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貿易コラム

2021年、異例の北米クリスマス商戦!サプライチェーンの混乱に。 | 物流ニュース・物流ラジオ

2021年、異例の北米クリスマス商戦!サプライチェーンの混乱に。

どうもこんにちは飯野です。今日のテーマはアメリカのクリスマス商戦の物流についてです。 .standfm-embed-iframe { height: 190px; } @media only screen and (max-device-width: 480px) { .standfm-embed-iframe { height: 230px; } }   ウォール・ストリート・ジャーナルの物流セクションの記事を見てたら「今年はクリスマスが早くきている」という見出しの記事がありました。アメリカのEコマースの物流会社のRadialという主に倉庫作業をしている会社からの話です。 アメリカのクリスマス商戦について まずアメリカのクリスマス商戦について解説をしていきたいと思います。 【アメリカのクリスマス商戦のスケジュール】 ・Thanks Giving Day:11月第四木曜日(祝日) ・北米のクリスマス商戦: Black Friday 〜 クリスマスまで ブラック・フライデー セール 例年11月の第四木曜日にThanks Giving Dayという祝日があります。その翌日をBlack Fridayと言い、アメリカで最大のセールが行われるんですよ。 ここでは目玉商品とかがあり、例えば大型テレビが凄い安い価格で売られていたりします。そのブラックフライデーからクリスマスまでの、約1ヶ月間がセール期間でアメリカのクリスマス商戦期間となります。 2021年のブラック・フライデー しかし今年のブラックフライデーは少し違います。アメリカの小売最大手のウォルマートが11月に3回BlackFridayセールを実施するとのこと。 なぜかというと、今年コロナのデルタ株がアメリカでも流行ってきていて、感染対策をしないといけません。消費者たちが店内で密になることを避け感染拡大を防ぐためです。 北米向けの貨物増加の理由が判明 ここで、なぜアメリカ向けの貨物がこんなにも増えているのが分かりました。 バイデン政権が国民に給付金を配ったりなどしてアメリカで景気が回復してきています。それ以外にも販売者側がセール期間を伸ばしたりして、市場を刺激していたのです。 このようにセール期間が長いと、小売側も在庫を確保しないといけませんよね。その為に輸送量が増えていたのです。 消費者の購買方法の予測が難しい アメリカの倉庫物流の話に戻りますが、今年のクリスマス商戦予測が難しいと言われています。なぜかというと、消費者がどこで消費をするのかが例年とは違い見えにくくなっているからです。 店舗で購入する、ネットで購入するのか?もしくはMixもあり得ます。 Mixとは①オンラインで買って店舗で受け取る。②店舗で試着をしてオンラインで買う、などです。 在庫調整が難しい これによる問題は在庫をどこに置くべきかの判断が難しいことです。店舗で売れるのか、オンラインで売れるのか。Eコーマスや倉庫会社としては悩ましい問題です。 消費が早まるかもしれない 更に消費者も例年とは違う状況だから、お目当ての商品の欠品を恐れて、早めに購入するかもしれません。そういう意味で今年はクリスマスが早く来ているという物流関係者の話になります。 倉庫ワーカーの確保が難しい そして倉庫業者からしたら、季節労働者の倉庫ワーカーの確保が難しくなります。コロナの影響もあって集まりにくいかもしれません。また他の会社も今需要が伸びてるからワーカーの取り合いとなり、賃金をアップが必要になるかもしれません。 まとめ 今回のニュース見て、物流の流れは市場経済の流れとも連動しいて本当に面白いなと思いました。 市場経済の動きが流れが分かると、今後の物流の流れもなんとなく予想ができるだけでなく、今回のように情報の裏取りも出来ます。随時マーケット情報を発信していきたいと思います。

HMMの船員がストを実施か!?労働環境や船員不足の背景を説明します。 | 物流ニュース・物流ラジオ

HMMの船員がストを実施か!?労働環境や船員不足の背景を説明します。

どうもこんにちは飯野です今日も飯野さんの物流ラジオを始めていきたいと思います。今日のテーマは韓国の船会社のHMMがストライキ突入か!?についてです。 .standfm-embed-iframe { height: 190px; } @media only screen and (max-device-width: 480px) { .standfm-embed-iframe { height: 230px; } }   8月23日に韓国のHMMの労働組合がストライキへの賛否投票を行い、なんと92%が賛成するというニュースがありました。改善がなかったら、釜山港で船員が集団下船する意向を述べています。 HMM(韓国)について ますHMMについてまず最初に説明させて頂きます。HMMは日本語でいう現代商船という会社で、英語ではHyundai Marchant Marineと言います。 2016年に現代グループから離れたものの、韓国最大の船会社です。そしてコンテナ取扱量が世界8位の大きな船会社です。 韓国のコンテナ船マーケット 韓国の国際コンテナ船マーケットのプレイヤーもご紹介しましょう。 ・Hyundai ・Namsung ・KMTC ・Sinokor ・Hueng-A の5社があります。 そして2017年にHanjinが倒産し、船会社としたら激戦マーケットという印象です。 HMMの労働環境 今回はなぜストにまで発展しようとしているのか?これはHMMの労働環境が問題なのです。 守られていない船員法 HMMの労働環境がどのように問題だったのか?まず船員法では船員は乗船後、最大6ヶ月まで船に乗って仕事をすることになっています。しかし、これが守られていませんでした。1年くらい船の上で生活・仕事をするという労働環境でした。 上がらない賃金 そして船員の賃金が6年間据え置きで、ずっと給料が値段が上がっていませんでした。 船員の人材不足とコロナ さらにコロナのPCR検査証明がないと船員は船に乗ることができません。なのでその証明書がない船員は乗船できず、船に乗ってる船員は降りれないという状態でした。 HMMの労働環境の背景 このようなことが起こった背景は2010年から2020年までの10年間、Hyundaiは通年で営業赤字だったんです。 2020年では9807億ウォン(921億円)の営業利益が出てるんです。また今年2021年の上期上期でも増収増益が出るようになりました。しかし、それまでの10年間は営業利益がずっと赤字だったんです。 10年間営業利益が赤字だから労働環境が悪くて訳ではありません。 そして、このタイミングで船員が賃金交渉し、労働環境も何とか改善しましょうとストライキ実施に対して賛成が90%以上あります。 会社側の条件提示 賃金アップ:8% 激励金:300% 生産奨励金:200% 激励金と生産奨励金で賃金の5ヶ月分です。 組合側の要求 賃金アップ:25% 成果金:1,200% これが拒否されると船員が集団下船すると交渉をするとのことです。 MSCがHMMの人材確保へ ここで別の国の船会社からアプローチがあります。このHMMの船員たちに向けてスイスのMSC(世界2位)が2.5倍の賃金で交渉しているとのこと。 現在MSCは人材確保に動いています。昨今の船会社では新しい船を発注しており船員不足も課題の一つです。MSCはHMMの航海士、甲板員、調理師をリクルートしています。 その為、実際にストライキにならなかったとしても、HMMの船員は減るんじゃないかなと思います。 9月1日にHMMの労働組合と会社側で再交渉がありますが、今後の注目ポイントです。

貨物保険の基礎!貨物保険を申し込みするタイミングは? | 輸送・ロジスティクス

貨物保険の基礎!貨物保険を申し込みするタイミングは?

