column

物流ニュース・物流ラジオ

LA港・LB港の沖待ち悪化で LA港平均待機日数 21.5日!中国でも「過去20年で最悪」状態 | 物流ニュース・物流ラジオ

LA港・LB港の沖待ち悪化で LA港平均待機日数 21.5日!中国でも「過去20年で最悪」状態

どうもこんにちは、飯野です。 今日はLA・LB港湾の混雑は全く改善せず、またアジアも深刻で、「過去20年で最悪」というニュースがありましたので、それについてお話していきたいと思います。 2021年10月26日イーノさんの物流ラジオ LA港、LB港で沖待ち悪化 10月22日時点、LA港、LB港の入港待ちコンテナ船は76隻もあります。以前から全く改善が見られない状態です。 船社関係者によると、「船が北米から戻れずスケジュールはガタガタ。もはや定曜日サービスを維持できない」とのことです。 中国各港でも沖待ちは常態化しており、「過去20年で最悪の状況」との声が強まっています。 現在の平均待機日数 LA港:21.5日 LB港:11日 上海からLA港までの航海日数は約12日なので、これがどれほど長いかわかるかと思います。 改善の兆しは? 米バイデン大統領はLA港の24時間稼働を関係者に協力を求めているものの、現時点では改善効果は見えてきていません。 また、以前のニュースで、ウォルマート、ターゲット、Fedexなど大手荷主も引き取りを24時間体制で協力し、それにより3,500個/週を多く取り出せると発表があったとお伝えしましたが、全く足りてないのが現状です。 中国でも過去20年で最悪の状態 中国の上海港、寧波港、塩田港、また香港でも平均2−3日の入港待ちが発生しており、今は全くスケジュール通りには進んでいません。   これはコロナ感染により、港湾の作業員不足でコンテナの目詰まりが港で発生してしまったことが一因です。 一度発生してしまった目詰まりは、やはりそう簡単には解消されません。 港の自動化 マースクのグループ会社の港湾部門APMターミナルズが中国の港湾荷役機器メーカー最大手の会社と、アライアンスの覚書を締結したと発表がありました。 これは、コンテナ荷役機器の自動化を含む、自動化ソリューションを共同開発することが狙いです。 両社は既に23年に及ぶ取引関係があり、APMターミナルズ(マーススクのグループ会社)はイタリア・メキシコ・モロッコなどのターミナルで導入実績があります。 デンマーク・オーフス港では先日、自動ストラドルキャリアの実証実験を開始したと発表しています。 2022年7月、北米西岸の労働協約失効により交渉がスタートしますが、そこで、港の自動化がテーマになり、労働者の間で一悶着起こりそうです。 とはいえ、マースクのグループ会社の例もあり、港の自動化は進んでいきます。 将来的にはよりスムーズなサプライチェーンになるのではないかと期待をしています。

