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輸送・ロジスティクス

海上輸送のSOCコンテナについて | 輸送・ロジスティクス

海上輸送のSOCコンテナについて

海上輸送のSOCコンテナについて動画で解説 SOCコンテナとは どうもこんにちは。飯野です。 今回はSOCコンテナについて解説をしていきたいと思います。 まずSOC(Shipper’s Own Container)コンテナとは、フォワーダーや一般荷主などがコンテナ所有・管理している物の総称です。 他方、COC(Carrier’s Own Container)コンテナは、船を運行する船会社が所有・管理しているコンテナです。 これらには 具体的にどのような違いがあるのでしょうか? 詳しく見ていきましょう! コンテナの所有者は? そもそもコンテナの所有とはどういうことでしょうか? ある一定規模以上で輸出入をする個人や会社が20’feetや40feetのコンテナの中に貨物を積めて国際輸送しています。 ところで、このコンテナは誰の物なのでしょうか?  輸出者や輸入者が購入するのでしょうか? それとも別の第三者の持ち物なのでしょうか? このコンテナの「所有者」の部分が今回のテーマです。 COCコンテナとSOCコンテナ コンテナは、大きく分けると次の2つの所有形態があります。 1. 船を運航する船会社(= リース会社) 2. 実際に荷物の輸送を依頼する依頼者(荷主) 実際はこの他にも いくつかの形態があるんですけれども、話を簡単にするために、ここでは主に2つの形態しかないとします。 そしてこの1番と2番のそれぞれの事を 1. COCコンテナ 2. SOCコンテナ と言います。 なぜこのようにCOCやSCOコンテナがあるのでしょうか?  これらにはどういったメリットがあるのでしょうか? まず先に結論をお伝えします。 一般荷主であり通常の状況であれば、SOCコンテナを使うメリットはほぼない これが結論です。それでは、それぞれを詳しく確認していきます。 COCコンテナについて まずCOCコンテナです。 COCコンテナは先程ご説明したように船会社が管理・所有するコンテナです。 一般の荷主における貿易取引はこのCOCコンテナを使い行われています。 メリットとデメリットは次の通りです。 COCコンテナのメリット COCコンテナのメリットは 1. 空コンテナの扱いに困らない。 2. コンテナが余っているときは、輸送費を値下げしてくれる場合がある 主にこれらのメリットがあります。 COCコンテナの費用は通常の運送費の中に含まれています。 そのため貨物を輸送し、中身を取り出したら、あとは空コンテナを返却するだけです。 デバン後の空のコンテナの保管には悩みません。 また需給バランスにより、港にコンテナが余っている場合は、輸送費の削減を受けられることがあります。 実は世界中のコンテナは、諸外国を行ったり来たりしているため、常に需給バランスが変わります。 コンテナが不足している場所では料金が高くなり逆にコンテナが余っている場所は少しでもコンテナの稼働率を上げるために送料を値下げして提供します。 昨今のコンテナ不足でご経験されている方も多いと思いますが、コンテナがないと海上運賃が3倍になったり、向け地によって10倍以上になっているところもあります。 COCコンテナのデメリット 次にCOCコンテナのデメリットです 1. コンテナの数に不均衡が発生すると そのまま輸送コストupにつながる。 2. ディテンションチャージに注意する必要がある。 などがあります。 メリットでもご紹介した通り何らかの理由で、コンテナの需給バランスが崩れるとそれがそのまま輸送コストとして反映され、○○サーチャージ等で請求されることがあります。 また船会社のコンテナなので返却が必要な為、常にディテンションチャージ注意をしなければいけません。 SOCコンテナについて 次にSOCコンテナについてお話しします。 SCOコンテナは、NVOCC(フォワーダー)や一般荷主などが、コンテナを管理、所有している物です。船会社が所有していないため、イレギュラー時の費用負担が最小になるのが特徴です。 しかし、結論の通り平常時はCOCコンテナよりも優れているとは言い難いです。 メリットとデメリットは、次の通りです。 SOCコンテナのメリット SOCコンテナのメリットは 1. コンテナのまま移動、保管ができる。 2. 質の悪いコンテナによる貨物事故を防げる。 これがあげられます。詳しく見てみましょう。 SOCコンテナは自社で所有する場合が多いため、輸入コンテナのまま長期間 保管できます。 返却する必要がないのでディテンションチャージ等が発生しないからです。 また使用するコンテナを自社で管理できる点も魅力です。 COCコンテナの場合、予約時においては どのような空コンテナがくるのかは分かりません。中には穴が開いているコンテナが来ることもあります。 本当に質の悪いコンテナを割り当てられるケースもありますので、これが常に自社でコントロール出来るのは魅力的だと思います。 SOCコンテナのデメリット 次にSOCコンテナのデメリットです 1. 初期投資が必要 2. 管理をするために費用と時間がかかる。 SOCのデメリットとして最初にコンテナを購入する資金がいることです。 コンテナに資金が固定されるためキャッシュフローが悪くなります。 また自社でコンテナを所有するゆえの「管理コスト」も必要です。 例えば空のコンテナを保管するためのスペース、棚卸費用、管理、保守などの費用や手間が発生するということです。 以上がSOCとCOCコンテナの違いになります。 まとめ それでは今回の話をまとめてみましょう。 海上輸送で使用するコンテナは大きく分けて2種類あります。 それが船会社が所有するCOCコンテナと フォワーダーや一般荷主などが所有するSOCコンテナです。 この2つのタイプのコンテナにはそれぞれメリット・デメリットがあって COCコンテナのメリットは ・空コンテナの扱いに困らない。 ・コンテナが余っているときは、輸送費を値下げしてくれる場合がある デメリットは ・コンテナの数に不均衡が発生すると そのまま輸送コストupにつながる。 ・ディテンションチャージに注意する必要がある。 一方で SOCコンテナのメリットは ・コンテナのまま移動、保管ができる。 ・質の悪いコンテナによる貨物事故を防げる。 デメリットは ・初期投資が必要 ・管理をするために費用と時間がかかる。 という話でした。 昨今のコンテナ不足の問題で、コンテナがないからSOCコンテナを導入すれば良いのか?と考えられる荷主さんもいるかも知れませんが 海上輸送はコンテナだけでなく、船のスペースも関係しています。 これについてはまた別の機会にお話をしていきたいと思います。 今回の内容は以上となります。ありがとうございました! ・Twitter で DM を送る https://twitter.com/iino_saan ・LinkedIn でメッセージを送る https://www.linkedin.com/in/shinya-iino/ お問い合わせは「ツイッター」と「LinkedIn」のみで承っております。