貨物保険の基礎!貨物保険を申し込みするタイミングについて動画で解説 どうもこんにちは飯野です。 前回に引き続いて今回も貨物保険について解説をしていきます。前回は貨物保険の用語説明や保険料の計算について解説をしました。 まだ見ていないという方の為に概要欄にリンクを貼っておきますので、是非ご覧になってください。 動画で見る:貨物保険の基礎について解説!保険金額や保険料の計算方法 記事を読む:貨物保険の基礎について解説!保険金額や保険料の計算方法 第二回! 貨物保険の基礎知識 今回は ・保険の種類 ・申し込みのタイミング ・貨物事故が起こった時の対処法 について詳しく解説をしていきます。それではいってみましょう。 貨物保険の種類 貨物保険には個別保険と包括保険の2種類があります。 個別保険では船積みの度に個別に付保するものです。船積みをしたら毎回、保険会社に申し込みをする保険です。そのためかけ忘れに注意しなければなりません。 一方で包括保険は、年間の船積み予定の貨物の種類、輸送手段、輸送区間を最初に保険会社に伝え、実際の輸送分に月単位でまとめて保険をかけるものです。 まとめて保険をかけるものの、輸送後には個別の輸送内容を保険会社に連絡する必要があります。この包括保険はかけ忘れが防げるので、継続的に輸送がある場合はこちらが便利です。 インコタームズの確認 保険の手配をする前にインコタームズを確認しなければいけません。 インコタームズによって、既に保険が含まれている契約か、含まれていない契約かを確認する必要があるのです。 例えば、輸入の貨物でFOB契約であれば、輸入者が保険を掛ける必要があります。しかしCIFであれば既に保険は輸出者がかけている契約なので、保険を申し込む必要はありません。 CIFの場合は輸入地に到着してから配送先までの国内貨物保険は、輸入者が申し込む必要があります。 しかし、これがDDPなどでは輸出者が保険手配をしてくれる場合もありますので、事前にしっかりと確認をしておく方が良いでしょう。 保険を申し込みするタイミング 保険の申し込みの時期は輸出であれば、船積み予定の本船が決まれば付保することが出来ます。 輸出は船積み前に付保の手続きをする ということを覚えておきましょう。 輸入の時は船積みされる前に連絡が来て付保出来ればいいのですが、船積みした後にB/Lなどの書類が送られてきて本船が確認できることが殆どです。 遅くても輸入地での本船入港前に付保しておきましょう。 貨物保険の適用を依頼する方法 もし事故が発生したらどうしたらいいのでしょうか? まずは、保険会社に連絡をします。それから保険証券、保険請求書、B/Lのコピー、インボイス、ダメージが記載されているデバンニングレポート、事故通知書(クレームノーティス)を揃えましょう。 事故の際の写真なども必要になることがあります。フォワーダーにこれらの書類を頼めば揃えてくれるので相談してみましょう。 まとめ これまで2回にわたり貨物保険について解説してきました。貨物保険は国際輸送のリスクを考えると、掛ける方が良いと私は思います。 今回ご紹介した貨物保険を申し込むにあたり、申し込みのタイミングは重要です。 付保するタイミングは、輸出だと貨物が本船に積み込まれる前。輸入だと本船が港に到着する前になります。忘れずに手続きをしておきましょう。 これまでの貨物保険の基礎知識の内容を理解すれば、ご自身で保険を手配することが難しくないことがご理解出来たのではないでしょうか。 この動画では国際物流に関する情報を随時発信していますので、チャンネル登録がまだの方は、動画終了後に是非とも登録をお願いします。 また次の動画でお会いしましょう!ありがとうございました! ・Twitter で DM を送る https://twitter.com/iino_saan ・LinkedIn でメッセージを送る https://www.linkedin.com/in/shinya-iino/ お問い合わせは「ツイッター」と「LinkedIn」のみで承っております。

