投稿日:2026.01.15 最終更新日:2026.01.20
【2026年の北米向け海上輸送】春節前の駆け込み需要でスポット運賃が急騰。今後の市況はどうなる?
本日は、2026年の北米向け海上輸送を取り巻く足元の市況について、春節前の駆け込み需要で急騰しているスポット運賃の背景と、今後の見通しを詳しく解説していきます。
一見すると久々の強気相場に見える今回の運賃上昇ですが、その実態は一時的な季節要因なのか、それとも本格回復の兆しか。
数字と現場の声をもとに整理していきましょう。
飯野 慎哉(株式会社HPS CONNECT 代表取締役社長)
2016年にHPS Trade Co., Ltdを設立し、経営者として企業の物流課題を解決。 自身の経験を基に物流ノウハウを発信するYouTubeチャンネル「イーノさん」は登録者11万人を突破。 セミナーや講演、ブログを通して物流情報やグローバルでの仕事・挑戦・苦悩を発信。アジア・東南アジアに事業拡大中!
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北米向けスポット運賃が4週間で40%超の急騰
まずは、足元の数字を確認します。
S&P Global傘下のPlattsのデータによると、1月8日時点における北アジア発・北米西海岸向けのスポット運賃は、4週間前の12月中旬と比較して約42%上昇し、40フィートコンテナあたり2,175ドルまで急騰しました。
同様に北米東海岸向けも33%上昇し、3,175ドルを記録しています。
また、Drewryが公表する世界コンテナ運賃指数(WCI)でも、上海発ロサンゼルス向けの運賃は3,000ドル台に回復しており、北米向け全体で明確な底上げが確認できます。
短期間でこれだけの上昇率が出るのは、2025年後半以降では極めて珍しい動きです。
最大の要因は春節前の駆け込み需要
では、なぜ今このタイミングで運賃が急騰しているのでしょうか。
最大の要因は春節前の駆け込み需要です。
2026年の春節は2月17日と、例年よりやや遅めの時期に設定されています。
中国の工場が長期休暇に入る前に出荷を前倒しする動きが1月に入って本格化しており、北米向けの船腹が一気にタイト化しています。
- 中国工場の長期休暇前の前倒し出荷
- 北米小売向けの最低限の在庫補充
- 春節後の物流停滞を避けたい心理
ロサンゼルス・ロングビーチ港の予測でも、1月上旬から中旬にかけて輸入量がピークを迎え、週あたり21万〜22万TEUという高水準が見込まれています。
船会社の供給調整が運賃上昇を後押し
もう一つ重要なのが船会社側の供給調整です。
2025年秋以降、荷動きが落ち着く中で、船会社各社はブランク・セーリングを積極的に実施してきました。
これは単なる減便ではなく、運賃の暴落を防ぐための戦略的な供給管理です。
需要増と供給抑制が同時に起きたことで、スポット運賃が一気に跳ね上がる構図となっています。
2026年の構造は依然として供給過剰
ただし、ここで視点を少し引いてみる必要があります。
DHLや複数の物流メディアによると、2026年の世界のコンテナ船隊の供給能力は前年比4〜5%増と予測されています。
一方で、世界全体のコンテナ需要の伸びは約3%にとどまる見通しです。
つまり構造的には、供給が需要を上回る状態が続くことになります。
現在の運賃上昇は、ファンダメンタルズの改善というより、季節要因と供給調整が重なった結果と捉えるのが現実的です。
春節後の反動と長期契約交渉が最大の焦点
今後の市況を見るうえでのポイントは次の二点です。
- 春節明けの反動による荷動き減少
- 2026〜27年サービスコントラクト交渉
春節後の2月後半以降は、例年通り閑散期に入るため、運賃が再び下落基調に戻る可能性があります。
一方で船会社は、現在の高いスポット運賃を材料に、長期契約運賃の引き上げを狙っています。
しかし荷主側も船腹余剰の現実を理解しており、交渉は引き続き荷主優位で進む可能性が高いでしょう。
まとめ
今回の北米向け運賃上昇は、春節前需要と供給調整が重なった短期的な強含みです。
2026年全体で見れば供給過剰感は根強く、春節後の反動と長期契約交渉が市況の分かれ目になります。
目先のスポット運賃だけに惑わされず、在庫動向や船会社の供給戦略を冷静に見極めていくことが重要です。
本日は以上です。どうもありがとうございました。