Air Way Billの料金記載について | 輸送・ロジスティクス

Air Way Billの料金記載について

Air Way Billの料金記載について動画で解説 どうもこんにちは。飯野です。 今回は航空貨物輸送で取り扱う書類「Air Way Bill」の中の料金記載方法について解説をしていきたいと思います。 Air Way Billとは 「Air Way Bill(エア・ウェイビル)」とは航空運送状のことですが「AWB」と省略されたり、業務上「B/L」と呼ばれることもあります。 宅急便で物を送るときの送り状や伝票のようなイメージで捉えると分かりやすいと思います。 Air Way Bill記載事項 そして Air Way Billには主に ・荷主、輸出者 ・荷受人、輸入者 ・積地 ・仕向け地 ・輸送する製品 ・物量 ・航空運賃等の輸送料金 のような情報が記載されています。 では、Air Way Billの中でも料金の記載方法についてはどのように取り決めがされているのでしょうか。 料金の記載方法の取り決め Air Way Billはエアーで貨物を輸送する際にはそれを手配する航空会社、もしくは貨物を混載して運送するフォワーダーなどが発行している書類です。 Air Way Billには、航空会社からフォワーダー等の運送人に対して発行されるマスター・エア・ウェイビル(Master Air Waybill=MAWB)と、運送人が発行する混載航空運送状であるハウス・エア・ウェイビル(House Air Waybill=HAWB)があります。 IATA規則 Air Way Billは通常国際航空運送協会(IATA)の規則に基づいて作成されます。 料金の記載方法についても取り決めがされています。 Air Way Billに記載される料金内容は貨物を飛行機で輸送する際に発生する航空運賃・燃料費・セキュリティーチャージ・その他手数料など、エアー輸送に関する部分が多いです。 Air Way Billに記載されている情報では、貨物の出荷に対して「何がどのくらいの量輸送をされて、どのくらいの料金がかかったか」という情報は非常に重要な部分となります。 「Rate/Charge」欄 Air Way Billには、貨物の個数・重量と併せて「Rate/Charge」の箇所で、貨物1kgあたりにかかる航空運賃が記載されます。 燃料費・セキュリティーチャージ・その他手数料などはOther Chargeの箇所でまとめて記載されています。 航空会社の輸送にかかる航空運賃は IATAに加盟する航空会社が世界中の各向け地に対して取り決めている運賃率に基づいています。 一方、フォワーダーなどが航空会社へ支払う航空運賃は、混載する貨物の重量が多いほど1kgごとの単価が安くなる重量逓減(ていげん)制となっています。 「Rate Class」欄 そして「Rate/Charge」と併せて、「Rate Class」を記載する箇所がありますが、これはその貨物に対しての航空運賃の計算方法を示しています。 Rate Classは貨物の重量によって変わります。 計算対象となる重量は、貨物の実重量もしくはM3を基にした容積重量の値が大きい方が適用されることとなります。 また、Rate Classには「M」「N」「Q」のようにいくつかの種類があります。 MはMinimumを表し、1つの輸送に関して航空運賃が航空会社が定めている最低料金以下の小口の貨物に対して使用されます。 Minimumであれば1kgごとではなく、輸送する貨物全体に対して決められたMinimum運賃が適用されることとなります。 そして NはNormalといい、Normal Rateと言われる45kg未満の貨物に対して適用される割高の航空運賃となります。 最後にQはQuantitative Rateで、45kg以上の貨物に対しての航空運賃が適用されます。 航空運賃は重量が重くなるにつれて安い料金が適用されるので、このときに少量貨物で料金を計算するのではなく、一定以上の重量として料金を計算した方が安く済むことがあります。 例えば、40KGの貨物で45kg未満のNormal Rateを適用するよりも、45kgとして45kg以上のRateで計算した方がトータルの航空運賃が下がるケースです。 このような計算方法を「As取り」と呼び、Rate ClassはNではなくQを使用します。 料金記載によるよくあるトラブル また航空運賃等の料金をAir Way Billに記載すると、荷主にとって問題となってしまうケースがあります。 では、どういった場合に問題が生じるのでしょうか。 Air Way Billは、輸出者と輸入者に貨物手配の証明として送付されます。 そのAWBに航空運賃が記載されていると、建値がCIFの場合、貨物のCIF ValueからAWBに記載されている航空運賃を差し引いて製品自体の価格が明確になってしまいます。 輸出者によっては航空運賃に金額を上乗せして売値をつくっていたり、製品単価を明確になると輸入者との取引交渉で不利になる場合があるので、AWBに航空運賃を記載して欲しくないケースがあります。 「As arrange」表記 Air Way Billで価格を表記したくない場合は、Rate/ChargeとTotalの箇所を「As arrange」と表記し価格を隠すことができます。 Air Way Billを発行する際には、この「As arrange」の表記が使用されているケースの方が実際に多いのです。 輸入者や輸出者に対して発行されるAir Way Billの中でも、料金については重要な情報となります。 Air Way Bill作成の中でも特に記載ミスがないように注意が必要な内容となるでしょう。 今回は以上になります。ありがとうございました。 ・Twitter で DM を送る iino_saan ・LinkedIn でメッセージを送る https://www.linkedin.com/in/shinya-iino/ お問い合わせは「ツイッター」と「LinkedIn」のみで承っております。