CO2の分離・回収・貯留について解説しました。CCS, CCUSについて。 | 物流ニュース・物流ラジオ

CO2の分離・回収・貯留について解説しました。CCS, CCUSについて。

どうもこんにちは飯野です。 今日は、CO2の回収についてお話していきたいと思います。 海事新聞で「川崎汽船・三菱造船・日本海事協会が船上CO2回収に世界で初めて成功」という記事があったので、これについて考察を交えて話していきたいと思います。 2021年10月25日イーノさんの物流ラジオ 海上でのCO2回収 陸上でのCO2回収はすでに設備等ができていますが、海上でCO2を回収したのは世界初です。 10月20日に、川崎汽船と三菱造船は日本海事協会(NK)と共同で、船上でのCO2(二酸化炭素)分離・回収の実証試験に成功したと発表しました。 石炭船に小型デモプラントを搭載しましたが、このデモプラントは陸上プラント用を洋上向けに転用したものです。 これのエンジンの排ガスから純度99・9%のCO2を分離・回収し、今後、商用実機に向けた課題整理と研究開発に力を入れていくとのことです。 CCUSとCCS 脱炭素ということで、CO2を出さないことに注目されてきましたが、実際は回収し、保存されていたんですね。 環境省では現在、二酸化炭素回収・有効利用・貯留(CCUS: Carbon dioxide Capture,Utilization and Storage)に力を入れています。 1992年、アムステルダムで開催された第1回CO2回収に関する国際会議において、既にCO2回収の動きはありました。 2005年以降、CCS(CO2の回収・貯留)(Carbon dioxide Capture and Storage)技術が現実味を帯びていきます。 分離・回収のやり方 CO2は水に溶けるので、特殊な液体に入れて加熱して分離・回収する方法、また、最近では固体吸収剤に閉じ込める方法も出てきています。 三菱重工がCO2の分離・回収設備で有名で、世界14カ所で回収装置を設置、7割超のシェアを占めています。 貯蔵のやりかた S(Storage)はどこに貯留するのかというと、現在は地中に入れています。 回収したCO2をパイプラインなどで輸送し、圧縮して地下の貯留層にとじ込めるのが一般的です。 石油や地下水を長期間封じ込めていたような安定した地層ならば、CO2の隔離も長期間可能なはずだという考え方があります。 けれど、貯留場所にも限りがあり、現在のCO2排出量だと世界で65年以上~100年分のCO2の貯留可能と言われています。 日本だと北海道の苫小牧にCO2の回収と滞留の施設があります。 CO2の液体化 他にはCO2を液化して海上輸送する方法もあります。 CO2を回収、貯留地までパイプで送って、圧入するにはCO2、1トン当たり30USDほどかかります。 また、先ほど話したように貯留する地域(地層)は限られています。 回収地点から貯留地までの距離が大きく離れる場合は、パイプラインより海上輸送の方がコストが低くなることもあるんですね。 液化CO2船への注目 液化CO2船は世界で5隻しかありません。全てノルウェーの海運会社ラルビック・シッピングが船舶管理しています。 もともと飲料ガスなど向けに運航されていたものですが、最近では、CCUS・CCSの事業化が進む中で世界的に注目が集まっています。 商船三井はラルビックに出資し、液化CO2輸送事業に参入し、国内でも液化CO2船の開発を進めています。 コストの問題 CO2の回収地点から貯留地までの距離が100~200キロメートル程度離れると、海上輸送のコストはパイプラインを下回り、安くなります。 世界のCCSの平均コストはCO2を1トンあたり、地中まで入れるまでに80USDから100USD程度かかります。 その内訳として60USDからUSD程度は分離・回収工程が占め、この工程のコストダウンが急務とされております。これに関しては、世界中で国をあげて取り組んでおり、日本は環境省が行っています。 分離・回収も技術を進めてコストダウンを進めていて、日本では今、2050年までに1トン当たり10USDを目指しています。 CO2の有効活用 CO2の有効活用も(CCUS)も重要です。 近年では、技術も発展したため、CCS(回収・貯蔵)だけでなく、有効活用していこうという動きがあります。 活用法としては、ビニールハウスで植物・野菜にCO2をあげたり、基礎化学品(メタン、メタノール、オレフィンなど)への変換などがあります。 メタノールは船舶燃料としても注目されていて、大手船会社Measkも注目し、メタノール焚きの船を作っています。 CO2削減への動き EUは2030年のCO2排出削減量を従来の1990年比40%減から更に55%減に引き上げる法律を承認しました。 今後、CO2の削減が一層強まっていきます。 目標を達成するため、企業やベンチャーキャピタルなどの投資家は、CCUSを手掛ける企業への出資や提携に乗り出していて、2021年のCCUS企業の資金調達額は前年比3倍、11億ドルに達する見通しです。 脱炭素について、現在回収・貯留が行われていますが、留めておくところにも限界があります。 最初から出さないことももちろんですが、冒頭で申し上げたように、海上での回収にも成功したので、今後は回収についても注目だと思います。

