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2021年9月

なぜ無いの?荷主とフォワーダーのマッチングサービスについて。 | 物流ニュース・物流ラジオ

なぜ無いの?荷主とフォワーダーのマッチングサービスについて。

本日はラジオのリスナーさんからのご質問にお答えしていきたいと思います。 このような質問を頂きました。「荷主とフォワーダーのマッチングサービスがないのはなぜでしょうか?教えてください。」 この質問に対して私なりの見解をお話していきたいと思います。 2021年9月20日イーノさんの物流ラジオ 荷主とフォワーダーのマッチングの現状 結論から申しますと、需要が大きくないからだと思います。 本当に荷主とフォワーダーのマッチングサービスはないのか?と思い簡単に調べたところ、日本では2社くらいがそのようなサービスを運営しておりました。探せば他にもあるかもしれませんが、私個人的には以下の理由からそのサービスには大きな需要がないと考えています。 フォワーダー自体が船会社・航空会社のマッチング 基本的にフォワーダーの仕事は船会社・航空会社のスペースを借りて荷主に提供するものです。 また海上・航空輸送だけでなく、トレーラーや倉庫も他社の設備を使って輸送手配しているところが多いです。もちろん大手フォワーダーは自社の倉庫やトレーラーを所有しているケースもありますが、基本的にはノンアセットで運営できるのがフォワーダーの特徴です。 その為、フォワーダー自体が国際物流のマッチングサービスと言えるでしょう。 遠隔地の物流を手配出来る 国際輸送を手配するフォワーディングという仕事は、国内であれば遠隔地からでも手配可能です。実際に弊社では九州の鹿児島からバンコクへの輸送を、東京のフォワーダーに依頼をしています。 トレーラーや通関は現地で対応をする必要があります。しかし、海をまたぐ海上・航空輸送手配はその国のどこからでも手配は可能です。 そういう特徴からもフォワーダーをわざわざマッチングサービスで探さなくても、一般検索で見つけることで十分に事足りるからです。 デジタル・フォワーダー これからはデジタルフォワーダーが独自のプラットフォームを使ったマッチングサービスになるでしょう。 荷主が積み地・揚げ地、貨物情報などを入力し、その条件に沿った船会社と海上運賃が表示される仕組みで、本船予約がもっと手軽になります。 昨今では船会社もBookingシステムを導入していますが、海上輸送のみです。 Port to Portの輸送を手がける船会社とは違い、Door to Door輸送を手がける事が出来るのがフォワーダーと船会社との違いです。フォワーダーのマッチングサービスではトータル物流を提案するサービスとなります。 フォワーダー同士のマッチングサービスは存在する Door to Doorの輸送を手配するフォワーディングの場合、フォワーダーは輸出側と輸入側で協力して貨物を輸送する必要があります。 大手のグローバルフォワーダーであれば世界各国に支店がある場合もありますが、一般フォワーダーは各国のフォワーダーと代理店契約を結んで協力をしています。 各国との代理店との連携が必要なので、フォワーダーはFreight Forwarder Networkに所属している事が多いです。そのネットワーク内で特定の地域のフォワーダーを見つけて契約をし、荷主の貨物手配をします。 まとめ まとめますと、荷主とフォワーダーのマッチングサービスが少ないのは、需要が大きくなく、フォワーダー自体が荷主と各物流業者とをマッチングさせるような存在だからです。 その形は今後 デジタル・フォワーダーという形で荷主にとってより国際物流の手配をシンプルなものにするでしょう。

