LNG船建造能力が絶滅。オールジャパン再生は可能か

LNG船建造能力が絶滅。オールジャパン再生は可能か | 物流ニュース・物流ラジオ

本日は、2月12日付の日経新聞の記事をもとに、日本のエネルギー安全保障と造船業が直面している危機、そしてLNG運搬船建造能力復活の動きについて整理します。

この問題は造船業だけの話ではなく、日本の電力供給の根幹に関わる重大テーマです。

この記事を書いた人
飯野 慎哉(株式会社HPS CONNECT 代表取締役社長)

2016年にHPS Trade Co., Ltdを設立し、経営者として企業の物流課題を解決。 自身の経験を基に物流ノウハウを発信するYouTubeチャンネル「イーノさん」は登録者11万人を突破。 セミナーや講演、ブログを通して物流情報やグローバルでの仕事・挑戦・苦悩を発信。アジア・東南アジアに事業拡大中!

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LNG運搬船の「絶滅」とは何か

記事タイトルにもある「絶滅」という言葉は、日本国内でLNG運搬船を新規建造する能力が事実上失われている現状を指しています。

国内での新規建造実績は2019年が最後で、それ以降は一隻も建造されていません。

問題は単なるドック不足ではありません。

特殊タンクやエンジン、部品メーカーまで含めたサプライチェーンそのものが壊滅し、ノウハウが途切れている状態です。

なぜ今復活が必要なのか

背景にはエネルギー需要の急増地政学リスクがあります。

政府試算では2034年度の電力需要は約8524億キロワット時に達する見込み。

再生可能エネルギーや原子力の遅れもあり、現実的には天然ガス火力への依存が続く構造になっています。

日本は天然ガスの98%を輸入に頼っており、すべてを船で輸送している現実があります。

海外依存のリスク

現在、日本の船主からの発注は中国や韓国の造船所に集中しており、中国向け発注は全体の3〜4割に達しています。

有事の際に海外建造船の引き渡しや整備が止まれば電力供給は揺らぐというリスクがあります。

再生ロードマップの現実

政府は2025年12月に策定した造船再生ロードマップに基づき、3500億円規模の支援を打ち出しました。

2035年までに国内建造量を倍増させる目標を掲げ、2026年春頃にはLNG船復活の結論が出る見込みです。

しかし一度失われた技術と供給網を復活させるには大きなコストが伴います。

コストを誰が負担するのか

韓国や中国は建造量を背景に強いコスト競争力を持っています。

日本で再建する場合、船価は当然上昇します。

  • 電力会社
  • ガス会社
  • 政府支援

このコスト増を誰が負担するのかが最大の論点です。

経済合理性だけでなくエネルギー安全保障という観点で国内回帰が進む可能性があります。

LNG船建造能力の再生は、造船業の問題ではなく、日本の電力を守るための分岐点と言えるでしょう。

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