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貿易コラム

商船三井、不動産に4,000億を投資!コンテナ事業依存から脱却目指す | 物流ニュース・物流ラジオ

商船三井、不動産に4,000億を投資!コンテナ事業依存から脱却目指す

どうもこんにちは、飯野です。 本日は、11月30日付の日経新聞の記事から、「商船三井、不動産に4,000億円投資 コンテナ依存から脱却」についてお話していきたいと思います。 2022年12月2日イーノさんの物流ラジオ 商船三井、不動産投資に舵を切る 商船三井が2023年から5年間で不動産事業に4,000億円を投じると発表しました。 4月に完全子会社化したダイビルが主導し、米国に進出するほかベトナムやオーストラリアなどの海外案件を増やすとのことです。 コンテナ依存から脱却 海運事業が好調なうちに中長期で安定的な収益が見込める不動産への投資を急拡大し、市況に左右されやすいコンテナ事業への依存を減らしていきます。 ご存知の通り商船三井の海運事業は新型コロナで物流需要が急増しました。しかし、経常益の約8割を占めるコンテナ船事業の業績は不安定です。 不安定なコンテナ船事業 2011年3月期から2020年3月期までの10年間では4度も最終損益で赤字を計上し、2011年3月期に35%だった自己資本比率は一時23%まで低下していました。 コンテナ事業に依存する事業構造の見直しは同業他社も課題にしています。 日本郵船は陸運事業を強化しており、商船三井は不動産投資にかじを切ります。 ではどのように不動産投資をするのでしょうか。 商船三井の不動産投資内容 4,000億円の不動産投資のうち、3分の1の1,300億円程度は米国をはじめとした海外案件に振り分け、既にオフィスビルを所有しているベトナムやオーストラリアで新規物件の獲得を狙っていきます。 人口増加が見込まれるインドをはじめアジア中心に新興国の開拓も見据えているとのことです。 海運事業者としてはこのような海外の不動産投資は異例の大規模となります。 残る3分の2の2,700億円程度は、国内投資をし、東京や大阪を中心に既存ビルの買収を目指します。 海運業界の不安定さ 海運業というのはとにかくボラティリティが高いです。 お伝えした通り、コロナ禍では大きな収益がありましたが、コロナ前は海運業はかなり厳しい環境下にありました。僕自身、実務をしていても、とにかく安い値段がどんどん出てくるといった状況でした。 それは今も変わらず、急激に上がった海上運賃がみるみる下がってきています。 過去に海運業界にはスエズブームっていうのがあり、一時的に海上運賃が高騰し、収益を上げた船会社が沢山船を作り、供給過多となりました。 船会社の投資の変化 今回も多くの船会社が船に投資をしていますが、時代が変わり、CO2排出の規制も重要なポイントになってきています。 商船三井はウィンドチャレンジという帆を作って風力で船を進めるプロジェクトも行っています。 世界的な脱炭素の流れがあるので、規制に対応していない船はスクラップに回され、そこまで供給過多にはならないと思います。 とはいえ、競争は激しく、商船三井はより安定した不動産への事業に舵を切ったということです。 別の事業での安定はかる 世の中の9割以上の貨物が海運で運ばれているので、海運事業自体は無くなりません。 もし別の事業が安定していれば、海運業での競争も耐えられるかもしれません。 物流業社はこの2年で大きな収益を得たので、今後、各社の投資戦略が注目です。

マースク・IBM、一大プロジェクト・トレードレンズ「商業性ない」と事業中止! | 物流ニュース・物流ラジオ

マースク・IBM、一大プロジェクト・トレードレンズ「商業性ない」と事業中止!

