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2020年11月

B/Lの種類 – Original B/L, Surrendered B/L, Sea Waybillについて | 貿易書類と手続き

B/Lの種類 – Original B/L, Surrendered B/L, Sea Waybillについて

今回は国際輸送におけるB/Lの種類について分かりやすく説明をしたいと思います。 B/Lの基本的な役割について B/Lの種類を説明する前に、B/Lの基本的な役割について簡単に説明します。 B/Lは国際輸送において重要な書類で、輸入者は貨物を引き取るためにB/Lを 輸出者から入手しなければいけません。 そしてB/Lは貨物引き渡し書類であるD/Oと交換されます。 輸入者はD/Oを持って貨物を引き取ります。 注意して欲しいのはB/Lだけで貨物が引き取れるわけではありません。 B/Lの基本的な役割については別の動画にて説明しております。 この動画の説明欄にリンクを貼っておきますので、詳しくはそちらをご確認ください。 B/Lの種類 それではこれからB/Lの種類についてご説明をしていきたいと思います。 主に使われるものが、この3種類です。 ・Original B/L ・Surrendered B/L ・Sea Waybill それでは一つずつ解説していきましょう。 オリジナルB/Lについて まず最初はオリジナルB/Lです。 オリジナルB/Lは3部発行されます。3部で1セットです。 3部のB/Lを2回に分けて郵送し、紛失リスクを避けるという商習慣もあります。 オリジナルB/Lはその名の通りオリジナルで原本です。輸入者は貨物を引き取るためにB/Lのコピーではなく 原本を入手していなければいけません。 オリジナルB/Lの流れ オリジナルB/Lの流れを見てみましょう。 本船が港を出港したら輸出側のフォワーダーからオリジナルB/Lが発行され輸出者に送られます。輸出者はB/Lの原本を輸入者にDHLやFedexなどのクーリエで郵送します。 船が港についたら輸入側のフォワーダーによってD/Oが発行されます。 オリジナルB/Lを入手した輸入者はB/LとD/Oを交換します。 このように原本を扱うので紛失のリスクがありますが これが一連の流れとなります。 サレンダーB/Lについて 次にSurrendered B/Lについてご説明します。 サレンダード B/Lは商習慣的にサレンダーとも呼ばれます。 サレンダーB/Lの特徴は「スピード」と「コピーでOK」という事です。 まずサレンダーとはどういう意味なのか? サレンダーとはB/Lの元地回収の事で B/Lを元地、すなわち輸出側にて回収するという意味です。サレンダーをしてしまえば、B/Lはオリジナルでなくても大丈夫です。 原本ではなくコピーを送ることで輸入者はD/Oと交換する事が出来ます。サレンダーされたB/LにはSurrenderedやTelex Releaseというスタンプを押されます。Telex Releaseでもサレンダーと同じ意味です。 サレンダーB/Lの流れ なぜサレンダーB/Lが使われるのか? 昨今の海上輸送では本船の高速化もありオリジナルB/Lが発行され、輸入者の手元に届く前に 船が港についてしまう場合があります。 特に周辺国に貨物を輸送する時 海上輸送期間は3日や4日で港に到着してしまい輸入者は B/Lの原本が手元になければ貨物を早急に引き取る事が出来ません。 しかし、B/Lの原本を郵送するオリジナルB/Lとは違いサレンダーB/Lであれば輸出者がフォワーダーにサレンダーの指示をして、費用を支払うことでB/Lがサレンダーされます。 あとは輸出者はB/Lのコピーを輸入者にメールすればOKです。 輸入者はB/LのコピーをもってD/Oと交換する事が出来 スピーディーな貿易取引が可能となります。 またB/Lの紛失リスクも少なくなるメリットがあります。 Sea Waybillについて そして最後にSea Waybillです。 Sea WaybillはB/Lとは少し違い、有価証券ではありません。 これは、また別の機会にご説明しますがWaybillはL/Cを使用した取引には使われないのです。 しかしWaybillには大きなメリットがあります。Waybillが発行され、輸入者が書類のコンサイニー蘭と同じである事が証明されれば貨物が簡単に引き取れてしまうのです。 またオリジナルB/Lのような原本を郵送する費用や、サレンダードB/Lのようなサレンダー費用も発生しません。とにかく簡単、早い、安いのがSea Waybillの特徴です。 Sea Waybillの流れ 流れはこのようになります。 輸出者から、B/Lではなく最初からWaybillの発行依頼があります。 本船が出港されたらWaybillが発行されコピーが輸出者に送られます。輸出者はそのコピーを輸入者にメールをします。輸入者はWaybillの所有者だと証明出来ればD/Oを引き取れます。 極端に言えばWaybillが発行され、輸入者がWaybillの所有者と同じだと証明する事が出来れば 貨物が引き取る事が出来てしまうわけです。 とにかく早くて簡単なのがSea Waybillの特徴です。しかし、それゆえにリスクもあります。 Waybillが発行されれば貨物が引き取れてしまうので 輸出者には代金回収リスクが生まれます。 オリジナルB/LやサレンダードB/Lであれば 代金の支払いコントロールが出来るのですが Waybillの場合はそれが難しくなります。 その為、Sea Waybillを使うには 海外での親子会社での関係や、長年取引してきた実績があるなど、貿易相手との取引関係が重要になります。 まとめ 今回はB/Lの種類について説明をしました。 オリジナルB/L サレンダードB/L Sea Waybill これらのB/Lにはそれぞれの特徴があります。 今回ご説明した内容をよく理解して 貿易の取引を円滑に進められるようにしましょう。 ・TwitterでDMを送る https://twitter.com/iino_saan ・LinkedInでメッセージを送る https://www.linkedin.com/in/shinya-iino/