ドレーの名称・料金体系について | 輸送・ロジスティクス

ドレーの名称・料金体系について

ドレーの名称・料金体系について動画で解説 今回はドレーについて、名称や料金体系の解説をしてきたいと思います。 ドレーとは何か まず「ドレーとは何か?」から説明を始めましょう。ドレーとは海上輸送で使われている20フィートや40フィートなどのコンテナを陸上輸送することを言います。 輸入の場合は保税地区にあるコンテナヤードから輸入者の工場など指定の場所まで輸送すること、輸出の場合はその逆で輸出者の工場や倉庫からCYまで輸送することです。 昨今の日本では「ドレーが取れない」という言葉をよく聞きます。私も日本に貨物を送る時でスケジュール通りに必ず届けないといけない場合、ドレーの手配に関しては気を使ってしまいます。 日本におけるドレー手配の難しさの原因一つはドライバー不足にあります。そしてオリンピックや災害復興などでの建設需要も影響したりします。 ドレーに関する名称 ドレージ まずドレーに関する名称ですが、業者によっては「ドレージ」と呼ぶこともあります。アルファベットでもドレージと書きます。またトレーラーと呼ぶ人もいます。全部同じ意味です。 そして輸送を主たる業務としてドレーを使って経営している会社のことを「ドレー会社」と呼び、タイでは「トレーラーカンパニー」と呼んだりもしています。 トラクタヘッド/トレーラーヘッド 時々 トラックの頭だけの車両が、大きな道路で走っているのを見たことがある人もいると思います。 あれは「トラクタヘッド」、「トレーラーヘッド」、または「ヘッド」とだけ呼び、あの後ろに海上コンテナを専用に積載するトレーラを牽引して輸送先まで運んでいます。 シャーシ そして、そのトレーラのことをシャーシと呼びます。ドレー会社はこのシャーシを沢山持っている方が有利です。 なぜならコンテナを乗せたシャーシをお客様の所に置いて、お客様が積み込み・積み下ろしをしている間に、ヘッドが別のシャーシで別の仕事に向かうことが出来るからです。 ドレーの料金体系 基本的にドレーの料金は港から輸送先までの距離で決められています。細かく何キロでいくら、というよりは地域で設定されている業者さんが多いです。 特に何もなければこの基本料金だけでドレーの依頼はできます。しかし他にも付加的に様々な料金がかかってきますので、そちらも十分注意をしなければいけません。 この付加料金についても詳しく見ていきましょう。 待機料金 まずは待機料金が発生する場合があります。 コンテナを港から運んできてドライバーさんは、また港に行ったり、別の仕事に行かないといけないので、倉庫や工場で積み込み、積み降ろしをしている際は待機をしています。 通常の時間内であればこの待機料金も基本料金の中に含まれており、大体2時間くらいです。 しかしその時間を超えて待機が発生した場合には、その分の待機料が請求されることになります。 なのでドレーを依頼して倉庫や工場に着く時間を指定した際には、必ずその時間から積み込みや積み降ろしが開始できるように調整しておいた方がいいです。 シャーシの最大積載重量 シャーシには大きく分けて2軸と3軸があります。この軸とは、左右のタイヤを連結させている棒のことなので2軸の場合はタイヤ4個、3軸の場合はタイヤ6個になります。 2軸シャーシの場合、コンテナの総重量が20フィートなら約20トン、40フィートなら約24トンまで 3軸シャーシの場合、総重量が40フィートで約24トン、40フィートで約30トンまで と日本の国内関係法令で定められています。 そして海外ではそれぞれの国で道路を走るトレーラーの重量規制が違いますので、重たい貨物を運ぶ際は事前に確認をしましょう。 そして付加費用ですが、3軸シャーシの方が一般的に数が少ないので高くなります。 国や業者によっては、2軸も3軸も同じ価格の場合がありますが、日本だと相場的に3,000〜5,000円ほど高くなっています。 MGシャーシ費用 あとはMGシャーシ費用というものがあります。これはリーファーコンテナと呼ばれる温度を一定に保つことのできる低温輸送用コンテナを運ぶことができるシャーシです。 MGはMotor Generatorの略で、電力を供給する発電装置がついており輸送中もリーファーコンテナ内の温度を保つことができます。 このMGシャーシは料金がとても高くなります。シャーシ自体の購入費用が高いので保有しているドレー会社も限られています。なので、もしリーファーコンテナでの輸送があればすぐにシャーシを確保する事をお勧めします。 まとめ ドレーの名称や料金体系について理解いただけたでしょうか。正確な料金設定はドレー会社さんによって変わりますので必ず確認してください。 ドレーは通関業者を通して通関と一式で依頼されるケースが多いですが、自分で依頼することもできます。 ですが日本の場合だとドレー不足もあり、ドレー手配に慣れている業者に依頼する方がいいかもしれません。手配の際は今回ご説明した様に重量や付加費用に注意しましょう。 ・TwitterでDMを送る https://twitter.com/iino_saan ・LinkedInでメッセージを送る https://www.linkedin.com/in/shinya-iino/

通関士の仕事について | 輸送・ロジスティクス

通関士の仕事について

通関士の仕事について動画で解説 今回は通関士の仕事について解説をしていきたいと思います。 通関士と聞いてどのような仕事をイメージするでしょうか? 英語を使う仕事なのか?関税を安くする仕事なのか? など 国際物流業に携わっていないと、それほど身近ではない通関士の仕事は理解されにくいかもしれません。 今回はそんな通関士の仕事について紹介します。 通関士の業務内容 通関士は通関業務を行う専門職で、そして通関業務とは大きくわけて3つあります。 1. 他社から依頼をうけて、貨物の輸出入をする際に税関に申告をして許可を受ける 2. 関税法などの処分に対して、税関長や財務大臣への不服申し立てをする 3. 税関各署に対する主張または陳述をする ほとんどの業務は輸出入の際に税関に申告して許可を受けるまでの1.の業務を毎日やり続けます。 2.3の業務は1の後に不服があった場合に申し立てや陳述するので、通関業務といえば主に1の申告業務を指します。 申告業務 申告業務が通関士の主な仕事ですが、申告業務がどういったものかもう少し詳しく説明しましょう。 通関士は輸出入において他社の依頼をうけて税関に申告します。 その輸入者、輸出者から輸出入に関わる商品の請求書、船積み書類などをもらって代わりに税関に申告し、必要な検査などをうけて 税関から許可をもらいます。 では実際にどのように申告をしているかを紹介します。 申告には輸出と輸入があるのですが 輸入申告は自国に入れていい貨物、武器や麻薬のように絶対に入れてはいけない貨物があり 輸入申告は輸出申告より厳しいと日常業務で感じています。 なので、今回は輸入申告について詳しく見ていくことにします。 輸入申告 必要書類 輸入申告で必要な書類はこのようなものです。 ・インボイス ・パッキングリスト ・B/L ・アライバルノーティス ・商品説明書 ・原産地証明書 ・他法令に該当すれば他法令の許可書 貨物を輸入する為に、これらの書類を準備して通関士さんに送りましょう。 HSコードの確認 通関士はインボイスを見て商品のHSコードを実行関税率表で確認します。 この実行関税率表にはHSコードと呼ばれる税番がのっています。 すべての品物に9桁の数字の税番を決めます。 次に関税率を確認します。 例えば、タイ産のマンゴーを日本に輸入する場合、マンゴ-はEPAを使うと関税0%になり 関税額はゼロと確認をします。 実際の業務では、税関と通関業者はNACCSといわれるシステムでつながっているため、通関士はそのシステムにHSコードや金額を入力すると税額は計算されます。 輸入申告は送信のボタンを押すだけです。 また必要な書類は税関にPDFで送ることも出来るようになっており、時間の短縮につながっています。 このように説明すると通関士の仕事は意外と簡単そうと思われるかもしれません。 しかし申告書を作成するのに1件5分で仕上げられるものと、丸一日以上かかる複雑なものがあるのです。 1インボイスで商品が100アイテムあった場合、それに伴い 税番をそれぞれ振り分け、税率ごとにまとめたりします。 そして税番を振り分けるというのも一筋縄ではいかないところです。明らかに税番が決まるものありますが、該当しそうな税番がいくつもあるものは 事前に税関に相談したりする場合もあります。 それによって関税率が変わり、輸入の費用に影響がでるため重要なところです。 NACCSで申告 輸入申告では 1. 即時許可 2. 書類審査を経て許可 3. 書類審査を経て現品検査、その後許可 の3パターンがあります。 申告はNACCSで申告の送信ボタンを押すとランダムに1.2.3の数字が表示され、1だとそのまま許可です。 2.3.の場合は申告に必要な書類を添付して税関に送付し、税関の担当者からの連絡を待つことになります。 書類上問題がなければ、そのまま許可になることもあれば、貨物検査をすることになると検査の指定表が送られてきます。 貨物検査の立ち合い 貨物検査は通関士か通関従業者が立ち会うことになりますが、貨物検査の瞬間は通関士に緊張感が走ります。 指定された箱を持ち込んで税関職員と顔を見合わせながら箱を開けるのですが、それまで中身をみることはできません。 輸入したものの場合、「書類と違う物が出てきたらどうしよう。。」と通関士はいつも思いながら開けるという話を聞きます。品物が違う、数が違う。書類に書いてあるもの以外のものが出てくることもあるのです。 申告したからには、通関士が許可まで責任を持たねばなりませんので、毎回ドキドキしながら貨物検査を受けることになります。 何はともあれ、許可が出れば、貨物を引き取り国内貨物として流通できるようになります。 その許可について不服がなければ、通関士の1件の申告は終わりになります。 最後に余談ですが、身の回りのものは すべて税番を言える通関士さんもいます。 百科事典のような実行関税率表が頭にはいっているということなので、とてもすごいことなのですが、通関士以外の人に言っても、なかなか凄さが伝わりません。 これがなぜ凄いかというと、製品の材質や用途など詳細が分かり、各税番が分かっているということを意味しているのです。 例えば椅子だったら、木製なのか革貼りなのか、寝台として使えるのか、スプリングが入っているのか。これで全て税番が異なります。 なので、依頼した通関業者から商品の説明を詳しく聞かれた場合には、対応してあげてください。 まとめ 今回の解説で通関士の仕事内容がイメージ出来たでしょうか。 貨物の輸出入には通関士が影で活躍しています。 普段通関士のことを考えたことがない人も、通関士が通関した品物を毎日使っています。 通関士は納期に間に合わせよう、予定の船や航空機に載せられるように、必死に計算し、書類を照らし合わせています。 きちんとした書類、必要な書類は渋らず出してくれると 通関士の仕事に大いに役立ちますので、何卒ご協力をお願いします。 ・TwitterでDMを送る https://twitter.com/iino_saan ・LinkedInでメッセージを送る https://www.linkedin.com/in/shinya-iino/

