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保税輸送について解説!OLTやILT輸送のメリットや必要手続きなどをご説明します。 | 輸送・ロジスティクス

保税輸送について解説!OLTやILT輸送のメリットや必要手続きなどをご説明します。

保税輸送はなかなか聞き慣れない単語かもしれませんが、貿易をする上で知っておくと役にたつことがあります。 フォワーダーにとって保税輸送は毎日当たり前のように手配しているとても身近なものです。 保税輸送について知り、輸出入のビジネスでコスト削減につながる可能性もありますので、しっかり理解していきましょう。 保税輸送とは何か 保税輸送とは、指定保税地域や保税蔵置場などの相互間で、外国貨物のまま運送することです。 外国貨物というのは関税や消費税を払っていない状態で、国内にある貨物ではありますが保税地域に置かねばならず、税関の管理下にあります。 この外国貨物のままというのがポイントなのです。 ここで外国貨物というのをおさらいしておきます。 外国貨物は日本に到着したばかりで、輸入の申告の許可をうけていないもの、または輸出の申告をした後に税関の許可をもらったあとのもので船や飛行機に積みこんでいないものをさします。 外国貨物を決められた場所に置いていないと、税関の役割である税金の徴収が難しくなります。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/hozei-chiiki-bonded-area/?lang=ja" target="_blank"] そのため、保税輸送とは指定保税地域や保税蔵置所などの許可を受けた場所から外国貨物を動かす際には、前もって税関の承認をもらってから承認をもらった蔵置所等に動かす運送のことをいいます。 一般的には保税輸送はOLT(OVER LAND TRANSPORT)と呼ばれています。これは陸送による保税輸送をさしています。トラックやドレージによる輸送です。 ちなみに内航船などを使い船による保税輸送をILT(INTER CORST TRANSPORT)といいます。コンテナのフィーダーや原料の輸送などに使われます。 保税輸送が必要な場面 保税輸送は実務で輸出入の手配をしていると色々な場面で行われていると実感します。 以下にどのような場面で保税輸送が行われるか紹介していきます。 ①指定保税地域から保税蔵置場まで 輸入の場合 一般的には海上コンテナは、指定保税地域(ヤード)に下ろします。そこですぐさまに輸入通関を行い、通関許可になれば貨物は内国貨物として引き取れるので、保税輸送は行われません。 そして、すぐに通関できない事情などがある場合は、保税蔵置所などに保税輸送することになります。指定保税地域は保管期限が1ヶ月と短いため、それを超して蔵置することはできません。 保税蔵置所は長く蔵置することを目的にフォワーダーなどが税関から許可をうけて、保税蔵置所の許可をもらっているもののため、フォワーダー自身の倉庫や提携倉庫に保税輸送し保管や貨物の検品などを行った上で、輸入通関することができるのです。 LCL貨物の場合、指定保税地域(ターミナル)から保税蔵置場(CFS – Container Freight Station)に保税輸送されてから、それぞれの混載貨物として搬入されます。 輸出の場合 輸出の場合でも、LCLでは保税蔵置所(CFS)でバンニングなどをしてそこで輸出通関した場合は、指定保税地域(ターミナル)まで保税輸送します。 ②保税工場で加工、製造する 保税工場では外国から輸入した原料を税関に届け出た方法で保税工場で外国貨物のまま加工・製造ができます。 その行為をするために指定保税地域から保税工場まで保税輸送します。 ③保税展示場で展示・改装・仕訳をする 保税展示場では外国貨物のまま展示会でお客様に見せたり、注文をとったりすることができます。 指定保税地域や保税倉庫から保税展示場へ保税輸送し、そのまま外国へ積み戻すことができます。 保税輸送をする理由 ここでは保税輸送をする理由について、紹介していきます。 保税輸送はLCL貨物では必然的に保税輸送しなくてはなりませんが、そういう理由以外でも、うまく保税輸送を使うことによってメリットを生むことができるのです。 それについて説明していきましょう。 ①保管料の節約 船からおろされた貨物は指定保税地域(ヤード)に蔵置されますが、そこでフリータイム(無料保管期間)が過ぎた後の保管料(デマレージ)は高額です。 船の航路、コンテナの大きさや種類によって金額が違いますが、一定のフリータイムを過ぎると一日あたりどんどん金額が加算されていきます。 すぐに通関できないもの、引き取りできないものは保税蔵置所へ保税運送した方が保管料がかからずに済むことが多いです。 もちろん、保税蔵置所でも保管料はかかります。 1ヶ月以内に引き取りできるのであれば ① 指定保税地域で1ヶ月以内の範囲で保管しデマレージを支払った方がいいのか ②それとも保税蔵置所に保税運送し保管料と保税蔵置所での入出庫作業料とを比べて どちらがお得か検討したほうがいいでしょう。 ②関税、消費税などの税金の支払うタイミングを図ることができる 例えば品物を海外で安く大量に仕入れたとします。販売先が決まるまで保税蔵置所で保管して、売れた時点で輸入通関し税金を支払えば資金繰りがよくなります。 このように指定保税地域では1ヶ月しか置けない物を保税蔵置所に保税運送すれば保管期限が2年となるため、販売のタイミングで税金の支払いを行うことが可能になるのです。 ③品物を確認してから輸入通関できる 輸入申告する前に保税輸送をして保税蔵置所で点検・仕分け等の検品を行うと実際の貨物にあわせた申告ができます。 例えばワインを輸入するとします。 一部の商品にラベル不良やワインボトルの割れがあり、輸入商品の価値がなくなったとき、税関の承認を受ければ関税や消費税未納の状態で品物の滅却処分ができます。 コンテナ単位で内容確認をせずに輸入通関してしまうと、なかなか後から関税や消費税を取り戻すことは難しいのです。 保税運送の手続き 外国貨物を運送する際には、税関に前もって承認を得る必要があります。 保税運送の流れ ①運送手段や運送先、記号、番号、品目、数量、価格等を記載した「外国貨物運送申告書」を作成し、税関に提出し承認を得ます。 ②必要があれば税関職員の検査があります。 ③関税額に相当する担保の提供を求められることがあります。 ④貨物の運送手段や距離等を踏まえて、相当と認められる運送期間を指定されます。 ⑤運送の承認を受けたものは、運送目録を蔵置場に提出した上でその確認を受けます。 ⑥運送目録を到着地の蔵置場に提出し、到着確認を受けます。 ⑦到着の確認を受けた日から1月以内に、「外国貨物運送申告書」を到着地の税関へ提出しなければなりません。 発送地、到着地の税関が同じ場合は簡易審査となります。申告価格等も必要なく、検査や担保の提供は求められません。 その他の保税輸送の制度 保税輸送は個別に一件ずつ手配するものだけではなく、包括保税輸送という制度があり1年以内期間を指定してまとめて申請することもできます。 船社のフィーダーやインランドデポへの定期的なコンテナ輸送に使用されます。 また、最近の認定事業者制度により保税輸送も特定保税運送者では保税輸送の承認をしなくても保税輸送が可能です。 まとめ 保税輸送について、ご理解頂けましたでしょうか。 保税運送は外国貨物を蔵置している保税地域からその他の保税地域へ運送することにより、保管期間を延ばしたり、税金の支払いのタイミングを変えたりすることができます。 保税輸送は貿易をしている上で、理解しているとメリットを受けられることがあるので、この記事をしっかり読んでおきましょう。

保税地域とは?通関手続きに関わる原則を解説しました! | 輸送・ロジスティクス

保税地域とは?通関手続きに関わる原則を解説しました!

