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貿易実務の基本

水素燃料のバージ船、欧州でデビュー! | 貿易実務の基本

水素燃料のバージ船、欧州でデビュー!

どうもこんにちは、飯野です。 本日はJOCの記事より、「水素燃料のバージ船、欧州の内航船輸送でデビュー」についてお話していきたいと思います。 2023年6月2日イーノさんの物流ラジオ 水素燃料のバージ船、公開 ロッテルダムで初の水素エンジン搭載のゼロエミッション内航船が就航し、ハブ港と内陸部のターミナルを結ぶ運航を開始しました。 ゼロエミッション船会社のFuture Proof Shipping(FPS)は、今週初めにベルギーにあるナイキの欧州物流キャンパスでこの船を公開した後にゼロエミッション船のH2 Barge 1を就航しました。 ナイキの契約 ナイキは、ゼロエミッション輸送への取り組みを加速させることを目的とし、この水素バージ船をチャーター契約しています。 同社のヨーロッパ、中東、アフリカ地域のオペレーション & ロジスティクスのvice presidentは「H2 Barge 1は、当社が物流と輸送の分野で持続可能な進歩に投資している重要な例である」と述べています。 水素燃料バージ船について このバージ船のコンテナ容量は明らかにされていませんが、FPS社は、ロッテルダムとBCTN社の内陸ターミナル間を「週に数回」航行することにより、年間2,000トンのCO2を削減することができると主張しています。 FPSのCEOは、水素で動くバージ船は「海運の未来にとって極めて重要である」と述べています。 水素燃料 水素は、エネルギー密度が従来の船舶用燃料の半分であるため、貯蔵タンクを大きくしなければならず、貨物の積載量が減ってしまうため、長距離航路では現在のところ実現不可能です。 しかし、小型の船舶で短時間の航海をする場合には有効です。 SDGsへの意識 先日、大手の外資フォワーダーのグローバルアカウントの方とお話をさせて頂き、今、日本の大手荷主で意識されていることは、SDGsとのことでした。 大手企業は値段も重要視しますが、環境に対しても何かしらの対応をしないといけません。 特にヨーロッパ向けの場合、カーボンプライシングといった、炭素税やEU-ETSでCO2の排出量取引もあり、脱炭素の取り組みが重要なマーケットとなっています。 代替燃料候補 今回の記事では水素エンジンのバージ船が登場しました。まだまだ水素燃料の実現というのは、技術的に開発中です。 一方、アンモニア燃料は水素より早く市場に入ってく可能性があります。 アンモニアは既に肥料用途で輸送・貯蔵の実績があり、エンジン開発が進められています。 このような脱炭素エネルギーの中で、開発が早いのがメタノールやLNGです。 今日の海事新聞でも、メタノールがカーボンニュートラルに向けて即導入可能な燃料だと報じられていました。 メタノールは従来の重油に比べて10-15%ほどのCO2削減が可能で、マースクはメタノール船を多く発注しています。 よって、SDGsを気にする大手荷主が脱炭素という点でマースクを積極的に選ぶ可能性は高いでしょう。 とはいえ、技術はどんどん進んでいるので、今回の水素バージ船デビューのように水素コンテナ船やアンモニアコンテナ船の実現が近づいてきているのかもしれません。

北米の1-3月期、堅調な需要!第2四半期は挑戦的な貨物量予想。港湾厳しい状況。 | 貿易実務の基本

北米の1-3月期、堅調な需要!第2四半期は挑戦的な貨物量予想。港湾厳しい状況。

どうもこんにちは、飯野です。 本日はjoc.comの記事から、「第1四半期の米国でのアジアからの輸入は、消費者需要の減速を示していない」についてお話していきたいと思います。 2022年4月26日イーノさんの物流ラジオ 第1四半期のアジアからの輸入 第1四半期における米国のアジアからの輸入の伸びは、インフレ上昇の警告や、サービス支出への回帰がまだ具体化していないにもかかわらず、消費者需要が引き続き堅調であると記事は報じています。 データでは、2022年1~3月の第一四半期の総輸入量は、すでに記録を更新した昨年の第1四半期から2.7%増加し、162万TEUとなりました。 記録を更新した去年よりもまだ伸びています。 東海岸の市場シェア増加 またこのデータでは、現在ではアジアからの輸入で東海岸とメキシコ湾岸の市場シェアが増加し、それに伴い西海岸の市場シェアが減少しています。 これは今年、西岸港湾では、ILWU(西岸港湾労働組合)とPMA(太平洋海事協会)の間で労働協約の交渉があるため、小売業者が輸入の一部を西海岸から東海外へシフトしているためです。 そして、2022年3月のアジアからの米国輸入は、前月2月から4%増加し、3月も伸び続けています。 ターミナルは今後も苦戦を強いられるだろうとのことです。 第2四半期は挑戦的な貨物量 全米小売協会は、今年の第2四半期(4月〜6月)の輸入量が、前年比で増加、または横ばいとなった場合、米国の港は港湾関連のサプライチェーンに対して挑戦的な貨物量と争うことになると予測しています。 第二四半期での厳しい状況を懸念しています。 全米小売協会が発行する Global Port Tracker の、4月7日のレポートで「港湾は 1 年前ほど圧倒されてはいないが、記録的な量の貨物のハンドリングに著しく忙殺されている」とあります。 去年に比べて港湾の状況はマシになったとはいえ、まだまだ忙しいようです。 インフレとエネルギー価格高騰 北米西岸港湾では1年前はアジアからの輸送で過去最高のコンテナ取扱量でした。 現在、輸入の伸びは緩やかになっていますが、米国の港湾は、アジアからの輸入量の新たな上昇基調に適応しなければいけません。 今年のアジアからの第1四半期の輸入量は、米国ではパンデミック前の2019年の第1四半期と比較して、31.1%増加しています。コロナ前より輸入量が多くなっており、今年の第一四半期では需要は落ちていないどころか、伸びています。 ウクライナ侵攻が2月末から始まり、2022年1月から原油価格は上がり続けています。 北米のインフレとエネルギー価格の高騰で、どれだけ需要が抑えられるかがポイントです。 記事にもあったように第二四半期が、横ばいでも、1−3月期で需要が伸びているため、北米の港湾は厳しい状況になりそうです。 引き続きマーケットを見ていきたいと思います。

CMA-CGM、GEFCOを買収。事業売り上げ2兆円へ!トータルロジスティクスを強化! | 貿易実務の基本

CMA-CGM、GEFCOを買収。事業売り上げ2兆円へ!トータルロジスティクスを強化!