中国とオーストラリアが関係悪化!?反ダンピング関税・石炭輸送など、ドライバルク市場に影響も。 | 物流ニュース・物流ラジオ

中国とオーストラリアが関係悪化!?反ダンピング関税・石炭輸送など、ドライバルク市場に影響も。

今日のテーマは中国とオーストラリアの関係悪化による海上の影響です。 現在 中国とオーストラリアの国際関係は悪化しており、それに伴う貿易の流れ・国際物流の流れが変わってきています。 2021年9月17日 イーノさんの物流ラジオ .standfm-embed-iframe { height: 190px; } @media only screen and (max-device-width: 480px) { .standfm-embed-iframe { height: 230px; } }   中国とオーストラリアの関係悪化 実は2017年ぐらいから両国の関係悪化は少しずつ見られていましたが、2020年にオーストラリアが新型コロナウイルス感染起源を国際調査を公式に求めたことで中国が貿易面で対抗措置を取ったことが決定打となりました。 その中国による貿易の対抗措置はオーストラリアの大麦にアンチダンピング関税をかけたことから始まり、更にワイン、石炭、ロブスター、木材などにも高い関税をかけたのです。 アンチ・ダンピング関税 ダンピングについて少し説明をします。ダンピングとは他国に貿易をするときに、不当に安い 投げ売りのような価格で他国に製品を販売して市場を破壊する行為のことです。 それを抑制する為に輸入国はアンチ・ダンピング関税措置を取ることが出来、製品に高い関税をかけて自国の産業を守ることが出来ます。 中国のアンチ・ダンピング関税措置 今回、中国はオーストラリア産の大麦に80%、ワインに218%の追加関税(アンチ・ダンピング関税と相殺関税)を課して市場からの締め出しを図りました。 それに対してオーストラリアはWTOルール違反の可能性を指摘し、中国に協議を求めましたが 和解には至っていません。 石炭輸送にも大きな影響 更に中国はオーストラリア産の石炭を積んだドライ・バルカー船に入港許可を出しませんでした。その為に一時期では70隻以上のドライ・バルカー船が入港許可待ちとなり、また約1年ほど入港許可が降りなかった船もあります。 昨年までオーストラリアの石炭の最大取引国は中国でしたが、現在に至っては中国はオーストラリアからの石炭の輸入を99%にまで減らしています。 代わりに中国はインドネシアからの石炭を輸入し、オーストラリアはこれまで中国に販売していた石炭をインドと韓国に販売することになりました。 ドライ・バルク船の市況に影響 このトレードパターンの変化はドライ・バルク船の航海距離の増加に影響し、1トンあたりの平均航海距離は前年同月比の6.6%増加しています。 現在 バルチック海運指数は右肩上がりですが、中国・オーストラリアの外交関係が ドライ・バルカー船の需要アップに繋がったものだと考えられます。 まとめ 今回ご説明したように他国の外交状態も海運市場に影響を与える要因になりますので、このような視点で海運を見てみるのも市況の流れを読む良い訓練になると思います。

2021年 台風14号 Chanthu、上海港・浦東空港で国際物流に影響。 | 物流ニュース・物流ラジオ

2021年 台風14号 Chanthu、上海港・浦東空港で国際物流に影響。

今日のテーマは台風Chanthuが与える上海物流への影響です。 今週の13日、14日に上海の小中学校が休校になるほど大きな台風が来ていました。それに合わせて上海港・寧波港も港のオペレーション活動を一時停止し、PVG(上海浦東空港)では13日に前フライトをキャンセルを実施しました。 14日からは運行再開したものの、その影響は10月1日の国慶節前のピークシーズンに大きな影響を与えるでしょう。 2021年9月16日 イーノさんの物流ラジオ .standfm-embed-iframe { height: 190px; } @media only screen and (max-device-width: 480px) { .standfm-embed-iframe { height: 230px; } }   ピークシーズン中での港・空港停止 現在は北米のクリスマス商戦や国慶節前の駆け込み需要で中国のサプライチェーンでは、海上・航空輸送においてスペースが逼迫をしており、輸送価格も高騰をしています。 そのような中で1日であっても港や空港の物流機能が停止となると、更なるスペースの逼迫につながります。 実務でもスペース逼迫を感じる 今回の台風の影響かどうかは分かりませんが、弊社でも海上輸送の本船スペースが9月はかなり取りにくくなりました。北米向けに至っては10月の上旬でもスペースがない状態です。 現在多くのフォワーダーが同じような状況だと思います。本当に限られたスペースをうまく荷主に配分する。あとはこのサプライチェーンの乱れが落ち着いてくるのを待つだけとなります。 今できることをする しかし、そんな中でも自分に出来ることを実行することは重要だと個人的に思います。私が物流ラジオとして毎日の音声配信をしているのも、コロナ禍における営業活動の一環です。 人との面談が難しい状況においてでも、定期的な情報発信をすることで弊社のサービスに対して興味を持って頂いたり、見込み客との接触を繰り返すことが出来ます。 イーノさんとお話しませんか? このラジオやブログを見て下さっているフォワーダーさんで、もし私とお話ししたいという方がいらっしゃればTwitterやLinkedInでご連絡を下さい。 私としてはタイの現在の物流に関する情報共有をすることが出来ますし、各国の代理店候補のフォワーダーとお話しできる機会は貴重だと考えています。 皆様からのご連絡をお待ちしております。

