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貿易コラム

なぜ?北米のディスカウント店が大盛況!サプライチェーンのボトルネックをビジネスチャンスに。 | 物流ニュース・物流ラジオ

なぜ?北米のディスカウント店が大盛況!サプライチェーンのボトルネックをビジネスチャンスに。

どうもこんにちは、飯野です。 本日はウォール・ストリート・ジャーナルの記事から、「サプライチェーンの乱れによる出荷遅れで、ディスカウントストア大盛況」についてお話していきたいと思います。 2022年3月23日イーノさんの物流ラジオ ディスカウントストアの盛況 一般の小売業者を悩ませているサプライチェーンの乱れが、アパレルのディスカウントショップに利益をもたらしていると記事は報じています。 港の混雑により、入荷の遅れた衣類などをディスカウントストアのバイヤーが買い占めています。 サプライチェーンの問題を活用 アパレルは季節商品なので、シーズンを過ぎた衣類を大手ブランド店が余った在庫をディスカウントチェーンに売却したり、アウトレット店に大幅値下げで移したりするのが小売業のパターンです。 コロナ渦には、小売店による在庫補充ラッシュがありました。 それによりロサンゼルス港やロングビーチ港などの主要港が大混雑し、配送に大きな遅れが出るきっかけとなりました。 独自の購買チャンス アメリカのアナリストは、「サプライチェーンの混乱は、主に在庫処分のためのオフプライス小売業者にとって独自のチャンスを生み出す」とし、「フルプライスの小売業者は遅延している注文を受け入れるか否かを決めなければならない」と述べています。 ディスカウントストアにとってはチャンスであり、定期販売している小売店には分岐点になります。 あるディスカウントストア・チェーンの担当者は、サプライチェーンの問題は「独自の商品供給力をもたらした。私たちは現在の市場でチャンスを狙い、ブランドへアクセスする重要な力を持っている」と発言しています。 小売業者の過剰在庫 多くの小売業者が前倒し発注を行い、大手商社が船をチャーターしてボトルネックを回避していますが、現在の遅延により春物商品の発売が危ぶまれています。 GAPのCEOは、西海岸の港の混雑と昨年のベトナム工場の操業停止により、季節商品には8週間から10週間の遅れが生じたと述べました。 また、あるアパレル小売企業は、出荷の遅れのため、秋にアウトレット店で販売する商品の1200万ドル相当の在庫を保管しているそうです。 ディスカウントストアの購買環境 このサプライチェーンのボトルネックは、ディスカウントストア自身の購買活動にも影響を及ぼしています。 ディスカウントストアのバーリントンは、リードタイムの長期化、輸送中の商品の増加により、在庫が直近の1年間で、10億2000万ドルに達したと報告しています。これは2年前の7億7700万ドルから約30%の増加です。 同社のCEOは、小売業全体で出荷問題が起こったが、これらの問題により、オフプライスの購買環境は実に好調である、と述べています。 ビジネスチャンス 在庫が増えているとはいえ、小売業者の売上高に対する在庫の比率は、最近になって徐々に上昇していますが、まだ歴史的には低水準にとどまっています。 ディスカウントストアのサプライチェーンに流入する商品の数が増えるという見通しです。 業種によっては、コロナによって良い方向に向かい、ビジネスチャンスになることもあります。こういった経済の流れを読むには、常日頃から時世や情報をたくさん得ることだと思います。 こういった情報も日々アップデートしていきたいと思います。

7月北米西岸港湾の交渉、混雑回避に向けて荷主は準備。東岸での貨物量に変化。 | 物流ニュース・物流ラジオ

7月北米西岸港湾の交渉、混雑回避に向けて荷主は準備。東岸での貨物量に変化。

どうもこんにちは、飯野です。 本日はWSJの記事から、「北米輸入業者が7月に行われる北米の労働協約に備えて、サプライチェーンを再構築している」というテーマについてお話していきたいと思います。 2022年3月22日イーノさんの物流ラジオ 7月、北米西岸労働協定失効 今年の7月に北米西岸の労働協約が期限を迎えて失効し、再交渉が始まります。その間は北米の西海岸の港湾でストがある予定です。 2014年の交渉の前回のストライキも結構長引いて、西岸港湾の機能が落ち、東海岸を使う動きがありました。 荷主の早期対応 今回もストがあり、まだサプライチェーンの目詰まり解消していないので、荷主さんたちはとにかくストに備えようとしています。 一部の荷主は今年の年末年始のホリデーシーズンの注文を前倒し、西岸から東海岸、メキシコ湾岸へ貨物を迂回させようとしています。 とはいえ、「選択肢に限りがあるため、未だに多くの企業がLA港、LB港経由での貨物受け取りを希望している」と3rd パーティーロジスティクス会社の社長は述べています。 今回の西岸の労働交渉 西岸の労働交渉は、シアトルがあるワシントン州からLA、LB港がある南カリフォルニアまでの29港の、22,400人の港湾労働者を対象としています。 今年の交渉はサプライチェーンの混雑により、何十隻も沖待ちしている中行われることになります。 多数の沖待ちの中での交渉 西岸の混雑をさけるため、ヒューストン港から、ジョージア州のサバンナ港、サウスカロライナ州のチャールストン港まで沖待ちが発生しています。 北米の各港で沖まちが発生している状態での交渉になります。 個人的には労働組合側の交渉が有利に感じます。この状況を早く解決したかったら、要求をのむように進めるような気がします。 船社との交渉 あるロジスティクス会社の社長は、「スペース確保のため、例年より早い時期に契約に合意した荷主もいた」と述べています。 日本と同じ感じで、とにかくスペース優先志向です。 「LA、LB港は米国の輸入コンテナの40%近くを取り扱っており、他の港ではLA、LB港の貨物の多くを処理することは難しいだろう」と同氏は発言しています 大手小売企業は、東海岸で確保できるキャパシティには限界があることを理解しているし、あまり遅くなると、東海岸向けのスペースは埋まってしまう可能性があるとのことです。 中小の輸入者は長期契約取れず、直前予約しかできません。緊急時の対応策はあっても、どの程度の混乱が生じるかは様子を見るしかありません。 東海岸でのコンテナ取扱量増加 今、東海岸の取扱量に変化があります。 ここ数ヶ月、東海岸の港を経由するコンテナ量は西海岸を経由するコンテナ量よりも急速に増加しています。 この理由は、単にLA、LB港での混雑により、貨物の取扱量低下したため、東海岸の港へ迂回されたのか、まだ明確にはなっていません。 西海岸の主要港への輸入は12月に前年比14%減少、東海岸の輸入量は13%近く増加し、メキシコ湾岸の輸入は14%近く増加しました。 労働組合との交渉 全米小売業協会は2月、港湾労働者組合(ILWU)と使用者団体である太平洋海事協会(PMA)に対し、早期に協議を開始するよう促しました。 今回の協議内容は、西海岸の就業規則、自動化、福利厚生など多岐にわたります。 太平洋海事協会(PMA)は、3月16日に直ちに交渉を開始する準備ができているとしましたが、港湾労働組合(ILWU)は、5月までは準備が整わないとしています。 交渉長期化の懸念 ILWUとしては市場が混乱している方が有利に交渉を進められるため、すぐにやる理由はありません。 小売業連合会のサプライチェーン担当副社長は、「多くの荷主は契約が切れる6月末までに交渉がまとまるとは思ってはいないが、ILWUとPMAもこれ以上の混乱が起きないように尽力をつくしているのか?そのようには全く見えない」と述べています。 労働組合側に有利な状況なので、今回のテーマの港の自動化なんて通らないかもしれません。 交渉にはだいぶ時間かかりそうです。 また情報あり次第アップデートしていきたいと思います。