どうもこんにちは、飯野です。 本日は、12月1日付の海事新聞の記事から、「マースク・IBM、トレードレンズ「商業性ない」と事業中止」についてお話していきたいと思います。 トレードレンズ事業停止 デンマーク海運大手APモラー・マースクは11月29日、米IT大手IBMと共同で推進してきた貿易プラットフォーム「トレードレンズ」の事業を停止すると発表しました。 ブロックチェーン技術を核に、船社、港湾、税関当局など、主要な貿易関係者を結び、貿易の電子化を進める一大プロジェクトでしたが、マースクは「事業継続に必要な商業的有用性の水準に達しなかった」ため、停止を決めたとのことです。 トレーズレンズとは トレードレンズは貿易情報の電子化による業務効率化、貿易促進などを狙い、2018年にスタートしました。 当初はマースク主導のプロジェクトと敬遠する向きもありましたが、その後、MSCやCMA―CGM、ONE、ハパックロイドなど競合大手船社も順次参加しました。 事業停止への反応 同PFの電子船荷証券(eBL)が2021年にP&Iクラブの認証を得るなど、業界横断PFという認識も高まっていただけに、事業停止の発表は驚きを持って受け取られています。 情報のトランザクションごとの課金などではなく、PFから得られる物流情報を利用したアプリなどを通じた収益を狙うビジネスモデルを想定していたとみられるが、独立した事業として維持できるだけの収益が見込めなかったようです。 マースクは引き続き、サプライチェーンのデジタル化に努め、他のソリューションにより国際貿易を促進するとしています。 プラットフォームの今後の展開 今はプラットフォーム合戦が繰り広げられています。その中で、トレードレンズが抜けました。 最終的にどこかに集約はされていくと個人的には思っています。 他業種で考えてみましょう。 ECサイトでは、昔は各会社が自社の販売ページを持っていました。 今も各社のHP・通販サイトはありますが、ユーザーは、楽天・Amazon・ZOZOなどプラットフォームをメインで使っています。 おそらく、貿易のプラットフォームもこのように進んでいくのではないかと思っています。 とはいえ、今日のニュースはちょっと驚きのニュースでした。

関税局、「スマート税関」に向けて新施策を発表!DX化に備える | 物流ニュース・物流ラジオ

関税局、「スマート税関」に向けて新施策を発表!DX化に備える

どうもこんにちは、飯野です。 本日は11月30日付の海事新聞の記事から、「関税局、「スマート税関」へ新施策を発表」についてお話していきたいと思います。 2022年11月30日イーノさんの物流ラジオ 関税局、新施策発表 財務省関税局は28日、税関の中長期の施策をまとめた「スマート税関実現に向けたアクションプラン2022」を発表しました。 小口の輸入貨物の急増や経済社会全体のDX化などに対して新施策を打ち出しました。 詳しく見ていきましょう。 適切業務体制を整備 税関を取り巻く環境の変化や新たなニーズに対応し、世界最先端の税関を目指すとのことです。 越境ECが拡大し、輸入小口貨物が急増していることに対しては、水際の取り締まりの実効性確保と適正な課税のための情報の取得、情報を活用したリスク管理の強化、税関事務管理人の制度見直しなどを行います。 通関業者やECプラットフォーム事業者などとも連携・協力するほか、適切な業務体制を整備していきます。 関税などのキャッシュレス化 輸入手続きの円滑化に向けては、商業貨物の関税などのキャッシュレス納付に関するニーズを調査。 調査結果を踏まえ、納税環境の整備を検討します。 しかし、通関業者の税金立て替え問題を考えると、キャッシュレスのニーズ調査ではなく、もっとリアルタイム口座の浸透を目指すべきではないか、と個人的には感じております。 保税地域の活用 そして新たなニーズに対応し経済活性化につなげるため、保税地域も活用していきます。 アートフェア開催など保税地域を活用した新たなビジネスが生まれていることを踏まえ、多様な形での制度活用を図ります。 一方で、保税制度のさらなる適正執行に向けた体制強化を検討します。 プラットオーム連携を追求 貿易情報連携プラットフォームの登場など貿易情報のDX化に対しては、国内外の貿易関係書類のデジタル化の動向を注視していきます。 さまざまなプラットフォームとの連携の可能性を追求します。 税関とプラットフォームが繋がるとすると、NACCSとプラットフォームが繋がる感じでしょうか。 各プラットフォーム経由でNACCSが使えるとしたら面白いと思いますが、果たしてどうなっていくか、注目です。 原産地証明書のデータ交換 更には、原産地証明書のデータ交換にも取り組み、タイ、インドネシア、ASEANとの間で協議やシステム開発を順次行っていきます。 PDFファイルによる原産地証明書の受け入れも働き掛ける予定です。 日本への輸入では原産地証明はまだ原本必要だったように思います。コピー(PDF)で通関をした経験があります。 PDFによる受け入れは、ブロックチェーンを絡めたら仕組みができるのではないでしょうか。 税関の効率化へ このほか、空港・港湾施設などへの先端技術の導入、税関検査場のDX化、スマートグラスや水中ドローンの活用検討など新たな技術や機器を活用した審査・検査の効率化、経済安全保障への対応や途上国への関税技術協力などを進めていきます。 税関も色々と変わっていく時代です。 便利になってほしいとは思う一方で、税関がゆるゆるになってしまうと危険です。 人がやっていたことをDXで仕組みを作り、効率化に繋げてほしいと思います。

