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2021年12月物流ニュース | 物流ニュース・物流ラジオ

2021年12月物流ニュース

この記事を動画で見る どうもこんにちは飯野です。今回は2021年12月の物流ニュースをお届けします。 今回も北米からのニュースが中心で、サプライチェーンの乱れの現状について、より詳しく理解できると思います。 それでは、いってみましょう。 コンテナ運賃、北米西岸 最高値7,300ドル。来年度の運賃相場も高水準か 上海発、北米西岸向けのスポット運賃が、11月末が6,700ドル/40’だったのが、12月10日時点で7,300ドル/40’となり、最高値を更新しました。 通常では12月には落ち着いてくるはずの運賃上昇の勢いが止まりません。 これに伴い2022年度の大手企業向け年間契約の海上運賃相場も上昇しており、西岸向けは6,000~7,000ドルが基準値と言われています。これは今季の倍のレートです。 一般的には年間契約の長期レートよりも、状況によって都度更新されるスポット運賃は高くなります。 その為、船のスペースは高い運賃のスポットレートの荷主を優先することがあり、2022年度も運賃相場は高水準と予想されています。 北米西岸沖待ち実質100隻か。排ガス規制により近海に停泊せず待機 LA,LB港では12月14日コンテナ船の沖待ちは30隻が荷役中、30隻が沖待ち中でした。 ところが、LA、LB港があるサンペドロ湾から離れたところで、なんと71隻が減速運行などで入港待ちしていたのです。 11月からLA,LB港に入港に関する規制が変わりました。 排ガスの環境悪化を懸念して両港から40マイル(約64km)を安全・大気品質エリアとして、船の停泊を減らすルールが影響しています。 その為、入港待ちの船は港から150マイル(約240km)離れる必要があり、中にはメキシコ近くに待機している船もありました。 北米、倉庫費用上昇。更なるインフレを懸念 不動産会社CBREグループが発表したレポートによると、B2B用倉庫の賃貸料は5年前に比べ平均25%上昇しています。 また、LA,LBの主要な拠点では特にスペースが逼迫しており、今年の第3四半期の賃貸料は、前年同期比で10.4%増加。2016年のリースの料金より60%以上高くなっています。 商品流通の乱れは倉庫の保管率を上げ、賃貸料の値上がりを引き起こす要因となります。またサプライチェーンの乱れによる物流費の上昇は顧客に転嫁され、現在のインフレを助長する懸念があります。 北米のドレー不足は人的要因と材料不足から 北米西岸のコンテナ滞留の要因として慢性的なドレー不足があげられますが、その原因は人的要因と材料不足が影響していると判明しました。 サプライチェーンの乱れを少しでも解消する為に、ドレーの製造を増やそうというマーケットの思惑にも関わらず、材料や部品が手に入らず、更に生産をする労働者も不足しています。 11月30日時点で、北米のとある企業のドレー生産に関する受注残は23億ドル(約2,500億円)。同企業の2021年の生産台数は25%の減少が見込まれている程です。 また、鉄鋼などの材料費が値上がりしており、ドレーの販売価格は2020年8月に比べ2021年の第三四半期には約4倍となっています。 ドレーの製造不足はサプライチェーンの乱れを更に引き起こし、今後の商品の滞留に大きく影響をしていくでしょう。 北米の小売店、大量発注の傾向。在庫過多に陥る恐れも サプライチェーンの乱れから納期に遅れが生じ、販売時期を逃した商品が流通せずに各社の倉庫に余る可能性が懸念されています。 北米の小売業者は、物流の混乱から予定通りの配送が出来ず、最大の販売機会に向けての必要な在庫確保出来てない状況に備えて、商品の大量発注をしていました。 モルガンスタンレーによる調査によると、2021年の第三四半期で小売業者を含む企業の50%以上が在庫を増やす予定と回答。 このまま物流の乱れが続くと季節商品を扱う小売りは在庫過多がリスクとなり、従来であれば季節性の高い商品は1月に値下げ販売される傾向にあります。 しかし、今期においては物流費・倉庫費用の上昇の影響がある為、顧客に転嫁をしながら、値下げを行わずに販売をする小売も多い模様です。 解説コーナー それでは今回のニュースの解説のコーナーです。 11月の時点では北米向けの沖まちコンテナ船は減少傾向にあるとお伝えしていましたが、実際のところ沖まちコンテナ船は港から離れたところで減速運航や待機をしていました。 その為、まだ100隻近くのコンテナ船が積み下ろしを待っている状態にあります。 こうなると北米に船を送ってもアジアなどに戻ってくるには相当の時間がかかってしまうことから、北米西岸向けへの船は次々とキャンセルされています。 引き続きコンテナ船のスペース問題は続きそうです。 また北米西岸向けの2022年度の大手荷主向け長期レートが、現在のスポットレート価格と同じレベルになるとお伝えしました。 一般的に長期レートはスポットレートに比べて割安になりますので、2022年度の北米向けのスポットレートは更に上がることが予想されます。 更にアジア近海の海上運賃も上がっています。これは先ほどご説明したように 北米に向けた船が帰ってくることが出来ない為、短距離航路の近海でも運賃が上がっているのだと考えられます。 コロナ前は数百ドルだった上海 – 東京間でUSD2,000/40’を超える運賃も確認出来ているくらいです。 北米国内での物流の目詰まりに影響を与えている、倉庫のスペース不足やドレー不足においても、今回のニュースでお伝えしたように解消には時間がかかりそうです。 2021年12月の北米のCPI(消費者物価指数)は6.8%でした。上昇している物流費用は顧客に転嫁されインフレは助長されています。 この高い物価であっても消費者の購買意欲は衰えず、クリスマス商戦に備えていた小売店が商品の大量発注をしていたことが分かりました。 中国から大量のコンテナが北米に送られていた背景にはこのような動向があったのです。 昨年のこの事例を考慮すると、2022年においてもクリスマス商戦に向けた小売は昨年と同様に大量発注をする可能性は十分にあると思います。 まとめ 今回の物流ニュースはいかがだったでしょうか。まだまだサプライチェーンの正常化まではまだまだ時間がかかりそうだと個人的には思ってしまう内容でした。 とはいえ、情報を入手し、出来ることをやっていくしかないと思います。 今回参考にしたニュースのソースは概要欄にリンクを張っておりますので、詳しくはそちらをご覧ください。 現場からは以上です!ありがとうございました。 ・Twitter で DM を送る https://twitter.com/iino_saan ・LinkedIn でメッセージを送る https://www.linkedin.com/in/shinya-iino/ お問い合わせは「ツイッター」と「LinkedIn」のみで承っております。