どうもこんにちは、飯野です。 本日は、海事新聞のニュースから、「CMA-CGM、欧州最大手の完成車物流のGEFCO買収。ロジスティクス大幅強化」についてお話していきたいと思います。 2022年4月12日イーノさんの物流ラジオ CMA-CGM、GEFCO買収 GEFCOの株主構成は、ロシア国営のロシア鉄道が75%、仏自動車メーカー大手のステランティスが約25%出資しています。 これをCMA-CGMがほぼ100%株式を取得とのことです。 非海運部門の強化 CMA-CGMは昨年末から、米情報機器販売大手のイングラム・マイクロの物流部門(CLS)や仏宅配業者のコリプリヴェなどの買収を発表しています。 2021年初には航空貨物部門を立ち上げるなど、非海運部門の強化を進めてきました。 ウクライナ侵攻の影響 現在、欧米諸国や日本などがロシアへの経済制裁を強めているため、産業界でもロシア資本との関係を断とうという動きが加速しています。 ウクライナ侵攻と同じタイミングで、GEFCOは株主構成が原因で事業が困難になっており、先月から経営陣による株式買い取りなどを検討してきたとのことです。 GEFCOについて GEFCOは、もともとはフランスの会社で、プジョーのブランドで有名なPSAグループであり、PSAが資金流動性を確保するために2012年にロシア鉄道に株式75%を売却しました。 2021年にPSAがフィアット・クライスラーと合併し、ステランティスになり、GEFCOの株式を25%保有している形になっています。 CMA-CGMによる買収が完了すれば、GEFCOは10年ぶりに仏資本に戻ります。 GEFCOの業績 通常、買収には関係各国当局の承認が必要ですが、今回は特別な手続きにより、欧州委員会が買収を即時に承認したとのことです。 GEFCOは、世界47カ国・地域に拠点を置き、従業員数は約1万1,500人の企業です。 直近の通年業績(2020年)は、売上高が前年比20%減の38億500万ユーロ(約5,150億円)でした。2020年上半期は、世界的な自動車減産があり、これが大きく響いたようです。 2020年は、完成車物流(FVL)が21%減、陸送・コントラクトロジスティクス(CL)が20%減、産業サービスが38%減、などいろんな部門での売り上げが下がっていました。 CMA-CGM、規模大幅拡大 CMA-CGMの2021年ロジスティクス事業売上高は109億ドル(約1兆3,500億円)でした。 今回、GEFCOを加えると、CMA-CGMのロジスティクス事業は単純合算で2兆円規模まで拡大すると記事は締めくくっています。 CMA-CGMはマースクと同じでロジスティクスを強化しており、一方でMSCやONEは海運にフォーカスしています。 この戦略の違いが今後、どのようになってゆくのか注目です。 これからの時代の流れは? 個人的にはテクノロジーを用いてトータルロジスティクスに攻める方がリスクは少なく、これからの時代にあっている気がします。 世の中がどのようになったとしても物流自体は無くなりませんし、コロナ前のような海上運賃には戻らないと思います。 海上運賃下がった時が海運だけにフォーカスしていると、リスクが高いような気もします。 まだ正解はわからず、海運に携わる人間として、この先がどのように時代が流れていくのか楽しみです。 情報を常にアップデートしていきます。

