
2020.02.15
インコタームズを図解!とにかく分かり易く貿易条件を解説しました。
貿易用語で最初の関門とは何でしょうか。私はインコタームズだと思います。CFRやEXWなど英単語3文字で表現されるインコタームズは何と11種類もあります。 でもご安心ください。ぶっちゃけフォワーダー歴8年の筆者も11種類のインコタームズを覚えていません。でも何とかなっております。 もしあなたが貿易業務を始めることになり、「まず最初にインコタームズを覚えなさい!」と先輩に言われたとしても11個全てを覚える必要はありません。 覚えるのは頻繁に貿易業務に出てくる6個だけで大丈夫です。もし他のも覚えたければこの基本の6個を理解してから拡張していくのが良いでしょう。 今回はとにかく分かり易くインコタームズについて解説していきます。 インコタームズとは? インコタームズを図解する前に、そもそもコレって何のために使うものなのかをご説明します。 インコタームズとは貿易取引において 「売り手」と「買い手」で ・誰がどこから運賃を支払うのか ・誰がどこから貨物の責任を取るのか という国際的な取り決めだとざっくり理解しましょう。この2点を取り敢えず理解すればOKです。 貿易においては様々な工程を経て貨物が届けられます。この各工程においての輸出者と輸入者の双方が、どこからどこまで責任を取るのかを決めなければ貨物トラブルがあった時に責任の所存がハッキリせず貿易取引がより複雑になってしまいます。 インコタームズを図解してみる インコタームズをマスターするコツは、覚えるのではなく理解する事です。今回は理解しやすいように6個のインコタームズを図解して説明をしていきます。 文字だけでなく図を見る事で頭にイメージが入ってき易くなるので、すぐに覚える事が出来ますよ。 EXW/イーエクス・ワークス(出荷工場渡し) 貨物を輸出先の工場から買い手に渡すのがEXWです。イーエクスワークス、またはエクスワークスとも言います。 輸送費用と貨物責任は工場で貨物をトラックやコンテナに積み込んでから、買い手に渡ります。 このように売り手からしたら、工場で商品を生産し終わり、積み込みが完了した時点で貨物責任は買い手に移るわけなので、売り手からしたらとても楽な取引と言えるでしょう。 買い手に荷物が届くまでに何か物流の問題があったとしても売り手の責任にはならないのです。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/about-exw/?lang=ja" target="_blank"] FOB/Free On Board(本船甲板渡し) FOBは輸出側で本船に乗ったら貨物の責任が買い手に渡る取引条件です。 輸出側の国内費用(トラック・通関・港の諸費用)は売り手が負担し、買い手は海上運賃から輸入にかかる諸々の費用を負担します。 EXWでは全ての運賃は買い手負担だったのですが、FOBでは現地の運賃は売り手の負担です。ですがこの運賃は売り手側によって現地の輸送業者に支払われますが、一般的には製品代金に乗っかっています。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/about-fob/?lang=ja" target="_blank"] C&F/Cost&Freight(運賃込み) C&F(CFRとも呼ばれる)では売り手側が、買い手国の港に貨物を着けるまでの費用と責任を負担する取引条件です。万が一、海上輸送中にトラブルが発生した際には買い手側の責任になります。 ※厳密に言えばC&Fではリスクは買い手に移っています。分かりやすくするためにこのように記載しております。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/about-cif/?lang=ja" target="_blank"] 買い手側が保険を掛ける事が出来る CIFでは売り手側が保険をかけるのですが、C&Fで買い手が保険を掛けるのも実は一般的です。貨物の内容によっては保険の掛け方に注意しないといけないものもありますから。 売り手側や買い手側に全てを任せるのではなく自分たちでコントロールする事が大切です。 CIF/Cost, Insurance & Freight(運賃・保険料含む) CIFは上述したC&Fに売り手側が保険(Insurance)を掛けた取引条件です。 保険の掛け方と保険料についてはこちらの記事に記載をしております。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/cargo-insurance/?lang=ja" target="_blank"] DDU/Delivered Duty Unpaid(仕向地持ち込み渡し・関税なし) DDUは売り手が買い手の指定した届け先までの運賃を責任を負担する取引条件です。ですが輸入関税や消費税は買い手の負担となります。 関税・消費税の金額は小さくありませんし、会社のキャッシュフローにも影響します。筆者の経験では次に説明するDDPより、このDDU条件の方が多い印象です。 DDP/Delivered Duty Paid(仕向地持ち込み渡し・関税含む) DDPは売り手が貨物の運賃と責任を全て負担する取引条件です。輸入関税・消費税も売り手が負担します。 輸送中に問題があっても売り手が負担するし、税金も払わなくても良いので、買い手にとっては最も楽な取引条件ですね。 とはいえ売り手が全てを負担するとは言っても、大体が製品費用に乗っかっています。この場合、売り手は運賃をそのままの金額を乗せている訳ではなくて、いくらかの利益を乗せて買い手に費用算出をしている場合があります。 買い手側としてはもしコストを出来だけ抑えたいというのであれば、手間ではありますが物流は自分たちで手配する方がよりコントロールも出来るし製品に余計な金額が付加される事はありません。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/ddu-ddp/?lang=ja" target="_blank"] まとめ インコタームズで頻繁に使われるのがこの6つとなります。全ての取引条件において売り手と買い手の同意がベースにあります。 もし始めて輸入する国という場合はFOBやC&F/CIFの方がいいかもしれません。 輸出の場合はC&F/CIFの方がおすすめです。 現地の国内の輸送費用を把握するのは取引のあるフォワーダーの得意不得意にもよります。そのフォワーダーがあまりその国から輸出入経験が少ないとなると現地側に任せる方が良い場合が多いのです。 全てケースバイケースなのですが、それぞれの取引条件の特徴を理解してスムーズな貿易取引が出来るように今回ご紹介した6つのインコタームズを覚えてみて下さい。 企業様の貿易・新人研修にお勧めの無料コンテンツ