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インコタームズ – EXW (Ex-Works) | インコタームズ

インコタームズ – EXW (Ex-Works)

Ex-Worksを動画で解説! 今回はインコタームズ のEXWに焦点を当てて、売り手と買い手のそれぞれの立場でのメリットとデメリットについて解説をしていきたいと思います。 貿易取引においてはインコタームズを「正しく」理解する事で、売り手・買い手の それぞれにおけるトラブルを出来るだけ小さくする事が出来ますので、是非とも理解しておきたい内容だと思います。 それでは行ってみましょう! Ex-Worksとは? EXWは貿易の取引条件を示すインコタームズの一つです。 日本語では工場渡し条件とも呼ばれます。 インコタームズには全部で11種類の貿易条件がありますが、EXWはその中で売り手にとって物流の負担が少なく、最もリスクも小さい条件となります。 ざっと物流の、費用の支払いと貨物の責任についてみてみましょう。 EXWでは輸出先の工場から輸入して特定の届け出先までの全ての輸送費用とリスクを輸入者である買い手が負担する取引条件です。 売り手が貨物を自社の拠点である工場や倉庫などでトラックに引き渡した時点で費用負担と貨物リスクは買い手へと移ります。 つまり、輸出国での輸送費用から輸出通関、船・飛行機等の運賃、輸入地での通関や届け先までの費用や危険負担については全て買い手が負担することになります。 ただし売り手も関係省庁から輸出の認可を取得したり、輸入通関を行う際に輸入者が必要とする情報を提供したりすることについては、サポートする義務があると定められています。 貿易取引では何と言っても相手との人間関係が大切です。 輸出側からみたEXW 輸出側から見たEXWはどんな条件でしょうか? 輸出者にすると、商品を期日内に生産し自社の敷地内で買い手に貨物を引き渡せば、後はほぼ全ての業務を買い手である輸入者が行ってくれるということになります。 売り手は生産や仕入れだけに専念する事が出来るのが最大の特徴です。 輸出者のメリット そういう意味では、これから海外への輸出を始めようとしている場合や輸出先の国が初めての貿易相手国である場合などに適した貿易条件だと言えます。 慣れていなかったり、ほとんど知らない国に荷物を送るのは余計な心配が増えますので, 輸出経験の少ない事業者様はEXW条件での取引を検討してみると良いかもしれません。 輸出者のデメリット では輸出者側から見たEXWのデメリットについて、実際の取引で考えてみましょう。 EXW条件で輸入を行う場合、輸入者は相手の敷地内での貨物引渡し後 全ての運送業務を自社で手配しなければなりません。 そのためには、買い手は貿易取引について熟知している必要があります。つまりEXWにおける輸入者は貿易のベテランである可能性が高いのです。 このような取引相手に対し、輸出者が価格面で良い条件を引き出すことはかなり難しくなります。 比較的経験の浅い輸出者の場合、EXWではこうした理由から国内外の物流費用を利用して大きく儲けるといったことは難しくなる可能性があります。 輸入者側からみたEXW 一方で輸入者側から見たEXWはどんな条件でしょうか? 輸入者側から見るとEXWは貿易相手国における輸送から全て自社で手配する必要があるので、現地の取引に慣れているなど豊富な経験や知識が必要とされる条件です。 輸入者のメリット 輸入者側にとってはEXWでは物流をコントロールし自社で運送会社や保険会社を選択することができるので、そうした意味でも買い手にとっては最も安く輸入することができる条件だと言えるでしょう。 さらに、輸送などの手間やリスクを全て自社が負担することで、売り手に対して値下げなどの提案する事が可能だったりもします。 輸入者のデメリット 一方で輸入者側のデメリットはやはり輸送に伴う危険を最も幅広く負担しなければならない点でしょう。 輸出者の敷地からあらかじめ定められた国内の地点まで全てのリスクについて責任を持たなければなりません。 また輸出国での輸送や輸出通関を行わなければならない為に、取引を行っているフォワーダーがそれらの手配について得意なのか可能なのかを確認する必要もあります。 もし取引先のフォワーダーがそれらの業務を行うことが出来ない場合は、他のフォワーダーを探すかEXWの使用を避けて契約しなければなりません。 EXWのメリット・デメリットまとめ 輸出者側のメリット・デメリットをまとめるとこのようになります。 メリットとしては ・生産や仕入れに専念できる ・物流の危険負担が最も少ない ・貿易手続きはほぼ不要 物流は輸入者が手配・負担をするので納期や生産性などに集中出来ることが特徴ですね。 そしてデメリットは ・輸送手段を選べない ・価格交渉が不利になるかもしれない EXWを指定してくる買い手は貿易のベテランの可能性があるので価格交渉的に厳しくなるかもしれません。 そして輸入者からみたEXWでは メリットとして、 ・最も安く輸入することができる ・物流を自社でコントロールすることができる 自社で物流を全て手配するので、売り手側に輸送費用に利益を乗せられることを避けることが出来ます。 デメリットとして ・物流の全てのリスクを負担する必要がある ・フォワーダーの実力によっては使えない場合がある 全ての物流の貨物責任を取らなければいけないのでリスクコントロールの範囲が広がります。 慣れていないと難しいでしょう。 まとめ 今回はEXWについて詳しく見てきました。輸出者・輸入者の双方の立場からEXWの条件を考えていますので自社の状況に照らし合わせて頂ければ、より理解が深まると思います。 EXWはインコタームズの中では最も輸出者側の負担が少ない条件ですので、これから海外へ販売展開を考えている場合であれば 輸入側の取引相手に一度EXWでの取引を打診してみるのも良いかと思います。 また、輸入者の場合でも価格を抑えたい場合は、EXWで輸入を行うことができないかフォワーダーなどと相談して検討してみると良いでしょう。 ・TwitterでDMを送る https://twitter.com/iino_saan ・LinkedInでメッセージを送る https://www.linkedin.com/in/shinya-iino/