2022年1月物流ニュース | 貿易実務の基本

2022年1月物流ニュース

この記事を動画で見る どうもこんにちは、飯野です。 今回は2022年1月の物流ニュースをお届けします。北米・中国、海上運賃の動向、コロナ、物流テクノロジーなど、物流業界の新しい情報をお届けします。 それではいってみましょう! コロナ・オミクロン株、LA・LB港で拡大、港湾労働者が大量欠勤 1月上旬、ロサンゼルス港とロングビーチ港で、コロナ関連の理由で約800人の港湾労働者が欠勤。これは1日の労働者のおよそ10人に1人の割合にあたります。 今回の港湾における欠勤者の中には、 ・ウイルス検査で陽性となった人 ・検査結果を待つために隔離されている人 ・体調が優れない人 などが含まれています。 作業員不足により生産性低下 LA港とLB港では、輸入品が殺到しており、11月下旬に港の沖で待機している船は100隻に上り、元旦には過去最高の106隻に達しました。 LA港のターミナルの担当者は「クリスマスと年末年始に始まった作業員不足が更に拡大し、ターミナルの生産性が約20%低下した」と述べています。 中国寧波でコロナクラスター、厳しい車両制限も 寧波で新型コロナウイルス感染者が相次いで確認されています。 船社関係者によると、本船荷役など港のオペレーションは通常稼働しているとのことですが、トラックやドレーなどの車両制限が継続しているようです。 そのため、トラックドライバーは港に入るための通行許可書の申請が必要となり、許可書があっても隔離要請があるケースもあるようです。 中国のゼロ・コロナ政策 中国のゼロコロナ政策は現在とても厳しく、西安では感染者1,300人程の発生でロックダウンされました。 北京オリンピックを前にし、中国政府のコロナを絶対に広げないという厳しい国策が取られ、サプライチェーンにも影響が現れています。 コンテナ運賃、最高値 更新続く 2021年末から2022年1月中旬にかけて、アジア発北米向けのコンテナ運賃上昇が続いています。 上海航運交易所(SSE)がまとめた2021年12月31日付の上海発北米西岸向けスポット運賃は、40フィートコンテナ当たり7,681ドルとなり、5週連続で最高値を更新。 1カ月で1,000ドル近くも上昇し、北米東岸向けや北欧州・地中海向けなど欧米諸国向けはいずれも大きく上昇するなど、全面高となっています。 旧正月前に上昇に足踏み しかし、1月下旬になると運賃上昇に足踏みがありました。1月31日から始まる中国の旧正月、そして大幅な本船遅延、中国のゼロコロナ政策によるトラックドライバーへの厳しい規制。 北京オリンピック前という時期でもあり、市場は若干の落ち着きを見せていますが、ここから先の動向はまだまだ不透明です。 米国 Infor、コンテナ船遅延 2023年までと予測 アメリカのクラウド、ソフトウェアの大手Inforは2022年のサプライチェーンに関する予測やトレンドをまとめたリポートを発表し、港湾混雑やコンテナ船の遅延問題は2023年まで続くと予測しました。 コンテナ船遅延の問題と課題 同社によると、北米・北欧州の主要港湾の混雑や遅延はグローバルなサプライチェーンネットワークの問題によるもの。港湾の労働力やトラック運転手の労働力、倉庫からの荷降ろしの労働力、空コンテナとコンテナ用シャーシの利用に関して課題があるとのこと。 これらの課題と「歴史上最も高い消費者需要」による、アジアからの出荷量増加が互いに作用し合うだろうと見通しています。 またInforは2022年以降も海上・航空貨物輸送コストの上昇を挙げています。 これは現在の混雑と輸送能力の制約が落ち着いても変わらず、荷主は貨物輸送能力を確保するため、NVOCCと3PL事業者の利用を拡大すると予測しています。 KN、世界主要9港で混雑指標を提供 国際物流大手キューネ・アンド・ナーゲル(KN)は、世界の港湾の混雑度を示す新たな指標「ディスラプションインジケーター」の提供を始めたと発表しました。 指標の対象となる港は カナダのプリンスルパート、バンクーバー 北米のシアトル、オークランド、ロサンゼルス・ロングビーチ、ニューヨーク、サバンナ 香港地区、上海・寧波地区 オランダのロッテルダム ベルギーのアントワープ地区の各港となります。 混雑度の可視化 この指標により、世界のコンテナ輸送網の混雑度を測り、サプライチェーンのボトルネックが可視化されます。 利用者は指標を分析・活用し、自社のサプライチェーンへの影響を予測し、最適なアクションに生かすことが出来ます。 MSCがコンテナ船ランキング首位に、29年ぶりの首位交代 スイスの船社MSCが、これまで首位だったデンマークのMaerskを抜いて、創業以来初のコンテナ船社首位となりました。 アルファライナーの1月6日付コンテナ船社運航規模ランキングによると MSC:645隻、428万4,728TEU
 Maersk:738隻、428万2,840TEU MSCが2,000TEU弱をわずかに上回り、29年ぶりの首位交代です。 2021年1月1日時点での規模は、Maerskが413万TEU、MSCが385万TEUでした。MSCは2021年通年で規模を11%拡大したと報じられています。 解説コーナー それでは2022年1月のニュースの解説コーナーです。 昨今ではコロナウィルスのオミクロン株が世界中で猛威を奮っていますよね。特に北米では1日100万人を超える感染者となるほど、今回ご紹介したように物流のマンパワーにも影響があります。 コロナの影響 北米では港の港湾労働者がコロナに感染したり、感染の疑いがある人が増えたりで、滞留する貨物の荷役に必要な人員が足りていません。 1月31日から始まる中国の旧正月期間中と少し後は、中国から北米に来る本船が減少します。この期間にマンパワー不足だとしても、どれだけ物流の目詰まりを解消できるかがポイントになります。 また中国においてもここ数週間に、デルタ株とオミクロン株の両変異株が中国全体で流行しています。 寧波港の周辺ではガスの流通や衣料品工場の操業が停止。西安市のロックダウンでコンピューター用半導体製造に混乱が生じているほか、安陽市でも11日に市全体が封鎖されました。 2月4日から始まる北京オリンピックに向けて中国のゼロコロナ政策の手が緩むとは思えません。 サプライチェーンの乱れだけでなく、世界の工場としての供給面でも注目が必要かと思います。 海上運賃の動向 このようにコロナが大きく影響する中、海上運賃の動向が読み辛くなっています。 1月中旬までは上昇をし続けていた中国発北米向けの海上運賃は旧正月前には足踏みをし始めました。通常であれば旧正月後は運賃は落ち着いていきますが、先ほどご説明したようにコロナが影響してどのような動きになるのかが全く分かりません。 しかし、この物流の混乱は2022年中は続くと予想されています。 Inforの市場予測 アメリカのソフトウェア大手会社のInforはIT会社ならではの視点から市場を予測しています。 印象的だったのは荷主はNVOCCや3PLに より依存をするというポイント。一般的には大手荷主は船会社に直接Bookingをする傾向があります。 しかし、Inforはトータル物流に注目をしており、既にある程度の開発・改善がすすんだラストワンマイルではなく、まだまだ改善の余地があるファーストマイルへの改革を提唱しています。 KN、港の混雑の可視化 そしてキューネ・アンド・ナーゲル。大手の国際物流会社としてSaaS(Software as a Service)に力を入れています。 キューネはオンラインで見積もり・Booking・追跡が出来るサービスを展開しており、今回は港の混雑を可視化するサービスを始めました。 コンテナ船社ランキングに変化 またコンテナ船社のランキングの変更にも注目です。MSCはコンテナ船を増やす一方で、MaerskはEC物流や3PLに積極的に投資をしています。 InforがNVOCCや3PLの重要性を挙げたように、私個人的には国際物流は「スケールだけ」を追う時代ではもうないような気がしています。 IT技術が倉庫・トラック・通関・船・飛行機・税関などの各物流プロセスの仕切りを無くし、全てがシームレスに繋がる時代になっていくと思います。 まとめ コロナの問題をきっかけに物流のIT化・DX化に注目が集まり、物流業界においてはこれまで古くアナログだった時代から、新しい時代への変革期を迎えています。 ここで大切なのは情報収集をして、自分で考え、行動することです。今回の内容がお役に立てましたら幸いです。 そして、チャンネル登録やいいね!SNSでもシェアをして頂けると、これからも更新していくモチベーションに繋がりますので、何卒よろしくお願いします。 今回は以上になります!ありがとうございました! ・Twitter で DM を送る https://twitter.com/iino_saan ・LinkedIn でメッセージを送る https://www.linkedin.com/in/shinya-iino/ お問い合わせは「ツイッター」と「LinkedIn」のみで承っております。