輸出入で取り扱う貨物については輸出入の手続き前に、指定の指定の場所に搬入をする作業が生じてきます。 実は貨物の搬入場所には、明確なルールが存在しています。 まずは貨物を保税地域と呼ばれる場所に搬入をすることが多いのですが、保税地域とは一体どのような場所で どういった取り決めがあるのでしょうか? 保税地域は税関で取り決められ、輸出入代行業者の業務に大きく関わっています。 保税地域とは? 保税地域とは何かを理解する前に、まずは一旦輸出入の原則から考えてみましょう。 輸出の手続きの流れについては、次のようになっています。 輸出手続きの流れ 1. 国内貨物を搬入 2. 輸出通関で申告を行う 3. 外国貨物として船会社もしくは航空会社へ搬入 4. 海外へ運ぶ 輸出では初めに国内貨物をshipperの元から指定の場所まで搬入しています。 続いて、輸入の流れです。 輸入手続きの流れ 1. 外国貨物を搬入 2. 輸入通関で申告を行う 3. 国内貨物として日本国内へ配送する 輸入の場合では、初めに航空輸送もしくは海上輸送で外国から運ばれてきた貨物を飛行機・船から引き取り、指定の場所(上屋、ターミナル)へ搬入しています。 ※輸入通関時には、対象の貨物に関税が発生しています。 内貨と外貨の違い 扱いが変わるだけで、貨物そのものの内容は変わりませんが、輸出時に国内貨物⇒外国貨物、輸入時は外国貨物⇒国内貨物へと扱いが変化しています。 外貨とは、輸出時に通関で許可を受けた後の貨物、輸入時は通関前に外国から日本に到着した貨物を示します。 なので、日本国内にありながら外国貨物もそのまま持ち込みや保管ができ、日本ではない地域として保税地域というものが設けられています。 保税地域と通関について 通関手続きをする際には貨物を保税地域に持ち込み、通関許可が切れると貨物が内貨から外貨へもしくは外貨から内貨へ切り替わります。 基本的には、申告をして外貨もしくは内貨に切り替わった後に他の場所に輸送手配を行います。 保税地域に搬入し、申告をせずにそのまま貨物を保管している場合もあります。 保税地域の定義 保税地域とは、関税法第30条で定められており、日本国内で外国貨物の積み下ろし・運搬・保管ができる場所のことを示します。 外国貨物は、原則保税地域以外に置くことはできません。 よって、輸出入時に外国貨物扱いとなっているものは、保税地域に置かれなければなりません。 では、なぜ外国貨物に関して保税地域が設けられているのでしょうか。 保税地域は、税関がある場所から指定の距離までの間で設けられていなければならず、貨物は税関の管轄下に置かれ管理がしやすくなっています。 また、輸入通関時には申告貨物に対し関税を徴収しなければなりません。取り纏めて貨物を集約している保税地域が、確実な関税の徴収にも役立っていると言えます。 5種類の保税地域 保税地域は、機能と目的によって5つに分類されています。 それぞれの保税地域によって、貨物の保管期間も異なります。 ①指定保税地域 ②保税蔵置場 ③保税工場 ④保税展示場 ⑤総合保税地域 税関ホームページより(https://www.customs.go.jp/hozei/) ①指定保税地域 保税地域は、大半が税関長の許可を基に設置されますが、その中でも指定保税地域のみは財務大臣の許可の下設置されることになります。 国、都道府県、市などの公共団体が所有・管理している土地や建物などに設置していますが、一時的に貨物を蔵置することを目的としているため、蔵置期間は他の保税地域の種類と比較して、1カ月と短くなっています。 ②保税蔵置場 保税蔵置場とは、フォワーダーが自社の倉庫や貨物施設で設置している場合が多いです。 貨物の積み下ろしから、保管までをすることを目的としています。保管をしている期間は、輸入の関税はかかりません。 輸出入の貿易実務においては、保税蔵置場へ貨物を運ぶ手配をすることが多くなっているため、必然的に関わる機会が最も多いと言えるでしょう。 ③保税工場 保税工場は、外国貨物の加工・製造ができる保税地域です。 加工食品や工業製品がよく製造されています。 ④保税展示場 保税展示場は、外国貨物を展示する会場とされています。 外国貨物を、関税を課さずに展示に利用できる場所で、国際的な博覧会や商品の展示場として利用されています。 展示を目的として利用するため、蔵置期間は税関長が認めた期間となっており、特に定められていません。 ⑤総合保税地域 総合保税地域は②~④の保税地域の総合的な機能を持っている保税地域とされています。 保税蔵置場を巡る動き 紹介した5種の保税地域の中でも、フォワーダーの業務に日頃大きく関わっているのが、②の保税蔵置場です。 保税蔵置場は貨物を搬入し、保管まで出来る働きをしています。 フォワーダーが自社倉庫を保税蔵置場として新たに設置ケースもありますが、その際には税関への申請が必要となります。 保税蔵置場の場所は、地域管轄の税関から25km~100kmの距離に設置するように取り決めされています。 空港や港周辺は税関も近くに位置し、貨物の輸送のため、フォワーダーなどの自社貨物施設が集中しています。 倉庫が空港や港から近ければ、輸出時に貨物が倉庫に搬入してから、船会社や航空会社への持ち込みを早くすることができます。 すると輸出通関後の、貨物を海外に輸送するスケジュールに融通が利きやすくなるメリットがあるわけです。 例えば航空会社へ短時間で持ち込みができれば、搬入した後の貨物に対し、追加で時間のかかる梱包などの作業もしやすくなります。 フォワーダーの保税倉庫申請がしやすくなった 航空貨物に関しては、近年税関行政の規制が緩和された影響により、取り扱い貨物量の多い成田空港周辺にフォワーダーの貨物施設が増加した流れがありました。 元々は保税蔵置場は空港内か公共の航空貨物ターミナル内で設置され集約されていましたが、フォワーダーが持つ倉庫などの貨物施設の許可申請がしやすくなりました。 他に、近年特定輸出申告制度が新たに定められました。 これによって、特定の荷主が輸出申告を行う場合には、貨物を保税地域に搬入をしなくても申告を行うことが可能になりました。 これにより、輸出貨物のよりスムーズな手続きや運送が可能となった流れがあります。 まとめ 保税地域は、多くのフォワーダー業務に当たり前に関係していますが、安全な貿易のための管理や規制に役立っていると言えます。 近年は保税地域に関する規制緩和の動きがありましたが、今後も貿易体制の変化で保税地域を巡る、法令全体の動きがあるかもしれません。 輸出入の手続きに関わるため、注視していく必要があるでしょう。