中国 寧波でコロナクラスター発生!トラック、ドレーなどの車両制限。サプライチェーンへの影響懸念 | 物流ニュース・物流ラジオ

中国 寧波でコロナクラスター発生!トラック、ドレーなどの車両制限。サプライチェーンへの影響懸念

どうもこんにちは、飯野です。 今日は海事新聞のニュースから、「中国の寧波港で物流機能が低下」についてお話していきたいと思います。 2022年1月6日イーノさんの物流ラジオ 寧波でコロナクラスタ― 寧波で新型コロナウイルス感染者が相次いで確認されています。 船社関係者によると、本船荷役など港のオペレーションは通常稼働しているとのことですが、トラックやドレーなどの車両制限が継続しているようです。 中国のゼロコロナ政策 先週末に、寧波市の縫製工場でコロナのクラスターが発生し、検疫が強化されています。そのため、トラックドライバーは通行許可所の申請が必要となり、通行許可書があっても隔離要請があるケースもあるようです。 中国のゼロコロナ政策は現在とても厳しく、例えば、西安で感染者1,300人程の発生で、ロックダウンされています。 中国政府のコロナを絶対に広げないという厳しい国策が取られています。 今後の物流への影響 2021年8月に寧波のメイシャンターミナルが閉鎖されましたが、そのときの影響は限定的ではありましたが、抜港など行われました。 今回も一部船社は同港の抜港を決めたり、物流関係者は代替港の利用の検討をしたりしています。 トラックドライバー不足になると、コンテナの搬出、搬入ができない、作業に時間がかかる、ということが起きてきます。よってコンテナの回転が悪くなり、コンテナ不足に繋がります。 今はアジア航路の運賃が上がっており、来月には旧正月を控えています。世界第二番目の港の一部が閉鎖されれば、アジア域内での運賃上昇に影響があるかもしれません。 寧波のコロナ状況は注目しておかないといけないと思いますので、引き続き情報を発信していきます。