インコタームズ 2020と2010の違い・変更点について解説をしました。 | インコタームズ

インコタームズ 2020と2010の違い・変更点について解説をしました。

今回はインコタームズ 2020と2010の違いについて解説したいと思います。 10年ぶりの変更ということで業界の片隅で話題になっているインコタームズ2020ですがフォワーダー視点で解説をしていきます。 インコタームズとは? まずインコタームズとは何なのか?軽くおさらいしておきましょう。 インコタームズとは、貿易取引における費用負担や危険負担の範囲について取り決めた世界共通のルールです。「CIP」や「EXW」のように、アルファベット3文字で表されています。貿易取引を経験済の方であれば一度は必ず目にしているでしょう。 貿易取引では商品そのものの価格に加えて運賃や保険料、通関料、関税消費税など取引に関わる様々な費用が発生する上に、台風などの災害や事故など輸送中にも多くのリスクを抱えています。 そのため、その費用やリスクを誰がどの範囲まで負担するかということをインコタームズで明記しています。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/incoterms/?lang=ja" target="_blank"] インコタームズの法的強制力は? こう聞くと貿易において法的強制力を持つもののように思えますが、実は法律や国際協定ではないので強制力はありません。 しかし、輸出入者がお互いの責任範囲を明確にしてスムーズな取引をするためには非常に有効なルールであるため、国際貿易の慣習として世界中の取引で利用されています。 ですから必ずしもこのルールに則り貿易をする必要はありませんが、今後海外と取引をする上ではぜひ理解していただきたいと思います。 インコタームズ2010〜2020への変更点 さて2019年9月10日 ICC国際商業会議所から10年ぶりの改定となる「インコタームズ2020」が発表され、2020年1月1日より発効されました。 2010と2020の違いとしては以下の6つのポイントにまとめてみました。 インコタームズ2010と2020での違い 1. 前書きや利用者の解説ノートの設置 2. 項目別に費用の危険負担の比較が容易になった 3. CIF及びCIPにおける保険の補償範囲の違い 4. FCA,DAP,DPU,DDUで売り主又は買主が自己の輸送手段を用いての運送手配 5. FCA規則に船積済みの付記のあるB/Lを含める。 6. DATを廃止しDPUを新設 6つにまとめてもなんだか難しく聞こえてしまいますが一つずつ簡単に要旨を押さえていきましょう。 1. 前書きや利用者の解説ノートの設置 インコタームズのノートに前書きや利用者の解説箇所を設置してより理解しやすいようになりました。 2. 項目別に費用の危険負担の比較が容易になった 項目別に義務部分の対比をすることが簡単になりました。どのインコタームズを使用するとどの費用を負担することになるか、一目でわかるようになっています。 1と2のどちらもインコタームズの書籍を購入しないと読めません。ですがフォワーダーでも本を目を通している人は少ないので、特に読まなくても支障はないと思います。 3. CIF及びCIPにおける保険の補償範囲の違い CIFとCIPにおける保険の補償範囲の違いについては少し説明します。 インコタームズ2010では、売り主はロンドン国際保険業者協会のC約款又は類似の約款により規定されている最低限の補償範囲に準ずる補償を売り主負担で手配する義務が課されました。 約款とは簡単に言えば契約上の決め事で、つまりここでは保険契約を結ぶ場合の規則やルールですね。 そして2020ではCIFでは引き続きC約款が適用されますが、CIPではA約款に準拠する保険を付さなければならないというルールができました。 A約款は、すべてのリスクをカバーしています。なので買主にとって手厚い保険となり、売り主側の保険料は高くなります。 インコタームズ2020 ・CIF:C約款 ・CIP:A約款(オールリスク) つまりは商品そのものの価格も上がる可能性があります。そして保険料は日本側輸入時には課税標準(関税などをいくらにするかを決める際の価格)に組み込まれますので、消費税や関税も高くなることになります。 取引をされる場合にはそのことも念頭においてタームや保険付保の交渉をされるとよいでしょう。 4. FCA,DAP,DPU,DDUで売り主又は買主が自己の輸送手段を用いての運送手配 一部の規則において売り主又は買主が自己の運送手段を用いて運送の手配を行うことが認められました。フォワーダーの立場からしますとあまり関連のない規定となりますので詳細は割愛します。 5. FCA規則に船積済みの付記のあるB/Lを含める FCA規則で、輸出国で貨物の船積をする前に船積証明が付記されたBLの発行を求めることができるようになりました。 銀行の信用状で取引をされる方には便利になったかと思います。この規則を制定することで、FOBほど認知度が上がらないFCAを広めようという意図が感じられます。 6. DATを廃止しDPUを新設 DAT廃止及びDPU新設に関連してここからは改定後のインコタームズについてお話します。 改定によってインコタームズは2種類11条件となりました。 海上輸送と内陸水路運送のみで使える条件 ・FAS - Free Alongside Ship ・FOB - Free On Board ・CFR - Cost and Freight ・CIF - Cost Insurance and Freight 全ての輸送モードで使える条件 ・EXW - EX Works ・FCA - Free Carrier ・CPT - Carriage Paid To ・CIP - Carriage and Insurance Paid To ・DAP - Delivery At Place ・DPU - Delivery at Place Unloaded ・DDP - Delivery Duties Paid と大きく二つに分けられます。 つまり飛行機やコンテナで輸送をするのにFOBやCIFなどのインコタームズを指定するのは誤りということです。ここでいう海上輸送とは、在来船などのことを指しています。 インコタームズ Dグループの変更 変更点は2010ではあったDATが廃止され、DPUが新設されました。 DPUでは、売り主は、輸入国側の指定仕向け地までの輸送と荷卸し義務を負います。買主は輸入通関の部分で費用と危険を負担します。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/incoterms2020-d-group/?lang=ja" target="_blank"] INVOICE上のインコタームズ 実際にINVOICEを作成されている方はINVOICE上のインコタームズの記載の仕方が気になるところかと思います。 正しくは、”CIF SHANGHAI INCOTERMS[R]2020”のように記載することとされています。しかしながら、実際にはこのように正しく記載されているインボイスは少ないのが現実です。 多くは「CIP SHANGHAI」「FCA OSAKA」のような形で書かれています。そして通関上にも特に問題はありません。この記載でも運賃負担がどちらかは十分にわかりますので通関に差し支えないのです。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/inv-pkl/?lang=ja" target="_blank"] 輸出入者での合意が必要 前にも言いました通りインコタームズは推奨ルールでしかありませんので、このルールに則っていなかったとしても基本的な貿易取引条件さえ決めておけば貿易取引は完了できます。 もちろん事故や災害のリスクはいつも付きまといますが、万が一そのようなリスクに遭ったとしてもきちんとした契約書などがあれば当事者同士の話し合いで解決できるものです。インコタームズを絶対視しすぎず細かな部分は売買契約書などで定めておけば安心です。 また少し前にも言いましたように本来であれば、航空輸送などにFOBやCIFを使用するのは誤りです。でも現実のINVOICEでは数多く見られます。 まず正しい情報を知っておくこと 最近でこそ、正しくFCAやCIPと記載されているものも見受けられるようになりましたが、正直言いまして災害や事故などのリスクがなければFOBやCIFでINVOICEが作られていても何ら問題なく通関も荷役も進むのです。 しかしながら、フォワーダーの立場に立ってみますと顧客から頂いたINVOICEが正しくFCAやCIPと記載されていますと「あ、このお客様は物流のことをちゃんと勉強されて理解されているな」と一目を置くポイントとなります。 今後永く貿易を続けられるのであれば、この機会にぜひとも正しいインコタームズを使用していただきたいです。 まとめ インコタームズを一度に覚える必要はありません。改定された11種類のインコタームズをきちんと暗記し、スラスラと間違いなく説明できる人はフォワーダーの中でさえ少ないでしょう。 まずはご自分の貿易取引の中でよく使われている条件のものをしっかりと理解して覚えることが重要です。そして新たな貿易取引が始まった際などに新しいインコタームズを使用することになれば、またそのタームを自分で調べて理解し、覚えて正しく使用する。それで十分だと思います。 前回の改定が2010年、前々回が2000年であったことを考えますと次は2030年が予想されます。その際にも廃止や統合、新設があると考えられますので、テストのようにすべてを丸暗記しようと頑張るのではなく自分に必要なタームを一つ一つしっかりと理解しましょう。 そうすればいつ改定があっても慌てることなく対応できること間違いなしです。