カリフォルニア州、2035年までに港湾でのディーゼルトラック輸送を禁止。課題は充電ステーションの設置 | 物流ニュース・物流ラジオ

カリフォルニア州、2035年までに港湾でのディーゼルトラック輸送を禁止。課題は充電ステーションの設置

どうもこんにちは、飯野です。 本日は、ウォールストリートジャーナルの記事から、「カリフォルニア州、2035年までに港湾でのディーゼルトラック輸送を禁止」についてお話していきたいと思います。 2022年11月29日イーノさんの物流ラジオ カリフォルニア州、ディーゼルトラック輸送を禁止 カリフォルニア州では、トラック運送会社にディーゼル燃料から電気エネルギーへの転換を義務付ける計画がある一方で、現在、充電ステーションの設置問題に直面しています。 段階的にディーゼル燃料禁止 カリフォルニア州は、港、鉄道基地、倉庫の間を輸送するコンテナを運ぶ交通量の多い通路を走る、古い大型トラックを段階的に廃止。 2024年からすべての新車にクリーン燃料を使用するよう義務付けることを提案しています。 そして、2025年からは走行距離が80万マイル(約130万km)を超えたトラックを港湾や鉄道基地で運行することを禁止する予定です。 トラック業界関係者は、「この目標は時間がかかる」しています。その理由としては「充電がないから」です。 カリフォルニア州の新規則 カリフォルニア州は、クリーンエネルギーへの移行において、全米をリードしています。 カリフォルニア州ではこの夏、2035年までにガソリンエンジン車の新車販売を禁止する規則を可決。 更に、トラック・ディーラーに対し、今後10年間はゼロエミッション車の販売比率を高めることを義務付ける規則も可決しました。 トラック運転手にクリーンエネルギーの装備を強制することで、ディーラーの市場を創出することを目的としています。 しかし、問題は充電インフラだけではありません。 立ちはだかる問題 電気トラックは、小売価格が15万ドル(約2,100万円)程度のディーゼルトラックに比べ、2~3倍のコストがかかる傾向があります。 更に、電気トラックの多くは充電後の走行距離が100〜200マイル(約160~320km)であり、長距離のトラック輸送は現実的ではありません。 企業による対応 一方で、物流とトラック輸送を手がけるNFI Industries社の副社長は、同社は今後1年間で南カリフォルニアに約90台の電気トラックを導入すると述べています。 NFIはまた、港や倉庫に近い3ヵ所に数十の充電器の設置を予定しています。 大手は既に利用する顧客を多く抱えており、ゼロエミッションの輸送に割増料金を支払ってくれる顧客もいるとのこと。 港の対応 ロングビーチ港では、現在2つのトラック用の充電ステーションが設置されていますが、さらに増やす予定です。 そしてお隣のロサンゼルス港では地元の交通への影響、利用可能な土地、必要な送電網の改善などの懸念から、多くの充電器を追加する予定はないと述べています。 港側としても足並みが揃っているわけではありません。 州当局による支援 カリフォルニア州当局によると、これまでに中型・大型トラック用の充電ステーション200カ所に資金を提供、さらに多くの民間企業が資金を提供しているとのことです。 カリフォルニア州公益事業委員会は11月17日、今後5年間で7億ドルを中・大型車の充電に充てる「交通機関電化プログラム」を採択しました。 州としてもお金を出して充電設備を作っていく方針です。 強制的に電気トラックにするように州の法律を決め、インフラ設備も増やしていこうとしています。 ゼロエミッションは世界的な流れなので、現実的ではないという現場の人たちがいる一方で、徐々に広がっていくのだと思います。

