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輸送・ロジスティクス

保税地域について | 輸送・ロジスティクス

保税地域について

保税地域について動画で解説 どうもこんにちは。飯野です。 今回は保税地域というテーマでお話をしていきたいと思います。 以前の動画でも説明しましたが、貿易や国際物流には保税というものがあります。保税とは国内にありながらも、外国の貨物の扱いとなっている状態のことです。 詳しくは「保税の基礎」という動画で詳しく解説していますので、そちらをご覧ください。 この保税状態になった貨物を保管出来る場所は決まっていて、保税地域と呼ばれます。今回は保税地域の目的と機能を、詳しく見ていくことにします。 それではいってみましょう! 5つの保税地域 まず保税地域には、機能と目的によって次の5つの種類があります。 ・ 指定保税地域 ・ 保税蔵置場 ・ 保税工場 ・ 保税展示場 ・ 総合保税地域 今回説明している内容は日本の関税法に基づいたもので、他国の場合は名称や制度が異なりますのでご注意ください。 一つずつ見ていきましょう。 指定保税地域 まずは指定保税地域です。指定保税地域は国や地方公共団体などが所有し管理する、土地および建物などの 公共施設において、日本では財務大臣が指定した場所です。 この保税地域が国際物流で必ず利用される、コンテナヤードのことで、船から積み下ろした外国貨物を一時保管することが出来ます。また税関手続の簡素化、迅速化のために、各地の税関の近くに設置されています。 保税蔵置場 次に保税蔵置場です。保税蔵置場とはフォワーダーなどの自社の倉庫や貨物施設で、税関庁の許可を受けた施設です。いわゆる保税倉庫や上屋等がこれにあたります。 主に貨物の搬入、積み下ろし、保管を目的としています。輸入の場合、保管をしている期間は関税はかかりません。この場所で貨物を仕分けをしたり、ラベル貼りや簡単な作業をすることも出来ます。 保税工場 保税工場は、外国貨物の加工・製造ができる保税地域です。主に加工貿易をするために使用されます。輸入した原材料には税金はかからず、保税工場で加工を加えて再輸出をする事が出来ます。 魚介類の缶詰、菓子、鋼材、電線、船舶、自動車、精密機械など、様々な分野の製品が保税工場で生産をされています。 私が活動しているタイにおいては、FreeZoneと呼ばれる保税地域内に工場があります。国によってはこのように保税工場というものはなく、FreeZone内の工場として存在していると思います。 保税展示場 保税展示場は、外国貨物を展示する会場とされています。 外国貨物を関税を課さずに展示できる場所で、国際的な博覧会や商品の展示場として利用され、簡易的な通関手続で貨物を展示保管する事が出来ます。 もし この保税展示場を使用しない国際展示会であれば、再輸出免税制度やATAカルネを使用して免税手続きを取らなければいけません。 総合保税地域 総合保税地域は、保税蔵置場、保税工場、保税展示場の3つの保税地域の総合的な機能を持っている保税地域とされています。 日本では中部国際空港や横浜国際流通センターなどがあります。 まとめ 今回は保税地域について説明をしました。貿易の初心者の方は、まず大まかに保税地域にはそれぞれ目的と機能があると理解して頂ければ大丈夫です。 次回は貿易において、なぜ保税が重要なのか?についてご説明をします。今回説明した保税地域の内容も関係しています。チャンネル登録がまだの方は、ぜひこの動画の終了時によろしくお願いします。 今回は以上です!ありがとうございました! ・Twitter で DM を送る https://twitter.com/iino_saan ・LinkedIn でメッセージを送る https://www.linkedin.com/in/shinya-iino/ お問い合わせは「ツイッター」と「LinkedIn」のみで承っております。

貿易実務での保税の重要性 | 輸送・ロジスティクス

貿易実務での保税の重要性

貿易実務での保税の重要性について動画で解説 どうもこんにちは飯野です。 今回は貿易実務において保税が重要だという理由について説明したいと思います。 貿易初心者の人のために「保税の基礎」という内容を別の動画で解説をしました。概要欄にリンクを貼っていますので、基礎から学びたい方はそちらからご覧下さい。 輸入貨物には関税・消費税がかかる 貨物を輸入する時には、一般的に税金(関税・消費税)がかかります。しかし輸入において保税状態であるということは、税金をまだ払っていないということです。このポイントが非常に重要です。 現代の貿易においては、製品や原材料を単純に輸出入するだけではありません。各国で違った部品を作ったり、仕入れたりをして、別の国で最終製品に仕上げる加工貿易というものがあります。 加工貿易を理解する 加工貿易のポイントをもう少し詳しく説明しましょう。 製造メーカーが材料を調達する時に、国内で材料調達をするより、生産コストが安い国から調達をする方がコストメリットがある場合があります。それを最終製品に仕上げて、海外(第三国)に輸出するのが加工貿易です。 税金の優遇措置をとらない加工貿易の場合、材料を輸入する時に税金がかかります。そして更に最終製品が他の国に輸入された時にも税金がかかってしまうと、最終製品の価格は必然的に高くなります。 製品価格が高いと価格競争力がなくなり、売りにくくなってしまいますよね。 自動車での加工貿易の例 自動車の生産で例を上げましょう。 タイヤはA国、ハンドルはB国、ブレーキはC国から調達するとします。そして最終的な組み立ては日本。完成した車をアメリカに販売するとしましょう。 タイヤ、ハンドル、ブレーキなどのそれぞれのパーツの輸入で税金(関税・消費税)が日本でかかり、そして完成した車にはアメリカで輸入の税金がかかるという状態です。 アメリカの国産車と比較すると価格が高くて売りにくい!という問題が出てきます。 保税を利用した加工貿易 このような状態を避けるために加工貿易では保税を利用します。ここで登場するのが保税地域を解説する動画で登場した、保税蔵置場や保税工場です。タイではFreeZone内の工場や倉庫もこれにあたります。 輸入において保税状態であるというのは、まだ税金(関税・消費税)を払っていない状態だと最初に説明しました。この保税状態で加工をして、そのまま他国へ輸出をすると部品や材料に対しての税金がかかっていない状態で貿易を取引が出来るのです。 もちろん最終製品の関税・消費税は他国では発生しますが、保税を利用しない場合に比べると価格メリットがあり、競争力が生まれることになります。 色んな種類の加工 製品によって色んな加工があります。自動車のように大きな設備を使って加工を加えるものもあれば、衣服のタグを変えるくらいの簡単な加工もありますし、また加工でなくても 保税状態で仕分け・再梱包などをして再輸出をするケースもあります。 保税倉庫で仕分け・再梱包 例えば、色んな服が1つの袋に入った古着を カンボジアからタイに輸入して、特定のブランドだけを仕分けして、マレーシアに送るというようなビジネスだってあります。 この時にタイでの輸入税を避けるために タイの保税倉庫で仕分け・再梱包をして 輸出をすれば、タイで税金を払い、更にマレーシアで税金を二重で支払うより、安くなりますよね。 展示会貨物の保税 合わせて展示会貨物についても説明をしておきましょう。 国際展示会では各企業が自社の製品を 色んな国で展示することになります。販売ではなく、展示が目的なので展示会が終了したら元の国に戻さなければいけません。 この時に輸入の関税や消費税がかかってしまっては問題なので、保税展示場という施設を利用したり、ATAカルネという仕組みを使って課税されることなく貨物の輸入をするのが一般的です。 まとめ このように現代の国際貿易には、保税を使った メリットのある貿易取引が出来るような仕組みがあります。 このチャンネルでは使える貿易・物流の知識を随時発信していますので、是非チャンネル登録をして学んで頂ければと思います。 今回のお話は以上です!ありがとうございました! ・Twitter で DM を送る https://twitter.com/iino_saan ・LinkedIn でメッセージを送る https://www.linkedin.com/in/shinya-iino/ お問い合わせは「ツイッター」と「LinkedIn」のみで承っております。