フォワーダーを選ぶ理由!フォワーダーには得意・不得意があります。 | 物流ニュース・物流ラジオ

フォワーダーを選ぶ理由!フォワーダーには得意・不得意があります。

どうもこんにちは、飯野です。 今日はフォワーダーの得意と不得意というテーマでお話をしていきたいと思います。 最近はおかげ様で日本や海外からいろんなお問い合わせをいただいております。ありがとうございます。 タイに来て8年、物流をずっとやっており、タイに関する国際物流に関しては自負があります。とはいえ、フォワーダーには得意・不得意があります。 2021年10月21日イーノさんの物流ラジオ 物流の仕事 物流にはいろんな貨物の種類、輸送手段があります。 ざっくりお話しすると輸送だと、海上、航空、陸送、鉄道輸送があり、その中で海上輸送を細かく分けると、ドライコンテナ、リーファーコンテナ、オープントップコンテナ、フラットラックなどがあります。 また、貨物内容でいうと、普通品、重量物、危険品、食料品や化粧品があります。 中でも重量物は取り扱いが難しく、危険品はクラスが1から9まで分かれており、さらに食品や化粧品などは他法令が絡んできます。 石炭やスクラップなどカサの大きい貨物にはバラ積み船を手配し、車の輸送にはRORO船を手配しなければいけません。 また、送り先の各国の代理店との協力も必要不可欠です。 幅広い業務への対応 そこに、通関、倉庫、梱包などが加わり、かなり幅広い業務で、それに対する幅広い知識が必要となります。 国によって違うローカルルールへの対応もあります。なので、知識と経験は非常に重要だと思います。 取扱量の違い また、得意・不得意の中には取扱量も関連してきます。 特定の地域に大量に定期的に貨物を出している場合は、ボリュームディスカウントをしてもらえますが、あまり出したことない地域だと定価となってしまいます。 弊社の場合、アジア、インド、メキシコなどは定期的に対応していますが、アフリカのガーナやエチオピアなどはたまにスポットでいただくので、値段はそれほど安くご提供はできません。 特化している中小企業 中小の場合、幅広く扱っている会社ももちろんあり、大体のことは対応可能だと思います。 それでも、中には特化している会社もあります。 弊社の日本の代理店であるジャパントラストさんは北米向けのオーバーゲージに特化しています。フォワーダーの北米向けランキングでは世界で6位にランキングしているほどです。 フォワーダーは自社の得意を活かし、不得意はパートナーと補っていくことがいいのではないかと個人的には考えています。 タイの物流がありましたら、是非イーノさんへお問い合わせください。

DHLが5.9%値上げ!物流業の値上げについて。日本は? | 物流ニュース・物流ラジオ

DHLが5.9%値上げ!物流業の値上げについて。日本は?

どうもこんにちは、飯野です。 今日はウォール・ストリートジャーナルのロジスティクスレポートに「DHL、米国内の荷主への料金を5.9%値上げ」というニュースがありましたので、それについて考察していきたいと思います。 FedExも同じくらい値上げを発表し、それにDHLが続いている形です。 2021年10月20日イーノさんの物流ラジオ アメリカ物価上昇 現在、アメリカの物価は上がっており、10月13日時点でアメリカの消費者物価指数(CPI)が前年同月比 5.4%アップしています。 FRBが物価上昇の目安を2%程度としているので、5%越えが5ヶ月連続している状態は、かなり物価が上がっているとわかります。 昨年との物価比較 ツイッターで流れてきた情報によると、2020年9月と比較した2021年9月は 中古車:24% 新車:9% ステーキ:22% ホテル:20% 卵:13% 鶏肉:7.6% りんご:7.8% それぞれ物価が上がっています。アメリカは景気回復し、消費が上がっています。 物流面で言えば、コロナの影響もありますが、サプライチェーンの乱れにより、海上運賃が高騰しています。 またクリスマス需要に向けて、アメリカの倉庫オペレーションなどのサプライチェーンでは、人件費を上げて人材確保に乗り出しています。 DHLの値上げ DHLに話を戻しましょう。 先月、急増するeコマースのボリュームに対応するために、アメリカでの施設のアップグレード、施設の追加、貨物船の増強に3億6000万ドルを投資すると発表しました。 このため、今回の5.9%の値上げに踏み切ったようです。 物流費用の値上げ 日本はむしろデフレの状態ですが、業界のトップが値段を上げることにとても意味があると個人的には考えています。 これまでは物流費用は下げてなんぼという雰囲気があったんですね。 弊社も創業当初は値段で勝負してきました。 企業努力でオペレーションコストを下げて、まずはコストメリットを提示し、サービスを体験してもらって、そこから継続していただいています。 けれど、これからは値段だけで勝負はできません。 実際、弊社は現在、リーズナブルではありますが、最安値ではありません。価格を叩いてくる会社さんとは取引しない姿勢でいます。 ここで大切なのは企業の特徴、差別化になってきます。 弊社ならタイからのスペース確保の強さ、また、物流ノウハウの発信などのコンテンツです。 物流コストのイメージ 以前、日本で「送料は無料じゃない」というキャンペーンありました。 日本の消費者さん、企業さんの中では送料に対して、きわめて低いものというイメージが根付いてしまっている気がします。 値下げは、利益を削って行えるものなので簡単ですが、値上げは先ほどお伝えしたように、企業の差別化を図っていかなければならず、簡単ではありません。 事実、値下げしたら仕事は取りやすいですが、とはいえ、値段だけで勝負していくのは難しいところだと思います。 業界である程度の値段を保つということは個人的に大切なことだと思っています。 まとめ これまでは物流コスト削減という風潮がやっぱり強く、コスト削減には、まず先に物流コストが出てきてしまいます。 物流業者さんは、無理な値下げはしない方がよいと思います。確かに仕事はとりやすくなりますが、経営がシュリンクしていってしまっては意味がありません。 アメリカは今インフレなので、値上げも可能ですが、そこではコストが上がったら、売値も上げるという健全な経営ができています。 なかなか売値を上げるのが難しい日本の風潮を考えると、見習うものがあると思いました。