北米の鉄道スト、12月2日から危険品類を制限。4つの組合が前提合意案否決 | 物流ニュース・物流ラジオ

北米の鉄道スト、12月2日から危険品類を制限。4つの組合が前提合意案否決

どうもこんにちは、飯野です。 本日は、11月28日付の海事新聞の記事から、「米鉄道会社は12月2日から、危険品などの貨物受託を停止」についてお話していきたいと思います。 2022年11月28日イーノさんの物流ラジオ 米鉄道労使交渉の否決 アメリカの鉄道労使交渉で、提示された暫定合意案を否決した組合が4つあります。 その4つの組合がばらばらだった交渉期限の調整で合意しました。これにより、4組合とも12月9日からのストライキ突入に向けて準備することを決めたとのことです。 鉄道会社の危険品引き受け停止 12月2日からの鉄道会社による危険品類などの引き受け停止は、ストライキに備えたものです。 ストライキによる影響額は1日20億ドルとも試算されており、混乱が懸念されています。 米鉄道労使交渉では12組合のうち4組合が、11月21日までに政府が提示した暫定調停案を拒否しています。 鉄道労使交渉でのストライキ ストライキをやってはいけませんよという、スト禁止期間が終わるタイミングが調停案を拒否している4つの組合同士で違っていました。 しかし、今回はそのスト突入タイミングを合わせにいっています。バラバラでやるよりも、一気にやったほうが効果的であるという理由からでしょう。 そのストが始まるのが12月9日予定です。 ストライキの影響 連邦政府の規定により、鉄道会社はストライキ予定日の1週間前から準備することになっており、安全保障上の重要な物資の確保や移送を優先するため業務を縮小しています。 また危険品類などの引き受けも制限することになると報じられています。 北米西岸向けは、オールウォーターで西岸へ運ぶ必要があり、北米東岸へ輸送し、鉄道で西岸へ輸送することができなくなります。 北米西岸では現在沖待ちはゼロとなっており、以前ほど混乱はないとは思いますが、引き続き情報をアップデートしていきたいと思います。

