投稿日:2025.11.17 最終更新日:2025.11.18
安田倉庫とセンコーグループのM&Aが示す物流業界再編の加速
飯野 慎哉(株式会社HPS CONNECT 代表取締役社長)
2016年にHPS Trade Co., Ltdを設立し、経営者として企業の物流課題を解決。 自身の経験を基に物流ノウハウを発信するYouTubeチャンネル「イーノさん」は登録者11万人を突破。 セミナーや講演、ブログを通して物流情報やグローバルでの仕事・挑戦・苦悩を発信。アジア・東南アジアに事業拡大中!
安田倉庫が帝人物流をM&A
安田倉庫が11月14日、帝人グループの物流会社帝人物流を完全子会社化することを発表しました。 帝人物流は合成繊維や化学品の物流を中心に、西日本エリアで事業を拡大してきた企業です。 今回、帝人物流の株式を100%保有する帝人フロンティアから65億円で株式を取得し、グループ化を進める動きとなります。
先行グループHDはバルーンをTOBで子会社化
もう一つの動きとして、センコーグループホールディングスがバルーンをTOBにより連結子会社化し、株式を非公開化する方針を示しました。 買付総額は約167億円とされています。 先行グループは液体貨物や危険品貨物の輸送、重量物輸送にも強みを持ち、双方の海外拠点の相互活用や海外事業の連携を進める考えです。また、人材確保や育成の効果も期待されています。
物流業界に広がるM&Aの流れ
これらの動きから見えてくるのは、物流業界におけるM&Aや統廃合が一段と加速しているという現実です。 商社系物流企業においても、このような買収の動きが進むのは少し意外に感じる部分もありますが、親会社への依存度の違いによって戦略が異なるケースも多く存在します。
大手はさらに規模拡大へ、中堅も再編の波に
大手物流企業は、積極的な買収を通じて事業規模を拡大し、競争力を強化する動きを続けています。 一方で、中堅規模の企業も買収されるケースが増えており、物流の効率化・集約が進む状況です。
一方でベンチャー物流の動きも活発に
再編が進む中で、物流ベンチャーによる新しいサービスや仕組みの提案も増えています。 業界としては大手企業の規模優位が強いものの、ベンチャーの存在感にも注目が集まっており、今後の競争環境を左右する可能性があります。
物流業界は今後もM&Aや統廃合を通じて大きく形を変えていく局面にあります。効率化と規模の追求が進む一方で、新興企業の挑戦も続き、業界全体の動きに注目が必要です。
