投稿日:2026.01.30 最終更新日:2026.01.30
世界は自動化、日本は足踏み。港湾DXが進まない本当の理由
世界では港湾の自動化が急速に進んでいます。
一方で、日本の港湾はその流れから大きく遅れつつあるのが現実です。
本日は海事プレスの特集記事をもとに、世界で進む港湾自動化の実態と、日本が抱える構造的な課題について整理していきます。
飯野 慎哉(株式会社HPS CONNECT 代表取締役社長)
2016年にHPS Trade Co., Ltdを設立し、経営者として企業の物流課題を解決。 自身の経験を基に物流ノウハウを発信するYouTubeチャンネル「イーノさん」は登録者11万人を突破。 セミナーや講演、ブログを通して物流情報やグローバルでの仕事・挑戦・苦悩を発信。アジア・東南アジアに事業拡大中!
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世界では港湾自動化がスタンダードになりつつある
まず、世界の現状を確認しましょう。
国土交通省のデータによると、2023年時点で世界のコンテナ取扱量上位20港のうち17港で、すでに自動化技術が導入されています。
特に新設されるターミナルでは、自動化を前提とした設計が当たり前になっています。
なぜ世界は自動化を選ぶのか
理由は大きく二つあります。
一つ目は安定稼働です。
自動化されたクレーンや搬送設備は、24時間365日、休まずに稼働できます。
人間のように疲労やシフト制約がなく、一定の生産性を維持し続けられる点は、サプライチェーン管理において極めて重要です。
二つ目は労働環境の改善です。
港湾作業は酷暑や極寒といった過酷な環境下で行われます。
遠隔操作を導入すれば、作業員は空調の効いた屋内から安全に作業できます。
これにより、女性や高齢者、現場経験豊富なベテラン人材も働き続けられる環境が整います。
日本で自動化が進まない理由
日本では一部ターミナルで遠隔操作が導入されていますが、完全自動化には至っていません。
背景には三つの大きな壁があります。
- 労働組合との合意形成
- 高騰するコストとROIの問題
- 既存インフラの制約
労組・コスト・インフラという三重苦
港湾自動化は雇用に直結します。
世界では自動化に反対する港湾労組の動きが活発化しており、日本でも慎重な調整が不可欠です。
さらに、日本の港湾労働者は技能水準が非常に高く、自動化しても生産性が劇的に向上しないケースもあります。
結果として、多額の投資をしても回収が難しいという現実があります。
日本港湾が進むべき現実的な道
短期的に日本で完全無人港が一気に広がる可能性は低いでしょう。
しかし、労働人口が減少する中で現状維持は不可能です。
今後は人を置き換える自動化ではなく、人を支える自動化が現実解になります。
技術論以上に重要なのは、コストを誰がどう負担するかという合意形成です。
船社、港湾事業者、荷主を含めたサプライチェーン全体での議論が、日本の物流を止めない鍵になるでしょう。