L/C(信用状)取引について解説!具体的な流れとメリットについてご説明します。 | 輸送・ロジスティクス

L/C(信用状)取引について解説!具体的な流れとメリットについてご説明します。

貿易取引の中で「L/C=信用状」という書類を使い、銀行を介して輸出入と支払いの一連の手続きが行われることがあります。 L/C案件では、お金の流れと物や各書類の受け渡しの流れが、他の支払い方法による貿易取引とは少々異なります。 輸出者と輸入者が初めて契約するときにL/Cが使われることが多いのですが、貿易業務に携わっているとL/C案件を扱うケースは度々発生してきます。 貿易業務の基礎となる、L/Cを使った取引の流れを一から押さえていきましょう。 L/C取引について動画で解説 L/Cとは? まず、L/Cという書類の性質から見ていきましょう。 L/Cとは、「Letter of credit」の略で、「信用状」を意味します。貿易は、そもそも輸入者が輸出者から物を買い、代金を支払う仕組みです。 輸出者:代金回収のリスク 輸出者にとって、貿易取引において輸入者から製品の代金が確実に支払われるか不安がつきまとうことになります。 製品を輸出したのに代金が支払われないという事態が生じれば製品そのものの代金・輸送費などを輸出者が負担することになり、損をしてしまいます。 特に輸出者が輸入者と取引の実績がない場合、輸入者の支払い能力の信用に不安がある場合に、輸出者にとってこの懸念は大きくなります。 このL/Cは、銀行が発行する信用状で、銀行が輸入者に代わり輸出品の代金の支払いを確約します。 何らかの理由で、万が一輸入者が代金の支払いが不可能になった場合、銀行がその責任を負うことになります。 L/Cを用いると、輸出者に対して手形の買取がすぐに行われるので、輸出者にとっては確実に支払いが行われることとなります。 銀行は輸入者に対して、財務状況など支払い能力があるかを事前に判断した上で、L/Cを発行します。 貿易取引の各支払い方法の特徴 L/C以外の条件での支払い方法はいくつかありますが、通常輸入者が代金を銀行振り込みする支払い方法が採用されているケースが多いです。 銀行為替(外国為替送金) 輸入者が代金を銀行振り込みの送金で、前払い・後払い両方のパターンがあります。 T/T(Telegraphic Transfer)がよく使われていますが、T/Tでは2つの銀行間の電信送金がされます。 信用状なし荷為替手形決済 D/P、D/Aと表し、L/Cと同様に手形を使用した決済です。 L/Cと同じく荷為替を使って支払い手続きがされますが、信用状がないために輸出者へ支払いが保証された状態ではないことが大きく異なる点です。 L/Cの使用に関しては、国際商工会議所が取り決めている「信用状統一規則」で定められています。 多くの国同士の取引の中で採用されているので、世界中で普遍性のあるものだと言えます。 L/C決済 そしてL/Cを用いた取引では、輸出者と輸入者が最初の売買契約の時点でL/Cを使うことに合意し決定をします。 L/C案件では支払いに関して通常の貿易業務とは大きく異なりますが、B/Lなどの書類作成時にも特別に注意が必要となっています。 L/C取引の主要ポイント L/Cを使った取引の中で、他の決済方法にはない大きなポイントがあります。 最初の保証から、貿易取引をした貨物の受け取りまでの流れで、銀行が大きく絡んでくることになります。 銀行が絡むL/Cのポイント ①製品の輸出手配が行われる前に、銀行が最初に信用状を発行し輸出者に対して支払いを保証する。 ②輸出者から荷為替手形(為替手形+船積書類)の提示があった時点で、銀行が手形の買い取りをする。 ③輸出者は、信用状の内容に従った船積書類を為替手形と一緒に提出しないと、手形の買取がされない。 ④輸入者は、手形の代金を支払わないと銀行から船積書類を受け取れず、貨物の引き取りができない。 L/C取引の流れ では、これから具体的にL/C取引の流れを順番に見ていきましょう。 L/C取引で登場するメインの当事者 A. 輸入者 a. 輸入者の取引銀行=「信用状発行銀行」 B. 輸出者 b. 輸出者の取引銀行=「通知銀行」「買取銀行」                                      ※説明上、輸入者とその取引銀行の所在地をA国、輸出者とその取引銀行の所在地をB国とします。 【2011年発行 日本貿易実務検定協会編『最新貿易実務ベーシックマニュアル』より引用】 ①売買契約【輸入者(A国)-輸出者(B国)】 両者が売買契約を結び、このときにL/C=信用状を用いた取引を条件に合意し、契約を決定します。 ②信用状の発行依頼【輸入者(A国)→輸入者の取引銀行(A国)】 輸入者は、輸入者の国の取引をしている銀行に信用状の発行を依頼します。 この時点で銀行は、輸入者の支払いの信用状況を審査します。 審査が通れば、輸入者の信用状況に応じて銀行から信用状の発行限度額が決定されます。 その発行限度額の範囲内で信用状が発行されることになりますが、信用状を開設するときに輸入者と銀行は約定書を交わします。 ③信用状発行【輸入者の取引銀行(A国)→輸出者の取引銀行(B国)】 輸入者の取引銀行は、国を超えて輸出者の取引銀行に向けて信用状の発行をします。 信用状は、一度発行されると銀行と輸出入者の当事者全員の同意が得られないと取り消しや変更ができない(=取消不能信用状)として扱われます。 2つの銀行は、暗号コードで銀行間がやり取りできる、異なる国同士の銀行間で結ぶコルレス契約を両者が結んでいる必要があります。 ※輸入者の取引銀行は、信用状を発行する銀行のため、輸出者の取引銀行と区別して「信用状発行銀行」とも呼ばれます。 ④信用状通知【輸出者の取引銀行(B国)→輸出者(B国)】 輸出者への信用状通知は、輸出者の取引をしている銀行経由で行われます。 ※輸出者の取引銀行は、信用状の通知を輸出者へ行うことから、輸入者の取引銀行と区別して「通知銀行」とも呼ばれます。 ⑤保険証券入手 ここではしっかりと保険もかけて貨物の保証をします。 ⑥船積依頼 輸出社はフォワーダー or 船会社に貨物を輸送するための本船予約をします。 ⑦輸送、船荷証券(B/L)入手 輸出者は、船会社や保険会社など各所へ該当貨物の輸出手配を依頼、必要書類を入手します。 ⑧荷為替手形買取依頼【輸出者(B国)→輸出者の取引銀行(B国)】 輸出者は作成した為替手形と合わせて、入手した船積書類(B/L・インボイス・パッキングリストなど)を添付し、代金を回収するために荷為替手形として銀行へ提示します。 このとき、船積書類は信用状の内容通りに作成することが必要です。 商品名、条件、輸入者、輸出者の表記などは、事前に通知された信用状の内容に一致していなければなりません。 輸出者からL/C案件で輸出手配依頼があった時点で船会社やフォワーダーは信用状の内容を確認し、各書類が内容と完全に一致しているかチェックが必須となります。 ⑨買い取り代金支払い(手形の買取)【輸出者の取引銀行(B国)→輸出者(B国)】 銀行は、手形の商品代金の支払いをします。 このときに、輸出者から提示された船積書類が信用状の内容と完全に一致しているかどうか銀行からチェックされ、一致していないと支払いがされないことになります。 この時点で、輸出者は商品の代金回収ができたことになります。 ※手形の買取をすることから、輸出者の取引銀行を「買取銀行」とも呼びます。 ⑩荷為替手形の送付【輸出者の取引銀行(B国)→輸入者の取引銀行(A国)】 手形の代金を請求するため、買取銀行は信用状発行した輸入者の取引銀行へ手形を送付します。 ⑪手形代金の支払い請求【輸入者の取引銀行(A国)→輸入者(A国)】 銀行は、立て替えていた支払代金を輸入者に請求をします。 製品を輸入するための代金は、最終的に輸入者が負担し支払いをすることになります。 ⑫手形代金の支払い【輸入者(A国)→輸入者の取引銀行(A国)】 輸入者が、取引銀行へ代金の支払い手続きをします。 ⑬船積書類引き渡し【輸入者の取引銀行(A国)→輸入者(A国)】 輸入者が銀行に代金を支払ってから船積書類を受け取ることになります。 輸入者は船会社などから輸入貨物を受け取るためには、B/Lを含む船積書類が必要ですが、代金支払いを確実に行ってもらうために、代金の支払いと引き換えに船積書類が銀行から引き渡されることになります。 ⑭資金移動(口座移動)【輸入者の取引銀行(A国)→輸出者の取引銀行(B国)】 輸出者から手形の買取を行った、輸出者の取引銀行へ、輸入者の取引銀行から代金の入金がされます。 ⑮B/L呈示 入手したB/Lを提示します。 ⑯貨物受け取り 輸入者は、銀行経由で引き渡しされたB/Lを船会社に呈示し、最終的に輸入貨物を受け取ることになります。 L/Cの記載内容 L/Cには、輸入者と輸出者が取り決めた貿易取引内容の詳細が明記されています。 その内容が、今回銀行から支払い保証の対象となる取引条件となります。 信用状への主な記載事項 ・輸入者名(信用状発行依頼人) ・輸出者名 ・輸入者の取引銀行名(信用状発行銀行) ・輸出者の取引銀行名(通知銀行) ・金額 ・保険 ・荷為替手形の条件 ・必要書類の条件 ・取引対象となる商品名 ・船積条件(積出地、仕向地など) L/Cを使った取引のメリット L/C案件は輸出者にとって最もメリットがある取引方法なので、取引の中で輸出者のことを「受益者」と呼ぶこともあります。 銀行に保証された取引 まず、銀行が間に入って保証をすることで、代金の回収が確実に行われることが最大のメリットと言えます。 このメリットを活用し、特に財力に不安のある発展途上国の企業との輸出取引を始めるときに、L/Cが使われている実績が多く見られます。 確実な代金回収と貨物の受け取り 次に、輸入者・輸出者双方に対して資金負担と貨物の受け渡しのズレによるリスクを低減させることができます。 輸出者は、商品の船積手配後に手形によりすぐに銀行から代金を回収することができます。 送金による輸入者の前払いの支払い条件による場合でも、輸出者にとっては事前に代金回収ができます。 しかし、それでは輸入者にとって事前に行った支払いよりも、手配後の貨物の受け取りが遅くリスクが発生することとなります。 支払いから貨物入手までのタイムラグがない L/C案件では、輸入者が代金支払い後に船積書類を入手します。 その後、貨物を書類と引き換えに船会社より受け取ることになりますが、前払い送金の条件時よりはその期間のずれが短縮されているため、リスクが低減されています。 条件通りの貨物受け取りが可能に また、輸入者によっては事前に信用状で、取引の条件を明確に提示するため、条件通りの手配、貨物の受け取りが確約されることになります。 輸出者が銀行に信用状通りの船積書類を呈示することが、輸出者にとっては支払いを受ける条件になるため、信用状通りの条件で正確に書類を用意、貨物も書類の内容に沿ったものでなくてはいけません。 L/Cのメリットまとめ まとめると、L/C取引で次の3つのメリットが得られることになります。 L/C取引での3つのメリット ①代金回収リスクの回避(⇒輸出者) ②資金負担リスクの軽減(⇒輸出者、輸入者) ③商品入手リスクの回避(⇒輸入者) まとめ L/Cを使用した取引は、輸出者・輸入者双方にとっていくつかのメリットがあります。 そのメリットを活かした取引をスムーズに進めるためには、手配時に船積書類の作成に注意を払うことが最も重要となります。 L/Cを使った取引で、書類の記載で不一致が生じてしまえば、大きな問題になったり支払いの遅延を生じさせることとなる場合もあります。 手配する場合には、各関係者がより慎重に取り扱っていく必要があるでしょう。