貿易PFトレードワルツ、日本-タイPF上で貿易実証に成功。世界初!5ヵ国連携成功 | 物流ニュース・物流ラジオ

貿易PFトレードワルツ、日本-タイPF上で貿易実証に成功。世界初!5ヵ国連携成功

どうもこんにちは、飯野です。 本日は、11月22日付の海事新聞の記事から、「トレードワルツ、5カ国の貿易PF 接続成功。日-タイではデータ連携実証」についてお話していきたいと思います。 2022年11月22日イーノさんの物流ラジオ トレードワルツ、貿易PF実証成功 貿易情報連携プラットフォームのトレードワルツは18日、日本、タイ、シンガポール、豪州、ニュージーランドの貿易PFのシステム接続と、日本―タイ間での構造化データの連携実証に成功したと発表しました。 ブロックチェーン技術をベースに信頼性を確保しながら、業界横断型BtoBのPFを5カ国で連携したことは世界初です。 異なったPFでの連携に成功 タイの貿易PF「NDTP」とは、相手国の貿易手続きにそのまま流用できる細かいレベルでの構造化データのAPI連携に成功しました。 5カ国とも違うPFで繋げることが出来たとのことで、日本-タイ間ではAPIで繋げたものでの実験も成功しました。 実証実験の内容 実証ユーザーとして豊田通商と豊田通商タイランド、三菱商事とタイの水産加工会社ユニコード、三菱商事プラスチックとタイ国営石油会社系のPTTが参加。 9月20―22日にPO(発注書)とインボイス、パッキングリストなどの船積み書類の構造化データを貿易PF間で受け渡す実証を行いました。 実証ではデータ入力と送付のための時間や受領側での確認時間が短縮され、現行の業務よりも60%以上効率が上がったとのことです。 日本―タイ間の連携 豊田通商と豊田通商タイランドは、日本の商工会議所が発行する電子原産地証明書(eCO)の構造化データの連携も実証しました。 関係者は今後、商工会議所のシステムとTradeWaltz間のシステム接続、NDTPとタイ税関の連携などを検討しています。 商工会議所とトレードワルツはまだ繋がっておらず、商工会議所が発行した電子原産地証明をトレードワルツのPFにアップし、受け渡しが出来たということです。 個人的に、タイのPFとタイ税関の連携が注目です。東南アジアの税関はまだまだ袖の下とかがあるので、どう繋がるかな?というのが僕の見解です。 CO2排出量の可視化 このほか、三井倉庫ホールディングス(HD)とゼロボードにより、物流からのCO2排出量を可視化する取り組みも行われました。 トレードワルツと関係者は実証で得た課題を踏まえ、商用化に向けた検討を続けていくとのことです。 メールよりもPFへ PF上でのやり取りの方が、やはり効率的だと思います。 メールの場合、メーラー開き、そこにファイルを添付し、また別のメールでファイル添付という繰り返しで、書類に修正があると、またメール添付で対応していきます。 添付書類がどのメールにあるのかを探すのにかなり時間がかかっているのが現状です。 よって、PF上で情報の一元管理ができる方が、情報がすっきり整理されています。 今後のプラットフォーム合戦 今はプラットフォーム合戦が始まっており、どこのプラットフォームに今後集約されていくのかが注目です。 例えばECの場合、皆さんはアマゾンや楽天のアプリをスマホに入れていると思います。昔はECサイトが沢山ありましたが、現在はECサイトで買うよりアプリで買う時代です。 このように貿易プラットフォームもなっていくのではないかと、個人的には思っています。

