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貿易コラム

コロナ禍における物流業者の営業方法の変化。SNSの活用。 | 物流ニュース・物流ラジオ

コロナ禍における物流業者の営業方法の変化。SNSの活用。

どうもこんにちは、飯野です。 今日はニュースではなく、昨日日本のフォワーダーさんとお話をしたとき「コロナ渦での物流業者の営業の変化」の話題がありましたので、それについてお話していきたいと思います。 2021年12月23日イーノさんの物流ラジオ 物流業界での営業 物流業者の営業は、だいたい電話をしたり、紹介していただいたり、が基本です。 今回お話しした日本のフォワーダーさんはSNSを使い、仕事につなげていく、今どきの働き方をしていました。物流業界ではかなり少数派だとは思います。 私もSNSを使って情報発信などしていますが、そこから得られる新規のお客さんはかなりの数字であると思います。 営業効率を考えたとき、私の経験上、例えばテレアポだと、1時間電話してアポが取れるのは2,3件というところです。SNSでフォローワーさんやつながりから、問い合わせが来やすくなる、というのはかなり大きいと思います。 YouTubeは英語版も作っておりますので、海外からの問い合わせも多く、そこで海外向けの仕事が決まるというケースも少なくありません。 コロナ渦で情報発信を始め、営業方法を変え、実感しています。 営業方法の変化の必要性 日本のフォワーダーさんも、情報発信をし、ネット上でのつながりをリアルにつなげていくと言っていました。その会社の他の営業マンは、コロナ前と同じ方法を取っているようです。そうすると、人に会うことができません。 既存のお客さんであれば、電話やZoomなどやりやすいかもしれませんが、新規のお客さんの場合、急にZoomの依頼はしづらいと思います。 ネットを通じコミュニテイーを増やし、そこから紹介を得る、という方法はありだと思います。 現在のサプライチェーンの乱れの中、スペース獲得の強さがあれば、仕事は取りやすくなります。コロナ渦であったとしても、需要が高いところに供給ができれば仕事は取れますが、それは会社の強さでもあります。 営業マン個人として、コントロールできない部分でもありますので、個人としてどうすべきかというのは、今回お話ししたように、SNSを使ったり、情報発信をしてネットのつながりを作り、紹介を得るという形がいいのではないかと思います。 とはいえ電話営業が悪いという訳ではなく、状況によりけりで、「これしか武器がない」というのはやはり弱いですよね。 ネットの便利さを利用していけば、物流業界ではSNSを使って営業している人は少ないので、選ばれる存在になっていくでしょう。 コロナで時代ががらっと変わったので、これまでと同じことを続けていてはいけません。これに合わせて新しい変化に対応できる人が生き残ることができるのではないかと思います。

日本発、北米向けが欠便急増。過去20年間の実績でコンテナ買い負けを考える。近隣諸国のコンテナ取扱量は? | 物流ニュース・物流ラジオ

日本発、北米向けが欠便急増。過去20年間の実績でコンテナ買い負けを考える。近隣諸国のコンテナ取扱量は?

どうもこんにちは、飯野です。 今日は海事新聞のニュースから、「北米西岸航路で、日本発でも欠便が急増」というテーマでお話していきたいと思います。 2021年12月22日イーノさんの物流ラジオ 日本発、北米向け欠便急増 米国西岸のロサンゼルス(LA)港・ロングビーチ(LB)港の混雑を連日報じていますが、アジア側へのコンテナ船の戻りが大幅に遅延し、日本発で欠便が急増しています。 LA・LB港があるサンペドロ湾でのコンテナ待機船は、17日時点でLA,LB港の近いところにあるのが23隻、排ガスが懸念されて40マイル(64km)以上離れた沖合で入港待ちしている本船が69隻で、合計92隻沖待ち状態です。 日本から北米に向かったコンテナが帰ってくることが出来ず、スケジュール通りに本船を運航できておらず、欠便が急増しています。 特に年明け1月の日本発の北米西岸北部向けサービスでは、4週のうち3週が欠便と、ほぼ船が来ない状況です。もう定期サービスとはいえない水準になりつつある、と記事にありました。 東アジア発、北米向けコンテナ輸送量 今日のニュースで、11月のアジア18カ国から北米向けコンテナ輸送量と日本発便のボリュームについて記事がありました。 11月のアジア18カ国・地域発 米国向けは前年同月比3%増の185.8万TEUと、4カ月ぶりのプラスとなっています。11月単月としては過去最多を記録し、中国積みなどが好調でした。 一方で日本積みは2カ月連続で減少しています。 国・地域別で11月実績は 中国積み:7%増の115.1万TEU 韓国積み:3%増の9.3万TEU 台湾積み:2%増の7万TEU 東アジアが好調でしたが、これに対して、日本積みは14%減の4.8万TEUで韓国の約半分でした。 主力の自動車部品などが減ったり、さっき説明した欠便や、コンテナ不足が原因かもしれないと記事に報じられています。 日本発のコンテナ数減少 海事センターの北米向けの統計で、北米向けで、日本・台湾・韓国のボリュームを確認していました。 2000年の年間の物量は 日本積み:81万TEU 台湾積み:65万TEU 韓国積み:46万TEU 2009年に韓国に逆転され 韓国積み:52万TEU 日本積み:51万TEU リーマンショック後の影響があってか、30万TEU減っており、ここからずっと韓国に負け続けています。 2019年には台湾に逆転され 日本積み:66万TEU 台湾積み:71万TEU 韓国積み:91万TEU 今年の1月ー11月の統計は 日本積み:53万TEU 台湾積み:77万TEU 韓国積み:101万TEU 日本は工場を他の国に移していたり、半導体の需要の高さも影響していると思います。日本は半導体の素材はありますが、製造では大きく後退していっています。 20年で約30%の減少 2000年に比較して日本から北米は81万TEU から、今年の着地見込みは59万TEUとなり、20年で北米向けの輸出量が30%近くダウンしています。 調べながら、色々と考えさせられるなと思った今日のお話です。

