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混雑解消は来年夏?韓国、中国港湾でトランシップ船大遅延。 | 物流ニュース・物流ラジオ

混雑解消は来年夏?韓国、中国港湾でトランシップ船大遅延。

どうもこんにちは、飯野です。 今日は海事新聞で、アジア域内でもスペースが逼迫しており、韓国、中国港湾にて沖待ちが常態化。解消は「来夏まで」との見通しもあり、というニュースがありましたので、それについてお話していきます。 2021年11月11日イーノさんの物流ラジオ アジア域内航路でのスペース不足 世界的にコンテナ船のスペース不足が深刻化していますが、アジア域内航路でも同様です。中国の主要港湾では沖まちがあると以前の放送でお伝えしましたが、韓国も同様にひどい状態が続いています。 現在、コンテナ船のスケジュールが乱れており、このスケジュールの遅延によりスペース不足に拍車がかかっています。 更に貨物量の増加に、スペース供給が追い付いていない状態です。一部航路では、既に月内の本船が満船になっており、タイでも向け地によっては同じ状況です。 トランシップ船遅延による貨物長期停留 このスペース不足は夏ごろまで続くという見通しもあり、年内の解消は難しくなっています。 釜山港ではトランシップする貨物の本船到着が遅れ、貨物が長期停留しています。 釜山TSの場合、接続先の母船に積むまでに1カ月待つと通知している船社もあるほどです。弊社でも、ロシアのウラジオストック向け、韓国トランシップの案件があり、トランシップ船が出るまで2ヶ月半かかったことがありました。 某船会社が接続線を出しておらず、貨物が遅れに遅れ、荷主さんからペナルティーを請求されたこともあります。 深刻化するロールオーバー 昨年からのコロナによる本船のスペース不足ですが、トランシップ港でロールオーバー(積み残し)がひどくなっています。 接続船がいっぱいで、貨物を積み切れず、次の船を待たないといけない状態です。 今年の初めの方ではシンガポール、マレーシアのポートクランでロールオーバーが発生していました。弊社では、アフリカ向けの貨物が、シンガポールで1ヶ月ちょっと接続船待ちとなったこともあります。 この状態はいつまで続くのか 海事新聞によると、中国港湾でも、例年物量が落ち着く国慶節の10/1以降も混雑は続いており、上海港(世界一の取り扱いがある巨大な港)でも、2―3日の沖待ちが常態化しています。 こうなると先ほど述べたように、スケジュールに遅延が発生し、港にコンテナが停留、ロールオーバーが発生するという悪循環になっていきます。 いつ解消するのか、というと、去年のこの時期も翌年の中国の旧正月くらいには解消するだろうと言われていました。しかし、今になっても、まだ解消していません。 また、今年も旧正月までと言われていますが、夏頃までという声もあります。海外のメディアや、私のYouTubeコメントでは来年いっぱいという声が多いです。 長期化することを前提として備えておいた方が良いと思い、今回このニュースを紹介いたしました。 この件についても随時情報を発信していきます。