なぜ日本にコンテナが集まらないのか⁉︎原因を解説しました。 | 物流ニュース・物流ラジオ

なぜ日本にコンテナが集まらないのか⁉︎原因を解説しました。

どうもこんにちは飯野です。本日も飯野さんの物流ラジオをお届けしていきたいと思います。 .standfm-embed-iframe { height: 190px; } @media only screen and (max-device-width: 480px) { .standfm-embed-iframe { height: 230px; } }   今日のテーマは日本でのコンテナ不足について。今日、海事新聞を見てたら一面で「日本にコンテナがありません」というニュースがありました。 日本発、北米向け コンテナ輸送が昨年同月比で13ヶ月連続上昇 現在の日本のコンテナ輸送の状況なんですが日本発北米向けのコンテナ輸送が昨年同月比で13ヶ月連続上昇しています。 昨年は確かにコロナ真っ盛りだったから昨年に比べると、もちろんその輸送量は増えてると思います。とはいえ、アメリカの景気回復がどんどん進んでいる状況です。 そして、この日本のコンテナ不足なんですが、去年の12月や年末年始でもコンテナがほとんど足りなかったことがありました。それは去年の12月あたりで、世界中でコンテナ不足が発生していて 日本もコンテナがなかった状態なんですよね。 それが徐々に回復していき、日本にもコンテナがどんどん集まっていくようになっていきます。 そして8月末現在。コンテナが足りなくなってるのですが、なぜ日本にてコンテナ不足が再度 起こっているのかについて、もう少し深堀をしてお話していきます。 欧米のクリスマス商戦に向けて、コンテナやスペース不足 現在は欧米のクリスマス商戦に向けてコンテナとスペースが足りなくなってきています。その足りなくなってきてる理由の一つが、中国です。中国から欧米向けの海上運賃が今は高騰してるんですよね。 上海から西海岸のロサンゼルス向けで20フィートで、1万ドルを超えたりもしてるんです。 そうなると船会社も中国を優先することになります。船会社としても中国にコンテナを送った方が儲かるじゃないですか。そういう意味では、日本が中国にコンテナを買い負けてるという状態になっています。 北米向けの運賃比較(横浜発&上海発) 数字で言うと、北米向けの運賃比較の場合、横浜発と上海発では上海発の方が横浜発より1〜2割高いです。 欧州向けの運賃比較では上海発の方が2割〜4割高いです。 日本への輸入量自体も減っている また日本への輸入量自体も減ってることも影響しています。大手荷主の輸入量が減っています。例えば先日、トヨタが4割減産しますというニュースがありました。そうなるとパーツの輸入が減ることになります。 また、東南アジアからの輸送自体も減っています。 例えばタイ、ベトナム、インドネシアで今現在コロナが感染拡大していますよね。工場が稼働していない所もありますし、物流でも海上運賃が高騰しています。 そして、単価が安い商品だったら東南アジアから日本への取引は値段が合わないっていうような状況でもあります。例えばタイから日本に向けてのコンテは輸送は1,000ドル/40’を超えています。 一つあたりの単価がすごく安く、かさばるような商品だと、日本へ輸送しても全然利益が出ないケースもあります。日本で売値は簡単に上げられない問題もありますので。そうであれば、日本側でも仕入れ自体を控えるというような状況でもあります。 日中航路 8月末からCICが倍額に 更にこのような状況なので、日本と中国の航路で8月末からのCICが倍増しています。CICはコンテナ・インバランス・チャージです。 輸出入でコンテナのバランスの不均一を解消するためのサーチャージです。これが寧波から北の港、上海も含めて、日本向けのCICが上がっているんです。 日本の輸入者はCICを払わないといけません。そしてその金額は倍額です。 上述したように船会社にとっては、中国にコンテナを集めて欧米に送った方が儲かります。しかし、日本にコンテナを送ると中国に比べて利益が少なくなります。 でもとはいえ、中国から日本への物流コンテナを止めてしまうと問題になるので、中国ー日本間のコンテナ輸送がなくなることはありません。しかし、それだと船会社は儲からないので、CICを倍にして、利益を少しでも確保しにいっています。 日本の物価が上がらない問題 こうなると船会社にとっては日本のマーケットは魅力がないように見えてしまいます。 これは以前からありましたが、日本のマーケットでは荷主さんの立場が強くて船会社やフォワーダーが高い運賃を持ってっても受け入れてもらえませんでした。 そうなると船会社も日本で全然高く売れないから、中国にコンテナを集めるようになっているんです。 日本でデフレが続いており、今でもその物価が上がっていません。その物価が上がらない理由にはこういう問題が影響してると思います。 日本が中国にコンテナを買い負けてる状態なので、物流も不安定になっています。送りたくても、コンテナがないから送れない状態です。そういう意味で日本の国際競争力も更に落ちていくんじゃないかなと私自身も心配してます。 現在私はタイに住んでいます。コロナがマシになったら日本に一時帰国してみようかなと思ってるのですが、ホテルや食事など色々と調べてみてもやっぱりね安いなと思います。 コスパが良いと喜んではいられません。これからは日本の物価がどんどん上がっていくようになっていったら良いなと心から思っております。

貨物保険の基礎について解説!保険金額や保険料の計算方法 | 輸送・ロジスティクス

貨物保険の基礎について解説!保険金額や保険料の計算方法

貨物保険の基礎について動画で解説 どうもこんにちは、飯野です。 今回は貨物保険の基礎知識について解説をしていきたいと思います。 貨物保険は貨物が全く問題なく輸送されれば必要ないかもしれませんが、国際輸送では予想がつかないことが起こる可能性があり、保険はかけておくことをお勧めしています。 貨物保険をかけることを日本語では付保といい、貨物保険の基礎知識を学べるように2回にわたって説明していきます。 第一回 貨物保険の基礎知識 1回目は ・貨物保険とは ・貨物保険の用語 ・保険料について について詳しく解説していきます。 この付保のポイントを理解することで、貨物保険の手配がスムーズに出来るようになります。それでは、いってみましょう。 貨物保険とは? 貨物保険は輸出入貨物を対象にして、その輸送中に起こる様々な不測の事故や危険をカバーするためにかける保険です。 国際輸送では、国内輸送よりも輸送距離が長く積み替えなどもあるので、輸送中に貨物のダメージやトラブルが起こる可能性が高くなります。 それでは貨物保険では、どのような問題において適用されるのでしょうか? 船の上でのコンテナの水濡れはもちろん、コンテナからトラックに積み替えるときの人為的なミスであっても保険のカバーの対象になります。 保険会社に申請する 保険契約をするには保険会社の所定の申込書に記載をして、申し込みします。保険の申込書に記載する為に必要な、貨物保険の基本的な用語を確認していきましょう。 保険金額 まず保険金額(Insured Amount)です。 これは万が一の事故の時に保険金として支払われる最高限度の金額です。保険金額は通常インボイスに記載されているCIF価格の110%の金額となります。 保険料 次に保険料 (Insurance Premium)。 これが保険会社に支払う金額です。保険料は保険金額に保険料率(約0.3%〜0.5%)を掛けて計算します。 保険料率は航路、品物などによって変わります。また1件あたりの最低金額は約3,000円(USD30)程度です。 地域によっては加算事項として、戦争中における戦争危険料率やストライキ危険料率などがあります。 保険範囲 保険の範囲も忘れてはいけません。保険の対象貨物の損害が全部にわたる全損、貨物の一部分に損害が認められる分損に分けられます。 全損や分損のすべての損害に対して補償される全危険担保の保険や、全損のみに補償されるものなど、どこまでのリスクをカバーするかによって保険の種類が異なります。 カバーされる対象が多いほど保険料が高くなる仕組みになっています。 その他の必要事項 これらは保険会社に申請する時に必要な用語ですので覚えておきましょう。 その他には、貨物の向け地、輸送方法、インコタームズ、インボイス金額、品名なども必要になります。 貨物保険の計算方法 ここで一緒に貨物保険を計算してみましょう。 例としてタイから東京まで機械を輸送するとします。輸送の条件は次の通りと仮定します。 ・ 機械自体の金額がUSD 10,000 ・ 工場からバンコク港までの輸送費用や通関などの諸経費がUSD500 ・ バンコク港から東京港までの海上運賃をUSD1,000とします 保険金額はCIF価格×110%でしたね。 CIF価格の計算方法は、製品代金に輸入地までの全ての輸送費用を足したものです。 そうすると、このような計算式になります。 製品価格 USD 10,000 + タイ国内費用 USD 500 + 海上運賃 USD 1,000 x 110% = USD 12,650 万が一事故が起こった場合で、機械が全く使用できない全損と認定された場合はUSD12,650が保険会社から支払われることになります。 保険料の計算方法 次に保険会社に支払う保険料を計算してみます。 保険料 = 保険対象金額 × 保険料率です。 この場合はUSD12,650 × 保険料率(0.3%~0.5%)となります。 保険料率が0.3%だとすると、USD37.95になります。最低金額のUSD30より多いので、こちらを保険料として保険会社に支払うことになります。 まとめ 今回は貨物保険の基礎知識について解説しました。貨物保険は万が一のリスクに備えるためのもので、国際物流では必要なものです。 この動画で貨物保険の基礎知識を身につけて、正しく貨物保険の手配を出来るようになりましょう。 この動画では国際物流に関する情報を随時発信していますので、チャンネル登録がまだの方は、動画終了後に是非とも登録をお願いします。 また次の動画でお会いしましょう!ありがとうございました! ・Twitter で DM を送る https://twitter.com/iino_saan ・LinkedIn でメッセージを送る https://www.linkedin.com/in/shinya-iino/ お問い合わせは「ツイッター」と「LinkedIn」のみで承っております。