【WSJ】北米の小売店で在庫を大量発注!混雑の原因と来年の予測。 | 物流ニュース・物流ラジオ

【WSJ】北米の小売店で在庫を大量発注!混雑の原因と来年の予測。

どうもこんにちは、飯野です。 今日はWSJ からのニュースで、「北米の小売で年末年始の休暇を控えた発注で抱えている問題」というテーマでお話していきたいと思います。 2021年12月21日イーノさんの物流ラジオ 北米小売、在庫過多 北米では年末年始を控え、注文が殺到していますが、納期遅れにより、時期はずれの商品が余る可能性があると報じられています。 納期遅れはサプライチェーンの乱れが原因とわかりますが、余るというところがポイントです。 現在は、納期が見えないため、大量に発注をしています。これまでのように必要な分だけ発注をすると納期が遅れ、その次の発注も遅れる可能性もあり、在庫ゼロの期間が長くなる可能性があります。 ある小売業者は、「在庫がゼロになって販売の機会を失う方が危険であり、ホリデーシーズンの発注を3倍に増やした」、としていますが、「しかし、これが予定通りに着くかは不明」と続けています。 逆に、別の小売業者は、「在庫が足りないよりは、むしろ多すぎるくらい」と発言しており、デリバリーがうまくいった会社もあるようです。 勝負の第四四半期 現在、 ・サプライチェーンの変動 ・輸送のボトルネック ・Covid-19のオミクロン株 の問題があり、それが買い物客にどれほどの影響を与えるかが不透明な状況です。 小売業者にとっては第四四半期が一番売り上げと利益がピークになる時期なので、ここに賭けています。ここで在庫がないと大きな機会損失になります。 テネシー大学のサプライチェーンの教授は、「予算をオーバーすればみんなに怒られるが、月曜日にはまだ仕事がある。よって、在庫切れを起こさないようにする傾向がある。」述べています。 北米では人件費も上がっているため、作業員を遊ばしておくわけにはいきません。 よって、在庫が余り、新年には季節外れの商品が大量に出回る可能性があるとされています。 季節商品の過剰在庫リスク ウォルマート、ターゲット、ホーム・デポなどの資金力のある企業は、クリスマス商戦に間に合うように早めに商品を積み込み、船をチャーターしてまで在庫を確保していました。 結果、在庫は十分な状態にあると述べています。 しかし、ファストファッションやクリスマスのセーターなど、品数の少ない商品や季節商品を扱う小売企業にとっては、過剰在庫は大きなリスクとなります。 モルガン・スタンレーによる調査によると、今年最初の第三四半期で小売業者を含む企業の50%以上が、それぞれ在庫を増やす予定であると回答していました。 マサチューセッツ工科大学の運輸・物流センターのエグゼクティブ・ディレクターは、「中堅小売業者であれば、5月頃にはクリスマスの需要を決定しなければいけない」としながら、「パンデミック時には、需要予測はまさにお手上げ状態だった」と述べています。 2022年の海運市況 来年の7月、8月でまだサプライチェーンが乱れているとしたら、小売業者の発注量が増える可能性が十分にあり、来年の第四 四半期もまた同じようなスペース不足、運賃の高騰などが予想できます。 余った在庫については、多くの商品は、ディスカウント・チェーンに流れ込み、安く売られるかもしれません。一方で、すべての小売企業が、古くなった在庫の大幅な値引きを考えているわけではない、とも記事は報じています。 倉庫費用を売値に転嫁して、保管していく可能性があります。 アウターウェアやブーツなどの季節商品であっても、1月には通常ディスカウントされるけれども、1月でもフルプライスに近い価格で販売されるかもしれない、と記事には書いてあります。 簡単に考えれば、多くの企業が安売りに走ると考えられますが、保管費用が上乗せされる分、高い価格で売られ、物価は高いままということもあり得ます。 ちょっとどうなるかが読めないですね。 海運の市況は北米の経済が大きく影響するので、引き続きWSJのニュースも含めて発信をしていきたいと思います。

【WSJ】北米、2022年も物流運賃は更に上昇か? | 物流ニュース・物流ラジオ

【WSJ】北米、2022年も物流運賃は更に上昇か?

