ヤマト運輸がベトナム人ドライバー500人採用へ──2024年問題を超える“構造改革”とは

ヤマト運輸がベトナム人ドライバー500人採用へ──2024年問題を超える“構造改革”とは | 物流ニュース・物流ラジオ
この記事を書いた人
飯野 慎哉(株式会社HPS CONNECT 代表取締役社長)

2016年にHPS Trade Co., Ltdを設立し、経営者として企業の物流課題を解決。 自身の経験を基に物流ノウハウを発信するYouTubeチャンネル「イーノさん」は登録者11万人を突破。 セミナーや講演、ブログを通して物流情報やグローバルでの仕事・挑戦・苦悩を発信。アジア・東南アジアに事業拡大中!

2025年11月14日イーノさんの物流ラジオ

日本の物流業界に大きなインパクトを与えるニュースが飛び込んできました。

ヤマト運輸が2027年から5年間で、最大500人のベトナム人長距離ドライバーを採用すると発表しました。

深刻化するドライバー不足に対して、構造的な解決策として業界全体の注目を集めています。

なぜヤマト運輸はベトナム人ドライバーを採用するのか?

ヤマト運輸は、全国の拠点間を結ぶ長距離(幹線)輸送を担う人材として、年間100人ペースで採用を進めます。 背景にある課題は次の通りです。

  • 日本人ドライバーの高齢化──40〜60代が中心で退職が集中
  • 2024年問題──残業規制で稼働が減少し、人員不足が悪化
  • 若手離れ──労働環境と生活スタイルがミスマッチ

長距離輸送を維持するためには、海外プロ人材の本格活用が不可欠になってきました。

ベトナム最大手「FPT」と協業する理由

ヤマト運輸は、IT・教育大手のFPT(日本法人)と協業し、採用から育成まで一気通貫のプロセスを構築します。

  • 採用
  • 現地教育(日本語・安全教育)
  • 日本語学校での語学学習
  • 日本での追加研修1年間
  • 外免切り替えで大型免許取得

若い労働力が豊富で、日本語教育が進んでいるベトナムは、物流分野との相性が非常に良い国です。

日本で走れるようになるまでの流れ

ヤマトの育成プログラムは体系的です。

  • 2025年12月:募集開始
  • 半年間:ベトナムで語学・交通ルール・安全教育
  • 日本で1年間の研修
  • 外免切り替えで大型免許取得

教育期間は1.5〜2年。 “即戦力採用”ではなく、“日本式プロドライバー育成”というスタイルです。

外国人ドライバーは2024年問題の“本格的対策”となるか?

長距離輸送は人が集まりにくく、全国で維持が難しくなっています。

今回の決断は「外国人が日本の幹線輸送を担う時代」の始まりとも言えます。 期待される効果は次の通りです。

  • 長距離輸送の安定化
  • ドライバー不足の緩和
  • 国際人材活用モデルの確立

今後、佐川急便・日本郵便など他社が追随する可能性も高いでしょう。

日本の物流はどう変わるのか?

ヤマトの決断は、日本の物流に次の変化をもたらします。

  • 長距離輸送の安定化
  • 外国人ドライバー導入の加速
  • 日本式安全教育の国際展開
  • 物流の国際化が急進

まとめ

 

ヤマト運輸の決断は、日本物流が抱える構造問題に切り込む大きな一手です。

ドライバー不足が慢性化するなかで、日本の物流は外国人プロフェッショナルを迎える新たな段階へ進みました。

この動きは、今後10年の日本物流のあり方を決定づけるターニングポイントとなるでしょう。

動画視聴はこちらから

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