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北米メーカー、ニアショア戦略が不発か?サプライチェーン改革実現遠く。製造拠点シフトへの課題。 | 物流ニュース・物流ラジオ

北米メーカー、ニアショア戦略が不発か?サプライチェーン改革実現遠く。製造拠点シフトへの課題。

どうもこんにちは、飯野です。 本日は、ウォール・ストリート・ジャーナルの記事から「北米企業が、生産拠点の近接化に苦慮」についてお話していきたいと思います。 2022年4月21日イーノさんの物流ラジオ ニアショア戦略 サプライチェーンが世界中で乱れて、欧米諸国では生産拠点をアジア・東南アジアではなく、自国に近いニアショア戦略を取ろうとしています。 以前の放送でもお伝えしましたので、リンクを貼っておきます。 北米メーカー、メキシコ・中南米からの調達増加!アジア地域からの仕入れ減少。生産拠点をより自国の近くへ。 専門家によると、それは生産に関する問題を身近なものにするだけかもしれないと、専門家は指摘しています。 製造拠点のシフトの困難さ サプライチェーンの乱れがあったため、米国の輸入業者はアジア太平洋地域からメキシコ、さらに中南米へと調達のシフトを検討しています。 しかし、中国や東南アジアなどの製造拠点で、既に確立された適切な原材料、生産品質、独自の部品を調達するネットワークを持つサプライヤーをメキシコや中南米で見つけることは簡単ではないようです。 ニアショア戦略のもとで現在の生産能力を再現し、サプライヤーを再形成するには、何年もかかると専門家は指摘しています。 また、ある専門家は「中国は、基本的な部品から高度な部品まで、あらゆる種類のナットやボルトの唯一最大の市場であることは否定できない。このようなエコシステムは、世界のどの国でも再現することは不可能」と述べています。 生産のインフラ フロリダ州拠点を置く寝具メーカーは、サプライチェーンの混乱に備え、メキシコや中米からの調達を検討しています。 しかし、それほど高価でない綿や合成繊維などを、現在の調達先である中国、パキスタン、インドで大規模に生産されている生地と比較すると、素材を手に入れるのに苦戦している模様です。 担当者は、ラテンアメリカ(メキシコとか中南米)では、「現在の中国・インドなどのグレードの材料を低コストで生産するためのインフラが中南米にはまだない。」としています。 新しい生産拠点への投資 更に、「ニアショアと地域調達の開発の一環として、資金投入と原材料の入手可能性に目を向ける必要がある」と続けています。 中国やインドなどでは、大量生産しているため、コストが安くなっていますが、中南米では、まだそれほどの生産量がありません。現時点では品質も低く、価格も高いのが現状です。 長年にわたって構築されたサプライチェーンを変更するには、特に原材料や、部品の入手や輸送の面で、複雑な作業となるだろうということです。 メキシコへの製造拠点シフト メキシコシティに拠点を置くコンサルティング会社は、この1年で「ニアショアを試みる北米のクライアントの数が驚くほど増えた」と述べています。 事実として問い合わせは増えているようです。 メキシコは米国に近く、既存の製造インフラや貨物輸送網が整備されていることから、新しい生産地としてのターゲットとして選ばれています。 アジアの製造拠点の再現 そのメキシコのコンサル会社が、米国の製造業経営者を対象に行った最近の調査があります。 70%が製造拠点のメキシコ移転を計画、検討、または期待しているにもかかわらず、すでに移転しているのは17%に過ぎませんでした。 「多くの企業は、メキシコの生産能力が逼迫していること、更にプラスチック製品の高価な金型は中国から輸入する必要があるなど、多くの企業で特定の設備や部品が現地で作れないことが分かってきた」とメキシコのコンサル会社の人は発言しています。 メキシコの生産能力はまだ高くないため、すぐに逼迫するのかもしれません。更に、まだ技術も中国に比べて高くはなく、作れない部品もあります。 ある北米のメーカーは、メキシコという「選択肢はない」と述べています。 アジアの製造拠点に見られるようなサプライヤーネットワークや原材料の入手しやすさを再現するには、何年もかかるかもしれないと記事は報じています。 中国の品質は現在では十分に高いですが、ひと昔前はそうでもありませんでした。ネット通販している知り合いは、中国からの輸入品の7割が不良品だった時もあると言っていました。 しかし今は変わり、だんだんレベルが上がってきています。 例えば電気自動車関連では、優秀な人材を破格の待遇で引き抜いているようです。基本的にはお金が集まるところに優秀な人材も集まり、製品のレベルが上がっていきます。 今後のマーケット メキシコや中南米はまだまだこれからで、今後、投資が進むかもしれません。 すぐに生産地が切り替わるということはありませんが、今はそういう流れで進んでいます。 今後どのようにマーケットが変化していくのかはわかりませんが、こういう時はある種のビジネスチャンスなので、メキシコを攻めるのもありかもしれません。 今後も情報をアップデートしていきます。