どうもこんにちは、飯野です。 今日は、ウォール・ストリート・ジャーナルから、「2022年、海運・物流コストは上昇が予想される」という記事についてお話していきたいと思います。 2021年12月20日イーノさんの物流ラジオ 北米、2022年契約運賃大幅値上げ 北米で輸送・物流業者は、来年度の契約運賃の大幅な引き上げを求めており、インフレ圧力が持続するだろうという見通しがあります。 各企業(顧客)は来年の海運・物流価格の「さらなる高騰」に備えようとしている、と記事にありました。現在の高値で収まるかと思いましたが、まだ上がるかもしれません。 現時点で、宅配便、トラック輸送、海上輸送、倉庫など、貨物部門全体で価格が上昇しています。 2022年の契約運賃と価格上昇 貨物輸送とロジスティクスの市場では、長期契約運賃とスポット運賃があり、一般的に運賃は、安定した長期契約運賃と需要などの変化に敏感なスポット価格の間を行き来しています。 しかし、ご存知の通り海上輸送、トラック輸送、その他のロジスティクスサービスのスポットの市場価格は、今年に入り急激に上昇しています。北米の国内輸送料金は、全体で2020年から約23%の高騰を見せています。 トラック運送会社をはじめとする物流企業では、労働市場で「働き手」がいなく、労働力確保のために、給与のコスト上昇もあります。 そして、記事内では2022年の契約運賃は上昇するが、輸送需要が緩和され、企業が枯渇した在庫の補充を終えるにつれ価格上昇は緩やかになる、という予測をしています。 「2022年中はインフレ圧力があるが、2023年までは予想していない」と、とあるトラック会社の社長の意見もあります。 それぞれの物流業の値上げ それぞれの物流業の値上げについて記事によると、消費者に最も近い宅配の価格は、運送業者に価格決定権をシフトさせるため、過去10年近くで最も速いペースで上昇しています。 フェデックスとユナイテッド・パーセル・サービスは、来年のほとんどのサービスで平均5.9%の値上げになると発表しました。 海上コンテナ輸送の料金は、年初に交渉される年間契約があり、これが記録的に上昇する可能性が高いとのことです。 北米では一般的に年初に交渉しますが、既に始まっていると記事で報じられています。 アジアから米国西海岸への40feetの契約料金は、来年は今年の2倍の6,500ドルから7000ドルになる可能性があります。2019年(2年前)は約1,500ドルであり、記録的な値上がりです。 トラック輸送でも、11月の平均契約運賃が過去最高を記録しています。 入札を避け、既存契約の延長 一部の小売業者やメーカーは、適度な値上げと引き換えに2022年の輸送業者との既存契約の延長を行っています。 入札になると、料金は平均して10%から15%高くなることが予想されているので、既存の会社の値上げをのみ、契約延長する方が良いと判断したようです。 倉庫でも人件費が上昇し、契約が切れるテナントに対して倉庫オーナーは値上げを求めています。そうすると、商品の保管コストもより急速に上昇することになります。 サードパーティロジスティクス事業者も、倉庫労働者の獲得競争によって賃金が上昇し、人件費の上昇を商品に転嫁しています。 このように北米の輸送全体的に値上がりしています。 輸送コストに比例し、商品価格上昇 専門家によると、企業はコストを吸収するか、顧客に転嫁する以外にはほとんど選択肢がないとしており、あるコンサル会社の社長は、「全体として、輸送費が商品コストの7%を超えることはほとんどない」と発言しています。 「ほとんどの企業にとって、輸送コストのわずかな上昇よりも、販売している製品の価値やその重要性の方がはるかに大きい」とし、「より安く輸送する方法を探したために、売上を失うとなると本末転倒だ」と続けています。 ウォール・ストリート・ジャーナルが報じているように、北米内は2022年では物流費用は軒並み上昇し、それを売価に転嫁する気がします。 そういう意味で輸送費用の値上げも商品の値上げに影響するため、2022年はインフレ圧力があるということです。 以前の放送でもお伝えしましたが、2022年度は確実に高い運賃がデフォルトだと再認識できるお話しでした。 今後も、随時情報を発信していきます。

Cグループについて(改訂版) | インコタームズ

Cグループについて(改訂版)

