンマークの国際物流大手DSVの2022年1月から6月期(上期)金利・税引き前利益が前年同期の2・1倍で、約2,600億円でした。 運賃やサーチャージ、倉庫料金の上昇を背景に、フォワーディングを中心に全部門で収益を伸ばしました。 昨年8月に買収したアジリティーの一般物流部門の統合も業績を押し上げたほか、生産性の向上施策もうまくいったことが要因とされています。 部門別売上 部門別に見ると、フォワーディングの売上高は91%増、貨物のユニット当たりの粗利益率も大幅に向上しました。 貨物取扱量は海上貨物が18%増の約135万TEU、航空貨物が19%増の約81・4万トン。 取扱量が20%近く増加しています。 そして陸送の売上高は26%増で、国際貨物と企業間輸送の取り扱いが増加しています。 ロジスティクスの売上高は62%増、倉庫の稼働率が過去最高を記録しました。 DSVの今後の見通し アジリティーの一般物流部門の統合により、中東、東南アジアでの事業を拡大しました。 この上期の業績の伸びを受け、DSVは2022年12月期の金利・税引き前利益を上方修正しました。 そして、年内は航空・海上貨物輸送の需要の軟調を予想しています。サプライチェーンの制約も徐々に緩和すると見ており、フォワーディングの粗利率低下も見込んでいます。 イエンス・アンダーセン・グループCEO(最高経営責任者)は、「この数カ月は輸送需要が軟化しているが、インフラの混雑が世界のサプライチェーンの制約になっている。引き続き顧客の支援に注力する」とコメントしています。 2022年のマーケット状況 2022年の1月から6月期は、船会社やフォワーダーの業績は大体良いと思います。 今回のDSVは前年同期比で金利・税引前利益が2.1倍と、去年のマーケットが高い状態であったにも関わらず、更に高い数字を出しました。 2022年の1-3月期までかなり高い運賃が続いていましたが、第二クオーターから運賃が軟化してきています。北米のピークシーズンである7-9月の第三クオーターは、今のところ運賃は下がってきています。 このまま下がり続けるのか? 北米の混雑状況 北米では去年の程の混雑状況の情報が出てきておらず、以外とスムーズにいっている感じがします。 僕としても実務的にも安定しているので、やりやすくなっています。 しかし、まだどう転ぶか分からないので、この安定期にちゃんと準備をしないといけません。 安定した状況でも業績は伸ばせます。 現状維持で満足をしていたら衰退するので、出来ることをしていきたいと思います。

CMA-CGMがフランス向けコンテナ運賃を750ユーロ値下げ!欧州でインフレ加速。 | 物流ニュース・物流ラジオ

CMA-CGMがフランス向けコンテナ運賃を750ユーロ値下げ!欧州でインフレ加速。

どうもこんにちは、飯野です。 本日は、7月26日付海事新聞から、「CMA-CGM、仏向けコンテナ運賃を値下げ。値下げ幅は500ユーロから750ユーロへ!」についてお話していきたいと思います。 2022年7月27日イーノさんの物流ラジオ CMA-CGM値下げ 仏船社CMA-CGMは22日、フランス国内の顧客に対し、輸入コンテナの運賃を1本当たり750ユーロ値下げすると発表しました。 8月1日からの実施となります。 一連の施策 CMA-CGMは6月末、小売事業者を対象にコンテナ運賃を値下げすることを公表し、その時の引き下げ額は500ユーロでした。 今回の発表では、対象者も中小企業を含めたフランスの全顧客に拡大し、値下げ幅も750ユーロに拡大しています。 750ユーロという値下げ額は、CMA-CGMによれば、顧客によっては最大25%相当の値下げに相当するとのことです。この他、仏発の輸出コンテナ貨物についても100ユーロ値下げします。 この一連の施策は、仏政府の意向を受けた施策と言われています。 このCMA-CGMの動きが他の船会社にどう影響するのか?が個人的に気になるところです。 ヨーロッパのインフレ 実際に最近では、海上運賃は下がってきています。 北米では鉄道への接続でターミナルにコンテナ滞留が発生し、北米西岸の労使交渉による動きがまだ不透明のため、今後、どうなるかはまだ分からない現状です。 しかし、今回のCMA-CGMの動きは、フランスのインフレ対策です。 ヨーロッパでも各地でインフレが起こっています。 ユーロ圏の6月の消費者物価指数は前年同月比で8.6%増であり、フランス・スペイン・イタリアが過去最高のインフレ率です。 CMA-CGMの体制 ヨーロッパのインフレの主な原因は、ロシア・ウクライナ情勢によるエネルギー価格の上昇です。 サービスなどはそれほど値上がりしている訳ではありません。 船会社の重油の契約はどうなっているか分かりませんが、CMA-CGMはこれまで高いと言われていた海上運賃を自ら抑え、今年の利益を削ってまで、やりたいことがあるようです。 収益体制としてはCMA-CGMはAPIの解放でデータを売っているため、他の船社とは戦い方が違うのかもしれません。 今後の海運マーケットにも引き続き注目です。