北米LA、LB港 滞留コンテナ超過金11月15日からスタート。船社は荷主に実費請求へ。 | 物流ニュース・物流ラジオ

北米LA、LB港 滞留コンテナ超過金11月15日からスタート。船社は荷主に実費請求へ。

どうもこんにちは、飯野です。 先日お伝えした、北米のLA・LB港、滞留コンテナに超過料金が発生するというニュースの続報として、1日からではなく15日からスタートで船社は荷主に超過料金を転嫁すると、今日の海事新聞にあったので、それについて話していきたいと思います。 2021年11月10日イーノさんの物流ラジオ LA港、LB港における超過料金 超過料金発生日について、少し前に15日になったというアナウンスはありましたが、もう少し進展情報が欲しかったので、本日のタイミングにしました。 LA,LB港のターミナル超過料金ですが、どのように金額が発生するかというと、 トラック搬出のコンテナは本船からターミナルに荷揚げされて9日目から発生、鉄道搬出コンテナの場合は6日目から発生します。 金額は100ドルで、1日延長するごとに100ドル上乗せされていく計算方式をとっています。例えば、9日目は100ドルで、10日目は200ドル。累計で300ドルと計上されていきます。 超過料金の支払人 当初、超過料金は港からコンテナ船社に請求されるとされていました。 しかし、船社はそのまま荷主に転嫁し、実費精算という形を取り、新たなサーチャージ類は導入しない、と発表しています。 実際、コンテナを早く取り出すかどうかは、荷主次第でもあります。 もちろんシャーシ不足などで遅れることはありますが、それも船会社としてはコントロールできないことなので、船社が負担するということはあまりないことだとは思います。 その中で、ONEはローカルコンテナの滞留はそのまま実費請求するものの、「インターモーダル(鉄道)のコンテナについては現時点では転嫁しない」と発表しています。 税関検査のために滞留されたコンテナは超過料金の対象外ですが、シャーシ不足などを理由にしたものは免除にはなりません。 ONEはトラックについては実費請求するが、鉄道の場合はONEが超過料金を負うと宣言しました。 来週15日以降、どれほど貨物の引き取り率がアップされるのかが注目です。 また随時情報を発信します。

韓国 HMM、リーファーコンテナにIoT技術を導入!温度を荷主にリアルタイムで。 | 物流ニュース・物流ラジオ

韓国 HMM、リーファーコンテナにIoT技術を導入!温度を荷主にリアルタイムで。

どうもこんにちは、飯野です。 今日は、「韓国の船会社HMMが、リーファーコンテナに IoT活用して試験運用している」というニュースが海事新聞にあったので、それについて話したいと思います。 2021年11月8日イーノさんの物流ラジオ IoT(Internet of Things)について 先ず、IoT(Internet of Things)とは何かを簡単に説明します。 簡単にいうと、あらゆるものがインターネットとつながっている状態で、遠隔で操作、データ化されることです。 例えば、アレクサなど話しかけて家電を操作してくれるスピーカーなどが有名な例です。その他にも、外からでも操作できるお掃除ロボットや、無人カメラで撮ったデータをスマホに送る機能などがあります。 リーファーコンテナにIoT活用 HMMのリーファーに話を戻しましょう。 IoTを活用することにより、荷主はリアルタイムで貨物の位置情報に加え、コンテナの温度・湿度や、CO2(二酸化炭素)濃度、振動の変化などを確認できるようになります。 HMMはIoTのリーファーコンテナを9月末時点で既に800本以上を導入済みで、年末までに1000本以上導入する計画を立てており、今後1―2年を目途に試験運用を行った後、本格的にサービスを開始する方針です。 リーファーのトラブル 実務をしていて、リーファーのトラブルは結構あります。 例えば、ターミナルで電源プラグに繋がれていない、リーファーコンテナが故障して輸送途中に温度が上がる、などのトラブルです。そうすると輸送中のチョコレートが溶けたり、生鮮食品、ドリアンなどの場合は腐ってしまうケースを何回か聞いたことがあります。 実際に、リーファーの大口の取引をするとき、船会社のコンテナデポの、リーファーコンテナの管理体制を確認したことがあります。 チェックリストやメンテナンスなど行っているようですが、それでも問題は起きてしまいます。 これまでのリーファーの場合、船会社が温度変化のデータを持っており、トラブルがあった時にそのデータを出してくれないケースがありました。 あくまで私の知っているケースでは、保険で請求をするように言われます。 そのため、荷主が自ら温度を記録できるものを中に入れて対応するなど対策を取っていましたが、それでも問題が発生した時には保険を適用してきました。 テクノロジーによる情報開示 IoTのリーファーが導入されることによって、温度などのデータが荷主に開示されることになります。 情報がガラス張りになり、テクノロジーが誠実な対応につなげてくれ、これが本来あるべき姿だと考えます。 今後、これが一般的になっていくであろうと思います。 海運業界にとってはよりよい、取り組みと思い、このニュースを紹介いたしました。