次世代船舶燃料、アンモニアについて解説しました。 | 物流ニュース・物流ラジオ

次世代船舶燃料、アンモニアについて解説しました。

どうもこんにちは、飯野です。 今日は、海事新聞に「飯野海運、三井物産向けにアンモニア船に再参入」というニュースがありましたので、それについて話をしていきたいと思います。 船舶燃料として低炭素のLNGだきの船が2023年以降に導入されていく予定です。 先ず、LNGが導入され、次世代燃料としてアンモニアが注目されています。 2021年10月19日イーノさんの物流ラジオ 燃料としてのアンモニア 2021年2月、経済産業省で「燃料アンモニア導入官民協議会」が行われ、現在の需要はほぼゼロである燃料アンモニアを、2030年に300万トン、2050年に3,000万トン導入するロードマップを公表しました。 このアンモニア調達として注目すべきは三菱商事と三井物産です。 三井物産はアンモニアのトレーディングで有名で、日本への輸入の半分くらいを手がけています。 アンモニア原料は天然ガスを使っており、原料が安いインドネシアから大量に生産し、輸入しています。 LPG燃料 今回のニュースの飯野海運が作っている三井物産向けのアンモニア船は2023年12月に竣工予定とのことです。 この船の面白いところは、アンモニア運搬船としてだけではなく、将来的にアンモニアを燃料とした船に出来る設計となっているところです。 更にアンモニアのほか、LPG(液化石油ガス)も輸送可能な次世代船でもあります。 LPGは重油と比べてCO2排出量が少ない燃料で、この船は状況に応じてはLPG燃料を運んだり、LPGを燃料にしたりといった方向転換が可能な船となっています。 水素キャリアとしてのアンモニア 燃料としてのアンモニアもそうですが、水素キャリアとしてのアンモニアも注目されています。 水素キャリアとは、水素をアンモニアにして輸送・貯蔵することです。 ざっくりいうと、水素はH2、アンモニアNH3ですよね。 そこで、水素分子(H2)に窒素原子(N)と水素原子(H)を足したらアンモニア(NH3)になります。 つまり、水素をアンモニアに変えて、実際に使用するときにアンモニアから水素に変えての対応ができるようになるということです。 水素の液体化の必要性 アンモニアにするのは、水素を燃料として保管するために液体化する必要があるからです。 水素は、-253度まで下げないと液体になりません。更に、液体にした時の体積は重油の4.5倍にもなり、保管スペースがかなり取られてしまいます。 一方、アンモニアの液体化の条件は、普通の気圧で-33度、または常温で8.5気圧なので、水素に比べると比較的簡単で、液体化したときの体積は重油の2.7倍と、スペースの問題でも水素より扱いやすくなります。 アンモニアの懸念事項 アンモニアはすでに肥料で輸送・貯蔵のノウハウが確立されています。 アンモニアの毒性が懸念事項ではありますが、臭気と急性毒性については直接吸入や直接接触した場合に急性毒性はあるものの、空気中や水中で急速に分解するので、通常、人が臭気や急性毒性を直接吸入や直接接触する可能性は低いと考えられています。 注目の次世代燃料 次世代燃料として、まずはLNG。これはすでに実績があり、船舶もLNGだきのものが作られています。 次に来るのはアンモニアではないでしょうか。こちらは輸送と貯蔵のノウハウがありますが、エンジンはまだできていません。これから開発が進んでいくと思います。 そして水素キャリアとしてアンモニアを使うことができるので、まずアンモニアが燃料として普及して、インフラもアンモニアよりになると個人的に思っています。 水素が究極のクリーンエネルギーと言われておりますので、水素を燃料とするのが最終段階なのではと考えています。 船舶燃料はとても興味深く、まだ技術、インフラが追いついていないですが、次世代燃料としてアンモニアがかなり注目されているので、随時情報を発信していきたいと思います。