ダイキン、メキシコに新工場!大企業のニアショア戦略。生産拠点移動 | 物流ニュース・物流ラジオ

ダイキン、メキシコに新工場!大企業のニアショア戦略。生産拠点移動

どうもこんにちは、飯野です。 本日は日経新聞から「ダイキン、脱炭素の空調を米国に供給 メキシコに新工場設立」についてお話していきたいと思います。 2022年7月25日イーノさんの物流ラジオ ダイキン工業、メキシコに新工場 ダイキン工業がメキシコに約300億円を投じて新工場を建設します。 2024年に稼働し、省エネ性能の高い空調機などを米国に供給する予定です。 脱炭素の空調の需要増 バイデン政権で環境規制が強まる見通しで、米国でも二酸化炭素削減につながる日本式の空調システムの需要が増えています。 空調は世界の電力消費の約1割を占めるとされており、脱炭素に向けた省エネ技術が競争を左右する局面になりました。 タイからメキシコへ生産拠点移動 ダイキンのメキシコ新工場は、延べ床面積約7万平方メートル、2,000人規模を雇用して空調機を生産します。 メキシコで生産する機種は、現在タイなどアジア拠点から米国に供給しているものです。 タイにダイキンの大きな工場があり、日系企業が多く入っているアマタナコーンという工業団地で一番いい立地のところにあります。 しかし足元の輸送費高騰で、原価に占める輸送費の割合が機種によっては2割超に達しています。これまで港湾の混乱を受け、船便より割高な航空便を使うケースもありました。 そこで、需要地のそばで生産することで、安価な安定供給につなげるほか、納期を6分の1程度に縮めて需要変動に強い体制を構築していくとのことです。 ニアショアの拡大 これはニアショアと呼ばれており、このラジオでもこれまでお伝えしています。 サンプライチェーンの混乱で、生産を中国・東南アジアではなく、欧米に近いところで生産しようという考えが広がってきました。 メキシコには空調関連のサプライヤーが多くあるほか、空調でも使う樹脂を自動車産業向けに手がける企業もあります。 ダイキンのニアショア ダイキンは部品の現地調達比率を高め、物流網の混乱にも対応できるサプライチェーンの構築を目指しています。自動車関係はコロナ前からメキシコに拠点を作っていたので、材料メーカーもあり、現地調達ができるということです。 ダイキンは欧州でも、省エネ暖房機器の工場をポーランドに400億円を投じて建設すると7月上旬に発表しています。 主要地域で各地域にあった省エネ性能の高い機器を生産する体制構築を急いでいます。 今後のマーケットに注目 メキシコや中南米に生産拠点が移っていくという流れです。 とはいえ、中南米はまだまだ技術が足りないと以前の放送でもお伝えしましたが、メキシコは次の生産拠点としてもっと企業が集まっていくかもしれません。 大企業のニアショアの動きが見えた記事です。 記事にもあったようにもちろん環境規制という意味合いもありますが、サプライチェーンの側面からは、現在のような混乱が将来も起きる可能性はあります。 そこで、近くで生産しようという流れが現れてきました。 生産拠点が未来永劫、同じ場所ではなくなります。 日本は産業の空洞化で工場を海外に移しましたが、時代が進み強烈な円安になり、もしかしたら生産が日本に戻ってくるかもしれない現状です。 マーケットは常に動いていますので、マーケットの流れを理解して、最適な行動が取れるようにしましょう。