フォワーダーの仕事、良かったこと & 嫌だったことを話します | 物流ニュース・物流ラジオ

フォワーダーの仕事、良かったこと & 嫌だったことを話します

どうもこんにちは、飯野です。 今回は、フォワーダーの仕事していて良かったこと、嫌だったこと、を話したいと思います。あくまで、個人的な意見ですので、参考程度にお聞きください。 2021年11月3日イーノさんの物流ラジオ フォワーダーの仕事で良かったこと コロナ禍でも大きな打撃を受けない 他産業が打撃を受けていましたが、物流業界では、スペースが逼迫し、需要が上がったことにより、事実、仕事が増えました。 国際経済が止まらない限り、国際物流も同じく止まらず、常に仕事があると再認識しました。 どこの国でも働ける  国際物流は世界共通のルールで行われていることが多いので、他国でも同じように働ける自信があります。 通関などではローカルルールがあって違うところもありますが、どこに行っても対応できるというのは、かなりのメリットだと思います。 海外に関係がある仕事ができる いろいろな国の代理店さんなどと商売することになります。 なかなか現地に行かずとも成り立ってしまう側面もありますが、世界中と仕事ができる醍醐味はあります。フォワーダーのネットワークにも所属しており、年に一回ほど一堂に会したりなど、とても刺激的で楽しいと思います。 IT方面で伸び代がある 私自身、インターネットマーケティングを使って活動していますが、YouTubeのチャンネル登録者数も、おかげ様で伸びております。理由としては、ライバルが少ないこともあると思います。 物流業界はコンサバなところがあり、ITの伸びしろがまだまだあり、この面にチャンスがあると思います。 フォワーダーの仕事で嫌だったこと 給料が高い業界ではない 中小企業ではあまり高い印象はありませんが、大手の会社さん、外資さんではそうではないかもしれません。特に外資はコミッション制を取っているところが多いので、稼げる営業は稼げます。 弊社の営業マンも単月最高で200万程稼いだ人もいます。 見下される時があった 営業で商社やメーカーに伺ったとき、スマホを見ながら対応されたり、少し下に見られた経験があります。フォワーダーで集まったときも、自分たちは下だから、といった自虐する人もいました。 自動車関係の仕事はスケジュールが厳しすぎる 大きなメーカーさんは在庫を持たない方針の会社が多いです。フォワーダーにはトラブルが付き物です。スケジュールの乱れなどはざらにあります。 サプライヤーさんが必要なときにお届けする、という方針もわからなくはないですし、もちろん時間通りに行くよう努力します。ですので、できれば現場の状況をご理解いただけましたら、と思います。 個人的な意見を述べてきましたが、これからフォワーダーに興味がある方など、エンターテイメントとして聞いていただけたら嬉しいです。

CMA‐CGM 北米LA港のコンテナターミナル業者Fenix Marine Serviceを買収!完全子会社化に。 | 物流ニュース・物流ラジオ

CMA‐CGM 北米LA港のコンテナターミナル業者Fenix Marine Serviceを買収!完全子会社化に。

どうもこんにちは、飯野です。 今日は、「フランスの船社CMA―CGMが11月3日、LA港コンテナターミナル運営会社のフェニックス・マリンサービス(Fenix Marine Service)の株式90%を既存株主から取得」というニュースがありましたので、それについて話していきたいと思います。 2021年11月5日イーノさんの物流ラジオ CMA-CGMの買収 CMA-CGMの取得額は約23億ドル(約2,630億円)だったとのことです。 CMA‐CGMはFMSの株式10%を以前に保有しており、今回の株式取得でフェニックス・マリンサービスを完全子会社化したことになります。 買収したターミナル FMSが運営しているターミナルはどんな港なのでしょうか。 LA港のエリアにあるターミナルで、水深15メートル強で4バース、ガントリークレーン16基、鉄道引き込み線8トラック、リーファープラグ706口を備えています。 スタッフは145人、処理能力は約250万TEU/年間に上り、LA・ロングビーチ港エリアで第3位の規模を誇る主要ターミナルです。 このコンテナターミナルの取得について、CMA-CGMグループの社長兼会長は、"Fenix Marine Services "は、この国で最大級のターミナルであり、最も戦略的なゲートウェイのひとつであると発言しています。 また、重要な産業施設であり、CMAの地位を大幅に強化し、この市場での急速な成長をサポートする、とも述べています。 買収によって何が変わる? CMAが自社管轄でコンテナターミナル、特に北米(LA港)を運営することが注目だと思います。 北米は、現在も混乱が続いており、すぐには難しいとはおもいます。しかし少し落ち着いてきたら、例えばMaerskなどの競合を後回しにして、CMAのコンテナの取り出しを優先したり出来るかもしれません。 また、フリータイムを伸ばしたり、荷主に対して有利な条件の提供もできるようになる可能性もあります。 港と船会社でシナジーを生むような買収だった印象です。 今後に向けて 弊社は北米向けに結構CMA-CGMを使っています。比較的、スペースが取りやすいので、他のタイの日系フォワーダーさんがスペースが取れなくて弊社に依頼してくるくらいです。 弊社のお客様にとっても、もしかしたらメリットがあるかもしれない内容だと思い、ご紹介をさせて頂きました。 これからの動向に注目です。引き続き、情報をアップデートしていきます。

