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FP1改変の衝撃と、日本の港が突きつけられた4つの課題 | 物流ニュース・物流ラジオ

FP1改変の衝撃と、日本の港が突きつけられた4つの課題

本日のテーマは、ONEが運航する基幹サービスであるFP1の改変についてです。 今回の発表を一言でまとめると、日本発欧州向け直行便の事実上の終了と、釜山トランシップへの完全移行という二つの大きな転換点に集約されます。 この動きは単なる航路改編ではなく、日本の港湾が置かれている現実を浮き彫りにする出来事だと言えるでしょう。 動画視聴はこちらから FP1とはどのような航路だったのか FP1は正式名称をFP1 Pendulum Serviceといい、欧州とアジア、さらに北米西岸を結ぶ超長距離のペンデュラム型航路として運航されてきました。 日本の荷主にとって、この航路は極めて利便性が高く、東京や神戸といった主要港に欧州向けの本船が直接寄港することで、積み替えなしで貨物をヨーロッパまで輸送できる点が大きな強みでした。 リードタイムが安定し、積み替え作業がないことで貨物ダメージのリスクも抑えられるため、日本輸出を支える大動脈のような存在だったのです。 FP1改変によって何が変わったのか しかし今回、ONEはこのペンデュラム配船を分断する決断を下しました。 新しいFP1は欧州とアジア間の往復に縮小され、その寄港地リストから日本の港が外れる形となりました。 これにより、日本発欧州向けの貨物は、原則として釜山港でのトランシップを前提とした輸送へと切り替わります。 日本各港からはフィーダー船で釜山港へ輸送され、そこで欧州向けの大型本船へ積み替えられる流れになります。 ONEが示す表向きの理由 ONEが公式に挙げている理由は、大きく二つあります。 スケジュール定時性の回復 地政学的リスクへの対応 従来の欧州・アジア・北米を結ぶ長大な航路では、どこか一か所で遅延が発生すると、その影響が地球の裏側まで波及する構造的な問題を抱えていました。 航路を分断することで、この遅延の連鎖を断ち切り、定時性を改善したいという狙いがあります。 また、紅海情勢の悪化により喜望峰回りが常態化し、航海日数と必要船腹が増える中で、効率の悪い寄港地を削減せざるを得なくなった点も無視できません。 日本の港が直面する四つの構造的課題 ただし、これだけで今回の決断を説明することはできません。 なぜ日本発着ではなく釜山経由なのか。 なぜ日本の船社であるONEが、日本を抜港する判断を下したのか。 その背景には、日本の港が抱える四つの構造的課題があります。 課題① 荷物量の低下 日本から欧州へ向かう輸出貨物の絶対量は、長期的に見て減少傾向が続いています。 生産拠点の海外移転が進み、かつてのようなボリュームを日本単独で確保することが難しくなっています。 2万TEU級の超大型船にとって、荷物が十分に集まらない港へ寄港するメリットは、年々小さくなっています。 課題② 港の分散 日本の港湾は、東京、横浜、名古屋、大阪、神戸と広く分散しています。 一方、釜山港は国策として機能を集約し、効率的なスーパーハブとして整備されてきました。 巨大船が日本の複数港を回って貨物を集める運用は、現在の市況では各駅停車のような非効率な形になっています。 課題③ コストと使い勝手 釜山港は24時間稼働を前提とした運用体制を整え、トランシップコストも低く抑えられています。 日本の港も改善は進んでいるものの、グローバル競争の中では依然として差があります。 船社の立場から見れば、日本各港で集荷するよりも、釜山一か所に集めてもらう方が、コスト面でも運用面でも合理的なのです。 課題④ 地理的なロス 日本はアジア航路の最奥に位置しており、欧州側から見れば行き止まりに近い場所にあります。 中国や韓国で折り返せば短縮できる航海日数が、日本まで寄港することでさらに数日延びてしまいます。 特に喜望峰回りが続く現状では、この数日のロスが船社にとって看過できない負担となっています。 FP1改変は、日本の港湾競争力の低下を象徴する出来事だと言えるでしょう。 物流担当者が考えるべき次の一手 今回のFP1改変は、単なる不便さの問題ではありません。 リードタイムの延長や積み替えリスクを前提に、物流戦略そのものを見直す必要があります。 他社欧州サービスとの比較検討 航空便との併用によるリスク分散 海外在庫拠点の活用 2025年以降は、日本パッシングという現実を前提にしたドライで実務的なサプライチェーン再構築が求められます。 物流が変われば、ビジネスの形も変わります。 今回のニュースを、単なる制約ではなく、次の一手を考えるきっかけとして捉えていただければと思います。