ドローン宅配、米で急拡大!ラストワンマイル市場争奪へ。人手不足、環境問題改善か。 | 物流ニュース・物流ラジオ

ドローン宅配、米で急拡大!ラストワンマイル市場争奪へ。人手不足、環境問題改善か。

どうもこんにちは、飯野です。 本日は、7月18日付日経新聞の記事から、「ドローン宅配、米で急拡大!ラストワンマイル市場争奪へ」についてお話していきたいと思います。 2022年7月18日イーノさんの物流ラジオ ドローン宅配、拡大中 米国でドローンを使った食品や医薬品の宅配サービスが急速に広がっています。 小売り大手ウォルマートは新興のドローンアップ社と提携し、年内に6州400万世帯への宅配を実現する予定です。インターネット通販最大手アマゾンも相次いでサービスを提供しています。 消費者の玄関先まで商品を届ける「ラストワンマイル」市場の争奪戦が熱を帯びています。 記事に紹介されているアメリカの主なドローン宅配は下記の4社です ・ドローンアップ(ウォルマートの配送) ・アマゾン ・ウィング(Googleの親会社アルファベットの傘下) ・ジップライン(豊田通商と連携して実験) ドローンアップ オンラインでの注文から平均22分で食料品やおむつ、医薬品などを店舗から消費者の玄関先まで届けています。 1回の配達料は3.99ドル(約550円)で、数万点の商品の中から総量約4.5キログラムまで買い物できます。 人手不足の改善 ドローン配送が普及すると、物流業界が抱える慢性的な人手不足の改善も期待できます。 また、荷物の積み込みへのロボットの活用も進め、年内に配達時間を15分まで短縮するように動いています。 現在は安全上の監視や非常時の手動制御を担うオペレーターが常駐していますが、「5年以内の無人化も可能」とみられています。 2023年以降、大都市圏全体へのサービス展開も視野に入れています。 日本もドライバーの働き方改革の2024年問題があるので、伸びていく分野ではないかと思います 安全性も考えるとまず地方から導入し、ドローンが浸透することで、交通渋滞が緩和され、CO2排出量の削減にもなります。 ウィング ウィングの2022年1~3月のドローン配送は5万件を超え、前年同期の3倍に増えたと明らかにしました。 オーストラリアやフィンランドを中心とする、世界でのドローン配送実績は3月時点で計20万件に上っています。 広い土地があるところではドローン配送はどんどん増えています。 ジップライン ジップラインはアフリカでの30万回の飛行実績を持ち、配達地域の住民は注文から最短15分で商品を受け取れます。 2022年4月には日本に参入し、豊田通商とともに長崎県の五島列島で医薬品の配達を始めました。 ドローン宅配市場 ドローン宅配は市場としても大きくなってきています。 欧米系調査会社のビジネス・リサーチ・カンパニーは、ドローン宅配の世界市場規模が年平均49%で拡大し、2025年に82億3000万ドル(約1.1兆円)と2020年の約7倍に膨らむと予測しています。 アマゾン アマゾンは六角形型で安定性を高めたドローンで2022年後半に、カリフォルニア州での宅配サービスを開始します。 人口の多い大都市圏では、ネックとなりやすい飛行上の制約や障害物の多さにも対策が進んでいます。 アマゾンは目視による監視なしで他の飛行物や人、ペット、障害物を検知し自動で回避できるシステムを開発しています。 2022年後半、カリフォルニア州ロックフォードで、「アマゾン・プライム・エア」としてサービスの提供を始める予定です。 日本でのドローン宅配 各社のサービスの選別が進むなか、効率化や安全性の向上で消費者の需要を取り込めるか、正念場となりそうだ、と記事は締めくくっています。 注文して15分で届くというのはとても便利です。ドライバー不足はアメリカでも、日本でも必ず立ちはだかる問題です。 日本もジップラインと豊田通商が参入し始めているので、安全面と規制が整えば、浸透していくだろうと思います。 引き続き、テクノロジーの方面も注目していきます。