Freight PrepaidとFreight Collectについて | 貿易書類と手続き

Freight PrepaidとFreight Collectについて

今回は貿易用語のFreight PrepaidとFreight Collectについて解説をしていきたいと思います。 Freight PrepaidとCollectについて このFreight PrepaidとCollectは貿易用語で非常に重要です。 貿易事務を始めたばかりの人は この用語がB/LやAWBに記載をされていて、これは一体なんだろうか?と思うことがあると思います。 またフォワーダーだと現地側のフォワーダーとのコミュニケーションで 頻繁に使う貿易用語の一つでもあります。なぜこの用語が重要なのか? それはお金に関することだからです。それでは詳しく見ていきましょう。 Freight PrepaidとCollectとは、どういう意味? この貿易用語は英語から日本語に翻訳すると理解しやすいです。 まずFreight。これは運賃という意味で理解してください。 そしてCollect。これは直訳すれば回収ですよね。 そしてPrepaid。これは先に支払うという意味ですね。 この3つの単語から Freight Prepaidは運賃を先に支払うこと Freight Collectは運賃を回収することだというのが 理解できるでしょう。 もう少し詳しく説明しましょう。この用語はB/LやAWBに記載されています。なのでFreight、運賃とは海上運賃や航空運賃のことを指します。海上運賃や航空運賃を先に支払う、回収するという意味のことです。 このFreight PrepaidやCollectはインコタームズ とも関係があります。 インコタームズ は貿易の取引条件のことで 誰が、どこからどこまでの輸送費用を支払うのかを明確にするものでした。 なので、先に支払うPrepaidは輸出側で支払うこと。運賃を回収するCollectは輸入側で支払うことになります。 一覧を見てみると分かりやすいと思います。Freight Collectは輸入者が海上運賃を負担するEWXやFOBです。 そして Freight Prepaidは輸出者が海上運賃を負担するCFR, CIF, DAP, DDPとなります。 インコタームズの解説についてはリンクを貼っておきますのでそちらをご覧ください。 理解がより深まると思います。 B/Lの記載について そしてこのFreight PrepaidやCollectはB/Lに記載されると先ほどお伝えしましたが House B/LとMaster B/Lの両方にも記載されることになります。 House B/LとMaster B/Lを解説した記事のリンクも貼っておきますのでご確認下さい。 House B/LとMaster B/LのFreight PrepaidとCollectについてですが これから例をあげならが深掘りをしていきたいと思います。 Master B/L:Freight Collect ,House B/L: Freight Collect の場合 一般的には輸入者が海上運賃を支払うFOBの場合、Master B/LではFreight Collect、そしてHouse B/LでもFreight Collectと記載されます。 Master B/L:Freight Prepaid ,House B/L: Freight Prepaid の場合 そして輸出者が海上運賃を支払うCFRの場合、Master B/LではFreight Prepaid、House B/LにもFreight Prepaidと記載されます。ここまでは問題ないと思います。 Master B/L:Freight Prepaid ,House B/L: Freight Collect の場合 しかし、稀にMaster B/LとHouse B/LのFreightが異なるケースがあります。 これについては、弊社で起こった実際の事例をもって解説していきます。 FreightがMaster B/LとHouse B/Lで異なる場合の事例 タイにあるお客様がインドの輸入者と新規で取引が始まるということで 最初はCFRの取引条件でお客様同士で話が進んでおりました。私たちフォワーダーもCFR、Freight Prepaidとして話を船会社と進めていたのです。 しかし貨物の発送直前にお客様とインドの輸入者との間で話が変わり EXWに変更となりました。 船会社と話を詰めていたのでこの案件ではタイ側での船会社とフォワーダーである弊社の間ではFreight Prepaid、タイのお客様とインドの輸入者の間ではFreight Collectとなりました。 この場合Master B/LにはFreight Prepaid House B/LにはFreight Collectと記載されます。 この時は、嫌な予感しかしませんでした。 なぜなら船会社と弊社の間ではFreightがPrepaidなので 私たちは船会社に運賃をタイ側で先払いしなければいけません。これは問題ありません。 問題なのはタイのフォワーダーである私たちがインドの輸入者から 代金を回収しなければいけなくなったことです。 私たちはタイにあるので、インドの代理店の協力を得て対応をしましたが やはりインドの会社の支払いは遅かったです。 タイからインドの代金回収をコントロールをするのは非常に難しく船会社に先払いをしているのに、インドから代金回収がなかなか出来ないという苦労がありました。 もちろんこれは会社にもよる話ですが、FreightがMasterとHouseで異なると、こういうトラブルになることもあります。 まとめ 冒頭にもお話しましたが、このFreight PrepaidとCollectは お金の支払いに関することなのでとても大切な貿易用語です。 フォワーダーとして、もしこの用語をしっかりと理解できていなければ 誰が運賃を支払うのかが良く分からないまま仕事を進めることになります。これはあってはいけないことです。 諸外国とのフォワーダー同士でのやり取りでも頻繁に使う貿易用語なのでしっかりと理解しましょう。 ・TwitterでDMを送る https://twitter.com/iino_saan ・LinkedInでメッセージを送る https://www.linkedin.com/in/shinya-iino/