「中国の石炭輸入増」&「北米西岸港湾の24時間稼働」から海運市況を考える。 | 物流ニュース・物流ラジオ

「中国の石炭輸入増」&「北米西岸港湾の24時間稼働」から海運市況を考える。

どうもこんにちは飯野です。 今日は海事新聞で「中国で石炭の輸入量が増加」というニュースがありましたので、これについて考察を交えながら話したいと思います。 2021年10月18日イーノさんの物流ラジオ 中国の石炭不足 先月末、国慶節前に中国で電力不足が発生し生産が終わらず、船のキャンセルが続出しました。 その為 中国から北米のスペースが投げ売りされ、40フィート当たりUSD 15,000だったものがUSD 8,000あたりまで値下がりしました。 実際、弊社でも国慶節中のスペースはかなり取りやすかった印象です。 この電力不足は石炭不足が理由で、中国の電力不足に影響を与えています。また中国は脱炭素に向けて、石炭での火力発電を減らしていこうという流れも影響をしています。 しかし実際は、電力不足で工場が止まる状況に陥ってしまい、改めて中国政府は石炭の採掘量の増加を決め、更に石炭の輸入量も増加しています。 輸入はインドネシアからだけでなく、アメリカ、コロンビア、南アフリカにも及んでいます。石炭の供給が回復し電力不足が回復すると、製造業も通常通り稼働することが出来ます。そうなると本船スペースが埋まっていくようになるでしょう。 北米港湾24時間稼働 また、アメリカのバイデン大統領は10月13日LA港、ロングビーチ港にて港湾を週7日、24時間稼働にすると発表しました。 それに伴い、計6社、ウォールマート、FedEx、UPS、ホームデポ、サムスン、ターゲットは夜間シフトを増やし、協力していく姿勢を見せています。 しかしワシントンポストによると、ロングビーチの港湾関係者は、24時間稼働するターミナルの数はどうなるかわからない、と発言しています。 LA港やロングビーチ港など大きな港湾には複数のターミナルがあり、今回の24時間稼働に対応するターミナル数は未定ということです。 クリスマス商戦に向けてスペース不足 更に、ホワイトハウスは同6社の対策強化によって、年末までのコンテナ輸送量が週当たり3,500個増えると予想していますが、正直な感想としましては全く足りないと思います。 というのも、10/14時点の沖待ちコンテナ船は62隻。船のサイズにもよりますが、大きい船だとコンテナを1-2万本積んでいます。 LA港、ロングビーチ港で予想されているコンテナ取扱量: 9月 90万TEU 10月 92万TEU 11月 90万TEU これを見てもわかるように、実際、少しは良くなるだろうけれども、数としては需要に追いつくのは難しいと思います。 実際、バイデン政権としても、来月すぐに始まるクリスマスシーズンの物流混乱回避は保証できないと発言しています。 まとめ 以前の記事で中国が電力不足となり、中国の工場の生産が滞り本船スペースに余裕が出来るかもとお伝えしました。 しかし中国政府は電力不足対策で石炭の輸入を強化し、北米では港湾が24時間稼働を始めます。 北米西岸の24時間稼働は現在の混乱を早急に回復させるものではなく、時間をかけながら貨物の目詰まりを解消していくものになるでしょう。 このことから国慶節前の運賃が下がったのはやはり一時的なものであり、来年までスペース不足は続くのではないかと思います。 一旦発生した目詰まりは、そう簡単には解消しないと個人的には感じています。