海運業界の脱炭素!LNG/水素/アンモニア/メタノール船舶燃料の特徴について | 輸送・ロジスティクス

海運業界の脱炭素!LNG/水素/アンモニア/メタノール船舶燃料の特徴について

海運業界の脱炭素!LNG/水素/アンモニア/メタノール船舶燃料の特徴について動画で解説 どうもこんにちは飯野です。 今回は海運業界における脱炭素燃料の現状についてお話していきたいと思います。 脱炭素という言葉は昨今のニュースで毎日出てくる、各業界でのホットなキーワードです。世界中の各企業によって、地球環境の為に CO2を始めとする温室効果ガス(GHG)の排出削減に向けて様々な取り組みが日々行われています。 海運業界の脱炭素 それは海運業界においても同じです。国際海事機関(IMO)は2050年までに船舶から排出される温室効果ガスを50%以上削減すると目標に掲げました。 その目標を達成する為に海運業界では船舶燃料の見直しが始まっています。 今回は海運業界の脱炭素に向けた次世代燃料を紹介し、それぞれの現状や課題について解説していきたいと思います。 それでは言ってみましょう。 IMOが掲げる脱炭素の目標 まずIMOが掲げる脱炭素への移行には、3段階あるとご理解ください。 1.2030年までにGHG排出量を40%以上削減する 2.2050年までにGHG排出量を50%以上削減する 3.今世紀中にゼロにする このように段階的に目標が分かれているので、 2021年の現在から 短期目標として2030年までに実行する施作 中期目標として2050年までに実行する施作があります。 現在の船舶燃料の課題 現在、船舶燃料には重油が使用されています。 物流・海運業界で働いている方なら2020年1月より義務化された、低硫黄重油のことは聞いたことがあると思います。LSSというサーチャージとして日頃の実務で身近なものですよね。 低硫黄重油はPM2.5の大気汚染対への対策だったのですが、今回のテーマは地球温暖化に繋がる温室効果ガスです。低硫黄であろうと重油であればCO2が排出されてしまうので、別の燃料に変えましょうという流れが起きています。 注目の次世代燃料 その次世代燃料として特に注目されているのがLNG(液化天然ガス)、アンモニア、水素、そして最近ではメタノールも挙げられています。 変えるのは燃料だけではありません。これらの燃料への切り替えにあたり、エンジン、燃料タンク、燃料供給インフラも一緒に変えていかなければいけないのです。 これらを交えて各燃料について解説していきます。 LNG(液化天然ガス) まずLNG(液化天然ガス)です。LNG燃料は船舶燃料として既に実用化されています。 CO2削減効果は重油と比べ約26%削減、Sox(硫黄酸化物)はゼロに、Nox(窒素酸化物)は約30%削減できると言われています。 しかし、LNGをエンジンで燃焼した時に、未燃焼メタン(メタンスリップ)が漏出するとされています。メタンスリップはCO2の約25倍の温室効果があります。家畜としての牛がメタンを出すので、同じく問題とされていますよね。 まだメタンスリップ抑制に対する規制がないので、今後IMOがメタンスリップに関わる国際基準を作っていくことが想定されます。 アンモニア 次にアンモニアです。アンモニアはこれまで主に肥料として使われて来ましたが、近年になって燃料への用途が注目されています。肥料用としてアンモニアは一般的に流通しているので、輸送と貯蔵のノウハウが確立されているのが特徴です。 アンモニアを使うとCO2排出量はゼロになりますが、アンモニアを燃料として使う燃料エンジンがまだ開発されていません。 アンモニアは燃えにくいため、効率よく燃焼させる為の技術が必要なことと、CO2の約300倍の温室効果があるN2O(亜酸化窒素)の発生対策が必要になります。 また体積が重油に比べると2.7倍と大きく 、燃料タンクが大きくなってしまい 輸送スペースが減ってしまいます。貨物輸送では効率化が非常に重要なので、ここも見逃せないポイントです。 またアンモニア自体が毒性、腐食性の危険物なので取り扱いの安全性にも注意しなければいけません。 水素 そして水素です。水素燃料は自動車でも注目をされていますよね。水素を燃焼してもCO2、Soxは排出されませんが、Noxが発生する為これを抑える技術が必要です。 水素もアンモニアと同様で船舶用の燃料エンジンがまだ開発されていません。水素を液体として保管・貯蔵するには-253度に冷却する必要があり、また更に体積も大きく重油の4.5倍もあります。その為 燃料タンクが必然的に大きくなります。 そしてアンモニアとは逆で、水素は非常に燃えやすいので燃焼速度が速く、高い燃焼抑制技術が必要になります。それに加え、輸送や燃料供給のインフラ設備もまだまだな状態です。 メタノール そして最後にメタノールです。メタノールは天然ガスや石炭、再生可能エネルギーなどから生産可能で、燃焼した場合 CO2は10%削減、Soxはゼロ、Noxは30%削減されると言われております。 CO2削減については天然ガスなどを原料にした場合はそれほど効果が見込めませんが、再生可能エネルギーから作ったものであれば、大幅にCO2が削減されるとのことです。 既に船会社大手のマースクが業界初のメタノール使用のコンテナフィーダー船を発注したと先日ニュースになっていました。そういう意味でアンモニアや水素に比べて早く導入が進んでいく可能性があります。 各燃料の特徴まとめ それぞれの燃料の特徴をまとめるとこのようになります。 ・LNG 利点:CO2削減約26%、導入実績あり 課題:メタンスリップ(温室効果:CO2の25倍)が発生 ・アンモニア 利点:CO2発生ゼロ、肥料用として輸送・貯蔵ノウハウあり 課題:難燃性、N2Oの発生(温室効果:CO2の300倍)、体積2.7倍、毒性 ・水素 利点:CO2発生ゼロ 課題:高い燃焼抑制技術が必要、体積4.5倍、貯蔵技術・インフラが未整備 ・メタノール 利点:CO2大幅削減(再エネ生産時)、導入実績あり 課題:体積2.4倍、LNGと比べると割高 それぞれの燃料に特徴があり、また今後の技術開発も大きなポイントとなっています。 船会社による脱炭素に向けての動き まず短期目標である2030年のGHG40%削減に向けて、現在 各船会社はLNG船を発注しています。 コロナによるコンテナ不足・スペース不足の問題で 昨今大きく利益を上げていると話題の各船会社ですが、次々に設備投資をしている印象です。 アンモニアや水素はこれからの技術開発が注目のポイントになります。水素は今のところ水素燃料電池を使った旅客船の開発に成功していますが、貨物船への採用には まだまらこれからというのが現状です。 次世代燃料の主役はどれだ!? 国土交通省のまとめによりますと、2050年における海運の消費エネルギーの内訳はLNGが42%、水素・アンモニアが45%となっています。 短期・中期的にはLNGは主力燃料であることが想定されていますが、最近では大手企業が原料のアンモニアやメタノールを生産する会社を設立したり、出資も始めたりしています。 これからも各社の動きに注目ですね。 まとめ 今回の内容はいかがだったでしょうか。 海運業においての脱炭素の取り組みの基礎についてお話をさせて頂きました。次世代エネルギーの主役争いが、これからどのようになっていくのか、非常に面白い展開だなと個人的には思っています。 このチャンネルでは貿易・国際物流に関する情報を分かりやすく配信していますので、チャンネル登録がまだという方はこの動画の終わりに是非とも宜しくお願いします。 今回は以上です!ありがとうございましたー! ・Twitter で DM を送る https://twitter.com/iino_saan ・LinkedIn でメッセージを送る https://www.linkedin.com/in/shinya-iino/ お問い合わせは「ツイッター」と「LinkedIn」のみで承っております。