北米トラックドライバー、ワクチン義務化による大量離職か?サプライチェーンが乱れる可能性も。 | 物流ニュース・物流ラジオ

北米トラックドライバー、ワクチン義務化による大量離職か?サプライチェーンが乱れる可能性も。

今日のテーマは北米のトラックドライバーのワクチン義務化についてです。 先週 アメリカのバイデン大統領はトラック会社のコロナ対策に関して計画を発表しました。それは100人以上の従業員が在籍する会社はドライバーのワクチンを義務化。もしくは週1回の検査の義務化をするという計画です。 2021年9月15日 イーノさんの物流ラジオ .standfm-embed-iframe { height: 190px; } @media only screen and (max-device-width: 480px) { .standfm-embed-iframe { height: 230px; } }   ドライバーの一部がワクチン義務化に抵抗 現在 北米ではコロナのデルタ株が流行っているので感染拡大を抑えなければいけません。しかし、問題は一部のドライバーがワクチン接種の義務化に抵抗をしていることです。 必ずワクチンを摂取しなければいけないのであれば、従業員100人以下のワクチンが義務化されていない会社に転職するドライバーも一定数でいると考えられます。 小売店に商品が陳列できない? ご存知の通り昨今では外国からクリスマス商戦に向けて大量の貨物がアメリカに送られてきていますよね。その貨物をトラックドライバーが小売店に届けないと小売店の棚に商品が並んでいない状態になりかねません。 もしそのようなことが発生するのであればトラック会社は小売側からの信用を失ってしまい、別のトラック会社への切り替えの検討材料になってしまいます。トラック会社としてはそれを避けなければいけません。 そういう意味でもトラックドライバーの確保は現状では大きな課題なのです。 ドライバーの離職によるサプライチェーンの乱れ しかし北米の約97%の運送会社はトラック20台以下の規模で経営をしているとのこと。なので今回の計画は主に大企業に向けたものと考えられます。 大企業においてワクチン接種の義務化となれば、もしかしたらドライバーの大量離職になる可能性もあります。そうなるとただでさえ乱れているサプライチェーンに更なる混乱が発生しかねません。 更なる物流の目づまえりへの懸念 トラックの大企業は自社の配送センターを抱えており、ドライバーがいなければ配送センターに貨物が滞ります。そうなると配送センターに送る予定だった港にあるコンテナ貨物は、行き場所がなく引き続き港に滞留することになるのです。 更なる物流の目詰まりに繋がってしまうので、この新しいドライバーに対する規制は単なるアメリカ内の問題には終わらないのです。 ドライバーからの感染拡大 そもそもの課題である、ドライバーからコロナの感染拡大につながるのか?というポイントですが、私が活動するタイにおいては そのような事例があった模様です。 コロナに感染していたドライバーからの伝票の受け渡しの際の接触が、工場に感染者を発生させ工場が一時閉鎖されたという話を聞いたことがあります。 弊社が取引しているトラック会社では週に一回の検査をドライバーに義務付けて対応をしていますが、検査だけでどこまで感染を抑えられるかは疑問が残るところです。 しかしタイではワクチンの流通量が足りていないので現状で出来る対策をしなければいけません。 まとめ 話は北米のドライバーのワクチン義務化に戻りますが、ワクチン摂取が まさかサプライチェーンの乱れにつながる可能性があるなんて思いもしませんでした。 それほどまでに現在のサプライチェーンにおいては緊張の糸がピンと張った状態です。この情報については引き続きアップデートをしていきたいと思います。

海上運賃の高騰はいつまで続くのか? | 輸送・ロジスティクス

海上運賃の高騰はいつまで続くのか?