海運市況を説明している理由!物流ラジオの使い方。 | 物流ニュース・物流ラジオ

海運市況を説明している理由!物流ラジオの使い方。

どうもこんにちは、飯野です。 昨日の動画・ラジオがYouTubeのおすすめにのったので、多くのチャンネル登録いただきました。ありがとうございます。 そこで改めて、このチャンネルが何を発信しているのか話していきたいと思います。 日々の物流のニュース、国際物流、サプライチェーン、フォワーダーに関することなど、物流に関する一般的なことを発信しているチャンネルです。 2021年10月15日イーノさんの物流ラジオ メインテーマは海運市況 海運の市況をテーマに頻繁に話していますが、私が今、タイでフォワーダーとして、コンテナ船の海上運賃、スペースの状況は実務やっている現場の人間にとっては、凄く重要な情報です。 お客さんも彼らのお客さんに、またお客さんの上司に海運市況を説明しなくてはいけないので、物流関連のニュースを集めて、私の考察をお話しさせていただいています。 海上運賃、スペースの動向に触れているので、ONEつまり、邦船3社(日本郵船、川崎汽船、商船三井)にも関連することになります。 そこで、海運株をされている方の目にも止まるようになっているようです。 海運株はご自身の判断で まずご理解頂きたいのは私は海運株のプロではないですし、海運株の投資家様に向けたコンテンツとして発信をしておりません。 私のコンテンツを各投資家様たちがご自身のご判断で参考にして頂くには結構ですが、投資はあくまで自己責任でお願い致します。 昨日の放送で、円安で邦船3社が増益するかもしれないという話をしました。 邦船が自社船の保有率を高めることによって、中長期的に海上運賃が安定するかもしれないというのがメインの考察です。 とはいえ、一応 私も株はやっています。 メタネックスのいうカナダの会社の株を買っています。というのも、業界大手のマークスがメタノールで動く船を導入したというニュースがあったからです。 2023年以降、脱炭素に向けての燃料のひとつとして、メタノールが注目されていくだろうと考え、投資しています。 脱炭素で注目されている燃料 他には、アンモニア、水素の燃料も注目されています。 アンモニアは肥料で既に実績があるので、保管や輸送のノウハウがありますが、燃料に関してはエンジンがまだできておりません。 温室効果ガスを発生させるNOXをどのように抑えていくか、毒性への対策などの開発の必要があります。 水素に比べると、肥料での実績があるので、早く開発されるかもしれません。水素はインフラの時点でまだまだだという印象です。 水素といえば、トヨタが今、水素を燃料とした自動車に力を入れていますね。 これから世界でどれくらい水素ステーションがインフラとして整っていくか、というのがポイントとなっていくのではないでしょうか。 EUは、2035年にガソリン・ディーゼル車を禁止すると宣言し、それに合わせて、ホンダが2040年にガソリン・ディーゼル車をやめると発表しています。 EVの時代と物流業界 もしFCVの時代がこなかったら、確実に国際物流業界にも影響がでてきます。 ガソリンからEVに変わると、車のパーツが2/3か半分になると言われており、そうなると自動車の製造産業がかなり縮小してしまいます。 なので、将来に向けてフォワーダーとして、単にものを運んでいるだけではダメだと痛感しています。 これからは、AI、Saas、IOT、などが重要になってくるでしょう。 物流業界のDX 個人的に、デジタルプラットフォーム、トレードレンズのブロックチェーン(書類管理)に関連することで何かできないかと、動いています。 物流業界のDXがこれから伸びていく領域であると考えています。物流業界はコンサバでデジタル化があまり進んでいないので、伸び率は十分にあると思います。 このような感じで、単に海運会社の株価や指数だけを見るのではなく、もう少し広い視点で経済全体を見ていく必要があると思います。 今後も、物流に関連している情報発信していきますが、面白い、参考になる、と思われた方は、是非引き続きチャンネル登録、フォロー、シェアしていただけると嬉しいです。