国際複合輸送 ~シー・アンド・レイル~ | 輸送・ロジスティクス

国際複合輸送 ~シー・アンド・レイル~

国際複合輸送 ~シー・アンド・レイル~について動画で解説 どうもこんにちは、飯野です。 今回は国際複合輸送について解説をしていきたいと思います。 国際複合輸送とは? 国際複合輸送というとなんだか難しく聞こえるかもしれませんが、国をまたいで船や飛行機、鉄道、トラック、トレーラーなどで輸送を組み合わせたものを国際複合輸送といいます。 そういう意味で、実は一般的に馴染みのある海上輸送は 船とトラックの国際複合輸送にあたりますし、同じく一般的な航空輸送も飛行機とトラックの国際複合輸送になります。 今回の動画では 日本や東南アジアではあまり馴染みのない、海上輸送と鉄道輸送を合わせた国際複合輸送(シー・アンド・レイル)、についてご紹介をしていきます。 実際にどのようなルートで輸送されているのかについて理解しておくと、貨物の輸送手段の選択肢が広がりますので抑えておいた方が良いと思います。 それではいってみましょう。 シー・アンド・レイルのルート まずアメリカの鉄道を利用した輸送をご紹介します。 アメリカは国土が非常に広いので港から鉄道を使った輸送が非常に重要になり、複数の国際複合輸送のルートが存在しています。 IPI - 北米の内陸拠点・ルート まずIPI(Interior Point Intermodal)についてご紹介しましょう。IPIとは鉄道でコンテナを輸送する時の内陸の拠点です。 各地にあるIPIが鉄道で結ばれていて、アメリカ西海岸の港まで海上輸送されたコンテナを内陸へと列車で運んでいきます。このルートもIPIと呼んだりします。このIPIだけが「内陸拠点」と「ルート」の2つの意味を持つので、少しだけややこしいかもしれません。 MLB - 北米横断ルート 次にMLB(Mini Land Bridge)です。MLBは西海岸に到着したコンテナを、鉄道を使って大陸横断して、アメリカ東海岸やメキシコ湾岸まで輸送するルートのことです。 IPIは内陸、MLBは大陸横断と覚えておくと良いでしょう。 ALB - 北米横断 & 欧州ルート そしてALB(American Land Bridge)というルートもあります。 ALBでは西海岸に海上輸送で到着したコンテナが、アメリカを西から東に鉄道で横断し、更に東海岸から海上輸送でヨーロッパまで輸送される国際複合輸送になります。 オールウォーター 最後に、複合輸送ではないのですが、アジアからパナマ運河経由でアメリカ・カナダ東岸へ海上輸送するルートを、オールウォーターと呼びます。 合わせて覚えておくと良いでしょう。 ロシア・中国でのシー・アンド・レイル その他、大陸が広いロシアや中国でも鉄道を使った輸送を多く利用しています。 SLB (Siberian Land Bridge) ロシアではシベリア鉄道を輸送に利用した、SLB(Siberian Land Bridge)というルートがあります。 まず海上輸送でロシアのボストチヌイ港まで輸送し、その後シベリア鉄道でモスクワまで送ります。そしてモスクワから鉄道、またはトラックで中東やヨーロッパ各国へ輸送するルートです。 CLB(China Land Bridge) 続いてCLB(China Land Bridge)という中国のルートを紹介しましょう。 日本から連雲の港まで海上輸送し、そこから鉄道でカザフスタン、ウズベキスタンさらにヨーロッパ各国へ輸送するというルートです。 今、シー・アンド・レイルが注目される理由 2019年の年末から続いているコンテナ不足、船のスペース不足の問題で 昨今では鉄道を使った輸送に注目が集まっています。特にアジアからアメリカ、ヨーロッパへの海上運賃は過去最高に高騰していて、更にスペースも非常に取りづらい状況です。 今回ご紹介した国際複合輸送のルートを知っていると、船のスペースがなくても対応出来る可能性が上がるかもしれませんね。 このチャンネルでは貿易や国際物流に関する情報を随時発信していますので、チャンネル登録がまだという方は是非ともお願い致します。 今回は以上です!ありがとうございました! ・Twitter で DM を送る https://twitter.com/iino_saan ・LinkedIn でメッセージを送る https://www.linkedin.com/in/shinya-iino/ お問い合わせは「ツイッター」と「LinkedIn」のみで承っております。