RORO船の供給逼迫で、COSCOが新車をコンテナ輸送!自動車販売市場に注目 | 物流ニュース・物流ラジオ

RORO船の供給逼迫で、COSCOが新車をコンテナ輸送!自動車販売市場に注目

どうもこんにちは、飯野です。 本日は、11月17日付の海事新聞の記事から、「自動車船の需給逼迫で、中国船社が新車をコンテナで輸送」についてお話していきたいと思います。 2022年11月17日イーノさんの物流ラジオ RORO船需給逼迫 完成車を運ぶ自動車船(RORO船)の船腹需給が逼迫する中で、新車をコンテナで輸送する動きが出てきました。 それを今回実行するのは中国船社のCOSCOシッピングです。 中古車はコンテナ船で運ばれることも多いですが、新車を運ぶのは珍しいです。僕も実務でRORO船が足りず、何とかしてくれという依頼があり、リアルに足りてないと感じています。 コンテナ船で新車輸送 コンテナで新車を運ぶ動きが出てきたのは、荷動き回復とトレード変化で自動車船の船腹不足が継続し、荷主の輸送需要に十分に応え切れないためです。 日本からの9月の新車輸出は前年同月比85%増の約37万台となり、半導体不足などによる減産の影響は和らいできています。 他にも建設機械の輸送需要も旺盛であり、また中国発の荷動きの伸びも顕著になってきています。 一方で、自動車船の供給の伸びは限定的です。 自動車船の供給伸び悩み 新型コロナウイルス感染拡大直後の荷動き急落を受け、高齢船の解撤が進み全体の船腹量は減少しています。 先行き不透明感から投資が手控えられた時期があり、新造船の供給も2022―23年は15隻程度にとどまっています。 コンテナ船は沢山作られていますが、RORO船への投資は進んでいませんでした。 その結果、船腹需給が引き締まり、一部では積み残しも発生している模様です。 特に、輸出を急拡大させている中国の荷主が輸送スペースの確保に苦慮しています。 中国における新車輸送 中国の海運会社は自国の自動車メーカーの輸送需要に応えるため、コンテナ船だけでなく、多目的船でも完成車を輸送しています。 COSCOは今夏、製紙原料用パルプ輸送に投入する6万2000重量トン型多目的船で、商用車1100台以上を南米に輸送した実績があります。 コンテナでの新車輸送が中国以外に広まるかどうかはまだ不明です。 日本の海運関係者は「コンテナ船のスペースは確保しやすくなっているかもしれないが、新車の高度な輸送品質ニーズに対応するのは困難」と語っています。 今後、自動車船の需給逼迫が緩和する可能性もあるとのことです。 自動車販売市場の行方 利上げに伴う景気減速で、自動車販売市場が鈍化することも予想されています。 船腹需要を左右する自動車販売市場の行方が注目されています。 中国の自動車輸出量の増加 同時に注目をしたいのが、中国が自動車輸出でドイツを抜いて世界2位になったということです。 一位は日本です。 中国車の競争力が高まっています。中国車の輸出先といえば、かつては発展途上国が主でしたが、現在は大半が先進国となっています。 中国税関総署によると、22年1〜8月の中国車の輸出額上位10カ国は米国、メキシコ、日本、ベルギー、英国、ロシア、ドイツ、韓国、オーストラリア、サウジアラビアの順でした。 中国の高級車市場への参入 中国のとくに純電気自動車(BEV)などの輸出価格は、年々上がってきています。 2018年の2000ドル(約29万円)から2020年には1万1000ドル(約160万円)、2022年には1万9900ドル(約280万円)となっています。 更に2022年8月には2万5800ドル(約370万円)へと大幅に上昇しました。 中国のEVが段々と高級車市場にも入っていっています。 日本の自動車産業への影響 怖いのは、RORO船の供給量が限定的なので、中国に買い負けるかもしれないというところです。 日本の自動車メーカーがリスクを負って新車をコンテナ輸送するかというと、可能性は低いように感じます。 もしRORO船を買いまけて、コンテナ輸送もしないとなると、日本の自動車産業はどうなるんだろうか?と思った記事でした。

北米西岸労使交渉、停滞打破?オークランド港で荷役停止。組合側の揺さぶりか? | 物流ニュース・物流ラジオ

北米西岸労使交渉、停滞打破?オークランド港で荷役停止。組合側の揺さぶりか?

どうもこんにちは、飯野です。 本日は11月16日付の海事新聞の記事から、「米西岸労使交渉、オークランド港、荷役作業を11月14日から停止」についてお話していきたいと思います。 2022年11月16日イーノさんの物流ラジオ オークランド港、荷役作業停止 北米西岸港湾の労働組合ILWUは11月14日から、米国西岸オークランド港のターミナルで荷役作業を停止しました。 米誌ジャーナルオブコマース(JOC)電子版が伝えています。 荷役作業が止まったのは、オークランド港のOICTというターミナルで、オークランド港のコンテナ取扱量の70%を占めるターミナルです。 現時点では作業再開のめどは立っていないとのことです。 労働組合側の揺さぶりか 今年5月から始まった米国西岸港湾の労使交渉は目立った進展がないため、組合側による揺さぶりとの見方も出てきています。 オークランド港では2週間前にも、四つあるターミナルのうち三つで早朝シフトが止まり、一時的に閉鎖されるなどのトラブルが発生していました。 労使交渉、完全中断 米西岸労使交渉は5月10日からスタートしています。 7月1日の現行労働協約の期限切れ後も大きな混乱なく荷役作業は続けられたものの、交渉は停滞していました。 その後、労働組合側のILWUと使用者側であるPMAとの交渉は10月に入ってから完全に中断していたとのことです。 シアトル港での荷役機器のメンテナンスに関するILWU以外の組合との管轄権問題がネックといわれています。 今回のオークランド港での組合による荷役停止は、交渉再開に向けた組合側の圧力との見方が強いです。 不安定な国際物流業界 まだメインの港の自動化についての交渉が始まっていません。 今の所は北米の港まではスムーズに輸送ができている状態で、海上運賃も下がり続けており、コロナ前のレベルにも戻ってきています。 高いSCレート 現場ではSCレートと現在の安いスポットレートの使い分けの葛藤のようになっていると感じます。 特に大手荷主と大手フォワーダーの間では顕著です。 SCを取ってない中小のフォワーダーは結構自由に動ける印象です。 まだこの国際物流の業界は、安定はしておらず、いつどういう変化が起こるか分からない状態だと個人的には思っています。 そんな中でDX化などのトレンドにはちゃんとついていき、やるべきことをしっかりとやらないといけないと思います。