上海シャットダウンが中国で物流の機能不全引き起こす。国際物流へも影響。 | 物流ニュース・物流ラジオ

上海シャットダウンが中国で物流の機能不全引き起こす。国際物流へも影響。

どうもこんにちは、飯野です。 本日は、「中国の物流が機能不全、上海の日系の7割が停止」についてお話していきたいと思います。 2022年4月20日イーノさんの物流ラジオ 上海ロックダウンで物流機能不全 上海のロックダウンで上海市と周辺の物流が機能不全に陥っています。 上海日本商工クラブが会員企業約70社を対象に4月9日〜12日にアンケートを実施し、うち53社から回答を得ました。 まず、「上海市と市外との物流が停止している」という回答がありました。 物流停止の大きな要因はトラックドライバーの不足、省を越える場合のPCR検査やドライバーの隔離にあると回答がありました。 たとえトラックを手配できても、地区の封鎖や作業員不足で「出荷が現実的でない」との声も上がっています。 多くの企業で、貨物の発送も受け取りもできず、サプライチェーンが寸断されているとのことです。 各所への影響 ドライバーだけでなく、荷役作業員も不足しているため、上海の港湾・空港ともに稼働が大きく落ちています。 中国国内だけでなく、国際物流が完全に停止していると回答した企業もあります。 一部動いていても、遅延などもあり、「この状況が継続すると、国際物流が機能停止し、貿易に甚大な影響を及ぼすことになろう」とアンケートで危惧した回答もありました。 航空便への影響 他には、航空便にも影響が出ています。 日本発、上海向けの航空便のスペースは通常時の約半分に減少し、空港からの貨物搬出も難しく、上屋内の貨物の滞留が深刻化しています。 上海港への影響 更に、上海港でも貨物の滞留が続いている模様です。 到着した船が出発港に戻るケースがあるほどで、上海近辺の港のキャパシティーも限界との回答もみられました。 このほか、一部では通関も停止し、上海港の現状を「実質閉鎖」とする声もあがっています。物流機能の混乱は全国に広がっていると記事は報じています。 工場への影響 アンケートでは工場の操業を停止していると回答もあり、中国国内外での生産にも支障が出始めています。 製品の生産・納入ができず他地域の同業他社に販路を奪われるケースも出てきています。これに伴い、生産を他地域や中国国外へ振り替える動きがあります。 チャイナリスク再び? 数年前のチャイナリスクに備えた第二の動きの可能性も出てきました。 前回は生産をタイへと移しましたが、次は個人的にはベトナムだと思っています。タイは人件費が高くなっていますので。 上海のロックダウンが開けたら、もしかしたら停留している貨物が動き出すかもしれませんし、生産も開始し、スペースが取りにくくなるかもしれません。 引き続き、情報を取りながらアップデートしていきたいと思います。

北米でトラック運賃価格が下落!インフレによる買い控え懸念。日本への影響は? | 物流ニュース・物流ラジオ

北米でトラック運賃価格が下落!インフレによる買い控え懸念。日本への影響は?

どうもこんにちは、飯野です。 本日は、WSJの記事から「貨物輸送の需要低迷により、トラック輸送への需要減」についてお話していきたいと思います。 2022年4月19日イーノさんの物流ラジオ 北米トラック需要減 北米でのトラック需要が落ち着きつつあります。これまでシャーシ不足、ドライバー不足が北米の物流の目詰まりの原因でした。 トラック輸送のスポット運賃が下落し、市場のアナリストも評価を下げつつあります。 トラックスポット運賃の下落 3月の国内輸送需要の指数は前月比0.6%増と、成長に鈍化がありました。同時に、運賃も最近の歴史的な高水準から引き下げられつつあります。 輸送需要量とトラック積載量のバランスが取れてきているため、運賃が下がってきています。 アメリカのバンク・オブ・アメリカ・コーポレーションのアナリストによると、燃料サーチャージを除く、トラックのスポット運賃は12月以降で37%も低下しているとのことです。 過去1ヶ月では27%低下となり、直近でかなり下がっています。 運賃のピーク過ぎる トラック輸送アナリストは「運賃の値上げを期待できる時代は終わったと言っていい」と述べています。 また、アメリカのブローカーの担当者は、「現在、輸送のキャパ不足のため高額な契約を結んだ荷主も、市場の変化に合わせて、より低い運賃を求めて契約を破棄しつつある」と述べています。 実際に低い運賃が出てきてはいます。 同氏によると、大手のトラック運送会社の輸送は依然として高い需要があるものの、「今後、ここ2、3年のような盛り上げはないだろう」としています。 運賃のピークは過ぎたようです。 北米のインフレ ある小口混載貨物輸送会社は、トラック輸送の大部分を占める、消費者向けの貿易がインフレにより縮小していると述べています。 北米では現在かなりのインフレです。3月のCPI(消費者物価指数)が前年同月比8.5%の上昇で、物価上昇は約2%上昇が理想とされている中、かなりの高さです。 変動の大きいエネルギーと食料品を除いたコア指数は前年同月比6.5%上昇、前月比ではCPIは1.2%上昇、コア指数は0.3%上昇でした。 ウクライナ情勢によるエネルギーの上昇 エネルギーと食料品は、北米でかなり物価が上昇しています。ウクライナ情勢により、ガソリンは48.0%上昇(多分前年比)、前月比でも18.3%上昇しています。 食品は4月17日のイースター祭を前に卵の需要が拡大していて、各州で鳥インフルエンザ発生が確認されており、卵製品価格が上昇している状況です。 運輸アナリストが、インフレやロシア・ウクライナ戦争の影響の逆風が、好調な成長期を終えたところに課題を突きつけると指摘していると、記事は締めくくっています。 経済の流れ コロナで始まった物流の目詰まりによる運賃が上昇し、北米での需要回復による物価上昇しました。更にウクライナ侵攻による、エネルギー価格の高騰で北米での物価がかなり上がりました。 ガソリン代、電気代、食品代が上がれば、買い控えが増えるのではないかとおもいます。 実際にコア指数の伸びは鈍化があって(前月比0.3%増)、需要が少し抑えられる気もします。 日本への影響 FRBは今年利上げを7回行います。 利上げも関係しますが、今のように生活コストが上昇し、ローンを使って購入する住宅や自動車の買い控えが進んで、需要が下がれば貨物の動きも下がります。 そうすれば、物流の目詰まりは解消に向かいます。 日本としても、アメリカのインフレが落ち着いて、利上げが小さければ、円安に大きく影響しない可能性もあります。 このままでは、日本では輸入品が円安でどんどん高くなっており、生活だけでなく、経済的にも厳しい状況に来ています。 給料が上がらない中、原材料のコスト高で物価が上がっています。これを「スタグフレーション」と呼びます。 経済は色々と繋がっているので、引き続き情報を発信していきます。