2021年7月物流ニュース | 貿易実務の基本

2021年7月物流ニュース

どうもこんにちは飯野です。 今回は2021年7月の物流や海運に関するニュースをまとめて、「物流の今」を紹介していきます。 先月のニュースをご覧になった方も、ご覧になっていない方もわかるように解説していきたいといます。 それでは、いってみましょう。 北米向けコンテナ輸送混乱拡大、内陸鉄道施設パンク寸前 アジア発北米向けコンテナ輸送の混乱が続いています。北米西岸港湾の混乱に加えて内陸部、特に中西部の混乱が悪化しています。 シカゴの内陸輸送の中継施設では、これ以上の貨物の引き受けができなくなる状態です。船会社関係者の話では、内陸向けを止めると今度は北米西岸港湾がパンクするとのことで、内陸部の状況は悪化しています。 米国西部鉄道のユニオン・パシフィック(UP)は19日、西岸港湾発シカゴ向けの貨物の受託を1週間停止しました。 シカゴへのルートはUPとBNSFの米国鉄道2社のため、これら2社とも状況は変わらず長引けば、様々なところに悪影響を及ぼすことが予想されています。 コンテナ運賃、値上がり止まらず コンテナ運賃高騰に止まる兆しが見えません。 7月16日に上海航運交易所がまとめた上海輸出コンテナ運賃は北米西岸向けが40フィートで5,334ドル、北米東岸向けが9,655ドルとなり 前週に比べて300ドル超の値上がりとなりました。 また北欧州向けは20フィートで7,023ドル、地中海向けは6,893ドルと前週から200ドル前後の上昇。また北欧州向けは初めて7,000ドルの大台を突破しました。 北米向けは、港湾混雑や内陸輸送がパンクし、東岸向けへ輸送が殺到し東岸向け運賃は上昇。欧米諸国向け以外では豪州向けで20フィートが3,000ドルを突破しましたが、それ以外はほぼ横ばいの数字となっています。 商船三井、メタノール生産 最大手メタネックス子会社へ出資 商船三井は16日、メタノール生産 最大手メタネックス(カナダ)の海運子会社ウォーターフロントシッピング(WFS)の株式取得に向けて協議していることを明らかにしました。 船舶用メタノール燃料は、従来燃料に比べて、SOX(硫黄酸化物)排出量を最大99%削減でき、他にもPMやNOX(窒素酸化物)、CO2(二酸化炭素)なども削減できます。 さらに再生可能資源から生産されたメタノールは、二酸化炭素を最大95%削減できることから、メタノール燃料船は追加の設備投資なしで IMOが掲げるCO2削減目標の達成に貢献できます。 今回の合意に当たり、メタネックスのCEOは「今回の新たな戦略的パートナーシップが低環境負荷 舶用燃料としてのメタノール市場拡大に大いに貢献すると確信している」と期待を述べています。 マースク、初のメタノール燃料のコンテナ船を発注 海運最大手マースクは韓国、現代重工グループの現代尾浦造船(Hyundai ミポ造船)とメタノールを燃料とするフィーダーコンテナ船の発注契約を結んだことを発表しました。 メタノールを使用するコンテナ船は世界初で、マースクはこれにより将来的なコンテナ船輸送のための実験の場を提供し、顧客にカーボンニュートラルなサービスを提供するとコメントしています。 マースクが発注したフィーダーコンテナ船は北欧州とバルト海北部を結ぶフィーダーサービスに投入され、メタノールに加え従来の低硫黄燃料を使用できる2元エンジンとなります。 ハパックロイド、ナイルダッチ買収。西アフリカ事業拡大へ 独船社ハパックロイドは8日、コンテナ船社ナイルダッチの買収を完了したと発表しました。 ナイルダッチはアフリカ航路に強みを持っており、コンテナ船、多目的船サービスを提供しています。今後主要事業の統合を進め、西アフリカでの事業拡大を進めていくようです。 キューネアンドナーゲル、生鮮品 物流網強化。ノルウェー企業買収へ 国際物流大手キューネアンドナーゲルはノルウェーの水産物のフォワーディング大手、サーモスペッドを買収すると発表しました。 これにより、生鮮品の物流ネットワークとノルウェー発 航空貨物の輸出事業も強化するとのことです。 サーモスペッドはオスロに本社を置き、サーモンなど水産物の物流を専門として、昨年の売上高は約142億円。貨物取扱量は約6万トン。コロナ禍でもノルウェーの魚類輸出は好調で今後も成長が期待されています。 キューネアンドナーゲルの生鮮品物流の強化は、エクアドル(2018年)、カナダ(2019年)、今回のノルウェーと続いています。 解説コーナー それでは今回の物流ニュースの解説コーナーにまいりましょう。 今回のニュースでは、大きく分けて昨今の①海上運賃の高騰について、②脱炭素燃料としてのメタノール、そして③企業買収について選定をしました。 私個人的にこの3つの内容が現在の物流業界の注目ポイントなのかなと思っています。 海上運賃の高騰についてはここ数ヶ月ずっと上昇をしているので、いつになったら収まるの?と注目している業界関係者は多いと思います。 現状から判断すると年内は難しいでしょう。北米向けのクリスマス商戦の国際輸送は通常8月から始まりますが、コンテナ船のスペース不足の問題もあり、7月に前倒しが発生しています。 また10月1日は中国の国慶節ですので、その前の9月に中国からの出荷は更に集中し、再度 北米の物流に目詰まりが発生する可能性が高いです。ニュースでもお伝えした通り現在は北米西岸だけでなく、内陸の鉄道に目詰まりが発生しています。 一度発生した物流の目詰まりは直ぐに解消するものではありませんので、年内は回復の兆しが見えないと思います。 そして忘れてはいけないのがアメリカ西海岸の労働組合の労働協約が2022年7月1日に失効します。これによりロサンゼルス、ロングビーチなどの港の機能が低下し、コンテナ滞留につながる可能性が高いです。 荷主もそれを避けるために北米東海岸向けに航路変更をするでしょうから、また北米西岸、東岸ともに海上運賃の高騰、スペース不足が予想されます。 そして船舶燃料としてのメタノールですね。これまではLNG、水素、アンモニアが脱炭素の燃料として注目をされていましたが、メタノールについては 私は全く知りませんでした。 メタノールはCO2だけでなく、SOXやNOX削減にもつながるとのことで、これからの展開が楽しみな燃料だと思っています。そしてこの燃料を世界で初めてコンテナ船に採用したのは、業界最大手のマースクでした。「なるほどなぁ」と物流業界の流れって面白いなと思いました。 最後に企業買収についてですが、大手物流企業による関連企業の買収が最近は多いような気がしています。 国際物流業界では物量を取れるスケールメリットがかなり影響します。大きな会社は買収を繰り返して更に大きくなっていき、自社の得意を更に強化していきます。今回ご紹介したキューネ&ナーゲルが良い例ですね。 物流業界ではコロナによって収益を大きく伸ばした会社と、そうでない会社もあり、物流業界の企業買収の動きは更に活発になるのでは?と個人的に予想をしています。 まとめ 今回の物流ニュースはいかがだったでしょうか。ニュースをまんべんなく紹介するより、ポイントを絞ってお伝えする方がより詳しく業界の流れが分かるのでは?と思って今回はそのようにやってみました。 感想などをコメントから頂けますと、今後の改善につなげられますので非常に助かります! 今回は以上になります!ありがとうございました! ・Twitter で DM を送る https://twitter.com/iino_saan ・LinkedIn でメッセージを送る https://www.linkedin.com/in/shinya-iino/ お問い合わせは「ツイッター」と「LinkedIn」のみで承っております。