インコタームズ2020 DAP/DPU/DDPについて解説しました。 | インコタームズ

インコタームズ2020 DAP/DPU/DDPについて解説しました。

今回はインコタームズ2020のDグループのDAP/DPU/DDPについて解説をしていきたいと思います。 インコタームズの2000/2010/2020と時代を経て、取引をより分かりやすく明確にする為の規則の変更がありました。しかし既に廃止されたDDUやDATなども普通に商習慣的に実務で使われたりします。 インコタームズのDグループでは変更された条件が複数あり少しややこしく感じてしまいますので、今回はインコタームズ2020のDグループにフォーカスを当てながらも、また廃止された条件やDグループの取り扱いの実務上の話や注意点もさせて頂きます。 インコタームズ2020のDグループを動画で解説 インコタームズについて まずインコタームズについて簡単に説明しておきましょう。インコタームズは簡単に言えば貿易取引において売り手と買い手での、費用負担とリスク負担の取り決め条件です。 売り手と買い手で、どこからどこまでの費用とリスクを負担するかを明確に決められた国際的な貿易条件だと覚えておいて下さい。 インコタームズの図解についてはこちらに分かりやすく記載しています。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/incoterms/?lang=ja" target="_blank"] インコタームズ2020のDグループ まずはDAP/DPU/DDPの「用語の解説」と「費用負担とリスク負担」について、それぞれ一つずつ説明していきます。 DAPについて まずはDAPです。DAPはDelivered at Placeの略称で仕向地持込渡しと日本語では呼びます。 DAPでは輸出者が輸入先の指定場所にて荷下ろしする前までの費用とリスクを負担します。 なので輸出側は荷下ろしをする義務はありませんし、荷下ろし中のリスクの負担は買い手になります。 そして輸入通関や関税・消費税を含む税金は輸入側の負担となります。 DPUについて そしてDPUですが、DPUはDelivered at Place Unloadedの略称で、荷卸込持込渡しです。 DPUの貨物の費用負担とリスク負担では輸出者が輸入先の指定の場所にて荷下ろしが完了するまでの費用とリスクを負担します。 輸入通関は買い手の負担になり、輸出側に輸入通関をする義務はありません。 DDPについて 最後にDDPです。DDPはDelivery Duty Paidの略称で仕向地持ち込み渡し関税込みと日本語では言います。 DDPは配送が完了するまでの費用とリスクを売り手が全て負担する取引条件です。 DPUやDAPでは通関は買い手負担でしたが、DDPでは通関や税金も売り手が負担する事になります。 インコタームズ2020 Dグループの違い一覧 Dグループの費用負担とリスク負担をまとめるとこのようになります。 Dグループまとめ DAP (仕向地持込渡し) ・輸出側の負担:指定先までの輸送費用とリスク ・輸入側の負担:通関・関税・消費税、積み下ろし作業 DPU (荷卸込持込渡し) ・輸出側の負担:指定先までの輸送費用とリスク、積み下ろし作業 ・輸入側の負担:通関・関税・消費税 DDP (仕向地持ち込み渡し関税込み) ・輸出側の負担:指定先までの輸送費用とリスク、通関・関税・消費税を負担 ・輸入側の負担:積み下ろし作業 DDPの荷下ろしの義務ですが買い手が負担する事になっています。 もしあなたが買い手側として、荷下ろしが難しい機械設備などの輸送で、どうしても貨物の荷下ろしを輸出者側の責任でやってほしいならDPUを指定しましょう。 契約書・船積み書類への記載方法 インコタームズのDグループでは荷下ろしする場所を明記することが大切です。なので契約書やInvoiceなどではこのように記載します。 DAP/DPU/DDP 「住所」 Incoterms2020. DPU 「ABC Warehouse Shinagawa」 Incoterms2020 場所にはTokyoやKobeなどの港や地域の名称ではなく、特定の場所が分かるように記載をしましょう。 輸入側のフォワーダーについて インコタームズのDグループは輸入側の買い手が指定する届け先まで貨物を手配しなければいけません。 なので輸出者である売り手は、輸入先の事をよく知っている必要があります。この時に必要なのが輸入側でのフォワーダーです。 輸出側で取引のあるフォワーダーがこれから貨物を送る地域にフォワーダーの支店や代理店があるのかを確認しなければいけません。 DDPでよくある問題 輸入先のフォワーダーとDDPについて実務的な例をあげます。 DDPは輸入時の関税と消費税を輸出者が払うことになっています。しかしそれは輸入側のフォワーダーが税金を一旦 立替えており、後に輸出側のフォワダーに請求書が送られています。 この時にもし税金の金額が大きいとちょっと問題になります。輸入側のフォワーダーで税金の立替の上限金額を決めている会社も少なくありません。 輸出側と輸入側のフォワーダーの関係も重要です。取引を始めたばかりの代理店であれば高額な税金の立替は拒否される可能性が高いです。 なのでDDPを依頼された輸出側のフォワーダーは事前にInvoiceを輸入側に送って、税金の立替について輸入側と確認をしなければいけません。 DDUとDATは使えないのか? インコタームズの2010と2020で既に廃止されているDDUとDATですが、全く使うことが出来ないのか?というと問題なく使えます。 インコタームズは売り手と買い手の間で取引がスムーズに行われるように決められた規則ですが、法律ではありません。 インコタームズ2020ではICC(国際商業会議所)がDATの代わりにDAPを使いましょうと推奨していますが、あくまで推奨です。 売り手と買い手での明確な合意があれば取引で問題などが生じたとしても、話し合いなどで解決することが出来ます。 なので契約書やInvoiceにDDUやDATと記載して、売り手と買い手でそれに合意をしていたら基本的に問題はありません。 まとめ 今回はインコタームズ2020のDグループについて詳しく解説をしました。 現在では新しいインコタームズの規則が決まったばかりですが、まだまだ商習慣的にインコタームズ2010で廃止されたDDUが使われていたりします。 今回説明したようにインコタームズはあくまで規則であり、売り手と買い手の取引の合意をサポートするものです。義務ではありません。 ですが物流の担当者として新しい情報をしっかりと理解し、お客様との取引で明確な合意の元で取引が出来るようになりましょう。