国際物流における「保税の基礎」 | 輸送・ロジスティクス

国際物流における「保税の基礎」

国際物流における「保税の基礎」について動画で解説 どうもこんにちは、飯野です。 今回は国際物流における「保税の基礎」について解説をしてきたいと思います。 輸出入で取り扱う貨物は、船や飛行機に載せられる前、また輸入地に到着した後に「保税」という状態になっています。 国際物流の初心者にとっては、この保税という状態が分かりにくいかと思いますが、今回は保税にまつわる 名称、地域、目的について基礎的な知識を解説していきたいと思います。 それではいってみましょう! まず輸出入の流れを理解する 保税とは何かを理解する前に、貨物の輸出入の流れを見てみましょう。 まず輸出手続の流れはこのようになっています。 ・国内貨物を特定の場所(保税地域)に搬入する
 ・通関で輸出申告を行う
 ・外国貨物として船もしくは飛行機に搭載する
 ・海外へ運ぶ このように、国内貨物を輸出者から引き取り、指定場所に運んでいます。 続いて、輸入の流れを見てみましょう。 ・外国貨物を船・飛行機から積み下ろし、ターミナル・上屋に搬入する
 ・通関で輸入申告を行う
 ・国内貨物として届け先へ配送する このような流れになります。 国内にあるけれども外国貨物? この時のポイントは、通関手続きをしたときに対象の貨物が、 ・輸出の場合は国内貨物から外国貨物の扱いとなり ・輸入の場合は外国貨物から国内貨物の扱いとなることです。 例えば、タイから日本に海上輸送する場合で、港で輸出通関をすると 貨物は物理的にはタイ国内にあるけれども、「外国にある」という扱いとなります。 もちろん海上輸送中も外国貨物扱いです。そして貨物が日本に到着して、輸入通関されるまでの一時保管されている間も外国貨物の状態です。 そして輸入通関が完了すると、その貨物は日本の貨物として扱われることになります。 保税・内貨・外貨・保税地域とは? 合わせて名称も説明しましょう。 先ほど説明したように、貨物が国内にあるけれども、外国貨物という状態を「保税」といいます。そして国際物流の業界では、国内貨物は「内貨」と呼ばれ、外国貨物は「外貨」と呼ばれます。 貨物自体は変わりませんが、輸出入の通関許可を受けた時点で、呼び方と扱いが変わります。通関手続きが保税におけるターニングポイントということです。 貨物を内貨から外貨扱いにすることで、国内にありながら外国貨物の持ち込み・保管が出来る「保税状態」になるのですが、それを保管出来る場所のことを「保税地域」と呼びます。 外国貨物は、原則保税地域以外に置くことはできません。その為、輸出入時に外国貨物扱いとなっているものは、保税地域に置かれなければいけません。 まとめ 国際物流のプロセスにおいて、貨物は必ず保税状態になります。そして貿易にはこの保税状態を利用した、様々な製造やサービスがあります。 その為には別の動画で説明する、保税地域や保税輸送というものを理解して、上手く使わなければいけません。 保税のテーマについて随時更新をしていきますので、チャンネル登録がまだという場合はこの動画の終了時に是非とも登録ボタンを押して下さい。 今回は以上になります!ありがとうございました! ・Twitter で DM を送る https://twitter.com/iino_saan ・LinkedIn でメッセージを送る https://www.linkedin.com/in/shinya-iino/ お問い合わせは「ツイッター」と「LinkedIn」のみで承っております。