インコタームズ – FOBとFCA | インコタームズ

インコタームズ – FOBとFCA

動画でFOBとFCAを解説! 今回は輸出者、輸入者のそれぞれの立場からインコタームズのFOBについて見ていく事にしましょう。 FOBのリスク・費用負担について 貿易取引において重要なのはリスク管理とコストです。 例えば、もし貿易に慣れている弊社が輸入をする場合、頻繁に貨物手配をしている国からだとFOB、そうでない場合はCFRを使います。 なぜなら貿易の実務では経験則に基づいての使い分けが非常に大切だからです。 今回は得意・不得意という観点からもFOBについて説明をしていきたいと思います。 まず用語の解説です。FOBは日本語では本船渡し条件、または甲板渡し条件とも言います。 輸出地の港に停泊する船の甲板において費用や危険負担の責任が移転する取引条件のことです。 FOBは英語のFree On Board の略称でこの場合のBoardは船の甲板を指します。なのでFOBとは船の甲板において、輸出者が責任から自由になる、責任が輸入者に移転する、という意味になります。 そしてInvoiceなどの書類では、「FOB TOKYO」のように、FOBの後には輸出先の港の名前が表記されます。 「FOB TOKYO」であれば、「輸出港において、東京港に向かう船の甲板を隔たりに、責任が輸出者から輸入者に移転しますよ」という意味になります。 輸出者側からみたFOB 輸出港の船上で責任が輸入者へと移転するので、輸出者にとってはリスクが比較的少なくなり、 輸入者にとってはEXWよりは責任範囲が狭いものの、一定以上の取引経験やリスクヘッジが求められる条件と言えるでしょう。 そして輸出者側から見たFOBですが FOBは輸出者側の物流手配については、国内のトラックや通関手配のみになります。 自国の港までの責任を持てば, その後の船や飛行機での輸送や, 輸入地での輸送は輸入者に委ねることができるので、輸出者側から見たら比較的責任負担の軽い取引条件だと言えます。 輸入者側からみたFOB そして輸入者側から見たFOBは 特定の輸入国から頻繁に輸入しているのであれば、海上運賃の値下げ交渉をフォワーダーにする事が出来るのでFOB取引のメリットがあるでしょう。 一方で大量の貨物をCFRで輸出しているような会社との取引であれば、FOBではなくCFRなど取引条件を使う方が良いでしょう。 何事も取扱量が多く、慣れている方による手配の方がスムーズですしコストメリットもあります。 取引するフォワーダーの得意・不得意 ここで取引するフォワーダーがその輸出国からの物流に強いかどうかもポイントです。 先ほども説明しましたが、特定の国から頻繁に輸入をしているフォワーダーであれば選択肢も多いでしょうしスムーズな取引が出来ます。 そうでなければフォワーダーを変更したり、他の取引条件での交渉も検討した方が良いかもしれません。 例えば、弊社の場合。日本や中国からのタイへの輸入の取り扱いは多いので、それなりのメリットを持っています。しかしアフリカや南米からの輸入はほとんどないので、費用も安くなく 取り扱いも慣れていません。 この場合は弊社のお客様にはFOBではなく、輸出地側でCFRの方がメリットがあるかもしれないという事で、お客様によりメリットのある方を提案しています。 FOBとFCAの違い ここでFOBと合わせて覚えておきたい、FCAについてもご説明をしておきます。 FOBは説明してきたように費用負担とリスク負担が本船に乗った時に売り手から買い手に移ります。 そしてFCAでは、費用負担やリスク負担は貨物が本船に乗る前の、指定された場所で売り手から買い手に移ります。これはCYであったり、特定の倉庫であったりします。 FOBに比べて、FCAでは港などでのリスク負担がポイントと言えるでしょう。 コンテナターミナルでの荷役やターミナルで事故や災害があった時、FCAであればリスクは輸入者に移っていますので輸出側にとっては、よりリスクが少ない条件になります。 まとめ 今回はFOBについて詳しく見てきました。FOB条件は輸出港に停泊する船の甲板上で責任が移転します。 輸出者、輸入者どちらの立場の場合でも、見積もりや取引にあたってFOB条件について正確に理解しておくことは重要です。 FOB条件での取引を考える際はそのメリットやリスクについて十分に検討した上で契約を結びましょう。 ・TwitterでDMを送る https://twitter.com/iino_saan ・LinkedInでメッセージを送る https://www.linkedin.com/in/shinya-iino/

インコタームズ – EXW (Ex-Works) | インコタームズ

インコタームズ – EXW (Ex-Works)