クーリエとフォワーダーの違いとは?国際航空輸送における各サービスのメリット・デメリットについて解説しました。 | 輸送・ロジスティクス

クーリエとフォワーダーの違いとは?国際航空輸送における各サービスのメリット・デメリットについて解説しました。

貨物を海外に航空輸送する場合、クーリエを含めた複数のサービスがあります。 クーリエという言葉もあまり一般的ではないと思いますし、またその他のサービスの名称も馴染みがないかもしれません。 今回はそれぞれの国際航空輸送サービスの違いの全体像を理解したうえで、クーリエやフォワーダーを使ったときのメリット・デメリットについて解説をしていきます。 クーリエとは クーリエとは、国際宅配便のことです。 海外とへの輸送ですが、インボイス(貨物の金額を記載した請求書)さえ準備すれば、日本の宅配便とそう手間は変わらず発送することができます。 クーリエ業者はDHL、Fedex、UPSが世界三大のクーリエ業者です。他にはOCS、TNTなどがあります。 ここでは、クーリエといえばこれらの業者が国際宅急便としてサービスしているものを指します。 自社の航空機を持ち、輸送し、通関をし、配達先までお届けします。 クーリエ会社はフォワーダー業務もやっていますので、サービスを区別するためにここでは国際宅急便のサービスをクーリエと呼ぶことにします。 EMSとは ここで、合わせてクーリエと混同されるEMSにもふれておきます。 EMSは国際スピード郵便です。郵便物として扱われます。 サービス的には送り主から配達先までに配達してくれるのであまり変わりません。しかしEMSは国ごとに加盟している万国郵便連盟に加入している会社が扱うため、国ごとにサービスが違います。 日本では賦課課税方式という税関に申告せずに、税関の方で関税や消費税の金額を決めて連絡してくる方式です。 費用が一番安いですが、万が一貨物がなくなると国ごとに業者が違うため貨物追跡が難しいのが難点です。一般の個人貨物や、少額の郵便物などに使われることが多いです。 フォワーダーとは そしてフォワーダーとは、国際輸送業者のことを指します。 フォワーダーという業者は一般的に馴染みがないかもしれませんが、自社で船や飛行機を持たずに海外へ貨物を輸送手配する業者のことです。 クーリエではなかなか出来ない、それぞれの貨物にあわせた輸送を提案できます。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/airfreight-calculate/?lang=ja" target="_blank"] クーリエのメリット これからクーリエの魅力について説明していきます。 ・輸送スピードが速い ・少量の貨物であれば安い ・依頼が簡単 それでは一つずつ見ていきましょう。 輸送スピードが速い なぜ輸送スピードが速いのか?輸送が非常にシステマチックになっており、早さに重点が置かれているからです。 大手クーリエ会社の例 ・当日の12時までにコールセンターに電話 ・午後に貨物の集荷 ・通関手配 ・当日の夜中のフライトに搭載 ・翌日に現地通関 ・配送完了 というスピード配送が特徴です。 通関はフォワーダーのやっている通関とは違い、簡易通関というものなので貨物が到着すれば許可が出るような手続きをしています。 配達日に関しては、アジア圏であれば1~3日、米国やヨーロッパであれば3~4日、その他地域は5日~6日ぐらいです。 少量の貨物であれば安い 費用に関してはクーリエとフォワーダーのサービスを比べると、少量の貨物であれば安いことが多いです。またクーリエはパック料金になっていますので、配達先の国と重量と容積重量の大なる方を伝えれば金額が分かります。 注意点としては、パック料金に含まれていない金額があり、配達国の関税や消費税、配達先が僻地の場合は中継料が発生することです。 クーリエはパンフレットに配達料が載っていますが、それはタリフと呼ばれる最も高い金額のことです。 もしコンスタントに出荷があり、他のクーリエ会社も使っている状況であれば、交渉次第で大きな値引きとなる場合があります。 依頼が簡単 最後にクーリエの依頼方法ですが、インターネットで所定のフォームに記入するだけで出来ます。 もし貨物の引き取り依頼がお急ぎの場合は、コールセンターに電話依頼をして確認した方がいいかもしれません。 クーリエのデメリット クーリエ独自のメリットはあるのですが、デメリットもありますので合わせて見てみましょう。 クーリエのデメリットの例 ・輸送できる貨物が限られる ・会社によって輸送できる地域に得意、不得意がある ・大きい貨物は値段が割高 ・価格の高い貨物は断られることがある ・イレギュラーな対応が難しい 輸送できない貨物は、動植物、生鮮品、危険物、腐食しやすいものなどがあります。 クーリエ会社にはそれぞれ輸送に得意な地域があります。 例えば米国系の会社は、米国の配達がダントツに早いという得意な地域と、米国と国交がない国は受託できないなどの理由があります。 クーリエでは大きい貨物は割高になります。 一般的に45kgを超える大きさ・重さの場合は後述しているフォワーダーのサービスの方が価格面でメリットがあります。 またクーリエでは貨物の引き受け金額が決まっており、大体USD50,000-までとなっています。 そしてクーリエの最大のデメリットはイレギュラーな対応が難しいところです。 途中で配達先を変更したりするのは難しいですし、通関で問題があり貨物が止まってしまうと、解決に時間がかかるという難点があります。 フォワーダーのメリット 最後に、クーリエに合わせてフォワーダーのメリットもご紹介します。フォワーダーでは個別にそれぞれのお客様の要望どおりに輸送することが出来ます。 フォワーダーのサービスを利用すれば、お客さまの最重要視するポイントが価格・スケジュール・貨物の安全性のいずれかの場合、船便・航空便・クーリエの中で最も適した方法で輸送してくれます。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/good-forawrder-sales/?lang=ja" target="_blank"] この記事を書いているのがフォワーダーですから、フォワーダーの宣伝ばかりになってしまいますが、イレギュラーの対応はフォワーダーが得意としている所です。 納期を変更したり、配達先を分けたり、特殊な通関をしたりと、なかなかクーリエでは対応しきれないところが腕の見せ所です。 また、値段に関してはフォワーダーでは重量が多いほど値段(単価)が下がっていく傾向があるので大きな貨物・重い貨物を航空輸送する場合はフォワーダーをお勧めします。 まとめ クーリエ、フォワーダーのサービスの違いをご理解頂けましたでしょうか。 どちらも国際輸送をしていますが、クーリエは少量の通常貨物、フォワーダーはそれ以外を扱っていると覚えておけばいいでしょう。 クーリエの通関は簡易なため、出荷する人にとっては準備が楽なことが魅力の一つです。 一方でフォワーダーでは業務通関となり、書類をきちんと準備したり、送ったり、指示を出したりと手間がかかると感じるかもしれません。 一般的にはクーリエは配達がとても早いですが値段の高いものですので、貨物が45kgを超えるようであればどちらが安いかを確認した方が賢明です。

AWB(Air Waybill)について解説!航空輸送の貿易で使われる書類の意味や見方を詳しく説明します。 | 輸送・ロジスティクス

AWB(Air Waybill)について解説!航空輸送の貿易で使われる書類の意味や見方を詳しく説明します。

今回はAir Waybill(エアウェイビル)について見ていきましょう。 Air Waybillとは航空貨物の輸送の際に発行するものですが、しっかりと見てみると色々な役割があり情報が記載されています。 これから航空貨物の輸送を手がける方にぜひ知っておいて欲しいAir Waybillの知識を紹介してきたいと思います。 Air Waybillについて動画で解説 Air Waybill(AWB)とは Air Waybillとは航空貨物を輸送するときに必要な書類です。航空貨物の運送契約書のことです。 航空貨物を運送する際、荷送人と運送人との間で貨物の運送契約が締結されたことを示している書類です。 有価証券ではない Air WaybillはB/Lとは違い有価証券ではありません。なので貨物を引き取る際に必要ありません。また貨物を譲渡する際に使用したり、担保にすることも出来ません。 有価証券でないので輸入で税関に申告する際はオリジナルではなくコピーを使用します。 フォームは決まっており、IATA(国際航空運送協会)の規定フォームを使いますので、どこの業者でも同じものになります。 AWB 番号について 貨物の問い合わせなどは全てAWBナンバーで管理されています。AWBナンバーはAWBの左上の端と右下の端に記載されています。 フォワーダーに貨物状況など問い合わせる際には、AWBナンバーがわかれば話が早いので覚えておきましょう。 AWBの役割 Air Waybillは航空貨物にとって必要な書類と紹介しましたが、運送契約だけでなく色々な書類を兼ねています。 以下にどのような用途で使われているのか列挙していきます。 AWBの役割 ・運送契約の証拠 ・貨物の受領書 ・運賃の請求書 ・航空会社への貨物取扱の指示書 ・貨物引き渡しの指示書 このように、実は沢山の役割があります。 航空貨物では、タイムリーに貨物を動かすことが優先され、1つの書類で色々な用途に使えるように記載するのです。 AWBの種類 次にAir Waybillの種類について説明します。Air Waybillには2種類あります。 MAWB(Master Air Waybill)とHAWB(House Air Waybill)です。マスターとハウスについては海上輸送のB/Lにもあり、より深く理解する為にリンクを貼っておきます。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/hbl-mbl-difference/?lang=ja" target="_blank"] MAWBとは MAWBは航空会社が発行するものです。一般的にはお客様がこのMAWBを目にする機会はありません。 輸出側と輸入側のフォワーダーがShipper/Consigneeとして航空会社から発行されます。 HAWBとは 一方でHAWBはフォワーダーや混載業者が発行するものです。普段お客様が目にしているAWBは主にこのHAWBです。 フォワーダーが貨物のお客様ごとにHAWBを発行しそれをまとめてフォワーダーの貨物として航空会社に予約し、MAWBとして発行されるのです。 ストレートAWB MAWBだけを発行することも可能です。それをストレートAWBと呼んでいます。またシングルAWBともよばれ、直接航空会社に予約してHAWBを発行しない場合に使用されます。 航空運賃を安くするためには、いろいろな貨物をうまく組みあわせて、運賃効率を上げることがフォワーダーの役目だからです。 AWBの注意事項 航空貨物の貨物引き渡しにおけるリスク管理についてもみてみましょう。 海上輸送でのリスク管理の例 まず海上輸送での例でご説明します。 B/Lではオリジナルが3部発行され、輸出地でサレンダーされたり、輸入地で回収されると貨物が引き取れるようになります。 それではないSea WaybillはAir Waybillのようにオリジナルが必要なく、コピーで貨物の引き取りなどが可能になっています。 信用状取引や取引の入金後に貨物を引き渡す場合は、輸出者と輸入者が親子会社の関係であったり、取引実績が長い場合を除いて一般的にSea Waybillは使用しません。 オリジナルを使用し、取引状況にあわせてB/Lを引き渡しします。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/about-bl/?lang=ja" target="_blank"] 航空貨物のリスク管理 航空貨物では、信用状取引の場合などはどうするのでしょうか? Air Waybillのオリジナルを持っていても、B/Lのように拘束力がないため貨物は引き取りが出来てしまいます。 実際に銀行に配達されるわけではありませんので、航空輸送の場合の信用状取引ではこのような方法となります。 航空貨物の流れ フォワーダーからみた貨物の流れを見てみましょう。 HAWBとMAWBが発行され、到着地まで行く流れとなっています。 航空貨物の流れ ①シッパーが貨物をフォワーダーに渡す ②フォワーダーが検量、梱包などをする ③フォワーダーが航空会社にブッキング ④輸出通関 ⑤HAWBが発行される ⑥MAWBが発行される ⑦他の混載貨物とULD(航空機に載せる箱のような機材です)に組まれる ⑧航空会社に貨物とともにMAWBを渡し、HAWBを預ける ⑨フライト ⑩到着 ⑪航空会社から貨物とともにMAWB、HAWBを貰う ⑫他の混載貨物とブレークされる ⑬輸入通関 ⑭配達 多少都合により前後する場合がありますが、一般的にはこのような流れになります。 AWBの記載事項、見方について 最後にAirWaybillには具体的にどのようなことが書かれているのか、実際に取引に使われたAWBをもとに記載内容をご紹介します。 AWBの記載内容 ・HAWB番号 ・MAWB番号 ・シッパーの氏名、住所 ・コンサイニーの氏名、住所、電話番号 ・運送状発行会社名と住所 ・発地空港 ・経由地空港、航空会社名、便名 ・宛先都市名、空港名、便名 ・貨物取扱上の注意事項、危険品の場合は所定の文言 ・通貨、運賃支払い元 ・個数、重量、運賃適用重量、適用運賃KG当たり ・貨物の明細、原産国 ・元払い運賃合計、着払い運賃合計 ・その他の料金 ・AWB発行年月日、発行場所 まとめ いかがでしたでしょうか。 海上輸送のB/Lと合わせて学ぶ方が理解もしやすいと思いますので合わせて記事を読んでみて下さい。 航空貨物の流れとAir Waybillの記載内容を理解すると、お客様に対して的確にアドバイスをすることが出来るのでしっかりと内容を抑えましょう。