Freight PrepaidとCollectの違いとは?貿易条件を理解しShipperとCneeから代金回収リスクを減らそう。

貿易には色んな専門用語があります。今回ご説明する用語は「Prepaid」,「Collect」です。筆者も国際物流の仕事に携わったときはこの貿易用語の理解が大変でした。 このような感じでした。。このような疑問を持っているのは筆者以外にもいらっしゃるでしょう。なので今回はPrepaidとCollectの違いについて分かりやすく解説をしていきたいと思います。 フレート・プリペイドとコレクトのアニメ動画解説 Freight Prepaid とCollectの違いとは まずPrepaidとCollect。これは運賃(Freight)のことを指しており、B/Lには”Freight Prepaid”と”Freight Collect”というように記載をされております。 違いを理解するのは簡単です。これらの英単語を翻訳したら以下のようになります。 Freight PrepaidとCollectの違い Freight:運賃 Prepaid: 事前に支払う Collect: 回収する Freight Prepaidは運賃を前払いする。すなわち輸出地側が運賃を支払うということになります。一方でFreight Collectは運賃を回収する。輸入地側で運賃を回収するという意味です。 誰が運賃を支払うのか ・Freight Prepaid: Shipperが運賃を支払う ・Freight Collect: Consigneeが運賃支払う ”運賃”とは何の運賃を支払うことなのか この場合の運賃というのは国際輸送費用です。なので海上運賃や航空運賃の事を指します。B/L(船荷証券)やAir Waybill(航空運送状)に記載するものなので輸出地側や輸入地側のトラック輸送費、港の費用、通関費用は関係ありません。 関連するインコタームズ 国際輸送費用を輸出者・輸入者のどちらが負担するのかということですので、これらはインコタームズにも関わってきます。 関連するインコタームズ  Freight Prepaid:C&F, CIF, CFR, DDU,DDP Freight Collect:EXW, FOB 上記では一般的に使用するインコタームズのみ記載しましたが、インコタームズの詳細についてはこちらをご確認下さい。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/incoterms/?lang=ja" target="_blank"] Prepaid/CollectはShipperとCnee次第 Freight PrepaidにするかFreight Collectにするかは、輸出者(Shipper)と輸入者(Cnee)のインコタームズの取り決めによります。 商品を購入する輸入者側が物流は自分でコントロールしたいという場合、ターム(インコタームズの事)をEXWやFOBにするでしょう。 また輸入者が物流のことは面倒だから輸出地側に完全に任せたいというのであれば、一般的にCIF条件などで取引されます。 積み地フォワーダー泣かせのFreight Collect これは弊社の案件の一例なのですが、タイ- インド間の取引でFreight PrepaidやFreight Collectにするかどうかで論争になった事があります。 タイ側で輸出者様と商談を進めており、輸出者様(タイ)が運賃を支払うFreight Prepaidで決まりかけていました。取引条件はCIFでした。 しかし、貨物を輸出しようとする直前に輸出者様(タイ)と輸入者様(インド)で話の内容が変わったのか、Freight Collectにするとの事。 EWXに変更になりました。この案件はタイで進めていたもので(タイで運賃を船会社から入手して案件獲得につながったので)、船社に対して私たちフォワーダーは運賃をPrepaid(前払い)しなければいけません。 MasterとHouse B/Lに記載されるFreight "Prepaid"と"Collect" ・Master B/L: Freight Prepaid ・House B/L: Freight Collect になります。 Master B/LとHouse B/Lの違いについてはこちらをご参照ください。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/hbl-mbl-difference/?lang=ja" target="_blank"] インドから代金を回収する そしてお客様から運賃の回収をするのはインドです。弊社のインド代理店がインドの輸入者様に連絡を取って運賃を回収して、タイに国際送金するという形になります。 こうなるとタイ側でのコントロールが難しくなるのです。 為替リスクが発生する 更にEXWですのでタイ側のトラック運賃、通関費用、港の諸費用は基本的にタイバーツで発生し、インド側にはUSDで請求をすることになります。ここで為替リスクが発生し為替に関しての取り決めなどもしなければいけません。 はたしてインドの会社が無事に支払日までに支払ってくれるのだろうか。。代金の支払いを遅らせる事が経理の実績だと言われるインド。 日本相手なら全く問題ないFreight Collectですが、インド相手だと出来ればFreight Prepaidで対応したい案件でした。 国際取引のバランスを取る 上記の例がややこしいのは積み地側/輸出者側で物流の取引がほぼ確定していた事です。これがインド側(揚げ地側)で物流業者が輸入者に営業をかけてインド側主体での取引だとそれほど問題視する事はなかったでしょう。 国際取引というのは、言葉・文化・通貨だけでなく、それぞれの国の商習慣の違いもあるので単純なものではありません。そのバランスを取れるのが物流においてはフォワーダーなのかなと思います。 まとめ 輸出者、輸入者の立場からしたらFreight PrepaidとFreight Collectは取引条件の取り決め事項ですので割と単純なルールです。 しかし単なる運賃支払いのルールではなく その取引が決まる背景まで含めて見た時、スムーズな国際取引をするためにはフォワーダーとの連携が重要になって来ます。

インコタームズのDDP・DDU・DAPの違いについて解説!輸入時の税金の支払いやリスク負担の分岐点とは? | インコタームズ

インコタームズのDDP・DDU・DAPの違いについて解説!輸入時の税金の支払いやリスク負担の分岐点とは?

[keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/ddu-ddp/" target="_blank"] インコタームズのDDPとDDUは、いわゆるドアtoドアで手配する貿易条件です。 お客様の貿易条件の取り決めは色々あります。輸出側と輸入側でどちらが物流の手配、費用負担・危険負担をするのか。全てのお客さまが貿易に詳しい訳ではありません。 タイのフォワーダーである筆者は基本的に自分たちでコントロール出来る物流を好みますのでDDP,DDUも頻繁に手配しています。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/incoterms2020-d-group/?lang=ja" target="_blank"] 【関連動画】インコタームズ2020のDAP/DPU/DDPについて解説 DDPとは DDPはDelivered Duty Paidの略称で貿易条件の種類であるインコタームズの一つです。 運賃と保険料を輸出者が負担する取引条件のことを指し、日本語では仕向地持込関税込渡しとも言います。 インコタームズの中で、Dグループと呼ばれる条件グループに含まれます。 DDPの特徴 DDPは現在11種類あるインコタームズの中で最も輸出者の負担が大きく、輸入者の負担が小さい取引条件です。 このDグループの条件(DDP/DAP/DPU(DAT))においてのみ輸入通関を輸出者が行います。また、輸入国における輸送費用まで輸出者が負担するのもこの条件だけです。 つまり輸出者は、契約時に定められた指定仕向地に貨物が到着するまでの費用と責任を負担することになります。 そのためDDP条件での取引では、自国だけではなく輸出地におけるフォワーダーや運送業者との取引経験など貿易の豊富な経験が輸出者には求められます。 一方、輸入者側から言えば、DDP条件では基本的に指定仕向地に貨物が到着するのを待っていればよく、貿易経験が浅い場合でも最もリスクの少ない取引条件だと言えます。 ただし、通関などに必要な書類を輸出者から求められた場合はそれに協力する必要があります。 DDPにおける貨物の引渡し場所、費用負担・危険負担の分岐点 DDP条件では、契約時に定められた輸入国側のある地点が貨物の引き渡し場所及び費用と責任の移転場所となります。この場所は指定仕向地と呼ばれ、指定仕向地に到着するまでは輸出者が費用(税金を含む、全ての輸送費用)や責任を負担することになります。 また危険負担には輸送中の商品ダメージなども含まれそうした損害が発生した場合の補償も輸出者の負担となります。 DDUとは Duty Unpaidの略称で日本語では仕向地持込関税抜き渡しとも呼ばれます。先ほど説明したDDP条件との違いは、輸入地における関税の支払いです。 DDP条件では輸入地における関税も輸出者が支払いますがDDU条件では輸入者が支払いの義務を負います。 インコタームズ2010での改正について ・DDU条件は廃止され、代わりにDAP条件が設けられた DDU条件は最新版であるインコタームズ2010では廃止され、同じDグループの取引条件であるDES、DAFと共に、新たに設けられたDAP条件へと移行することが推奨されています。 これには特にコンテナ輸送の場合、輸入地におけるターミナル使用料の負担義務がどちらにあるのかが不明確な為に荷下ろし義務を輸入者負担とするDAP条件でそれを解決するという目的があります。 DDU条件はDAP条件への移行が推奨されているものの未だに実務では使われる条件です。 また、DDU条件のようなインコタームズ2000の取引条件も使用が禁じられているわけではないので状況によってはDDU条件での取引となることもあるでしょう。 その場合、書類に”As per Incoterms 2000”などと記載するのが望ましいとされています。 DAP条件とは DAP条件は、インコタームズ2010で新たに設けられた取引条件です。Deliver At Placeの略称で、日本語では仕向地持込渡とも呼ばれます。 DAPは輸入港または輸入国におけるターミナル(埠頭、港湾地区の倉庫、コンテナヤード、鉄道の駅など)において、輸入通関前に、輸送手段(船や飛行機、トラックなど)の上で荷降ろしの準備ができた状態で貨物を輸入者に引き渡します。 引き渡しの時点で、危険・費用負担も輸入者へ移転します。つまり、荷降ろしにおける危険・費用は輸入者が負担することになります。 まとめ 今回はDDP条件とDDU条件について詳しく見てきました。DDP条件はインコタームズの諸条件の中でも最も輸出者の負担が大きく、輸入者の負担が小さい取引条件です。 輸出者の負担が最も小さいのはEXW条件でしたが、DDP条件はそれと真逆の取引条件だと言えるでしょう。 輸出者としてDDP条件を用いる際は現地での荷降ろしや通関業務などに問題がなく指定仕向地まで確実に貨物を送ることができることを十分に確認する必要があります。 そのためには現地のフォワーダーなど関連業者との連携が不可欠です。 フォワーダーを通しても輸入国で許認可取得や通関許可を取得するのが難しい場合はDDPを避けてDAPなど通関業務の無い取引条件を選択することが望ましいでしょう。 企業様の貿易・新人研修にお勧めの無料コンテンツ