関税の基礎知識について | 輸送・ロジスティクス

関税の基礎知識について

関税の基礎知識について動画で解説 どうもこんにちは。飯野です。 今回は、輸入に関する手続きで欠かせない、「関税の基礎知識」。こちらについて解説をしていきたいと思います。 関税の重要性 フォワーディング業務の中で、お客様から輸入時の関税の問い合わせは非常に多いです。 条約や国の法律に則り、税金として支払うお金に関する部分なので、関税の申告・支払い手続きは輸入において重要な部分となります。 関税とは何か まずはじめに、関税とはどういったものなのでしょうか。 日頃ニュースなどでも、「関税」というワードをよく耳にすることがあるかもしれません。 関税とは一言で表すと、「外国からの輸入品に対して国が課す税金」と定義されます。 個人が収める消費税・所得税、そして企業が収める法人税、これらと同様に国から徴収される税金の一種です。 関税の目的 徴収された関税は国の財源となりますが、関税をかける一番の目的は、自国の産業を保護するためです。 安い外国製品が大量に輸入されてきて市場に出回ると、国内製品が売れなくなり国内産業は廃れてしまいます。 輸入製品に関税をかけると、その分製品にコストがかかり、市場で販売する価格も高く設定されることとなります。 関税によって、輸入品の市場での競争力も調整をすることになるのです。 外交政策としての「報復関税」 ちなみに関税は、外国との通商政策や外交政策にも関わってきます。 例えば、外交問題で「報復関税」という政策が取られることがあります。 相手国への制裁として、相手国からの輸入品に高い関税をかけます。 すると相手国から製品の参入がしづらくなり、相手国の輸出産業に大きな打撃を与えることになります。 関税の制度の取り決め方 次に、関税の制度はどのように取り決めをされているのでしょうか。 輸入時に関税を収める仕組みは、日本を含め世界中の国々で存在します。 その中で、国際機関である世界税関機構(WCO)は、税関や関税に関する手続きの統一化に携わっています。 HS条約 そのWCOが関税の制度を作成し、世界の大半の国が加盟しているHS条約では、HSコードと呼ばれる6桁の番号を用いて、 輸出入対象の製品を種類ごとに分類し、製品ごとに関税率が決められます。 この関税率は、輸入国ごとに数値が異なります。 ちなみに日本では、世界共通のHSコード6桁にさらに3桁の数字を加え、計9桁の数字で輸出入品の統計表を用いています。 この統計表で分類された製品に対し、それぞれの税率を定めたものが、「実行関税率表」と呼ばれます。 また、関税は通常 輸入者に支払いの義務が発生します。 このHSコードによる分類は、正しい関税率を決めるために必要で、輸入者が支払う金額にも直結してくるのです。 日本の関税率の種類 日本の関税率には、いくつかの種類があります。 実行関税率表には、すべての品目に対しての基本税率が記載されています。 その他に、一定期間の間に輸入される品目に対して定められた暫定税率。 途上国の産業を保護するために適用される特恵税率。 EPA、すなわち経済連携協定などの協定を結んだ国同士で適用される、協定税率と呼ばれるものもあります。 関税の金額算出方法 関税は、インボイスのCIF価格に基づいて、その割合で金額が確定されます。 CIF価格とは、製品価格に、国内で運送に掛かった輸送費、そして海上や航空輸送で発生した運賃、保険料込の価格のことです。 また、価格に加えて、対象となる製品の原産国が、関税の金額を確定する上で重要な要素となります。 つまり、製品の原産国によって適用される税率が変わる場合があるためです。 先ほど説明した実行関税率表の中で、特恵受益国と認定されている途上国産の製品であれば、特恵税率で無税となったり、 EPAやFTAで協定を結んでいる国の原産品であれば、優遇された協定税率を輸入製品にかかる関税に適用することができるのです。 そして優遇された関税を適用するために、原産国の証明となるのが原産地証明書です。 関税の納付方法 では、関税を収めるにあたっては、具体的にどういった手続きが行われているのでしょうか。 まず輸入時に、貨物が船や飛行機で輸入国に到着し、その後で保税地域に搬入されています。 そして基本的には輸入申告を税関に行う際に、関税の納付申告も一緒に行うこととなります。 この申告は、日本ではNACCSと呼ばれるシステム上でされます。 関税の支払い義務は輸入者にありますが、輸入国のフォワーダーなどの通関業者に輸入申告を依頼する際に、関税の納付も依頼しているのが通常です。 昨今では通関業者が関税を立て替える金額が大きすぎて問題になっているケースもあります。 DDPなどのタームの場合 ちなみに、DDPなどのタームによっては、関税の支払いの責任範囲が輸出者となるケースもあります。 納税の申告にあたって、貨物の品名・個数などの情報、そして、インボイス、パッキングリスト、船積書類、原産地証明書などの関連書類の提示が必要です。 申告内容に誤りがあったら? CIF価格に基づき、関税の税率で、実際の金額が決定されます。 しかし、申告の内容が誤っていたり、特定の製品を申告しなかった場合は、税関より過少申告加算税や無申告加算税などが請求されることとなります。 申告内容は誤りがあってはいけません。 また意図的に無申告すると、それは密輸行為になります。 関税が減免される場合 逆に、関税が減免されるケースもあります。 例えば、再輸入し性質や形状が変化していないと認められる貨物、修繕のために一度輸出された貨物などは、減免の対象となることがあります。 数千万円のインボイス価格のものであれば、関税の支払いだけで何百万円にものぼります。 特恵関税や協定関税を適用したり、減免の制度を使用すれば、支払う金額が何百万と違ってくることがあります。 関税は適用される税率、また関税の種類は基本税率や特恵税率など、何種類か存在し、法律や制度と関連しています。 該当の申告がどの種類のものに適用されるか、判断することも必要になります。 輸入時の関税の申告も兼ねているため、輸入通関手続きは特に慎重に行う必要があります。 まとめ 最後に話をまとめましょう。 関税とは世界中で導入されている、自国の産業を守るために輸入品に適用される税金となります。 HSコードと呼ばれる共通の製品分類基準を基に、各国が各輸入品の税率を決めています。 関税率には、基本的な税率・製品の原産国を対象を考慮し、優遇された税率が適用される特恵税率、協定税率などがあります。 関税の申告は、輸出入の通関時に税関に行いますが、特に重要なのが輸入国の通関申告です。 申告内容によっては関税の減免がされるケースもありますが、逆に過少申告など誤りがあれば追加で徴収されてしまうこともあります。 特に輸入者さんは、輸入の負担金額にも直結するため、関税については注意をしましょう。 今回のお話は以上になります。ありがとうございました。 ・Twitter で DM を送る https://twitter.com/iino_saan ・LinkedIn でメッセージを送る https://www.linkedin.com/in/shinya-iino/ お問い合わせは「ツイッター」と「LinkedIn」のみで承っております。