フランス・ルアーブル港でMSC子会社が約950億円投資!24,000TEU型にも対応。生産性向上と雇用創出。 | 物流ニュース・物流ラジオ

フランス・ルアーブル港でMSC子会社が約950億円投資!24,000TEU型にも対応。生産性向上と雇用創出。

どうもこんにちは、飯野です。 本日は7月13付の海事新聞の記事から、「仏ルアーブル港、MSCの子会社が7億ユーロ投資。2.4万TEU型船に対応」についてお話していきたいと思います。 2022年7月13日イーノさんの物流ラジオ TiL、ルアーブル港に7億ユーロ投資 MSCの子会社でターミナル事業を手掛けるTiL(ターミナル・インベストメント・リミテッド)がフランスのルアーブル港で総額7億ユーロ(約962億円)の投資を行うと発表しました。 今後6年間でガントリークレーンの増設やターミナルの拡張を行い、コンテナ処理能力を強化する予定です。 将来的には2万4,000TEUクラスの大型船舶にも対応するターミナルへと進化させることを目標としています。 TiLの計画 このTiL(ターミナル・インベストメント・リミテッド)は現在、ルアーブル港のTNMSCターミナルとTPOターミナルの2つのコンテナターミナルを運営しています。 今回は総額7億ユーロを投入し、稼働するガントリークレーンの台数を現在の2倍の20台に増設。 更に、取扱貨物の増加に対応するほか、6バース全てに新たに荷役機器を導入し、ターミナル内の保管能力を3倍に増強していきます。 また、電動荷役機器や船舶用の陸上電力供給設備も導入し、環境負荷軽減にも貢献していく見通しです。 雇用創出 これらの投資により、今後6年間で港湾労働者900人、メンテナンスに携わる労働者200人の雇用創出が見込まれているとのことです。 TiLのCEOは、「MSCからの貨物量の保証や港の成長と生産性を支える人材の提供という地元との合意の下、このような大規模な投資が実現した。」としています。 また、「欧州へのゲートウエーとしてのルアーブルの潜在力を最大限に発揮するため、政府によるコンテナターミナルと複合一貫輸送を円滑化する鉄道インフラ開発への支援を期待している」と述べています。 日本への大型船寄港 24,000TEUは現在、最大規模のコンテナ船です。 一方で港湾への投資については、日本はまだまだと思います。 大型コンテナ船が寄港するためには十分な水深が18mくらい必要となり、日本で18mの水深がある港は横浜港のMC3,4バースのみです。 24,000TEUクラスの船が横浜以外は入ってこられません。 この先、大型船が増えていったとしても、日本にはトランシップしか入ってこないことになります。直接大型船が寄港できず、トランシップとなるとリードタイムも伸びます。 港への投資 産業の空洞化で日本は外国に工場を作っていましたが、円安になって、今後日本で作る方が安いという流れになる可能性があります。 しかし港に投資をしていないため、先進国にも変わらず大型船は寄港できないのが現状です。 こういった海外の港湾投資のニュースをみると、ちょっとやるせない気持ちになってしまうというお話でもありました。