運賃交渉にて、フォワーダーに厳しい条件。ネームドアカウントが縮小、運賃アップ。 | 物流ニュース・物流ラジオ

運賃交渉にて、フォワーダーに厳しい条件。ネームドアカウントが縮小、運賃アップ。

どうもこんにちは、飯野です。 本日は海事新聞のニュースから、「フォワーダーへのコンテナ運賃交渉、ネームドアカウントが縮小」についてお話していきたいと思います。 2022年3月18日イーノさんの物流ラジオ フォワーダー向け運賃交渉 日本市場で2022年度のコンテナ運賃の交渉は実荷主向けが終盤戦を迎えており、これからフォワーダー向けが本格的にスタートします。 現在の状況では、船社側が実荷主を重視している姿勢がより鮮明で、フォワーダー側では警戒感は強まっています。 ネームドアカウント縮小 具体的には、船社側はフォワーダーに対し、特定の荷主の代理となるネームドアカウントを例年以上に縮小するだろうということです。 フォワーダーが「〇〇社の運賃はいくら」という形で割安な価格を入手していたものが、だんだんなくなっていきます。 一部の船社では、フォワーダーへの運賃は毎月改定のFAK一本にするところもあります。 縮小の背景 ネームドアカウントは、FAKなどに比べて安いですが、船会社にとっては一定の貨物量を見込めるほか、細かい荷主との調整もフォワーダーに委託できる利便性があります。 しかし、船社関係者は、「北米向けのネームドアカウントでは、フォワーダーが元受けになるといっても、実際は船社がトラックを手配してドアデリまで行っている。それなら船社が直接、実荷主と契約した方がいい」としています。 スペース逼迫の影響 以前では、船社は船のスペースを埋めるためフォワーダーに対して、あえてネームドアカウントの運賃を提供してきたという意識がありました。 しかし現在はスペースが逼迫しているため、スペースを埋める努力をする必要はありません。船社としても無理にネームドアカウントの運賃を提示する必要もなく、その縮小する方向で動いています。 昨年もネームドアカウントを縮小していた船社がありました。 今年は複数船社が特にスペースが足りていない北米航路で、フォワーダーへのネームドの運賃提供を中止するなど、縮小傾向はより顕著になっています。 北米内陸向け 北米の内陸向けも、これまではフォワーダーへのネームドでは内陸地点の倉庫までのドアデリバリーを提供していましたが、FAKでは内陸向けも鉄道ランプまで(倉庫まで運びません)、フリータイムもタリフ通りなど、かなり条件が厳しくなっています。 フォワーダーにとって厳しい状況 フォワーダーにとっては運賃仕入れの選択肢が減るため、一般的には厳しくなるとみられています。 特定の荷主に対して、有利な価格で得ていたのがなくなり、特定の荷主への運賃が上がる可能性があり、そうすると、他のフォワーダーに取られやすくなります。 事業拡大のチャンス フォワーダーによっては、購買力や海上以外のネットワークを活用することで、逆に事業拡大のチャンスと捉える向きもあります。 タイではネームドという概念があるかどうか分かりませんが、弊社ではネームドはもらっておらず、全部毎月改訂のFAKレートで戦ってきました。 フォワーダー同士の協力 今回は主に日本から北米向けの話ですが、こういうのことが世界的に広まると弊社のようなローカルの立場では更に攻めやすくなるという印象です。 ネームドを持っている一部のフォワーダーさんには厳しい状況ではあります。 昨日もお伝えしましたがデジタル化も含めてフォワーダーの立場での状況が変わってきています。 個人的に大切だと思うのは、フォワーダー同士の協力関係であり、強みを活かし合うことではないでしょうか。 業界が変わって行くタイミングだと思いますし、大手さんは、大手で独自でいけるかもしれませんが、弊社のような中小は特に協力が必要なのではないかと思います。

海上輸送、燃料費高騰!ロシア・ウクライナ情勢で記録的な燃料価格、年間70億ドルの追加コスト?! | 物流ニュース・物流ラジオ

海上輸送、燃料費高騰!ロシア・ウクライナ情勢で記録的な燃料価格、年間70億ドルの追加コスト?!