Ex-Worksを動画で解説! 今回はインコタームズ のEXWに焦点を当てて、売り手と買い手のそれぞれの立場でのメリットとデメリットについて解説をしていきたいと思います。 貿易取引においてはインコタームズを「正しく」理解する事で、売り手・買い手の それぞれにおけるトラブルを出来るだけ小さくする事が出来ますので、是非とも理解しておきたい内容だと思います。 それでは行ってみましょう! Ex-Worksとは? EXWは貿易の取引条件を示すインコタームズの一つです。 日本語では工場渡し条件とも呼ばれます。 インコタームズには全部で11種類の貿易条件がありますが、EXWはその中で売り手にとって物流の負担が少なく、最もリスクも小さい条件となります。 ざっと物流の、費用の支払いと貨物の責任についてみてみましょう。 EXWでは輸出先の工場から輸入して特定の届け出先までの全ての輸送費用とリスクを輸入者である買い手が負担する取引条件です。 売り手が貨物を自社の拠点である工場や倉庫などでトラックに引き渡した時点で費用負担と貨物リスクは買い手へと移ります。 つまり、輸出国での輸送費用から輸出通関、船・飛行機等の運賃、輸入地での通関や届け先までの費用や危険負担については全て買い手が負担することになります。 ただし売り手も関係省庁から輸出の認可を取得したり、輸入通関を行う際に輸入者が必要とする情報を提供したりすることについては、サポートする義務があると定められています。 貿易取引では何と言っても相手との人間関係が大切です。 輸出側からみたEXW 輸出側から見たEXWはどんな条件でしょうか? 輸出者にすると、商品を期日内に生産し自社の敷地内で買い手に貨物を引き渡せば、後はほぼ全ての業務を買い手である輸入者が行ってくれるということになります。 売り手は生産や仕入れだけに専念する事が出来るのが最大の特徴です。 輸出者のメリット そういう意味では、これから海外への輸出を始めようとしている場合や輸出先の国が初めての貿易相手国である場合などに適した貿易条件だと言えます。 慣れていなかったり、ほとんど知らない国に荷物を送るのは余計な心配が増えますので, 輸出経験の少ない事業者様はEXW条件での取引を検討してみると良いかもしれません。 輸出者のデメリット では輸出者側から見たEXWのデメリットについて、実際の取引で考えてみましょう。 EXW条件で輸入を行う場合、輸入者は相手の敷地内での貨物引渡し後 全ての運送業務を自社で手配しなければなりません。 そのためには、買い手は貿易取引について熟知している必要があります。つまりEXWにおける輸入者は貿易のベテランである可能性が高いのです。 このような取引相手に対し、輸出者が価格面で良い条件を引き出すことはかなり難しくなります。 比較的経験の浅い輸出者の場合、EXWではこうした理由から国内外の物流費用を利用して大きく儲けるといったことは難しくなる可能性があります。 輸入者側からみたEXW 一方で輸入者側から見たEXWはどんな条件でしょうか? 輸入者側から見るとEXWは貿易相手国における輸送から全て自社で手配する必要があるので、現地の取引に慣れているなど豊富な経験や知識が必要とされる条件です。 輸入者のメリット 輸入者側にとってはEXWでは物流をコントロールし自社で運送会社や保険会社を選択することができるので、そうした意味でも買い手にとっては最も安く輸入することができる条件だと言えるでしょう。 さらに、輸送などの手間やリスクを全て自社が負担することで、売り手に対して値下げなどの提案する事が可能だったりもします。 輸入者のデメリット 一方で輸入者側のデメリットはやはり輸送に伴う危険を最も幅広く負担しなければならない点でしょう。 輸出者の敷地からあらかじめ定められた国内の地点まで全てのリスクについて責任を持たなければなりません。 また輸出国での輸送や輸出通関を行わなければならない為に、取引を行っているフォワーダーがそれらの手配について得意なのか可能なのかを確認する必要もあります。 もし取引先のフォワーダーがそれらの業務を行うことが出来ない場合は、他のフォワーダーを探すかEXWの使用を避けて契約しなければなりません。 EXWのメリット・デメリットまとめ 輸出者側のメリット・デメリットをまとめるとこのようになります。 メリットとしては ・生産や仕入れに専念できる ・物流の危険負担が最も少ない ・貿易手続きはほぼ不要 物流は輸入者が手配・負担をするので納期や生産性などに集中出来ることが特徴ですね。 そしてデメリットは ・輸送手段を選べない ・価格交渉が不利になるかもしれない EXWを指定してくる買い手は貿易のベテランの可能性があるので価格交渉的に厳しくなるかもしれません。 そして輸入者からみたEXWでは メリットとして、 ・最も安く輸入することができる ・物流を自社でコントロールすることができる 自社で物流を全て手配するので、売り手側に輸送費用に利益を乗せられることを避けることが出来ます。 デメリットとして ・物流の全てのリスクを負担する必要がある ・フォワーダーの実力によっては使えない場合がある 全ての物流の貨物責任を取らなければいけないのでリスクコントロールの範囲が広がります。 慣れていないと難しいでしょう。 まとめ 今回はEXWについて詳しく見てきました。輸出者・輸入者の双方の立場からEXWの条件を考えていますので自社の状況に照らし合わせて頂ければ、より理解が深まると思います。 EXWはインコタームズの中では最も輸出者側の負担が少ない条件ですので、これから海外へ販売展開を考えている場合であれば 輸入側の取引相手に一度EXWでの取引を打診してみるのも良いかと思います。 また、輸入者の場合でも価格を抑えたい場合は、EXWで輸入を行うことができないかフォワーダーなどと相談して検討してみると良いでしょう。 ・TwitterでDMを送る https://twitter.com/iino_saan ・LinkedInでメッセージを送る https://www.linkedin.com/in/shinya-iino/