この記事を動画で見る どうもこんにちは飯野です。 今回は、現在高騰している海上運賃の市況がいつまで続くのか?というテーマでお話をしていきたいと思います。 先日、アメリカのウォール・ストリート・ジャーナルを読んでいたら北米の港湾関係者の間では現在のような市況は2022年まで続く見通しであるという見出しの記事がありました。 また日本の海運メディアでも同様の内容の情報をよく見かけます。 現在の海運業界の市況 それでは、まず現在の市況がどのようになっているのかをご説明します。 上海航運交易所が発表している北米向けの海上運賃は、上海からロサンゼルスまでがUSD6,000/40’、東海岸のニューヨークまでだとUSD 10,000/40’を超えています。これはコロナ前の4倍以上の価格です。 そして、通常9月から北米向けのクリスマス商戦に向けたピークシーズンが始まるのですが、今年は8月に前倒しになっています。 2021年のクリスマス商戦 今年の北米のクリスマス商戦は例年とは違います。世界最大の小売アメリカのウォルマートが11月にブラック・フライデーセールを3回行うと発表したのです。 ブラック・フライデーのセールは毎年11月第4週の木曜日 Thanks Giving Dayの翌日の金曜日に開催され、アメリカでは最も活気のあるセールの一つです。 それが今年はコロナのデルタ株の影響で、密を避けるために3回に分けて行われます。ウォルマートがこのようなセールをするので他の小売も何らかの形でセール期間を増やしたり、伸ばすことが予想されます。 当初は北米向けの需要の伸びは、バイデン政権の給付金によるアメリカ経済の回復、ステイホームによる在宅ワーク用の需要からのものだと思っていました。 しかしクリスマス商戦を更に勢いづける刺激が小売側からもあったのです。 沖待ち多数、内陸の鉄道もパンク寸前 こうなると各小売では在庫を確保する必要があり、その為に通常よりも多くの発注・国際輸送が発生することになります。 その為、現在では多くのコンテナが中国に集まっていて、日本やタイにある弊社でも北米向けのコンテナやスペースが非常に取りにくい状態が続いているのです。 このクリスマス商戦に向けた輸送は通常 10月1日の中国の国慶節の前には落ち着きます。しかし国慶節後もスペース不足で送れなかった発注分の輸送があるかもしれません。 そして、現時点でロサンゼルス港での船の沖待ちは約40隻あると言われています。貨物を積んだコンテナ船が積み下ろし待ちで40隻も順番を待っているのです。 更に中国から出るコンテナが10月に落ち着いたとしてもアメリカ側でこれを捌くのに時間がかかります。現在は海上だけでなく、内陸の鉄道もパンク寸前になっている状態です。 このように北米の至る所で目詰まりが発生している状態なので、これが解消されるには数ヶ月の期間が必要になるでしょう。 2022年2月の中国旧正月 そして次のピークが2022年2月の中国の旧正月です。一般的にこの旧正月前にまた貨物出荷が集中します。 北米向けは目詰まりがこれまでに解消できていなければ、またサプライチェーンに乱れが発生することになるでしょう。 北米西岸港湾の労働協定の失効 その次のイベントが2022年7月。北米西岸港湾の労働協定の失効、改定交渉です。 前回の2014年の労働協約改定では妥結するまで、なんと9ヶ月の時間を要しました。この交渉期間は実際に港の機能が低下して、多くの貨物がエアー・カナダの西海岸・北米東岸経由で輸送をされることになったのです。 今回の労働協約のテーマの一つに「港の自動化」があります。港の自動化が導入されれば港湾労働者の仕事が減ります。 そういう意味でこの改定交渉は荒れるなと予想できるのではないでしょうか。 前回でも北米東岸向けの海上運賃は高騰しましたので、2022年7月においても同様に海上運賃の高騰が考えられます。 2022年のクリスマス商戦 そうこうしているうちに2022年9月。クリスマス商戦の輸送が始まります。 来年のこの時期にコロナの影響がどうなっているかは分かりませんが、北米西岸港湾の機能は正常でない可能性があります。もしコロナの別の変異株などが影響していたら更なる混乱が予想されます。 流石に今年のスエズ運河封鎖のような事故はないかもしれませんが、引き続き何かの問題が発生するとサプライチェーンが乱れるほど緊張した状況は続くと思われます。 このように考えると2022年いっぱいにおいても、海上運賃は上がる要素はあっても、下がる要素が少ないと個人的には思います。 海上運賃とスペースの交渉スタート 実際に日本では荷主・フォワーダー・船会社とで2022年の海上運賃、スペースの交渉が早くも始まりました。通常では11月や12月ですが今年は9月からという異例の早さです。 この交渉では運賃交渉というより、スペースの安定供給の交渉が重要視されているようです。 まとめ 今回ご説明した内容をご自身でも改めてご確認頂き、来年以降のサプライチェーンにおいて自分で出来ることの準備を進めることが適切なのかなと思います。 このチャンネルでは物流に関することを出来るだけ分かりやすく解説をしています。チャンネル登録がまだという方は是非ともこの動画の終了時に登録をして頂けると嬉しいです。 またコメントや動画のシェアもして頂けると動画更新の励みになります。 それではまた次の動画でお会いしましょう。ありがとうございました! ・Twitter で DM を送る https://twitter.com/iino_saan ・LinkedIn でメッセージを送る https://www.linkedin.com/in/shinya-iino/ お問い合わせは「ツイッター」と「LinkedIn」のみで承っております。