2022年4月20日〜22日、日本最大の海事展示会 SEA JAPAN、4年ぶりの開催! | 物流ニュース・物流ラジオ

2022年4月20日〜22日、日本最大の海事展示会 SEA JAPAN、4年ぶりの開催!

どうもこんにちは、飯野です。 本日は、「日本最大の国際海事展示会 Sea Japan」についてお話していきたいと思います。 2022年4月18日イーノさんの物流ラジオ 4年ぶり、国際海事展示会開催 2022 年 4月20日から22日、日本最大の国際海事展 Sea Japanが4年ぶりに東京ビッグサイトで開催されることになりました。 展示会には、ジャパンパビリオンをはじめ、既に350社を超える出展社の参加が決定しており、大型の業界イベントがコロナで制限されてきて、久々の開催に業界関係者からの期待が高まっています。 メインテーマと諸問題 今回Sea Japanのメインテーマを「ゼロとデジタルの時代へ」とし、造船、海運、舶用機器のそれぞれの分野でのゼロエミッションとDXに関連する取り組み、最新の技術や戦略を紹介していきます。 世界規模での環境保護対策が進められており、日本では2028年までの「ゼロエミッション船の商業運航」を目指して業界をあげた取り組みが展開されています。 また同時に、海事産業が抱える海難事故の減少、個人輸出入の拡大による貿易ニーズの増加、労働環境の改善、労働力不足などの諸問題へ対応していきます。 対応策としては、自律運航、自動運行、遠隔検査、IoT、AIなどデジタル技術を活用したDXの推進などがあり、業界にとっての欠かせない課題となっています。 ジャパンパビリオン 展示会ではメインテーマに沿った、企業出展やイベントが行われます。 今回の Sea Japan で展示ホールの中央部には、巨大な「ジャパンパビリオン」が設置されます。 この中には2つのゾーンがあり、国土交通省をはじめ産官学の団体で構成された「テーマゾーン」と一般社団法人日本舶用工業会の会員企業の「メンバーズゾーン」です。 テーマゾーン テーマゾーンでは、10のテーマに係る日本の最新技術や製品を紹介します。 テーマは、海運、造船、フェリー、ゼロエミッション、海洋開発・洋上風力利用、DX・自動運航などを発信していきます。 メンバーズゾーン またメンバーズゾーン には日本の舶用メーカー64社が出展し、国内最高峰の舶用技術製品、サービスを発表します。 展示会なので、自社の製品をお披露目して商談につなげますが、今回はオンラインでのマッチメイキングでの商談会も行うので、遠方からも参加できます。 僕はYouTuberとして、取材にいこうと思っています。 YouTubeはラジオを合わせたら、日本語チャンネルが1.1万人、英語チャンネルが6.5万人の登録者がいます。 日本と海外に日本最大の海事展示会を紹介できるので、楽しみにしています。