この記事を動画で見る どうもこんにちは、飯野です。 今回は、インコタームズのCFR、CIF、CPT、CIPというCグループについて解説していきます。 CFR、CIFについて インコタームズは11条件あり、それらは頭文字の Eグループ Fグループ Cグループ Dグループ の4類型に分類されています。今回はこのCグループを中心にした解説になります。 それでは詳しくみていきましょう。 まず実務でよく使用される、CFRとCIFについてご説明をします。 CFRはCost and Freightの略称です。日本語では運賃込み本船渡し条件と言います。 Cost and FreightということでC&Fと表記される時がありますが、CFRが正しい略称となります。 そしてCIFはCost, Insurance and Freightの略のことです。こちらは運賃・保険料込み本船渡し条件と言います。 CFRとCIFの違いは保険です。CIFの"I"はInsuranceのIのことですので、覚えやすいですよね。 輸出者が貨物保険をかけない場合や、輸入者が保険に加入する場合はCFRです。そして輸出者が保険に加入し、それを費用に含めるとCIFとなります。 次にCFRとCIFについて、インコタームズで重要な「費用負担」と「リスク負担」の取り決め条件はどうなっているのかを見ていきましょう。 CFRとCIFの費用負担、リスク負担 費用負担としては、輸出者は「貨物の引き取り場所から、輸入先の港までの全ての輸送費用」を負担します。 そしてリスク負担については、輸出者は「輸出側の港で貨物が船に乗るまでのリスクを負担」して、船に貨物が搭載されてからのリスクは輸入者の負担になります。 CFRとCIFの特徴は、費用負担とリスク負担の切り替わる場所が違う所です。費用負担は輸入先の港までですが、リスク負担は輸出側の港までとなり注意が必要です。 実際の取引 ではこれからCFRやCIFの実際の取引を見て行きましょう。 輸出者側の立場では、CFRやCIFでは輸出者が貨物を出荷し、フォワーダーなどにBookingや輸出通関、トラック輸送の依頼し、海上輸送を手配します。 CFRやCIFは輸出者が運賃を先にフォワーダーや船会社に支払い、その運賃を製品単価に上乗せして輸入者に請求します。 その為、もし海上運賃をメリットのある価格で仕入れることが出来れば、FOBではなく、CFRやCIF条件の方が輸出者にとったら有利なケースが多いです。 他にも輸出者自身の貨物の取扱量が元々多い場合、特定の地域向けに強いフォワーダーとの取引がある場合もCFRやCIFを使うとメリットがあります。 輸出者が船会社と良い関係を築いていると、競争力のある海上運賃を持っているケースが多いのです。 一方で、輸入者の立場でCFRやCIFを使う場合は、輸出者の方が国際輸送が得意なケースが多いです。 初めて取引をする国や慣れていない輸送の場合は輸出側に任せて、輸入する側の国内の通関や輸送に専念すれば安心でしょう。 輸出側フォワーダーの視点 ここで輸出が得意なフォワーダーの視点でもう少し解説します。 例えば、弊社はタイのフォワーダーでマンゴーやドリアン、また工業品などを毎月沢山輸出しています。 詳しくは弊社の会社案内の動画などで説明をしているのですが、輸出量が多いことから各船会社と良い関係があり、メリットのある海上運賃やスペースを優先的に得ることが出来ています。 なので、主にタイの日系企業のお客様にアジア、東南アジア、北米、中東、ヨーロッパ向けには良いレートやスペース確保を提案しています。一方でアフリカや南米向けにはあまり輸出貨物が少ないので、一般的なレートになってしまいます。 CPTとCIPについて 次にCPTとCIPについて説明していきます。 CFRとCIFは、実はもともと在来船の輸送条件なのですが、商習慣としてコンテナ船や航空輸送の取引条件でも頻繁に使われています。 CFRとCIFでの貨物の危険負担は本船の船上に置かれたときに輸出者から輸入者へ移転されます。 しかし、航空貨物やCFS貨物など船上に置かれる時がいつか分からないものや、コンテナヤードに入れてからの事故だと危険負担があいまいな時があります。そういった場合にCPTやCIPを使用します。 CPTとCIPの費用負担、リスク負担 ではCPTとCIPの用語と条件を確認していきましょう。 ・CPTはCarriage Paid To(輸送費込み条件) ・CIPはCarriage and Insurance Paid To(輸送費・保険料込み条件) の略となります。 違いについてはCFRとCIFと同様に、IのあるCIPが保険ありで、CPTが保険なしの条件になります。 そしてCPTとCIPの費用負担についてです。CFRやCIFの場合は、輸出者が「貨物の引き取りから輸入側の港までの費用」を負担しましたよね。 しかしCPTとCIPにおいては、輸出者の費用負担は「貨物の引き取り輸入港」に加え、更に「指定向け地までの費用」も追加されます。 指定向け地はCY、CFS、港や空港の施設が多いです。 次にCPTとCIPのリスク負担についてです。 CPTとCIPの場合は売り手(輸出者)によって指定された運送人や倉庫に貨物を引き渡した時点で、貨物の危険負担が売り手から買い主へ移転します。 例えば、東京~ロサンゼルス向けの混載貨物だった場合、東京港のCFSに貨物を搬入した時点でリスクの責任は輸入者へ切り替わります。 その後、もしバンニング時、ヤード内、本船積込時などに起きたトラブルに関しては輸入者の負担となります。 そのため売り手から見るとCPTやCIPは、CFRやCIFに比べて ・輸入側で指定の仕向地までの輸送費が増え ・輸出側で指定の倉庫に引き渡し→ 船に載せるまでのリスクが減る ことになります。 まとめ いかがだったでしょうか。今回はインコタームズのCグループ、CFR、CIF、CPT、CIPの費用負担とリスク負担について、また輸出側や輸入側においての、取り扱いボリュームを考慮した時のメリットのある条件についても詳しくお話をさせて頂きました。 特にCFRとCIFは貿易の実務で頻繁に使われる取引条件なので内容についてしっかりと理解をしておきましょう。 今回の内容がお役に立てましたらチャンネル登録や、いいね!またSNSでシェアをして頂けると非常に嬉しいです! また次の動画でお会いしましょう。ありがとうございました! ・Twitter で DM を送る https://twitter.com/iino_saan ・LinkedIn でメッセージを送る https://www.linkedin.com/in/shinya-iino/ お問い合わせは「ツイッター」と「LinkedIn」のみで承っております。