国際物流の流れ | 輸送・ロジスティクス

国際物流の流れ

今回のテーマは海上輸送の流れについてです。 海上輸送の中でもコンテナを使ったコンテナ輸送をする方法にフォーカスしてお話をしていきたいと思います。 海上輸送の流れ 国際物流における海上輸送ですが、実際にはどのような流れで貨物が運ばれているのでしょうか? 初めて物流業務の仕事をする人にとっては貨物の流れと書類の流れを理解するのが重要です。 まずは全体の流れを理解し、どのタイミングで何をする必要があるのかを理解出来るようになりましょう。 貨物の流れ 工場で製品が作られる まず場面を工場に移します。 個人レベルではコンテナを使って輸送するケースは流石に稀ですが 工場では毎日商品を生産していて毎週 海外に出荷している工場もあります。 弊社のお客様でも自動車パーツ、冷凍食品、紙、革製品、化粧品、スクラップ、包装資材など多種多様にわたる貨物をコンテナで海上輸送をしています。 Booking 完成した商品のQCが終わったら、工場の出荷担当者からフォワーダーにBooking依頼があります。 このBooking時に、必要なコンテナの種類や本数、貨物の引き取り日、積み地、揚げ地、Cut Off、ETD、ETA、フリータイムなどの連絡があります。 お客様から頂いた情報を元にフォワーダーが本船予約、トラックの手配、通関手配、そして、それぞれの必要書類の確認をして準備を進めていきます。 基本的にワンストップサービスを依頼されるお客様が多く、フォワーダーが本船予約以外の物流手配もすることでお客様にとっては一つの窓口で物流を完結出来るメリットがあります。 書類の確認 そしてここが大切なのですが必要書類の確認作業です。どれか一つの情報でも間違っていると、正しく通関を通すことができませんし本船に乗せることが出来なくなります。 また原産地証明を発行する場合で書類にミスがあれば関税の優遇が受けられません。 書類のミスに関しては特に中をしなければいけません。 貨物の引き取り お客様の貨物を引き取る為に、貨物引き取り日の朝か、前日の夕方にコンテナデポに空のコンテナをピックアップに行きます。コンテナデポはコンテナバンプールとも呼ばれます。 デポには使い終わった船会社のコンテナを掃除し、修理し終わったものが沢山積み上げられています。空コンテナのピックアップの際の注意は、コンテナ品質です。 コンテナグレードAで予約したにも関わらず、質の悪いコンテナが割り当てられる事は少なくありません。 弊社のサービスでは、コンテナを引き取るドライバーに必ずチェックをさせて質の高いものを選んでお客様にお届けしております。 コンテナへ積み込む 空のコンテナをお客様の工場に届けたら、コンテナに貨物を積み込みます。 規模の多いお客様だと1日に何十本というコンテナを使う場合があり、積み込みにかかる時間を計算し、トラックの配車スケジュールも管理したりします。 コンテナは海上では大きく揺れる場合がありますので、貨物がコンテナ内で動かないようにしっかりとラッシング(固定)もしなければいけません。 港に到着 貨物を乗せたコンテナが本船に積み込まれる港に到着します。コンテナのCut Offという言葉が使われるのですが、締め切り時間のことだと理解してください。 またContainer Returnはコンテナが船に乗せるために港に戻っていなければいけないということです。 コンテナが船に乗せられる前に ・AFR(日本向け:輸出の事前申告 - ETDの24時間前) ・VGM(コンテナの総重量の申告義務) そして通関の輸出申告も済ませておかなければいけません。貨物が工場でコンテナに積み込まれ、船に乗る前までに 色んな申請事項を済ませておかなければいけないのです。 港には本当に大量のコンテナが集められています。その為、港湾内での荷役の時間も十分に必要だということでCut Offは守らなければいけないのです。 コンテナが船に乗せられる時はガントリークレーンという大型のクレーンに吊られて積み込まれます。吊り上げるのでコンテナの総重量が大きなポイントとなります。 40’フィートコンテナだと20’フィートコンテナの倍の重量を積むことが出来るのかという問い合わせをたまに聞きますが、設備上の関係で出来ません。 20’フィートであれ、40’フィートであれ貨物重量は大体25トンくらいまでと覚えておきましょう。 このように本船には大量のコンテナが積み込まれます。コンテナ船に積めるコンテナの本数には限りがありますのでシーズンによってはスペースが取りにくくなります。 書類の流れ 輸出の流れ コンテナが本船に積み込まれたらB/Lが発行されます。 流れを見てみましょう。 フォワーダーから発行されたB/LがShipperに送られ、ShipperとConsigneeの間で商品の代金支払いなどのやりとりがあります。 オリジナルB/Lの場合はShipperからB/Lの原本がConsigneeに、DHLやFedexなどのクーリエサービスで送られます。 このようにConsigneeはD/Oを引き取るためのB/Lを入手しておかなければいけません。 海の上でコンテナが船に揺られながら各港で積み込み・積み下ろしを繰り返して、スケジュール通りに進んでいきます。よく天候の問題で船が遅れる場合がありますがこれだけは仕方がありません。 海上輸送では近海であれば数日で到着し、日本ーヨーロッパのようなロングルートだと2ヶ月近くかかったりする場合もあります。 本船が入港する2−3日前に輸入側のフォワーダーからArrival Noticeが発行され、輸入者に送られます。 このArrival Noticeには、港の諸費用やD/O費用などの諸々の費用があり輸入者はそれを支払わなければいけません。 輸入の流れ 輸入の流れを詳しく見ていきましょう。 輸入者は貨物引き渡し書類であるD/Oを入手しなければいけません。その為にA/Nに書かれている金額をフォワーダー に支払います。 そしてA/Nの支払いのタイミングと同時に、Shipperから入手したB/Lも差し入れます。オリジナルB/Lなら原本を差し入れ、サレンダーB/Lならコピーをフォワーダーに提出します。 A/Nの支払いとB/Lの差し入れと引き換えに、輸入側のフォワーダーがConsigneeにD/Oをリリースします。D/Oも原本だけでなく、D/O LessといったID番号を発行する簡素化された手続きもあります。 輸入港に到着後の流れ 輸入者がコンテナを引き取るにはD/Oだけでなく輸入通関も完了しておかなければいけません。Invoice, Packing List, 原産地証明などの書類を使い、システムに入力して通関士によって輸入申告がされます。 申告に何も問題がなければ税関から輸入許可が出ますが、問題があれば検査などが発生します。 D/Oを入手し輸入通関も完了したConsigneeは、D/Oをヤードに差し入れて、コンテナ貨物を引き取ることが出来ます。 コンテナを乗せたトレーラーが届け先まで運んできて、貨物の積み下ろし作業をして配送完了となります。 まとめ ここで各工程を振り返りましょう。 工場で製品が作られます お客様からBookingのリクエストがあります フォワーダーが物流の手配をします 必要書類の確認をします 空のコンテナをピックアップします 空コンテナをお客様に届けて貨物をピックアップします 貨物が港に到着します。この時にVGMや輸出通関を済ませておかなければいけません コンテナが船に積み込まれます 本船が港を出港するとB/Lが発行されます 海上輸送をします そして、ここからが輸入のステップに移ります 本船が港に到着する2〜3日前にA/Nが発行されます 輸入者はA/Nの支払いをしてB/Lも差し入れます フォワーダーから輸入者にD/Oがリリースされます 輸入通関も済ませておかなければいけません ヤードでD/Oを差し入れて貨物をリリースします 貨物が配送されます これだけの工程を経てやっと貨物が海外の届け先まで送られるのです。 いかがだったでしょうか。コンテナに貨物を乗せて輸送しているだけのように見えますが、色んな工程で必要書類が出てきます。 この書類に間違いがあると貨物はスムーズに輸送されませんし、書類の修正などに時間がかかって 港での保管の超過料金が発生するのもよくあります。 全体の流れをよく理解して、スムーズな国際物流が手配できるようになりましょう。 ・TwitterでDMを送る https://twitter.com/iino_saan ・LinkedInでメッセージを送る https://www.linkedin.com/in/shinya-iino/