北米の中小企業の荷主、2022年度に向けてサプライチェーンの価格高騰に対し、戦略を見直し。 | 物流ニュース・物流ラジオ

北米の中小企業の荷主、2022年度に向けてサプライチェーンの価格高騰に対し、戦略を見直し。

どうもこんにちは、飯野です。 今日はウォール・ストリート・ジャーナルの記事から、「北米の中小企業の荷主がサプライチェーンの価格高騰に対して新しい戦略を見直し」というテーマでお話していきたいと思います。 2021年12月28日イーノさんの物流ラジオ 2022年への新戦略 北米のサプライチェーンが乱れている中、中小の荷主が来年に向けて新しい戦略を取り始めています。 ある企業は使っていないトラック・トレーラーに商品を保管したり、また、ある企業は製品や原材料を自国の近く、または自国内(北米)で調達しようとしています。 12月も後半になって季節的な慌ただしさが少しおさまってきている中で、来年も米国の継続的な個人消費は強いとのことです。貨物需要を押し上げ、それが更なるサプライチェーンの逼迫を招き、輸送料金はさらに上昇すると予想されています。 よって、2022年は別の戦術を取らなければならないと記事で報じられています。 新戦略の例 ホーム・デポ社やウォルマート社など大手企業は、船舶のチャーターなどコストがかかる戦術を取ることが出来ますが、中堅・中小企業には活用できる資源が少ないので、各社それぞれの戦略を練っています。 例えば、ペット関連商品を販売するeコマースサイトの企業は商品のほとんどを中国から輸入していましたが、海上輸送費の倍増、航空輸送費の高騰が利益を圧迫したため、宝石や犬のサプリメントなどを米国のサプライヤーから購入するようになったとのことです。 また、メキシコにある金属加工会社と提携し一部の注文を顧客に直接発送することも始めました。 他には物流会社の例で、2万平方フィートの倉庫スペースが手狭になり、使用されていないトラックドックに商品を保管するためのセミトレーラーを探していると報じられています。 輸送に使えるほど状態が良くないもので、修理のための部品が不足しているセミトレーラーを倉庫として使おうとしています。それが出来れば新しい倉庫スペースに「とんでもない値段」を払わずに済むということのようです。 また、カナダに本社を置く会社では、アジアからの40フィートコンテナの輸送コストが2020年初頭から今年の夏にかけておよそ4倍になったとのことです。 顧客向けに値上げを実施すると述べており、他の会社も「値上げは絶対にあり得る。」としています。 この会社は最近、海上コンテナ1個の輸送に追加料金も含めて約3万ドル(340万円)を支払いました。コロナのパンデミック前は約5,000ドル(55万円)であったことと比較すると、恐ろしく高い金額ですよね。 これまでは1年に一回の価格改定でしたが、四半期ごとに行う必要があるとしています。 最後に、アパレルとアクセサリーの卸売業者で、1日に10万個以上の個包装を輸送している企業は、必要に応じて商品を移動できるように「魅力的な荷主になる」ことに注力しています。 魅力的というのは、トラックドライバーを同社の施設に迅速に出入りさせ、トラックを停滞させないことを意味します。トレーラーにあらかじめ荷物を積み込み、待ち時間を最小限に抑え、30分以内にドライバーを道路に戻すことを目指しています。 それほど迅速なサプライチェーンが重要になっています。 2022年、荷主の動きに注目 この記事から、来年北米の国内調達やメキシコからの調達がどれくらい増えるのかがポイントなのかなと思います。もしかしたらメキシコ投資が増えるかもしれません。 資本力のある会社がバルク船を使って卸をしたら、サプライチェーンの乱れは少し落ち着いていくとは思います。バルクチャーターとSOCコンテナが必要となりますが、可能性はゼロではありません。 また、倉庫も足りていないので、メキシコでの倉庫需要も上がっているかもしれません。 北米の荷主がどういう動きをとっていくのかが注目です。今年と同じように経営をしていたら、来年も高い輸送費用を払い続けなければならず、それを避けるため、今年とは別の動きを取っていく荷主が出てくるでしょう。 引き続き北米の動きの情報もチェックしていきたいと思います。