アジアでも混雑発生!現在の海上輸送 本船遅延について状況を説明します。 | 貿易実務の基本

アジアでも混雑発生!現在の海上輸送 本船遅延について状況を説明します。

どうもこんにちは、飯野です。 今日は、実務のお話になりますが、昨今の本船遅延について話をしていきたいと思います。 2021年12月2日イーノさんの物流ラジオ アジア各港でも混雑発生 貿易・国際物流に携わっている人なら実感していると思いますが、現在、ほとんどの船がスケジュール通りに運行をせず、遅れています。 先日お客さんに「遅れがひどいので他のフォワーダーさんを使います」と言われました。けれど正直、どのフォワーダー使っても同じだと思います。 北米西岸の混雑はこれまでも説明しているとおり混雑が続いていますが、アジアの各港でも混雑が発生しています。 上海、釜山、シンガポールなどで、1日〜3日くらいの沖まちがあり、その沖待ちによって、積み下ろしが遅れている状態です。 抜港による更なる混乱 そういった沖待ちが発生している港を航路に含んでいるサービスでは、1つの港で沖まちがあるだけで遅れが確定してしまいます。 そうなると、船会社はスケジュールを元に戻す為に抜港をします。抜港された港で積む予定だった場合は、積み込みができず、またそれで混乱していってしまいます。 予約とスペース 今は、直前のBookingではスペースが取れないので、船の予約は数週間前に決まります。遅れない船を選ぶのは極めて難しい、というより無理だと思います。 各船の本船の動向は分かりますが、船会社がBooking状況を開示していないため、Booking状況も含めて確認することはできません。 また、スペース状況が分からないので、遅れを考慮して船会社を選んでBookingもできません。例えば、ある船が遅れてないと分かっても、Bookingできるのが1ヶ月後となってしまいます。 特定の船会社は遅れがあってその分運賃が安い場合、または別の遅れの少ない船会社の運賃が高い場合があります。 どっちを選びますか?という状況です。 コントロールできない中での対応 港の混雑は船会社の問題というわけではなく、コントロールできない問題です。 例えば、弊社のサービスが悪ければ、改善の努力をしますが、コントロールできないところを言われても、どうしょうもないのが現状です。とはいえ、お客さんにもお客さんの都合があるのは理解できます。 現状の中でどのような選択をするのかという話になると思いますので、現状をお伝えする必要があると思った次第です。 このようなマーケット状況ですので何卒ご理解ください、というお話でした。

2021年 北米の年末商戦が加熱!サプライチェーンの人件費高騰、ロボット導入へ。 | 貿易実務の基本

2021年 北米の年末商戦が加熱!サプライチェーンの人件費高騰、ロボット導入へ。

どうもこんにちは飯野です。 本日は「北米の倉庫、サプライチェーンで人件費が高騰、ロボットの導入実施」というテーマでお話をしていきたいと思います。 北米のコロナからの経済回復に伴い、今年の年末のクリスマス商戦が加熱することが見込まれています。 今年は実店舗だけでなくオンラインショッピングでの需要も高く、これらのサプライチェーンに対応する人件費の高騰が各企業を悩ませています。 2021年9月30日 イーノさんの物流ラジオ 倉庫作業員の人件費の高騰 北米の倉庫労働者の賃金は、ここ数年 時給13ドル〜15ドルの間で推移していました。しかし現在では時給19ドルにまで跳ね上がっているのです。 大手企業の倉庫作業員の時給例: ・アマゾン:22ドル(初任給) ・ウォルマート:20.37ドル(平均時給) 更に上記の会社では従業員の契約時にボーナスや、大学の学費補助などの条件を提示して、来るホリデーシーズンに向けて何十万人もの労働者を確保しようとしています。 採用コストも高騰している 人件費だけでなく、企業側の採用コストも上がっています。ある物流会社では人材採用の為に広告をSNS、ビルボード、就職フェアなどに使い、なんと2倍ものコストがかかったとのことです。 そしてフェデックスは2021年6−8月期に7%の減益を出したというニュースがありました。売上は上がっている一方で、利益が減ったのは年末の配送量増加に対応する為の、人材確保が大きく影響しているからです。 同社では直近の四半期に4億5,000万ドルのコストを追加し、年末の配送量増加に向けて9万人の雇用を目指しているとのことです。 ロボットを導入し今後のSCM(Supply Chain Management)は変わっていく このように高まる人件費に対応して各サプライチェーンの企業では倉庫のロボットを導入しています。DHLもその一社で数百台の作業ロボットを追加しました。 このサプライチェーンをサポートするロボットの需要は今後も上昇していくと個人的には思います。 これはアメリカだけの話ではありません。倉庫ロボットの出来る仕事内容も更に増えていき、サプライチェーンにおいて今回のような人材確保問題が減少していくことになるでしょう。