インコタームズのCグループについて解説!CFR, CIF, CPT, CIPのそれぞれの費用・リスク負担の違いについて。 | インコタームズ

インコタームズのCグループについて解説!CFR, CIF, CPT, CIPのそれぞれの費用・リスク負担の違いについて。

今回はインコタームズのCグループである、CFR,CIF,CPT,CIPについてご説明をしていきます。 筆者はタイのフォワーダーとして活動をしているのですが、輸出国(製造国)であるタイにおいてお客様から多くの貿易条件にてBookingを頂いているのがCIFやCFRとなります。 CFR・CIF・CPT・CIPについて動画で解説 インコタームズ CFRとは CFRとは、Cost and Freightの略称で、日本語では運賃込条件と呼ばれます。CFRは、CIFから輸出者の保険料の負担を除いた条件です。貨物の引き渡し場所と危険移転は輸出港に停泊する船の甲板上に貨物が接地した時でCIFと同じです。 実務においては伝統的な表現であるC&Fと表現されることも多いようですが、正式にはCFRが正しい表記とされていますので、契約書などではCFRと記載しましょう。 Cグループのインコタームズを理解する時におさえるポイント CFRやCIFといったC類型に分類されるインコタームズでは、危険負担と費用負担が輸出者から輸入者へと切り替わる時点が異なります。 そのため、これからインコタームズを学ぼうとしている人や貿易の初心者の方にとっては理解しにくい部分があるかもしれません。 しかし保険や運賃の費用負担と事故などがあった場合に責任を負う危険負担を分けて考えると理解がしやすいと思います。 これはどのインコタームズにも言えることで、以下に挙げる貿易条件を構成する3つの要素を別々に考えることで混乱を避けることができます。 理解すべき分岐点 ・貨物の引渡し場所 ・危険負担の分岐点 ・費用負担の分岐点 ここを理解する事がインコタームズの違いを理解しやすくなるポイントです。 インコタームズ CIFとは CIFはCost, Insurance and Freightの略称で貿易条件の種類であるインコタームズの一つです。 運賃と保険料を輸出者が負担する取引条件のことを指し、日本語では運賃保険料込条件とも言います。 FOB条件などの場合に輸出者が負担する船積までの費用に加えCIF条件では輸入港到着までの運賃と保険料を負担する取引条件となっています。 CFR/CIFにおける貨物の引渡し場所、費用負担・危険負担の分岐点 CIF条件では、貨物の引き渡しは本船積み込み時に完了するとされています。船舶の甲板に貨物が接地(タッチダウン)した時点で危険負担も輸出者から輸入者へと移転します(FOBと同じ)。 しかし保険と運送にかかる費用については本船に積み込み後、船が輸入港へ到着するまでの区間についても輸出者側が負担することとなっています。 CIFの特徴 - 輸出者視点 ・リスク負担:輸出国で船の上に貨物を載せるまで ・費用負担:輸入国に到着するまで輸出者が負担 ですから、CIF条件で貨物についての責任が移転するとされている本船積み込み時とは、厳密に言えば貨物が船の甲板に置かれた時点ということになります。 ちなみに、最新版であるインコタームズ2010において、長年にわたり、FOB、CFR、CIFの各条件で危険負担の分岐点として想定されていた「本船の手すり (Ship's Rail)」の文言が削除され、物品の危険は「物品が本船の船上に置かれた(On board)」時に売主から買主に移転するとされました。 インコタームズ CPT/CIPとは インコタームズのCグループにはCFRとCIF以外にも、CPTとCIPがあります。CPTとCIPの条件も合わせて簡単に見てみましょう。 まずは用語の解説と、CPTとCIPの違いですが の略となります。 違いについてはCFRとCIFと同様にIのあるCIPが保険ありで、CPTが保険なしの条件になります。このようにして覚えるとそれほど難しくはないと思います。 CPT/CIPのリスク負担 CFRとCIFではリクス負担の切り替わる場所は船の甲板の上に貨物が乗ってからでした。 一方でCPTとCIPではリスク負担の切り替わる場所は輸出側のCYやCFSになります。 CPT/CIPの費用負担 そして費用負担についてですが、Cグループは全て同じで 輸入側の港までが輸出側の費用負担となります。 まとめ 今回は、CFR,CIF,CPT,CIP条件について見てきました。CIFの保険については、輸出者が義務付けられているのは最低限の填補範囲ですがこれについても取引相手と契約内容を確認しておく必要があります。 Cグループの条件(特にCFRとCIF)は比較的良く用いられる契約条件です。良い取引のために内容についてしっかりと理解しておきましょう。