コンテナ船社大手のM&Aから物流市場の流れを考察。非海運分野への投資。 | 物流ニュース・物流ラジオ

コンテナ船社大手のM&Aから物流市場の流れを考察。非海運分野への投資。

どうもこんにちは、飯野です。 今日は海事新聞のニュースから、「コンテナ船社の大手が業績好調でM&A加速」についてお話していきたいと思います。 2021年12月27日イーノさんの物流ラジオ 船社、非海運分野への投資 現在の海運市場では空前の好景気で、コンテナ船社の2021年通期業績は、過去最高となる見通しです。その中で船社による投資が進んでおり、特にロジスティクスや航空機などへの投資を積極化しています。 非海運分野での機能を強化することで、Door to Doorトータルロジスティクスの強化を目指しているとのことです。 船社は環境規制に対応した新燃料船の開発・発注も進めているという話はしましたが、新しい船にだけの投資は供給過多を招き、自分の首を絞める可能性があります。よって他のところへの投資も進めています。 大手4社の投資 世界のコンテナ船のシェア大手4社のそれぞれの投資について説明します。 先ずはマースクについてです。 2019年から2020年にかけて欧米で通関会社など、今年に入り表面化したものだけで物流関連5社を買収しています。注目は、ネット・店舗など複数の販売チャネル、EC関連物流企業への投資をしている点です。 大手荷主だけでなく、中小荷主の輸送需要もターゲットとしており、最終配送までカバーするための機能強化に乗り出しています。 次にCMA―CGMは、年初に航空貨物機部門を設立し、これまでに航空機10機を購入・発注しています。 更に、米IT機器の販売大手の物流事業を買収、同事業に、中小企業向けのECの受注から発送までの一連の業務も行っています。 MSCは、アフリカ全土で輸出入貨物取り扱いや、港湾・貨物鉄道運営を手掛ける会社の買収に踏み出し、アフリカという成長市場での物流網は魅力的としています。 最後に中国海運最大手COSCOですが、中国のエクスプレス最大手、SFエクスプレスのホールディング会社に約180億円を出資しました。 こういったように船会社による船だけでない、分散投資が進んでいます。 マーケットの変化による行動 資本主義が続く以上、安い国やメリットのある国との貿易、国際物流は無くなりません。とはいえ、テクノロジーが入ることによってある程度の淘汰はあると思います。 時代についていけない企業は一定数あると思いますが、フォワーダーや通関業者がすぐになくなることはないでしょう。 しかし、船会社もAPIを解放し始めて荷主の直接Bookingが出来るようになっています。その中で、フォワーダーが海上運賃だけで儲けるのは難しく、記事でもあったようにトータルロジスティクスが重要になってきます。 先ほどお伝えしたように大手マースクはEC物流にまで展開をしています。弊社の場合、規模は小さいですが、物流のHR事業に展開しようとしています。 こういったマーケットの変化に合わせて、自分たちの変化していくことが重要だと強く思います。 単に大手はこんなことやっているんだ、というところで終わってはいけません。 M&Aや新規事業は自分一人でなんとかなるものではなく、役職によるところもあります。しかし、役職がなくても、世の中の流れがどのように動いているのかを理解して、自分はどうすべきなのかを考えた方が良いと思います。 年末年始の時間あるときに、見直していくいい機会になれば嬉しいです。

コロナ禍における物流業者の営業方法の変化。SNSの活用。 | 物流ニュース・物流ラジオ

コロナ禍における物流業者の営業方法の変化。SNSの活用。

どうもこんにちは、飯野です。 今日はニュースではなく、昨日日本のフォワーダーさんとお話をしたとき「コロナ渦での物流業者の営業の変化」の話題がありましたので、それについてお話していきたいと思います。 2021年12月23日イーノさんの物流ラジオ 物流業界での営業 物流業者の営業は、だいたい電話をしたり、紹介していただいたり、が基本です。 今回お話しした日本のフォワーダーさんはSNSを使い、仕事につなげていく、今どきの働き方をしていました。物流業界ではかなり少数派だとは思います。 私もSNSを使って情報発信などしていますが、そこから得られる新規のお客さんはかなりの数字であると思います。 営業効率を考えたとき、私の経験上、例えばテレアポだと、1時間電話してアポが取れるのは2,3件というところです。SNSでフォローワーさんやつながりから、問い合わせが来やすくなる、というのはかなり大きいと思います。 YouTubeは英語版も作っておりますので、海外からの問い合わせも多く、そこで海外向けの仕事が決まるというケースも少なくありません。 コロナ渦で情報発信を始め、営業方法を変え、実感しています。 営業方法の変化の必要性 日本のフォワーダーさんも、情報発信をし、ネット上でのつながりをリアルにつなげていくと言っていました。その会社の他の営業マンは、コロナ前と同じ方法を取っているようです。そうすると、人に会うことができません。 既存のお客さんであれば、電話やZoomなどやりやすいかもしれませんが、新規のお客さんの場合、急にZoomの依頼はしづらいと思います。 ネットを通じコミュニテイーを増やし、そこから紹介を得る、という方法はありだと思います。 現在のサプライチェーンの乱れの中、スペース獲得の強さがあれば、仕事は取りやすくなります。コロナ渦であったとしても、需要が高いところに供給ができれば仕事は取れますが、それは会社の強さでもあります。 営業マン個人として、コントロールできない部分でもありますので、個人としてどうすべきかというのは、今回お話ししたように、SNSを使ったり、情報発信をしてネットのつながりを作り、紹介を得るという形がいいのではないかと思います。 とはいえ電話営業が悪いという訳ではなく、状況によりけりで、「これしか武器がない」というのはやはり弱いですよね。 ネットの便利さを利用していけば、物流業界ではSNSを使って営業している人は少ないので、選ばれる存在になっていくでしょう。 コロナで時代ががらっと変わったので、これまでと同じことを続けていてはいけません。これに合わせて新しい変化に対応できる人が生き残ることができるのではないかと思います。

日本発、北米向けが欠便急増。過去20年間の実績でコンテナ買い負けを考える。近隣諸国のコンテナ取扱量は? | 物流ニュース・物流ラジオ

日本発、北米向けが欠便急増。過去20年間の実績でコンテナ買い負けを考える。近隣諸国のコンテナ取扱量は?