物流の2024年問題について。残業は年間960時間へ。 | 物流ニュース・物流ラジオ

物流の2024年問題について。残業は年間960時間へ。

どうもこんにちは、飯野です。 本日は、「物流の2024年問題」についてお話していきたいと思います。 2022年4月15日イーノさんの物流ラジオ 物流の2024年問題とは 「物流の2024年問題」とは、働き方改革関連法によって、2024年4月1日以降、「自動車運転の業務」に対し、年間の時間外労働時間の上限が960時間に制限されることによって発生する諸問題の総称のことです。 どのような法律かというと、簡単にいうとドライバーさんの残業は年間960時間を上限にするということです。年間960時間はざっくりと計算すると、月に80時間、1ヶ月の労働日数を22日としたら、約3.6時間/日を上限にすることになります。 現在のドライバーの平均時間外労働時間 2020年に行われた「厚生労働省」の調査によると、大型トラックドライバーの”平均” 時間外労働時間は月間 35時間、中小型トラックドライバーは月間 31時間です。 これをみると、年間960時間、月間にすると80時間という制限は、十分クリアしていると思われるかもしれませんが、これはあくまで平均時間です。 通常月の時間外労働時間 厚生労働省が2020年10月から12月にかけて実施した別の調査によると、繁忙期ではない、通常月における1日の時間外労働時間は下記のような結果となっています。 ・時間外労働なし:20.8% ・1時間未満:12.7% ・1時間以上~4時間以下:48.1% ・4時間超~7時間以下:14.0% ・7時間超:4.3% 「4時間超~7時間以下」+「7時間超」=18.3%、約20%弱のドライバーさんの働き方は、2024年4月以降の基準の、残業960時間を超過することは確定となります。 ボリュームが多い「1時間以上~4時間以下:48.1%」の中にも、960時間を超過するトラックドライバーが含まれていると考えられます。 しかし、この厚生労働省の調査方法では問題があるともされています。 ・比較的企業規模の大きな運送会社が調査対象の割合として多い ・1社あたりの調査対象を、6名のみに限定している 以上によって、実態はもっと違うのではないかという見立てもあります。 実際の現場は 企業規模の小さな企業ほど労働環境は一般的に悪い傾向もあり、1社あたりの調査対象者を絞れば、結果が歪む可能性も高いです。 そうすると、もっと長時間労働をしているドライバーさんの割合は多いのではないでしょうか。 2024年4月以降、ざっくり毎日3.6時間以上の残業を上限とすることが決められています。 定時を9時〜17時とすると、毎日仕事が終わるのが21時くらいとなります。現在でも20%弱のドライバーさんがこの時間以上働いており、実態はもっと多いだろうとされています。 繁忙期であれば更に長い労働時間で働いている可能性も高くなります。個人的には、上限が決まってもまだ長いと感じます。 各運送会社の対応 この2024年問題を解消するために、長距離輸送を、リレー形式にしたり、フェリーやRORO船を使ったりすることが行われています。 高速道路の自動運転はもう少し時間がかかるので、できる限りの対応をとっているようです。 北米と日本の違い 北米や日本ではドライバーさんのなり手が少ないです。 しかし、北米の場合は、長時間労働ではありますが、賃金は高く、年収800万円を超えています。 よって北米は、ドライバーの年収も高いため、物流コストを最適化するためにスタートアップの会社が自動運転の技術開発を進めています。 しかし、日本の場合は、賃金はそれほど高くはありません。 厚生労働省の調べによると、残業代なし、ボーナスなしで換算すると年収320万円ほどとのことです。 同じドライバー不足でも、北米と日本では内容が異なっています。 人件費が上がらない日本 長時間労働を法律で規制しても、人件費は安いままなので、日本は複合輸送で対応しています。 よって、IT化が北米に比べて進まないのが現状です。これはドライバーだけの話ではなく、別の産業でも同じです。 これで先進国と本当にいえるのでしょうか。 安い人件費でなんとかしようという考えは、途上国と全く同じです。 現状を嘆いても仕方ないので、自分たちで出来るところで、変えていきたいなと思います。

なぜ日本の企業は脱炭素への取り組みが必要なのか?LCA規制への対応 | 物流ニュース・物流ラジオ

なぜ日本の企業は脱炭素への取り組みが必要なのか?LCA規制への対応

どうもこんにちは、飯野です。 本日は、「なぜ日本の企業は脱炭素に取り組まないといけないのか?」というテーマでお話していきたいと思います。 2022年4月14日イーノさんの物流ラジオ SGL、CO2排出の可視化 海事新聞に、「SGLがCO2排出可視化する」という記事がありました。 住商グローバル・ロジスティクス(SGL)は、国際輸送でのCO2排出量の算定・可視化に取り組んでいます。 外部顧客へ 親会社の住商グループから受託する案件について可視化を完了させ、現在は外部顧客との連携を目指し、アジア域内輸送での可視化を進めています。 SGLの執行役員のグローバルロジスティクスの事業本部長は、「輸送自体がコモディティー化している側面もあり、商社系物流会社として新たな付加価値を創出していきたい」と語っています。 ヨーロッパのLCA規制 付加価値としての脱炭素の取り組みと記事にはありますが、それよりも脱炭素が必須になっているように思います。 ヨーロッパを中心に「LCA規制」というのがあります。LCAとはライフサイクルアセスメントの略で、製品やサービスが生まれてから廃棄されるまでのライフサイクルを通じた環境負荷を評価する取り組みです。 例えば、自動車であれば、原料となる鉄などを、製造、使用、メンテナンス、リサイクル、廃棄までの環境負荷を評価するということです。 火力発電が主な日本 どういうことかというと、具体的に電力エネルギーのことです。 日本は国内で作られている電力のうち、火力発電比率が約75%です。 電気を作るのに石炭を燃やしたりして、二酸化炭素を排出しており、よって、日本の電力で作った車(パーツなども含む)はLCA規制の対象となります。 車の製造段階でCO2を出しているため、LCAの規制対象になり、ヨーロッパで、日本で作られた車が販売できない、もしくは追加費用がかかることになります。 ヨーロッパで日本製に制限? ヨーロッパで「日本で作った車」が売れなくなります。 そのため、日本の企業は製造だけでなく、物流を含むサプライチェーン全体で『脱炭素』への対応を迫られることになっています。 よって、どの大手物流企業も脱炭素への取り組みを進めています。 LCA規制による雇用 ちなみに、このLCA規制で日本の自動車産業の雇用が100万人くらいの規模でなくなるかもしれないという話もあります。 なぜなら、LCA規制に準ずるために、日本の電力をカーボンフリーで自動車を作るか、自動車の生産をカーボンフリー電力でまかなえる海外工場で行うことになります。 日本は原発を止めており、太陽光、風力などのエネルギーはヨーロッパに比べてまだまだです。 トヨタの社長、豊田章男さんは「今のままだと海外で作るしかなくなる。日本の工場を閉めることになり、部品産業を含めたたくさんの雇用を失うことになる。」と述べています。 将来への取り組みとしての脱炭素 クルマがすべてEVになればいいというわけではありませんが、今現在は、世の中が脱炭素の方向に動いています。 単にイメージアップのために、脱炭素とかSDGsと言っている企業もあるかもしれませんが、脱炭素に取り組まないと将来的に商売がなくなる。というのが本質的なところではないかと思います。