2021年10月物流ニュース | 物流ニュース・物流ラジオ

2021年10月物流ニュース

この記事を動画で見る どうもこんにちは飯野です。 今回は2021年10月の物流や海運に関するニュースをお届けします。今月も役立つ情報を厳選しましたのでお楽しみ頂ければと思います。 それでは、いってみましょう。 輸入リーファーコンテナのフリータイム ゼロへ 世界的なサプライチェーンの混乱によりコンテナ不足が深刻になる中、コンテナ船社はコンテナの無料保管期間であるフリータイムの削減に踏み切っています。 日中航路では中国船社が10月からフリータイムの算出方法を変更し、リーファーコンテナでは3営業日あったフリータイムをゼロにし、保管料が即日発生するようになりました。 こうした変更は日中航路だけでなく他の基幹航路でも広がっています。 基幹航路のドライコンテナではオーシャンネットワークでは6営業日ですが、マースクは土日含む8日、CMA-CGMは土日含む7日となっています。 それぞれ起算日はマースクは着岸当日、ONEとCMAは着岸翌日からとフリータイムの運用を厳格化し、今まで個別に対応していたフリータイムの延長を認めない傾向が強くなってきています。 中国発コンテナ運賃急落。電力不足による出荷遅延が原因か 中国発のコンテナ運賃が9月末に急落しました。 北米西岸向けのスポット運賃はこれまで40フィートあたり1万5,000ドル前後でしたが、9月末に8m000ドルから9,000ドルまで下落しました。 これは中国の電力不足の影響で国慶節前に生産が終わらず多くの中国荷主がBookingをキャンセル。スペースに空きが出たためフォワーダーがスペースを投げ売りした事が原因とみられています。 半年ぶりの運賃下落は市場に大きな衝撃として捉えられていますが、中国の工場出荷の遅れが原因による一時的なスペース余剰のため、出荷再開後の市場回復の可能性も指摘されています。 上海港、寧波港の沖待ち154隻 中国の上海港や寧波港で、入港待ちしているコンテナ船の数が急増しています。 アメリカン・シッパー電子版によれば、9月末時点で両港の沖待ちは154隻。中国全土では沖待ちコンテナ船が242隻など、港の混雑状況は悪化しているようです。 中国の沖待ち船が増えたのは、港湾労働者にコロナ患者が発生し、それに伴いターミナルが閉鎖され、また相次ぐ台風発生により本船スケジュールの遅延が出たことが理由です。 その他の原因として、中国~北米航路に新規投入船が増え、船の小型化が進んだため効率が悪くなり混雑の悪化を招いたとの指摘もあります。 スポット運賃高騰で既存船社以外に新興船社が小型船をチャーターし新規サービスを始めたことが大きいようです。 コンテナ運賃、北米東岸向け1万1,000ドルを割り込む 中国・上海発北米東岸向けコンテナ運賃は10月15日付けで40フィートが1万700ドルとなり、2ヶ月ぶりに1万1,000ドルを下回りました。 これは10月から3週連続の値下がりで、10月始めから1,200ドル以上も下落しました。北米西岸も6,219ドルと6月上旬以来の値下がりとなりました。 北米以外では一進一退ではありますが下落傾向がみられ、15日付けで北欧州向けが20フィート7,687ドルで前週比27ドル減。地中海向けは7,374ドルで前週比74ドル減となっています。 上海港のコンテナ取扱量 通年過去最多の4,500万TEUを視野に 世界最大のコンテナ港である上海港では1-9月累計で前年同比10%増の3,479万TEUとなり、このままいけば通年の取扱量は過去最多となる4,500万TEUを突破する見込みです。 2019年まで上海港の取扱量は月間平均で360万TEU。 コロナ禍以降は20年2月に230万TEUと記録的な落ち込みからその後急伸。20年10月以降は初めて400万TEUを超え、21年は勢いは衰えず400万TEUを超えたのは1月、6月、8月。 8月は過去最高の432万TEUを記録しました。 邦船大手、チャーター船から自社船保有へ 邦船大手オペレーターは運航船を用船から自社保有へ傾向を強めています。 海上運賃高騰により得た資金を自社船のアセット保有に向けているようです。 