どうもこんにちは、飯野です。 今日は海事新聞のニュースから、「北米西岸航路で、日本発でも欠便が急増」というテーマでお話していきたいと思います。 2021年12月22日イーノさんの物流ラジオ 日本発、北米向け欠便急増 米国西岸のロサンゼルス(LA)港・ロングビーチ(LB)港の混雑を連日報じていますが、アジア側へのコンテナ船の戻りが大幅に遅延し、日本発で欠便が急増しています。 LA・LB港があるサンペドロ湾でのコンテナ待機船は、17日時点でLA,LB港の近いところにあるのが23隻、排ガスが懸念されて40マイル(64km)以上離れた沖合で入港待ちしている本船が69隻で、合計92隻沖待ち状態です。 日本から北米に向かったコンテナが帰ってくることが出来ず、スケジュール通りに本船を運航できておらず、欠便が急増しています。 特に年明け1月の日本発の北米西岸北部向けサービスでは、4週のうち3週が欠便と、ほぼ船が来ない状況です。もう定期サービスとはいえない水準になりつつある、と記事にありました。 東アジア発、北米向けコンテナ輸送量 今日のニュースで、11月のアジア18カ国から北米向けコンテナ輸送量と日本発便のボリュームについて記事がありました。 11月のアジア18カ国・地域発 米国向けは前年同月比3%増の185.8万TEUと、4カ月ぶりのプラスとなっています。11月単月としては過去最多を記録し、中国積みなどが好調でした。 一方で日本積みは2カ月連続で減少しています。 国・地域別で11月実績は 中国積み:7%増の115.1万TEU 韓国積み:3%増の9.3万TEU 台湾積み:2%増の7万TEU 東アジアが好調でしたが、これに対して、日本積みは14%減の4.8万TEUで韓国の約半分でした。 主力の自動車部品などが減ったり、さっき説明した欠便や、コンテナ不足が原因かもしれないと記事に報じられています。 日本発のコンテナ数減少 海事センターの北米向けの統計で、北米向けで、日本・台湾・韓国のボリュームを確認していました。 2000年の年間の物量は 日本積み:81万TEU 台湾積み:65万TEU 韓国積み:46万TEU 2009年に韓国に逆転され 韓国積み:52万TEU 日本積み:51万TEU リーマンショック後の影響があってか、30万TEU減っており、ここからずっと韓国に負け続けています。 2019年には台湾に逆転され 日本積み:66万TEU 台湾積み:71万TEU 韓国積み:91万TEU 今年の1月ー11月の統計は 日本積み:53万TEU 台湾積み:77万TEU 韓国積み:101万TEU 日本は工場を他の国に移していたり、半導体の需要の高さも影響していると思います。日本は半導体の素材はありますが、製造では大きく後退していっています。 20年で約30%の減少 2000年に比較して日本から北米は81万TEU から、今年の着地見込みは59万TEUとなり、20年で北米向けの輸出量が30%近くダウンしています。 調べながら、色々と考えさせられるなと思った今日のお話です。