コンテナ用船料が高騰!10倍の用船料の長期契約による影響について | 物流ニュース・物流ラジオ

コンテナ用船料が高騰!10倍の用船料の長期契約による影響について

今日のテーマはコンテナの用船料の値上がりについてです。 コロナ以降で海上運賃の高騰について何度もお伝えをしてきました。それは船会社による運賃の値上げのようにお伝えをしておりましたが、実は背景にはコンテナ用船料の値上がりもありました。 2021年9月14日 イーノさんの物流ラジオ .standfm-embed-iframe { height: 190px; } @media only screen and (max-device-width: 480px) { .standfm-embed-iframe { height: 230px; } }   コンテナ用船料の値上がり 現在のコンテナの用船料はこのように値上がりをしています。 現在の用船料 USD 98,000/日 コロナ前の用船料 USD 10,000/日 コンテナ船のサイズ:4,400TEU 昨年の夏ぐらいから徐々に値上がりを続け、現在では約10倍の価格に跳ね上がっています。 船主とオペレーター コンテナ船の用船料を説明するにあたり、まず船の船主とオペレーターの違いについてご説明をします。海運市場において、ONEやMaerskのような船会社が全ての船を所有しているわけではありません。 もちろん船会社も自社の船を所有していますが、別の船主から本船をレンタルして運行(オペレート)をしています。その為、船会社をオペレーターと呼ぶことがあります。 例えば、今年の4月にスエズ運河でEverGreenの船が座礁をしたと話題になりましたが、この船の船主は日本の正栄汽船であったため、スエズ運河庁との賠償について交渉をしていたのはEverGreenではなく正栄汽船でしたよね。 用船期間も注目ポイント コロナ前の用船期間は長くても1年契約でした。しかし昨今では4-5年契約が当たり前との情報があり、1年の短期契約の更新は難しい状態になっています。船主は高騰した用船料で更に長期契約を条件に交渉をしています。 海運市場は現在〜2022年も高いことが予想されていますが、もし2023年以降で海運市場が下がったにも関わらず、高い用船料を船主に支払わなければいけないのは船会社(オペレーター)としては避けたいものです。 しかし船主との交渉がうまくいかなければ、船会社は船主から船を貸してもらえずサービス供給に制限がかかる可能性もあります。 高額な船への投資 船主としても船への投資は1隻で数十億〜200億円くらいの非常に大きなものです。投資したにも関わらず市況が低い状態だと投資を十分に回収することが出来ずに、大損失を被る可能性もあるのです。 そういう意味で船主の立場としたら、高い用船料で長期契約を結びたいのは当然の考えでしょう。 まとめ 市場価格は需要と供給のバランスによります。現在は供給が需要に追いついていない状態です。その為 海上運賃は過去最高の価格となっていますが、コロナや北米のクリスマス商戦などが落ち着き、需要も下がっていけば価格も落ち着くことになります。 今後の海運市況においてはこの用船料というのも注目しておくと良いでしょう。

フォワーダーの仕事で大切なこととは?輸送だけでは選ばれない理由。 | 物流ニュース・物流ラジオ

フォワーダーの仕事で大切なこととは?輸送だけでは選ばれない理由。

今日のテーマはフォワーダーのお仕事で大切なことです。 私自身がフォワーダーの仕事を始めて約10年になります。その経験をもとにフォワーダーの仕事では何が大切なのか?についてお話ししようと思いました。 2021年9月13日 イーノさんの物流ラジオ .standfm-embed-iframe { height: 190px; } @media only screen and (max-device-width: 480px) { .standfm-embed-iframe { height: 230px; } }   フォワーダーの仕事とは? フォワーダーの仕事は船会社や航空会社のスペースを借りて、荷主の貨物を海外に輸送する仕事です。昨今ではスペースの確保が難しいのですが、ちゃんと運べるということが最低限の機能です。 このように世界のインフラとして機能している必要があるのですが、これだけだと不十分だと個人的には思います。 フォワーダーとしてのサービス品質 上述したようにフォワーダーは商品を販売しているわけではなく、無形のサービスを販売しています。だからサービスの質というのも非常に大切なのです。 正確な仕事 何がサービスの質を分けるのか?フォワーダーの仕事においては、正確性というのは重要な要素です。よくあるのがB/Lのミスによって、通関を通すことが出来ずデマレージが発生してしまうこと。 またフォワーダーとトラックの連携が出来ておらず、輸出側でコンテナを搬入する港を間違えてしまい予定していた船に乗せられない事もあります。万が一ですがB/Lが紛失したとなれば大問題で、貨物を港から取り出すのに一苦労することになります。 スピード対応 対応が遅いというのもサービスの質が高いとはいえないでしょう。お客からの問い合わせがあった対応に1週間〜2週間もかかっていると別のフォワーダーを選ばれることにつながります。 フォワーダーの営業は頑張っているけれども、現場の確認に時間がかかることもあります。そういう意味で全体の連携が必要ですね。メールの返信もできるだけ早い方が好まれます。 何か問題が発生したときもスピードが重要になります。半日遅れるだけで損失が大きく膨らむこともあるので、トラブル時はとにかく早い対応が必要になります。 フレンドリーである またフレンドリーであることも個人的には大切だと思います。接客において愛想がない、話しかけにくいというのはお客がサービスを受け続けたくなるのか? スペースが確保できるが、担当者があまりにも無愛想で対応が悪いとしたら、別のスペース確保が出来るフォワーダーを選ぶ理由になりますよね。 なので単にものを運ぶ機能としてスペース確保が出来る、運賃が安いというだけでは最低限のフォワーダーの仕事で、それ以上の付加価値はサービスの品質にあるのです。 個人と会社でサービスの質を追求する フォワーダーの会社経営者の立場からすると、これらのサービス品質を担当者個人に依存してしまってはいけません。全てのスタッフが等しく高いレベルのサービスを提供できること。 しかし、一方であなたが営業やCS担当であればサービス品質は自分の力である程度あげることが出来るものです。スペース確保や運賃は会社単位での力なので、これは総力戦です。 会社としても、個人としても、サービスに力を入れるとお客に選ばれるフォワーダーになれるでしょう。