どうもこんにちは、飯野です。 本日JOC.comの記事から、「荷主、運賃上昇に加え、燃料サーチャージの上昇に直面」についてお話していきたいと思います。 2022年3月16日イーノさんの物流ラジオ コンテナ運賃大幅引き上げ ロシアがウクライナに侵攻した後に石油市場が高騰しています。 バンカー変動燃料価格がここ2週間で大幅に上昇し、現在ただでさえ高い海上運賃なのに、さらにコンテナ運賃の大幅引き上げの可能性があるということです。 低硫黄燃料価格高騰 石油価格報告機関によると、低硫黄燃料(VLSFO = Very Low Sulfur Fuel Oil)の価格は、2月24日のロシアのウクライナ侵攻前に比べ、なんと26%上昇。 現在シンガポール、ニューヨーク、ロッテルダムの主要ハブ港で1トン当たり平均986ドルとなっています。 以前、燃料価格について放送した際、2月14日付シンガポール市場の低硫黄重油の価格は、トン当たり752ドルでした。 この1ヶ月で、230ドル/トンほど上がっています。 スクラバー搭載でC重油使用 低硫黄燃料はスクラバーが装着されていない世界の船体の70%を動かしています。スクラバーというのは排ガス洗浄装置のことです。 質の悪いC重油を燃やすとPM2.5が発生するため、質の高い低硫黄燃料を使いましょうという規制がありますが、スクラバーを搭載していると、船は従来の価格の安めなC重油を使えます。 C重油高騰 とはいえ、C重油も現在は650ドル/トンに上昇しています。 2月中旬で536ドルでしたが、ここひと月ほどで約120ドルの値上げを見せています。 低硫黄重油がUSD980/トン、C重油がUSD650/トンでUSD330/トンの差があり、かなりC重油にメリットのある価格差になってきています。 価格高騰の影響 Hapag-LloydのCEOは先週木曜日の記者会見で、「エネルギー価格の上昇は本当に心配なことである」と述べています。 「燃料価格は1トン500ドルから1,000ドル程度まで上がっている」と続け、「Hapag-Lloydは年間450万トンの燃料を使用しているため、20億ドルから25億ドルのレンジでの、追加コストを意味する」としています。 記事は、荷主は、通常燃料価格に1〜2ヶ月遅れて請求が来るBAFを通じて、燃料費上昇のピンチを感じることになるだろうと報じています。 BAFについて 海上輸送の費用には、BAF(Banker Adjustment Factor)という燃料の割増料金があります。FAF、EBSという名前でも使われており、燃料費の変動があったときに調整される費用のことです。 燃料費用は船社がある期間まで契約しており、その間は基本的に上がらないことになっています。緊急のBAFというのは以前にとても不評だったため、Hapag-Llyodは今回は緊急のBAFやサーチャージを課すつもりはないと伝えています。 BAFの価格が上がり、今後、荷主の費用負担が増してきます。 コンテナ船業界への追加コスト 分析会社のSea-Intelligence は最新のニュースレターで、「バンカー燃料価格が年間を通して現在の水準で推移した場合、コンテナ船業界は年間70億ドルの追加コストを負担することになる」と推定しています。 燃料費の高騰は船会社にとっては大きな負担です。 コスト負担は? 同じく、海上輸送の分析会社Vespucci MaritimeのCEO兼パートナーは、今週のLinkedInに投稿した記事で、「このコストはすぐに転嫁される」と警告しています。 「荷主は、次回の運賃改定で記録的な高額のバンカー・サーチャージが課されることを予期するだろう」と述べています。 船社がこの費用を吸収するのか、荷主に遅れて請求するのか、もしくはすぐに荷主に転嫁するのかが注目だと思います。 低硫黄燃料費がUSD980/トンは過去最高値だと思います。C重油との価格差もかなり空いてきたので、スクラバーに投資する船会社も出てくるかもしれません。 実務やっている現場としては、やはり運賃の値上がりが気になるところです。最近は、コントロールできないことが色々起こりすぎていると実感しています。 また情報アップデートしていきます。