【WSJ】北米の小売店で在庫を大量発注!混雑の原因と来年の予測。 | 物流ニュース・物流ラジオ

【WSJ】北米の小売店で在庫を大量発注!混雑の原因と来年の予測。

どうもこんにちは、飯野です。 今日はWSJ からのニュースで、「北米の小売で年末年始の休暇を控えた発注で抱えている問題」というテーマでお話していきたいと思います。 2021年12月21日イーノさんの物流ラジオ 北米小売、在庫過多 北米では年末年始を控え、注文が殺到していますが、納期遅れにより、時期はずれの商品が余る可能性があると報じられています。 納期遅れはサプライチェーンの乱れが原因とわかりますが、余るというところがポイントです。 現在は、納期が見えないため、大量に発注をしています。これまでのように必要な分だけ発注をすると納期が遅れ、その次の発注も遅れる可能性もあり、在庫ゼロの期間が長くなる可能性があります。 ある小売業者は、「在庫がゼロになって販売の機会を失う方が危険であり、ホリデーシーズンの発注を3倍に増やした」、としていますが、「しかし、これが予定通りに着くかは不明」と続けています。 逆に、別の小売業者は、「在庫が足りないよりは、むしろ多すぎるくらい」と発言しており、デリバリーがうまくいった会社もあるようです。 勝負の第四四半期 現在、 ・サプライチェーンの変動 ・輸送のボトルネック ・Covid-19のオミクロン株 の問題があり、それが買い物客にどれほどの影響を与えるかが不透明な状況です。 小売業者にとっては第四四半期が一番売り上げと利益がピークになる時期なので、ここに賭けています。ここで在庫がないと大きな機会損失になります。 テネシー大学のサプライチェーンの教授は、「予算をオーバーすればみんなに怒られるが、月曜日にはまだ仕事がある。よって、在庫切れを起こさないようにする傾向がある。」述べています。 北米では人件費も上がっているため、作業員を遊ばしておくわけにはいきません。 よって、在庫が余り、新年には季節外れの商品が大量に出回る可能性があるとされています。 季節商品の過剰在庫リスク ウォルマート、ターゲット、ホーム・デポなどの資金力のある企業は、クリスマス商戦に間に合うように早めに商品を積み込み、船をチャーターしてまで在庫を確保していました。 結果、在庫は十分な状態にあると述べています。 しかし、ファストファッションやクリスマスのセーターなど、品数の少ない商品や季節商品を扱う小売企業にとっては、過剰在庫は大きなリスクとなります。 モルガン・スタンレーによる調査によると、今年最初の第三四半期で小売業者を含む企業の50%以上が、それぞれ在庫を増やす予定であると回答していました。 マサチューセッツ工科大学の運輸・物流センターのエグゼクティブ・ディレクターは、「中堅小売業者であれば、5月頃にはクリスマスの需要を決定しなければいけない」としながら、「パンデミック時には、需要予測はまさにお手上げ状態だった」と述べています。 2022年の海運市況 来年の7月、8月でまだサプライチェーンが乱れているとしたら、小売業者の発注量が増える可能性が十分にあり、来年の第四 四半期もまた同じようなスペース不足、運賃の高騰などが予想できます。 余った在庫については、多くの商品は、ディスカウント・チェーンに流れ込み、安く売られるかもしれません。一方で、すべての小売企業が、古くなった在庫の大幅な値引きを考えているわけではない、とも記事は報じています。 倉庫費用を売値に転嫁して、保管していく可能性があります。 アウターウェアやブーツなどの季節商品であっても、1月には通常ディスカウントされるけれども、1月でもフルプライスに近い価格で販売されるかもしれない、と記事には書いてあります。 簡単に考えれば、多くの企業が安売りに走ると考えられますが、保管費用が上乗せされる分、高い価格で売られ、物価は高いままということもあり得ます。 ちょっとどうなるかが読めないですね。 海運の市況は北米の経済が大きく影響するので、引き続きWSJのニュースも含めて発信をしていきたいと思います。

【WSJ】北米、2022年も物流運賃は更に上昇か? | 物流ニュース・物流ラジオ

【WSJ】北米、2022年も物流運賃は更に上昇か?