最近の運賃市況のまとめ、2022年の動向を解説しました。ニューノーマルの運賃水準へ。 | 物流ニュース・物流ラジオ

最近の運賃市況のまとめ、2022年の動向を解説しました。ニューノーマルの運賃水準へ。

どうもこんにちは、飯野です。 本日は海事新聞の【記者の視点/岬洋平】コラムから、「コンテナ運賃市況の軟化は一時的で、高止まりを念頭にしている」についてお話していきたいと思います。 2022年4月11日イーノさんの物流ラジオ スペース優先姿勢の荷主 今年のサービスコントラクトの交渉も、既に終盤戦に入りました。 大手BCO(実荷主)と船社の交渉では、運賃自体が争点にならなかったとのことです。荷主のスペース優先姿勢が顕著で、例年になく、複数年契約を求める荷主が多かったようです。 中小荷主、コスト増受け入れ困難 しかし、国際輸送業務に多くの人手をかけられない中小荷主などでは、適切な判断ができなかったケースもあります。 荷主の物流担当者は状況を理解していても、生産・営業など他部門に、大幅なコスト増を理解してもらえず、船社やフォワーダーの担当者に「もう少し何とかならないか」と再交渉を持ちかけていました。 船社・フォワーダー側にしてみればそのレートで積む荷主がいるため、「その価格だと積めません」と断らざるを得ない状況です。 悪循環に陥る企業も そうこうしている間にスペースはさらに絞られ、船社やフォワーダーからの提示額はさらに上がる、という悪循環に陥った荷主もいました。 外資フォワーダーの方は「相当情報提供をしてきたつもりだが、まだ状況を分かっていただけない荷主さんがいる」と述べています。 僕もYouTubeなどの発信活動でかなり言ってきたつもりですが、まだまだ伝わっていないと認識しました。 スペース不足、運賃高止まりの解消は コンテナ物流関係者の最大の関心事はスペース不足と運賃高止まりの解消だと思います。 4月5日付で海事新聞では「コンテナ運賃、欧米向け軟化続く」と伝えています。 見出しだけみると、「高騰した運賃がようやく下落に向かうか」と思うかもしれませんが、「軟化」と言っても上海発北米東岸向けスポット運賃指標はまだ1万ドル超の水準です。 更に、3月末からの上海でのロックダウンが生産・出荷の制約になっています。ロックダウンが解除されれば再び出荷が増えるため、需給が逼迫するという見方もあります。 運賃高騰に歯止めがかかったのは事実ですが、根本的な問題解決にはまだ至っておらず、高止まりの状況に大きな変化はないと記事は報じています。 北米西岸港での沖まち ロサンゼルス・ロングビーチ港の沖では3月半ばには40隻台まで減少しました。 ピーク時には100隻を超えていたため、「大幅に改善した」と表現することはできますが、実際には、スケジュール遅れなどからの欠便などで、アジア側からの便数が減ったことが大きい要因です。 運賃下落を阻む要因 コンテナを搬出入するドレージもドライバー不足の問題などは続いており、状況としては「最悪期を脱した」という程度で、解決には至っていません。 ウクライナ情勢や、コロナ禍の再拡大など、国際サプライチェーンに対するリスクは増しています。 さらに、7月1日に期限を迎える北米西岸労使協約の改定交渉も控えています。 これらをみると、海上運賃が下がる要因が見られません。 ニューノーマルの運賃水準 少なくとも2022年通年では、コンテナ運賃の高止まり状況が劇的に変わることはないでしょう。 荷主も現状の運賃水準をニューノーマルとして受け入れ、短期的な運賃の上下動に一喜一憂せず、マーケットを冷静に見通す必要があるだろう、と記事は締めくくっています。 最近、運賃が軟化し、実際にスペースも取りやすくなってはいますが、一時的なものと見る方が、妥当かと思います。 このラジオ、毎日聴いてくださっている方もいれば、初めて聞くという方もいらっしゃるので、重要な内容のため繰り返しマーケット市況は伝えていきます。 引き続き情報収取に使っていただければうれしいです。