円安により増益か!?邦船社、自社船保有思考強まる。 | 物流ニュース・物流ラジオ

円安により増益か!?邦船社、自社船保有思考強まる。

どうもこんにちは飯野です。 今日は、海事新聞のニュースで「邦船大手の業績が上振れするかもしれない」という記事があったので、それについて話していきたいと思います。 今為替が113円でかなり円安に触れています。 円安によって、日本の邦船、日本郵船、商船三井、川崎汽船の業績が上振れするかもしれないということです。 2021年10月14日イーノさんの物流ラジオ 現在の収益予想 2022年3月期の連結経常利益予想: 日本郵船:5,000億円(前期比2・3倍) 商船三井:3,500億円(前期比2・6倍) 川崎汽船:2,750億円(前期比3倍) この凄い金額から更に上振れするかもしれないという予想です。 3社でコンテナ船事業統合しており、そのONEの大幅増益を主因に、3社そろって過去最高益を更新する見込みということです。 円安で増益する理由 なぜかというと海上運賃はドルベースで取引されています。なので円安になると、ドルから円にした時に金額が大きくなるからです。 例えば 1ドル100円 1ドル120円 この場合、同じ1ドルでも20円も違いますよね。 よって、この円安により、今の海上運賃の収益がかなり変わってくることになります。 各社の下期の為替レート 各社の下期(10月―来年3月)の為替レート前提があり、日本郵船が1ドル=105円、商船三井が110円、川崎汽船が105円でレート設定しています。 更に、1円の円安により見込まれる増益効果は、 日本郵船:通期ベースで40億6000万円 商船三井:7月- 来年3月の9カ月間で最大26億円 川崎汽船:9カ月間で4億円 たった1円の円安でこんなに金額がふれ、増益となります。 邦船大手船会社の自社船思考強まる 昨日のニュースに邦船大手の船会社が、自社船思考を強めるとありました。 いま、船会社はキャッシュがたくさんありますので、用船の割合を減らしていこうとしています。 用船とは他の会社が所有している船を借り、船会社がオペレーションをすることです。これまでは財務改善を目的に中長期の用船を使っていました。 用船を使うと、自己資金や借入金がいらないので、財務負担が軽減します。 今年の3月末時点の上記邦船3社の用船は6割強を占めていましたが、財務が改善してきた今、用船する必要はなくなります。100%自社船になることはないですが、用船の割合を減らしていく方針です。 用船と自社保有船 過去には船の巨大化、海運市場の不景気などのため、アセットライト戦略という「自社で船を持たず」、用船を中心にしてきました。 しかし、自社保有船なら荷主と3−5年契約をして、契約満了のときに状況次第で売ることが出来ます。 船主から長期用船している場合、不景気によって減船するとペナルティーが発生しますが、自社の船だとこれは発生しません。 このまま船会社が自社船舶を増やしていくと、主導権が船会社に行きそうな気がします。 自社船舶の利点 これに関しては、個人的には悪いことではないと思います。荷主の中には、極端に安い価格を言ってきたりするケースもあります。 そういった場合、自社船舶であれば無理してスペースを埋める必要がなくなります。これまでは用船料のためスペースを何とか埋めていましたが、自社船舶であれば、ある程度は許容ができるからです。 海運業界の極端な安値を制御 あまりに安く売ると、市場を壊してしまうことになりかねます。 高すぎるのもどうかと思いますが、安すぎては船会社潰れてしまいます。 それはインフラが無くなるのと同じことですので、荷主の人は運賃を叩くというのはやめて欲しいと個人的には思っています。 これによって海運業界の数年後はどうなるのか?楽しみにしています。業界に携わる人間としては、安定した市況が続いてい欲しいという思いです。

フォワーダーの転職について。営業マン月収100万以上? | 物流ニュース・物流ラジオ

フォワーダーの転職について。営業マン月収100万以上?

こんにちは飯野です。 今日はフォワーダーの転職について話したいと思います。 日本でも転職は昔よりも浸透してきたと思いますが、タイの転職事情はより活発である印象があります。 2021年10月13日イーノさんの物流ラジオ タイの転職事情 1、2年で転職を繰り返している人も多く、そういう人たちはJob Hopperとも呼ばれ、転職を繰り返して、自分の年収を上げていく人もいます。 ジョブホッピングが悪いとは言いませんが、ネガティブな転職はお勧めはしません。 環境や上司が合わない、仕事が面白くない、などという理由で転職しても、転職先でまた同じことが起きないとも限らないからです。 転職で心掛けること 転職で大切なことは、実績を積み上げること、日々の業務をしっかりすることです。 フォワーダーであれば正確性が求められたり、営業マンであれば顧客の獲得や拡大が大切となります。またマネージャーの場合、チームがどれほど結果を出してきたか、も重要です。 このように日々の活動、結果が転職で求められます。 フォワーダーの営業について フォワーダーの営業について更に話していきます。 フォワーダーの営業の仕事は大体どこの会社でもほぼ変わりありません。しかし、会社によって強みは違います。自分の強みとマッチした会社を探せば、経験を活かし、また入社後のミスマッチングも起こりにくくなるでしょう。 営業マンの年収 営業マンの場合、コミッション制をとっている会社が多いです。仕事を取れば取るほど収入が上がる仕組みとなっているので、弊社でも優秀な営業マンはコミッションだけで100万近く稼いでいます。 これがタイの話なので、欧米の場合ではもっと稼げるかもしれません。 会社の強さと他部署との連携 営業マンの実力はもちろん大切ですが、会社の強さ、実力も大きく影響します。 今、北米のスペースがとりにくいですが、営業マンがどれほど優秀でも、会社がスペースを取れなければ売れるものもなくなります。 大型設備のノウハウがあるかどうかも重要です。プロジェクトカーゴの場合は一回の輸送の金額が大きいので、利益が取れるからです。 また、カスタマーサービスの質も大切となってきます。 営業マンが優秀であっても、その会社のカスタマーサービスがうまく連携が取れていなかったり、カスタマーサービスのミスが多かったりすると、お客様の印象はだいぶ変わってしまいます。 コミッションのリスク フォワーダーのコミッションはリスクもあります。 安定な収入を目指す営業マンは、ある程度の固定給にボーナスで稼ぐ道もあります。歩合制では、売れない営業マンは、もちろんコミッションを得られないため、ボーナスなどで安定な収入を目指すことになります。 問題への対応力 フォワーダーの仕事はとにかく問題が多いです。国際物流は何かしら問題が発生します。 嵐で船の遅延など自分たちではどうしようもない問題も起こりますし、海外の代理店の対応も日本のようにスムーズにはいきません。 通関が通らず、デマレージが発生したり、船会社の抜港などでスケジュールが崩れる、値上げなどはしょっちゅうです。このような問題に柔軟に対応していくスキルが大切となっています。 フォワーダーの営業をやってみたい、今フォワーダーの仕事をしていてほかの会社に興味があるという人の参考になればと思います。