どうもこんにちは、飯野です。 今日は、ウォール・ストリート・ジャーナルから、「2022年、海運・物流コストは上昇が予想される」という記事についてお話していきたいと思います。 2021年12月20日イーノさんの物流ラジオ 北米、2022年契約運賃大幅値上げ 北米で輸送・物流業者は、来年度の契約運賃の大幅な引き上げを求めており、インフレ圧力が持続するだろうという見通しがあります。 各企業(顧客)は来年の海運・物流価格の「さらなる高騰」に備えようとしている、と記事にありました。現在の高値で収まるかと思いましたが、まだ上がるかもしれません。 現時点で、宅配便、トラック輸送、海上輸送、倉庫など、貨物部門全体で価格が上昇しています。 2022年の契約運賃と価格上昇 貨物輸送とロジスティクスの市場では、長期契約運賃とスポット運賃があり、一般的に運賃は、安定した長期契約運賃と需要などの変化に敏感なスポット価格の間を行き来しています。 しかし、ご存知の通り海上輸送、トラック輸送、その他のロジスティクスサービスのスポットの市場価格は、今年に入り急激に上昇しています。北米の国内輸送料金は、全体で2020年から約23%の高騰を見せています。 トラック運送会社をはじめとする物流企業では、労働市場で「働き手」がいなく、労働力確保のために、給与のコスト上昇もあります。 そして、記事内では2022年の契約運賃は上昇するが、輸送需要が緩和され、企業が枯渇した在庫の補充を終えるにつれ価格上昇は緩やかになる、という予測をしています。 「2022年中はインフレ圧力があるが、2023年までは予想していない」と、とあるトラック会社の社長の意見もあります。 それぞれの物流業の値上げ それぞれの物流業の値上げについて記事によると、消費者に最も近い宅配の価格は、運送業者に価格決定権をシフトさせるため、過去10年近くで最も速いペースで上昇しています。 フェデックスとユナイテッド・パーセル・サービスは、来年のほとんどのサービスで平均5.9%の値上げになると発表しました。 海上コンテナ輸送の料金は、年初に交渉される年間契約があり、これが記録的に上昇する可能性が高いとのことです。 北米では一般的に年初に交渉しますが、既に始まっていると記事で報じられています。 アジアから米国西海岸への40feetの契約料金は、来年は今年の2倍の6,500ドルから7000ドルになる可能性があります。2019年(2年前)は約1,500ドルであり、記録的な値上がりです。 トラック輸送でも、11月の平均契約運賃が過去最高を記録しています。 入札を避け、既存契約の延長 一部の小売業者やメーカーは、適度な値上げと引き換えに2022年の輸送業者との既存契約の延長を行っています。 入札になると、料金は平均して10%から15%高くなることが予想されているので、既存の会社の値上げをのみ、契約延長する方が良いと判断したようです。 倉庫でも人件費が上昇し、契約が切れるテナントに対して倉庫オーナーは値上げを求めています。そうすると、商品の保管コストもより急速に上昇することになります。 サードパーティロジスティクス事業者も、倉庫労働者の獲得競争によって賃金が上昇し、人件費の上昇を商品に転嫁しています。 このように北米の輸送全体的に値上がりしています。 輸送コストに比例し、商品価格上昇 専門家によると、企業はコストを吸収するか、顧客に転嫁する以外にはほとんど選択肢がないとしており、あるコンサル会社の社長は、「全体として、輸送費が商品コストの7%を超えることはほとんどない」と発言しています。 「ほとんどの企業にとって、輸送コストのわずかな上昇よりも、販売している製品の価値やその重要性の方がはるかに大きい」とし、「より安く輸送する方法を探したために、売上を失うとなると本末転倒だ」と続けています。 ウォール・ストリート・ジャーナルが報じているように、北米内は2022年では物流費用は軒並み上昇し、それを売価に転嫁する気がします。 そういう意味で輸送費用の値上げも商品の値上げに影響するため、2022年はインフレ圧力があるということです。 以前の放送でもお伝えしましたが、2022年度は確実に高い運賃がデフォルトだと再認識できるお話しでした。 今後も、随時情報を発信していきます。

LA、LB港で待機コンテナ船が実質100隻!?状況改善には程遠い現実。排ガス規制も要因。 | 物流ニュース・物流ラジオ

LA、LB港で待機コンテナ船が実質100隻!?状況改善には程遠い現実。排ガス規制も要因。

どうもこんにちは、飯野です。 今日は海事新聞のニュースから、「LA、LB港で入港待ちの船は実質100隻以上」についてお話していきたいと思います。 2021年12月17日イーノさんの物流ラジオ LA、LB、両港沖待ち100隻以上 最近のラジオで、LA、LB両港の沖待ちは改善に向かっているとお伝えしてきました。 状況としては、12月14日時点でLA・LB港から40マイル(約64キロメートル)圏内にあるコンテナ船は約60隻あり、そのうち30隻が荷役中で、30隻が沖待ち中です。 しかし実際には、LA、LB港があるサンペドロ湾から離れたところで、71隻が減速運行などで入港待ちしていると報道されています。 これらを含めると、実質101隻が積み下ろし中、これから積み下ろす状況ということになります。 北米向け荷動き改善は? ざっくり少なめに見積もって、コンテナサイズを5,000TEUとした場合、100隻で50万TEU、これは20feetコンテナ換算で50万本、40feetに換算しても25万本のコンテナ数です。 かなりショッキングな数字です。 記事では、マーケットでは旧正月(2022年2月1日)以降、貨物の流れが改善することを期待する向きも多くあるとしています。 一方、あるフォワーダー関係者の見方として、「今、このタイミングで北米向け荷動きは緩んでいない。旧正月を挟んで何か変わるという想定は楽観的過ぎる」もあると報じています。 私も全く同意見です。 私自身もこの状況や、ざっくりした数字をみて、旧正月でなんとかよくなるのでは?と思うのはかなり考えが甘いと感じます。このラジオでは何度も言っていますが、状況を知って、自分で考えて、対策を打つべきだと思います。 サンペドロ湾遠方での沖待ち増加原因 話を戻しますが、サンペドロ湾の遠方で減速運行していたのは、11月からの入港に関するルール変更が原因としてあります。 LA、LB港があるサンペドロ湾内で多くの船舶が停泊することで、排ガスなどによる環境悪化を懸念する声が出ていました。 そこで、船社団体PMSA、港湾使用者団体PMAなど関係者が協議を行い、入港に関するルールを11月中旬から改正し、新規則では両港から40マイル(約64km)圏内を、安全・大気品質エリアと位置づけ、船の停泊を減らすと決定しました。 入港待ちの船舶については、港から150マイル(約240km)離れたエリアでの待機を要請しており、中にはメキシコ近くで待機している船舶もあります。 よって、これまでお伝えしてきたようにLA・LB港による滞留貨物への罰金、大手荷主の貨物引き取りなどでヤード内の状況は良くなっていましたが、実際には待っている船がまだまだあった、ということです。 大幅な改善までは時間がかかりそうだ。と記事は締めています。 北米沿岸の排ガス規制 北米の沿岸は排ガス規制が厳しく、2020年1月にマルポール条約に沿ったSOx規制で、LSSの導入がありました。これは排ガスに関し、従来のC重油はPM2.5の発生が多いため、品質の良いA重油や、スクラバーを使っていこうという規制です。 特に北米沿岸やバルト海はECA(指定海域)としてこのSOx規制で決められた基準より、更に厳しい基準があります。 カリフォルニアでは環境意識が高い人たちが多く、ガソリンエンジンではなく普通にテスラが走っているような地域です。そんな中、沿岸で船が排ガスを出していれば、問題になるのは納得です。 待機コンテナの状況改善はまだまだ遠いというお話しでした。 これについて、引き続き関連情報を発信してきます。