Cグループについて(改訂版) | インコタームズ

Cグループについて(改訂版)

この記事を動画で見る どうもこんにちは、飯野です。 今回は、インコタームズのCFR、CIF、CPT、CIPというCグループについて解説していきます。 インコタームズは11条件あり、それらは頭文字の Eグループ Fグループ Cグループ Dグループ の4類型に分類されています。今回はこのCグループを中心にした解説になります。 それでは詳しくみていきましょう。 CFRとCIFについて まず実務でよく使用される、CFRとCIFについてご説明をします。 CFRはCost and Freightの略称です。日本語では運賃込み本船渡し条件と言います。Cost and FreightということでC&Fと表記される時がありますが、CFRが正しい略称となります。 そしてCIFはCost, Insurance and Freightの略のことです。こちらは運賃・保険料込み本船渡し条件と言います。 CFRとCIFの違いは保険です。CIFの"I"はInsuranceのIのことですので、覚えやすいですよね。 輸出者が貨物保険をかけない場合や、輸入者が保険に加入する場合はCFRです。そして輸出者が保険に加入し、それを費用に含めるとCIFとなります。 CFR/CIFの費用負担、リスク負担 次にCFRとCIFについて、インコタームズで重要な「費用負担」と「リスク負担」の取り決め条件はどうなっているのかを見ていきましょう。 費用負担としては、輸出者は「貨物の引き取り場所から、輸入先の港までの全ての輸送費用」を負担します。 そしてリスク負担については、輸出者は「輸出側の港で貨物が船に乗るまでのリスクを負担」して、船に貨物が搭載されてからのリスクは輸入者の負担になります。 CFRとCIFの特徴は、費用負担とリスク負担の切り替わる場所が違う所です。 費用負担は輸入先の港までですが、リスク負担は輸出側の港までとなり注意が必要です。 実際の取引 ではこれからCFRやCIFの実際の取引を見て行きましょう。 輸出者側の立場では、CFRやCIFでは輸出者が貨物を出荷し、フォワーダーなどにBookingや輸出通関、トラック輸送の依頼し、海上輸送を手配します。 CFRやCIFは輸出者が運賃を先にフォワーダーや船会社に支払い、その運賃を製品単価に上乗せして輸入者に請求します。 その為、もし海上運賃をメリットのある価格で仕入れることが出来れば、FOBではなく、CFRやCIF条件の方が輸出者にとったら有利なケースが多いです。 他にも輸出者自身の貨物の取扱量が元々多い場合、特定の地域向けに強いフォワーダーとの取引がある場合もCFRやCIFを使うとメリットがあります。 輸出者が船会社と良い関係を築いていると、競争力のある海上運賃を持っているケースが多いのです。 一方で、輸入者の立場でCFRやCIFを使う場合は、輸出者の方が国際輸送が得意なケースが多いです。初めて取引をする国や慣れていない輸送の場合は輸出側に任せて、輸入する側の国内の通関や輸送に専念すれば安心でしょう。 輸出側フォワーダーの視点 ここで輸出が得意なフォワーダーの視点でもう少し解説します。 例えば、弊社はタイのフォワーダーでマンゴーやドリアン、また工業品などを毎月沢山輸出しています。 詳しくは弊社の会社案内の動画などで説明をしているのですが、輸出量が多いことから各船会社と良い関係があり、メリットのある海上運賃やスペースを優先的に得ることが出来ています。 なので、主にタイの日系企業のお客様にアジア、東南アジア、北米、中東、ヨーロッパ向けには良いレートやスペース確保を提案しています。 一方でアフリカや南米向けにはあまり輸出貨物が少ないので、一般的なレートになってしまいます。 CPTとCIPについて 次にCPTとCIPについて説明していきます。 CFRとCIFは、実はもともと在来船の輸送条件なのですが、商習慣としてコンテナ船や航空輸送の取引条件でも頻繁に使われています。 CFRとCIFでの貨物の危険負担は本船の船上に置かれたときに輸出者から輸入者へ移転されます。 しかし、航空貨物やCFS貨物など船上に置かれる時がいつか分からないものや、コンテナヤードに入れてからの事故だと危険負担があいまいな時があります。 そういった場合にCPTやCIPを使用します。 ではCPTとCIPの用語と条件を確認していきましょう。 ・CPTはCarriage Paid To(輸送費込み条件) ・CIPはCarriage and Insurance Paid To(輸送費・保険料込み条件) の略となります。 違いについてはCFRとCIFと同様に、IのあるCIPが保険ありで、CPTが保険なしの条件になります。 CPT/CIPの扶養負担、リスク負担 そしてCPTとCIPの費用負担についてです。 CFRやCIFの場合は、輸出者が「貨物の引き取りから輸入側の港までの費用」を負担しましたよね。 しかしCPTとCIPにおいては、輸出者の費用負担は「貨物の引き取り輸入港」に加え、更に「指定向け地までの費用」も追加されます。 指定向け地はCY、CFS、港や空港の施設が多いです。 次にCPTとCIPのリスク負担についてです。 CPTとCIPの場合は売り手(輸出者)によって指定された運送人や倉庫に貨物を引き渡した時点で、貨物の危険負担が売り手から買い主へ移転します。 例えば、東京~ロサンゼルス向けの混載貨物だった場合、東京港のCFSに貨物を搬入した時点でリスクの責任は輸入者へ切り替わります。 その後、もしバンニング時、ヤード内、本船積込時などに起きたトラブルに関しては輸入者の負担となります。 そのため売り手から見るとCPTやCIPは、CFRやCIFに比べて ・輸入側で指定の仕向地までの輸送費が増え ・輸出側で指定の倉庫に引き渡し→ 船に載せるまでのリスクが減る ことになります。 まとめ いかがだったでしょうか。今回はインコタームズのCグループ、CFR、CIF、CPT、CIPの費用負担とリスク負担について。 また輸出側や輸入側においての、取り扱いボリュームを考慮した時のメリットのある条件についても詳しくお話をさせて頂きました。 特にCFRとCIFは貿易の実務で頻繁に使われる取引条件なので内容についてしっかりと理解をしておきましょう。 今回の内容がお役に立てましたらチャンネル登録や、いいね!またSNSでシェアをして頂けると非常に嬉しいです! また次の動画でお会いしましょう。ありがとうございました! ・Twitter で DM を送る https://twitter.com/iino_saan ・LinkedIn でメッセージを送る https://www.linkedin.com/in/shinya-iino/ お問い合わせは「ツイッター」と「LinkedIn」のみで承っております。