海上輸送トランシップについて | 輸送・ロジスティクス

海上輸送トランシップについて

この記事を動画で見る どうもこんにちは飯野です。 今回は海上輸送のトランシップについてお話していきたいと思います。 2021年はコンテナ不足が発生し、コンテナや本船スペースの取り合いが激化。そして物流のスケジュールが全く安定していません。何とかコンテナを確保し、輸出手配が出来たものの、輸入地に貨物がなかなか到着しないケースがあります。 その貨物が到着しない理由の一つにはトランシップの問題もあります。今回は海上輸送の現状を含めたトランシップについての解説です。 それではいってみましょう。 直行便と経由便 まず最初に海上輸送では直行便と経由便があります。直行便は貨物を輸出地から載せた船が、そのまま輸入地まで同じ船でいく便のことです。 一方で経由便は輸出地から載せた貨物を、途中で別の港にて違う船に積み替えて輸送する便のことです。 トランシップとは 経由便での積み替えのことをトランシップと言います。海上輸送の航路によっては直行便がないことがあり、トランシップが必要になるケースがよくあります。 ここで直行便と経由便についてのメリット・デメリットを確認していきましょう。 直行便・経由便のメリットとデメリット 直行便のメリット・デメリット 直行便は経由便に比べて、輸送に掛かる日数が短く、海上運賃が高めなのが特徴です。貨物を載せた船にトラブルなどが無い限り、船が着けば貨物は到着します。 経由便のメリット・デメリット その逆で経由便は直行便に比べて、輸送に掛かる日数が長くなり、その為か海上運賃は安い傾向にあります。 しかし経由地で混雑などの問題があると予定の船に繋ぐことが出来ず、トランシップ待ちという状態になる可能性があるのです。 トランシップ待ちになると納品スケジュールに大きな遅れが生じてしまいます。 また経由地でのコンテナの上げ下ろしの作業が増えるため、ダメージ発生の可能性も上がるのが、経由便を使った際のデメリットです。 「ハブ港」について このように聞くと毎回 直行便を使った方がメリットが大きいじゃないかと思うかもしれません。しかし直行便と経由便をいつも自由に選べるわけではないのです。 次にトランシップに関する「ハブ港」というキーワードについて解説しましょう。 海上のコンテナ輸送で多くの船が積み替えられる港をハブ港とよびます。ハブ港は大型船が寄港しやすいように設備を整えた港です。 トランシップがしやすいよう税金が免除になったり、24時間稼働していたりとベースポートとして貨物を集約するので船の運航がしやすいようになっています。 アジアの主要港はこうしたハブ港としての整備を進めています。日本では京浜港、神戸港をハブ港として整備をしてきていますが、まだトランシップ貨物が増えている状況ではないようです。 現在コンテナ船は大型化が進んでいます。しかし日本の港は水深が浅い為、昨今の船の大型化に適合できていません。その為、日本に寄港しない船が増えてきています。 そうなると、アジアの別のハブ港で貨物を集約したあとトランシップをし、日本の各港に別の船で輸送されることになるのです。 グローバルハブのシンガポール トランシップが行われるのは世界のグローバルハブと呼ばれているシンガポールが有名です。トランシップ貨物の取扱量はシンガポールが世界1位と推定されています。 アジアでは他には香港、台湾の高雄、韓国の釜山がトランシップでよく使われます。 例えば、日本から東南アジア各国に輸出するとシンガポール経由だったりします。他にも日本の地方港向けの貨物の場合、よく釜山でトランシップされます。 またタイからアフリカ向けの貨物はシンガポールトランシップが多いです。 トランシップの現状 そしてトランシップの現状ですが、ハブ港の混雑がひどくなっていることにより、トランシップの接続が上手くいかないことがあります。 昨今ではハブ港の作業員がコロナ感染により港湾作業に制限がかかることもあります。 またトラックドライバーも不足していることでコンテナの滞留を引き起こし、本船が入港しても予定通り貨物を降ろすことが出来ないこともあるからです。 接続船が週一便にも関わらずコンテナの積み卸しに混乱が出て予定の接続船に載せられないことがあります。そうなると翌週、最近だと翌々週の接続船まで待機することもあります。 世界のハブ港であるシンガポールであっても、混雑がひどく船のスケジュールが遅れてしまう為に、シンガポールを抜港するというニュースもありました。 トランシップにおけるB/Lの変更対応 ちなみに余談ですが、トランシップの場合 出港の段階で載せられる予定の船はB/Lに記載されています。ですがその予定の船に載せられないということも現状起こっています。 B/Lの表記は一字一句間違いなく記載するのが基本ですが、船名に関してはトランシップがうまくいかず本船が変更になった場合はB/Lの変更の必要はありません。 税関に輸入通関書類としてB/Lなどの書類を提出しますが、本船名の表記が違い問題になる場合は、船会社から積み替え通知を送ってもらい対応できますので、覚えておいた方が良いかもしれません。 まとめ 今回はトランシップについて詳しく解説しました。船には直行便と経由便があります。経由便を使用する場合は船は途中でトランシップします。 遅れが出る可能性があることを頭において、貨物のスケジュール管理をすすめていきましょう。 このチャンネルでは物流に関する情報を出来るだけ詳しく解説をしていますので、チャンネル登録がまだという方は、動画の終了時に是非ともよろしくお願い致します。 それではまた次の動画でお会いしましょう。ありがとうございました。 ・Twitter で DM を送る https://twitter.com/iino_saan ・LinkedIn でメッセージを送る https://www.linkedin.com/in/shinya-iino/ お問い合わせは「ツイッター」と「LinkedIn」のみで承っております。