各船社の財務体質が大きく改善していることで、船主から無理に用船する必要性が低下しているとのことです。 また重点整備するLNG焚きの自動車船や大型バルカーの船舶管理の外部委託が難しいことも自社船保有をすすめる要因です。 中長期用船に比べると、自社保有船はマーケットの変化にも対応しやすいという側面もあるようです。 コカ・コーラ コンテナ不足によりバルカー船で原材料輸送 米コカ・コーラはバルカー船3隻で飲料製品の原材料6万トン強を海上輸送することに決定しました。 これまで輸送していたコンテナ船はスペース逼迫により代替手段としてバルカー船による輸送を選択しました。これはコンテナ2,800TEUに相当する原料です。 コカ・コーラ調達担当のディレクターは「現在の海上貨物危機によりコンテナやスペース確保出来ない中、それ以外の方法を考えなければならなかった」と経緯を説明しました。 解説コーナー それでは、今回のニュースの解説のコーナーです。 冒頭にお伝えした日中航路での中国船会社によるリーファーコンテナのフリータイムゼロは実務でかなり影響してくる内容です。 これにより日本向けのリーファーコンテナは中国船社以外が選ばれる可能性が高くなります。そのため本船スペース予約が偏り、更なるスペース不足、海上運賃の高騰につながる可能性があるでしょう。 また中国の電力不足によって国慶節前後において海上運賃が急落したのも驚きのニュースでした。実務をしている立場からしても、一時的にですが急にスペースが取りやすくなったのでかなり驚いたのを覚えています。 この件の中国電力不足からのサプライチェーンへの影響に関する詳しい解説は別の動画にてお話ししていますので、概要欄にリンクを貼っておきます。 中国電力不足による海運市況への考察 そして10月から北米向けの海上運賃には頭打ち感が見えています。以前はいつまで高騰が続くのか、上がり続ける運賃に不安でしたが、やっと天井が見えた気がします。 とはいえ引き続き高い運賃水準であることは変わりません。年末に向けて更にスペースタイト、運賃の若干の上昇はあるかもしれません。 上海港でのコンテナの取扱量が過去最高になっているニュースですが、世界中で、特に北米での経済活動の回復が大きく影響しています。 単に北米西岸や内陸でコロナによる物流の目詰まりが発生していただけでなく、過去最高レベルでの出荷量の増加になっていました。この物流の目詰まりの解消にはコロナだけでなく、北米の経済についても注目が必要かと思います。 2021年は船会社が過去最高益を叩き出し、利益をアセットに投資する姿勢が注目です。 邦船3社のこれまでの用船率は6割強と自社船の保有率を抑えるノンアセット戦略が主流でしたが、用船マーケットの変化に対応しやすくするように、また脱炭素への取り組みとしてLNG燃料のコンテナ船などに投資をしています。 船会社の自社船率が上がることにより、私としても海上運賃の安定を期待しています。 最後にコカ・コーラが原材料をバルク船で輸送していたのが注目でした。北米向けのコンテナ船のスペース不足、海上運賃高騰により大手荷主はバルカー船をチャーターして運ぶ動きが最近では多くみられます。 私が知る限りで、ウォルマート、ターゲット、イケア、そして今回のコカ・コーラがチャーター船で輸送をしています。 ウォルマート、ターゲット、イケアはバルカー船でコンテナを輸送するという新しい輸送方法を実施しており、今後も運賃の高騰が続けば このようなバルカー船チャーターの需要は上がっていくと思います。 今回の物流ニュースはいかがだったでしょうか。国際物流やサプライチェーンの「今」が分かったのではないかと思います。 今回参考にしたニュースのソースは概要欄にリンクを張っておりますので、詳しくはそちらをご覧ください。 現場からは以上でーす!ありがとうございました。 ・Twitter で DM を送る https://twitter.com/iino_saan ・LinkedIn でメッセージを送る https://www.linkedin.com/in/shinya-iino/ お問い合わせは「ツイッター」と「LinkedIn」のみで承っております。