2022年3月物流ニュース | 物流ニュース・物流ラジオ

2022年3月物流ニュース

この記事を動画で見る どうもこんにちは、飯野です。 今回は2022年3月の物流ニュースをお届けします。ロシア・ウクライナ情勢、燃料費高騰、北米西岸港湾の交渉、脱炭素を主にトピックとしてお送りします。 ロシア・ウクライナ情勢により、貨物輸送が陸上から海上、航空へシフト まだロシアに具体的な経済制裁が課せられていない時点のニュースになります。 フォワーダーは規制や混乱を避けるために、一部のサービスを停止し、サービスを陸上から海上または航空にシフトしています。 シカゴに拠点を置くフォーカイツ社は、紛争により、特にアジアとヨーロッパ間の輸送料金が急騰すると述べています。 同社は、シベリア鉄道の接続が中断されれば、中国から欧州連合への貨物量が海上または航空に移行する可能性があるとしています。 ロシア・ウクライナ情勢により燃料費高騰。荷主、運賃上昇に加え、燃料サーチャージの上昇に直面 続いてもロシア・ウクライナ情勢に関するニュースです。ロシアのウクライナ侵攻後、石油市場が高騰しています。 バンカーサーチャージの大幅上昇により、ただでさえ高い海上運賃に、さらに燃料費用の大幅引き上げの可能性が出てきました。 海上輸送に使用されるBAF(Banker Adjustment Factor)とは、燃料費の変動があったときに調整される割増料金で、FAF、EBSという名前でも使われています。 分析会社のSea-Intelligence は、バンカー燃料価格が年間を通して現在の水準で推移した場合、コンテナ船業界は年間70億ドルの追加コストを負担すると推定しています。 原油高で船やトラックの燃料費高騰。荷主引き上げに備える 荷主はロシア・ウクライナ戦争が続く中、新たな燃料コストと輸送への影響を懸念しています。 燃料サーチャージの高騰は、米国のサプライチェーンにおいて、「配送スピード」から「コスト」へと重点を移す可能性があるとのことです。 特に長距離輸送の場合、荷主はインターモーダル鉄道を利用する傾向が強まるかもしれません。 北米のアナリストによると、今後、「スピーディな配送」と「燃料費高騰」のトレードオフが、輸送会社と荷主の交渉の鍵となるとのことです。 また、鉄道を選択する荷主が、トラックの使用を控えることになれば、港が混雑する可能性もあります。 北米輸入業者がサプライチェーンを再構築。7月に行われる北米の労働協約に備える 今年の7月に北米西岸の労働協約が期限を迎え、再交渉が始まります。その間は西岸港湾でストがある予定です。 ストに備え、一部の荷主は今年の年末年始のホリデーシーズンの注文を前倒しし、西海岸から東海岸、メキシコ湾岸へ貨物を迂回させようとしています。 しかし米国の輸入コンテナの40%近くを扱うLA、LB港の貨物を、他の港で処理することは難しいという声もあります。 今年の交渉はサプライチェーンの混雑により市場が混乱し、何十隻も沖待ちしている中行われるため、港湾労働者組合に有利に進められそうです。 マースク、2023〜2025年に北米で300台のEVトラックを導入。自動運転化進める 海運大手マースクは北米で300台のEVトラックを2023~2025年に導入すると発表しました。 スウェーデンの運行システムのスタートアップ企業、アインライド社と提携し、マースクが導入する車両に、同社のプラットフォームを使用します。 マースクの担当部門のトップは、「今回のEVトラックの導入で、輸送形態に関係なく、全ての分野において脱炭素に取り組む姿勢を示すことができた」と述べています。 北米では完全な電気トラック輸送への移行が目標とされており、先ずは運転が複雑でない高速道路での自動運転化を進めていく方針です。 高速道路での自動運転化ができれば、州をまたぐ長距離部分をマンパワーに頼る必要がなくなるため、人手不足によるサプライチェーンの乱れ回避ができ、将来的な運行形態として期待されています。 上海市ロックダウン。上海港平常通り、海上輸送混乱なし。エアーの貨物便は欠便 中国・上海市が3月28日からロックダウンしていますが、懸念されていた国際輸送への大きな混乱は生じていないようです。 今回のロックダウンは、上海市東部で3月28日―4月1日まで、西部で4月1日から5日まで分けて施行されます。 上海港は稼働していますが、陸側の物流は停滞しています。ドレージ車両を含めたトラックはドライバーの陰性証明などの条件を満たせば通行が可能です。 しかし、市内の通行規制や市外との移動制限などで陸送の遅延の深刻化が懸念されています。 上海港までトラック輸送されていた貨物の輸送需要が、バージや鉄道に流入することも予想されます。 一方でエアーではキャンセルが相次いでいます。 関係者によると、上海浦東空港での航空便の着陸は可能ですが、グランドハンドリング業務の人員が確保できないため、欠航便が発生しているとのことです。 解説コーナー それでは3月のニュースの解説のコーナーです。 先ずはロシア・ウクライナ情勢に関するニュースです。 フォワーダーはシベリア鉄道が中断された場合のリスクを考慮し、サービスを陸上から海上または航空にシフトしていました。 しかし、戦争が長期化する中で各国からの経済制裁により、人道支援物質を除いてのロシア発着の輸送サービスは事実上停止となっています。 現時点ではシベリア鉄道は稼働中ですが、ロシア国内での貨物の紛失リスクを避けるべく、各国のフォワーダーは鉄道を使った輸送のBookingを停止しています。 石油市場高騰 また、ロシアのウクライナ侵攻後、石油市場が高騰しています。 石油価格報告機関によると、3月14日付の低硫黄重油(VLSFO)の価格は主要ハブ港では平均986ドル/トンとなっており、ロシアのウクライナ侵攻前の2月24日の752ドルに比べ、約230ドル(26%)の値上がりとなりました。 注目点はこの費用を、船社が吸収するのか、荷主に遅れて請求するのか、もしくはすぐに荷主に転嫁するのか、です。 低硫黄重油はスクラバーという排ガス洗浄装置が装着されていない世界の船体の70%を動かしています。 PM2.5を発生するC重油より、質の高い低硫黄燃料を使用する規制がありますが、スクラバーを搭載していれば、船は安価なC重油を使えます。 低硫黄重油の価格高騰により、スクラバーに投資する船会社も出てくるかもしれません。 荷主、コスト重視へ 燃料価格の高騰に伴い、荷主はスピードよりもコスト重視へとシフトしています。 安価なインターモーダルへの移行の傾向も見られますが、インターモーダル鉄道やヤードのキャパ不足や、シャーシ不足もあるため、切り替えは簡単なものではありません。 これまでは物流の混乱により、スピード重視のために平均トラック積載重量は過去1年間で10~20%減少しました。今後はトラックの積載をMaxにして輸送する必要があります。 7月の北米西岸労働交渉 7月の北米西岸の労働交渉へ向けての動きも出てきています。 全米小売業協会が2月、港湾労働者組合(ILWU)と使用者団体である太平洋海事協会(PMA)に対し、早期に協議を開始するよう促しました。 PMAは、直ちに交渉を開始する準備ができているとしましたが、ILWUは5月までは準備が整わないとしています。 ILWUとしては市場が混乱している方が有利に交渉を進められるため、すぐにスタートする理由はなく、港の自動化がテーマにある今回の交渉にはだいぶ時間かかりそうです。 マークスの戦略 次に、海運大手のマースクがEVトラック300台導入を発表しました。 マースクは現在世界第二位のコンテナ船社であり、近年、様々な企業の買収を進め、海運のみでなくトータルロジスティクスを目指し、戦略をシフトしています。 現在北米ではトラックドライバー不足が深刻で、8万人ほど足りていないと言われています。 人手不足の問題解消のため、高速道路の運転自動化を目指していますが、州によって異なる規則や、安全性の面での問題があるため、すぐに実現することは難しいでしょう。 上海ロックダウンの影響 最後に、上海市のロックダウンのニュースです。 港は問題ありませんが、トラック輸送で不具合が生じ、貨物の引き取りが困難になりそうです。上海港は世界最大の港なので影響は大きく、北米、欧州への輸送にどのように影響するのかが注目です。 今回のニュースはいかがだったでしょうか。 役に立った、わかりやすかった方はぜひチャンネル登録、フォロー、SNSでシェアをよろしくお願いします! 今回は以上です!ありがとうござました! ・Twitter で DM を送る https://twitter.com/iino_saan ・LinkedIn でメッセージを送る https://www.linkedin.com/in/shinya-iino/ お問い合わせは「ツイッター」と「LinkedIn」のみで承っております。