2022年もスペース逼迫か!?船社との交渉早くもスタート | 物流ニュース・物流ラジオ

2022年もスペース逼迫か!?船社との交渉早くもスタート

本日のテーマは海上輸送にて来年の運賃とスペースの交渉が始まったという内容でお届けします。 通常、海上輸送での船会社に対して翌年のスペースや運賃交渉は11月〜12月ぐらいです。しかし、それが今年は9月から始まるという異例の早さでの交渉開始です。 今年のサプライチェーンは大きな混乱があり、来年も同じく乱れることが予想されているからでしょう。 2021年9月10日 イーノさんの物流ラジオ .standfm-embed-iframe { height: 190px; } @media only screen and (max-device-width: 480px) { .standfm-embed-iframe { height: 230px; } }   契約交渉が早い理由 主に契約では大手荷主やフォワーダーが来年のBooking量を船会社に伝えて、海上運賃とスペースを交渉します。2022年では海上運賃というより、スペース交渉の方が優先されているようです。 現在の世界各地の港や内陸部のコンテナの目詰まりはすぐに解消されるものではありませんし、2022年7月には北米西岸の労働協約が失効されて再交渉が始まります。来年も北米向けの海上輸送ではスペースが逼迫する可能性が高いのです。 運賃交渉とスペース交渉 船会社との交渉における海上運賃の種類についてご説明をします。これらには2種類があり、1つがネームドアカウント、もう1つがFAKレートです。 ネームドアカウント ネームドアカウントは特定荷主の代理店としてのフォワーダーが運賃を得るものです。特定の荷主用の運賃なので他の荷主には使用できません。 FAKレート 一方でFAKレートはFright All Kindsといい、1ヶ月〜3ヶ月の固定レートとご理解してもらえればいいと思います。昨今の状態では3ヶ月のレートを固定する条件は難しいだけでなく、FAKレート自体が使用出来ない場合もあります。 プレミアムレート FAKレートが使用出来ない場合、またネームドアカウント以外の荷主への海上運賃はプレミアムレートという特別運賃をしようする形になります。通常の海上運賃より更に高い費用を払えばスペースを確保するというものです。 プレミアムレートしか使えないとなると、荷主からすると安定したサプライチェーンを確保するために輸送費用が高額になってしまうので、前年にしっかりと契約をしておくのです。 2023年以降の供給過多の可能性 そして、今回の契約で「複数年契約」と意外な提案が一部の荷主からあったようです。 現在 船会社は昨今の好景気の影響もあり、多くのコンテナ船を発注しています。 ・2022年竣工の新造コンテナ船:90万6,000TEU ・2023年以降竣工の新造コンテナ船:396万8,000TEU このように2023年以降は供給過多になる可能性がある為、荷主にとっては複数年契約は不利になる可能性もあるのです。しかし私 個人的にはそこまでの供給過多にはならないと考えています。 スエズブームからの教訓 1956年頃にスエズブームという船会社にとって最大の好景気を迎える時期がありました。 スエズブームとはスエズ運河の所有権をめぐって第二次中東戦争が勃発し、スエズ運河が1年閉鎖されました。その為 多くの輸送船は南アフリカの喜望峰をまわることを余儀なくされたので、海上運賃が高騰したのです。 海上運賃の高騰によって大きく利益を得た船会社は新造船に投資したものの、スエズ運河の再開通が始まると供給過多ととなり海運市場には大きな不況が訪れました。 今回もそのような供給過多への懸念がありますが、過去の失敗から学んだ船会社は環境保護に対応した船腹の利用をするためと供給量をコントロールすると個人的には思っています。 まとめ とはいえ2022年も海上運賃は高い水準が続くと予想して大手荷主やフォワーダーも含めて交渉をしているようなので、来年のサプライチェーンの乱れが予想されます。 私個人的にも来年も引き続き忙しい一年が続くのかと準備を進めねばと思っています。