食品の輸入通関について!簡単ではありませんよ。 | 物流ニュース・物流ラジオ

食品の輸入通関について!簡単ではありませんよ。

どうもこんにちは飯野です。 今日は食品の輸入通関についてお話ししていきたいと思います。タイにある弊社でも多くの日系企業様から食品の取り扱いにつてご相談を受けます。 現在 弊社では新規のFDA登録のご依頼はお断りしているのですが、今回の内容では食品の取り扱いのハードルは低くないことをお伝えしたいと思います。 2021年10月11日 イーノさんの物流ラジオ なぜ食品の輸入通関は厳しいのか? 人の口に入れるものを許可なしに輸入することは出来ません。万が一 食中毒が発生したり、最悪の場合は人の死に繋がる可能性もあるからです。 その為に各国の税関では水際で危険な可能性のある食品をストップする役割があります。 冷凍マンゴーの輸入の例 例えば、現在 弊社はタイから日本に冷凍マンゴーの輸送を請け負っています。日本での輸入通関では植物検疫証明書だけでなく、毎回 大腸菌の命令検査があります。 この命令検査で基準値以上の大腸菌が検出されてしまうと、日本で全量廃棄。もしくはタイにシップバックしなければいけません。 食肉・ドライカレーの輸入の例 また肉の輸入も簡単ではありません。日本からタイへの問い合わせで多いのはドライカレーの輸入です。 カレーの多くの場合は肉が使われているので、家畜伝染予防法や食品衛生法の為の書類が要求されます。 お皿・コップでも申請が必要 他には、お皿やコップの輸入を簡単に捉えている人もいるようです。お皿やコップは人が食べるものではありませんが、人が口をつけるものです。 その為に成分表、試験表、製造工程表などの提出が求められます。万が一、お皿やコップにヒ素やダイオキシンなどが含まれていたら大問題です。 食品だけでなく、間接的に人の口に入る・着くものにも登録や許可申請が必要になります。 個人事業主はご注意ください また個人事業主や個人輸入をしている人たちは、食品の輸入に関してのリテラシーをもう少し上げる必要があると思っています。 食品などでの個人輸入は、基本的には自分が使う為のものです。その為に自己責任の上で数量が限られた条件で、成分表・試験表などの書類を提出する必要はありません。 それを転売目的で輸入することは認められていません。 小規模事業者の商取引の場合、輸出側も必要書類の提出を拒むケースもあります。その為に大量に注文している商社などがスケールメリットを活かし、合法的に輸入をするスキームが成り立っているのです。 食品の販売には本気度が必要です これはタイへ日本の食品を輸入したいというお問い合わせからなのですが、販売者の本気度が重要になります。実際にタイでは日本の食品は需要があるのですがライバルも非常に多い状態です。 そんな中でとりあえず販売してみようと思っている日系企業様もいるのですが、本気度がないとかなりの確率で売れないでしょう。 テスト販売であってもFDA登録は必要です。初回に在庫をもって販売しようとしてもFDAの本登録は必要ですが、その後の継続販売に繋がるかどうか。ここが通関業者からしたら大切な要因になります。 FDAの登録に手間と時間と費用が発生しますし、継続販売に繋がらないビジネスの場合 どうしても手数料が高くなりがちです。 その為、食品の販売者の本気度がないとビジネス自体にならないというのが私の考えです。