欧州・地中海向け運賃が上昇局面へ 旧正月前の市況を読む | 物流ニュース・物流ラジオ

欧州・地中海向け運賃が上昇局面へ 旧正月前の市況を読む

本日は、欧州および地中海向けのコンテナ運賃が上昇している背景と今後の焦点について整理します。 ここ最近、アジア発欧州向けの海運市況は再び動きが慌ただしくなっています。 結論から言うと、欧州・地中海向け運賃は明確な上昇トレンドに入っています。 SCFIが示す欧州・地中海向けの上昇 上海航運交易所が発表した12月12日付のSCFIを見ると、その傾向ははっきりしています。 上海発北欧州向けの短期運賃は、前週比で約10%上昇し、1,538ドル/TEUとなりました。 さらに地中海向けは、約19%上昇し、2,737ドル/TEUまで伸びています。 地中海向けはこれで4週連続の上昇となっています。 運賃上昇の背景にある二つの要因 このタイミングで運賃が上がっている理由は大きく二つあります。 年末に向けた輸送需要が想定以上に安定していること 12月から実施されているGRIの効果が表面化してきたこと 来年の長期契約交渉を見据え、船社側が運賃水準の底上げを狙っている意図が読み取れます。 WCIでも確認される欧州向けの強さ ドゥルーリーが公表するWCIを見ても、欧州向けの上昇は共通しています。 上海発ロッテルダム向けは5%増、ジェノバ向けは13%増となっています。 特に地中海航路では、北欧州向けよりも船腹需給が引き締まった状態が続いています。 北米向けは指標によって温度差 一方で、北米向け市況はやや慎重に見る必要があります。 SCFIでは西岸向け、東岸向けともに前週比で約15%上昇しています。 しかしNYFIでは、中国発北米向けが微減となるケースも確認されています。 これは、市場全体が一気に強気へ転じたわけではなく、スポット契約の条件やタイミングによるばらつきを示しています。 先物市場が示す慎重な見方 中国の運賃先物市場INEでは、実勢運賃が上昇する一方で、先物価格が一時下落しました。 これは、投資家が今回の運賃上昇を短期的な動きと見ている可能性を示しています。 今後の最大の焦点は旧正月 今後の市況を左右する最大のポイントは旧正月です。 来年の旧正月は2月中旬に始まり、例年よりやや遅めの日程となります。 ドゥルーリーの予測では、12月の欠便率は約9%とされています。 特に太平洋航路では欠航が目立ち、供給調整が続いています。 旧正月前の駆け込み出荷のピーク時期 再編後の4大グループによる新サービス体制 これらが今後の運賃動向を左右することになりそうです。 荷主や物流担当者は、足元の運賃上昇を受け入れつつ、旧正月明けの反動減とスケジュール混乱にも備える必要があります。 動画視聴はこちらから