メーカー・商社の貿易の仕事とは?フォワーダーの仕事とはどう違うのか説明しました。 | 輸送・ロジスティクス

メーカー・商社の貿易の仕事とは?フォワーダーの仕事とはどう違うのか説明しました。

貿易の仕事をする場合、全ての業務を1人ですることは出来ません。多くの人や会社が関わり、得意分野を分業して国際物流を進めていくことが一般的です。 またフォワーダーだけでも貿易は出来ません。フォワーダーは輸出入をする方の意向に沿って、貨物を手配するのが仕事です。 貿易業界には色々な仕事をする人がいますが、仕事内容よって分類すると大きく分けて次の通りになります。 貿易に関係する人や会社 ①メーカー・商社などの輸出入者 ②フォワーダー ③船会社・航空会社 ④通関業者 ⑤銀行 これらの5つの分類でどれもが国際物流をする上で必要な役割があります。 今回の記事では今までスポットを当てていなかった、メーカー・商社などの貿易の仕事について説明していきます。 メーカー・商社の仕事内容について メーカー・商社の仕事はどのようなものなのでしょか。輸出入者であるメーカー・商社は海外から品物の売買をしている当事者です。 自社で使用するための品物の輸入や、国内・国外で販売するための買い付けをしています。売買の取引が成立したら、その取引先まで責任を持って届けることが仕事です。 簡単に説明するとこのような仕事ですが、更に詳しく見ていきましょう。 メーカー・商社の仕事内容 メーカー・商社の輸出入ビジネスでは、海外顧客の開拓、交渉などが一番重要な仕事になります。 一昔前は、メーカーの輸出入では商社が手配することが当たり前で、日本の輸出入の発展には商社の力によるものと言われていました。 もちろん今では、メーカー直接で貿易を行うこともありますが、それでも商社の活躍は大きく、商社による日本の主要産業の輸出や原材料の輸入は長年の日本の発展を支えてきました。 メーカーの貿易内容 メーカーでは、原材料を輸入して、日本で生産することもありますし、海外に生産を委託した品物を国内に輸入する場合もあります。 日本の工場自体が海外進出していることが増えてきており、そこで生産するために、日本から部品を輸出したりと色々な貿易形態があります。 他にも日本が他の2国間の輸送に介入する3国間貿易もあります。 海外顧客との価格交渉では売買する品物の価格に輸送料金を含めた金額が必要で、それらを含めた金額の契約を交わします。 自社の商品の知識や買い付ける商品の知識はもちろん必要ですが、国際輸送にかかわる知識を持たないと、交渉を優位に進めることが出来ません。 輸送業者、通関業者への手配 さて、買い付けや販売などの売買が成立すると、輸送手配が必要になります。 国際輸送には国と国とをまたぐため、法律や規制が色々と異なり、自国だけの知識では通用しないところがあります。 その現地からの輸送をフォワーダーなどが手配することになりますが、具体的な輸送方法や納期などは、メーカーや商社の方がフォワーダーに指示することにより希望に沿った料金や到着日を選ぶことできます。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/good-forawrder-sales/?lang=ja" target="_blank"] フォワーダーは貨物を引き取り、港や空港に運び、船会社や航空会社に依頼して貨物を輸入地まで運び、通関業者が通関をし、国内運送会社が配送するという流れになります。 その流れをフォワーダー任せにすることも出来ますし、メーカー・商社自ら、船会社や航空会社への運賃の交渉、予約を行い、より競争力のある価格を引き出すことも出来ます。 船積書類の作成 次に船積み書類の作成になります。こちらは実際の商取引にあった書面でなくてはなりません。 メーカー・商社が作成します。書類の例としては、インボイス、パッキングリスト、原産地証明書などがあります。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/inv-pkl/?lang=ja" target="_blank"] 税務上の証明書になりますし、各国の規制にあった書面を作成しなければなりません。また輸送上でも正確な書類でないとトラブルの原因となります。 またそれらの書類と共に、海上輸送をする場合は船会社と輸送契約を交わします。 フォワーダーが代行することが多いですが、ドックレシートやコンテナロードプランなどを作成し、B/L(輸送契約書)を発行してもらいます。 航空輸送であれば、AWBを航空会社に発行してもらいます。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/airwaybill/?lang=ja" target="_blank"] 納期調整、在庫管理 貿易となると、輸入であれば必要な商品がいつ届くのか、国内到着した後の商品をいつ使うか、在庫はどのぐらいあるのかという納期調整などの付随した業務が必要になります。 輸出であれば、貨物の出荷具合によって生産調整など管理が必要になります。 L/Cを含めた銀行との調整 貿易では国をまたいだ決済となりますので、信用問題(お金の回収)がつきまといます。 貨物を送ったけれども、代金が未収になるようなことが無いように、銀行の保証をつけたり、事前入金をしてもらったりして、お金の問題を防ぐことを忘れてはなりません。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/lc-letter-of-credit/?lang=ja" target="_blank"] まとめ メーカーや商社の貿易の仕事をまとめてみました。貿易には様々な形態があり、輸送方法も複数の選択肢から選べます。メーカーや商社は輸出入業者として、フォワーダーに自社の希望を伝えることは重要です。 一方でフォワーダーは実務経験上、色々な案件を見ています。よりスムーズな物流手配をする為に、より良いアドバイスや専門家ならではの方法を提案してくれたり、相談に乗ってくれるフォワーダーと付き合うことをお勧めします。