輸出・輸入の税関検査とは?検査の種類や費用について解説しました。 | 輸送・ロジスティクス

輸出・輸入の税関検査とは?検査の種類や費用について解説しました。

国際物流では貨物の通関の際に税関検査という貨物チェックが入る時があります。税関検査は税関職員によって行われ、海外旅行から帰ってきた際に税関を通る時に行われているものに共通しています。 荷物を開けて違法な薬物などが入っていないか、関税のかかるものは正しく申告されているか、日本でそのまま持ち込むことが禁止されている植物や肉などが入っていないかなどがチェックされます。 今回は商業貨物の輸出入においての税関検査がどのように行われているかを見ていきましょう。 動画で解説 税関検査の目的 税関検査は輸出・輸入の両方で行われます。その税関検査の目的は次の通りです。 税関検査の目的 ・輸出申告書、輸入申告書の内容とあっているかの確認 ・法律で定められた基準に適しているか ・申告外の品物が紛れていないかの確認 この法律で定められた基準とは何でしょうか?それぞれ輸出と輸入では違いますので、確認していきましょう。 輸出の税関検査 輸出では武器や兵器などの戦争やテロなどに転用される恐れがある品物を無断で輸出させないようにするための確認です。 そんなものを輸出することなんてないとお思いかもしれませんが、該当する可能性のある品物は多岐にわたっています。 例えば一般的にはパソコンであっても、高度な機能が入っていれば転用できる可能性があるのです。繊維製品から測定器までいろいろな物が輸出貿易管理令で規制されています。 輸入の税関検査 輸出の税関検査より、輸入の検査の方が色々な確認事項があります。 輸入の税関検査の確認事項 ・覚醒剤や麻薬などの輸入してはいけないものがはいっていないかどうか ・原産地が正しいか、原産地が誤認される表記はないか ・納税申告が正しいか ・他法令の手続きがきちんとされているか 税関検査の種類 それでは次に、税関検査には具体的にどのようなものがあるか見ていきましょう。 見本確認 これは貨物の一部を抜き取り税関に持ち込み確認をうけるものです。数量の確認がいらないもので内容を確認したいだけの時は見本確認になります。 税番が合っているかの確認が多く、税関職員が見て問題なければそのまま許可になります。 一部指定検査 一部指定検査の場合は、指定された貨物1カートンなどを税関に持ち込み、そのカートン内の個数と内容を確認します。 全部検査 全部検査はその名の通り、申告した貨物すべてを確認します。 税関検査を受ける場所 これまで税関検査の種類を見てきましたが、見本確認や一部指定検査では多くの場合、税関の検査場での持ち込み検査になることが大多数です。 税関の検査場というのは各税関内に検査をする場所が設けられていて、そこに貨物を持ち込み税関職員と顔をつきあわせて貨物の内容を確認をする検査です。 現場検査 この検査場に持ち込みができない大型の貨物は現場検査という検査方法がとられます。 現場検査というのは貨物の置いてある保税地域や保税倉庫に税関職員が出張してきてくれて、その場で確認をする検査です。 大型X線検査 近頃増えてきているのが大型X線検査です。これは税関近くに税関管轄の大型X線検査装置が設置されており、全部検査の時にその装置で検査が行われることがあります。 FCLの貨物でコンテナ単位で申告した場合、コンテナをドレーで引っ張った状態で大型X線検査場まで入りそのままコンテナをシャーシにのせたままドレイごとX線装置にかけられます。 貨物をコンテナから出す手間がなく、検査が10分程度で終わります。 この場合だと、もし貨物に変な影や申告外物品など不明なものが発見されるとコンテナの扉をあけ、すべての貨物を出す全量デバン検査に変更されることもあります。 税関旗 ところで税関旗って知っていますか? これを知っている方は税関通です。通関業者かドレーのドライバーでしょう。税関旗は大型X線検査の際に税関から手渡される大きい旗です。 大きさは竿の長さ1メートルぐらいの旗で紺地に黄色の字ででかでかと税関検査と書かれています。 この旗をドレーのドライバーが持って行くと引き取りのコンテナヤードで待たずにコンテナを引き取れるのです。 通常のコンテナ引き取りは並んだ順に1~2時間待機して引き取るのですが、(繁忙期には3~4時間かかることもあります)、それを全く待たずにして引き取れるのです。 税関検査の料金 そして税関検査では税関に支払う費用というのはありません。 しかし、検査の際には通関士や通関従業者が立ち会いをします。その立ち会い費用はかかることが多いです。 また、コンテナヤードから税関検査の場合はコンテナのシフト料、LCLの場合でも貨物のシフト料、税関への持ち込みのトラック費用もしくは大型X検査場までの場合は数万円のドレー費用が余計にかかります。 それに加えて、貨物を開披するために人件費や作業料がかかったり、もし全量デバン検査になった場合は多くの作業料、保管料までかかったりします。 検査費用は1カートンだけであれば数千円ですみますが、1パレットで1万円程度、コンテナ一本になると数万円以上の費用がかかります。 拒否できない税関検査 費用のことを考えるとなるだけ税関検査は避けたいものですが、税関から税関検査しますといえばそれに従うしかありません。 税関にできないと言えば言うほど怪しまれるので、検査費用はある程度かかるものと思って準備しておいた方がいいかもしれません。 まとめ 税関検査は税関から検査の指定をされると拒否できるものではありません。 通関業者から税関検査になりましたとの連絡が来たら、急いでいる貨物であっても検査を受けるしか方法はありません。 出来るだけ普段から納期に余裕をもって事前準備をしておくことが大切です。