どう使うの?SOCコンテナ輸送についてプロに聞いてみた。 | 輸送・ロジスティクス

どう使うの?SOCコンテナ輸送についてプロに聞いてみた。

国際物流の仕事をしているとCOCコンテナとSOCコンテナという言葉を耳にすることがあります。 COC:Carriers Own Container SOC:Shippers Own Container COCとSOCの違いはこちらの動画をご覧ください。 私は現在タイでフォワーダーとして8年活動をしているのですが、SOCコンテナを使ったことがありません。私の営業範囲でSOCコンテナの需要が全くありませんでした。 しかし、今回 日本のSOCコンテナの売買をされているEF Internatinalの担当者さんとお話をさせて頂くことで、色々と学びがあったので情報共有をしたいと思います。 SOCコンテナっていつ使うの? 上述したように、私はタイでは100%COCコンテナしか使ったことがありません。弊社のお客さんは主に日系企業。タイで作った製品を主に日本、中国、東南アジア、インド、欧州、北米に向けて輸送します。 船会社が普通にコンテナを手配してくれているので、SOCコンテナを使う理由がほとんど見つかりませんでした。 ※ディテンション:輸入地で輸入者に配送完了し終わったコンテナを港に期限以内(7日〜14日)に戻すこと。この期限を超えると罰金が発生する。 しかし、SOCのプロとのお話で「なるほど!」と思える使用用途を教えてもらいました。 コンテナの返却義務がない SOCのメリットとしてディテンションがないことを上述しましたが、コンテナの返却義務がないので、貨物の配送完了後もそのコンテナを使えます。 配送後に倉庫として使用する タイでフォワーダーとして活動をしていると、倉庫に関してはあまり不自由をしません。 タイでは一般、冷蔵・冷凍、危険品、保税倉庫が各港(バンコク、レムチャバン、ラッカバン(ICD)、スワナプーム空港)の近くにあります。 またタイの各工業団地にも物流倉庫は大体あるので、わざわざコンテナを買ってまで倉庫にする必要がありません。 イベントでSOCコンテナを使用する しかし、同社の担当者さんはこのように言いました。 確かに何かのイベントの時に、倉庫をいちいち手配するのではなく、そのイベントの現地で倉庫として使う方が効率的です。 音楽のライブイベントとかでも使いそうだと思いました。 中古車をSOCで中東に輸送する また中東に日本の中古車を送る時も重宝されるとのこと。 物流のインフラが整っていない地域に貨物を送ると、確かに「貨物の野ざらし」は発生することもあるでしょう。 ちなみに、コンテナ輸送に脚光が浴びるきっかけとなったベトナム戦争では、コンテナを使わずに輸送した物資が 長期間 野ざらしにされたり、盗難が絶えなかったという歴史もあります。 またカーレースのイベントの時でもRORO船でなくて、コンテナを使って輸送するケースもあります。 レースに使用する超大切な車をコンテナに入れて管理するというのも、確かにありそうと思いました。 工業品の輸送でも使用する タイでは工業品を輸送するサプライチェーンがあって、各企業がコストを厳しく管理しています。 なのでワンウェイでコンテナも一緒に購入して貨物を送るSOCコンテナの輸送はどうしても合わないなと思っていました。 ですが同社によると工業品の輸送でもSOCコンテナを使うケースはあるとのこと。 詳しい製品内容については質問しませんでしたが、物流インフラが発達していない国に機械とかをコンテナに入れて送る時などは結構ありそうだなと思いました。 EF Internatnonalについて この記事は特に同社に依頼された案件とかではなく、個人的に純粋に面白いなと思った内容を共有させて頂きました。担当の方や上司の方もとても良い人たちで楽しくお話をさせて頂きました。 もし本日にご説明させて頂きました用途や、その他の用途(コンテナハウスとか)でSOCコンテナに興味がある場合はEF International様にお問い合わせ下さい。 まとめ 物流には本当に色んな種類があるなととても勉強になりました。 国際物流では貨物内容だけでなく、送り先のインフラの状況によっても「貨物を安全に、また荷主さんの都合に合わせて運ぶ工夫」は色々あるんだなと思いました。 今後はSOCコンテナにもアンテナを張って物流活動をしていこうと思います。

20フィートコンテナと40フィートコンテナの選び方 | 輸送・ロジスティクス

20フィートコンテナと40フィートコンテナの選び方

20フィートコンテナと40フィートコンテナの選び方を動画で解説 どうもこんにちは飯野です。 今回は20フィートコンテナと40フィートコンテナの違い、そしてこれらのコンテナを選ぶポイントについてお話をしていきたいと思います。 今回の話は分かりやすくする為に、一般のドライコンテナで、40フィートはハイキューブではないという前提でお話をします。 また数字も覚えやすい様に、ざっくりした数字を使っております。 他のコンテナの種類の詳細については、概要欄に関連動画を貼っておきますので是非ご確認ください。 ではいってみましょう! 20フィートコンテナと40フィートコンテナの選び方 外国に沢山の貨物を輸送する一般的な方法は20フィートや40フィートのコンテナを使った海上輸送です。 荷主は物量などや料金などを考えて、これらのコンテナの内からより適切な方を選びます。 しかし実際にコンテナを選ぼうとすると慣れていない人にとったらどちらのコンテナが適切なのか分からないというケースも多いのではないでしょうか。 輸出時に適切なコンテナを選ぶことは、輸入者側に対しても大切なことです。 例えば、既に20フィートを使用する物量に達しているにも関わらず、損益分岐点を理解せずに 無理にLCLで運ぶと輸入国側で大きなCFSチャージが発生するため、輸入者からのクレームにつながりやすくなります。 やはり、物量を考えた上で適切な輸送形態を選ぶことが重要です。 コンテナサイズを選ぶ際の2つのポイント 実際にこのような問題が20フィートや40フィートコンテナでもあります。 20フィートと40フィートにも選ぶべきポイントがあるのです。 それが次の2つです。 ・容積と積載可能重量 ・輸入国側の費用 それぞれを詳しくみてみましょう。 コンテナの容積と積載可能重量 まずコンテナの容積と積載可能重量について説明します。 20フィートコンテナと40フィートコンテナの容積と積載可能重量は、ざっくりですがこのようになります。 20’フィートコンテナ 容積:幅 2.3m x 高さ: 2.3m x 長さ 6m 積載可能重量:約25ton 40’フィートコンテナ 容積:幅 2.3m x 高さ: 2.3m x 長さ 12m 積載可能重量:約25ton これは覚えやすいように「ざっくりした数字」なのですが、積載可能重量は各国の道路交通法によって少し異なります。 実際に貨物を送るときは事前に向け地の道路交通法をご確認下さい。 さて次の2つの特徴があると分かります。 ・容積は 40フィートが2倍 ・積載可能重量は同じ 20フィートと40フィートを比べた場合、長さが倍になるため積載可能重量も倍になると考えられがちです。 しかし実は積載可能重量はどちらも同じであり容積のみが2倍違うだけです。 最大重量は同じであるため、40フィートコンテナは容積が大きいものを運ぶときに向いています。 「容積」と「重量」について ここで物流の「容積」と「重量」について少し補足をさせて下さい。 貨物を送るときに重要なポイントの一つが容積と重量なのです。 ・軽くてかさばるもの ・重いけど小さなもの これらが物流においての容積と重量を考慮しなければいけない貨物です。 極端な例ですが綿(わた)を運ぼうとすると、重量は軽いけれども沢山のスペースを使いますよね。 また筋トレに使う様な鉄アレイやバーベルを運ぼうとすると、重量は重いけれどもそれほどスペースは不要ですよね。 一般的な例でいうとプラスチック製の自動車のパーツは軽くてかさばります。 一方でお米や水はかさばらないけれども重たいです。 これをコンテナの特徴に合わせて考えると、40フィートコンテナはプラスチック製の自動車パーツのように 軽くて容積が大きいものを運ぶのに向いています。 一方でかさばらないけれども重たいものは20フィートで運ぶことになります。 例えば鉄のロールなどは かさばらないけれどもすごく重いです。 もしこのような鉄の塊を40フィートコンテナにパンパンに積み込んでしまうと、積載重量が25トンを軽く超えてしまいます。 輸入国側の費用 次に輸入国側の費用についてです。 コンテナが輸入国に到着するとコンテナターミナルという所にコンテナが下され、通関が終わり貨物が引き取られるまでそこで保管します。 船会社の請求項目にTHC(Terminal Handling Charge)というものがあるのですが、これが20フィートと40フィートで異なります。 たとえば日本とタイの場合例ですがこのようになります。 THC: JPY 33,000/20’, JPY 49,000/40’ THC: THB 2,700/20’. THB 4,200/40’ 40フィートだからといって20フィートの2倍にはなりませんが、約1.5倍の違いです。結構大きな違いですよね。 また港からコンテナで配送する場合はドレーという専用トラックを使います。 では仮に輸送距離が同じ場合で20フィートと40フィートを輸送する場合、やはり長さが倍ですから料金も倍になるのでしょうか? 倍にはなりませんが20フィートコンテナより、40フィートコンテナを輸送する費用の方が高くなります。 その価格差ですが日本だと1.5倍くらい。 タイだと業者や場所によって異なりますが、40フィートの方が20フィートより20%くらい高い印象です。 やはり、物量に対する適切なコンテナを選ぶことが重要だと思います。 まとめ それでは今回の話をまとめましょう。 20フィートコンテナと40フィートコンテナのざっくりした違いは容積です。 40フィートは20フィートの2倍になります。 そして積載可能重量は25tonで同じになります。 この特徴から ・軽くてかさばる物は40フィートコンテナの方が向いていて ・重たくてからばらない物は20フィートコンテナの方が向いています。 また20フィートと40フィートで輸入国側で発生する費用の金額が違います。 それは主にTHCとドレーの費用です。 貨物を送るときはこれらの費用も把握して、貨物の容積と重量から、20フィートか40フィートコンテナの適切な方を選びましょう。 今回のお話は以上になります。どうもありがとうございました! ・Twitter で DM を送る https://twitter.com/iino_saan ・LinkedIn でメッセージを送る https://www.linkedin.com/in/shinya-iino/ お問い合わせは「ツイッター」と「LinkedIn」のみで承っております。