貿易取引における決済方法 1 – L/C, D/A, D/P | 輸送・ロジスティクス

貿易取引における決済方法 1 – L/C, D/A, D/P

この記事を動画で見る どうもこんにちは、飯野です。 今回は貿易取引における決済方法について、解説していきたいと思います。 荷為替手形決済 貿易における決済方法は、大きく2つに分かれます。 銀行が輸出者と輸入者との間に入って代金の立替えをするかしないかによって、「荷為替手形決済」と「外国為替送金決済」に分かれます。 今回の動画は「荷為替手形決済」を中心に解説をし、「外国為替送金決済」は別の動画で解説することにします。 荷為替手形とは 荷為替手形とは、為替手形という輸出者が輸入者に商品代金を支払うよう指示した手形に船荷証券(B/L)や輸入国での通関に必要なInvoice, Packing Listなどの船積書類を添付したものです。 そして荷為替手形には、「信用状付手形」と「信用状なし手形」があります。 海外とのビジネスのリスク 海外の企業とビジネスを行う貿易取引には、さまざまなリスクがつきものです。 例えば ・国の違いによる、言語・法制度・経済状況などによるリスク ・貨物の損害リスク ・為替変動のリスク ・信用性のリスク ・代金回収のリスク ・商品入手のリスク ・資金負担のリスク 今回のテーマ「決済方法」に焦点を当てる場合、「信用性のリスク」と「資金負担のリスク」に注意をしなければいけません。 なお、為替変動のリスクも大きいのですが、為替予約を行うことでリスクを回避できるので、今回は割愛しますね。 信用性のリスク まず「信用性のリスク」です。 信用性のリスクは相手先の経済状況などの情報が把握しにくいことから信用上の不安を持ち、契約を進めても問題ないかの確証が持てないことです。 もし相手側の信用状態を把握しないまま契約を結んでしまうと、資金繰りの都合で決済が遅れる、などのトラブルが起こる可能性があります。 確実に代金回収を行うためには、ビジネスを始める段階から信用調査機関などを利用して相手先の信用状態を把握することが大切です。 資金負担のリスク 次に「資金負担のリスク」とは、前払い・後払いかの決済方法により、輸出者または輸入者が代金を立て替えることで、どちらかが一方的に資金を負担するリスクのことです。 輸出者と輸入者ともに、資金運用を滞りなく回すために双方が交渉をしてなるべくリスクを負わない決済方法で契約します。 リスク回避の決済方法 貿易取引において、これらの2つのリスクを回避できるのは、「信用状付荷為替手形決済」- 通称 L/C決済です。 信用状と荷為替手形を組み合わせることで、輸出者・輸入者双方の負担を軽減させることができます。 貿易取引における決済方法 次に貿易取引で利用される代表的な決済方法についてご紹介していきます。 ・信用状付荷為替手形決済(L/C決済) ・信用状なし荷為替手形決済(D/A、D/P決済) そして、これらに加えて「外国為替送金決済(T/T決済)」もあるのですが、別の動画で解説しますね。 それでは、それぞれのメリット・デメリットを含めてみていきましょう。 信用状付荷為替手形決済 まず「信用状付荷為替手形決済」です。これは一般的にL/C決済と呼ばれています。 輸出者が信用状条件に記載されている書類を銀行へ呈示することを条件に、銀行が輸入者に代わって商品代金の支払いを確約する決済方法です。 銀行へ提出する書類が信用状の内容と相違があれば、支払いが行われない場合があります。 L/C決済のメリット メリットは、信頼性の高い銀行が輸入者に代わって代金を支払ってくれるため、輸出者は安心して取引ができます。 ここで注目すべきは、輸出者は輸入者からの代金決済を待たずに、輸出地で荷為替手形を呈示すると代金を回収できるということ。 輸出者は少しでも早く商品代金を受け取りたいので、L/C決済は輸出者側にとって安心な決済方法と言えます。 L/C決済のデメリット デメリットは、銀行が間に入ることで高い手数料が発生すること。 また、書類に不備(ディスクレ)があれば、決済に時間がかかり、同時に輸入者も船積書類を受け取るのが遅くなってしまうことも難点です。 信用状なし荷為替手形決済 次に「信用状なし荷為替手形決済」です。 これには D/A決済(引受時書類渡し:Documents against Acceptance) D/P決済(支払時書類渡しDocuments against Payment) の2種類の決済方法があります。 輸入者に手形を引き受けてもらう(Acceptance)か、決済してもらう (Payment)か、いずれかの方法で輸出者は代金を回収します。 D/A決済 D/A決済は、輸入者が手形期日までに支払いを引き受けることを条件に船積書類を引き取ることができる条件のことです。 輸入者は手形に記載されている期日まで支払いが猶予(期限)されていることから、期限付手形(ユーザンス手形)とも言われています。 そして支払日の記載には、次の2種類があります。 D/A決済の記載 D/A決済の支払い日の記載の一つは ・一覧後定期払い 「At ○○ days after sight」と記載されていて、輸出者が○○の日数を設定します。 輸入者は手形を引き受けた日から○○日後に支払う義務がある、ということが明記されています。 D/A決済の支払い日の記載のもう一つは ・確定日後定期払い 「At ○○ days after ×× days」と記載されていて、××にはB/L dateなどの確定日が設定されていることが多いです。 輸入者は××に表記された確定日以降の○○日後に支払う義務がある、ということが明記されています。 D/A決済のメリット・デメリット D/A決済のメリットは、輸入者にあります。 なぜなら、輸入者は決済前に船積書類を入手し商品を受け取ることができるからです。 一方で、輸出者からすると、輸入者が手形を引き受けた時点で商品所有の権利が移ってしまうので、輸入者の信用度だけがよりどころとなるリスクの高い決済方法です。 D/P決済 次にD/P決済について説明をします。 D/P決済は、荷為替手形の決済をすれば輸入者は船積書類を引き取ることができる条件のことです。 手形を決済(一覧)しないと書類を受け取れないことから、一覧払手形(At Sight手形)とも言われています。 D/P決済のメリット・デメリット D/P決済のメリットは、輸出者にあります。 なぜなら、輸入者が決済を行わない限り書類が渡されることがないので、代金回収リスクを避けることができ、商品も輸出者側の所有となるからです。 逆に、輸入者は商品を受け取る前に支払う必要があるので資金を負担することになります。 決済方法の選び方 D/A決済とD/P決済は、L/C決済と異なり、輸出者が荷為替手形を銀行へ提出しても、すぐには代金を回収することができません。 そのため、輸出者の立場からすると輸入者によほどの信頼がない限り避けたほうがいいかもしれません。 特に初めての取引ではリスクを考慮してL/C決済を利用するケースが多いです。D/AとD/P決済を行う場合は、包括保険への加入を検討するようにしましょう。 もし「コストを少しでも抑えたい」、「取引相手との信頼関係がまだ築けていない」、「書類の取引はややこしいから避けたい」という場合は、L/C決済やD/A・D/P決済ではなく、外国為替送金(T/T決済)の方がスムーズです。 外国為替送金についてはまた別の動画で解説させて頂きますね。 まとめ いかがでしたでしょうか。 今回は海外と取引を行う上で重要視すべき決済方法について解説しました。 初めての取引で不安のある場合はL/C決済、また取引になれた企業間ではD/A、D/P決済をするというように取引に合わせた決済方法を上手く選択することが大切です。 今回ご紹介した決済方法のメリット・デメリットを理解し、ビジネスが有利に働くように心がけましょう。 もし今回の動画が為になったという方はチャンネル登録、いいね、SNSでのシェアをよろしくお願いします! 今回の内容は以上になります!ありがとうございました! ・Twitter で DM を送る https://twitter.com/iino_saan ・LinkedIn でメッセージを送る https://www.linkedin.com/in/shinya-iino/ お問い合わせは「ツイッター」と「LinkedIn」のみで承っております。

何がなんだか…北欧州向け運賃が下落。深圳のロックダウンでどうなる?? | 物流ニュース・物流ラジオ

何がなんだか…北欧州向け運賃が下落。深圳のロックダウンでどうなる??