北米の小売、2022年も夏から秋に需要増と予測!港湾混雑、スペース不足への懸念。 | 物流ニュース・物流ラジオ

北米の小売、2022年も夏から秋に需要増と予測!港湾混雑、スペース不足への懸念。

どうもこんにちは、飯野です。 本日は、Job.comの記事から、「米国の小売業者、夏から秋にかけての好調な輸入に備えるよう港湾に要請」についてお話していきたいと思います。 2022年7月12日イーノさんの物流ラジオ 11月まで輸入好調 アメリカの小売業者は、西海岸の港湾労働者(ILWU)と使用者団体(PMA)に対して、すでに緊張状態にある港湾のサプライチェーンに負担をかけるような労働中断をすることなく、労使契約を成立させるよう求めています。 米国の小売業者は、少なくとも11月までは輸入が引き続き好調であると予測しています。 とはいえ夏から秋にかけての出荷ピーク時の数量は、昨年の記録的な荷動きから若干減少するとされています。 2021年との比較 2021年の米国の輸入は、2020年に記録した前回の年間記録を17.4%上回る異例の大幅増でした。 今年は若干落ちるとはいえ、引き続き好調な輸入量があるということです。 全米小売業協会(NRF)とHackett Associatesは、7月のグローバル・ポート・トラッカー(GPT)で月ごとの前月比の輸入量は下記のとおり予測を発表。 7月:5.3%増 8月:0.5%減 9月:0.8%減 10月:4.1%減 11月:2.5%減 7月が5.3%増ですが、これは小売業者の秋冬商品の前倒しの仕入れが一因です。8月と9月は微減、10月と11月で合計6.6%減となります。 東海岸での混雑、労使交渉の影響 現在、サプライチェーンのボトルネックは東海岸とメキシコ湾岸の港でも表面化しており、2022年のピークシーズンを通してこのボトルネックは継続すると予想されています。 この貿易を覆っているのは、5月に始まった西海岸のPMAとIWLUの契約交渉です。 全米小売業協会NRFのサプライチェーン・関税政策担当副社長は、「サプライチェーンの課題は今年いっぱい続くだろうが、西海岸の港の労使が交渉のテーブルにつき、合意に達することが特に重要だ」と述べています。 今年はピークシーズンでもあまり需要が下がりません。 労使交渉の労働組合側の仕事がスローダウンしたら、目詰まりの可能性は高いです。昨日のラジオでもお伝えしたように、ヨーロッパでも港湾混雑が発生しています。 またスペースが取れなくなるかもしれません。 引き続き北米情報はアップデートしていきたいと思います。

欧州の港湾混雑が危機的レベル!需要減でも混雑大。スケジュールの乱れとコールサイズの増大 | 物流ニュース・物流ラジオ

欧州の港湾混雑が危機的レベル!需要減でも混雑大。スケジュールの乱れとコールサイズの増大

どうもこんにちは、飯野です。 本日は、Job.comの記事から、「欧州の港湾混雑が危機的レベル」についてお話していきたいと思います。 2022年7月11日イーノさんの物流ラジオ 欧州港湾、混雑 インターモーダルオペレーターのContargoによると、北欧のいくつかのハブ港では混雑が危機的レベルに達しており、ターミナルから内陸部まで混雑が広がっています。 さらに、ドライバー不足、内陸部の鉄道やバージの運行停止など、輸入量の減少や経済状況の急速な悪化にもかかわらず、ボトルネックはさらに深刻化しています。 各船社の対応 マースクはこの状況に対し、主にターミナルの混雑など、多くの外部要因によって引き起こされているとし、混雑による大幅な遅延のため、アジア-ヨーロッパ航路の出発日を、8月から11月にかけて17便を調整するとしています。 Hapag-Lloydは、フランスのLe Havre港とFos-sur-Mer港のボトルネックに対応し、7月1日からすべての輸出入トラックの移動に対して25ユーロ(26ドル)の混雑追加料金を課し、コンテナの適時集荷と搬出を促しています。 欧州の複合一貫輸送サービス 欧州の輸入サプライチェーンに欠かせないのが、コンテナを内陸のターミナルに集めて運び、道路、鉄道、水路を通じて最終目的地まで配送する複合一貫輸送サービスです。 「海港のターミナルは満杯で、非常に狭い時間枠でしかコンテナを受け入れていない」と、Contargoは先週末のマーケットアップデートで指摘しています。 ドライバーと空コンテナの不足の深刻化が、さらなる遅延を引き起こしています。 港での待ち時間の増加 ロッテルダムとアントワープでの平均待ち時間は、5月に比べて6月は改善されましたが、依然としてコロナパンデミック前のレベルをはるかに上回っています。 先週の待ち時間は、ロッテルダムで56時間、アントワープで51時間でした。 欧州の鉄道貨物も6月を通じて大きな混乱に直面しており、ドイツでは工事のため路線が閉鎖され、列車の発着に影響が出て、ネットワーク全体のバランスが崩れています。 輸入量は減少 コンテナ貿易統計(CTS)の最新データによると、今年1〜4月の北欧および地中海へのコンテナ輸入量は前年同期比4%減の416万TEUでした。 エネルギーと食糧の価格高騰がインフレと生活費の危機を招き、欧州経済が打撃を受けるなか、アナリストは需要はさらに減少していく警告しています。 しかし、ヨーロッパの景気後退が勢いを増す一方、ハブ港の混雑を緩和する効果はほとんどないようです。 港湾混雑の理由 Sea-Intelligenceのアナリストによると、ターミナル混雑の主な要因はスケジュールの信頼性の低さであるとしています。 5月にアジア-北ヨーロッパ間の定時運航の信頼性は25.7%で、わずか4隻に1隻だけがスケジュールから1日以内に到着しているということになります。 北欧貿易のスケジュールの信頼性は、昨年の27パーセントに比べ、2022年の最初の5ヶ月間で平均18パーセントとなっています。 寄港数の大幅増加 このスケジュールの乱れに加えて、コールサイズ(1回の寄港で船舶に乗り降りするコンテナの量)の増大があります。 北欧の港では今年、寄港数が大幅に増加し、港湾に到着する船の量が増え、これがターミナルの処理能力に大きな負担をかけています。 よって、ハブ港での平均停泊時間が伸びています。 様々な要因で港湾の混雑が発生していますが、今後のクリスマス商戦に向けて、さらなる混乱が予想されます。 今後もヨーロッパの状況に注目していきたいと思います。