航空輸送のStraight AWBについて | 輸送・ロジスティクス

航空輸送のStraight AWBについて

航空輸送のStraight AWBについて動画で解説 どうもこんにちは。飯野です。 今回は航空貨物輸送で発行される書類「Air Way Bill」の一種である 「Straight AWB」(ストレート・エアウェイビル)、こちらについて解説をしていきたいと思います。 ストレート・エアウェイビルとは 「Straight AWB」は通称「ストレートB/L」と呼ばれることもあり、送り状のような役割を果たすところは通常のAWBと一緒です。 しかし、使用するケースとその発行方法が通常のAWBと比べ少々特殊です。 それでは詳しく見ていきましょう。 MAWBとHAWB まず、航空貨物運送状=AWBは航空会社やフォワーダーが作成をします。 AWBには大きく分けて2種類のものがあります。 航空会社からフォワーダー等の運送人に対して発行されるのが、MAWB(マスター・エア・ウェイビル)というものです。 そして、フォワーダー等の貨物を取りまとめて輸送する混載業者から荷主へ、HAWB(ハウス・エア・ウェイビル)が発行されます。 航空貨物輸送では大半の場合 1つの貨物手配の案件に対して、MAWBとHAWBが発行されています。 フォワーダーは出来る限り貨物を混載して1つのフライトを予約します。 重量が重いほど割安の航空運賃が適用される仕組みを利用する為です。 ストレート・エアウェイビルの特徴 それに対しフォワーダーが貨物の混載をせずに、航空会社から直接の運送契約としてMAWBのみ発行をするのが Straight AWBです。 該当案件に対し 単独でフライトがBookingされます。 とはいってもフォワーダー経由で航空会社へBooking等をするため、輸出時はフォワーダーが窓口となっているところは変わりません。 しかし 手続きが大きく異なるのはフライト到着後の貨物の輸入に際してです。 貨物が現地の空港到着後は輸入者が空港にて引き取りをします。 つまり貨物のピックアップや輸入手続きを輸入者自身で行う必要があるのです。 輸入時は現地の代理店やフォワーダーを通さないこと、これがStraight AWB使用時の大きな特徴でもあります。 AWBの流れ また、Straight AWBではフォワーダーから輸出者へAWBが送付されますが、輸入者へのAWBは輸出者が直接通知をしなければなりません。 通常は、輸入者へAWBが渡るまでには、 ・フォワーダー(輸出国)⇒フォワーダー(輸入国)⇒輸入者 このようになりますが、輸入国のフォワーダーが仲介しない手続きのため ・フォワーダー(輸出国)⇒輸出者⇒輸入者 といった手順で通知をすることになります。 Straight AWBはフォワーダーにより航空輸出時に貨物が混載されずに、航空運賃が割高となる傾向があります。 更に輸入者にとっては貨物到着後に、自ら手続きをしなければならないという煩雑さがあります。 ストレート・エアウェイビルのメリット しかし、Straight AWBはあまり貨物を輸送しないような向け地や現地の代理店や、フォワーダーがない向け地に対して貨物を航空輸送できるメリットがあります。 ストレート・エアウェイビルの注意点 ここで注意しておきたいのは、Straight AWBで手配の時には輸入者が貨物の受け取りを確実にすることです。 フォワーダーはStraight AWBで手配する旨を輸出者に事前に知らせ、輸出者から輸入者へ到着後のフォローについて説明をしておく必要があります。 そうでなければ空港到着後に貨物が引き取りをされず、長期間放置されるといった問題が発生するケースがあります。 輸入者からも いつものようにフォワーダーが手配すると思っていたと、誤解をされてクレームになりかねません。 フォワーダーから 輸出者・輸入者へ伝達を確実にする必要があるのです。 海上貨物の場合 海上貨物では航空のAWBにあたるものが船荷証券であるB/Lです。 因みに海上貨物輸送でも、航空のStraight AWBと同じような役割を果たすStraight B/Lがあります。 弊社ではこれをダイレクトB/Lや ダイレクトマスターB/Lと呼んでいます。 ダイレクトB/L ダイレクトB/Lでは、海上輸送で船会社へ直接手配を行います。 もしくは 取引のあるフォワーダーにダイレクトB/Lの使用をリクエストします。 ダイレクトB/Lの記載の特徴ですが、荷受人(輸入者)の記載欄に特定の法人や個人の名前を明記します。 notifyとして他通関業者を記載し指定していることもあります。 海上輸送のダイレクトB/Lに関しては詳しく解説している別の動画がありますので、概要欄にリンクを貼っておきます。 まとめ 今回の話をまとめると航空輸送におけるStraight AWBは、 ・航空会社へ直接運送契約を行う。 ・輸入時に、現地のフォワーダーが介入しない。 この2点が重要となります。 Straight AWBの特性は 輸送に関わるフォワーダー・輸出者・輸入者がそれぞれ理解しておく必要があります。 状況によって使い分けが出来るようになった方が、物流手配の選択肢が増えるのでおすすめです。 今回は以上になります。ありがとうございました。 ・Twitter で DM を送る https://twitter.com/iino_saan ・LinkedIn でメッセージを送る https://www.linkedin.com/in/shinya-iino/ お問い合わせは「ツイッター」と「LinkedIn」のみで承っております。

