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2022年11月

コンテナ船新造ラッシュ!スクラップは少なく供給過多になるか?小型船の老齢船の需要高 | 物流ニュース・物流ラジオ

コンテナ船新造ラッシュ!スクラップは少なく供給過多になるか?小型船の老齢船の需要高

どうもこんにちは、飯野です。 本日は、11月2日付の海事新聞の記事から、「コンテナ船新造ラッシュ、2025年までに730万TEU増。解撤効果も限定的か」についてお話していきたいと思います。 2022年11月4日イーノさんの物流ラジオ 新造船竣工ラッシュ 仏調査会社のアルファライナーのまとめによると、新造船の竣工ラッシュにより、2025年末までに合計730万TEUの新造船が投入される見込みです。 これは現在の船腹量の約3割に相当し、今後船腹の供給過剰を懸念する声も上がっています。 過剰供給懸念の声も そんな中で、EEXI(既存船の燃費性能規制)などによる規制で減速航行が進み、供給船腹量は減少するとの見方もある一方、景気低迷やそれによる荷動き減少で船腹の過剰供給を懸念する声も上がっています。 老齢船のスクラップ ここで、船腹の過剰供給リスクを軽減する手段として、コンテナの解撤売船(スクラップ)の動向にも注目が集まっています。 コンテナ船の解撤売船はコロナ禍以降、記録的なコンテナ運賃の高騰により、船主・オペレーター共に解撤せずにサービスに投入し続けていることなどの影響で、歴史的な低水準で推移してきました。 今年の1―6月期ではTEUベースでゼロとなるなど異例の状況が続いていたのです。 スペースが必要だったため、この期間はスクラップに回せなかったということです。 スクラップ対象船 これから再び解撤が進むという見方もあるものの、既存の船隊の平均船齢が13.5年であることを考慮すると、船腹の需給バランス改善への効果は現時点で不確実だという見方も強いです。 アルファライナーの最新のデータによると、世界のコンテナ船隊は5,627隻で2,550万TEU。 25歳以上のスクラップ対象のコンテナ船は424隻で65万TEU、全体の2.5%しかありません。 船齢20年以上の船腹に着目すると、1,102隻、250万TEUで、全体の約10%がスクラップとなり、これが進むと、今後の船腹供給の影響を緩和するとみられています。 小型船の需要 しかし船齢が20年以上の船齢の船舶は500―999TEUの小型船が最も多く、新造船として同サイズが供給される見込みがなく、一定のニーズもあることから、相当数があと数年は市場に残る可能性もあります。 環境規制により、こうした船舶の解撤が進むという見方もありますが、今後の荷動き動向や、スクラップ価格の推移などもこの動向を左右していきそうだと記事は締めくくっています。 先日はアメリカのジャーナルオブコマースが発表した船腹の需給についてご紹介しましたが、アルファライナーは、スクラップにする船はあまり多くなく、小型船も多いことから、やはり供給過多になるのではという見立てができるデータでした。 スクラップ価格の動向 記事の最後にもありましたが、スクラップ価格にも影響するのではないでしょうか。 鉄などの金額が上がれば、スクラップにしてしまおうという船主さんもいるでしょう。また、別の記事でONEの社長が今後の需給は均衡すると見ているとの記事もありました。 何が起きるかわからないのが海運マーケットだと思います。 とはいえ、より高い精度で予想したい場合は、スクラップ価格の動向も注視をして頂ければ良いのではないかと思います。

海上輸送で香港離れ加速!?中国ゼロコロナ政策の影響。香港と華南地区の動向に注目 | 物流ニュース・物流ラジオ

海上輸送で香港離れ加速!?中国ゼロコロナ政策の影響。香港と華南地区の動向に注目

どうもこんにちは、飯野です。 本日は、11月1日付の海事新聞から、記者の視点コラムで「中国のゼロコロナ政策、海上輸送で香港離れが加速」という記事をご紹介していきます。 2022年11月2日イーノさんの物流ラジオ 中国ゼロコロナ政策の影響 中国のゼロコロナ政策が、物流にも暗い影を落とし続けています。 10月中旬に10日ほど中国の寧波でロックダウンとなり、港湾物流が混乱しかねない事態になりました。 本船荷役などが継続された一方、港湾地区が封鎖されたためにコンテナの搬出入が停滞し、一時はヤードのキャパシティーオーバーが危ぶまれました。 この時は大きな混乱には至っていません。 深セン-香港間のクロスボーダー輸送 しかし、寧波に限らず、中国では各地の港湾、空港で大小の規制が敷かれ、物流が寸断するリスクが色んなところで潜んでいます。 中でも、最近よく耳にするのが深圳 ― 香港のクロスボーダー輸送の停滞です。 春先には一般トラックの通行が極端に制限され、商業貨物輸送が事実上停止しました。 その後も規制が続き、チャーター便の手配が難しくなっている上、運賃も上昇しています。 フィーダーサービスへの移行 トラック輸送から香港にフィーダー船にシフトする動きもあるものの、コロナ禍以降はコンテナが香港で滞留する傾向にあり、フィーダー船の接続にかかる時間が読めなくなっているとのことです。 加えて、船員の防疫対策のために旧正月などの大型連休に合わせ、フィーダーサービスは最長2カ月以上停止されます。 その前後は特に混雑が深刻化し、安定した輸送が難しくなっています。 そんな状況において、日新、NIPPON EXPRESSホールディングス、内外トランスラインなどがこうした事態に対応する代替サービスを開発しています。 「香港離れ」加速 ただ、長期的にはゼロコロナの香港への影響は大きいとみられ、香港はこれまで、華南のゲートウエーとして機能していましたが、政情不安と民主化デモで「香港離れ」が加速したとのことです。 通関などの手続き面での利便性などから香港を経由するメリットはあるものの、ゼロコロナ政策が重なり、香港を利用してきた荷主でも深圳など華南主要港での直接の輸出入を志向する企業が少なくないようです。 こと海上貨物輸送に関しては、深圳などの華南主要港との差がこれまで以上に広がりそうです。 それであれば、フォワーダーのネットワークの在り方やサービスも変化していくのではないか、今後の香港と華南を巡る動きに注目と記事は締めくくっています。 今後の中国の方向性 最近でもiPhone工場の人たちが工場での感染拡大のため、工場から逃げ出すというニュースがありました。習近平さんが3期目をやるというニュースもあります。 方針や政策は当分変わらないと思います。 このゼロコロナ政策もあり、去年・今年前半のサプライチェーン混乱も加え、北米やヨーロッパも生産工場を近くに作るニアショアにする動きもあります。 以前のニュースでは中国からインドに切り替えるという品目もあるとお伝えいたしました。 今は香港離れが進んでいく状態です。 もしかしたら今後は中国離れも顕著になってくるかもしれません。 大国・中国の影響 GDP世界2位の大国の動きは経済に大きく影響します。 経済に影響するということは、もちろん物流にも影響するということです。 ここからも目が離せない状態となっています。