2024年問題の影響で、30年度にトラック輸送最大34%不足。業界の対応に注目 | 物流ニュース・物流ラジオ

2024年問題の影響で、30年度にトラック輸送最大34%不足。業界の対応に注目

どうもこんにちは、飯野です。 本日は、11月15日付の海事新聞の記事から、「トラック輸送、2030年度に最大34%不足。需給ギャップが拡大」についてお話していきたいと思います。 2022年11月15日イーノさんの物流ラジオ トラック輸送能力不足 トラックの輸送能力の不足は今後ますます深刻化しそうです。 NX総合研究所の推計によると、2030年度には需要に対してドライバーに時間外労働の上限規制などが適用される「2024年問題」の影響と合わせると、需要に対して輸送能力の34.1%が不足する可能性があるとのことです。 2024年問題 2024年問題というのはトラックドライバーの残業時間を規制するもので、ドライバー不足問題のことです。 長時間労働になりがちなドライバーさんの働き方改革ですが、これまでの皺寄せか、その規制が始まると輸送需要に対して、ドライバーの供給が不足するという問題です。 直面する問題 経済産業省と国土交通省、農林水産省が11月11日、東京都内で開いた第3回「持続可能な物流の実現に向けた検討会」で、NX総研が発表しました。 このトラックドライバー不足問題は発荷主別では製造業などばかりでなく、特積み事業者や元請けの運送事業者など物流事業者への影響も大きかったです。 地域別では、地方に加えて関東、中部、近畿の3大都市圏でも不足する割合が10%を超え、「今後はこれだけ運べなくなる危険性がある。ドライバーを確保するには、他産業並みの労働時間と賃金にする必要がある」とNX総研は強調しました。 ドライバーの賃金アップ ただ、日本ロジスティクスシステム協会によると、荷主の売上高物流コスト比率は2021年度で5.7%(全業種平均)でした。 仮にドライバーの賃金を全産業平均並みにすれば7%を超えるということです。 NX総研は「サプライチェーン全体の仕組みを改善することで単価のアップ分を吸収し、荷主の売上高物流コスト比率が上がらないよう方向性を考えるべきだ」と話しました。 検討会の他の委員からは「効率化した結果で得られた利益がドライバーや運送事業者に落ちるようにしなければならない」といった意見が上がりました。 日本市場に残る昭和体質 具体的な何かがあるといいのですが、当たり前のことを討論しているように感じます。 トラックドライバーの給料を上げると、コスト高になる。これは当たり前のことです。北米でもドライバー不足で、新人トラックドライバーの年収が800万円を超えています。 今はインフレですが、これは市場原理としては当然のことです。 よって北米ではトラックのスタートアップ、特に自動運転に関わる技術などが盛んとなっています。 技術投資の必要性 2030年までに商用車の高速道路の自動運転くらいはできるのではないかと思います。 ここに技術投資すべきなのではないでしょうか。 個人的には、安易に外国人トラックドライバーを雇うとかにはしないでほしいと考えます。 安い労働力でなんとかしようというものは、昭和の考え方から全く変わっていません。 迫り来る問題に業界がどのように対応していくのか。 個人的にはもっとテクノロジーへの投資を増やさないと先進国として、もうそんな感じでもないですが、落ちていく一方だと思います。