近鉄エクスプレス上場廃止!近鉄GHDの連結子会社へ。近鉄GHD、法人向け事業伸ばす狙い。 | 物流ニュース・物流ラジオ

近鉄エクスプレス上場廃止!近鉄GHDの連結子会社へ。近鉄GHD、法人向け事業伸ばす狙い。

どうもこんにちは、飯野です。 本日は日経新聞の記事から、「近鉄GHD、近鉄エクスプレスへのTOBが成立」についてお話していきたいと思います。 2022年7月8日イーノさんの物流ラジオ 近鉄エクスプレス、GHDの子会社に 近鉄グループホールディングス(GHD)は6日、近鉄エクスプレスに対して実施していたTOB(株式公開買い付け)が成立したと発表しました。 近鉄エクスプレスは近鉄GHDの連結子会社に入り、上場廃止になる見通しです。 GHD、法人向け事業へ 新型コロナウイルス禍や沿線の人口減少で、鉄道事業やレジャー関連の成長が難しくなるなか、法人向け事業を伸ばすことを狙いとしています。 5月に近鉄GHDの副社長はTOBの狙いについて、「人の動きに左右されない事業の育成・強化を図る」と述べています。 近鉄エクスプレスは12日に近鉄GHDの連結子会社になります。 近鉄GHDの収益は鉄道やレジャー、流通など消費者向けが主力ですが、近鉄エクスプレスの国際物流事業を取りこむことで法人向けの売上比率を高める方針です。 また、近鉄エクスプレスの海外拠点を生かして不動産事業などで海外進出にもつなげたい考えです。 2社の決算 近鉄GHDは5月に2023年3月期の連結純利益が、前期比37%減の270億円になるとの見通しです。 一方、近鉄エクスプレスは2023年3月期の連結純利益が、前期比26%減の320億円になると見込んでいます。 前期が好調だったため、前期比から大きく下がっていますが、近鉄GHDは消費者向けのため、コロナ渦から消費者がまだ完全に戻ってきていないことが影響しているようです。 近鉄エクスプレスが、これからどうなっていくのかが個人的に気になります。 上場廃止をし、市場・株主からは物を言われなくなりますが、今後は親会社が出来ることで、どうなっていくのでしょうか。 注目していきたいと思います。

