米国がイラン攻撃 ホルムズ封鎖で海運・エネルギー輸送に衝撃

米国がイラン攻撃 ホルムズ封鎖で海運・エネルギー輸送に衝撃 | 物流ニュース・物流ラジオ

本日は3月3日の海事新聞の「米国がイラン攻撃、ホルムズ封鎖 市場混とん。」という記事を参照し、中東情勢の緊迫化が世界のサプライチェーン、特に海運やエネルギー輸送に与える影響についてお話をしていきます。

この記事を書いた人
飯野 慎哉(株式会社HPS CONNECT 代表取締役社長)

2016年にHPS Trade Co., Ltdを設立し、経営者として企業の物流課題を解決。 自身の経験を基に物流ノウハウを発信するYouTubeチャンネル「イーノさん」は登録者11万人を突破。 セミナーや講演、ブログを通して物流情報やグローバルでの仕事・挑戦・苦悩を発信。アジア・東南アジアに事業拡大中!

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ホルムズ海峡事実上封鎖の現状と商船への被害

2月28日の米国とイスラエルによる対イラン軍事攻撃に伴い、エネルギー輸送の大動脈であるホルムズ海峡が事実上封鎖状態に陥っています。

非常に痛ましいことに、3月2日夕方までに同海峡やオマーン湾で商船3隻への攻撃被害が報告されており、機関部での火災によって船員の方に死傷者も出ています。

ギリシャ政府は既に自国の船舶に対して同水域の航行を避けるよう勧告を出しており、他国の船主もこれに追随する動きが強まっています。

船員の命に関わる事態となっており、海運業界全体に極度の緊張が走っています。

現状のポイント
・ホルムズ海峡が事実上の封鎖状態
・商船3隻が攻撃被害
・各国が航行回避を勧告

データから見る海運への影響とプレミアム運賃

データ分析大手ケプラーやマリントラフィックの情報によると、攻撃開始直後からホルムズ海峡を通過する船舶数は激減しています。

攻撃前は281隻だったものが、LNG船や原油タンカーを含めて126隻にまで減少しました。

現在もペルシャ湾内には250隻以上の原油タンカーが滞留している状態です。

攻撃直前の中東から極東向けのタンカー運賃指数(WS)は224と、すでに6年ぶりの高水準をつけていました。

ホルムズ海峡は世界の石油消費量の約2割が通過するチョークポイントです。

一部ブローカーは「プレミアム運賃が支払われれば強行突破もあり得る」と分析していますが、多くの船主にとっては安全確保が最優先です。

運賃がいくら高騰しても船が動かない可能性が現実味を帯びています。

市場リスク
供給停止が長期化すれば、エネルギー価格と海上運賃が同時に急騰する可能性があります。

自動車船・LNG船への波及

影響はタンカーにとどまりません。

紅海リスクを回避してペルシャ湾内へ配船していた自動車船が足止めを受けています。

今後、中東向け配船の混乱はグローバルな輸送スケジュール全体へ波及するでしょう。

世界的なスペース不足が再び加速する可能性があります。

また、LNG船やLPG船の航行停止が長引けば、中東からの輸出が減少し、ガス価格高騰につながります。

一部分析では、中東積みが困難になることで米国積みへの船腹シフトが急速に進む可能性も指摘されています。

今後の展望とサプライチェーン戦略

短期的には、中東発着の運賃が異常な水準へ高騰する可能性があります。

エネルギー価格の上昇はバンカー価格を押し上げ、全航路で輸送コストが増大するでしょう。

長期的には、中東依存リスクの顕在化により、

  • エネルギー調達先の多角化
  • 米国・アフリカなどへのシフト
  • 代替ルートの確保

が加速します。

日本の石油備蓄は約8カ月分とされていますが、事態が長期化すれば産業界への影響は避けられません。

各企業は、リードタイム延長を前提とした在庫・生産戦略の再設計を迫られます。

総括
ホルムズ封鎖は単なる地域紛争ではなく、世界のサプライチェーンを揺るがす重大リスクです。

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