マースク、新CFOにフォワーディングの重鎮を起用 | 物流ニュース・物流ラジオ

マースク、新CFOにフォワーディングの重鎮を起用

本日は、海運大手マースクの「組織と人」に関する大きな動きについてお話しします。 12月12日、マースクはCFO(最高財務責任者)の交代と、主要リージョンにおけるトップ人事の配置転換を発表しました。 このニュースは、単なる人事異動ではありません。 マースクが掲げてきた「インテグレーター戦略」が、いよいよ完成形に近づいていることを示す重要なシグナルと捉えるべき動きです。 新CFOにロバート・アーニ氏を指名 Journal of Commerce(JOC)の12月12日付報道によると、マースクは新たなCFOとしてロバート・アーニ(Robert Erni)氏を指名しました。 正式な就任は、2025年度決算発表後となる2026年2月5日以降の予定です。 あわせて、北米・アジア太平洋・欧州といった主要リージョンの責任者についても、2026年初頭から大規模な配置転換を行うことが発表されました。 なぜこのCFO人事が重要なのか 今回の人事で最も注目すべき点は、新CFOの経歴にあります。 アーニ氏は、従来の海運会社の財務畑の人材ではありません。 JOCによると、彼は約30年にわたり、フォワーディング(利用運送)業界でキャリアを築いてきました。 キューネ・アンド・ナーゲルで約20年間、世界各地の拠点運営を統括 パナルピナでCFOを務め、グローバル経営を経験 直近ではドイツ大手3PLであるダッサーのCFOを歴任 この経歴は、マースクの今後の経営軸を明確に示しています。 「船の会社」から「物流の会社」へ マースクは長年、海運会社から陸・海・空を統合する総合物流インテグレーターへの転換を進めてきました。 今回のCFO起用は、その戦略を財務・経営管理の中枢から加速させる狙いがあると考えられます。 重視されているのは、船の運航効率ではありません。 エンド・ツー・エンドのサプライチェーン管理 M&A後の組織統合と収益改善 フォワーディング・ロジスティクス事業の利益率向上 こうした領域に、明確に舵を切っていることが読み取れます。 ヴィンセント・クラークCEOは「彼の国際経験とリーダーシップはマースクにとって最適だ」とコメントしていますが、これは単なる社交辞令ではなく、フォワーダー型の収益構造への転換を急ぐ強い意思を示していると見るべきでしょう。 市場の評価と背景 ShippingWatchや金融市場のアナリストレポートによると、この人事に対する市場の反応は概ね好意的です。 特に評価されているのが、以下の点です。 パナルピナ時代にDSVによる買収プロセスを経験していること ダッサーでの堅実なコスト管理と財務運営の実績 現在、海運市況は調整局面にあります。 運賃収入だけに依存するモデルが限界を迎える中、物流サービス全体で利益を生み出す経営能力が、これまで以上に重要になっています。 リージョン・トップのクロス配置が意味するもの 今回の発表では、リージョン責任者の配置転換も見逃せません。 特に注目されるのが、アジアのトップを北米へ、北米のトップをインドへというクロスオーバー人事です。 生産地であるアジアの知見を消費地である北米に持ち込み、北米のロジスティクス経験を次の成長市場であるインドに移植する。 これは、変化するグローバル貿易構造に対応するための戦略的な知見の移動と考えられます。 まとめ 今回のマースクの人事は、2026年に向けた「完全なインテグレーター化」への布石です。 CFOにフォワーディング出身者を据え、地域トップを意図的にクロス配置する。 これにより、マースクは単なる船会社ではなく、包括的なサプライチェーン・パートナーとしての存在感をさらに強めていくでしょう。 2月5日の決算発表で、新CFOがどのような数値目標と戦略を示すのか。 引き続き注目していく必要があります。 動画視聴はこちらから

【30年ぶり】国際物流コスト崩壊の始まりか? | 物流ニュース・物流ラジオ

【30年ぶり】国際物流コスト崩壊の始まりか?

今回は、日本通運による通関業務料金の大幅改定について解説します。 NIPPON EXPRESSホールディングス(NXHD)傘下の日本通運は、12月11日、2026年1月1日より通関関連料金を平均約25%引き上げると発表しました。 対象は、各種通関申告業務および保税関連申請で、少額貨物の簡易通関扱いも含まれます。 この改定は、事実上およそ30年ぶりという、極めて異例の動きです。 価格据え置きの呪縛と、構造的な限界 この「30年ぶり」という期間は、何を意味しているのでしょうか。 今回の改定は、単なる値上げではありません。 価格の正常化と捉える必要があります。 通関業界では、1995年に設定された旧上限金額が、法的根拠を失った後も、事実上の価格拘束として残り続けてきました。 さらに、荷主側に定着した「通関料は安いもの」という固定観念も、価格転嫁を妨げてきました。 この二重構造が、30年もの価格据え置きを生んできたのです。 労務コスト上昇と業務高度化の現実 一方で、この30年間に通関業務の負荷は大きく変化しました。 最大の要因は、人件費を中心とした労務コストの上昇です。 通関業務は人への依存度が高く、原価の大半を人件費が占めます。 特に中小通関業者では、事業継続そのものに影響が出かねない水準に達していました。 加えて、業務内容も高度化・複雑化しています。 EPA拡大による原産地規則判断 安全保障貿易管理・他法令該否確認の厳格化 AEO制度維持とコンプライアンス対応 システム投資・DX対応 これらに対応するため、専門人材と継続的な投資が不可欠となっています。 今回の改定は、こうした構造的歪みが限界に達したことを示しています。 業界への波及と、経営層・投資家への示唆 今回の動きは、日本通運一社にとどまらない可能性があります。 業界では、この改定が価格是正の呼び水となり、他の大手フォワーダーにも波及するとの見方が出ています。 経営層・投資家が注目すべきポイントは次の二点です。 ① 国際競争力を維持するためのコスト 高度な専門性とコンプライアンス体制は、日本の国際物流の強みです。 適正な対価が確保されなければ、その基盤は維持できません。 ② サプライチェーン全体のコスト再評価 輸送運賃だけでなく、見えにくい通関費用も含めた総コスト管理が求められます。 NXHDは、今回の改定により、法令順守と品質向上を徹底し、国際物流の円滑化を支えるとしています。 国際物流を支えるコスト構造は、今後も重要な経営課題であり続けます。 ロジラジでは、この価格正常化の動きが、日本の国際貿易にどのような影響をもたらすのか、引き続き注視していきます。 動画視聴はこちらから

