投稿日:2026.01.26 最終更新日:2026.01.26
土日・夜間は荷役しません!日本港湾で広がる不稼働の波と抜港リスク
日本の港湾で、これまで「当たり前」とされてきた24時間稼働体制が、静かに崩れ始めています。
特に地方港を中心に、人手不足を理由として土日や夜間の荷役作業をあえて止める 動きが全国規模で広がっています。
これは一時的な対応ではなく、日本の港湾物流の構造そのものが転換点に差し掛かっていることを示しています。
飯野 慎哉(株式会社HPS CONNECT 代表取締役社長)
2016年にHPS Trade Co., Ltdを設立し、経営者として企業の物流課題を解決。 自身の経験を基に物流ノウハウを発信するYouTubeチャンネル「イーノさん」は登録者11万人を突破。 セミナーや講演、ブログを通して物流情報やグローバルでの仕事・挑戦・苦悩を発信。アジア・東南アジアに事業拡大中!
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全国に広がる「港が止まる」現実
現在、日本各地の港で以下のような対応が進んでいます。
- 博多港では深夜帯の荷役不稼働を試験的に導入
- 北九州港 太刀浦地区では日曜荷役休止と土曜ゲートクローズを実施
- 苫小牧港ではRTG稼働数を減らし同時荷役能力を縮小
- 小樽港では土曜日のコンテナヤードを終日クローズ
九州から北海道まで、地域を問わず「稼働時間を削る」という判断が連鎖しています。
港が動かないのではなく、人を守るために動かさないという判断です。
背景① 人手不足と働き方改革の板挟み
最大の要因は、慢性的な港湾労働者不足です。
少子高齢化により担い手は減少し、これまで残業で支えてきた現場も、働き方改革による時間外労働規制で限界を迎えています。
「人がいないなら無理をしない」 という判断は、もはや避けられない現実です。
背景② 船の大型化と遅延の連鎖
コンテナ船の大型化により、一度の寄港で扱う貨物量は急増しました。
さらに海外港の混雑や天候不順で遅延した船が一気に到着することで、限られた時間帯に業務が集中します。
結果として、人員と処理能力のミスマッチ が慢性化しています。
背景③ 若年層確保のための苦渋の選択
夜間や休日勤務が多い職場は、若年層から敬遠されやすくなっています。
港運事業者にとって、稼働時間の制限は離職防止と採用強化のための現実的な選択肢です。
最大の懸念 日本パッシング
最大のリスクは、船会社による 日本港の抜港 です。
利便性が低いと判断されれば、釜山港や中国港湾へのシフトが進む可能性があります。
一度失った寄港地の地位を取り戻すのは容易ではありません。
港を止める判断は、生き残るための賭けでもあります。
今後の二極化シナリオ
今後、日本の港湾は次の二極化が進むと考えられます。
- 地方港は稼働時間を絞りDXと省人化で生産性を高める
- 主要港は24時間体制維持を目指すが自動化投資が鍵
日本の港湾物流は「いつでも動く」時代から「計画的に動かす」時代へ移行しています。
荷主側も前提条件を見直し、余裕あるサプライチェーン設計が求められます。