LA、LB港で待機コンテナ船が実質100隻!?状況改善には程遠い現実。排ガス規制も要因。 | 物流ニュース・物流ラジオ

LA、LB港で待機コンテナ船が実質100隻!?状況改善には程遠い現実。排ガス規制も要因。

どうもこんにちは、飯野です。 今日は海事新聞のニュースから、「LA、LB港で入港待ちの船は実質100隻以上」についてお話していきたいと思います。 2021年12月17日イーノさんの物流ラジオ LA、LB、両港沖待ち100隻以上 最近のラジオで、LA、LB両港の沖待ちは改善に向かっているとお伝えしてきました。 状況としては、12月14日時点でLA・LB港から40マイル(約64キロメートル)圏内にあるコンテナ船は約60隻あり、そのうち30隻が荷役中で、30隻が沖待ち中です。 しかし実際には、LA、LB港があるサンペドロ湾から離れたところで、71隻が減速運行などで入港待ちしていると報道されています。 これらを含めると、実質101隻が積み下ろし中、これから積み下ろす状況ということになります。 北米向け荷動き改善は? ざっくり少なめに見積もって、コンテナサイズを5,000TEUとした場合、100隻で50万TEU、これは20feetコンテナ換算で50万本、40feetに換算しても25万本のコンテナ数です。 かなりショッキングな数字です。 記事では、マーケットでは旧正月(2022年2月1日)以降、貨物の流れが改善することを期待する向きも多くあるとしています。 一方、あるフォワーダー関係者の見方として、「今、このタイミングで北米向け荷動きは緩んでいない。旧正月を挟んで何か変わるという想定は楽観的過ぎる」もあると報じています。 私も全く同意見です。 私自身もこの状況や、ざっくりした数字をみて、旧正月でなんとかよくなるのでは?と思うのはかなり考えが甘いと感じます。このラジオでは何度も言っていますが、状況を知って、自分で考えて、対策を打つべきだと思います。 サンペドロ湾遠方での沖待ち増加原因 話を戻しますが、サンペドロ湾の遠方で減速運行していたのは、11月からの入港に関するルール変更が原因としてあります。 LA、LB港があるサンペドロ湾内で多くの船舶が停泊することで、排ガスなどによる環境悪化を懸念する声が出ていました。 そこで、船社団体PMSA、港湾使用者団体PMAなど関係者が協議を行い、入港に関するルールを11月中旬から改正し、新規則では両港から40マイル(約64km)圏内を、安全・大気品質エリアと位置づけ、船の停泊を減らすと決定しました。 入港待ちの船舶については、港から150マイル(約240km)離れたエリアでの待機を要請しており、中にはメキシコ近くで待機している船舶もあります。 よって、これまでお伝えしてきたようにLA・LB港による滞留貨物への罰金、大手荷主の貨物引き取りなどでヤード内の状況は良くなっていましたが、実際には待っている船がまだまだあった、ということです。 大幅な改善までは時間がかかりそうだ。と記事は締めています。 北米沿岸の排ガス規制 北米の沿岸は排ガス規制が厳しく、2020年1月にマルポール条約に沿ったSOx規制で、LSSの導入がありました。これは排ガスに関し、従来のC重油はPM2.5の発生が多いため、品質の良いA重油や、スクラバーを使っていこうという規制です。 特に北米沿岸やバルト海はECA(指定海域)としてこのSOx規制で決められた基準より、更に厳しい基準があります。 カリフォルニアでは環境意識が高い人たちが多く、ガソリンエンジンではなく普通にテスラが走っているような地域です。そんな中、沿岸で船が排ガスを出していれば、問題になるのは納得です。 待機コンテナの状況改善はまだまだ遠いというお話しでした。 これについて、引き続き関連情報を発信してきます。

北米FOMCの発表への考察と、インフレ圧力による倉庫費用上昇。2022年の海運市況は? | 物流ニュース・物流ラジオ

北米FOMCの発表への考察と、インフレ圧力による倉庫費用上昇。2022年の海運市況は?