2022年3月期、ONE税引後利益 1.3兆円! その理由を解説。 | 物流ニュース・物流ラジオ

2022年3月期、ONE税引後利益 1.3兆円! その理由を解説。

どうもこんにちは、飯野です。 今日は、海事新聞に「ONE、税引き後利益1.3兆円」というニュースがあったのでそれについてお話していきたいと思います。 2021年11月1日イーノさんの物流ラジオ ONE、四半期利益過去最高を記録 海事新聞によると、ONEの2021年4―9月期決算で、税引き後利益が前年同期比約10倍の約7,600億円となったと報道しています。 四半期の利益としては過去最高とのことです。 利益急増の要因 理由としては、市場での荷動きが増加し、2021年4―9月期の積み高はONEで10%増となったこと。また、現在もサプライチェーンの混乱継続で需給が逼迫しており、運賃市況は高止まりしてることが挙げられます。 燃料費が前年同期比に比べて、48%も高騰していますが、これらのコストはコンテナ運賃上昇で全て吸収できているそうです。 これにより、2022年3月期通期、税引き後利益は約1兆3,300億円を見込んでいるとのことです。 今後の見通し 商船三井の執行役員は、コンテナ運賃の上昇について、「長期契約の部分もあるが、大半は短期(スポット)運賃の値上がりから来ている」と発言しています。 また、商船三井取締役常務執行役員は、今後の見通しについては、「来年2月の中国旧正月休みまではこの状況が続くのではないか」と予想しています。 現在の市況はいつまで続くのか とはいえ、去年の11月にも今年の旧正月ごろまで続くと言われていました。 しかし、スエズ運河が座礁により封鎖され、北米の内陸、鉄道で目詰まりが発生しました。その後、北米で景気回復していき、北米では沖待ちが深刻化し、今に至っています。 市況がどうなるのかは全くわからず、来年いっぱいまで続くという意見もあります。 ONEの利益の投資先は とはいえ、1.3兆円の利益をどう使っていくかが注目です。 内部留保に大きく投資するというよりは、脱炭素への投資へ向かうのではないかと、ある程度想像ができます。 日経新聞の音声配信では、頻繁に脱炭素のニュースが報道され、世の中がそういう動きで進んでいます。 今はスポット的に運賃が高騰していますが、次第に落ち着いていくでしょう。しかし、コロナ前のような低価格運賃にならないように注意が必要です。 競争は大切ではありますが、マーケットが潰れるのは問題です。 行き過ぎた値下げ合戦にならないように取り組みを行っていくのではと個人的に考えています。 ONE、税引後利益 1.3兆円を見込むという刺激的なニュースをご紹介しました。

