【2024年問題】物流クライシスを乗り越える!AI・ロボット導入で生産性15%向上、不在配送9割減を実現した省人化事例

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深刻化する物流クライシスを「テック」で乗り越える!AIとロボティクスによる省人化先進事例

今回は、物流業界でAIとロボティクスを活用し、省人化、すなわち人員体制の最適化に成功している大手企業の先進事例についてお伝えします。

昨年から適用が開始されたドライバーの労働時間規制、いわゆる2024年問題によって、物流業界はかつてないほどの人材不足に直面しており、現場での労働力確保が困難な一方、従来の対策を超えた抜本的な対策が求められています。

倉庫オペレーションの変革:ロボット技術による生産性向上

労働集約型であった倉庫業務において、ロボット技術の導入が加速しています。

ダイキン工業:AGV導入で搬送業務を無人化

空調大手であるダイキン工業の事例では、工場および物流拠点においてAGV(無人搬送車)の導入を推進しました。これにより、これまで作業員が手動で行っていた重量部品の搬送業務を全面的に自動化しました。この導入効果は顕著で、以下の成果が報告されています。

  • 搬送業務の無人化による人件費削減
  • 全工程全体で生産性が15%向上

単純作業をロボットに代替させることで、人的資源をより付加価値の高い業務に集中させるという、まさに省人化のモデルケースと言えます。

日本通運(日通):AMRでピッキングルートを最適化

次に、大手である日本通運(日通)の取り組みです。同社の物流センターでは、ラピタロボティクス社製のAMR(自律移動ロボット)が採用されています。このAMRは高度なAIによる自律制御を特徴とし、倉庫内の適切なピッキングルートを瞬時に算出して作業員を先導します。

これにより、作業員の移動時間が大幅に削減されただけでなく、経験の浅いスタッフでも熟練者と同等の効率で業務が可能となりました。

この技術による業務標準化が、人材不足解消の鍵となっています。

配送分野のDX:ビッグデータとAI解析が競争力の源泉

配送分野におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)も進んでいます。ここではビッグデータとAI解析が競争力の源泉です。

ヤマト運輸など:AIによる最適な配車計画

宅配大手のヤマト運輸や、アメリカのUPSのようなグローバルな物流企業では、配車計画のAI化が標準となりつつあります。これらの企業が導入する最新システムは、以下の膨大なデータを解析します。

  • 過去の配送実績
  • リアルタイムの交通渋滞情報
  • 気象条件
  • 物量

AIが導き出した最適な配送ルートに基づいて業務を行うことで、車両の走行距離を5%以上削減することができ、コスト削減だけでなく、$\text{CO}_2$排出量削減の面でも優れています。

ラストワンマイルの課題解消:不在配送率9割減の衝撃

さらに、ラストワンマイルの課題である不在配達の解消に向けた実証実験も行われています。東京大学が導入したプロジェクトでは、AIを導入した配送時間の最適化が検証されました。この手法では、個人のプライバシーに配慮しつつ、電力使用データなどのライフログから在宅確率を予測し、最適な配送日時を提案します。この実証実験の結果、一時的ではありますが、不在配送率が約9割減したという驚くべきデータが得られています。再配達問題の解消に向けて、AIの予測技術の実用化に期待が寄せられています。

まとめ:テクノロジーを駆使した装置産業への転換期

これらのダイキン、日通、ヤマトなどの各社の事例から見えてくるのは、物流が労働集約型からテクノロジーを駆使した装置産業へと転換期を迎えているということです。人手不足という危機を背景に、AIやロボティクスへの投資が加速しており、その結果として、生産性の高い持続可能な物流網の構築が進められています。今後も企業の競争力は、単なる輸送力だけでなく、このDX化が非常に重要な要素となるでしょう。

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