インコタームズのFOBを解説!FCAとの違いやリスク・費用負担、貿易条件のメリットについてお話しします。 | インコタームズ

インコタームズのFOBを解説!FCAとの違いやリスク・費用負担、貿易条件のメリットについてお話しします。

貿易取引において重要なのはリスク管理とコストです。筆者が輸入する時に頻繁に使う貿易条件はFOBなのですが、国によって貿易条件を変えております。 輸入の場合は慣れている国だとFOB、そうでない場合はCFR。使い分けが肝心です。今回は輸出者、輸入者のそれぞれの立場からインコタームズのFOBについて見ていく事にしましょう。 FOBについて動画で解説 貿易が得意な弊社の立場からFOBをどのようにして使うのかを含めて解説をしています。是非ご覧ください。 インコタームズ FOBとは FOBは日本語では本船渡し条件、または甲板渡し条件とも言います。 輸出地の港に停泊する船舶の甲板において費用や危険負担の責任が移転する取引条件のことです。 FOBは英語のFree On Board の略称でこの場合のBoardは船舶の甲板を指します。ですからFOBとは船舶の甲板において、輸出者が責任から自由になる(責任が輸入者へ移転する)という意味になります。 船積書類などには、「FOB TOKYO」のように、FOBの後には輸出港の名前が表記されます。「FOB TOKYO」であれば、「東京港に停泊する船舶の甲板において、責任が輸出者から輸入者に移転する」という意味になります。 輸出港の船舶上で責任が輸出者から輸入者へと移転するので輸出者にとってはリスクが比較的少なく、輸入者にとってはEXWよりは責任範囲が狭いものの一定以上の取引経験やリスクヘッジが求められる条件と言えるでしょう。 FOBにおける貨物の引渡し場所、費用負担・危険負担の分岐点 FOBでは費用や危険負担の責任は船舶の甲板に貨物が接地(タッチダウン)した時点で輸出者から輸入者に移転することになっています。 貨物が船舶に積載されてからは輸入者が責任を負いますが、貨物が積み込まれる船の予約については実際には輸出者が行うこともあります。 ちなみに、最新版であるインコタームズ2010において長年にわたり、FOB、CFR、CIFの各条件で危険負担の分岐点として想定されていた「本船の手すり (Ship's Rail)」の文言が削除され、物品の危険は「物品が本船の船上に置かれた(On board)」時に売主から買主に移転するとされました。 ガントリークレーンの恐怖 コンテナを使用する海上輸送の場合、コンテナをターミナルから船舶上に積み込むのは実際には港湾業者や船会社が行う業務です。 そのため輸出者は本船への積み込み作業を自社でコントロールすることができません。 なのでFOB条件ではガントリークレーンを使った本船への積み込みの間の責任も輸出者にあるとされるので積み込み時のリスクも考慮に入れなければいけません。 これに対しFCA条件では貨物が運送人の管理下にあるコンテナヤード(CY)で引き渡され、輸入者指定の運送人の管理下に置かれた時に貨物の引き渡しが完了し危険負担が輸入者に移転します。 輸出者側から見たFOB FOBは輸出者側は自国の港までの責任を持てばその後の船舶輸送や輸入地での輸送は輸入者に委ねることができるので、輸出者側から見たら比較的責任負担の軽い取引条件だと言えます。 輸出者としてはリスクを避けるためには、コンテナ輸送の場合はコンテナターミナルなどの運送人の施設で責任が移転するFCA条件をFOB条件の代わりに提案するのが望ましいとされています。 輸入者側から見たFOB 輸入者にとっては特定の輸入国から頻繁に輸入しているのであれば海上運賃の値下げ交渉をフォワーダーにする事が出来るのでFOB取引のメリットがあるでしょう。 一方で輸出者のほうが大量の貨物を輸出しているようなメーカーであればFOBではなくC&F取引の方が良いでしょう。何事も取扱量が多く、慣れているほうが手配するほうがスムーズですしコストメリットもあります。 ここで取引するフォワーダーがその輸出国からの物流に強いかどうかがポイントです。上述していますが頻繁に輸入をしているのであれば選択肢も多いでしょうしスムーズな取引が出来ます。 そうでなければ他の取引条件での交渉も検討した方が良いでしょう。 まとめ 今回はFOBについて詳しく見てきました。FOB条件は輸出港に停泊する船の甲板上で責任が移転します。 輸出者、輸入者どちらの立場の場合でも見積もりや取引にあたってFOB条件について正確に理解しておくことは重要です。FOB条件での取引を考える際はそのメリットやリスクについて十分に検討した上で契約を結びましょう。

貿易条件インコタームズの EXW・Ex-Worksについて危険負担やリスク移転などを徹底解説しました。 | インコタームズ

貿易条件インコタームズの EXW・Ex-Worksについて危険負担やリスク移転などを徹底解説しました。

貿易取引においてインコタームズを正しく理解する事で売り手・買い手間におけるトラブルを出来るだけ小さくする事が出来ます。 今回はEXWに焦点を当てて、輸出側(売り手)と輸入側(買い手)のそれぞれの立場でのメリットとデメリットについて解説をしていきたいと思います。 またインコタームズにおける基本的な情報につきましてはこちらにまとめています。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/incoterms/?lang=ja" target="_blank"] EXW(Ex-Works)について動画で解説 輸出者と輸入者の立場でそれぞれのデメリットについて解説をしていますので、是非ご参照ください。 EXWとは EXW(エクスワークス、またはイーエックスワークスと読む)は、貿易の取引条件を示すインコタームズと呼ばれる略称の一つです。 日本語では工場渡し条件、または工場引き渡し条件とも言います。 EXWの特徴 インコタームズには、全部で11種類の貿易条件がありますが、EXWはその中で最も売主にとって負担が少なく、リスクが小さい条件です。 EXWにおける費用負担・危険負担の分岐点 EXWでは売主が自社の拠点である工場や倉庫などにおいて貨物を買主に引き渡した時点で、費用と危険を負担する責任が買主へと移ります。 つまり引き取りに用いるトラックの経費などの輸出国での輸送費用から、輸出通関、船・飛行機等の運賃、輸入地での輸送費用まで、その後の費用や危険は全て買主が負担することになります。 インコタームズとして定められた11規則の中で買主側が輸出国での輸送費用や、輸出通関の費用を負担する規則はEXWだけとなっています。 ただし売主も関係省庁から輸出認可を取得したり輸出通関を行う際に輸入者が必要とする情報を提供したりすることについては、売主はサポートする義務があると定められています。 輸出者側から見たEXWはどんな条件? 輸出者側から見れば商品を期日内に生産し、自社の敷地内で買主に貨物を引き渡せば後はほぼ全ての業務を買主である輸入者が行ってくれるということになります。 そうした意味では、これから海外への輸出を始めようとしている場合や、輸出先の国が初めての貿易相手国である場合などに適した貿易条件だと言えます。 輸出経験の少ない事業者様はEXW条件での取引を検討してみると良いかもしれません。 輸出者側のメリットとデメリット では輸出者側から見たEXWのメリットとデメリットについて考えてみましょう。 輸出者側のメリット 輸出者としては貨物を自社の敷地で引き渡すだけで良いので梱包費用などを除いて基本的に物流費用は発生しません。 また事故や誤配など運送の間に生じる可能性のある危険についても輸入者側が責任を負うので危険負担も少なくて済みます。 さらに、フォワーダーなどとの契約や通関などの事務手続きも輸入者側の義務となり輸入者側が指定したフォワーダーが行うので輸出に伴う業務の負担も最小限となります。 こうしたメリットをまとめると、以下のようになります。 輸出者がEXWを利用する時のメリット 輸出者のメリット ・運送などの費用負担が最も抑えられる。 ・事故などがあった時の危険負担が最も少ない。 ・通関などの貿易手続きを行う必要がない。 輸出者側のデメリット ではEXWでは輸出者にとってのデメリットはないのでしょうか? 確かにEXWは最も輸出者の負担が少ないと言われていますが、買主との関係を考えると立場的に不利になることも考えられます。 実際の取引を考えてみましょう。 EXW条件で輸入を行う場合、事業者は相手の敷地内での貨物引渡し後 全ての運送業務を自社で手配しなければなりません。 そのためには、貿易取引について熟知している必要があります。つまりEXWにおける輸入者は貿易のベテランである可能性が高いのです。 このような取引相手に対し、輸出者が価格面で良い条件を引き出すことはかなり難しいと考えられます。相手は貿易の上級者である上、運送などのリスクを引き受けてくれるのです。 比較的経験の浅い輸出者の場合、EXWではこうした理由から国内外の販売価格を利用して大きく儲けるといったことは難しくなる可能性があります。 デメリットをまとめると以下のようになります。 輸出者がEXWを利用する時のデメリット 輸出者のデメリット ・貨物受渡し以降の輸送手段などを選ぶことができない。 ・買主が多くの業務を負担するため、価格交渉において不利になることも。 輸入者側から見たEXWはどんな条件? 輸入者側から見るとEXWは貿易相手国における輸送から全て自社で手配する必要があるので、現地の取引に慣れているなど豊富な経験や知識が必要とされる条件です。 輸入者側のメリット、デメリット 今度は輸入者側からみた場合EXWにはどのようなメリットとデメリットがあるのかを考えてみましょう。 輸入者側のメリット EXWは輸入者にとって良い点もあると考えられます。 EXWでは自社で運送会社や保険会社を選択することができるので、そうした意味でもEXWが買主にとっては最も安く輸入することができる条件だと言われています。 さらに、輸送などの手間やリスクを全て自社が負担することで値下げなどの有利な条件を相手に提案する事が可能です。 輸入者がEXWを利用する時のメリット 輸入者のメリット ・商品を最も安く輸入することができる条件と言われている ・輸送や危険の負担を担う分、取引相手との交渉において有利な立場に 輸入者側のデメリット 輸入者側のデメリットはやはり輸送に伴う危険を最も幅広く負担しなければならない点でしょう。 輸出者の敷地からあらかじめ定められた国内の地点まで全てのリスクについて責任を持たなければなりません。 また輸出国での輸送や輸出通関を行わなければならない為に、取引を行っているフォワーダーがそれらの手配について得意なのか可能なのかを確認する必要もあります。 もし取引先のフォワーダーがそれらの業務を行うことが出来ない場合は、他のフォワーダーを探すかEXWの使用を避けて契約しなければなりません。 輸入者がEXWを利用する時のデメリット 輸入者のデメリット ・危険や費用の負担について、最大の範囲で責任を負う必要がある ・輸出国での通関やフォワーダーの選定などについて、高い能力が必要とされる まとめ 今回はEXWについて詳しく見てきました。輸出者・輸入者の双方の立場からEXWの条件を考えていますので自社の状況に照らし合わせてお読みいただけるとよりイメージしやすいかと思います。 EXWはインコタームズの中では最も輸出者側の負担が少ない条件ですので、これから海外へ販売展開を考えている会社などは取引相手に一度EXWでの取引を打診してみるのも良いかと思います。 また、輸入者の場合も価格を抑えたい場合はEXWで輸入を行うことができないかフォワーダーなどと相談して検討してみると良いでしょう。