【フォワーダー2.0】デジタルフォワーダーの時代、 中小企業の今後の戦い方 | 貿易実務の基本

【フォワーダー2.0】デジタルフォワーダーの時代、 中小企業の今後の戦い方

どうもこんにちは飯野です。 今回は、デジタルフォワーダーについて私の考察も含めて解説をしていきたいと思います。 デジタルフォワーダーとは まず、デジタルフォワーダーという言葉に馴染みのない方へ説明したいと思います。 デジタルフォワーダーとは、独自のITプラットフォーム(PF)を使い、見積もりの即時提出、荷主からのBooking、貨物のトラッキングを一元管理しているフォワーダーのことです。 欧米ではアメリカのFlexport, ドイツのsennder、日本ではShippioという会社が有名です。 従来のフォワーダーとの違い まず従来のフォワーダーとデジタルフォワーダーとの違いを見てみましょう。 従来のフォワーダー ・見積もり:都度確認、メールや見積書にて提出 ・Booking:メールでBookingを受付 ・トラッキング:営業やカスタマーサービスが調べて連絡 デジタルフォワーダー ・見積もり:PFで表示 ・Booking:PFで受付 ・トラッキング:PFで表示 ここから分かるように、デジタルフォワーダーは情報をプラットフォーム(PF)で一元管理し、簡単に必要な情報にアクセス出来るようになっています。 見積もり、Booking、トラッキングは現時点での主要な機能ですが、今後は更にサービスが広がっていくと思います。 今後予想されるサービス 一部、私の勝手な未来予測を含んでいますが、これからの機能は以下のものが考えられます。 ・B/Lの間違いチェック*S.I、INV、PKLからAIで間違い探し ・eB/L(制度改正が必要) ・本船の残りスペースの表示 ・各港の混雑状況の表示(沖待ち日数) ・写真をアップロードし、HS Codeの表示 ・HS Codeを入力して必要書類(他法令)の表示 ・HS Codeを入力して配送可能(主にDG)か事前確認 ・輸入関税・消費税金額の自動算出 ・Arrival Noticeの電子送付 ・D/OのQRコード化 ・輸入申告のオンタイム状況の表示 ・フリータイム切れまでのカウントダウン ・デマレージ費用のオンタイム表示 ・配送先の住所を入力してトラック費用の算出 AIやブロックチェーンなどの技術を使えば、技術的には全て可能な内容だと思います。 なぜ物流業界でデジタル化が進まなかったのか? 物流のお仕事に従事されている方なら、上記のような便利なツールや機能があったらいいと思いますよね。 では、なぜ他の業種では既に使われている技術なのに、物流業界ではデジタル化が進まなかったのでしょうか。 これには以下の2つの主要な問題があります。 ・物流業界の人たちの考えが古い(コンサバ) ・業務プロセスが多く、関係各社が分かれている 前者のコンサバは時間が解決してくれると信じていますが、後者の業務プロセスが関係各社に分かれている問題が厄介です。 フォワーダー、特に弊社のような中小企業は、基本的にはアセット(自社の設備)を持たないケースが多いです。 なので、船・飛行機を含め、通関、トラック、倉庫などを複数の業者に外注しているのが現実です。 現在ではそれぞれの業者・会社が自社のシステムを導入しています。システムがないと膨大な物流手配の情報は取り扱えないのですが、このシステムが足枷となっているんです。 1件の輸送をする為に、関係各社のシステムが違うので、フォワーダーのプラットフォームと各社のシステムとの連携が技術的、権利的に難しいんですね。 特に後者のシステムの権利に関する問題が大変だと思ってます。 システム業者からしたら、「なんでそんなプラットフォームと連携しないといけないの?」となりますよね。既存のシステムと簡易的に繋げられる技術が必要だと思います。 現存のデジタルフォワーダーの管理方法 このように各社のシステムが違うのに、現存のデジタルフォワーダーはプラットフォームをどのように一元管理をしているのでしょうか? 最先端のプラットフォームを作っている会社の場合は、上手くシステム化・仕組み化されていると思います。しかし、表向きはIT開発をしているけれども、結局 運用自体は人がやる仕組みになっている場合もあります。 現在、船会社はBookingを各自社Webサイトで受け付けていて、トラック会社はメール(またはFAX)でのBooking受付けているケースが殆どです。 なので 1. フォワーダーのプラットフォームでBookingを受ける 2. それを自動で各船会社・航空会社のWebサイトへBookingする 3. また自動でトラック会社へメールでBookingする このようなシステムは技術的には出来なくないとは思いますが、少額投資しか出来ない会社の場合は、結局はマンパワーでBookingやキャンセル手配をすることになってしまいます。 私自身が大手フォワーダーの内部にいるわけではないので勝手な想像になってしまいますが、最近プラットフォームを開発した 日通や郵船ロジスティクスなどでは、トップが「デジタル化するぞ!」と言ったら、関連会社のシステムも合わせられるのかもしれません。 大手は自社でアセットも持っているので、それに合わせたプラットフォームも開発がしやすいと思います。 そういう意味で、大手企業ほどコンサバな印象が強いですが、やるときはパワーを使って変えられるのが強みです。 デジタルフォワーダーが一般化したら中小企業はどうなる? そしてデジタルフォワーダーというスタートアップが出て来て、いきなり市場が取れる程 この国際物流業界は甘くありません。 確かにプラットフォームは便利ですし、これからトレンドがきて、今後は一般化していくと思います。 しかし貨物を海外に運ぶというフォワーダーの仕事においての前提条件は、貨物を運べるスペースをしっかりと持っていることです。 取り扱いスペースがなければ、見積もり・Booking・トラッキングをいくら便利にしても、そもそも運べないですから。 現在はコロナによるコンテナ不足、本船のスペース不足により、海上運賃が過去最高に高騰しています。特にアジアからアメリカやヨーロッパ向けなどは、貨物を送りたくても送れない状況が続いています。 このコンテナ不足、スペース不足が解消するのは、現状からすると来年まで続くという見方が強まって来ました。 また2022年7月1日にアメリカ西海岸の労働組合の労働協約が失効します。これにより北米西海岸で物流が滞り、コンテナの目詰まりが発生するでしょう。 このように大きく乱れている海運市況やデジタル化が進む中で、中小フォワーダーはこれからどのなっていくのか。 従来のアナログで海上輸送・航空輸送”のみ”を対応するフォワーダー1.0は、デジタル化が進んでいけば淘汰されると思います。 すぐにではないでしょうが、全ての大手フォワーダーがデジタル化を完了させて攻め込んでくると中小のアナログフォワーダーは勝てません。 テクノロジー化が進むにつれてコストは下がります。更に大手は強い購買力でスペースが取れますし、物流管理をデジタル化することで人件費も下げられます。 このような話を聞くと、自社でシステム開発をしなければいけない!莫大なコストがかかる!と心配になる方もいるかもしれません。 ご安心ください。フォワーダー用のプラットフォームを開発してくれる会社もあり、今後はサブスク(月額課金)でプラットフォームを使わせてくれる会社も増えてくるのではないかと個人的に考えています。 デジタル化した物流業界での生き残り デジタル化が進むことで簡単に価格が比較できるようになり、そこで選ばれるのが最も安く貨物を運んでくれる会社となるでしょう。 または適度な価格でワンストップ・サービスしてくれる会社です。 ここが重要です。国際物流は海上・航空輸送だけではありません。その前後の陸送、通関、梱包など、また貨物によって運び方も変える必要があったりします。 しかしトータルロジスティクス(ワンストップ)だけでは生き残ることはできません。大手企業ももちろんトータルでサービスを提供してきます。 ここでポイントになってくるのが 海外の支店・代理店の存在です。 国際物流は2国間で貨物輸送手配をします。大手企業は海外に自社の支店を持っていることが多いですが、それが足枷になるケースもあります。 海外に支店があることと、海外の支店のサービスが良いことは全く別の話です。 これは大手フォワーダーに勤めていた人から聞いた話ですが、海外の支店のサービスが悪かろうと、そこを使わなければいけない縛りがあるそうです。 中小フォワーダーの場合は各地に支店がなく、ローカルのフォワーダーと代理店契約をしている場合がほとんどです。 なので、そのなかで良い代理店を選べるというのが逆に強みだったりします。 やっとこの国際物流業界でも空気が変わって来ました。技術的には出来そうなのに 構造上の問題でなかなか進まなかったデジタル化。 これがDXというトレンドワードによって、このコンサバ業界が動き始めたのです。 ここで変われない会社は中長期的に間違いなく淘汰されるでしょう。 弊社グループもまだ変われていないので、個人的にこのまま行くとヤバいと感じていますが、大切なのは変わろうとする意思と行動です。 もしデジタル化に時間がかかったとしても、中小フォワーダーと関連業者による強い連携があれば生き残れると思います。 もしタイの物流に関して弊社と協力可能な会社様がいらっしゃれば、お問い合わせ頂けますと嬉しいです。 今回の内容は以上になります。また次の動画でお会いしましょう。ありがとうございました! ・Twitter で DM を送る https://twitter.com/iino_saan ・LinkedIn でメッセージを送る https://www.linkedin.com/in/shinya-iino/ お問い合わせは「ツイッター」と「LinkedIn」のみで承っております。

2020年 最新の世界の港湾コンテナ取扱量ランキング! | 貿易実務の基本

2020年 最新の世界の港湾コンテナ取扱量ランキング!

