2026.02.11
EUが狙い撃ち。中国EC規制強化で航空貨物は転換点へ
本日は、2月6日付のJournal of Commerceの記事をもとに、EUで進む中国系ECプラットフォーム規制と国際物流への影響について整理します。 一見するとポーランド国内の話題に見えますが、実際にはEU全体、そして航空貨物市場に直結する重要な動きです。 動画視聴はこちらから ポーランド発の問題がEU全体へ波及 今回の問題提起を行ったのは、ポーランドのデジタル経済商工会議所です。 同会議所はKPMGと共同で作成したレポートの中で、中国のオンラインプラットフォームがEU市場の競争を歪めていると警告しました。 問題とされているのは、単なる価格競争ではありません。 税関制度や規制の抜け穴を前提としたビジネスモデルそのものが問題視されています。 「不公平なルール」への強い警告 同会議所の会長は、今回の問題は保護貿易主義の議論ではないと明言しています。 ポーランド企業は価格やサービスで競争しているものの、規制の抜け穴や法執行の不備を前提としたビジネスモデルとは戦えないと強く批判しました。 EU市場に広がる中国ECの存在感 ポーランドのEコマース市場は約420億ドル規模です。 そのうち、すでに6%から11%を中国系プラットフォームが占めているとされています。 特に影響が大きい分野は次のとおりです。 家電製品家庭用品 これらの分野では、極端な低価格販売が国内産業の空洞化を招くリスクが指摘されています。 EUでも進む免税措置の撤廃 アメリカではすでに低価格商品に対する免税措置、いわゆるデミニミスが撤廃されました。 同様の動きはEUでも進んでいます。 欧州委員会は、中国からのEコマース輸入急増を背景に、150ユーロ以下の商品に対する免税措置を撤廃する方針を示しました。 今後のスケジュールは次のとおりです。 2026年7月 一時的な関税措置開始予定2028年 本格的な制度改革 2024年だけで、150ユーロ以下の小包は46億個がEU域内に流入しました。 航空貨物市場への影響 運賃分析プラットフォームのデータによると、アメリカで免税措置が撤廃されて以降、中国発アメリカ向けEコマース貨物は急減しています。 2025年12月には3か月連続で50%以上減少し、年間でも28%のマイナスとなりました。 ヨーロッパ向けでも同様の傾向が見られています。 中国発欧州向けEコマース物量は、ロシア向けを除くと実質23%減少しています。 航空貨物は転換点を迎える 世界の航空貨物量の最大25%がEコマースに依存していると言われています。 この需要がフラット化または減少すれば、これまで前提とされてきた成長戦略は見直しを迫られるでしょう。 旅客機の貨物機転換やEC需要前提のキャパシティ拡大といった戦略が再検証される局面に入ります。 EUでの規制強化が本格化する2026年半ばは、航空貨物市場にとって大きな分岐点になりそうです。
