投稿日:2026.02.13 最終更新日:2026.02.13
CLO元年が始動。物流統括管理者義務化で何が変わるのか
本日は、2月12日に東京ビッグサイトで開幕したロジスティクスソリューションフェア2026を起点に、いよいよ4月に迫ったCLO選任義務化が企業経営に与える影響について整理します。
今回のテーマは展示会のレポートにとどまらず、日本の物流が経営レベルで再設計される転換点に差しかかっていることを示しています。
飯野 慎哉(株式会社HPS CONNECT 代表取締役社長)
2016年にHPS Trade Co., Ltdを設立し、経営者として企業の物流課題を解決。 自身の経験を基に物流ノウハウを発信するYouTubeチャンネル「イーノさん」は登録者11万人を突破。 セミナーや講演、ブログを通して物流情報やグローバルでの仕事・挑戦・苦悩を発信。アジア・東南アジアに事業拡大中!
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LSF2026とCLO元年
LSF2026では「CLO元年」というキーワードが強く掲げられ、改正物流関連法の施行によって特定事業者に物流統括管理者の選任が義務化されるという現実を、改めて業界全体に印象づける場となりました。
制度開始まで残り2か月を切ったこのタイミングでの開催は象徴的であり、多くの企業が自社の対応状況を再確認する契機になっています。
ハードからソフトへの転換
JILSは秋の国際物流総合展をマテハンやロボットなどのハード中心の展示会と位置付ける一方で、今回のLSFを運用設計やマネジメントといったソフト中心の展示会と明確に分けています。
この対比が示すのは、単に設備を導入する段階から、そのリソースをどう活用し、経営戦略の中に組み込むかというフェーズへ物流が移行しているという事実です。
物流は現場改善のテーマから企業価値を左右する経営課題へと進化しています。
想定を上回る対象企業
政府はCLO選任義務の対象を約3200社と想定していましたが、JILSの推計では最大3600社に達する可能性があり、想定以上に広範な企業が対応を迫られることになります。
しかし実態としては、「自社は本当に対象なのか」「CLOは何を担うべきなのか」という疑問を抱えたまま、手探りCLOの状態で制度開始を迎えようとしている企業も少なくありません。
発荷主と着荷主の責任
2024年問題以降もトラックドライバー不足は構造的に続いており、これまでは運賃引き上げやリードタイム延長といった対症療法で対応してきましたが、2026年4月以降はそれを法的義務として経営管理の枠組みに組み込む必要があります。
特に重要なのは発荷主だけでなく着荷主にも責任が求められる点であり、過度な納品指定や細分化された発注ロットの見直しなど、サプライチェーン全体を俯瞰した調整が不可欠になります。
- 個社最適から全体最適への転換
- 共同配送やデータ共有の推進
- KPI管理による実効性の担保
2026年は物流格差の分岐点
LSFのセミナーでもフィジカルインターネットや積載率向上といったテーマが議論されましたが、積載率50%以上や荷待ち時間2時間以内という目標は単独企業の努力だけでは達成困難であり、企業間連携を前提とした枠組みが求められます。
CLOは社内の調整役であると同時に、他社との対話を進める外交官としての役割も担います。
2026年は、CLO制度を形式的なコンプライアンス対応にとどめる企業と、物流を経営戦略として再構築する企業との間で明確な差が生まれ始める年になるでしょう。
制度開始はゴールではなく、日本の物流が協調領域へと本格的に踏み出すスタートラインであり、まずは自社の物流データを可視化し、現状を客観的に把握することが第一歩となります。