この記事を動画で見る どうもこんにちは、飯野です。 今回はイギリスのロイズリスト(Lloy’s List)による、2020年世界のコンテナ港湾取扱量TOP100についてお話しします。 ロイズリストはロンドンにて1734年から海運ニュースを発信している歴史ある海運ジャーナルです。 今回お伝えするコンテナの取扱量は2020年のものになりますが、これが最新のデーターとなります。 2020年の海運市況 去年(2020年)はコロナが始まり、そして各国で感染が深刻化していきました。 その為に世界のコンテナ貨物取扱量は減少したのではないか?とこのニュースを見たときに思いました。 しかし、2020年の世界のコンテナ取扱量は2019年比で2.5%アップをしています。 2020年の前半ではコンテナ輸送量は全体的に落ち込んでいたのですが、後半からの盛り返しが凄かったんです。 2018年〜2019年比では世界のコンテナ取扱量は4.8%の成長でした。 それに比べると2020年では成長が鈍化しているものの 世界経済はコロナ禍であっても力強く成長したというのが個人的には大きな印象でした。 中国のコンテナ取扱量 そしてコンテナの取扱量というと、注目は中国です。2020年、中国全体における港の取扱量の成長は3%未満でした。 これはアメリカのトランプ政権にて中国との貿易摩擦があり、世界の大国の二国間で貿易取引に鈍化が見られたからです。トランプ政権ではアメリカ第一主義でしたよね。 とはいえ中国の輸送量は、世界のコンテナ取扱量の全体の40%を占めています。やはり世界最大の人口の多さと、世界の工場としての存在感は大きな影響力を持っています。 2020年 コンテナ港湾取扱量ランキング それではお待たせしました!2020年のコンテナ港湾 取扱量のランキング発表していきます。 まずトップ5のご紹介です。 1位:上海 2位:シンガポール 3位:寧波 4位:深セン 5位:広州 なんとトップ5に中国の港が4つも入ってます。 上海は11年連続不動の1位です。2位のシンガポールは世界のハブとして有名ですよね。 シンガポールで生産や消費が多くされたのではなく、ハブとしてコンテナの取り扱い多い港です。 そして3位と4位の寧波と深セン。2021年ではこの2つの港の港湾作業員にコロナ感染者があり、一部のターミナルが閉鎖されて国際物流に大きな乱れがありました。 このように世界でNo.3とNo.4の大きな港の一部が閉鎖されるというのは、非常に大きなインパクトがあり大問題につながると実務においてもよく分かりました。 2020年 5位以下のランキング 次に私 個人的に気になった港のランキングを紹介していきます。 ・6位:釜山 ・10位:ロッテルダム ・11位:ドバイ ・12位:ポートクラン ・16位:ロサンゼルス ・20位:レムチャバン ・25位:ホーチミン ・33位:ジャワハーラル・ネイルー ・39位:東京 となり、気になったポイントを解説していきます。
 釜山、ポートクランはアジアのハブ港として有名です。10位のロッテルダムはヨーロッパのハブ港です。 そして11位のドバイは中東・アフリカへのハブ港になります。 世界のハブ港 このように世界のハブ港というのは位置も重要なのですが、その国自体が世界的なハブ港にしようと決意をして港湾設備を整えるところから始まります。 2万TEU以上を運ぶ大型船が寄港することになりますので、十分な水深も必要となり国のプロジェクトとしても大きなものになりますよね。 シンガポールは国土こそ小さいなれど、アジアのハブとして重要な拠点となっています。 生産拠点の国がランクイン そして20位のタイのレムチャバン港、25位のベトナムのホーチミン港はハブ港ではありません。生産拠点として東南アジアのタイやベトナムの強さが確認出来ます。 タイは農産物の輸出が多いですし、他には多くの日系企業が進出をしているので日系関連の物流も多いです。 またベトナムにおいては韓国・日本の投資が多く、近年では中国からの投資も伸びています。 ベトナムの位置としてもタイと比べて、中国とアメリカにより近いというのもタイの次に伸びていく可能性が秘めているように感じます。 インドの将来性 そして33位のジャワハーラル・ネイルー港はインドで初ランクインした港です。次いでランクインしたインドの港は37位にムンドラ港になります。 インドの人口は中国に続いて多い国にも関わらず初ランクインが33位というのは、人口の多さをカバーする輸入が多く、輸出はそれほど多くはないからです。 実際に輸入は輸出よりも35%ほど多いです。やはりインドの産業はITが強いという印象もあります。 しかし今後 インドが生産拠点として影響力を持つようになれば、港の勢力図は変わってくるかもしれません。 将来的にはトップ5にインドの港が入ってくる可能性も十分にあると思っています。 まとめ このようにコンテナ取扱量の流れが分かると、大きい視点での経済の流れが見えて 非常に面白いと個人的には思います。 今回のロイズリストのリンクを貼っておきますので、是非 見てください。 ONE HUNDRED CONTAINER PORTS 2020 このチャンネルでは物流に関する情報を色々と発信していきますので、チャンネル登録がまだという方はこの動画の終了時に是非とも登録をよろしくお願いします。 今回の内容は以上になります。ありがとうございました! ・Twitter で DM を送る https://twitter.com/iino_saan ・LinkedIn でメッセージを送る https://www.linkedin.com/in/shinya-iino/ お問い合わせは「ツイッター」と「LinkedIn」のみで承っております。