2026年序盤、US輸入コンテナ17%減へ | 物流ニュース・物流ラジオ

2026年序盤、US輸入コンテナ17%減へ

アメリカの小売向け輸入コンテナが2026年序盤も二桁減となる見通しです。背景には関税の不透明感と過剰在庫があり、荷動きの停滞が続いています。 全米小売業協会(NRF)とハケット・アソシエイツは、2026年1〜4月にかけて、米国の輸入コンテナ量が4ヶ月連続で前年比二桁減になると予測しています。 特に3月は17%減と大きく落ち込む見通しです。 空コンテナの戻りや海運会社の配船計画にも影響が波及しつつあり、アジア発北米向け運賃も下落傾向です。   減少の背景:関税不透明感と在庫過多 要因は主に次の二つです。 関税政策の先行きが読めない 企業は追加関税の再上昇リスクを警戒し、発注を控える姿勢を継続しています。 過剰在庫の圧迫 2025年夏に関税回避で先行輸入した反動として、倉庫には売り切れていない在庫が多く残存しています。 このため、2026年初頭は「在庫整理が優先される期間」となり、新規オーダーが入りにくい状況です。   海運市場への影響 ハケット・アソシエイツは、関税の影響が貨物需要の弱さとして既に表れていると指摘します。 実績でも影響は明確で、10月の輸入量は前年割れ、12月は2年ぶりの低水準となる見込みです。 アジア発の荷量も細り、北米向けの海上運賃は下落トレンドが継続しています。 関税不透明感 → 発注控え → 荷動き鈍化 → 運賃下落 という流れが続いています。   今後の焦点:年末商戦と政策判断 NRFは、今年の年末商戦が初の1兆ドル突破になる可能性を示しています。 一方で、2026年の貿易政策については依然として不透明であり、小売企業は在庫の積み増しに慎重です。 当面の市場は「待ちの時間」となり、 ・在庫がどこまで減るか ・アメリカの関税政策がどう決着するか が、2026年前半の荷動きを大きく左右します。   まとめ 2026年1〜4月は輸入コンテナが4ヶ月連続二桁減 最大は3月で17%減 関税不透明感と過剰在庫が主因 アジア発北米向けは運賃下落が続く 市場は在庫調整が終わるまで「様子見」局面 今後もアメリカの小売在庫と政策判断は、海運マーケットを動かす重要テーマとなります。 動画視聴はこちらから