物流会社のPRに物申す!物流に表現は不要と言い切れるのか? | 物流ニュース・物流ラジオ

物流会社のPRに物申す!物流に表現は不要と言い切れるのか?

今日のテーマは物流会社のPRについてのお話です。 物流会社は基本的に物を運ぶ会社なので伝える会社ではありません。基本的にメディアではないので、伝えるという仕事は広告代理店やYouTuberなどの仕事になるでしょう。 しかし私自身、実際に国際物流業界に身を置いているYouTuberとして、物流会社が何をやってるのかを世の中に伝えるのは大切だと個人的には思っています。 2021年9月9日 イーノさんの物流ラジオ .standfm-embed-iframe { height: 190px; } @media only screen and (max-device-width: 480px) { .standfm-embed-iframe { height: 230px; } }   日系大手物流企業のYouTubeチャンネル MOL(商船三井)のYouTubeチャンネルがリニューアルをされたとニュースがあったので、チャンネルを見にいきました。それに合わせて日本郵船、川崎汽船などの船会社、日本通運や日立物流などのフォワーダーのYouTubeチャンネルも確認をしました。 個人的に内容は面白いと思いました。最新のテクノロジーや自動車運搬船の最新の形状や機能など。学びがとても多かったです。MOLの「マイクロプラスチックゴミを一般商船で回収する」というセミナーはプロジェクト事態にも大きな関心を得ました。 伸び代しかない 一通りそれらの会社のYouTubeチャンネルを見終わった後に「物流会社のPRには、まだまだ伸び代があるな」と感じました。とても良いコンテンツにも関わらず、視聴回数が少なく、あまり一般的にも知られてないのではと感じました。 他にも日通や日立物流はテレビCMには力を入れてるようですが、YouTubeメディアとしてはもっとうまく表現できるのでは?と思いました。 個人的には物流をより「分かりやすく」「かっこよく」「面白く」など、表現にも注力すると若い世代の人たちも興味を持ってくれて、物流業界に良い影響を与えられるのではと思います。 物流を単なるインフラ機能にしない 確かに物流は物を運ぶというインフラ機能としての側面が強いです。物流の本質は表現ではありません。しかし、物流を単に運ぶ機能だけとしてしまうと価格競争に陥ってしまいます。「物流=コスト」と捉えられてしまうのは少し寂しいものです。 大手企業は規模によるスケールメリットで本船スペースを確保し、安定したコストとスケジュールで物流をお客に提供出来ますが、コロナ前の強烈な価格競争で疲弊したのも事実です。 まとめ 今後の国際物流においては、物流はインフラ機能でありながらも 何かアート的な側面を持つことは出来ないか?そのように日頃考えています。 私自身は国際物流と経済を絡めて情報発信をしています。国際経済と物流の動きは連動しており、国際経済を支える為の物流を より分かりやすく、興味を持ってもらえる為の表現は、これからの時代でも必要なのかなとも思います。