船会社の地位乱用をストップ!フォワーダー団体が批判。脱炭素への投資を推奨。 | 物流ニュース・物流ラジオ

船会社の地位乱用をストップ!フォワーダー団体が批判。脱炭素への投資を推奨。

どうもこんにちは、飯野です。 本日は、7月6日付の海事新聞から「FIATA、船社の地位乱用を批判。垂直統合より脱炭素投資推奨」についてお話していきたいと思います。 2022年7月7日イーノさんの物流ラジオ FIATA、船社批判 フォワーダーの国際団体FIATA(国際貨物輸送業者協会連合会、International Federation of Freight Forwarders Associations)は6月30日、「海運会社が市場での支配的な地位を乱用している」と指摘する意見表明書を公表しました。 この文書では、現在の市場環境と合致しない、独禁法適用除外などと併せ、船社が自由競争をゆがめ、最終消費者に悪影響を与えていると批判しています。 そして、IMO(国際海事機関)や各国規制当局などに、適切な政策措置を求めています。 また、過去2年で得られた巨額の利益を、ロジスティクス企業の買収など垂直統合ではなく、脱炭素化などに投資するべきとしました。 フォワーダーの分野への進出 FIATAは3大アライアンスが世界の海運市場の80%、東西基幹航路に限れば95%を支配していると分析しています。 サプライチェーンが混乱する中、海運会社がフォワーダーに対するサービスを削減・制限しようとしていると説明しています。 エアーはエアフォワーダーを通さないとタリフ運賃の適用となります。しかし、船はBCO(実荷主)と直接荷主と取引ができ、船会社は物流会社を買収して陸に上がってきているため、フォワーダーの仕事がなくなってきています。 脱炭素への投資を推奨 IMOは海運業界のGHG(温室効果ガス)排出量を2050年までに50%削減することを目指しています。 そのためのコストは2050年までに1・5兆ドル(約200兆円)を超えると推定され、そのうち87%が陸上インフラ・施設に投じられる見通しです。 一方、コンテナ船社は過去2年間で記録的な利益を上げており、イギリスの海事コンサルタントのドゥルーリーはコンテナ船社の2022年税引き前利益の総計は3000億ドル(約40兆円)に達すると予測しています。 FIATAは「船社は規制環境下で生み出されたこの利益を、ロジスティクス全体を支配するための合併や買収に投じている」と非難しているのです。 IMOや各国政府に対して、船社の投資を促すような脱炭素化計画を実施するように要請しました。 船社に対する独禁法 船社に対する独禁法適用除外についても、見直しを求めていく方針です。 更に、FIATAは特に船社が陸上輸送や付帯サービスに事業を拡大する中、独禁法適用除外の恩恵を受けないプレーヤーと、不公平な競争を行っていると指摘もしています。 独禁法適用除外の見直しと、より適切な規制対応を求めていく姿勢を示しています。 船会社の独禁法適応除外について 外航海運に係る独占禁止法適用除外が認められてきた背景として、「安定的な国際海上輸送の確保のための海事政策のあり方について」、次の4点が挙げられています。 1.世界単一市場で激しい国際競争が行われていること 2.サービス供給量の調整が容易ではなく供給過剰に陥りやすいこと 3.巨額投資が必要であり他社との連携の必要性が極めて高いこと 4.国際的な法制度の整合性の確保が求められること これによって、船社は独禁法の適応除外でした。 制度の見直し 同制度は昭和24年に制定された後,平成11年,平成18年、平成22年の3度にわたって主な見直しが行われてきました。 平成22年度における見直しの検討の結果、同適用除外制度は維持し、平成27年度に再検討をし、場合によっては運賃同盟に係る独占禁止法適用除外制度を廃止の方向で見直しています。 今回FIATAが独禁法を持ち出してきたのは、船会社がコロナ禍で得た大きな収益で船以外の事業拡大を狙い、ロジスティクス全体を支配しようとしているという動きが大きくなってきたためです。 そのため、ここでちょっとストップをかけておかなければならない、という背景があったと思われます。 船会社の進出と中小フォワーダーの生き残り 国際物流とは歴史背景からみても、経済合理性の最たるものであり、もっとも効率的で、合理的でコストが追求されるものです。 船会社が物流で船以外の分野まで進出すると、フォワーダーの仕事が失われていく恐れがあります。 個人的には、今後は8割のロジスティクスの仕事は船会社や大手フォワーダーが取っていくようになると思います。中小は2割のニッチなところを攻めていくのではないでしょうか。 今後、船会社がどれだけ陸に上がってくるか、中小がどのように生き残っていくか。 何度もこのラジオでお伝えしていますが、国際輸送は変革期にきています。 マーケットの流れを読んで、正しい戦略を考えるというのが大切になってくると思います。