どうもこんにちは、飯野です。 本日は海事新聞のニュースから、「欧州向けのコンテナ運賃が軟化。ロシア・ウクライナ問題の影響か?」についてお話していきたいと思います。 2022年3月日イーノさんの物流ラジオ 上海発北欧州向け運賃 上海航運交易所がまとめた3月11日付の上海発北欧州向けコンテナ運賃は、20フィートコンテナ当たり7,019ドルとなり、前週に比べて700ドル弱の値下がりとなりました。 北欧州向けが値下がりは7週連続ですが、今回の下げ幅はかなり大きいものでした。 ロシア・ウクライナ情勢 原因として考えられるのは、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻です。 欧米諸国が経済制裁を実施し、それに合わせてコンテナ船社も一斉にロシア発着貨物の輸送引き受けを停止しています。 よって、アジア発欧州向けでロシア・ウクライナ向け貨物の出荷が止まったことで、これが多少なりとも影響を受けている可能性があります。 ブッキングしやすく 北欧州向けの運賃は1月末がピークで徐々に安くなり、3月に入って下落のスピードが早くなってきました。地中海向けも同じ動きで運賃は軟化してきています。 ある船社関係者は、「アジア発ではこれまでに比べ、先週あたりからブッキングが通りやすくなってきた」と述べています。 シベリア鉄道封鎖の影響 アジアから欧州に向かう2021年のコンテナ貨物量は約1,700万TEUで、このうちロシア、ウクライナ向け貨物は合計では80万TEU、約5%程度です。 このラジオでは、シベリア鉄道が実質封鎖で海上運賃は上がるかもしれないとお伝えしていましたが、現状ではロシア・ウクライナへ輸送する分が無くなったため、運賃が軟化している状態です。 運賃は下がって、スペースが取りやすくなって良かったものの、戦争はまだ続いているので、複雑な思いではあります。 このまま運賃が下がり続けるかどうかは、まだ分かりません。 深セン、ロックダウン また、本日の他の記事で、3月14日から20日まで中国の深センがロックダウンされることが報じられています。 無症状を含む市中感染者が、中国本土で3月12日に3,122人、11日の1,524人から倍増しました。深圳だけの数字ではなく、中国本土で3,000人であり、中国のゼロコロナ政策の厳しさがうかがえます。 人手不足の懸念 この間はロックダウンをする深圳では工場も止まり、これがどこまで影響が及ぶかは未知数ですが、検疫強化による港湾物流での人手不足については懸念があります。 また、労働者不足による本船遅延などが発生する可能性は十分ありえます。 もう、何がなんだかという感じで、全く先が分からない状況です。 北米向けの運賃横ばい 3月11日付の北米西岸向けは40フィートコンテナ当たり8,105ドル、前週比で5ドル下落しています。 北米東岸向けは1万634ドル、前週比で44ドル下落であり、若干軟化しているものの、実質的には横ばいに近い値動きとなっています。 北米西岸の沖まち コンテナ船は3月11日時点で50隻となり、年末年始の100隻前後から大幅減となっています。 かなり改善しており、このまま何も問題なくいけばあと2ヶ月ほどで沖まちはなくなるかもしれません。北米の物流の目詰まりが解消されていくように感じます。7月までは運賃が少し落ち着くかもしれません。 随時、情報をアップデートしてきたいと思います

