投稿日:2026.02.26 最終更新日:2026.02.26
中国が日本企業20社に輸出禁止 造船・物流業界への衝撃
本日は2月25日の海事プレス、およびLOGI-BIZオンラインなどの記事を参照し、「中国による日本企業への軍民両用品の輸出禁止措置と、造船・物流業界への影響」についてお話をしていきます。
飯野 慎哉(株式会社HPS CONNECT 代表取締役社長)
2016年にHPS Trade Co., Ltdを設立し、経営者として企業の物流課題を解決。 自身の経験を基に物流ノウハウを発信するYouTubeチャンネル「イーノさん」は登録者11万人を突破。 セミナーや講演、ブログを通して物流情報やグローバルでの仕事・挑戦・苦悩を発信。アジア・東南アジアに事業拡大中!
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中国が日本の重工・造船など20社を輸出規制の対象に
まずはニュースの概要です。
昨日、2月24日、中国商務省が突然、日本企業に対する厳しい輸出規制を発表しました。
日本の重工業や造船メーカーなど20の企業や機関に対し、中国製の軍民両用品、いわゆるデュアルユース品の輸出を禁止するというものです。
これまでも経済安全保障の観点から「中国の政治リスク」は長らく懸念されてきましたが、今回、それが具体的な「輸出禁止」という形で顕在化しました。
今回の規制のポイント
今回の規制のポイントを3つにまとめました。
- 即日適用の厳しい措置:2月24日より即日適用され、対象の日本企業への直接輸出が禁じられただけでなく、第三国経由での譲渡や提供、さらに「現在進行中の取引の即時停止」までもが求められています。
- 名指しされた対象企業:造船関係では、三菱造船、三菱重工マリタイムシステムズ、JMU(ジャパンマリンユナイテッド)などが指定されました。舶用メーカーとして三菱重工マリンマシナリやIHI原動機などもリスト入りしています。
- さらなる監視リストの存在:輸出禁止の20社とは別に、住友重機械工業やSUBARU、ENEOS、TDKなど別の20社に対しても、輸出審査を厳格化する監視リストに追加されました。
重要ポイント
単なる規制強化ではなく、既存取引の即時停止まで含む強硬措置である点が今回の特徴です。
なぜ今、輸出規制なのか?その原因と背景
では、なぜ中国は突然このような強硬手段に出たのでしょうか。
記事でも触れられている通り、近年、欧米を中心に中国の市場寡占化に対する警戒感が高まり、世界的な地政学環境が変化していることが大きな背景としてあります。
さらに、LOGI-BIZなどの情報によれば、直接的な引き金となったのは「日本政府への政治的反発」です。
中国側は、高市早苗首相が国会で行った台湾有事に関する答弁に強く反発し、今回の措置を「日本の再軍事化を阻止するための正当な対抗措置」と主張しています。
これに対し、日本の佐藤官房副長官は「決して許容できず、極めて遺憾」と抗議し、撤回を求めています。
事態は完全に政治対立の様相を呈しており、純粋な民間ビジネスの枠を超えた政治リスクの顕在化という厳しい現実が浮き彫りになっています。
サプライチェーンと物流への影響は?
物流や海事産業に関わる私たちにとって最も気になるのは、サプライチェーンへの影響です。
日本の造船業は機器類の国内調達率が90%を超えており、新燃料船関連機器でも国産化が進んでいます。
そのため、主要機器が即座に全面停止するという致命的リスクは比較的限定的と見られています。
しかし、安心はできません。
規制対象品目の詳細は不透明であり、
- 船舶用レーダー
- 電子機器
- 複合材
- 加工設備
などが含まれる可能性があります。
末端部品や素材の一部を中国に依存しているケースも多く、間接ルートも含めると影響の全体像はまだ見えません。
リスクの本質
直接的停止よりも、見えない部品・素材依存が最大の不確実要因となります。
加速する「脱・中国依存」と調達網再構築
今後の展開を考えると、短期的には代替調達先の確保や建造スケジュールの見直しなど、一定の混乱は避けられません。
新造船価格の上昇や、運賃市況への波及も否定できない状況です。
中長期的には、「脱・中国依存」とサプライチェーン再構築が一気に加速するでしょう。
これまでコスト競争力を理由に中国製部品を採用していた企業も、今後は政治リスクをコストとして織り込む経営判断を迫られます。
キーワードとなるのは、
- 経済安全保障
- フレンドショアリング
- 同盟国・国内調達の強化
信頼できる供給網をどう築くかが、企業の競争力を左右する時代に入っています。
総括
今回の輸出禁止措置は、単なる外交摩擦ではなく、海事・物流業界の構造転換を促す転換点となる可能性があります。
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本日は以上です。どうも、ありがとうございました!