タイのマンゴーで急成長!「勝手に売れるマンゴージュース」を作り出すMango Starの桑原社長にインタビューしました! | 物流コラム

タイのマンゴーで急成長!「勝手に売れるマンゴージュース」を作り出すMango Starの桑原社長にインタビューしました!

マンゴージュースで成功する。私のお取引先様で、タイのマンゴーを使って日本でマンゴージュース屋さんを始めて凄い勢いで成長されているお客様がいます。 コチャー株式会社の桑原社長。10年程前から私の仕事のアドバイスを頂いたり、コンサルティングをしてもらったり、私がタイに来てからもタイの仕入れツアーなどをサポートさせて頂いていて、非常にお世話になっている社長様です。 Mango Starというブランドでマンゴージュース屋さんを今年の6月から始めて11月までに3店舗に展開。 イオンにも出展し、フランチャイズなどの問い合わせが殺到していて来年も更なる成長を見込まれています。 今回はそんな敏腕経営者である桑原社長のマンゴービジネスの急成長の秘密に迫ります。 Mango Starを始めたきっかけ Mango Starの成功の秘密 - 仕入れ Mango Starの成功の秘密 - 立地 Mango Star 成功の秘密 - 美味しさへの追求 本当にマンゴーだけ。原材料を集中させる マンゴージュースのプロモーションは? マンゴージュース屋さんの競合は? HPS - 飯野の物流サービスについて 気になる今後のMango Starの展開について Mango Starの店舗情報 - 2020年11月時点 戸越銀座本店 東京都品川区平塚1-5-7戸越第一ビル1F TEL . 03-6426-9611 都営浅草線「戸越駅」、東急池上線「戸越銀座駅」から徒歩3分。 弘明寺店 神奈川県横浜市南区大橋町3丁目66番 TEL . 045-326-6827 イオンノア店 千葉県野田市中根36-1 1Fフードコート内 Website: https://mangostar-japan.com/ まとめ 今回のインタビューですが、いかがだったでしょうか。たかがマンゴーとあなどってはダメだと強く思いました。 経営する人の腕によって魅力的なビジネスとなるし、また商品力や価格が大切だということがよく分かりました。 弊社では私が仕入れのサポートと冷凍コンテナを手配させて頂き、お客様が毎日楽しめるような価格帯に少しでも協力できていると分かり とても嬉しかったです。 日本全国に展開されて行く予定ですので今は関東圏に3店舗のみですが、近いうちにあなたの近くにもMango Starのお店が出来ているかもしれません。 今後もMango Starの展開が楽しみです。