インコタームズを図解!とにかく分かり易く貿易条件を解説しました。 | インコタームズ

インコタームズを図解!とにかく分かり易く貿易条件を解説しました。

貿易用語で最初の関門とは何でしょうか。私はインコタームズだと思います。CFRやEXWなど英単語3文字で表現されるインコタームズは何と11種類もあります。 でもご安心ください。ぶっちゃけフォワーダー歴8年の筆者も11種類のインコタームズを覚えていません。でも何とかなっております。 もしあなたが貿易業務を始めることになり、「まず最初にインコタームズを覚えなさい!」と先輩に言われたとしても11個全てを覚える必要はありません。 覚えるのは頻繁に貿易業務に出てくる6個だけで大丈夫です。もし他のも覚えたければこの基本の6個を理解してから拡張していくのが良いでしょう。 今回はとにかく分かり易くインコタームズについて解説していきます。 インコタームズとは? インコタームズを図解する前に、そもそもコレって何のために使うものなのかをご説明します。 インコタームズとは貿易取引において 「売り手」と「買い手」で ・誰がどこから運賃を支払うのか ・誰がどこから貨物の責任を取るのか という国際的な取り決めだとざっくり理解しましょう。この2点を取り敢えず理解すればOKです。 貿易においては様々な工程を経て貨物が届けられます。この各工程においての輸出者と輸入者の双方が、どこからどこまで責任を取るのかを決めなければ貨物トラブルがあった時に責任の所存がハッキリせず貿易取引がより複雑になってしまいます。 インコタームズを図解してみる インコタームズをマスターするコツは、覚えるのではなく理解する事です。今回は理解しやすいように6個のインコタームズを図解して説明をしていきます。 文字だけでなく図を見る事で頭にイメージが入ってき易くなるので、すぐに覚える事が出来ますよ。 EXW/イーエクス・ワークス(出荷工場渡し) 貨物を輸出先の工場から買い手に渡すのがEXWです。イーエクスワークス、またはエクスワークスとも言います。 輸送費用と貨物責任は工場で貨物をトラックやコンテナに積み込んでから、買い手に渡ります。 このように売り手からしたら、工場で商品を生産し終わり、積み込みが完了した時点で貨物責任は買い手に移るわけなので、売り手からしたらとても楽な取引と言えるでしょう。 買い手に荷物が届くまでに何か物流の問題があったとしても売り手の責任にはならないのです。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/about-exw/?lang=ja" target="_blank"] FOB/Free On Board(本船甲板渡し) FOBは輸出側で本船に乗ったら貨物の責任が買い手に渡る取引条件です。 輸出側の国内費用(トラック・通関・港の諸費用)は売り手が負担し、買い手は海上運賃から輸入にかかる諸々の費用を負担します。 EXWでは全ての運賃は買い手負担だったのですが、FOBでは現地の運賃は売り手の負担です。ですがこの運賃は売り手側によって現地の輸送業者に支払われますが、一般的には製品代金に乗っかっています。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/about-fob/?lang=ja" target="_blank"] C&F/Cost&Freight(運賃込み) C&F(CFRとも呼ばれる)では売り手側が、買い手国の港に貨物を着けるまでの費用と責任を負担する取引条件です。万が一、海上輸送中にトラブルが発生した際には買い手側の責任になります。 ※厳密に言えばC&Fではリスクは買い手に移っています。分かりやすくするためにこのように記載しております。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/about-cif/?lang=ja" target="_blank"] 買い手側が保険を掛ける事が出来る CIFでは売り手側が保険をかけるのですが、C&Fで買い手が保険を掛けるのも実は一般的です。貨物の内容によっては保険の掛け方に注意しないといけないものもありますから。 売り手側や買い手側に全てを任せるのではなく自分たちでコントロールする事が大切です。 CIF/Cost, Insurance & Freight(運賃・保険料含む) CIFは上述したC&Fに売り手側が保険(Insurance)を掛けた取引条件です。 保険の掛け方と保険料についてはこちらの記事に記載をしております。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/cargo-insurance/?lang=ja" target="_blank"] DDU/Delivered Duty Unpaid(仕向地持ち込み渡し・関税なし) DDUは売り手が買い手の指定した届け先までの運賃を責任を負担する取引条件です。ですが輸入関税や消費税は買い手の負担となります。 関税・消費税の金額は小さくありませんし、会社のキャッシュフローにも影響します。筆者の経験では次に説明するDDPより、このDDU条件の方が多い印象です。 DDP/Delivered Duty Paid(仕向地持ち込み渡し・関税含む) DDPは売り手が貨物の運賃と責任を全て負担する取引条件です。輸入関税・消費税も売り手が負担します。 輸送中に問題があっても売り手が負担するし、税金も払わなくても良いので、買い手にとっては最も楽な取引条件ですね。 とはいえ売り手が全てを負担するとは言っても、大体が製品費用に乗っかっています。この場合、売り手は運賃をそのままの金額を乗せている訳ではなくて、いくらかの利益を乗せて買い手に費用算出をしている場合があります。 買い手側としてはもしコストを出来だけ抑えたいというのであれば、手間ではありますが物流は自分たちで手配する方がよりコントロールも出来るし製品に余計な金額が付加される事はありません。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/ddu-ddp/?lang=ja" target="_blank"] まとめ インコタームズで頻繁に使われるのがこの6つとなります。全ての取引条件において売り手と買い手の同意がベースにあります。 もし始めて輸入する国という場合はFOBやC&F/CIFの方がいいかもしれません。 輸出の場合はC&F/CIFの方がおすすめです。 現地の国内の輸送費用を把握するのは取引のあるフォワーダーの得意不得意にもよります。そのフォワーダーがあまりその国から輸出入経験が少ないとなると現地側に任せる方が良い場合が多いのです。 全てケースバイケースなのですが、それぞれの取引条件の特徴を理解してスムーズな貿易取引が出来るように今回ご紹介した6つのインコタームズを覚えてみて下さい。 企業様の貿易・新人研修にお勧めの無料コンテンツ