タイに食品を輸入する方法について | 輸送・ロジスティクス

タイに食品を輸入する方法について

タイに食品を輸入する方法について動画で解説 今回はタイに食品を輸入するためのFDAの登録する方法について解説をしていきたいと思います。 FDAの登録 タイで食品の輸入をするには、タイのFDA(Food and Drug Administration)の登録許可が必要になります。食べられる物であったとしても、何でもかんでも輸入出来る訳ではありません。 タイの食品法に基づいて輸入許可が下りなければ、いくら日本や諸外国で食べることが許されている食品でもタイに輸入は出来ません。 弊社では鮮魚・野菜・フルーツ・加工食品・飲料・お酒などの食品を日本から輸入通関している実績があり、それぞれの商品のFDA登録をしてきました。 今回の内容は弊社のFDA登録に基づく経験でのお話しです。 注意点なのですが、FDAの担当官によっては要求してくる書類が違ったりするかもしれませんので、あらかじめご了承願います。 慣れている業者に依頼がお勧め 一番大切なポイントなのですが、FDAの登録を全て自分で手配をするとなると、かなりの時間を使うことになります。 FDAに頻繁に通えるロケーションやFDAの担当官との人間関係も大きく影響するからです。 FDAの申請には慣れている業者に依頼する方がスーピーディーにストレスなく登録手続きが出来ますし、本来の目的である食品を輸入してプロモーションや販売をすることに注力する事をお勧めします。 食品にも色んな種類の物があります。タイで輸入が禁止されている成分が使われているものがあったり、乳幼児が口にするような物などもあります。 タイで安全な食品を流通管理するために、FDAに登録申請する為の書類は商品によって異なります。FDA担当官が特定の書類の手配の要求をすれば基本的には用意しなければいけません。 しかしコネクションがあると追加書類の要求も緩くなる場合があります。 FDA登録プロセス それでは、タイにて食品輸入のFDA登録完了までの 必要なプロセスをご紹介します。 1. 貨物輸入ライセンスの取得 2. 食品の輸入ライセンスの取得 3. FDAのカテゴリー登録 4. FDAの製品登録 それでは1つずつ見ていきましょう。 貨物輸入ライセンスの取得 そもそもの話なのですが タイに貨物を輸入する輸入者としてのライセンスが必要です。 個人ではなく会社としての登録が必要です。 輸入したことが無いという企業様はライセンスを取るか、輸入の代行業者に依頼をすることになります。 食品の輸入ライセンスの取得 貨物を輸入するライセンスがあれば、食品でもなんでも輸入出来るかというとそうではありません。食品の場合は食品を輸入するためのライセンスが必要なのです。 この登録に必要なのがこれらの書類になります。 ・Company Registration(6ヶ月以内) ・代表者のパスポート ・会社の株主一覧書類 ・ワークパーミット ・登録住所証明書類 ・輸入貨物を保管する倉庫の地図・図面 ・倉庫の使用許可書 ・食品管理倉庫周辺の地図 ・社印 申請期間は「すべての書類を提出してから」約2週間ほどになります。 保管倉庫の登録 そして、FDAに申請をするためには食品を保管する倉庫を準備しなければいけません。輸入して直接配送先にお届けする場合であっても登録には倉庫情報が必要なのです。 食品の内容によっては冷凍・冷蔵倉庫が必要になります。まだ事業が大きくないという場合はこの倉庫の条件がちょっとしたハードルかもしれません。 弊社でもそのようなお困りごとに対応してきた実績がありますので、ご相談頂ければと思います。 FDAのカテゴリー登録 食品の輸入ライセンスが取得出来たら、どのカテゴリーの商品を輸入するのかを申請する必要があります。 野菜・フルーツ・肉・飲料・加工品など、輸入したい商品情報を頂けましたら弊社でどのカテゴリー登録が必要かをご連絡します。 例えば、「加工品」でカテゴリー登録した場合 輸入可能な食品は ・パックの味噌汁 ・サバの缶詰 ・オリーブの瓶詰 そして、輸入が出来ない食品は ・キャベツ ・牛肉 ・サーモン このようになります。このカテゴリー申請の時に必要な書類は特にありません。申請期間は約1週間です。 FDAの製品登録 カテゴリーの登録が終われば、最後にどの製品を輸入するのかの製品登録があります。商品カテゴリーによって求められる書類は異なるのですがこのような書類は求められます。これは加工品の場合の例です。 1. 商品名 2. 商品写真 3. 商品ラベル 4. GMP / HACCP ハサップ / ISO 5. 成分分析表 6. 製造工程表 7. 商品サンプル 大体、これらの書類が要求されますが 担当官によってはによっては別の書類が要求されることがあるかもしれません。申請期間としてすべての書類を提出してから約1週間〜2週間ほどとなります。 まとめ 実際に多くの食品のFDA登録をやってきた経験上ですが、タイでのFDAの登録申請は慣れていないとかなり手間がかかるというのが私の印象です。 追加書類の要求がいきなり来たりしますので、お客様には事前にタイのFDA登録申請の複雑さをお伝えさせて頂いております。 必要書類の手配はお客様のご協力が必要となりますので、何卒ご理解して頂ければと思います。 タイでは日本食などの人気は高く販路拡大のためにタイに進出される企業様も沢山いらっしゃいます。 タイのFDAの登録はどこにどうやって依頼したらいいの?と思われましたら、ぜひ弊社にお問い合わせ下さい。 ・TwitterでDMを送る https://twitter.com/iino_saan ・LinkedInでメッセージを送る https://www.linkedin.com/in/shinya-iino/