ZIM買収報道の深層:ハパックロイド提案を阻む地政学リスクとは | 物流ニュース・物流ラジオ

ZIM買収報道の深層:ハパックロイド提案を阻む地政学リスクとは

今回のテーマは、イスラエルの船会社ZIM Integrated Shipping Servicesを巡る買収報道と、その背後に存在する複雑な地政学リスクについてです。 海運大手のM&Aは業界の勢力図を大きく塗り替える可能性を持ちますが、今回のケースは単なる企業価値の問題にとどまらず、国益・ガバナンス・中東情勢という複数の文脈が重なり合う点が特徴です。 買収提案の存在と、複数社からのアプローチ 主要国際メディアによると、ZIMは複数の海運会社から売却提案を受けています。 特に注目されているのがドイツのハパックロイド(Hapag-Lloyd)による買収提案であり、さらにMSCやマースクといったトップ企業からの接触も報じられています。 また、ZIMのCEOであるイーライ・グリッグマン氏によるMBO(経営陣による買収案)も候補に挙がっています。 買収を困難にする二つの壁 報道では、ハパックロイドによる買収が極めて難しいとされる理由として、次の二つの要因が挙げられています。 ① ハパックロイド株主に中東政府系ファンドが存在すること ② イスラエル政府が保有する「特別株(黄金株)」の制約 ① アラブ資本の存在がもたらす政治的障壁 ハパックロイドは2016年にUASCを買収した影響で、現在サウジアラビアとカタールの政府系ファンドが計22%の株式を保有しています。 ZIMの従業員グループは、この点に対して強く反発しているとされ、アメリカに拠点を置く幹部は「買収の可能性はほぼゼロ」と発言。 MBO以外の選択肢は受け入れられないとの空気が強まっています。 ② イスラエル政府が握る「黄金株」という絶対条件 2004年の民営化において、イスラエル政府はZIMに対する特別株(ゴールデンシェア)を保持しました。 これは国家緊急時にZIM船隊を政府が利用できる権利などが含まれ、次のような制約を課しています。 合併・売却には政府承認が必須 CEOと取締役会の過半数はイスラエル国籍であること 法人登記をイスラエルに置くこと これらの条件は、ZIMが“準国策キャリア”として扱われていることを示しています。 ハパックロイドの沈黙と、海運業界に残る根強い地政学構造 ハパックロイド側は噂にコメントしない姿勢を維持していますが、この話題は「海運業界における国益と資本の衝突」という難題を象徴しています。 特に中東情勢がデリケートな状況下で、 イスラエル企業がアラブ資本を含む企業傘下に入るのか という点は、単なる経営判断では割り切れません。 最も現実的なシナリオとは 投資家視点では、買収プレミアムよりもガバナンス・地政学リスクへの理解が不可欠です。 現状では、 CEOによるMBO ZIMの非公開化による独立性維持 このあたりが最も実現可能性の高い落としどころと見られています。 まとめ 今回のZIM買収報道は、海運業界における国際政治・株主構造・国家安全保障が複雑に絡む象徴的な事例です。 引き続き、動向には注目が必要です。 動画視聴はこちらから