国際物流における最適な梱包とは?強化段ボールやスキッド・クレート・パレット梱包など様々な梱包について解説をしました。 | 輸送・ロジスティクス

国際物流における最適な梱包とは?強化段ボールやスキッド・クレート・パレット梱包など様々な梱包について解説をしました。

通販で何かを買った時に、商品が何も梱包されずにそのまま届く場合はほとんどないと思います。一般的にはどんな物を運ぶ時でも梱包されています。 そして貿易の仕事では梱包はなべくお金をかけずに最低限でいいと思われがちです。せっかく貨物を送ったり受け取ったりしたのに、壊れて使えなかったら送った意味がありません。 普段、日本で活動されている人は貨物は安全に運ばれて当たり前かと思われているかもしれませんが、国内貨物と国際貨物では全く輸送事情が違います。 これから海外へ輸出貨物を出そうとしている方に、梱包において気をつけなければならないことをお伝えします。 梱包について動画で解説 海外の荷扱いの現状 国際輸送では日本国内の輸送では考えられないくらい荷物の扱いが雑な場合があります。 例えば、海外旅行に行って飛行機にスーツケースを預けると壊れてしまう時があると聞いたことはありませんか?実際にスーツケースのキャスターがとれて無くなったという話を私の周りでも聞いたことがあります。 海外では商品であれ、お客様のものであれ荷物が投げられていると日本ではあまり考えられない事が起きているからです。 航空貨物と海上貨物 航空貨物は軽く、海上貨物は丈夫にするのが基本です。また木材を使う場合は必ず輸出国の木材規制を確認しましょう。 国際貿易における木材こん包材の規則にのっとり、木材を熱処理またはメチルブロマイド燻蒸などをした承認マークがついた木材を使わないと輸入ができない国が増えています。 航空貨物の梱包 航空貨物は航空運賃を重量(または容積重量)にかけて計算します。とにかく梱包材の重さを軽くすることが運賃を下げることにつながるため、軽い梱包材を選ぶことが多いです。 容積重量に関してはこちらの記事に詳しく書いています。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/chargeable-weight/?lang=ja" target="_blank"] 航空輸送では梱包は段ボールのカートン、木箱であればすかし梱包が主流です。 貨物の大きさにもよりますが50キロまでであればカートンがいいでしょう。カートンにカートンのスキッドやパレットをつければ100キロぐらいまで大丈夫です。 輸送用の特殊な段ボール カートンは国内輸送で使うような普通のカートンでは危険です。フォワーダーではダブルカートンと呼ばれるものを使う事が多いです。 ダブルカートンは厚紙の間にある波なみの緩衝材になる部分が二層になったものです。普通のカートンの2倍の厚みがあるものを使っています。 普通の国内輸送のカートンを使う場合には普通に梱包した後に、もう一つ大きいカートンに入れ直しカートンを2重にしたりもします。 海外では残念ながら投げられて仕分されてしまう時がありますので、投げられても壊れないように梱包する必要があります。 航空貨物の場合、通常はダブルカートン、大型貨物でもトライウォール(3層カートン)が多いです。木材梱包は壊れやすい物、精密機械、重量貨物などに使用されます。 海上貨物の梱包 海上貨物は梱包材が海上運賃に与える影響は少ないため、海上輸送中に起こりやすい水濡れ対策を施した梱包、大型貨物を安全に運ぶための梱包などが求められます。 LCLの水濡れ事情について 海上混載貨物(LCL)ではいろいろな貨物が一緒のコンテナに積まれるため、個々の貨物を保護するために梱包した状態で渡し、段積みできるように対策していないとCFSで受けてもらえない時があります。 またタイのCFSは倉庫でなく屋外で作業される事があります。乾季は問題ありませんが雨季だと急なスコールで貨物が濡れてしまう時があります。 FCLの水濡れ事情について またコンテナ輸送でよくあるのが結露です。冬場は特に多く届け先に着いたらコンテナの壁に近くに置いてあるカートンがビショビショだったというのはよくあります。 また稀にですが船に積み込む時のガントリークレーンの操作ミスでコンテナ上部に穴を開けられ、そこから雨水が入る時もあります。 コンテナを納品した時には天井に穴がないのを確認しているのですが、貨物が着いたら天井に穴が開いて貨物もビショビショになっている時がたまにあります。 海上輸送の機械の梱包 機械を輸送する時はバリア梱包を使う時が多いです。バリア梱包とは真空梱包の事でバリアメタルという湿気を通しにくい素材でくるみ、掃除機のようなもので空気を吸い出し乾燥剤を入れて品物を包む梱包方法です。 その上から、木箱やトライウオールなどで梱包をします。 東南アジアを渡る船の場合は特に温度や湿度の変化が大きく、錆やカビが発生する場合があるからです。 バリア梱包に加えて、気化性防錆フィルムといわれるポリエチレンシートなどに気化性防錆材料を塗布したフィルムで製品を包んだりすることもあります。 木製の梱包資材と梱包方法について 木製でも木は生木、合板、ISPM NO.15の処理をされた木材と種類があります。 合板(ベニヤ)は輸出梱包材としては木材としては扱われず、接着剤で貼り合わせた木製の加工品という扱いになり燻蒸等の処理が必要ありません。 合板は安いですし木材として扱われないために梱包材としてはとても優秀なのですが、耐荷重がありません。1トン以上の貨物には使えません。 密閉箱 密閉箱は一般的によく使われます。立方体のすべての面を木材で覆い、中身がみえません。税関検査の際に梱包を開けるのが大変というデメリットがあります。 高価な品物には盗難対策として密閉箱を選ぶこともあります。 すかし箱 - クレート梱包 すかし箱はクレートと呼ばれていますが木材の木の間が開いており、中身が少し見える梱包のことです。メリットは重量が軽くなることとです。 壊れにくい貨物には適しています。 パレット梱包 パレットは木やプラスチックのパレットの上に貨物を載せる形状です。カートンに入れてパレットに乗せ、シュリンクで巻いたり、バンドルで巻いたりします。 パレットからはみ出るように貨物を乗せると貨物同士がぶつかって壊れやすいので、荷物よりも大きいパレットサイズを選びましょう。 スキッド梱包 スキッドは貨物にあわせて架台をつけるような形です。それぞれの貨物専用に大きさに合わせて梱包容器を作ることは運賃を下げるためには重要ですが、梱包日数がかかったり梱包料金が上がってしまいがちです。 小さいパーツをおくるのには事前に用意しておいた箱にいれ、大きい物はパレットやスキッドにするといいかもしれません。 またプラント設備の梱包の場合、貨物が大きすぎるのでスキッドだけを貨物に履かせてフラットラックコンテナに積んで輸送する場合があります。スキッドにベルトをつけて吊り上げたりもしますので強度が必要です。 梱包を最小限にする または梱包は最小にとどめ、貨物をFCLで送る方がかえって安上がりのこともあります。貨物の安全性、輸送費用をトータル的に考えて最適な梱包を提案してくれるフォワーダーさんは頼りになります。 「イケてるフォワーダーの仕事」についてはこちらに記載しております。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/good-forawrder-sales/?lang=ja" target="_blank"] まとめ 国際物流の中で梱包というと簡単に考えられますが奥が深いです。梱包には荷物を安全に運ぶという重要な役目があります。 最近ではエコの観点からリターナブル容器を使うという選択肢もあります。今までの梱包を見直してみるいい機会にしてみましょう。

3国間貿易の流れとメリットを解説!スイッチB/Lやインボイス, 原産地証明の記載内容とは? | 輸送・ロジスティクス

3国間貿易の流れとメリットを解説!スイッチB/Lやインボイス, 原産地証明の記載内容とは?