北米FOMCの発表への考察と、インフレ圧力による倉庫費用上昇。2022年の海運市況は? | 物流ニュース・物流ラジオ

北米FOMCの発表への考察と、インフレ圧力による倉庫費用上昇。2022年の海運市況は?

どうもこんにちは、飯野です。 今日は、ウォールストリートジャーナルから、「北米のインフレ圧力が倉庫リースに打撃を与える」という記事についてお話ししていきたいと思います。 2021年12月16日イーノさんの物流ラジオ 北米、不動産賃貸料上昇 不動産会社のCBREグループが発表したレポートによると、現在のB2B用不動産の賃貸料(倉庫など)は、5年前に比べ平均25%上昇しています。 同社の産業・物流部門のマネージャー曰く「B2B用スペースに対する需要の緩和は見られず、これほど高い上昇を見たことはない」とのことです。 現在のアメリカ国内の平均空室率は3.6%で、2002年までのデータで最も低い水準となっています。 南カリフォルニアでスペース逼迫 更に、南カリフォルニア(LA、LB)の主要な流通拠点では特にスペースが逼迫しており、空室率は、最近では0.7%まで低下しています。 この南カリフォルニア地域の今年の第3四半期の賃貸料は、前年同期比で10.4%増加しており、2016年のリースの料金より60%以上高くなっています。 そのため、リース満了時に、借りているテナントに対して大幅に値上げをしています。 サプライチェーンの乱れによる倉庫需要の増加 北米では、多くの小売業者やメーカーは、サプライチェーンのコスト上昇を顧客に転嫁しており、これが現在の高水準に達したインフレを助長しています。 サプライチェーンが乱れているので、流通を安定させる為に倉庫を使用することになります。 乱れていない時はコンテナで輸入し、そのまま工場や配送センターに送ることが出来ていました。 しかし今はドライバー不足、シャーシ不足、積み下ろしのマンパワー不足、内陸の鉄道目詰まり、更には在庫を多く持ち始めている、などの問題から、コントロールできないことが多いため、中間地点として倉庫を使っています。 記事は「消費者の需要が旺盛であり続ける限り、一過性のものではない」と報じています。 インフレが続くアメリカ アメリカの11月のCPI(消費者物価指数)が前年比の6.8%上昇、PPI(生産者物価指数)が前年比の 9.6%上昇で、アメリカはインフレの真っ只中にいます。 物価が上がり続けても、給料が同時並行で上がるわけではないので、消費者側はその物価上昇に追いつくことはできません。そのため、消費は一旦ペースダウンするのではと個人的には考えています。 今日の日経新聞のニュースで、今年最後のFOMCがありFRBが早期の利上げを表明し、2022年3月あたりに3回行うとしています。 2022年の海運市況 コロナの影響で落ちていた雇用も既に回復してきています。雇用も回復し、労働者にお金がある状態ですので、利上げでインフレが落ち着いていけば、物の消費はまた増えていくでしょう。 このような状態になれば、引き続き貨物は中国から出続けてスペースに余裕はなくなり、コンテナ船社は、中国を優先してきます。 来年度は新造船の竣工が少なく、物理的に供給は少ない状況が確定しています。来年も大変な状況が続くというのが個人的な感想です。 サプライチェーン全体の動きも含め、今後も情報を発信していきたいと思います。