航空輸送の流れについて | 輸送・ロジスティクス

航空輸送の流れについて

航空輸送の流れについて動画で解説 どうもこんにちは。飯野です。 今回は海上輸送と並んで、貨物の輸送手段である「航空輸送」。 こちらの主な流れを解説していきたいと思います。 海上輸送と航空輸送 はじめに、「貿易」という言葉を聞くと船で大量の物を積み込んで外国に運んでいるイメージが強いかもしれませんが、 飛行機でも毎日のように様々な製品が輸出入されています。 物量では海上輸送が9割以上を占めていると言われていますが、金額ベースでは航空輸送が輸出入の3割ほどのシェアとなっております。 航空輸送は、世界の経済活動に大きく影響しています。 さらに、航空輸送に関するコストは、海上輸送の数倍かかると言われますが、一番のメリットは、短納期で貨物を運ぶことができる点です。 他に、生鮮食品・医療品・精密機器など 輸送時に適切な環境で運ぶ必要がある製品の輸送に適していること、 スピード感のある輸送で製品を早く市場に届けることができる、 このようなメリットも航空輸送の特徴として挙げることができます。 では次に詳しく航空輸送の流れを見ていきましょう! 航空輸送の流れ フォワーダーへブッキング依頼 航空輸送で製品を輸出する際は、まず製品を生産している工場から、貨物の出荷予定や海外の顧客への希望納期などが決定されます。 そのときに、輸出者より依頼をするフォワーダーを選定し、フォワーダーへフライトのブッキング依頼をします。 必要書類の提出 出荷日、フライト日の希望、出荷する製品の内容、物量、そして向け地などの情報が依頼内容として送られます。 このとき、製品の出荷内容に基づき、インボイス、パッキングリスト、必要書類も輸出者からフォワーダーへ提出されます。 倉庫へ貨物搬入 そして、希望のフライト日に合わせて貨物が空港近くに設置されているフォワーダー、もしくは梱包会社の倉庫に搬入されます。 航空輸送のスケジュール 倉庫搬入後に航空機に貨物を搭載するまでにはいくつかのプロセスがありますが、 航空輸送のスケジュール感としては、貨物の倉庫搬入日と同日のフライト、もしくは翌日のフライトに合わせて段取りをすることが多いです。 輸出者が急ぎで輸送したい貨物があり、 「今日工場から出荷する製品を、明日のフライトに載せて欲しい。」 なんていう依頼が来ることも珍しくありません。 倉庫での作業 貨物がフォワーダーなどの倉庫へ搬入された後は、航空貨物として輸出をするために、いくつかの作業を行う必要があります。 ・爆発物検査、貨物の検量 ・Air Way Billと呼ばれる航空運送状の内容の ラベルの貼り付け ・必要であれば梱包作業 などがあげられます。 爆発物検査 まず爆発物検査は「全ての航空貨物」に対して保安のため義務付けられている作業となりますが、 輸出者が、特にセキュリティー管理やコンプライアンスに優れているAEOと呼ばれる「特定荷主」に認定されている場合などは、爆発物検査が免除されています。 ラベル貼り 次にラベルは、後に貨物を航空会社に持ち込む際に、どのフライトへ搭載するか識別をするため、貼り付けが必要なものとなります。 Air Way Billの番号や向け地などの情報に沿って ラベルが作成されています。 もし危険品に分類される貨物であれば、危険品の内容に応じた 危険品ラベルの貼り付けが必要になることもあります。 梱包作業 そして梱包は、後に航空会社に貨物の運送を委託するにあたり、中の製品がきちんと全面 包まれた状態にしていることが適切とされます。 貨物はカートン、パレット、木箱などで、しっかりと梱包された後に、倉庫から搬出されます。 保税蔵置場へ搬入 倉庫から貨物を保税蔵置場(ぞうちじょう)と呼ばれる場所へ搬入後に、輸出通関を行います。 保税蔵置場は、日本国内で外国貨物を保存して置ける場所と定義されます。 輸出通関の許可が切れたときに、貨物が日本の貨物から外国貨物として、扱いが変わるため、保税蔵置場に持ち込んだ上で通関をします。 輸出通関 輸出通関は、輸出者から送付されたインボイス、パッキングリストなどを基に、NACCS(ナックス)というシステムを用いて税関に申告されます。 輸出者、輸入者、仕向け地、製品、製品情報をもとに 選定した分類番号、インコタームズ、インボイス価格などの申告を行い、輸出許可を切ります。 そして、輸出許可が切れると航空会社の「上屋」へ貨物の持ち込みを行います。 上屋とは貨物を航空機に搭載する直前、また荷下ろしした直後に、貨物の一時保管する保税場所のことです。 ULDの組付け 貨物はそのまま航空機に積まれる訳ではありません。 航空機に搭載される前に「ULD」と呼ばれる大きなパレットやコンテナでひとまとめにされるのです。 航空会社への貨物の持ち込みの締め切り時間はカット時間と呼ばれ、航空会社やフライトスケジュールによって異なりますが、搭載するフライトのおおよそ数時間前に設定をされています。 これは、貨物を上屋搬入後に航空機に搭載するまでULDの組みつけ、搭載までの作業工程があるためです。 フォワーダーがHAWB発行 そして、フォワーダーは輸出者に対して事前に輸出者から受領したインボイスなどの情報に基づき、航空運賃も決定し、混載航空運送状と呼ばれるHAWBを輸出者に対し発行します。 この時に航空会社からはフォワーダーにMAWBが発行されます。 Airwaybillの詳細については別の動画でも詳しく解説しておりますので 概要欄にリンクを貼っておきます。 フライト~目的地へ これらの工程を経て、事前にブッキングされたフライトへ貨物が搭載され、いよいよ航空機が目的地まで出発をします。 到着後、上屋へ搬入 直行便、経由便などのフライトを経て航空機が輸入国に到着後に荷卸しされて、上屋へ貨物が搬入されます。 輸入通関で許可が切れるまで、貨物は上屋で保管されることとなります。 ダメージ、ミッシングチェック ULDが取り外され、貨物ごとに輸送中の貨物のダメージはないか、個数の不足なくミッシング(紛失)していないかなどのチェックを受けます。 ちなみに、この貨物を開梱する作業をBreak Bulkと言います。 輸入通関 航空会社から、現地のフォワーダーへ、到着案内通知 すなわちArrival noticeを連絡した後に、現地のフォワーダーもしくは指定の通関業者が輸入通関手続きを行います。 必要書類は、輸出国のフォワーダーから現地のフォワーダーへ、またはそこから更に通関業者へ行き渡ります。 輸入通関でも、NACCSを使用し、システム上で税関へ申告を行います。 指定地まで配送 輸入許可後、国内貨物として保税地域からトラックに積み込みをされ、書類に記載の輸入者の住所、もしくは指定の配送先まで届けられます。 ちなみにAEOに認定されている輸入者などは輸出時と同様、輸入通関時も保税地域以外で輸入許可を得ることができます。 まとめ それでは、今回の話をまとめましょう。 今回ご説明した様に実際にフライトが飛ぶまでに、いくつかの工程があることが分かると思います。 製品の出荷が確定してから、 輸出者からフォワーダーに航空輸送のアレンジを依頼し、 集荷、倉庫での検量や梱包などの作業、通関手配、航空会社までの搬入、 そして、フライトが到着すると、輸入手続き、搬出、配送までの作業が発生しています。 必要書類も、最初に輸出者からフォワーダーへ提示され、 輸出通関の際に使用、書類内容に基づきフォワーダーがHAWBを発行し、 現地のフォワーダーや通関業者に書類送付、輸入通関にも使用される流れです。 エアー輸送の特性上、 どの工程でもスピード感を持って対応することが求められています。 部門の関係者や担当者と分業して各工程を行っていることが多いのですが、 連携を確実にして、書類の準備も抜けがないような、正確さとスピード感の両立が重要と言えるでしょう。 今回のお話は以上になります。どうも、ありがとうございました。 ・Twitter で DM を送る https://twitter.com/iino_saan ・LinkedIn でメッセージを送る https://www.linkedin.com/in/shinya-iino/ お問い合わせは「ツイッター」と「LinkedIn」のみで承っております。