【2024年問題】物流クライシスを乗り越える!AI・ロボット導入で生産性15%向上、不在配送9割減を実現した省人化事例 | 物流ニュース・物流ラジオ

【2024年問題】物流クライシスを乗り越える!AI・ロボット導入で生産性15%向上、不在配送9割減を実現した省人化事例

深刻化する物流クライシスを「テック」で乗り越える!AIとロボティクスによる省人化先進事例 今回は、物流業界でAIとロボティクスを活用し、省人化、すなわち人員体制の最適化に成功している大手企業の先進事例についてお伝えします。 昨年から適用が開始されたドライバーの労働時間規制、いわゆる2024年問題によって、物流業界はかつてないほどの人材不足に直面しており、現場での労働力確保が困難な一方、従来の対策を超えた抜本的な対策が求められています。倉庫オペレーションの変革:ロボット技術による生産性向上労働集約型であった倉庫業務において、ロボット技術の導入が加速しています。ダイキン工業:AGV導入で搬送業務を無人化空調大手であるダイキン工業の事例では、工場および物流拠点においてAGV(無人搬送車)の導入を推進しました。これにより、これまで作業員が手動で行っていた重量部品の搬送業務を全面的に自動化しました。この導入効果は顕著で、以下の成果が報告されています。搬送業務の無人化による人件費削減全工程全体で生産性が15%向上単純作業をロボットに代替させることで、人的資源をより付加価値の高い業務に集中させるという、まさに省人化のモデルケースと言えます。日本通運(日通):AMRでピッキングルートを最適化次に、大手である日本通運(日通)の取り組みです。同社の物流センターでは、ラピタロボティクス社製のAMR(自律移動ロボット)が採用されています。このAMRは高度なAIによる自律制御を特徴とし、倉庫内の適切なピッキングルートを瞬時に算出して作業員を先導します。これにより、作業員の移動時間が大幅に削減されただけでなく、経験の浅いスタッフでも熟練者と同等の効率で業務が可能となりました。この技術による業務標準化が、人材不足解消の鍵となっています。配送分野のDX:ビッグデータとAI解析が競争力の源泉配送分野におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)も進んでいます。ここではビッグデータとAI解析が競争力の源泉です。ヤマト運輸など:AIによる最適な配車計画宅配大手のヤマト運輸や、アメリカのUPSのようなグローバルな物流企業では、配車計画のAI化が標準となりつつあります。これらの企業が導入する最新システムは、以下の膨大なデータを解析します。過去の配送実績リアルタイムの交通渋滞情報気象条件物量AIが導き出した最適な配送ルートに基づいて業務を行うことで、車両の走行距離を5%以上削減することができ、コスト削減だけでなく、$\text{CO}_2$排出量削減の面でも優れています。ラストワンマイルの課題解消:不在配送率9割減の衝撃さらに、ラストワンマイルの課題である不在配達の解消に向けた実証実験も行われています。東京大学が導入したプロジェクトでは、AIを導入した配送時間の最適化が検証されました。この手法では、個人のプライバシーに配慮しつつ、電力使用データなどのライフログから在宅確率を予測し、最適な配送日時を提案します。この実証実験の結果、一時的ではありますが、不在配送率が約9割減したという驚くべきデータが得られています。再配達問題の解消に向けて、AIの予測技術の実用化に期待が寄せられています。まとめ:テクノロジーを駆使した装置産業への転換期これらのダイキン、日通、ヤマトなどの各社の事例から見えてくるのは、物流が労働集約型からテクノロジーを駆使した装置産業へと転換期を迎えているということです。人手不足という危機を背景に、AIやロボティクスへの投資が加速しており、その結果として、生産性の高い持続可能な物流網の構築が進められています。今後も企業の競争力は、単なる輸送力だけでなく、このDX化が非常に重要な要素となるでしょう。動画視聴はこちらから