インコタームズの基礎!最も頻度の高い6つの取引条件 – EXW / FOB / CFR / CIF / DAP /DDP | インコタームズ

インコタームズの基礎!最も頻度の高い6つの取引条件 – EXW / FOB / CFR / CIF / DAP /DDP

動画で学ぶインコタームズの基礎 今回はインコタームズ についてとにかく分かりやすく、簡単に理解できるように解説していきたいと思います。 インコタームズはCFRやFOB など英単語3文字で表現される貿易の取引条件なんですが何と11種類もあります。 11 種類のインコタームズ を覚えるのって大変ですよね。 でも安心して下さい。初心者の方はまず頻繁に使う6個だけを覚えましょう。他のものは基本の6個を覚えてからでも大丈夫です。 インコタームズとは? まず インコタームズ とは何でしょうか?これを理解しないといけません。 インコタームズ とは貿易取引において「売り手」と「買い手」で誰がどこからどこまでの「運賃を支払うのか」、「貨物の責任を取るのか」この2点を明確にした取り決めだと理解してください。 国際貿易においては様々な工程を経て貨物が輸送されます。 この各工程においてのお金の支払いの範囲や、貨物の引き渡しのタイミングは、インコタームズによって取り決められているのです。 もし貨物トラブルがあった時に、誰がどこからどこまでの責任を取るのかが明確でないと、他国との貿易取引が難しくなります。 その為には国際的なルールに基づいて、売り手と買い手が取引をしなければいけません。 6つの主要インコタームズ 今回ご説明するのは、貿易取引で頻繁に使われる6個のインコタームズです。 ・EXW ・FOB ・CFR ・CIF ・DAP ・DDP この6個です。 それでは1つずつ解説していきましょう。 Ex-Works(EXW) まず最初はEXWです。 EXWは エクスワークスとも呼ばれ、日本語では「出荷工場渡し」という意味です。 輸出先の工場で売り手から書いてに貨物が引き渡されます。輸送費用の支払いも、工場から送り先まで、買い手である輸入者が支払う事になります。 工場で生産し終わった貨物をコンテナに積み込み完了した時点で、貨物の責任は買い手移ります。なので売り手からしたらもっとも楽な取引条件と言えるでしょう。 FOB (Free on Board) 次にFOBです。 FOBはフリーオンボードの略で日本語では「本船甲板渡し」という意味です。 FOBでは輸出側で貨物が船に乗ってから、貨物の責任が売り手から買い手に渡る取引条件になります。輸出側の国内費用は売り手が負担します。 そして買い手は海上運賃から、貨物を輸入して配送先までにかかる諸々の費用を負担する取引条件です。 CFR (Cost and Freight) 次にCFRです。CFRはかねてより、Cost & Freight(C&F)と呼ばれておりましたが、CFRが正しい表現になります。 CFRでは、運賃は売り手が工場から輸入先の港につけるまで全ての費用負担します。 そして輸入した港から配送先の費用は輸入者が負担することになります。 CFRの貨物の責任の移動について説明する前に、CIFについても説明をしておきましょう。 CIFは先程のCFRと同じで、輸出する工場から、輸入先の港につけるまでの全ての費用を売り手が負担します。 CFRとCIFの違いは保険です。CIFのIはInsuranceのIの事です。売り手は輸送における貨物保険も手配しなければいけません。 ここでCFRとCIFの費用と貨物の責任について説明します。CFRとCIFの費用負担は輸出者が工場から貨物の輸入先までの費用を負担します。 しかし貨物の責任・引き渡しについてはFOBと同じで輸出国の港で、船の甲板に貨物が乗った時点で輸入者に移ることになります。 ここは間違いやすいので注意しましょう。 保険についても少しお話をしておきましょう。国際輸送においてはコンテナに乗った貨物がクレーンにつられ、船で揺られ、長い航海を経て輸入先まで届けられます。 またコンテナ船では、他のコンテナで危険品も運ばれています。危険品が燃えて他のコンテナに火が燃え移るという話は稀に聞きます。 貨物保険に入っていないと残念ですが誰も保証をしてくれません。 保険に入っておく事で安心感が全く違います。本当に何が起こるか分からないのが国際物流です。 私たちとしてはお客様には毎回貨物保険に入る事を強くお勧めしています。 DAP(Delivery At Place) それではインコタームズに戻りましょう。 5つ目はDAPです。 DAPは「売り手」が、買い手の指定した届け先までの運賃と責任を負担する取引条件です。 いわゆるDoor to Doorでの取引条件の事です。 Delivery Duty Paid 合わせてDDPも見てみましょう。 DDPもDAPと同様で「売り手」が輸出する工場から輸入先の指定された届け先までの物流を手配します。 貨物の責任や輸送費用も指定先へ届けられるまで、輸出者である「売り手」にあるのが特徴です。 DAPとDDPの違いは、輸入する時の税金の支払いを輸出者か輸入者のどちらで払うかの違いになります。 DAPでは輸入の関税・消費税は輸入者が支払います。 一方でDDPでは輸入の関税・消費税も輸出者である売り手が支払います。 DDPでは税金を含めた輸送の全ての手配と費用を売り手が対応してくれるのです。 コスト負担と費用負担について おさらい ここで、インコタームズの費用と責任についておさらいをしてみましょう。 EXWでは輸入者が工場から貨物をピックアップして配送先までの全ての輸送費用と責任を負担する取引条件でした。 FOBでは輸出者が港で船に乗せるまでの国内費用と責任を負担し、そして輸入者が海上運賃を含めた輸入地までの全ての費用と責任を負担します。 そしてCFRとCIFでは、輸出者は輸入先の港までの全ての費用を負担します。輸入者は輸入してから届け先までの国内の費用を負担します。 そして注意すべきは貨物の責任の切り替わり場所です。これはFOBと同じで輸出側の港の船の甲板で売り手から買い手に引き渡される事になります。 最後にDAPとDDPでは輸出者が届け先までの全ての輸送費用を負担しました。DAPは税金は輸入者が負担しますが、DDPでは税金も輸出者が負担します。 費用負担に関して一覧にするとこのようになります。 そして貨物の責任負担に関して一覧するとこのようになります。 まとめ いかがでしたでしょうか。インコタームズで頻繁に使われるのがこの6つとなります。 全ての取引条件において売り手と買い手のお互いの同意がベースにあります。 もしあなたがメーカーや商社だとしたらどの取引条件が自社の物流にとってメリットがあるのか。貿易条件の内容をしっかりと理解して相手に提案をしましょう。 もしあなたがフォワーダーだとしたら今回説明した貿易条件をしっかりと理解して、あなたのお客様に提案が出来るようになりましょう。 一度理解してしまえばそれほど難しいことではありません。頑張ってください。 ・TwitterでDMを送る https://twitter.com/iino_saan ・LinkedInでメッセージを送る https://www.linkedin.com/in/shinya-iino/ お問い合わせは「ツイッター」と「LinkedIn」のみで承っております。