コンテナによる海上輸送のMaster B/Lが出来るまでの流れ | 貿易書類と手続き

コンテナによる海上輸送のMaster B/Lが出来るまでの流れ

この記事を動画で見る どうもこんにちは、飯野です。 今回はコンテナによる海上輸送での、Master B/Lが出来るまでの一般的な流れについてご説明したいと思います。 Master B/Lとは Master B/Lとは船会社が海上輸送における貨物を受領し、目的地まで貨物を輸送することを証明する船荷証券です。 また、Master B/Lは複合輸送や三国間などの場合において、フォワーダーやNVOCCが荷主に代わってShipperになるときに、船会社が発行する有価証券でもあります。 ちなみに、フォワーダーやNVOCCが発行する船荷証券はHouse B/Lと呼びます。 Master B/Lを発行する為には、本船に積まれる貨物の情報や、発行通数などを船会社へ連絡・指示が必要になります。 それでは、Master B/Lを作成・発行する為の必要な情報の流れを説明していきましょう。 Master B/L発行必要書類 Master B/Lが発行されるまでには、いくつかの書類が必要となります。 主となる書類は船積依頼書(SHIPPING INSTRUCTION :通称 S/I)と、B/L INSTRUCTION があります。B/L INSTRUCTIONは、DOCK RECIEPT(通称ドックレ:D/R)などとも呼ばれています。 B/Lに必要な情報は、次の順番で船会社へ伝えられます。 ①S/I ↓ ②B/L INSTRUCTION  ↓ ③Master B/L まずMaster B/Lに必要な情報の大元はS/Iです。そして、S/Iの情報がB/L INSTRUCTIONに反映されます。最後にB/L INSTRUCTIONの情報を基にMaster B/Lが作成されます。 では、S/I、B/L INSTRUTION、Master B/Lはどのように作成されるのでしょう? それぞれについて、ご説明します。 S/Iについて まず、S/Iは荷主によって、フォワーダーやNVOCC宛てに作成されます。 S/Iは、いつ・どの船で・どんな貨物を・どこからどこへ運ぶのか、どのようなB/Lを発行するのかを、フォワーダーへ指示・連絡する書類です。 S/Iの内容 では、ここからS/Iにどのような情報が記載されているか具体的に見ていきましょう。 ・荷主 (SHIPPER) ・受荷主 (CONSIGNEE) ・NOTIFY PARTY ・積載予定本船名 (VESSEL NAME) ・荷渡地 (PLACE OF RECEIPT) ・積地港 (PORT OF LOADING) ・CUT日 (CUT) ・本船出港予定日 (ETD) ・揚出港 (PORT OF DISCHARGE) ・最終仕向地 (PLACE OF DELIVERY) ・商品名 (COMMODITY) ・数量 (QUANTITY) ・重量 (NET WEIGHT) ・荷印 (SHIPPING MARK) ・運賃支払 (FREIGHT PREPAID or FREIGHT COLLECT) ・B/L発行通数  ・B/L発行地 などです。 S/Iのフォームは特に規定はなく、その会社独自のフォーマットを使用している場合が多いです。 荷主は売買契約の元、貨物を積む本船が決まり次第、S/Iを作成し、フォワーダーへ送ります。 尚、売買契約の決済条件がL/Cの場合、必ずL/CにどのようなB/Lを作成するか指示があります。 L/C決済の場合 L/C決済の場合、荷主はL/Cのリクエスト通りの書類を銀行に提出しなければなりません。 B/Lは有価証券、つまり貨物と同じ価値がある書類なのでL/C決済の場合には、L/Cの指示に沿ってS/Iと一緒にL/Cの情報もフォワーダーへ送ります。 B/L Instructionについて B/L INSTRUCTIONは、船会社にB/Lを発行してもらうための書類で、一般的にフォワーダーから船会社へ提出されます。 B/L INSTRUCTIONにはS/IやL/CのB/L作成に必要な情報にプラスして、貨物の総重量、総容積、数量が追記されます。 貨物の総重量、総容積、数量の情報は、VANNING REPORTと呼ばれる書類から確認することができます。 VANNING REPORTについて 尚、VANNING REPORTには、コンテナ1本あたりに積まれた貨物の情報が記載されており、主にこれらの項目があります。 ・貨物の重量(GROSS WEIGHT) ・貨物の容積(MEASUREMENT) ・貨物の数量 (QUANTITY) ・積載形状 (BAG, PALLETS, CARTONなど) ・CONTAINER NUMBER ・SEAL NUMBER B/L Instructionの送信 フォワーダーは荷主から入手したS/IやL/Cをもとに、船会社が指定するB/L INSTRUCTIONのフォームやフォワーダー独自のフォームを使用して、船会社へメールやFAXでB/L INSTRUCTIONを送信します。 また近年では、NACCSというシステムの船積確認事項登録(Access Control List 略:ACL)にて、B/L作成に必要な情報を船会社へ送信する方法が主流となっています。 このようにS/I、B/L INSTRUCTIONを介して、荷主からフォワーダーへ、フォワーダーから船会社へとB/L作成に必要な情報が伝えられて行きます。 Master B/L作成の流れ それでは次に、船会社のMaster B/Lの作成の流れをご紹介します。 お伝えした通り、近年ACLを介して船会社へB/L作成に必要な情報が送信されています。船会社は、送られてきたACLの情報を独自のシステムに取り込み、B/Lを作成しています。 もし、船会社とフォワーダーがACLで繋がっていない場合、船会社はB/Lに記載する情報を独自のシステムに手入力する場合もあります。 出来上がったMaster B/Lは、本船が出港した後に発行されB/Lの発行状況をホームページで確認できる船会社もあります。 お伝えした通り、Master B/Lが出来上がるまでに、S/IやB/L INSTRUCTIONといった書類、またはACLといったシステムを介して、B/L作成に必要な情報が各関係者へ伝えられていきます。 そのため、B/L作成に必要な情報がいずれかの段階で間違ってしまうことは珍しくありません。 間違った情報でMaster B/Lが発行されると、後にマニフェスト、通関、商品決済などに支障をきたしてしまいます。 そのため、各段階で作成される書類の内容を確認することは、とても重要です。 B/L Draftの入手 また、Master B/Lを発行する前に、B/LのDRAFTを入手して内容を確認しましょう。B/LのDRAFTとは、Master B/Lの下書きの段階の書類です。 船会社に依頼すればB/L DRAFTを送付してくれますので、Master B/Lを発行する前に内容を確認することができます。 もし、DRAFTの段階や、Master B/Lが発行された後に訂正が必要となった場合、再発行することは可能です。 B/Lの訂正 CUT日以降にB/L DRAFTの訂正を依頼する場合、船会社によっては訂正料が発生し、L/Gの提出が必要になる場合があります。 L/Gとは、その訂正が船会社の責任ではないことを保証する書類のことです。 正式依頼する前に船会社へ訂正料とL/Gの有無を確認しておきましょう。 尚、CUT日前の訂正であれば、訂正したACLまたはB/L INSTRUCTIONを船会社へ連絡すればよいので、訂正料とL/Gの提出は不要です。 一方、Master B/L発行後の内容訂正の場合は、訂正料が発生します。同時に、発行された全通数のMaster B/Lを船会社へ返却しなければなりません。 このように訂正するための追加料金の支払いや再発行にかかる時間を避けるためにも、各段階での書類の内容の確認をしっかり行うことが重要です。 まとめ Master B/Lが完成するまでには、色々な書類の情報が統合されています。そして、B/L作成に必要な情報は伝言ゲームのように各関係者へ伝えられていきます。 書類を作成する際には、その書類を使って次に作業をする人へ情報が正確に伝わるように書類作成を心掛けると良いのではないかと思います。 今回の内容はいかがだったでしょうか?為になったという方は、チャンネル登録、フォロー、SNSでのシェアを何卒よろしくお願いします! ではまた次の動画でお会いしましょう!ありがとうございました! ・Twitter で DM を送る https://twitter.com/iino_saan ・LinkedIn でメッセージを送る https://www.linkedin.com/in/shinya-iino/ お問い合わせは「ツイッター」と「LinkedIn」のみで承っております。