どうもこんにちは、飯野です。 今日は、ウォールストリートジャーナルから、「北米のインフレ圧力が倉庫リースに打撃を与える」という記事についてお話ししていきたいと思います。 2021年12月16日イーノさんの物流ラジオ 北米、不動産賃貸料上昇 不動産会社のCBREグループが発表したレポートによると、現在のB2B用不動産の賃貸料(倉庫など)は、5年前に比べ平均25%上昇しています。 同社の産業・物流部門のマネージャー曰く「B2B用スペースに対する需要の緩和は見られず、これほど高い上昇を見たことはない」とのことです。 現在のアメリカ国内の平均空室率は3.6%で、2002年までのデータで最も低い水準となっています。 南カリフォルニアでスペース逼迫 更に、南カリフォルニア(LA、LB)の主要な流通拠点では特にスペースが逼迫しており、空室率は、最近では0.7%まで低下しています。 この南カリフォルニア地域の今年の第3四半期の賃貸料は、前年同期比で10.4%増加しており、2016年のリースの料金より60%以上高くなっています。 そのため、リース満了時に、借りているテナントに対して大幅に値上げをしています。 サプライチェーンの乱れによる倉庫需要の増加 北米では、多くの小売業者やメーカーは、サプライチェーンのコスト上昇を顧客に転嫁しており、これが現在の高水準に達したインフレを助長しています。 サプライチェーンが乱れているので、流通を安定させる為に倉庫を使用することになります。 乱れていない時はコンテナで輸入し、そのまま工場や配送センターに送ることが出来ていました。 しかし今はドライバー不足、シャーシ不足、積み下ろしのマンパワー不足、内陸の鉄道目詰まり、更には在庫を多く持ち始めている、などの問題から、コントロールできないことが多いため、中間地点として倉庫を使っています。 記事は「消費者の需要が旺盛であり続ける限り、一過性のものではない」と報じています。 インフレが続くアメリカ アメリカの11月のCPI(消費者物価指数)が前年比の6.8%上昇、PPI(生産者物価指数)が前年比の 9.6%上昇で、アメリカはインフレの真っ只中にいます。 物価が上がり続けても、給料が同時並行で上がるわけではないので、消費者側はその物価上昇に追いつくことはできません。そのため、消費は一旦ペースダウンするのではと個人的には考えています。 今日の日経新聞のニュースで、今年最後のFOMCがありFRBが早期の利上げを表明し、2022年3月あたりに3回行うとしています。 2022年の海運市況 コロナの影響で落ちていた雇用も既に回復してきています。雇用も回復し、労働者にお金がある状態ですので、利上げでインフレが落ち着いていけば、物の消費はまた増えていくでしょう。 このような状態になれば、引き続き貨物は中国から出続けてスペースに余裕はなくなり、コンテナ船社は、中国を優先してきます。 来年度は新造船の竣工が少なく、物理的に供給は少ない状況が確定しています。来年も大変な状況が続くというのが個人的な感想です。 サプライチェーン全体の動きも含め、今後も情報を発信していきたいと思います。

コンテナ運賃、北米西岸最高値7,300ドル。来年度の運賃相場も上昇。 | 物流ニュース・物流ラジオ

コンテナ運賃、北米西岸最高値7,300ドル。来年度の運賃相場も上昇。

どうもこんにちは、飯野です。 今日は海事新聞から、「北米西岸向けコンテナ運賃の上昇が続いている」というテーマでお話ししていきたいと思います。 2021年12月14日イーノさんの物流ラジオ 上海発北米西岸向けスポット運賃、最高値記録 上海発、北米西岸向けのスポット運賃が、11月末が6,700ドル/40’だったのが、12月10日時点で7,300ドル/40’となり、最高値を更新しました。 肌感覚でも今年の12月は厳しいという印象もあり、スペースも取れず、運賃も上がっています。 既に北米のクリスマス商戦向けの輸送は終了しており、通常であれば需要は落ち着いているはずですが、まだ出荷の勢いはあり運賃上昇が続いている状況です。 北米のインフレ この背景には北米のインフレの背景もあると思います。 先日発表された北米のCPI(消費者物価指数)は6.8%の伸びを見せ、かなりのインフレだとわかります。通常、物価上昇は2%程度がベストと言われている中、物価の上昇が止まりません。 よって、FRBも利上げする方向で動いており、インフレが落ち着いてくれば、ある程度の時間はかかると思いますが、企業の仕入れも落ち着くかもしれません。 このように北米での仕入れに勢いがあるのも原因の一つだと思います。 北米東岸向け運賃 一方で、北米東岸向け12月に入ってから上昇していますが、そこまで高い水準ではありません。 今年の9月末に過去最高値の1万1,976ドルでしたが、現在は1万644ドルとなり、1,000ドル以上も下がっており、西岸に比べると落ち着いています。 船会社と荷主の来年度の年間契約 ここからがポイントですが、船会社と荷主の来年度の年間契約の運賃相場も上昇傾向にあります。 2021年度(今年度)の大手企業向けの運賃交渉(長期レート)は北米西岸向けで3,000から4,000ドル台でした。 2022年度(来年度)の運賃交渉では西岸向けは6,000から7,000ドルが基準値と言われていましたが、更に大きく超えるレベルとなりそうです。 実際に長期レートを結んだ関係者によると、「実際にこの運賃だと船積みされず使いものにならなかった、という事例が少なくない。」と記事にありました。 船会社と大手荷主の細かい契約は分かりませんが、スポットレートで7,000ドル以上しています。船会社としては、スポットレートの約半額の長期の契約レートに、限られたスペースを使いたくないのだと思います。 タイでも大手荷主はコントラクトレートがあっても、スペースが取れないという話はよく聞きました。 今回の交渉でも、金額よりとにかく「スペース重視」の姿勢になっているとのことです。 来年度の運賃は 最後に、船会社関係者は、「北米西岸向けレートは、今のスポット以上になっているのではないか。また、北米東岸向けはもう1万ドルは超えている」と発言しています。 大手向けの長期レートが高い水準なので、来年度はこの高い金額がデフォルトと思っていただいた方がいいと思います。 これが更に上がるかどうかは未だわかりません。マーケットが高い価格でも受け入れるのであれば上がりますし、ビジネス自体が成り立たないという企業が増えるようであれば、これ以上は上がらないでしょう。 来年度に向けた情報も引き続き発信していきたいと思います。