【最新レポート】関税ショックの最大の勝者「メキシコ」の台頭と、サプライチェーンに忍び寄るAI監視リスク | 物流ニュース・物流ラジオ

【最新レポート】関税ショックの最大の勝者「メキシコ」の台頭と、サプライチェーンに忍び寄るAI監視リスク

ヒューストン国際海事会議(HIMC 25)で語られた関税の真実 今回は、関税ショックと、その最大の勝ち組であるメキシコについてお話しします。 先日の2025年11月上旬にヒューストン国際海事会議(HIMC 25)で、関税の影響やアメリカの関税政策が世界のサプライチェーンをどう変えているのか、という非常に興味深い議論が交わされました。 この最新のレポートを、関税のインパクト、メキシコの台頭、専門家の警告という3つのポイントに絞ってお話しします。 1. 関税のインパクト:輸入業者のボディーブロー まず一つ目の関税のインパクトです。 会議では全米小売業協会(NRF)の副会長が、「関税とはアメリカの輸入業者が支払う税金である」という基本的かつ重たい事実を突きつけました。 これは企業にとってボディーブローのように効いており、現場からは関税情報がコロコロ変わり、経営陣の報告も追いつかないという悲鳴が上がっています。 さらに、ある大手家具メーカーは今年の米国市場だけでなんと4億ドル以上の追加コストを予測しており、これは企業努力でなんとかなるレベルを超えています。 もはや東南アジアも「安全地帯」ではない では、工場を移せばいいのではないかと思われますが、これまでのトレンドだった中国からタイやカンボジアなど東南アジアへの移転も、専門家によればもはや安全地帯ではなくなっており、東南アジア製品にも新たな関税リスクが出てきています。 そこで米国政府が推しているのが、**USMCA(アメリカ・メキシコ・カナダ協定)**を使った北米地域での製造です。 2. ニアショアリング最強の勝者「メキシコ」の台頭 ここで二つ目のポイントであるメキシコの台頭が登場します。 今回の会議では、パネリスト全員が口を揃えて「ニアショアリング最強の勝者はメキシコだ」と指摘しました。 実際、アメリカ市場でアクセスを維持するため、中国のメーカー自身がこぞってメキシコに工場を作っているという現象が起きています。 ある専門家は、メキシコの産業の成長の勢いを「雑草のようだ」と表現するほどです。 活発化する投資と越境サプライチェーンのハブ化 具体的な動きとして、世界最大の物流企業キューネ・アンド・ナーゲルは、テキサス州エルパソの国境物流拠点を大幅に拡張しており、前の施設はわずか1年で満杯になったほど物が動いています。 また、インドの自動車部品大手マザーソン・グループがアウディ向けの供給強化のためメキシコの工場に5000万ドルを投資するなど、製造業での投資も活発です。 地理的な近さとUSMCAのメリットにより、メキシコは今や越境サプライチェーンのハブになっているのです。 3. 専門家の警告:AI監視と「新聞に名前を載せないこと」の重要性 そして最後の三つ目、少し怖い話ですが、専門家の警告です。 専門家は、このメキシコシフトに浮かれている場合ではないと警告しています。 アメリカの税関(CBP)も進化しており、AIを使って監査や取引審査を強化しています。 その結果、これまで見逃されていたミスもAIが指摘するようになり、さらに怖いのは執行の可視化、つまり違反が見つかった企業の名前を公表する動きが出ていることです。 専門家は、「今や自社の名前を新聞に載せないようにすることが重要だ」とまで警告しています。 特に、海外サプライヤー任せのDDP契約をしている企業は要注意で、データが適当であれば、深刻な法的なリスクを負うことになると述べています。 今回の内容をまとめると、関税政策がサプライチェーンを根本的に変え、その結果としてメキシコが世界の工場になりつつありますが、そこにはAIによる監視という新たなリスクも潜んでいます。 チャンスとリスクは隣り合わせであり、これからの物流戦略では、メキシコの活用と鉄壁のコンプライアンスという二つのキーワードが重要になると言えるでしょう。 動画視聴はこちらから

物流DXのコスト負担を巡る構造課題:CargoWise新価格モデル「取引ベース課金」が業界に突きつけるもの | 物流ニュース・物流ラジオ

物流DXのコスト負担を巡る構造課題:CargoWise新価格モデル「取引ベース課金」が業界に突きつけるもの

物流業界激震!WiseTech CargoWiseが価格モデルを大転換 世界的に物流のデジタル化(DX化)が進む中、業界に大きな波紋を呼ぶニュースが飛び込んできました。 世界で最も利用されている物流ソフトウェアの一つ、WiseTech Globalが、その主要製品であるCargoWiseの価格モデルを大幅に変更したことです。 この変更は単なる値上げではなく、「物流DXのコストを誰が、どのように負担すべきか」という、業界全体の構造的な課題を突きつけていると捉えられます。 「ユーザー数ベース」から「取引ベース」への転換 WiseTechが導入したのは「バリューパック・コミュニティ・プライシング」と呼ばれる新しい商業モデルです。 従来の「ユーザー数ベース」の課金体系から、「取引の量と種類」に基づいた取引ベースの単一コストへと基準を大きく転換しました。 例えば、輸入コンテナ1個の管理に対し、特定の料金がかかる形式です。 WiseTechのCEOは、これを価格変更ではなく「全く違う商業モデル」と表現しています。 狙いはDX技術投資コストの「民主化」 この狙いは、AI技術を含む高度なサービスをフォワーダーに利用してもらい、その技術投資のコストを、フォワーダーが荷主に費用として転嫁できる仕組みを作ること、すなわちサービスの民主化を進めることにあります。 現場の不安と最大の懸念点 しかし、現場のフォワーダーからはコストが20%から、高い場合は**50%以上も増加する**との試算があり、年末というタイミングでの急な導入も相まって、不安が爆発しています。 フォワーダーにとって最大の懸念は、この追加コストを荷主が受け入れてくれるかどうかです。 競争の激しい市場では、フォワーダーが費用を吸収すれば、確実に利益率が圧迫されることになります。 ITコストが受け入れられにくい構造的理由 なぜ船会社のサーチャージは受け入れられやすいのに、フォワーダーのITコストは受け入れられにくいのでしょうか? 船会社のサーチャージ: 独占的な価格決定力のもと、燃料など外部の変動費として既に認識されている。 フォワーダーのIT費用: 競合の多い環境下で、企業の効率化のための間接的な運営コストと見なされがち。 WiseTechのCEOは、このITコストを「通関手数料と同様に、フォワーダーが顧客に代わって立て替える費用」として請求されるべきだと主張しますが、業界の声は「荷主は低価格での輸送を望み、結局フォワーダーが負担することになる」と反論しています。 物流業界が迫られる選択肢:「新たな商習慣の創出」 フォワーダーのIT化・DX化は、高付加価値サービス提供のために不可避な未来であり、技術コストは増大していきます。 この状況で、物流業界が直面する選択肢は主に3つです。 フォワーダーが吸収し消耗戦を戦う 運賃に包括的に含める(ブラックボックス化) コストを分離・可視化し、新たな商習慣を創る 今回のCargoWiseの価格変更は、まさにこの3番目の「新たな商習慣を創る」という挑戦を物流業界全体に促すものです。 フォワーダーと荷主に求められること フォワーダーには、ITサービスの価値とコストの必要性を荷主に戦略的に説明していく必要があり、荷主にも、要求するデジタル的な利便性には相応の対価が必要であるという認識が求められるタイミングにきています。 動画視聴はこちらから