北米メーカー、メキシコ・中南米からの調達増加!アジア地域からの仕入れ減少。生産拠点をより自国の近くへ。 | 物流ニュース・物流ラジオ

北米メーカー、メキシコ・中南米からの調達増加!アジア地域からの仕入れ減少。生産拠点をより自国の近くへ。

どうもこんにちは、飯野です。 本日は、WSJの記事から「メキシコのサプライヤーからの調達入札が急増、中国からの購買が減少」についてお話していきたいと思います。 2022年4月7日イーノさんの物流ラジオ メキシコのサプライヤー台頭 現在、世界的にサプライチェーンが混乱し、各メーカーが仕入れを再構築しています。 その中でメキシコのサプライヤーが台頭しているというデータが出てきました。 ソフトウェア調達会社のJaggaerによると、昨年、アメリカの大手メーカーの、メキシコ拠点のサプライヤーからの仕入れは、2020年に比べて6倍増になったとのことです。製品は、化学品、農産物、建設資材などです。 また米国製造業大手顧客30社のデータによると、調達入札を受けた中国のサプライヤー数は2021年に9%減少したと、発表しています。 コロナの発生、港湾のボトルネック、異常気象、紛争などの一連の供給ネットワークへの打撃があり、そこから回復を図る動きです。 中南米サプライヤー増加、アジア地域は減少 また、同社は、2020年から2021年にかけて、米国の大手バイヤーから入札を受けるメキシコのサプライヤーは514%増加し、中南米のサプライヤーは155%増加したこと発表しています。 同時に、それらのメーカーのアジア太平洋地域のサプライヤーからの仕入は26%減少しているとしています。 サプライチェーンの変化 ロンドンのコンサルティング会社が、米国と英国の経営者2,000人を対象に行った調査によると、15%が生産を自国の近くに移したり、近隣地域のサプライヤーから調達したりしており、26%はそれを検討中であることが分かりました。 「1社から2社、3社、4社と、さまざまなサプライヤーから商品を調達し、棚に並べ、消費者に提供することができる」とし、「現在、取り組んでいる大きな課題」であると記事は報じています。 仕入れ先を複数の会社から、複数の地域からにし、更に仕入れは自国の近くにしようという動きがあります。 生産拠点のシフト それによって、生産拠点が変わりつつあります。アジアから欧米への長距離航路が減る方向にシフトしているような形です。 また、メキシコや中南米から北米への輸送が増えると、中南米がさらに大きく発展していくきっかけになります。 こういったマーケットの動きをみると、今後のメキシコから北米へのトラック輸送の増加、欧州向けにアフリカ北部への投資の増加など、考えられます。 今回のサプライチェーンの乱れで、生産拠点を自国から離しておくことは大変リスクだと特に欧米の方は意識し始めたと思います。 今後も世界のトレンドがどうなっているのか、引き続き情報をアップデートしていきますので、今後の動きの指標にしていただければと思います。