ジャパンリスク!?来年度のコンテナ運賃交渉、需要増だが供給は変わらず。日系荷主のスペースは良くて現状維持。 | 物流ニュース・物流ラジオ

ジャパンリスク!?来年度のコンテナ運賃交渉、需要増だが供給は変わらず。日系荷主のスペースは良くて現状維持。

どうもこんにちは、飯野です。 今日は海事新聞から「コンテナ船社と日系荷主の2022年度の運賃交渉が進んでいる」という記事からお話ししていきたいと思います。 2021年12月13日イーノさんの物流ラジオ 2022年度のスペースと出荷量 来年度はどの船社もスペースが増えない中、荷主側は出荷量の大幅増を予想しており、そのギャップをどう埋めるかが大きな課題となっています。 船社は「引き受けるのは既存顧客だけで、なおかつ物量も前年並み」を基本方針とし、需要が増えるけれど、供給が増やせない状態です。 更に、「ある船社が大手荷主に対し、北米向けの一部ルートで来期はスペースを出せないと通告し、激震が走ったようだ」と記事にありました。 船社側がこのように既存顧客に断るのは異例中の異例です。 高運賃の中国へ転換 各船社の営業担当によると、高い運賃が期待できる中国発のスポット貨物にスペースを割り当て、日系荷主向けのスペースは良くて現状維持。一部ではスペース減という話もあります。 一方で日本の大手荷主は来期の出荷量は平均で10%超の増加を予想しています。 荷主と船社の関係 「今は超売り手市場で船社主導の何でもありだけれど、コロナ禍が明けて完全に正常化した場合、荷主と正常な関係に戻ることができるのか」と懸念を示す声も強いと記事は締めくくっています。 これは悪い意味でものすごく日本的だと思います。 ONE以外は日系企業ではなく、外国の船会社なので、中国が儲かるとなれば中国を優先するのは当たり前のことです。 トヨタがEVに完全シフトが出来ないのは下請けがあるからです。悪いとは言いませんが、次の時代に向けては足枷になっている感は個人的にあります。 2022年には、日本ではコロナが開けるかもしれませんが、これまでお話ししてきたように、サプライチェーンは引き続き乱れると思います。 2023年以降は今造っている脱炭素の船が完成し、供給量が増えるかもしれません。しかし、供給をコントロールする方が、収益が高いのであれば、船会社が供給をコントロールする可能性もあります。 または、どこかのタイミングで安売りをする船社が出てきて、各社も次々と安売りをするかもしれません。 マーケットの動きによって変わっていきますので、これは分かりません。 日本へ寄港するメリット 荷主との正常な関係とは関係がなく、中華系は安く売っていこうとしていく気がします。 逆に、以前、チャイナリスクという言葉が流行り、中国から製造を撤退し、東南アジアへ拠点を移すような動きがありました。 今後、ジャパンリスクもありえるのではないかと思います。 この物流業社を安値で叩きまくる日本的な風潮が消えなければ、極端な話ですが、ONE以外が日本を寄港しないという考えがあっても不思議ではありません。 極端な例ではありますが、なぜ儲かりもしない日本の市場に外資の会社が船を寄港させる必要があるのか、ということです。このように日本に寄港する船は減り続ける可能性もあります。 そうすると、船の供給がないため、日本で生産して輸出することが出来なくなるので、製造拠点を更に海外に移さざるを得ないようになります。 こういったジャパンリスクの可能性は低いかもしれませんが、ゼロではないかと思います。 しかしまだ、この Japan As No.1の考えが消え切っていないようであれば、日本に寄港する船が減っていく可能性もあり、これについては、もっと考えていかなければならないと思い、今回お話ししました。