投稿日:2026.01.28 最終更新日:2026.01.28
【物流DX】海コン陸送に特化した新マッチングサービスが登場。多重下請け構造の解消と「2024年問題」への新たな一手となるか?
日本の港湾物流、とくに海上コンテナの陸送を巡る構造的な課題に対して、ひとつ注目すべき新サービスが登場しました。
本日は、1月27日の海事プレスで報じられた「海コン陸送マッチングを開始。ロジテクノサービス/Xグラビティ」というニュースをもとに、物流DXの観点からその意味と可能性を読み解いていきます。
飯野 慎哉(株式会社HPS CONNECT 代表取締役社長)
2016年にHPS Trade Co., Ltdを設立し、経営者として企業の物流課題を解決。 自身の経験を基に物流ノウハウを発信するYouTubeチャンネル「イーノさん」は登録者11万人を突破。 セミナーや講演、ブログを通して物流情報やグローバルでの仕事・挑戦・苦悩を発信。アジア・東南アジアに事業拡大中!
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新サービス「海コンマッチング」とは何か
今回発表されたのは、荷主・フォワーダーとドレージ会社を直接つなぐ海上コンテナ輸送に特化したマッチングプラットフォームです。
開発したのはロジテクノサービスとXグラビティの2社で、2026年2月から本格展開が予定されています。
仕組みは非常にシンプルです。
- 荷主やフォワーダーが、輸送したいコンテナ案件を登録します。
- ドレージ会社が、対応可能な日程や空車情報を登録します。
- 条件が合致した場合にマッチングが成立します。
ここで最大の特徴となるのが、マッチング成立まで両者が匿名であるという点です。
条件が合致し、実際に取引が成立する段階で初めて会社名が開示され、その後はプラットフォームを介さずに直接交渉へ移行する設計になっています。
利用料金は1アカウントあたり月額6,600円で、初期費用は無料です。
さらに、2月中の登録であれば3か月間無料というキャンペーンも予定されています。
なぜ今、このサービスが必要とされているのか
このサービスが登場した背景には、日本の海コン陸送を取り巻く二つの深刻な構造問題があります。
① ドライバー不足と「2024年問題」
まず一つ目は、慢性的なドライバー不足です。
これに加えて、時間外労働の上限規制、いわゆる「2024年問題」が本格的に影響し始めています。
長距離輸送や無理なスケジュールが組めなくなり、ドレージの供給力そのものが低下しています。
さらに、本船スケジュールの遅延や港湾混雑が常態化していることで、直前の再配車が極めて難しくなっています。
② 多重下請け構造による利益圧迫
もう一つの問題が、日本の運送業界に根深く残る多重下請け構造です。
元請けから二次、三次へと仕事が流れる中で、実際に走るドレージ会社の取り分は年々圧縮されています。
記事でも触れられていますが、「もらい仕事」だけでは利益が残らないという声は現場で非常に多く聞かれます。
一方で、中小のドレージ会社が自力で荷主を開拓するには、営業リソースや情報が不足しているのが実情です。
「匿名性」という日本的課題への解答
このサービスで特に興味深いのが、匿名性を前提に設計されている点です。
既存の協力会社との関係を考えると、「他社を探している」と表立って動くことは、日本の商習慣では心理的ハードルが高いのが現実です。
匿名であれば、しがらみを気にせず、条件だけでフェアに取引先を探すことができます。
これは、単なるITサービスではなく、現場の空気を理解した実務設計だと言えるでしょう。
匿名で需給を可視化し、成立後は直接取引へ移行するという設計は、多重下請け構造を崩すための現実的なアプローチです。
将来像:コンテナ・ラウンドユースへの可能性
記事によると、将来的には輸出と輸入のコンテナをマッチングする機能も視野に入れているとのことです。
これは、いわゆるコンテナのラウンドユースを促進する仕組みにつながります。
輸入後に空で返却されているコンテナを、そのまま輸出バンニングに活用できれば、コスト削減とCO₂削減の両立が可能になります。
これまで調整が難しかったこの分野も、データが集積されれば実現性は一気に高まります。
まとめ:DXは「現場の詰まり」を解消できるか
今回の海コンマッチングは、単なる配車効率化ツールではありません。
ドライバー不足、多重下請け、2024年問題という日本物流の構造課題に、DXで正面から切り込む試みです。
このサービスがどこまで広がるかは、登録企業数と実利用の積み重ねにかかっています。
ドレージ不足というピンチを、構造改革のチャンスに変えられるのか。
今後の展開を、継続的に追っていきたいと思います。