3国間貿易と聞くと「何か難しそう。。」と思われる人もいるかもしれません。 慣れてしまえばそれ程 難しくありません。業界では通称「3国間」「仲介貿易」などと呼ばれていますが、主要な貿易形態のうちの1つです。 輸入者、輸出者にとっていくつかメリットがある方法なので、貿易に携わっていれば3国間貿易を取り扱うことがよくあります。 ただし、輸入者と輸出者が直接やり取りをするときよりも更にプロセスが必要で仲介する業者やフォワーダーは取扱いに注意しなければなりません。 今回は3国間貿易の全体像と特色を押さえて解説をしていきます。 3国間貿易について動画で解説しました 3国間貿易の流れ 3国間貿易は輸出者、輸入者の他に第3国の仲介業者が間に入って取引を行う貿易形態です。 以下の当事者が発生することになります。 ・輸出者(Shipper): A国 ・仲介業者(Buyer): B国 ・輸入者(Consignee): C国 ※A国、B国、C国は全て別の国となります。 国によって3国間に関する法律は異なりますが、日本では自由に取引できると定められています。その中でいくつか細かいルールや制限は定められています。 代表的なものとして、仕向国が外為法輸出管理令で一定の決まった国・地域の中では経済産業大臣の許可がいることが挙げられます。 契約と支払いについて 3国間貿易では「金額の取引」と「商品の輸送」は流れが少々異なります。 売買契約と支払いは「輸出者 - 仲介業者 - 輸入者」の間でそれぞれ行われています。 輸出者と輸入者の取引実績がなくても、共通して契約している仲介業者があれば貿易ができるということです。 代金の流れ 代金は輸入者から仲介業者に仲介業者のマージン込で支払われます。その後、仲介業者から輸出者へ代金が支払われるという仕組みです。 商品の流れ 商品の流れに関しては輸出者から依頼を受けた輸出国のフォワーダーから、輸入国のフォワーダーへと渡りアレンジを行っています。 基本的にインボイス・パッキングリストなどの船積書類及びB/Lは輸出者から入手しフォワーダー経由で輸入者へ送付されます。 3国間貿易の目的・メリットとは? 3国間貿易では、間に仲介者を挟むことによって輸入者・輸出者双方に生まれるメリットがあります。 まず3国間貿易の取引の特色から、以下のような経済面のメリットがあります。 輸出者・輸入者のメリット 輸出者のメリット ・輸入者との交渉の手間が省け製品販促のための費用が削減できる。 ・取引や販売実績のある仲介業者を間に挟むことで、取引実績の少ない輸入者からの代金回収リスクを防ぐ。 輸入者のメリット ・仲介業者に取りまとめをしてもらうことで、輸出者に販売価格を有利に交渉してもらえる。 ・製品の輸送は輸出国から輸入国へ直接となるので、輸送コスト削減となる。 ・製品が第3国を経由して輸送されないので、その分の消費税がかからない。 例えば、海外に現地法人があるけれども支払いのみ本社で行いたい場合があります。 外国の工場から仕入れたものを直接現地に送り、代金の支払いは本社が取り纏めて行うことが可能となります。 これは本社が法人税率の安い国にあれば、本社で売上を計上することによってトータル的に法人税を抑えられるメリットがあります。 または現地法人のキャッシュフローや代金回収リスクを軽減することが出来ます。 輸出者(仕入れ先)を隠すことができる 3国間貿易は他に、輸入者にとって輸出者=仕入先を分からないように隠すことができます。 代金に関しては、輸入者と仲介業者がやり取りをされ、輸出者から発行されたインボイス(=請求書)は通関用として扱われ現地送付厳禁となります。 スイッチインボイスの使用 そして3国間でConsigneeへのインボイス送付指示があるならば、スイッチインボイスを用いている場合が大半です。 輸出通関上は輸出国から輸入国へ直接製品が輸送されるため、製品の価格に加え輸出国→輸入国への輸送量、保険料などが込み(タームによる)の請求金額が記載されたインボイスを提示して申告することとなります。 通関用のインボイスが誤ってConsigneeの手に渡ってしまえば、仲介業者からの請求金額との差額で、仲介業者がどのくらいマージンを乗せているのか判明してしまうことになります。 これは仲介業者と輸入者との信頼問題に繋がるので、フォワーダーにとってもインボイスの取り扱いは特に注意が必要となるのです。 3国間貿易の例 ここから例を上げて説明をしていきます。日本の会社とアメリカ会社がタイ産のマンゴーの取引をすることになりました。アメリカの会社にはタイの輸出者は知らせないものとします。 この時に登場するインボイスとB/Lについてご説明します。 ①インボイス(輸出通関) ②スイッチインボイス(輸入通関) ③最初のB/L ④スイッチB/L スイッチインボイスの使用 【①輸出通関に使うインボイス】 ※輸入者に送ってはいけない ・Seller:輸出者 - タイ ・Buyer:輸入者 - アメリカ ・Notify:仲介業者(Bill To) - 日本 【②輸入通関用のインボイス(スイッチインボイス)】 ・Seller: 仲介業者 - 日本 ・Buyer: 輸入者 - アメリカ スイッチインボイスは輸出通関用とは別で作成され仲介業者と輸入者の商取引の請求書として使われ、輸入通関にも使われます。 スイッチB/Lの使用 またB/Lも仲介国でスイッチB/Lに切り替えることで、輸入者に輸出者(仕入れ先)を知られずに輸送することができます。 スイッチB/Lでは輸出者の社名に代わって、仲介業者の社名を記載するということが可能になるのです。 スイッチB/Lの流れ ではスイッチB/Lの仕組みをもう少し詳しく見ていきましょう。スイッチB/Lでは、仲介業者の第3国のフォワーダーがB/Lを発行し、Consignee送付用として切り替えを行います。 この場合仕向け地はそのまま輸出国→輸入国となり、製品の輸送もそのまま直で行われますが、B/L上の表記は異なります。 ③【最初のB/L】輸出者→仲介業者へ送付 Shipper:輸出者 - タイ Consignee:仲介業者 - 日本 ④【スイッチB/L】仲介業者→輸入者へ送付 Shipper:仲介業者 - 日本 Consignee:輸入者 - アメリカ 上記のように3国間貿易の中で2種類のB/Lが発行されることとなります。 ④輸入者へ渡るB/L(スイッチB/L)には、Shipperとして仲介業者が記載されることになるので、輸出者(仕入れ先)が判明することはありません。 3国間貿易での原産地証明書 EPA(経済連携協定)を結んでいる国同士の貿易であれば、輸出国で原産地証明書を取得し 輸入国で提示をすると関税が優遇されます。 3国間貿易の場合でも、輸出国と輸入国がEPAを結んでいれば間に業者が入っていても適用は可能となります。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/certificate-of-origin/?lang=ja" target="_blank"] その場合、輸出国の特定原産地証明書が必要となります。多くは、第3国発行のインボイス番号の記載が必要となっています。 第3国から仲介業者→輸入者へ送付されたインボイス(スイッチインボイス)の番号で、輸入される製品との一致を取るのです。 また、スイッチB/Lで輸出者(仕入れ先)を隠していても、原産国と輸出者(製造元)が原産地証明書で記載されることとなってしまうので、原産地証明書を申請する場合は輸出者への確認を事前に行うようにしましょう。 原産地証明書で輸出元が判明してしまうリスクを双方が認知していないと、トラブルを生むことになってしまいます。 まとめ 3国間貿易は主に経済的なメリットが強く活用されている機会が多いものですが、実務上書類の取り扱いに注意が必要です。 書類送付ミスで情報漏えいとなった場合、輸出者と仲介業者が 客先(輸入者)からの信用を失ってしまいかねません。 3国間貿易を進める場合は、各関係者と綿密なコミュニケーション、確認を取りながら進めていくようにしていきましょう。

危険品の輸送について解説!SDSの確認点・危険品クラス・UN番号などを理解して海上・航空輸送をスムーズに手配しましょう。 | 輸送・ロジスティクス

危険品の輸送について解説!SDSの確認点・危険品クラス・UN番号などを理解して海上・航空輸送をスムーズに手配しましょう。

「危険品の輸送」と聞いてどのようなことをイメージされるでしょうか? 危険なものを運ぶの? そもそも運べるの? 実は危険品にはいろんな種類があって身近な製品に使われているのも危険品だったりします。 一般的に危険品といって思いつくものは人によって違うと思います。爆薬やライターなどを思いつくかもしれません。それらももちろん危険品なのですが、今回は国際輸送上で危険品と扱われる物はどんなものか見ていきましょう。 危険品の輸送を動画で解説 危険品について まず私が取り扱った危険品を思い返してみました。 車のエンジン、車のバッテリー、エンジンオイル、接着剤、ドライアイス、圧力タンク、ノートパソコン(リチウムイオン電池)、スプレー缶、バーベキュー用木炭、塗料など これらを見て意外な物は含まれていませんか? まず大事なことは初めて輸送する貨物が危険品に該当する物ではないかと疑ってみることがです。 もし危険品を通常貨物として輸送してしまうと、航空機や船の運航に影響をあたえたりトラブルがなくても罰金が科せられることもあります。例えば米国では最高27,000ドルの罰金とされています。 もしかしたら危険品かもしれないと思った場合は、フォワーダーに確認してみましょう。 UN番号と危険品クラス 危険品を国際輸送する場合は国際的に決められた規則があります。 国連で「危険品輸送にする勧告」(通称オレンジブック)で定められたルールにのっとって輸送します。 危険品にはすべて国連番号(United Nation Number)という番号が付けられており通称でUN番号・UNナンバーと呼ばれております。 それらを危険度別に1から9までのクラスに分類しています。 危険品のクラス 1. 火薬類: 花火、発煙筒など 2. 高圧ガス: 燃料ガスボンベ、消化器、スプレー缶など 3. 引火性液体類:ガソリン、灯油、塗料など 4. 可燃性物質類:活性炭、マッチ、硫黄など 5. 酸化性物質:漂白剤、過酸化ソーダなど 6. 毒物類:殺虫剤、農薬など 7. 放射性物質類:核燃料物資など 8. 腐食性物質:蓄電池、水銀、硫酸など 9. 有害性物質:リチウム電池、ドライアイス、磁石など こういったものが危険品とされるのです。 危険品は船会社や航空会社それぞれ載せられるものが決まっており、載せられるものでも量が決まっています。しかも それぞれの会社によって規定が違うのです。 そのため事前に船積みできるかどうか確認しなければなりません。 一般的に航空会社は船会社よりも厳しい規定を適用しています。UN番号で問い合わせすれば、積載できるかどうかを教えてもらえます。 このように覚えておきましょう。 危険品を取り扱う時の事前準備 危険品を実際扱うとなると、船会社、ヤード、港湾、通関業者すべてにSDSを送付し、コンテナ危険品明細書(通称赤紙)などを事前に提出します。そして貨物を安全に取り扱うための指示をだします。 その他にも貨物へ貼るラベル、ケースマーク、包装容器の種類など細かい規定がいろいろあります。また、その輸出入地それぞれの国の危険品の規制があります。運送上の経由地である積み替え港でも適用されることがあります。 そのため現地にもSDSを送り事前に連絡しておく方が後々のトラブルになるのを防げます。 SDSとは? そのUN番号、9つのクラスはどうやって知ることができるのでしょうか。SDSという書類にのっています。SDS(Safety Data Sheet)は安全データーシートというもので、化学物質が含まれる製品に発行されるものです。 以前はMSDSという名称でしたので、現在では両方使われています。SDSは化学物質のメーカーや製造者が発行し使用者に渡されるものです。国際物流では必要になる書類なので必ず取り寄せなければいけません。 どこで入手するのか SDSは製造者やメーカーのホームページでダウンロードできたり、電話やメールで問い合わせすればすぐに送ってもらえます。英文のものが必要です。一部、中国に輸出する場合は中国語が必要になる場合があります。 SDSの記載事項 SDSに記載されていることは、製品の取扱方法からもし漏れたときの対処方法や有害性の情報などがのっており16項目に分かれてます。 9項の危険品情報では引火点が書いてあります。航空貨物でも海上貨物でも必要な情報です。14項の輸送上の注意の欄では、日本の消防法などの分類と国際規制について書かれています。 そこには先ほど出てきた積載できるか確認するための番号UN番号と9つのクラス等が書かれています。 危険品の通関ついて 危険品の通関で気をつけることは危険品はフリータイム(貨物が無償で保管できる期間)がとても短いため、通関を急ぐ必要があるということです。 また危険品はもし通関にトラブルがあり許可が遅れてしまうとスケジュールが大幅に遅れてしまうだけでなく、デマレージの金額が跳ね上がってしまいます。 早めに準備をしてSDSの内容をきちんと確認して通関準備には時間をかけましょう。 危険品の国内輸送について 輸送時、保管時に気をつけることは、国際輸送するからといってオレンジブックに定められた国際規定だけを気にしてはいけないと言うことです。 日本の国内に貨物がある場合は、日本の毒劇物取扱法、消防法、高圧ガス保安法などの規定に準じた取扱をしなければなりません。 例えば通常のコンテナヤードには一時保管はできるものの、長い保管はできない為その危険物を取り扱うことができる倉庫に保管しなければなりません。 その保管倉庫では消防法が適用されます。トラックで輸送する場合は毒マークをつけたりもします。 まとめ 危険物を安全に輸送するためには、いろいろな規定があることがわかっていただけましたでしょうか。なかなか普段から危険品を扱っていないと、危険品を輸送するのは大変です。 危険品を輸出入するためには、危険品への知識をもったフォワーダーに依頼し、専門の業者と協力して取り扱うことをおすすめします。