冷凍鶏肉の輸入について | 輸送・ロジスティクス

冷凍鶏肉の輸入について

冷凍鶏肉の輸入について動画で解説 今回は タイから冷凍鶏肉の輸入手続について 解説したいと思います。 実はタイは食肉用の鶏(ブロイラー)の飼育量が多く、日本にとって最大の 鶏肉や鶏肉加工品の供給国なんです。 そんなにタイ産の鶏肉を食べている実感はないかもしれませんが、あのマクドナルドのチキンナゲットはタイ産の鶏肉だったりします。 スーパーマーケットの食品売り場で売られている鶏肉の唐揚げも、原産地を見たらタイだったりすることは少なくありません。 意外だったかもしれませんが身近なところにタイ産の鶏肉は沢山あるのです。 食肉及び食肉加工製品の輸入 食肉及び食肉加工製品の輸入に関しては、農林水産省管轄の家畜伝染予防法に基づく畜産物の輸入検査と、厚生労働省管轄の食品衛生法に基づく食品の輸入審査や検査を受ける必要があります。 家畜伝染予防法の手続について まずは家畜伝染予防法の手続についてご説明します。 海外から家畜の伝染病の侵入を防止するため、農林水産省が動物検疫所にて 家畜から作られる肉製品などの畜産物を対象に輸出入検査を行っています。 この検査は、輸入ボリュームや個人用、商用等の用途にかかわらず必ず受ける必要があります。 家畜伝染予防法に基づく「指定検疫物」 鶏肉は家畜伝染予防法に基づく「指定検疫物」です。 輸入される動物や畜産物などを介して 日本に家畜の伝染病の病原体が持ち込まれる恐れがあるので、動物や畜産物などのうち 特にその可能性の高いものを指定検疫物としており、鶏肉はそれに該当します。 指定検疫物の輸入にあたっては、輸出国での検査証明書(Health certificate)の添付がなければ輸入出来ません。 少し難しく聞こえるかもしれませんが、輸出国での検査や証明する事項は輸出国と輸入国の間で決められています。 普段から鶏肉を輸出されているタイの業者さんは慣れていますので、事前に輸出者様に確認をしておきましょう。 動物検疫検査 貨物が到着しましたら 原則として検査を希望する日の前日までに、輸入港を管轄する動物検疫所にHeal Certificate、インボイス、パッキングリスト、BLなどの書類を添えて、「輸入検査申請書(畜産物)」を提出し、そして検査を受けます。 検査の結果、合格となれば「合格証明書」が発行されます。万が一、伝染病による汚染やその可能性が発見されると不合格となり滅却処分となります。しかし消毒をすることで合格とされる場合もあります。 動物検疫検査手続きは NACCSを使用して出来ますので、フォワーダーや通関業者へ依頼するのが一般的かと思います。 検査の項目と費用ですが ・動物検疫 検査申請料/品目 ・動物検疫 検査立会費用/件 ・動物検疫 検査ショートドレ-料/コンテナ があり 1品目とした場合、合計で約5万円ほどとなります。これくらいの費用は最低限かかってきます。 検査の申請や立会は頑張って自身で行ったとしても、コンテナの輸送料金などはどうしても発生しますので鶏肉の輸入の際にはこのような費用が発生することをご理解ください。 食品検疫 動物検疫をクリアしますと次は食品検疫が待っています。ここからは厚生労働省管轄の食品検疫所への申請となります。 マンゴーの輸入解説でもお話しをしましたが 個人使用目的で輸入する際には 特に手続は必要ありません。自分が自宅で冷凍鶏肉を食べる場合には規制はないのです。 なのでここでは 商売目的での輸入についてのお話として続けていきます。 まずは食品届を食品検疫所に提出します。これは食品衛生法によるもので、人体への安全性を確保し、衛生上の問題発生を防止するために 避けては通れません。 具体的に冷凍鶏肉を どれだけの量で タイのどこの誰から輸入するのか、それには日本で禁止されている添加物や残留農薬などが含まれていないか などを検疫所に届け出て確認をします。 届出申請は、輸入地を管轄する食品検疫所にて行います。申請には製造工程表や原材料表などが必要です。 これらは輸出者側で用意すべき書類ですので、取引決まったら早めに輸出者から入手しましょう。 届出申請の審査を経て、検査が必要だと判断をされた場合は 検査を受けなければいけません。 費用が発生するのはもちろんですが 約5営業日ほどの検査日数もかかりますので 輸入の際にはこのことも十分念頭においておくといいでしょう。 書類審査・検査の結果、違法でないと判断されると「食品等輸入届出済証」が輸入者に渡されます。 そして税関で輸入申告を行う際に「動物検疫の合格証明書」とこの「食品等輸入届出済証」を添付して申告し 税関からの輸入も許可されます。 冷凍ブロイラーの分割した物(その他のもの) ちなみに冷凍ブロイラーの分割した物(その他のもの)だと税表番号は0207.14.220となり、関税は一般関税で12%、EPA協定税率を使えば8.5%です。 このように関税がかかってきますのでこちらも忘れないで下さい。EPAを使う場合には原産地証明書の入手も必要です。 鶏肉は骨付きのものや一匹丸々のもの、そして肝臓などの内臓といった部位によって税関への申請が変わってきます。 単に「ブロイラー」の輸入申告ではなく、部位や冷凍・生鮮までも具体的に説明しなければいけません。 まとめ タイから冷凍の鶏肉を輸入する流れはこのようになります。 食肉を輸入するなんてハードルが高い、と思っていた方もいらっしゃるかもしれませんが、一つ一つの手順をちゃんと踏めば実現でいることがお分かりいただけましたでしょうか。 今回は特定の食品で例を挙げましたが、他の食肉でも基本的な流れは同じです。 一般貨物とは違い通関に時間がかかる商品ですので輸入する前の時点から通関業者やフォワーダーにしっかりと確認をしておきましょう。 ・TwitterでDMを送る https://twitter.com/iino_saan ・LinkedInでメッセージを送る https://www.linkedin.com/in/shinya-iino/