LA港、11月1日からコンテナ滞留超過料金徴収へ | 物流ニュース・物流ラジオ

LA港、11月1日からコンテナ滞留超過料金徴収へ

どうもこんにちは、飯野です。 今日の海事新聞で「北米西岸のLA港で11月1日から、滞留コンテナに対して荷主に超過料金を請求する」というニュースがあったので、これについて話をしていきたいと思います。 ロサンゼルス(LA)・ロングビーチ(LB)港の港湾管理者は、11月1日から、一定期間ターミナル内に滞留したコンテナに対して、超過料金を請求すると発表しました。 2021年10月29日イーノさんの物流ラジオ コンテナ滞留、荷主へ超過料金徴収 対象となるのは、コンテナ貨物の荷主です。 船社やターミナルではなく、港湾管理者が超過料金を徴収するのは過去に例がないことです。 港湾管理者とは誰のことかわかりにくく、ターミナルオペレーターではないかと思いましたが、分かり次第情報をアップデートいたします。 発生するケース この超過料金はデマレージとは別ということですが、どういうケースで発生するかというと 本船から積み下ろされて、トラックで搬出予定のコンテナは、積み下ろされてから9日以上ターミナル内に滞留した場合、また、鉄道の場合には、6日以上に滞留した場合に対象となるとのことです。 超過料金の金額と計算方法は、 -トラックがコンテナを9日目に搬出した場合は100ドル -それが1日延長するごとに100ドル上乗せ 例えば搬出が 9日目:100ドル 10日目:200ドルと9日目の100ドルを加えた300ドル 11日目:600ドル となり、3日オーバーだけで、600ドル徴収されることになります。 トラックドライバー不足問題 トラック不足も影響しているので、そんなに簡単に取り出せるのか、という疑問も出てきます。 アメリカでは、トラックの確保合戦になるのではないでしょうか。 現在、ただでさえ北米のドライバーの賃金が急激に上昇していますが、これにより更に運賃アップにつながるのではないかと思います。 各方面での混乱への対応 この混乱を解消するために、バイデン政権は組合や大手荷主(ウォルマート、ターゲットなど)にも協力を要請し、LA港での24時間7日間休みなし稼働に向けた取り組みを後押ししています。 24時間稼働により、1週間に取り出せる量のコンテナ増は約3,500本となります。 更に、米鉄道大手ユニオンパシフィック鉄道は、10月25日から、新たなパイロットプログラムを導入すると発表しました。 どういう内容かというと、米国西岸ロングビーチ(LB)港近郊の鉄道ターミナルへ、土日に搬入するコンテナに対し、1本当たり60ドルの払い戻しを実施するということです。 土日の利用を増やし、混雑の緩和を狙っており、各荷主は還付金を受けることができます。 北米西岸では混雑解消の為に、現在このような対策がとられています。 時間が経てばだんだん緩和はされていくでしょうが、引き続き情報をアップデートしていきたいと思います。

日本の海運、2050年にGHG排出実質ゼロ目指す。投資金額は年間100隻、1兆円。 | 物流ニュース・物流ラジオ

日本の海運、2050年にGHG排出実質ゼロ目指す。投資金額は年間100隻、1兆円。

どうもこんにちは、飯野です。 今日は日本船主協会が「2050年にGHG実質ゼロに挑戦、2025年以降毎年100隻代替し、年間1兆円投資を考えている」というキャッチーなニュースを紹介したいと思います。 2021年10月28日イーノさんの物流ラジオ 日本の海運業でGHG排出実質ゼロへ 日本船主協会は戦後すぐ、1947年に設立されました。 海運業に関する諸々の調査および研究を行い、海運業の公正かつ自由な事業活動を促進し、日本海運の健全な発展することを目的とする団体です。 その日本船主協会の会長さんが、海運業で2050年にGHG排出の実質ゼロを目指すと発表しました。 実際の脱炭素の動きとして、IMO(国際海事機関)はGHG削減戦略を 2030年までに2008年比で40%削減 2050年までに50%削減 今世紀中にゼロ とし、2050年にGHG排出の実質ゼロを目指すというかなり野心的な目標を掲げています。 日本での脱炭素へ向けての動き 日本に現在、商船は約2,240隻あります。 注目なのは、この目標を達成するために、段階的に新燃料などに対応したゼロエミッション船に代替建造していく必要あるとしている点です。 2025年以降の投資規模については「毎年年平均100隻、約1兆円に上る」と試算し、大規模投資となることから「海運単独では難しい」ので、関係業界への協力を求めています。 毎年100隻で1兆円というと、1隻あたり100億円になります。 この目標達成のためには燃料に、カーボンリサイクルのメタン(Co2から作ったメタン)、水素、アンモニアなどを使用しないと、温室効果ガス実質ゼロは難しいです。 そういった燃料の前にLNG(液化天然ガス)など低炭素燃料が導入されていきます。 アンモニアと水素はそれを燃焼するエンジンの技術がまだ開発中です。 2050年へ向けての目標 2050年までの25年間での全体の投資額は20兆から30兆円に上るとのことです。どれだけ実現可能か分からないですが、凄い目標と投資金額だと思います。 1隻100億円だと全部スクラップにして一から建造するのではと感じました。 素人考えでは、エンジン、燃料タンクと周辺を変えると考えていましたが、この金額だと、一からの建造ではないのかと思われます。 この目標に向け、アンモニア、水素燃料のエンジン開発がより進んでいくようになります。 実際に最近はアンモニア燃料エンジンの開発のニュースをよく見るようになりました。 海運業界の脱炭素の動きは注目だと思いますので、随時発信していきます。