特定原産地証明書の取得方法について解説しました!EPAに使われる原産地証明の申請・発行のタイミングなど。 | 輸送・ロジスティクス

特定原産地証明書の取得方法について解説しました!EPAに使われる原産地証明の申請・発行のタイミングなど。

貿易での商取引で意識することの1つに関税があります。これにより製品の代金が関税により上がってしまい、輸入後に価格面での競争力がなくなってしまいます。 それを避けるために特定原産地証明書を使うのですが、これにより協定を結んでいる国同士であれば特恵税率という関税が無税・減税というメリットあります。 今回はこの特定原産地証明書の取得方法する方法について解説したいと思います。 関連するブログへのリンクを貼っておきますのでご一読いただければ理解がより深まると思います。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/epa/?lang=ja" target="_blank"] [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/certificate-of-origin/?lang=ja" target="_blank"] [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/normal-co/?lang=ja" target="_blank"] 一般の原産地証明書と特定原産地証明書の違い まずは原産地証明書の違いについてお話したいと思います。一般に原産地証明書といわれるものは貨物の原産地を証明するためのもので、輸入国の法律や規則に基づく要請や契約や信用状で指定がある場合に提出します。 一方、今回のテーマである特定原産地証明書は日本が締約する「EPA経済連携協定」に基づくものです。協定によって決められた特恵関税の適用を目的としているものです。 各地の商工会議所ではありません。ここが違うポイントとして重要なところです。 発給機関の違い ・一般の原産地証明書:各地の商工会議所 ・特定原産地証明書:日本商工会議所 各地の商工会議所と、日本商工会議所 発行機関が「各地の商工会議所」か「日本商工会議所」か、字面で見ると大して違いが無いように思えてきますが実際は全く異なる機関です。 もし一般の原産地証明書の取得のために各地の商工会議所で貿易登録をしていたとしても、特定原産地証明書を取得するためには改めて日本商工会議所にも貿易登録をしなければなりません。 例えば日本商工会議所の名古屋事務所が名古屋商工会議所の中にあるように両者の距離感が近いので勘違いされやすいのですが、日本商工会議所への貿易登録が済んでいなければ発行は決して叶いません。 特定原産地証明書の取得が必要となりそうな場合には必ず事前に貿易登録をしておくように忘れないでください。 EPAの規定などを確認する 日本商工会議所への貿易登録を済ませ、輸出しようとする産品のEPA税率の有無と税率を確認しします。そして、それぞれのEPAに定められる原産地規則に基づいた原産資格があることをちゃんと確認できたら日本商工会議所に判定審査を依頼します。 ちなみにこのように、「産品がそれぞれEPAに定められる原産地規則等を満たしている」とその産品は特定原産品と呼ばれます。 申請は窓口ではなくインターネットで 原産品の判定を依頼するためにはオンラインの専用システム「特定原産地証明書発給システム」から「原産品判定依頼書」を入力し日本商工会議所に提出をします。 特定原産地証明書関連の申請は一般の原産地証明書とは違って、窓口申請ではなくインターネットでの申請ができるのです!これはとても便利ですね。 日本商工会議所が原産品判定に関して必要な情報を受理してから原産品判定番号を付与するまでの期間は、原則3営業日かかります。なるべく早く済ませるようにしましょう。 特定原産地証明書の取得 ここまで完了しましたら後は輸出する産品に対する特定原産地証明書を取得します。こちらも原産品判定の依頼と同様オンラインシステムから申請可能です。 日本商工会議所が証明書発給に必要な情報を受理してから審査結果を通知するまでの期間は、原則2営業日かかります。 何かと日にちのかかる申請ですので余裕をもって準備してください。 発給手数料 発給時には交付と引き換えに発給手数料を納付する必要があります。基本料は申請1件につき2,000円、加算額は1品あたり500円です。 原産品判定番号の使用が20回を超えると21回目から50円になります。 ★特定原産地証明書の発給手数料 ・2,500円(1回目~20回目) ・2,050円(21回目以降) 発給審査が完了しますとシステムから発給申請一覧で発給手数料を確認することができます。 納付方法 発給手数料は原則、発給事務所の窓口で交付と引き換えに納付します。こちらはチケット制ではなく現金で支払うことができます。事務所が遠い場合は銀行振り込みも認められていますし、月当たりの件数か金額が多い場合は後日振り込み払いとすることもできます。 ご自分の都合に合わせて確認してみて下さい。 特定原産地証明書の受け取り 原則通り手数料を窓口で現金払いする場合にはシステムから「引換書・受領書」を印刷し、窓口へ出向いて引換書の提出とともに現金で納付すれば完了です。 発給申請は輸出者しかできませんが引換は代理でも問題ありません。 多少の手数料が取られるとは思いますがわざわざ足を運ぶ手間が減りますし、そのまま現地への発送も依頼してしまえばより楽かつタイムリーな手配になります。 申請のタイミング 申請は船積みが確定してから船積みまでが原則とされています。船積みが確定というのは曖昧な表現ですがおススメはBLの内容を確認してからです。 というのも、原産地証明書にはBL番号を入力することこそありませんが船積み地や便名などの情報も入力しなければならないからです。 特定原産地証明書の取得には例外もあり ここでざっとお話しましたことは特定原産地証明書の一般的な流れです。実際は協定ごとに異なる原産地規則がありますのでそれぞれの協定に基づく形で発給されます。 例えば、日シンガポール協定に基づく特定原産地証明書のうち、ビール等4品目に対する証明書に限り一般の原産地証明書と同じように各地の商工会議所で発行されます。 また日オーストラリア協定は自己申告制度が導入されていますので、輸出者、生産者さらには輸入者が原産品申告書を作成することが可能です。原産品申告書は税関様式に則ったフォームであれば問題ないので、この場合は特定原産地証明書を取得する必要がありません。 代わりに原産品明細書が必要だったり事前教示が勧められたりしていますので、一概にどちらが楽と言えるものではなさそうですが輸出者輸入者の双方にとってメリットのある方法を選ぶことができます。 まとめ 特定原産地証明書の取得の流れにつきましてご理解いただけましたでしょうか。 EPA自体、この数年で始まったものですので、これからまた規則が変わることは十分に予想されます。特定原産地証明書の取得が必要な方はいつも最新の情報をチェックしておくようにされると良いでしょう。