冷凍マンゴーの輸入について | 輸送・ロジスティクス

冷凍マンゴーの輸入について

冷凍マンゴーの輸入について動画で解説 今回は日本に食品を輸入する時の手続について解説したいと思います。食品と言っても多岐に渡りますので、タイ産の冷凍マンゴーを題材としてお話をしていきます。 日本への食品輸入手続きについて 近年は海外の名産品なども割と手軽に手に入るようになりましたね。 「自分でも個人輸入したい!」「輸入食品ビジネスを立ち上げたい!」なんて思った方もいるかもしれません。 ですが食品を輸入するには通常の輸入よりも複雑で手間がかかり、費用も発生する手続がたくさんあります。 食品を輸入するにはほとんどの場合、特別に資格や免許が必要なわけではありません。 極端な話、自動車部品メーカーが食品を輸入しようとしても、これから説明する厚生労働省や農林水産省の許可手続を取れば何の問題もありません。 まず、マンゴーは食品であるとともに植物でもありますので、農林水産省管轄の植物検疫所の許可を受けなければいけません。そして食品であるマンゴーは厚生労働省管轄の食品検疫を受ける必要もあります。 植物防疫 まず植物検疫所で行われる植物防疫ですが、これは植物に損害を与える恐れがある病害虫が日本に侵入することを防止する目的なので必要不可欠です。 外国の害虫によって日本の農作物が台無しになってはいけませんし、検疫というのは本当に大切なのです。 植物検疫をクリアするためにまずはタイの政府機関が発行した「植物検疫証(Phytosanitary Certificate)」の取得が必要です。 これがなければ植物を輸入することはできません。輸出者から必ず入手して下さい。入手できなければ、貨物は輸入できず滅却処分や送り返す事になってしまいます。 そして貨物が到着しましたら植物検疫所へ必要書類をそろえて、「植物、輸入禁止品等輸入検査申請書」を提出し、検査を受けます。 検査の結果、合格となれば「合格証明書」が発行されます。 万一、病害虫が発見されると不合格となりますが、消毒によって病害虫を取り除くことが可能であれば消毒後に合格となります。 検査の項目と費用ですが、まず項目には ・植物検疫 検査申請料 ・植物検疫 検査立会費用 ・植物検疫 検査シフト料 があります。 検疫検査シフト料というのは輸入港のコンテナヤードから検査場所までのドレー料金のことです。 そして費用はこれら全部で約5,6万円ほどします。 品目が増えれば更に金額は上がります。これくらいの費用は最低限かかってくるとご理解ください。 検査の申請や立会は頑張って自身で行ったとしても、コンテナの移動料金などはどうしても発生しますので、植物の輸入の際には十分注意する必要があります。 食品検疫 植物検疫をクリアしますと次は食品検疫が待っています。ここからは厚生労働省管轄の食品検疫所への申請となります。 ちなみに、個人使用目的で輸入する際には特に手続は必要ありません。自分が自宅で冷凍マンゴーを食べる場合には規制はないのです。なのでここでは商売目的での輸入についての話として進めていきます。 食品検疫は食の安全を守る食品衛生法によるもので 具体的にどの国から何をどれだけ輸入するのか、それには日本で禁止されている添加物や残留農薬などが含まれていないかなどを検疫所に届け出て確認をします。 食品届申請 食品届の申請に必要なのが製造工程表や原材料表などです。 これらは輸出者側で用意すべき書類ですので、早めに輸出者から入手しましょう。 届出のフォームは食品検疫所のサイト内にありますので、自身で申請することも可能ですが慣れている業者に任せる事をお勧めします。 この時点ではまだ通関が終わっていないので保管料が発生しており、時間がかかると更に費用がかさむことになります。 自主検査/命令検査 食品届の申請には検査が発生します。検査には自主検査と命令検査があり、タイ産の冷凍マンゴーは命令検査対象の貨物となっています。 命令検査とは国内流通段階で違法の可能性が高いと見込まれる食品等について輸入者に対し輸入の都度 検査の実施を命じる制度です。ですが命令検査を免除されているタイの業者もあります。 冷凍食品規格検査 さらに冷凍マンゴーは冷凍食品規格検査も受けなければいけません。 成分規格として大腸菌群の数が規格内に収まっているか、保存基準として定められている保存温度や容器が守られているかなどの検査です。 そして食品検疫の費用の概算ですが 食品届申請、命令検査、冷凍食品規格 検査費用があります。 また検査には5営業日程かかります。その間、リーファーコンテナはCYに放置しておくとデマレージが発生してきますので、港の近くにある保税定温倉庫に保管するのが一般的です。 1検体あたりにつき5万円ほどかかり、更に輸送費用もかかります。 これは依頼する業者にもよりますので参考価格としてご理解ください。 まとめ 冷凍マンゴーの輸入の流れを振り返りましょう。まず農林水産省管轄の植物防疫の検査をします。それが通ったら厚生労働省管轄の食品検疫です。冷凍マンゴーの場合、命令検査対象です。 そして冷凍食品規格検査を受けて、書類審査と検査の結果、問題ない・違法ではないと判断されると、やっと税関に輸入申告を行うことが出来、問題がなければ輸入許可となります。 食品の輸入や、冷凍マンゴーの輸入くらい簡単そう!と思われていた方もいらっしゃるかもしれません。 しかし一般的な商品の輸入よりもかなり手間と費用が掛かることをご理解いただけましたでしょうか。 正しい手順を踏めば食品や冷凍マンゴーは輸入をすることができます。通関業者でも食品専門のチームがある会社もありますので、そのようなところに依頼をして進めていくと良いでしょう。 ・TwitterでDMを送る https://twitter.com/iino_saan ・LinkedInでメッセージを送る https://www.linkedin.com/in/shinya-iino/

