【2026年】タイ、少額貨物の関税免除を完全撤廃へ。世界で加速する「越境EC包囲網」と物流への影響

【2026年】タイ、少額貨物の関税免除を完全撤廃へ。世界で加速する「越境EC包囲網」と物流への影響 | 物流ニュース・物流ラジオ

本日は、1月9日の海事新聞の記事をもとに、タイ関税局による少額貨物の関税免除廃止と、そこから見えてくる世界的な越境EC規制強化の流れについて解説していきます。

2026年1月から、タイでは「1バーツの商品であっても課税対象」となる制度変更が実施される予定で、越境ECと物流のビジネスモデルに大きな影響を与える内容となっています。

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タイ関税局が発表した「少額貨物免税」の完全撤廃

タイ関税局は、2026年1月1日から、輸入申告価格が1,500バーツ以下の少額貨物に対する関税免除を廃止すると発表しました。

これまでタイでは、1,500バーツ以下の輸入品については関税およびVATが免除されていましたが、今後はたとえ1バーツの商品であっても、すべて課税対象となります。

物流業界、とりわけ越境ECを扱う事業者にとっては、コスト構造と通関フローの両面で無視できない制度変更です。

なぜ今、ここまで踏み込んだのか

今回の制度変更の背景にあるのは、国内産業の保護と競争条件の是正です。

Shopee、Lazada、TikTok Shopなどを通じて、中国からの低価格商品が大量に流入する中、多くの貨物が少額免税の枠内で輸入されてきました。

その結果、正規に税金を納めているタイ国内の製造業者や小売業者が、価格競争で不利な立場に追い込まれていたのです。

タイ工業連盟などの産業団体も、こうした状況に対して強い懸念を示し、政府に対策を求めてきました。

今回の決定は、こうした国内産業からの圧力に応える形と見るのが自然でしょう。

世界で進む「デミニミス見直し」の流れ

この動きは、タイだけに限った話ではありません。

現在、世界各国で少額貨物の免税制度(デミニミス)の見直しが急速に進んでいます。

  • アメリカでは、800ドル以下の免税措置を巡り、中国発貨物を中心に厳格化の議論が進行中
  • EUでは、すでにVAT免税を廃止し、関税免除も2026年を目標に撤廃予定
  • 日本でも、1万円以下の免税制度について見直し検討が進められています

つまり今回のタイの決定は、世界的な課税公平化・越境EC規制強化の流れの一環と捉えるべき動きです。

物流とサプライチェーンへの影響

まず影響が出るのは、通関オペレーションです。

これまで簡易処理されていた大量の小口貨物が、すべて課税・申告対象となることで、通関処理の負荷は確実に増加します。

通関遅延や手続きコストの上昇は、越境ECの即時性という強みを削ぐ要因になりかねません。

また、関税とVATが加わることで、中国から1点ずつ直送するモデルの価格優位性は低下します。

その結果、現地倉庫に在庫を持つB2B2C型モデルへのシフトや、一般貿易での輸入増加が進む可能性があります。

2026年に向けて企業が取るべき視点

今回の制度変更は、「越境ECが終わる」という話ではありません。

しかし、免税を前提にしたビジネスモデルは確実に通用しなくなるという転換点ではあります。

タイ向けにビジネスを展開する企業や物流事業者は、通関フローの再設計コスト構造の見直し在庫配置戦略の再検討を、2026年を待たずに進めておく必要があるでしょう。

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