インドネシアでAI通関PF始動 HAKOVOがASEAN貿易デジタル化を加速

インドネシアでAI通関PF始動 HAKOVOがASEAN貿易デジタル化を加速 | 物流ニュース・物流ラジオ

本日は2月20日の海事プレスの「インドネシアでAI貿易通関PF展開、HAKOVO、デルタマス工業団地と提携」と言う記事を参照して、特にASEANにおける貿易デジタル化とHAKOVO(ハコボ)のAIソリューションの最新動向にフォーカスしてお話しします。

この記事を書いた人
飯野 慎哉(株式会社HPS CONNECT 代表取締役社長)

2016年にHPS Trade Co., Ltdを設立し、経営者として企業の物流課題を解決。 自身の経験を基に物流ノウハウを発信するYouTubeチャンネル「イーノさん」は登録者11万人を突破。 セミナーや講演、ブログを通して物流情報やグローバルでの仕事・挑戦・苦悩を発信。アジア・東南アジアに事業拡大中!

動画視聴はこちらから

HAKOVOがデルタマスでAI通関システムを展開

シンガポールを拠点に貿易・通関業務のデジタル化を進めるスタートアップ企業「HAKOVO」が、インドネシアのデルタマス工業団地と提携しました。

この工業団地は、現地のシナルマスグループと日本の双日が共同開発したジャカルタ東部の一大拠点で、自動車や食品メーカー、データセンターなど約180社が入居しています。

記事によると、今年の5月ごろからこれらの入居企業に対し、HAKOVOの「AI駆動型デジタル貿易通関・物流管理プラットフォーム」を展開していく方針とのことです。

このプラットフォームの導入により、

  • 手作業に依存していた貿易文書のAI-OCRによるデータ化
  • 高精度なHSコードの自動分類
  • 輸入禁止・制限品目(通称:LARTAS)のリアルタイム検出

などが可能になります。

また、日本の貿易プラットフォーム「TradeWaltz(トレードワルツ)」とも連携しており、日本発の輸出データをシームレスに取得し、インドネシアの税関システムでの自動申告に繋げることができる画期的なシステムです。

導入による変化
通関書類の自動化だけでなく、申告精度向上とコンプライアンス強化まで実現します。

なぜ「通関」に特化するのか?

ここで、別のソースである2023年11月29日付けの海事新聞に掲載された、HAKOVOの赤穂谷(あかほだに)CEOのインタビュー記事も交えて、なぜこのシステムが求められているのか、その機能の深掘りをしていきたいと思います。

実はHAKOVOは、創業当初はデジタルフォワーディング事業を展開していました。

しかし、元DHL出身の赤穂谷CEOは「結局、アジア各国での通関時に貨物が止まってしまう」という物流業界の根本的な課題に直面します。

通関部分がアナログなままでは、国際輸送全体のデジタル化は成し遂げられないと考え、通関特化型のプロダクトの開発へと舵を切りました。

特にASEANの通関手続きは、EUのように統一されておらず、非常に複雑です。

例えば、HSコード(輸出入統計品目番号)はASEAN内では8桁で共通化が進んでいますが、日本は10桁、中国は最大13桁と異なり、複雑なすり合わせが必要です。

申告と税関側の判断にズレが生じれば、

想定外の関税
貨物の長期ストップ

といったリスクに直結します。

AIソリューション「Smartariff」

そこで活躍するのが、HAKOVOのAIソリューション「Smartariff」です。

単なる規制のデータベースではなく、長年にわたる顧客の商品名やID、輸出入者名などをAIに機械学習させ、商品名が多少変わっても最適なHSコードを自動で引き当てることができます。

さらに、数量が規制範囲内かどうかのルールベースのチェックも組み合わせた「ハイブリッド型」になっているのが最大の強みです。

FTA(自由貿易協定)などの優遇措置の適用も提案してくれるため、荷主企業にとっては無駄なコスト削減と法令順守の両立が可能になります。

  • AI学習によるHS分類精度向上
  • ルールベースとの統合チェック
  • FTA適用提案による関税最適化

AIの学習エコシステムとASEAN全体への波及

記事の内容と現状の動向から、今後どうなっていくでしょうか。

HAKOVOはすでに昨年10月、JFE商事スティールインドネシアともパートナーシップを結んでおり、さらには国営港湾会社ペリンドを通じてインドネシアのシングルウインドーへの接続も完了しています。

今回、デルタマス工業団地という180社が集積する巨大なエコシステムに導入されることで、多種多様な品目の「生きた通関データ」が日々AIに蓄積されることになります。

これにより、機械学習の精度は加速度的に向上していくでしょう。

インドネシアやフィリピンといった、特に通関コストが高く課題の多い国での足場が固まれば、今後はベトナム、タイ、マレーシアなどへの横展開が見えてきます。

長期的には欧米との接続も視野に入れているとのことですので、ASEANを起点としたグローバルなサプライチェーンの強靭化に、日本発の技術や日系プラットフォームが深く寄与していく未来が見えてきそうです。

関連記事