HS Codeについて | 輸送・ロジスティクス

HS Codeについて

HS Codeについて動画で解説 今回はHSコードについて解説をしていきたいと思います。 貿易の世界では「HSコード」という用語が使用されることが多々あります。 HSコードは輸出入をする製品をコードで表し、世界中の国が貿易の取引をスムーズに行うための役割を果たしています。 今回はHSコードの概要と決め方、実務上どのような場面で使用するのかを順に解説していきます。 HSコードの役割 貿易で輸出入の対象となる製品は、生鮮食品から工業製品まで多岐に渡ります。 工業製品は製品ごとの型式もあり、全ての輸出入品の種類は数えきれないほどになるでしょう。 輸出入の手続きで、インボイスや梱包明細の品名を確認しただけでは、その製品がどのようなものなのか判断ができないことがあります。 そこで輸出入の申告をするときにHSコードを用いて、瞬時に対象製品が何かを特定することができます。 まず簡単にですが例を見てみましょう。 このように乗用車のホイールは6桁で「8708.70」というように分類されます。 HSコードでどのように製品を分類するか明確に決められているので、「8708.70」というコードの情報があれば、税関はどのような製品を輸出入するのかすぐに認識することができるのです。 参照元:経済産業省ホームページ HSコードの取り決め HSコードはどのような枠組み、基準の中で取り決めされているのでしょうか。 HSコードは、世界税関機構(WCO)が制定している「商品の名称及び分類についての統一システムに関する国際条約」いわゆる「HS条約」で規定されています。 この条約は現在、世界で150か国以上が加盟しているため、世界共通ルールであると言えるでしょう。 HSコードは約5年ごとに製品の分類方法の見直しがされ、改定が加えられています。 より詳細に製品を分類したり品目が新たに追加されることがあります。 これに基づき、分類した製品の種類ごとの関税率が決定されています。世界共通認識で輸出入時に製品の種類は6桁のコードで表されます。6桁までのHSコードは、日本も含め輸出入の通関で共通しています。 6桁以降の数字は条約加盟国が各国の国内法に基づき、対象製品をより細かく分類、特定するために使われることがあります。 日本では国内ルールで10桁まで使用されています。 HSコードの分類方法 それではHSコードを用いた具体的な分類方法を紹介します。 HSコードの分類はこのようになっています。 ①類…コードの上2桁 ②項…類を含むコードの上4桁 ③号…類・項を含むコードの上6桁 ここまでの6分類が世界共通です。 では、これから製品がどのように分類されるのか具体的に説明していきます。 「類」の分類 最初は「類」です。「類」は第1類から97類まであります。 まずは製品の大まかなジャンルでこのように分類されます。 第1類:動物(生きているものに限る。) 第2類:肉及び食用のくず肉 第8類:食用の果実及びナット、かんきつ類の果皮並びにメロンの皮 第9類:コーヒー、茶、マテ及び香辛料 第10類:穀物 第11類:穀粉、加工穀物、麦芽、でん粉、イヌリン及び小麦グルテン 第97類:美術品、収集品及び骨董 上記のような形で97種類に分類されることになります。 1類あれば上2桁は「01」、第2類であれば「02」、第97類であれば「97」というように番号が振られます。 これから、項・号と見ていきますが、例として玄米のHSコードはどのように割り振られているかで進めていくことにします。まず玄米は穀物なので第10類に当てはまります。 「項」の分類 次に「項」では、類で分類されたものをさらに細かく分類します。 穀物はこのように分けられています。 10.01:小麦及びメスリン 10.02:ライ麦 10.03:大麦及び裸麦 10.06 : 米 この10.01のようなコードがHSコードの上4桁です。 玄米はお米なので10.06に該当します。 「号」の分類 最後の「号」では、項で4桁に分類されたものを、製品の原料や材質などで分類をします。 【項10.06(米)の分類】 ・類 10 : 穀物 ・項 10.06 : 米 ・号 :1006.10 -もみ    1006.20 -玄米    1006.30 -精米    1006.40 -砕米 このように玄米の号は1006.20となります。 玄米のHSコードは10桁であれば「10.06.20.090.4」と表されますが、7桁目から10桁目は日本の国内法で項以降を細かく分類したものとなっています。 日本では「輸出入品目の統計データを詳細に取ること」、「税関手続きのシステムであるNACCSで使用すること」を目的に7桁目以降を使い、製品を分類しています。 HSコードがどのようなものかはご理解できたかと思います。ではこれらは具体的にどういうシチュエーションで活用されるのでしょうか。一つずつ見ていきましょう。 HSコードの適用 HSコードは輸出入の申告時に輸出国、輸入国でそれぞれ適用されます。 HSコードの6桁の分類は世界共通ですが、製品分類の解釈の仕方で輸出国と輸入国で相違が発生してしまうケースがあります。 それが関税率が違うHSコードであれば、輸入時に輸入製品の正しい関税率が適用されません。 フォワーダーのような輸出入代行業者で通関手続きを行うときは通常、資格を有する通関士が輸出入製品のHSコード選定を行います。 船積書類の品名から実績等も加味し選定をしますが、品名だけでは製品が何か分からない場合は詳細を調べたり、原材料などの化学品であればMSDS(成分安全データシート)で材質まで調べた上でコードの特定が必要となります。 HSコードの選定に迷ったら 輸出手配上では、輸出者が書類に記載したHSコードと通関士が選定したHSコードの相違が発生してしまうことがあります。 そのときは輸出者へ確認を行い、製品の詳細説明を求め成分表等も確認した上で判断を行うことになります。 税関へHSコードの問い合わせをすることができるので、選定に迷ったときは税関へ問い合わせをするのが確実です。 HSコードの情報が品名と併せて税関に申告され、許可が下りれば輸出許可書に品目番号として記載されます。 通関士の仕事については別の動画で詳しく解説していますので、この動画の概要欄にリンクを貼っておきます。 欧米での輸入通関時のHSコードの事前情報送信 輸出者から発行されたインボイス等の書類を扱っていると、品名と併せてHSコードが記載されているのを見かけることがあると思います。 それは製品を輸入する国の輸入申告手続きで、事前にHSコードの情報送信が必須となっているために記載をしている場合が多いです。 向け地ごとの輸入ルールで、HSコードの情報について取り決めがされています。 EU地域やアメリカで輸入通関を行うときには、24時間ルールが定められており、船積みの24時間前までに、現地の税関へHSコードを含めた輸入品の詳細情報の送信が必要となります。 原産地証明書定時による関税優遇 EPAを結んでいる国へ製品を輸出する場合、原産地証明書で製品の原産国を提示することによって関税の優遇を受けることができます。 原産地証明書を取得して輸出する場合、正しいHSコードが適用されていなければ、誤った関税率で計算され 関税の優遇が受けられなくなることが考えられます。 特定原産地証明書は輸出者が日本商工会議所に申告することとなりますが、申請する前に、輸入国で適用されるHSコード6桁の特定、関税率の確認が必要です。 日本商工会議所によると、特定原産地証明書にHSコードの記載は必須項目ではありませんが、相違が発生したときは最終的に輸入国の税関のHSコード選定判断に従うことになります。 予想外の関税適用となってしまえば輸出者と輸入者のトラブルの元となります。 事前に輸出者側が輸入者に確認を取り、インボイスや原産地証明書に記載をしておくのが一般的です。 まとめ HSコードに関するルールは、貿易の世界で必須の知識となっています。 全ての製品の細かい分類方法までは網羅する必要はありませんが、輸出入の手配を行う上で、概要を押さえ どのように使われているのか、なぜ使われているのかを把握する必要があります。 今後も、輸入手続き時のHSコードの情報送信に関する取り決めを新たに行う国が増えるかもしれません。 安全を守るための規制を強化していくにあたり、HSコードの重要性は高まっていくと言えるでしょう。 ・TwitterでDMを送る https://twitter.com/iino_saan ・LinkedInでメッセージを送る https://www.linkedin.com/in/shinya-iino/