大手荷主向けの海上運賃、長期レートがスポット運賃なみの高値!荷主はスペース確保優先。 | 物流ニュース・物流ラジオ

大手荷主向けの海上運賃、長期レートがスポット運賃なみの高値!荷主はスペース確保優先。

どうもこんにちは、飯野です。 今日は海事新聞のニュースから、「日系大手荷主向けのコンテナ運賃交渉、年契約がスポット運賃の水準に」についてお話ししていきたいと思います。 2022年3月14日イーノさんの物流ラジオ 2022年度の運賃交渉 コンテナ船社とBCO(日系大手荷主)の2022年度の運賃交渉は終盤戦に突入しています。 スペースが逼迫しているため、大手荷主は軒並みスペース確保を最優先しています。 今回の交渉は「運賃そのものが問題にならない初の運賃交渉となった」と船社関係者は伝えています。 長期レートの高騰 成約した契約運賃は、2021年のスポット(短期)運賃並みという記録的な高値が続出しているようです。 通常、長期契約はスポット運賃よりも安く設定されます。2022年の長期契約の運賃が、去年のスポット運賃並に高くなったというのがポイントです。 2022年の交渉の焦点 主要船会社の今年の供給スペースはどこも前年並みですが、荷主側は出荷計画の増加を見込んでいます。圧倒的に需要の方が高く、交渉内容は極端なほど売り手優位の交渉となったと報じられています。 運賃よりもスペース確保優先 今回の交渉で焦点になったのは、供給スペースの確保であり、「荷主から聞かれるのはスペースのことばかり。運賃については全く話題にもならなかった」(船社の営業担当)。 船社側が1次段階で提示した金額を丸のみするところが少なくなかったとのことです。 更に安定した輸送スペースを確保するため、2年間など複数年契約を結ぶ事例も見られました。複数年契約は荷主にとってはリスクですが、船会社にとっては安定した利益がみこめるから魅力的です。 もし2023年に運賃が急落したら、複数年契約した荷主は損をします。船会社はスペース供給の提供を確約し、複数年契約を積極的に受けたようです。 長期レートの価格 日本・アジア発北米西岸向けの長期運賃は、2021年の運賃交渉での金額はUSD3,000-4,000/40’程度でした。 しかし、今年の1月時点では、40フィートコンテナ当たり1万ドル前後が一つの指標と言われており、既に決まったBCO向けでは、この指標を上回る金額が多く、去年の倍以上に値上がりしました。 日本発がアジア発より高値に そして記事の最後に、日本発北米向けのスポット運賃で中国発を上回ったと報じられています。 アジア発に比べて、日本発の値段が高くなる傾向が出てきています。従来、日本発がアジア発に比べて一般的に割安といわれてきましたが、昨年末から逆転しました。 現在、日本直航便の相次ぐ欠便があり、儲からないため、日本への寄港を避ける傾向が見られます。 日本発の条件が悪くなっていることで、アジア発に比べて値段を高くしないとスペースを確保できないようです。 スポット運賃は 今回の記事で気になるのは、今年のスポット運賃です。 今年の長期レートが去年のスポット運賃と同じくらいとなり、その場合、スポット運賃は更に高くなるのが一般的な流れです。 アメリカ政府の船会社への対応 しかし、バイデン大統領が海運会社を叩いています。北米はかなりのインフレであり、3月1日のアメリカの一般教書演説で、バイデン大統領は下記のように批判しました。 「米国内外に物資を運ぶ海運会社の状況を見てほしい。コロナ禍の間、外資系海運会社が1,000%もの値上げを行い、記録的な利益を上げている」 その上で、「米国の企業と消費者に過大な請求をしている企業の取り締まりを発表する」とバイデン大統領が述べると、議場では大きな拍手が沸き起こったようです。 それに対して世界海運協議会(WSC)は翌日の3月2日、「コンテナ船業界は十分に競争している環境にある。そして、過去に例のない輸送需要に対応している業界に対し、根拠のない批判が行われたのは非常に残念」との声明を発表しました。 国内外ともに運賃動向注目 冒頭に話をしたのは日本の荷主の話ですが、海外の荷主も同じような状況のようです。 日本のBCO向け長期レートが安すぎたため、そのギャップに注目してしまいがちですが、BCO向けの長期レートが昨年より高くなるでしょう。 これ以上のスポット運賃を上げない為に、アメリカのパワープレーで、何らかの規制が入るかもしれません。 どうなるかは分かりませんが、日本の船会社は長期レートが倍以上で売れることが決まっていますので、2022年の収益が去年より高くなることは確定です。 現場の立場として、今後の運賃動向にも注視していきます。