フォワーダーに見積もり依頼するときの必要情報 | 物流コラム

フォワーダーに見積もり依頼するときの必要情報

どうもこんにちは飯野です。 今回は「フォワーダーに見積もり依頼をする時の必要事項とその理由」というテーマでお話をしていきたいと思います。 おかげさまで私のYouTube動画やブログを見て頂いた方から、国際輸送の見積もり依頼を頂くケースが本当に多くなりました。ありがとうございます! ですが、中には貿易に慣れていない方からの見積もり依頼もあり、必要情報の確認に手間取る場合があります。これを機会に動画でちゃんと説明をした方がいいなと思いました。 今回の内容を紹介することで、慣れていない荷主さんはよりスムーズで正確な費用確認が出来ることになると思います。それにより問い合わせを受けたフォワーダーさんの確認業務の削減に繋がるかとも思います。 それではポイントを紹介していましょう。 フォワーダーが困る見積もり依頼とは? まずですが、私たちフォワーダーにとって困る見積もり依頼について内容をご紹介させて頂きます。弊社の問い合わせでは、こんな感じのシンプルなメールが送られてきます。 ・タイから中国まで 海上輸送でいくらかかりますか? ・タイからマレーシアまでトラックでいくらかかりますか? これを見て何が足りないの?と思われた方。申し訳ありませんが想像力が足りていません。 積み地、揚げ地の港・空港名 貿易取引をするためには輸送費用を含めコスト算出が不可欠ですよね。マーケティングで市場調査をしている段階で ざっくりした費用確認の場合だとしても、タイから中国だと範囲が広すぎます。 輸出する国と、輸入する国の具体的な港や空港の名前が必要です。日本語では積み地、揚げ地と呼びます。 貨物の引き取り先、配送先の住所 またクロスボーダートラック輸送の場合はDoor to Doorのケースが多いので、タイからマレーシアという輸送条件で見積もり依頼がきても、タイとマレーシアのどこからどこまでですか?と思ってしまいます。 貨物の引き取りと、送り先の具体的な住所が必要になります。 貨物内容 貨物内容が書かれていないと、何を送るかも私たちは分かりません。貨物内容によっては輸送方法が異なってきます。 例えば精密機器を送るのと、冷凍マンゴーを送るのでは全く条件が違いますよね。 また貨物が危険品だとしたら、見積もり手配以前に そもそも運べるのかどうかも確認する必要があります。 貨物サイズと重量 貨物のサイズと重量も大切です。1パレットの貨物を送るのと、コンテナ10本以上が必要になる工場のプラント設備一式送るのでは全く違います。 また綿のように軽いけどかさばるもの、鉄のロールのようにスペースを取らないけど、ものすごく重たいものを運ぶ場合も計算方法が異なります。 貨物の梱包形態 梱包形態も教えて欲しいです。貨物がカートンのバラ積みなのか、パレット梱包なのか、荷姿がドラムやフレコンバッグなのかも分かると助かります。 例えば新品の機械で全く梱包されていない状態だと、海上輸送中に動いてダメージにつながる為、安全に輸送するためには梱包の提案をする必要が出てきますので。 インコタームズ B2Bの輸送ではインコタームズも必要です。EXWだと分かればピックアップ住所の情報が必要になるし、DDPであれば配送先の情報も必要になります。 輸出でFOB費用が必要だと、フォワーダーは国内輸送費だけを確認しますし、これがCFRだと海上運賃も含めた費用の確認になります。 インコタームズについて詳しくは再生リストにまとめていますので、そちらをご確認頂ければと思います。 配送頻度 最後に輸送頻度もあると嬉しいです。毎月1本と毎月10本のコンテナ輸送では取り扱い量が違いますし、ボリュームが多ければ船会社や航空会社への価格交渉もしやすくなります。 また見積もりは営業マンの匙加減にもよりますので、ボリュームが多くて確実に取りたいと思う営業マンは安く提案してくれる場合もあります。 まとめ それでは、フォワーダーが見積もり手配に必要な情報をまとめます。 ・貨物内容 ・輸送形態(航空輸送、海上輸送、トラック輸送など) ・インコタームズ ・引取先の住所(タームによる) ・積み地(港・空港) ・揚げ地(港・空港) ・配送先の住所(タームによる) ・梱包形態 ・貨物サイズ ・貨物重量 ・配送頻度 これらの情報があると完璧です。見積もり手配はスムーズになりますので、項目をメモして頂ければと思います。 慣れている方であれば状況に応じて必要最低限の情報をご連絡頂けるかと思いますが、より詳しい情報を頂ければ その分 回答する見積もりの内容や精度もあがります。 今回お話しさせてもらった内容が、よりスムーズな見積もり依頼や手配につながれば幸いです。また次の動画でお会いしましょう。ありがとうございました! ・Twitter で DM を送る https://twitter.com/iino_saan ・LinkedIn でメッセージを送る https://www.linkedin.com/in/shinya-iino/ お問い合わせは「ツイッター」と「LinkedIn」のみで承っております。