2021年7月物流ニュース | 貿易実務の基本

2021年7月物流ニュース

どうもこんにちは飯野です。 今回は2021年7月の物流や海運に関するニュースをまとめて、「物流の今」を紹介していきます。 先月のニュースをご覧になった方も、ご覧になっていない方もわかるように解説していきたいといます。 それでは、いってみましょう。 北米向けコンテナ輸送混乱拡大、内陸鉄道施設パンク寸前 アジア発北米向けコンテナ輸送の混乱が続いています。北米西岸港湾の混乱に加えて内陸部、特に中西部の混乱が悪化しています。 シカゴの内陸輸送の中継施設では、これ以上の貨物の引き受けができなくなる状態です。船会社関係者の話では、内陸向けを止めると今度は北米西岸港湾がパンクするとのことで、内陸部の状況は悪化しています。 米国西部鉄道のユニオン・パシフィック(UP)は19日、西岸港湾発シカゴ向けの貨物の受託を1週間停止しました。 シカゴへのルートはUPとBNSFの米国鉄道2社のため、これら2社とも状況は変わらず長引けば、様々なところに悪影響を及ぼすことが予想されています。 コンテナ運賃、値上がり止まらず コンテナ運賃高騰に止まる兆しが見えません。 7月16日に上海航運交易所がまとめた上海輸出コンテナ運賃は北米西岸向けが40フィートで5,334ドル、北米東岸向けが9,655ドルとなり 前週に比べて300ドル超の値上がりとなりました。 また北欧州向けは20フィートで7,023ドル、地中海向けは6,893ドルと前週から200ドル前後の上昇。また北欧州向けは初めて7,000ドルの大台を突破しました。 北米向けは、港湾混雑や内陸輸送がパンクし、東岸向けへ輸送が殺到し東岸向け運賃は上昇。欧米諸国向け以外では豪州向けで20フィートが3,000ドルを突破しましたが、それ以外はほぼ横ばいの数字となっています。 商船三井、メタノール生産 最大手メタネックス子会社へ出資 商船三井は16日、メタノール生産 最大手メタネックス(カナダ)の海運子会社ウォーターフロントシッピング(WFS)の株式取得に向けて協議していることを明らかにしました。 船舶用メタノール燃料は、従来燃料に比べて、SOX(硫黄酸化物)排出量を最大99%削減でき、他にもPMやNOX(窒素酸化物)、CO2(二酸化炭素)なども削減できます。 さらに再生可能資源から生産されたメタノールは、二酸化炭素を最大95%削減できることから、メタノール燃料船は追加の設備投資なしで IMOが掲げるCO2削減目標の達成に貢献できます。 今回の合意に当たり、メタネックスのCEOは「今回の新たな戦略的パートナーシップが低環境負荷 舶用燃料としてのメタノール市場拡大に大いに貢献すると確信している」と期待を述べています。 マースク、初のメタノール燃料のコンテナ船を発注 海運最大手マースクは韓国、現代重工グループの現代尾浦造船(Hyundai ミポ造船)とメタノールを燃料とするフィーダーコンテナ船の発注契約を結んだことを発表しました。 メタノールを使用するコンテナ船は世界初で、マースクはこれにより将来的なコンテナ船輸送のための実験の場を提供し、顧客にカーボンニュートラルなサービスを提供するとコメントしています。 マースクが発注したフィーダーコンテナ船は北欧州とバルト海北部を結ぶフィーダーサービスに投入され、メタノールに加え従来の低硫黄燃料を使用できる2元エンジンとなります。 ハパックロイド、ナイルダッチ買収。西アフリカ事業拡大へ 独船社ハパックロイドは8日、コンテナ船社ナイルダッチの買収を完了したと発表しました。 ナイルダッチはアフリカ航路に強みを持っており、コンテナ船、多目的船サービスを提供しています。今後主要事業の統合を進め、西アフリカでの事業拡大を進めていくようです。 キューネアンドナーゲル、生鮮品 物流網強化。ノルウェー企業買収へ 国際物流大手キューネアンドナーゲルはノルウェーの水産物のフォワーディング大手、サーモスペッドを買収すると発表しました。 これにより、生鮮品の物流ネットワークとノルウェー発 航空貨物の輸出事業も強化するとのことです。 サーモスペッドはオスロに本社を置き、サーモンなど水産物の物流を専門として、昨年の売上高は約142億円。貨物取扱量は約6万トン。コロナ禍でもノルウェーの魚類輸出は好調で今後も成長が期待されています。 キューネアンドナーゲルの生鮮品物流の強化は、エクアドル(2018年)、カナダ(2019年)、今回のノルウェーと続いています。 解説コーナー それでは今回の物流ニュースの解説コーナーにまいりましょう。 今回のニュースでは、大きく分けて昨今の①海上運賃の高騰について、②脱炭素燃料としてのメタノール、そして③企業買収について選定をしました。 私個人的にこの3つの内容が現在の物流業界の注目ポイントなのかなと思っています。 海上運賃の高騰についてはここ数ヶ月ずっと上昇をしているので、いつになったら収まるの?と注目している業界関係者は多いと思います。 現状から判断すると年内は難しいでしょう。北米向けのクリスマス商戦の国際輸送は通常8月から始まりますが、コンテナ船のスペース不足の問題もあり、7月に前倒しが発生しています。 また10月1日は中国の国慶節ですので、その前の9月に中国からの出荷は更に集中し、再度 北米の物流に目詰まりが発生する可能性が高いです。ニュースでもお伝えした通り現在は北米西岸だけでなく、内陸の鉄道に目詰まりが発生しています。 一度発生した物流の目詰まりは直ぐに解消するものではありませんので、年内は回復の兆しが見えないと思います。 そして忘れてはいけないのがアメリカ西海岸の労働組合の労働協約が2022年7月1日に失効します。これによりロサンゼルス、ロングビーチなどの港の機能が低下し、コンテナ滞留につながる可能性が高いです。 荷主もそれを避けるために北米東海岸向けに航路変更をするでしょうから、また北米西岸、東岸ともに海上運賃の高騰、スペース不足が予想されます。 そして船舶燃料としてのメタノールですね。これまではLNG、水素、アンモニアが脱炭素の燃料として注目をされていましたが、メタノールについては 私は全く知りませんでした。 メタノールはCO2だけでなく、SOXやNOX削減にもつながるとのことで、これからの展開が楽しみな燃料だと思っています。そしてこの燃料を世界で初めてコンテナ船に採用したのは、業界最大手のマースクでした。「なるほどなぁ」と物流業界の流れって面白いなと思いました。 最後に企業買収についてですが、大手物流企業による関連企業の買収が最近は多いような気がしています。 国際物流業界では物量を取れるスケールメリットがかなり影響します。大きな会社は買収を繰り返して更に大きくなっていき、自社の得意を更に強化していきます。今回ご紹介したキューネ&ナーゲルが良い例ですね。 物流業界ではコロナによって収益を大きく伸ばした会社と、そうでない会社もあり、物流業界の企業買収の動きは更に活発になるのでは?と個人的に予想をしています。 まとめ 今回の物流ニュースはいかがだったでしょうか。ニュースをまんべんなく紹介するより、ポイントを絞ってお伝えする方がより詳しく業界の流れが分かるのでは?と思って今回はそのようにやってみました。 感想などをコメントから頂けますと、今後の改善につなげられますので非常に助かります! 今回は以上になります!ありがとうございました! ・Twitter で DM を送る https://twitter.com/iino_saan ・LinkedIn でメッセージを送る https://www.linkedin.com/in/shinya-iino/ お問い合わせは「ツイッター」と「LinkedIn」のみで承っております。