航路別にみるアジア圏・欧州・北米の最新運賃トレンド | 物流ニュース・物流ラジオ

航路別にみるアジア圏・欧州・北米の最新運賃トレンド

海上輸送の運賃は、需給バランスのわずかな変化でも大きく動きます。 船会社は週ごとの集荷状況を踏まえて運航計画を立てますが、貨物が集まらない週はブランクセーリングとして欠便を出し、あえて運航を止める選択をします。 便が1本消えることで翌週に貨物が集中し、スペースの逼迫が発生しやすくなります。 こうした供給調整は、市況の急落を避けるための基本的な仕組みとして定着しています。 欧州と北米で異なる需給環境 欧州向けは需要の落ち込みが比較的緩やかで、在庫調整も大きく進んでいないため、物流量が安定しやすい環境にあります。 需給のバランスが整っていることから、運賃も大きく崩れていません。 一方の北米は、小売業者が積極的に在庫圧縮を進めた影響で貨物量の回復が鈍く、需要不振の状態が続いています。 単純な市況回復が望みにくいため、アジアや欧州とは明確に異なる運賃トレンドを形成しています。 大型船をアジアに回せない理由 北米航路には1.6万〜2.4万TEU級の超大型船が投入され、大量輸送を前提とした運航が行われています。 しかし、この大型船をアジア向けにそのまま回すことは困難です。 アジア各港は水深や岸壁仕様に制約が多く、大型船が入れないケースが多い ASEAN向けは運賃水準が低く、大型船では採算が取れない 大型船は荷役時間が長く、港湾混雑を招きやすいため効率面でも不利 「余った船をアジアへ」という単純な発想では成り立たない理由が、構造的に存在しています。 航路別の現状 アジア域内:季節的ピークに加えて供給不足が重なり、運賃は上昇基調を維持。 北米向け:需要低迷と新造船投入が重なり、供給過多の状態が続く。 欧州向け:欠便による供給調整が継続され、運賃は堅調に推移。 今後の展望 アジア向けは中国の旧正月前に荷動きが増えるため、スペースの逼迫がさらに進む可能性があります。 欧州向けはスエズ運河の通航状況が最大のテーマで、仮に全面再開が進めば供給力が一気に増え、欧州港湾に混雑が戻るリスクがあります。 ただし、再開によって直ちに運賃が崩れるとは限らず、状況次第では短期的に上振れする可能性も残ります。 北米向けは運賃の下落傾向が続きますが、船会社が追加のブランクセーリングで供給を絞る可能性もあります。 さらに、米国の政治情勢次第では関税政策が変動し、市況の読みづらさが増す展開も考えられます。 まとめ アジア・欧州・北米の三大航路は、それぞれ異なる需給環境にあり、運賃の方向性も分かれています。 季節要因、港湾制約、政治要因が複雑に絡み、今後もしばらく不確実性が続く見通しです。 荷主としては、航路ごとの特性を踏まえた早めの輸送計画づくりが求められます。 動画視聴はこちらから