日本の企業物価指数9.3%上昇、消費者物価指数は横ばい。値上げの受け入れが必要。 | 物流ニュース・物流ラジオ

日本の企業物価指数9.3%上昇、消費者物価指数は横ばい。値上げの受け入れが必要。

どうもこんにちは、飯野です。 今日は日経新聞の記事から、「メーカーのコスト削減限界に!企業物価指数が41年ぶりの伸び率」についてお話ししていきたいと思います。 2022年3月11日イーノさんの物流ラジオ 企業物価指数上昇 企業間で取引するモノの価格が高騰しています。 日銀が3月10日発表した2月の企業物価指数は前年同月比9.3%上昇し、伸び率はオイルショックの影響があった1980年12月以来、なんと41年ぶりの高水準になりました。 価格転嫁へ 個人消費の低迷を受けて、企業はコスト削減で吸収を進めてきましたが、限界がきており、価格転嫁にカジを切る動きも出てきました。 ガソリンを含む石油・石炭製品は34.2%上昇し、鉄鋼は24.5%、電力・都市ガス・水道は27.5%、と上昇しています。 ウクライナ情勢による小麦への影響 輸入小麦も4月から売り渡し価格が平均で約17%上昇し、過去2番目に高い水準となります。ウクライナが小麦の産地であり、ウクライナ国旗の黄色が小麦を表しているほどです。 消費者物価指数は横ばい 大和証券のシニアエコノミストは、「企業がコストを販売価格に転嫁できなければ、製造業の経常利益は今年に、前年比で最大84%押し下げられる」と試算しています。 原油価格が1バレル120ドル、円相場が1ドル=115円で推移する場合、28兆円が失われる計算です。 企業物価指数が上昇している一方で、消費者物価指数はほぼ横ばいです。つまり、値上がり分を企業が吸収しているということです。 値上げに踏み切れない アベノミクスで得た利益を、内部留保していたので、お金があって余裕があるのか、なかなか値上げに踏み切れないのかもしれません。 最近はちょこちょこと値上げがありますが、ここにきて耐えられないレベルにまできたようです。 このままだと日本人全体で貧乏になっていくので、物価、給料は上げていかないといけないと思います。 アメリカの消費者物価指数 一方で本日の別の日経新聞に、「アメリカの消費者物価、2月7.9%上昇に加速。40年ぶり高水準続く」という記事がありました。 物価上昇率は2%くらいが適度と言われていますが、北米では先月に消費者物価指数が7.9%上昇しました。 積極的な値上げ 企業側も一部は我慢しているかもしれませんが、日本ほどではないようです。ドラスティックにあげている模様です。 続くインフレへの対応 今後10年のインフレ期待を示す「ブレークイーブン・インフレ率(BEI)」は、2月は2.5%前後でしたが、現在は2.9%前後で3%を目の前にしています。 これは、今後もインフレが続くという見通しが数字で出ているということです。 値上がりが続くという連想から人々が耐久財を買い急いだり、企業がコスト増を前提に値付けしたりする変化が広がっています。 家賃の上昇 他にも北米では家賃の上昇が物価を押し上げています。 記事に首都ワシントンの賃貸の話がありました。 契約更新時に管理会社が当初の提示で約20%の値上げがあり、住人が「とても払えない」と物価データなどを挙げて反論し、ようやく5%程度に上昇幅を抑えるところまで交渉したとありました。 それくらい値上げに対して売る方は積極的です。 日本企業の対応 日本は消費者のことを考えすぎというか、顔色を伺いすぎではないかという気もします。 サプライチェーンの乱れからくる値上がりもありますが、このラジオでは何度もお話しているとおり、現状では値上げは避けられません。 日系企業では、いまだに海上運賃を叩いてくる大手企業もあります。 「いい加減、貧乏やめよう」と思いますね。 僕らの世代だけならまだしも、子供の世代にも影響していきます。 物価の値上げ必要 今年は日本も物価が多分上がっていきます。逆に物価が上がらないと、この国はヤバいと考えています。 このラジオのリスナーさんは、男性 90%、女性 10%。45歳以上が50%、35歳以上だと80%以上いらっしゃいます。役職についている人も多いのではないかと思います。 値上げについて理解を示していただきたいですし、一消費者としても同じで、値上げを受け入れないといけません。 昭和や平成ではないので、いい加減、変化が必要なのではないか?と感じています。

今後の国際物流業界はどうなる??中小フォワーダーの視点から考察。 | 物流ニュース・物流ラジオ

今後の国際物流業界はどうなる??中小フォワーダーの視点から考察。

どうもこんにちは、飯野です。 今日は、現在の国際物流業界について僕が思うことについてお話ししていきたいと思います。 2022年3月10日イーノさんの物流ラジオ 続く物流混乱 コロナの影響で2年ちょっと物流の混乱が続いています。 コロナ前はスペースの問題はほとんどなく、価格勝負でしたが、コロナ後はスケジュールが乱れまくり、海上運賃は高騰し、スペースが取れると、利益額は上がるので収益は高くなっています。 とはいえ、しんどいのが現状です。 コントロールできない問題多発 例えスペースが取れても、抜港や遅延など、僕らがコントロールできない問題が発生しています。 船会社の営業マンもコントロールできません。 荷主さんも、サプライチェーンの部分で大変だと思います。荷主さんから何とかならないかと言われますが、対応が難しい場面が多いのが現状です。 2022年の市況 そこで、ロシア・ウクライナ情勢があり、また物流が乱れる可能性が高いです。 航空輸送は既に乱れて始めています。 7月に北米西岸のストがあり、10月に国慶節、クリスマス商戦と続き、2022年もバタバタします。 物流業界のデジタル化 大手フォワーダーは既にやってはいますが、肌感覚でまだまだ浸透はしていないように思います。 物流のDX化のスタートアップの企業も登場してきています。 ここについていく必要があり、昔ながらのフォーワーディングだけでは生き残れないと考えています。 船会社は営業マンを大量に雇うことができないので、フォワーダーを代理店として、貨物を集めています。 船会社はデジタル化にも投資できる資金があり、荷主がフォワーダーを通さなくても直接 Bookingできるようになってきています。中小の荷主も船会社のシステムが便利であれば、使っていくでしょう。 通関・トラック・倉庫・梱包 通関・トラック・倉庫・梱包は専門の業者がありますが、大手フォワーダーは自身のアセットを持っています。 中小フォワーダーはアセットなしで、トータル物流を提供していますが、デジタル化が進めばコミュニケーションが簡易的になります。 デジタル化ができていない、アセットもない中小の物流業者は今後厳しくなっていくのではないかと思います。 これまでは人脈や地域で商売をすることができましたが、このデジタル化の波に乗り遅れるとちょっと厳しいと思います。 物流業界の変革期 タイでフォワーダーを経営しており、コロナ前から危機感をもっています。 業界がこれから、どういうふうになっていくかが未だハッキリとはしていません。デジタルでの勝者がまだいなく、これを真似れば良い!というのがまだありません。 そんな中で、物流のデジタルメディアと人材紹介というところで活動しています。 メディアも最初は正解がなく、僕の相方には全否定されました。2年続けてきて、やっと集客できるようになってきました。 物流・貿易の人材紹介も同じく、チャレンジな感じがします。 国際物流業界の変革期だと思っており、正解が分からないけれども、自分で決めて進んで、ダメだったら責任を取る、というのがリーダーの役割なのかなと思います。 最近の物流業界に対して、混乱に焦点がいきがちですが、デジタル化などの将来に目を向けていかないといけないと考えています。