シアトル港を巡る2つの組合の争いで北米西岸労使交渉停滞。長期化必須 | 物流ニュース・物流ラジオ

シアトル港を巡る2つの組合の争いで北米西岸労使交渉停滞。長期化必須

どうもこんにちは、飯野です。 本日はウォールストリートジャーナルの記事から、「北米西岸労使交渉、シアトル港を巡る2つの組合の争いで停滞」についてお話していきたいと思います。 2022年11月14日イーノさんの物流ラジオ シアトル港巡り2組合争議 シアトル港の荷役ターミナルで特定の仕事を得る労働者をめぐり、2つの組合が争っており、西海岸の港湾労働者とその雇用主との労働交渉が滞っています。 一部の海運業界関係者は、5月に始まったこの協議は、今頃は終了しているだろうと考えていました。 しかし、港湾労働者がシアトルでの争議が解決するまで、主要な契約問題を話し合うことを拒否したため、協議は約3カ月間停滞していると当局者は語っています。 北米西岸労使交渉への影響 関係者によると、北米西岸の労使交渉が再開されても、賃金や港湾の自動化など、残された問題を解決するにはさらに何カ月もかかるとのことです。 労使交渉でILWUは、海運会社や荷役ターミナルなど約70の使用者を代表するPMA(太平洋海事組合)と交渉しています。 両者は交渉が続いている間は協議については言及しないことで合意しており、両団体とも遅延に関するコメントは拒否しています。 マーケットに広がる懸念 全米小売業協会のサプライチェーン担当副社長ジョナサン・ゴールド氏は、西海岸に商品を搬入し、すでに鉄道による貨物輸送の遅れに悩まされている輸入業者にとって、遅延と不確実性は心配の種であると述べました。 同氏は「サプライチェーンに自業自得の混乱が生じた場合、それが何を意味するのか、経済にどのような波及効果があるのか、人々は非常に心配している」と語っています。 世界の貨物輸送の労働不安 今回の労使交渉は、世界的な貨物輸送の労働不安を背景に行われています。 英国とドイツの港湾では今年初め、港湾労働者がストライキに突入し、所々が閉鎖に見舞われました。 米国では鉄道労働者が9月にストライキに突入しそうになりました。 マーティ・ウォルシュ労働長官を含むバイデン政権幹部は一部の鉄道労働者が労働者提案を拒否したため、依然としてストライキ回避に努めています。 北米西岸の労働状況 西海岸の港湾労働者は、直近の労働協約が7月初旬に失効して以来、無契約のまま働いています。 荷役用ターミナルは、港湾労働者とその雇用主との間の労働紛争を処理する苦情処理制度がないまま運営されており、ワシントン州タコマやカリフォルニア州オークランドなどのいくつかの港で、混乱が発生しています。 この夏、ロサンゼルス港のターミナルでは、港湾労働者が安全上の懸念を理由に、数週間にわたって自動コンテナ処理装置の稼働を拒否しています。 シアトル港管轄権問題 シアトルでの争議は、労働組合側のILWUとIAM(国際機械工・航空宇宙労組)の間で行われています。 この2つの組合が、同港の主要な国際貨物取扱施設である第5ターミナルで特定の仕事を行う管轄権が双方にあると主張しています。 停泊中のコンテナ船と陸上電力をつなぐ仕事をする労働者をめぐるこの対立は、11月3日に始まった全国労働関係委員会(NLRB)の聴聞会の対象になっています。 シアトル港問題、長期化 海運業界関係者の中には、この聴聞会が速やかに終了し、組合間の問題の解決につながることを期待していた人もいましたが、NLRBの広報担当者によると、スケジュールの問題から、聴聞会は今月末まで延期されることになったとのことです。 一部の関係者は、中間選挙後にウォルシュ労働長官がもっと港湾契約交渉に関与することを期待し、交渉が早期に再開されることを望んでいると語っています。 西岸の労使交渉はまだまだ長期化しそうです。引き続き、情報をアップデートしていきます。