2020年、深刻なコンテナ不足の原因を解説しました。コロナの影響によるアメリカでの荷役の停滞と中国の勢い。 | 物流ニュース・物流ラジオ

2020年、深刻なコンテナ不足の原因を解説しました。コロナの影響によるアメリカでの荷役の停滞と中国の勢い。

今日は現在発生しているコンテナ不足の原因についてお話していきたいと思います。 昨今ではこの物流業界で「コンテナがとにかく無い」と、コンテナショーテージが非常に深刻な問題になっています。この問題は物流業界だけの問題ではありません。それにより製造業や商社業、そして小売業にも影響していきます。 このコンテナが足りない、更に言えば船のスペースがなかなか取れないという状況においてこの原因は何なのか? 今回は私が知っている範囲内で分かりやすいように、考えられる要因をご説明していきたいと思います。 動画での解説はこちら どうしてコンテナ不足が発生しているのか? コロナによる影響その① 荷役の停滞 なぜこのようなコンテナ不足が起こっている原因はやはりコロナが影響しています。2020年の初頭からコロナウイルスが世界で猛威をふるっています。そして今年の3月、4月から各国の都市でロックダウンが始まりました。 ロックダウンが始まると経済活動が制限されますし、外で仕事をする人も制限されます。その時には港の港湾作業員の人数が減った為、荷役のスピードが落ちる原因になりました。 また運営をストップする工場もあり、そのため港に大量のコンテナが滞留していきました。 コロナによる影響その② 船会社の便数減 そうして貨物の動かない状況で船会社は価格を安定させる為に、船の便数を減らしていきました。 貨物がないのに船を動かしていると船会社は赤字になってしまうので、船の便数を減らして価格の安定を維持しています。 コロナによる影響その③ 中国からの輸出急増 中国の工場の早い回復 そして4月から6月は各国の経済活動の自粛が多い時期でした。しかし7月くらいから世界中でも経済活動が少しずつ回復に向かいました。 そうした中、コロナ発祥の中国では早い段階からコロナ対策をしており、今ではコロナの抑え込みが出来ています。 中国は日本よりも一日の感染者数は抑えられていて、中国の工場の稼働については、政府の補助金とかもあり早い段階で回復していきました。中国の工場が稼働すると、それに伴い輸出の活動が再開していき中国からの輸出が増えていきます。 そして、他の国よりコロナが抑えられている中国では工場は早くから稼働しています。その為に他国ではなく中国で生産しようとする商売が増えていき、中国からの輸出は更に伸びていきました。 クリスマス商戦 そして、9月頃くらいから通常では北米向けにクリスマス商戦の貨物が大量に送られます。特に中国から北米の貨物が本当に多いです。 1ヶ月で20フィートコンテナだったら、約90万個が中国から北米に送られる計算になります。 国慶節前の駆け込み需要 さらに10月では中国では国慶節という長期の休みがあります。その長期の休み前の駆け込み需要でどんどん中国から輸出が進んでいきました。 コロナによる影響その④ 空コンテナの回漕が間に合わない また、船会社は便数を減らしているので、空コンテナを十分に回漕することが出来ません。タイにある弊社でも、タイから中国向けの輸出は船会社から少し制限されていまして、ボリュームの多い輸出はブッキングを拒否されていました。 中国向けのコンテナの輸出を船会社がコントロールしていたのでしょう。 そのコンテナ不足を少しでも解消する為に船会社もフリータイムとディテンションを短くしてきています。 例えば、日本向けで通常14日間あるフリータイムが7日間にしている船会社もあります。早くコンテナを港から取り出して、貨物をおろして、コンテナを返却しなくてはいけないという仕組みを作っています。 コロナによる影響その⑤ アメリカでのドライバー不足、シャーシ不足 これはアメリカから入手した情報ですが、現在のアメリカではコロナの影響で人で不足、シャーシ不足というのが発生しています。 港からコンテナを取り出して、アメリカの内陸の方までコンテナを運んでいきますが、そのコンテナがなかなか戻ってきません。 その原因としては荷受人の方でも人手が足りていないので、バンニングやデバンニングがスケジュール通りに進んでいないことが挙げられます。 またドライバー不足もありますので、内陸に行ったコンテナを戻すことが出来ないということも起きています。 そのため港からコンテナを取り出すための十分なシャーシが足りなくなっていきます。そういった理由で港にコンテナが溜まっていくことになります。 通常だったら1日〜2日とかで戻ってきた空コンテナとかシャーシが1週間以上戻ってこなかったりします。こういったことが繰り返し発生しているので、どんどん悪循環になっているのです。 このドライバー不足、シャーシ不足に原因があるので、船が港に到着してから2週間ぐらいかかってやっとコンテナを引き取れたという事例もあります。 コロナによる影響その⑥ 海上運賃の高騰 北米の海上運賃が過去最高に高騰しています。 アジアの玄関といわれるロサンゼルス港向けでは、海上運賃が通常では40フィートで2,000ドルはしません。それが4,000ドル近くにまで上がっている船会社があります。 これは別の動画でも解説しましたが、船会社はこれまでかなり熾烈な価格競争をしてきています。 2016年には大手の韓国系の船会社が倒産してしまうほど、今まで価格競争が激しかったんですね。 こういうコンテナが不足している状況で、船会社が海上運賃を値上げするのは市場原理から見ると普通に理解できる事だと思います。 コンテナ不足はいつ解消される? これがいつぐらいに解消されるかというと来年の2月とか3月ぐらいに解消するのではないかと予想はしていますが、実際のところはまだ分からないと思っています。 コロナの影響次第ではさらに荷役が遅くなるかもしれないし、このようなパンデミックのような状態でのコンテナ輸送の影響は初めてのことなので、はっきりと予想するのが大変難しいです。 まとめ 今回の話をまとめます。コンテナ不足の影響はやっぱりコロナが影響しています。 ・4月から6月は経済活動の自粛 ・7月以降は日用品とかの需要が回復して輸出が増えてくる ・中国はコロナの影響を抑えられて、工場の生産が他国よりも回復したため中国からの輸出増 ・船会社が便数を減らしているので空コンテナの回漕が十分でない ・アメリカのクリスマス需要ということで、中国からアメリカ向けにコンテナが使用されている ・アメリカでは深刻なドライバー不足やシャーシ不足が発生してるため、内陸に行ったコンテナが戻ってこない、港にあるコンテナが取り出せない ・アメリカの荷役も人材不足のためにスピードが遅くなっている これらの一つ一つの要因が重なりあって、このような深刻なコンテナ不足が発生しています。 これが回復するのは来年の2月とか3月とか言われていますが、実際のところはコロナの影響によってはまだまだ先が見えないという私の感想ではあります。 現在コンテナ不足によって直前のブッキングはなかなかコンテナがとれない状態になっているので、貨物輸送のブッキングはとにかく早めで宜しくお願い致します。 企業様の貿易・新人研修にお勧めの無料コンテンツ