2021年 コンテナ不足の問題は “いつ解消する”のか?各国のコロナ感染者数から考察してみた。 | 貿易実務の基本

2021年 コンテナ不足の問題は “いつ解消する”のか?各国のコロナ感染者数から考察してみた。

先日、お客さんとの何気ない会話で質問されました。 このコンテナ不足が原因で海上運賃が上昇する、スペースが取りにくいという状態が続いているので、お客さんにとっても注目せざるを得ないこの問題。 私も少し前にメディア関係者さんに聞かれたときや、YouTubeでは とぼんやりとした回答をしていました。YouTubeでは「これが分かれば苦労しない」ともいっていますが、今でも同じ気持ちです。 このコンテナ不足の問題はいつ解消するのか?本当に分からない。でも多くの人は答えを求めている感じがする。 なので現時点での私の考察をツラツラと書いていきたいと思います。 コンテナ不足とコロナ感染者数 こちらの動画でも詳しく解説をしましたが、現在発生しているコンテナ不足の主な原因はコロナです。 コロナが収まらない限りは、港の港湾労働者、ドライバー、製造業の人たちのマンパワーが落ちてしまうので、コンテナが流れていきません。なのでコロナの新規感染者数を見ながら考えていきたいと思います。 コロナが割と落ち着いている地域 現在、私はタイに住んでいます。タイでも毎日感染者数が発表されるのですが、数十人という感じ。100人単位で出ることはたまにあるんですが、それが出た時点で締め付けが厳しくなります。 タイではコロナがかなり抑制できている方だから、自分の勝手な感覚で「他の国もよくなってきてるんじゃないの?」と思っていました。今回の記事を書くまでは。。 イーノから見た日本のコロナの状況 また同時に日本のニュースも毎日聞いているのですが、最近だと東京で300人とか、大阪が東京より上回ったという感じですよね。 とはいえ、日本ではワクチン接種が医療関係者に3月から始まって、一般の人たちには5月前後で接種できるみたいなニュースを聞きます。 感染がこれくらいの数でワクチンの入手も海外からちゃんと出来ている感じだし、オリンピックもやることだし、なんとなくコロナは収束に向っているのかな?なんて気もしたりしました。 アメリカはどうだろう? アメリカでは過去に死者が1日で1,000人を超える時があったり、とんでもない状況になっていると思っていました。 しかしファイザーワクチンがいち早く市場に出て、さらにバイデン大統領もワクチン流通を積極的に後押ししています。 ニュースで聞いていたのは4月末にディズニーワールドが再オープンするという感じで、状況は良くなっていっているのだなと思っていました。 データを見る限りでも 依然として多いですが、状況は改善しているのかと思います。 それ以外の地域では? これまでのデータだけを見る限りでは、当初に思っていたような今年の6月末くらいにはコンテナ不足が解消するかもという見立ては割と良い線をいっているような気がします。 しかし、他の地域のデータを見る限りでは、6月末は無理かも。。と思わざるを得ません。 イタリアのコロナ感染者数 3月15日に3度目のロックダウンをするというニュースを聞いて、まだそんな感じなの?と驚いていました。 また、たまたまですが1週間前にイタリアのフォワーダーさんと話をする機会もあり「どうなの?」と聞いたら、飲食店はやってたりするとのこと。 会社に行って仕事しているらしく、そこまでヤバいという印象は受けませんでした。 フランスのコロナ感染者数 3月20日に3度目のロックダウンが始まったとニュースで聞きました。またデータを見る限りでも増加傾向にあるのが見えます。 イギリスのコロナ感染者数 イギリスは昨年の夏くらいから港がヤバい状態になっていました。コンテナが港に滞留しまくって、船会社もイギリス向けのBookingは拒否をするくらいの状況でした。 データを見る限りでは減少傾向にあります。アメリカと同じで自国でワクチンを開発、流通できるというのは、やはり効果的なのでしょうか。 ブラジルのコロナ感染者数 2021年1月17日にワクチン接種開始。「1月22日までに10万人がワクチン接種した」と調べたら書いてありましたが、接種より感染の方が多いです。 人口が多く、人同士の距離が近い(ハグするイメージ)国だとワクチン効果が出るまでに時間がかかるのでしょうか。 インドのコロナ感染者数 インドも過去のニュースの記憶を振り返ると、コロナの影響が大きかった地域だと思います。港にコンテナが溜まり、昨年の上旬ではインド向けの物流が困難だったという印象があります。 各国の感染状況の原因をちゃんと確認をしていませんが、インドも増えています。インドでも自国でワクチンを開発しているけれども、まず人口が多いのとワクチンがまだ追いついていないという感じでしょうか。 欧州航路は厳しい これらのデータを見た時の私の印象ですが、欧州航路はまだまだ厳しいんじゃないかなと思いました。 ワクチンの状況にもよりますが、9月末、もしくは年末くらいまでかかるかもしれません。 北米航路は大丈夫なのか? 北米のコロナ感染状況が緩和してきているので、北米航路は大丈夫か?というと、正直なところ微妙だと現時点では思っております。 理由としてましてはバイデン大統領の約200兆円の追加経済対策です。これがサービスではなく、製品が消費されることになれば中国から更に貨物・コンテナが流れることになります。 そうするとLA港、LB港でまたコンテナが滞留します。そして、そうこうしているうちに9月・10月になってクリスマスシーズン、中国の国慶節(長期休暇)の影響が出るかもしれません。 まとめ コンテナ不足解消にはコロナが各国で抑えられることが条件の1つです。しかし現状を見る限りではヨーロッパでは抑えられていない。その他の大国もまだまだな状況です。 アメリカは国策もありコロナは抑えられていますが、また別の国策から消費が伸びて中国からのコンテナが増加し、港に滞留する可能性もあります。 今年、来年の海上運賃は依然として高い水準を維持するのではないか?というふうに私は考えております。