オーバーゲージ貨物の輸送について | 輸送・ロジスティクス

オーバーゲージ貨物の輸送について

オーバーゲージ貨物の輸送について動画で解説 どうもこんにちは。飯野です。 今回はコンテナに収まらない貨物の輸送、オーバーゲージカーゴの輸送方法について解説をしていきたいと思います。 コンテナ輸送が登場する約70年前は在来船の輸送が一般的でした。 コンテナ船は、20フィートや40フィートと呼ばれる「箱」の中に貨物を詰めて輸送する船です。 コンテナという「定型」に収まれば、詰める貨物の量は問わないため、低価格で輸送ができます。 コンテナ輸送の歴史については以前 動画で詳しく説明しましたので、概要欄にリンクを貼っておきます。私の中ではおすすめ動画の一つです。 オーバーゲージ貨物の輸送方法 では、このコンテナに収まりきらない貨物はどうやって運ぶのでしょうか? ちなみに40フィートハイキューブコンテナのサイズは 幅:約2.3m 高さ:約2.7m 長さ:約12m です。 実際にオーバーゲージ貨物の輸送は、機械設備、プラント、長尺の鉄鋼製品、大型の建設機械などの輸送となりこのコンテナに収まらないケースが多いです。 3つの特殊コンテナ オーバーゲージ貨物は、大きさや重量が特殊であるが故に、通常の貨物を運ぶときには使わない特殊コンテナを使います。 特殊コンテナの代表的な物が次の3つです。 1. 屋根部分がない オープントップコンテナ 2. 側壁がない フラットラックコンテナ 3. 床面以外の一切の壁がない フラットベッドコンテナ があります。 それぞれを詳しく見ていきましょう。 オープントップコンテナ オープントップコンテナは、屋根の部分が解放されているため、クレーンなどによる荷役が可能です。 重量物、長尺物、背が高い貨物の輸送に適しています。 また、上面部分は、雨や海水などが入ってこないように、プラスチックシートで覆います。 フラットラックコンテナ そしてフラットラックコンテナは側面の壁だけを取り払っている物です。 左右と上下の壁がないため貨物をコンテナに入れるときの自由度が高いです。 ちなみに、この横から貨物を積み込み 積み下ろしが出来るのは荷役においては大きなメリットです。 一般的なドライコンテナはコンテナの後方の入り口からしか貨物が出し入れが出来ないため、重たい貨物の場合はフォークリフトがコンテナの中に入らないとコンテナの奥の部分に貨物を置けません。 そうなるとフォークリフトがコンテナに入るための設備であるプラットフォームが必要になります。 しかし、側面から貨物を積み込み積み下ろしをすることが出来れば、プラットフォームは不要で側面からフォークリフトが近づいて貨物を積み込み、積み下ろしすることが出来るので、作業効率が非常に良くなります。 機械設備などの重量貨物の場合は特に荷役が危険で難しくなるので、この特徴は大切なのです。 インゲージ貨物への使用も可能 そして、この利点を理解してフラットラックやフラットベッドは、コンテナ内に収まるサイズだけれども荷役が難しい貨物に使われる場合もあります。 この時に知っておきたいのはオーバーゲージでなくインゲージ貨物だと一般的に価格は抑えられます。 インゲージとはコンテナ内に収まるサイズでコンテナからはみ出していない貨物のことです。 コンテナが船に乗っているスペースを想像して欲しいのですが、コンテナは船上にびっしりと並べられて積み込まれます。 オーバーゲージ貨物の場合は、はみ出した部分は貨物が積めないため船上のスペースを多く使うことになります。 ですがインゲージの場合は一般のドライコンテナと同じスペースしか使わないので、オーバーゲージに比べると割安になる傾向があります。 フラットベッドコンテナ 最後にフラットベッドコンテナは、コンテナの床面のみを残すタイプです。 コンテナの高さや幅からはみ出る貨物の輸送に便利です。 このフラットベッドコンテナを連結させて使い、一つの大きな貨物を輸送することにも使用できます。 床部分はフラットラックと同様に重量物の輸送を想定して強化されています。 フラットラックもフラットベッドも積み込みした後は、貨物が輸送中に雨や海水に当たらないようにしっかりと梱包したり、ラップやカバーで貨物を覆う必要があります。 まとめ それでは今回の話をまとめます。 40フィートコンテナに収まらない貨物はオーバーゲージ貨物として、特殊コンテナを使用して輸送をします。 これらには主に3つのタイプがあって ・オープントップコンテナ ・フラットラックコンテナ ・フラットベッドコンテナ がありました。 オープントップは天井がないタイプで、背の高い貨物を輸送する時に使用し クレーンを使ってコンテナの上部から貨物を出し入れすることも出来ます。 またフラットラックはコンテナの天井と左右の壁がなく、幅が広い貨物の輸送に使用されます。 壁がないので荷役にかなり自由度があり、インゲージ貨物にも使用することが出来ます。 最後にフラットベッドコンテナは前後の壁がなく、長尺の貨物を運ぶ時に使用されます。 主に機械などの重量物を運ぶことを前提とされていますので、コンテナの床は強化されているのも特徴です。 今回はオーバーゲージカーゴを輸送するためのコンテナの内容についてお話をしました。 次回はオーバーゲージ貨物を輸送する為にどの様なフォワーダーを選べば良いのかについても解説をしていきたいと思います。 今回は以上になります。ありがとうございました! ・Twitter で DM を送る https://twitter.com/iino_saan ・LinkedIn でメッセージを送る https://www.linkedin.com/in/shinya-iino/ お問い合わせは「ツイッター」と「LinkedIn」のみで承っております。