上海ロックダウンが延長!荷主・フォワーダー、代替ルート探し難航。物流の混乱長期化か。 | 物流ニュース・物流ラジオ

上海ロックダウンが延長!荷主・フォワーダー、代替ルート探し難航。物流の混乱長期化か。

どうもこんにちは、飯野です。 本日は、海事新聞のニュースから、「上海市のロックダウンが当初の期限より延長される方向で、物流の混乱も長期化しそう」についてお話していきたいと思います。 2022年4月5日イーノさんの物流ラジオ 輸入貨物の滞留 上海市のロックダウンの中、上海港自体の運営は続いていますが、陸上輸送の制限でコンテナ搬出入に支障が出ており、輸入貨物が港で滞留しています。 荷主・フォワーダーは代替ルートの確保に追われています。 作業率の低下 上海港のコンテナターミナルが稼働を継続していますが、作業員などは外部から隔離された状態で港湾地区にとどまり、泊まり込みで、荷役作業に当たっています。 しかし作業者に感染者が出るなど、作業効率は低下しているようです。 リーファーコンテナのプラグなど、ヤード内設備の問題などから、日中航路を運航する船社の一部では上海向けリーファー貨物と危険品のブッキングの一時停止を決めました。 港にある電源プラグ、コンセントの数には限りがあり、貨物が搬出されないため、供給できるプラグがありません。 ドライバーへの負荷 また、コンテナを搬出するドライバーが上海港での仕事を嫌がっているとのことです。 上海港のコンテナ搬出入では、ドライバーが専用アプリに登録し、48時間以内のコロナの陰性証明などを提出しなければいけません。さらに、省をまたいでの陸上輸送では、戻ってきた後の隔離期間も必要となります。 緊急貨物などでドライバーに特別手当を払って運ぶというような対応はできますが、全ての貨物で行うのは不可能です。 上海市外の貨物については事実上、上海港との搬出入ができない状態です。 食料品など必需品の輸送に対しては、行政から「通行証」が発行されますが、この通行証の目的外利用など悪用する動きも出ているとのことです。 CFS、閉鎖状態 また、上海市内のCFSは人手が集まらず、実質上「閉鎖状態」です。 CFSは混載貨物を集めて一つのコンテナに仕立てる場所で、混載貨物(LCL)は業務を停止しています。 港以外のところに制限があるため、港だけを稼働させたらいいという訳ではありません。 代替ルート 上海市内・市外の移動が難しいため、荷主は上海港に近い太倉港(たいそう)、寧波港、などへのシフトを検討しています。 太倉港は上海市中心部から車で1時間程度の距離にありますが、ここでもコロナが出てドライバーが嫌がっているようです。寧波港は欧米など長距離航路の代替サービスは多いですが、日中航路など近海航路の寄港便は限られています。 日本向けの輸入を手掛ける、あるフォワーダーは「荷主手配で、青島や石島(せきとう)など華北港まで転送してもらい、そこから代替輸送している」と発言しています。 ただ、長距離の陸上輸送そのものが厳しい状況に変わりはなく、代替ルートの開発には手詰まり感も出てきたと記事は報じています。 難しい代替手配の対応 急な代替え手配ほど対応が困難になります。 今回は上海ロックダウンの突然の延長のため、他の港へ手配するとしても、翌週の船のスペースがないことも多いです。 すでに上海向けのコンテナを港に入れてしまった場合は、コンテナを取り出して、別の船会社にスペースを確保し直さなければなりません。場合によってはコンテナから貨物を取り出し、開梱し、エアーに切り替えて運ぶこともあります。 今回のような急な場合は、運がよければ、代替えが手配できるような状態です。 混乱続く 短期間での代替えの提案は、通常時ならまだしも、コロナ禍での手配なのでかなり難しいです。 教訓として、これまで中国は何度も港を閉鎖してきたため、こういうのは、ありきで考えないといけなかったのかもしれません。 しかし、アクシデント的なところもあるので、予想することは大変難しいです。 引き続き情報をアップデートしていきたいと思います。