古着の輸送について | 輸送・ロジスティクス

古着の輸送について

古着の輸送について動画で解説 今回は古着のベール輸送について解説をしていきたいと思います。 古着の国際輸送はどうする? 古着を発送しようとする時に悩むのが容積です。 一枚あたりの古着は軽くて、容積も小さいのですが、ボリュームが100枚、1,000枚となると、とてもかさばり容積も大きくなります。 そうなると海外へと国際輸送する際に輸送費用に大きく影響してしまいます。 古着の国際輸送は次の方法で発送することが多いです。 ・バラ状態の古着を決まったサイズのダンボールの中に詰める ・バラ状態の古着を圧縮して「ベール単位」にまとめる 取扱量が少ない場合はバラ状態の古着を定型の段ボールに詰めて発送するだけでも問題はないでしょう。 しかし、本格的な古着の輸入ビジネスをする場合、この送料を圧縮するために「ベール化」して発送することをお勧めします。 「ベール化」のメリット 次に古着をベール化するメリットをお伝えします。 容積を圧縮できる 一つは先ほどお伝えしたように容積を圧縮することで沢山の古着を安く沢山送ることが出来ます。 これが古着の輸送において最も大きなポイントなのですが、それ以外にもメリットがあります。 「中古の衣類」として関税率が有利になる その他のメリットとしてHS Codeが6309.00で申告可能になります。古着をベール化して発送することで「中古の衣類」の定義を満たしやすく、関税率が5.8%で申告が出来るのです。 新品の衣類の場合は平均で10%前後の関税率が設定されているために関税率で有利になります。 商品撮影が不要 更に商品撮影が不要になります。 日本の税関に申告する時は商品の補足資料の提出が求められます。 古着関係であれば全商品の写真撮影と素材表記を確認できる資料です。 一枚一枚の古着の撮影は非常に手間と時間がかかります。 これをベールにすることで補足資料の手配を少なくすることが出来るので大きなメリットではないでしょうか。 古着の圧縮効果 ベール化のメリットは分かった。でも本当にそこまでの圧縮効果があるの? と疑問に思われている方のために実際の古着の圧縮を見てもらいましょう。 今回のご協力会社は「合同会社NIPPON47」様で古着の輸送を得意とされている会社様です。 重さ1.2トン、高さが3mほどのベールマシーンで圧縮すると古着はどうなるのか? プロセスを見ていきましょう。 まずこの古着の容積をご覧ください。 段ボール2箱分の古着をこれから圧縮していきます。 このようにセットをして機械を作動させるとギューっと古着がプレスされていきます。そして圧縮された古着にバンドをかけて完成。この状態で海外に出荷されていきます。 見た目では小さくなったのがお分かりになったと思います。 実際の数字ではどうなったでしょうか? ベール前のサイズは62cm x 43cm x 40cmの箱が2箱で0.212m3 そしてベールにするとサイズは53cm x 66cm x 43cm で 0.15m3 なんとベールにした方が約30%もサイズダウンしています。 まとめ タイで古着の仕入れは注目されているビジネスの一つです。 大量に仕入れた古着は本当にかさばりますし、輸送費用に直結します。 今回ご紹介したように古着の輸送はベール化がポイントです。 古着のお取り扱い、ベール化についてご興味がありましたら Nippon47様にお問い合わせください。 ・TwitterでDMを送る https://twitter.com/iino_saan ・LinkedInでメッセージを送る https://www.linkedin.com/in/shinya-iino/

ドレーの依頼方法について | 輸送・ロジスティクス

ドレーの依頼方法について

ドレーの依頼方法について動画で解説 今回はドレーをスムーズに依頼するための手順とポイントついて解説したいと思います。 ドレーについて まずドレーとは何かについて簡単にご説明します。 ドレーとは海上輸送で使われている20フィートや40フィートなどのコンテナを陸上輸送することを言います。 輸入の場合は保税地区にあるコンテナヤードから、輸入者の工場など指定の場所まで輸送することで、輸出の場合はその逆で、輸出者の工場や倉庫からCYまで輸送することです。 そして、その輸送を主たる業務として経営している会社のことを「ドレー会社」と呼びます。 ドレー会社はヘッドやシャーシを保有していますので、そちらに予約の手配をすることとなります。 ドレー会社への予約 基本的にはフォワーダーは多くのドレー会社と付き合いがあります。一つのドレー会社だけでは仕事を回せませんし、ドレー会社によって得意な分野も違います。 遠距離のドレーを安く引き受けてくれるところや、多少料金が高けれども、無理を言っても確実に引き受けてくれるところ、定温輸送のできるMGシャーシを保有しているところ、など 様々な会社がありますので依頼の内容に併せてお願いするドレー会社を変えています。 昨今の日本ではドレーの確保が難しくなっています。これはドライバーの高齢化や人件費の高騰などにより、人手不足となっているドレー会社が多いことが一つです。 昨年はオリンピック関連施設の建設ラッシュなどで、そちらに車両や人手が回ってしまっていたことなどもありました。 早めに予約が必要 そういった事情から、ドレーの依頼は「少しでも早めに!」が原則です。 輸入の場合であれば日本への到着予定日が判明し、納期の目途がついたら、まずはドレーの確保をフォワーダーへ依頼するくらいでOKです。 現地からのBLコピーとともに貨物内容と納品日を連絡すればすぐに手配してくれるはずです。 平常期であれば1週間前、繁忙期では遅くても2週間前くらいに連絡できているといいでしょう。 手配が難しい繁忙期 繁忙期ですが、この期間はとにかくドレーが取りにくいです。 日本の年末年始、ゴールデンウイーク、お盆休みの前後は港にドレーが混み合い確保が難しいです。 だいたい、年末年始分は11月終わり頃、GW分は4月当初、お盆休み分は7月後半からドレーの確保合戦が始まりますので、2週間前でもすでに予約で一杯なんてこともあります。 MGシャーシの確保が困難 あとはMGシャーシも確保が難しいです。そもそも所有しているドレー会社が少ないですし、大手と呼ばれるドレー会社でも所有本数は10本前後くらいです。 なので冷凍鶏肉や生鮮マンゴーなどの食品の輸送で、MGシャーシが必要な場合は、とにかく早く依頼するよう心掛けて下さい。 ドレーのキャンセル料 あまり早く依頼するとキャンセル料が心配。。。と思う方もいるかもしれません。 依頼先に確認が必要ですが、基本的に3日前くらいまではキャンセル料はかからない会社が多いです。 直前に慌てて無理な依頼をするよりも、事前に連絡を入れてもらって、念のためにでもドレーの確保をしておくと、「ゆとり」ができますしミスも減ります。 不確定だからと言って遠慮はせず、早めに連絡してもらえるほうが有難いです。ですが、もちろん毎回キャンセルするのはよろしくありません。 ドレー予約後 ドレーを依頼して納品日時が決定したら、必ずその時間からバンニング又はデバンニング作業ができるよう、現場の調整をしておきましょう。 別の動画でもお伝えしましたが、スタートが遅れたりして余計な時間がかかると待機料が発生してしまいますので要注意です。 ドレーの依頼方法 ドレーの依頼方法もここで簡単にお話ししておきます。 輸入の場合はフォワーダーにBLとA/N、納品日時と納品場所を連絡すればOKです。 D/Oの手配や輸入許可書のドライバーさんへの受け渡しなどは、全てフォワーダーがやってくれます。 輸出の場合も作業日時と作業場所、本船情報を伝えれば問題ありません。 本船のbookingも同じフォワーダーへ依頼している場合には、本船情報も既に業者が知っているので不要ですね。空のコンテナを船社へ予約する手続なども手配してくれますのでとても簡単です。 早めの依頼さえ心がけていただければ大きな問題も起きにくいでしょう。 フォワーダーを通した依頼がベター もし自分でドレーを手配する際は、フォワーダーに任せていた部分の手配が必要です。輸入であればD/Oと許可書をドライバーさんへ渡さなければなりません。 輸出の場合は船社へ空コンテナの予約を入れる必要があるでしょう。 慣れてしまえば難しい手続ではありませんが手間はかかりますし、フォワーダー程タイムリーに手配もできないでしょうから、よほどの理由がない限りはドレーはフォワーダーにお任せするのがおすすめです。 まとめ 今回は日本におけるドレー手配の状況と依頼のポイントを解説しました。 ドレーは自分で予約手配をすることも可能ですが、ドレー会社との取引が多いフォワーダーに依頼をする方が多くの選択肢があり、柔軟な対応が出来るでしょう。 スムーズな物流手配にドレー手配は欠かせない要素です。今回ご説明したように、「とにかく早く」を意識してドレーの手配をしましょう。 ・TwitterでDMを送る https://twitter.com/iino_saan ・LinkedInでメッセージを送る https://www.linkedin.com/in/shinya-iino/