実務の話。緊急の本船スペース確保についてのお願い。 | 物流ニュース・物流ラジオ

実務の話。緊急の本船スペース確保についてのお願い。

どうもこんにちは、飯野です。 今日は、緊急の本船スペース確保の話をしていきたいと思います。 ここ最近5件くらい、新規のお客さんやほとんど取引がないお客さん、または海外代理店さんから急なスペース確保の依頼ありました。 今週積み込みでなんとか、という急な依頼でした。 その件を踏まえながら、実務のお話をしていきたいと思います。 2021年10月27日イーノさんの物流ラジオ 慢性的なスペース不足 コロナ前なら割と対応はできていましたが、今のスペース不足の状態で一週間前だとかなり厳しいのが現実です。 他のフォワーダーさんが取れず、弊社に依頼を頂いていると思うので、頑張って対応をするようにはしています。 そんな中で、他のフォワーダーが取れた、スケジュールがちょっと遅い、海上運賃が高いなど、色々な理由があって取引に至らないケースがあります。 それはそれでビジネスなので、仕方がないとは思います。 でもこれが数回続くと、弊社としてもサービスを提供するのが難しくなってきます。 スペース確保の困難 他のフォワーダーさんがスペース取れない中、弊社も取りにくいのは変わりません。 そんな中、弊社も色んな船会社に聞き回ってスペースを取っています。 ポチッと簡単にスペースを取っているわけではなく、正直なところ、結構労力がかかっています。 既存のお客さんであれば、いつもお世話になっているので、もちろん全力で頑張らせていただきます。 新規のお客さんで必要なときにだけ依頼があり、スペース取れたけど、結果的にいらないと何度も言われるとかなりしんどいのが正直なところです。 サービス業として これは弊社だけではないと思います。 他の会社で営業マンによっては、そもそも対応をしない、または今回限りで次回以降はない、とかになると思います。 特に今のスペース不足・コンテナ不足で現場はかなり厳しい状況に置かれています。 フォワーダーなのだから、ちゃんとコントロールを、と思われるかもしれないですが、今のサプライチェーンの乱れは異常な事態です。 とはいえ、たまに緊急なケースがあるのは理解できます。もちろん、そこはサービス業として頑張って対応はさせていただきます。 でも状況が状況なので、お客様には十分な在庫をやっぱり持って欲しいと思います。 また、Bookingの予約は余裕を持ってお願いします。 お客様へのお願い 1−2回なら新規のお客さんでも、キャンセルなっても仕方がない面はあります。 けれど、必要なときだけ依頼し、結果やっぱりいりません、というやり方だと、対応してくれるところは少なくなってくると思います。 どちらのポジションが強いとかの話ではなく、商売として、お取引関係として、そしてそれは、人間関係にもつながってくる問題だと個人的には思います。 まとめ 特に年末に向けてスペースは確実により少なくなってきます。 今年ほどではないかもしれませんが、来年以降もスペース不足はある程度続くとみられています。 コロナ前のようなスペースがガラガラということはないので、余裕を持ったサプライチェーン・マネジメントをお願いします。 また、業者との関係も良好に、と。今回は以上です。 ありがとうございました。