オーバーゲージ貨物を輸送するときのフォワーダー選びのポイント | 輸送・ロジスティクス

オーバーゲージ貨物を輸送するときのフォワーダー選びのポイント

オーバーゲージ貨物を輸送するときのフォワーダー選びのポイントを動画で解説 どうもこんにちは、飯野です。 今回は前回に引き続きオーバーゲージ貨物についてのお話で、オーバーゲージ貨物を輸送するときに選ぶべきフォワーダーの特徴について解説をしていきたいと思います。 もし、あなたの会社がオーバーゲージの機械や設備を海外に輸送したいときに是非参考にしてみて下さい。 ではいってみましょう! フォワーダー選びの3つのポイント オーバーゲージ貨物の輸送を依頼する時のフォワーダー選びには3つのポイントがあります。 世の中には、本当に沢山のフォワーダーがいますし大手だからとか、普段取引しているからという理由だけでは選ばないで下さい。 ではその3つのポイントは何かというと 1. スペース確保力 2. 確かな実績と柔軟な対応 3. 輸送に伴う制約が少ないこと 具体的に1つずつ詳しくみていきましょう。 スペース確保力 まずスペース確保力です。 スペース確保力とは、船にコンテナを積み込むためのスペースを用意できる力です。 例えば、東京からタイに向けて大型の機械を輸出するとします。 この時、あながたが直接、船会社に予約をすると「スペースがない」と回答されることがあります。 一方、同じ航路、船会社であったとしてもフォワーダーを通すとスペースを確保できることがあります。 これには一体 どのような理由があるのでしょうか? 実は、オーバーゲージ貨物のスペースは限定的に提供されていて、常に輸送契約を結んでいるフォワーダーに優先的に配分されます。 そのため、一荷主に対しては「スペースはない」と伝える一方で、フォワーダーには「スペースはある」と答えることがよくあります。 もちろん、このフォワーダーの中にも力の差がある点に留意が必要です。 船会社と強固な関係があるフォワーダーほど、圧倒的な価格競争力とスペース確保力があります。 一荷主の立場であれば、直接船会社に予約をするのではなく、「力があり、実績があるフォワーダー」に予約をする方が確実です。 毎月、多数のコンテナを扱うフォワーダーと一荷主が、同等の扱いを受けることは難しいです。 フォワーダーは、船会社と継続的な案件を依頼し、友好的な関係を維持しているのです。 なので、フォワーダーに対してはしっかりと輸送スペースを確保できるのかをチェックしましょう。 確かな実績と柔軟な対応 次に確かな実績と柔軟な対応です。 現在あなたとお取引のあるフォワーダーはオーバーゲージ輸送に対して、確かな実績はありますか? フォワーダーの営業マンやサイトの文章などから確かな自信や実績を感じられるでしょうか? 重量物やオーバーゲージ貨物の輸送は、非常に特殊な分野であるため、一にも二にも確かな実績が必要です。 ここは重要なのでもう一度言います。 オーバーゲージ貨物の輸送は非常に特殊な輸送なのです。 だから実績がないと取扱中のリスクが上がったりしますし、逆に実績があるほど、各顧客からの要求にも柔軟に対応できる「余力」があります。 特にあなたの客先からの設計変更などで、どうしても船の予約を変更したいときもあったりします。 このようなイレギュラー対応ができる所が本当の意味で力のあるフォワーダーです。 そういうフォワーダーをあなたの輸送パートナーとして選ぶべきなのです。 フォワーダーの仕事の特性上、平常時はどこのフォワーダーのサービスも近いものがありますが、取引するフォワーダーの真価はイレギュラー対応にあったりします。 通常とは異なるとき、そのフォワーダーはどこまでの対応力があるのでしょうか? ここが非常に重要なポイントです。 輸送に伴う制約条件が少ない 最後に輸送に伴う制約条件が少ないことです。 オーバーゲージ貨物や重量物などに豊富な経験があるフォワーダーは、輸送に伴う制約を付けることは少ないです。 つまり、このケースはダメ。このパターンはダメ。これもいけない。この機械は対応できない。などの決まり文句のことです。 これは、フォワーダーがなるべくリスクを負わないための作戦です。 とにかく特殊貨物の輸送に自信がない所ほど、細かな制約を付けたがります。 もし、あなたが契約しているフォワーダーが様々な制約を付けるときは、オーバーゲージ貨物の輸送経験がそこまで豊富でない可能性が高いです。 まとめ では今回の話の内容をまとめましょう。 オーバーゲージ貨物の輸送を依頼するフォワーダーを選ぶポイントは3つありました。 1. スペース確保力 2. 確かな実績と柔軟な対応 3. 輸送に伴う制約が少ないこと 一般の荷主とフォワーダーでは普段の取扱量が圧倒的に異なります。 あなたが直接船会社に依頼しても断られるかもしれませんが、フォワーダーに依頼をすればより高い可能性でスペースを確保してくれます。 そしてオーバーゲージ貨物の取り扱う確かな実績があると、柔軟な対応も可能になります。 オーバーゲージ貨物や重量貨物の取扱は特殊です。 この特殊な貨物を安全に輸送手配するのは簡単なことではないので、実績と対応力のあるフォワーダーを選びましょう。 そして最後に制約を沢山設けないフォワーダーであることも重要です。 実績と対応の話にもつながりますが、制約を必要以上に提示してくるのは自信のない証拠です。これまでの輸送実績が限定的だったということもあり、新しい案件に関しては保守的になっている状態です。 以上、オーバーゲージ貨物の輸送は、これらの3つの特徴を満たしているフォワーダーを選んで依頼するようにしましょう。 ちなみにですが弊社ではタイにおけるオーバーゲージ貨物の輸送、据え付け、取り外しなどを数多く対応してきた実績がございます。 重量貨物であっても安全にハンドリングをして、よりフレキシブルな対応をお客様にご提供してきました。 もしタイでのオーバーゲージ、重量物案件がございましたら、弊社までお問い合わせください。 今回のお話は以上になります。ありがとうございました! ・Twitter で DM を送る https://twitter.com/iino_saan ・LinkedIn でメッセージを送る https://www.linkedin.com/in/shinya-iino/ お問い合わせは「ツイッター」と「LinkedIn」のみで承っております。