【フォワーダー2.0】デジタルフォワーダーの時代、中小企業の今後の戦い方。 | 物流ニュース・物流ラジオ

【フォワーダー2.0】デジタルフォワーダーの時代、中小企業の今後の戦い方。

フォワーダーのデジタル化が日本でもやっと進んできたような気がします。業界ではデジタルフォワーダーという名称のスタートアップがアメリカ、ヨーロッパ、中国で注目されていました。 私個人的に注目していたデジタルフォワーダーのスタートアップはアメリカのFlexport。最近では住友商事のVCが出資したという中国のYunquna。そして日本のデジタルフォワーダーの始祖 Shippioです。 これらのスタートアップの動きを見て、タイにある弊社グループでもデジタルフォワーダー化するべきだ!と2020年1月にグループミーティングで提案しました。現在はペンディング中です。理由は以下にて説明します。 そして、ここ最近日系の大手フォワーダーにデジタル化の動きが見えるようになってきました。 さすが日通。契約した船社のスペース・Booking・価格などの情報が社内にオンタイムで共有される。「確実」にスペース状況が分かるというのは昨今の海運ではマジで必要な要素。この一元管理は今後、通関やトラックにも広がっていくはず。物流業界が面白くなってきたぞ!https://t.co/khegnPiAl7 — イーノさん@物流会社の社長🇹🇭 (@iino_saan) July 20, 2021 予想通り大手フォワーダーから、どんどんデジタル化が進んでいくよね。中小フォワーダーとして生き残り戦略を考えないと。 【コンテナ】三菱商事ロジ、船腹予約の新PF稼働。貨物動静確認まで一元管理 https://t.co/qkuJss4d8M — イーノさん@物流会社の社長🇹🇭 (@iino_saan) July 22, 2021 タイトルで「フォワーダー2.0」と流行りの〇〇2.0を使ってしまいましたが、フォワーダーも遂に新しいステージに行くタイミングだと思ったので考察を書いていこうと思います。 デジタルフォワーダーとは? デジタルフォワーダーという言葉に馴染みがない方の為に簡単にご説明します。デジタルフォワーダーとは、独自のITプラットフォーム(PF)を使い、見積もりの即時提出、荷主からのBooking、貨物のトラッキングを一元管理しているフォワーダーです。 簡単にこれまでのフォワーダーと比較をしてみましょう。 従来のフォワーダー ・見積もり:都度確認、メールや見積書にて提出 ・Booking:メールでBookingを受付 ・トラッキング:営業やカスタマーサービスが調べて連絡 デジタルフォワーダー ・見積もり:PFで表示 ・Booking:PFで受付 ・トラッキング:PFで表示 このようにプラットフォーム(PF)で一元管理され、簡単に必要な情報にアクセス出来る仕様です。 見積もり、Booking、トラッキングは現時点での主要な機能ですが、今後は更にサービスが広がっていくと思います。 その他の機能(一部は未来予測) ・B/Lの間違いチェック*S.I、INV、PKLからAIで間違い探し ・eB/L(制度改正が必要) ・本船の残りスペースの表示 ・各港の混雑状況の表示(沖待ち日数) ・写真をアップロード -> HS Codeの表示 ・HS Codeを入力して必要書類(他法令)の表示 ・HS Codeを入力して配送可能(主にDG)か事前確認 ・輸入関税・消費税金額の自動算出 ・Arrival Noticeの電子送付 ・D/OのQRコード化 ・輸入申告のオンタイム状況の表示 ・フリータイム切れまでのカウントダウン ・デマレージ費用のオンタイム表示 ・配送先の住所を入力してトラック費用の算出 などなど。AIとブロックチェーンなどの技術も使って、技術的には全て出来る内容だと思います。 これまでデジタル化が進まなかった原因 物流のお仕事に従事されている方なら、上記のような便利なツールや機能があったらいいなと思うのではないでしょうか。他の業種では既に使われている技術なのに、なぜ物流業界ではデジタル化が進まなかったのか? これは ・物流業界の人たちの考えが古すぎる(コンサバ) ・業務プロセスが多く、関係各社が分かれている この2つが主要な問題です。 弊社でもプラットフォームを導入するにあたり、全体会議を何度もやりましたが つまづいたのは上記の理由です。 致命的問題:関連業社が多すぎる件 コンサバは時間が解決してくれると信じているのですが、もう一つの問題が厄介です。 私たちフォワーダーは(特に中小企業は)基本的にはアセット(自社の設備)を持たないケースが多いです。なので船・飛行機を含め、通関、トラック、倉庫などを複数の業者に外注しています。 各社で使っているシステムが違う 現在ではそれぞれの業者・会社が自社の都合の良いようにシステムを導入しています。システムがないと膨大な物流手配の情報は取り扱えないのですが、このシステムが足枷となります。 1件の輸送をする為の関係各社のシステムが違うので、フォワーダーのプラットフォームと各社のシステムとの連携が①技術的、②権利的に難しいのです。特に後者②が深刻だと思ってます。 システム業者からしたら、「なんでそんなプラットフォームと連携しないといけないの?」となります。実際に弊社のプラットフォーム開発ではここで止まりました。 IT企業あるある このように各社のシステムが違うのに、現存のデジタルフォワーダーはプラットフォームどのように一元管理をしているのでしょうか? これは私たちもプラットフォームを作ろうとしたので分かりますが、表向きはIT開発をしているけれども、運用は人がやる仕組みになってしまいます。 現在、船会社はBookingを各自社Webサイトで受け付けていて、トラック会社はメール(またはFAX)でのBooking受付が殆どです。 なので ・フォワーダーのプラットフォームでBookingを受ける ->自動で各船会社・航空会社のWebサイトへBookingする ->自動でトラック会社へメールでBookingする このようなシステムは技術的には出来なくないと思いますが、小額投資しか出来ない弊社だとそれは無理でした。自動で出来ないので、人が泥臭くBookingやキャンセル手配をすることになります。 大手企業はトップの鶴の一声か? 私自身が大手フォワーダーの内部にいるわけではないので勝手な想像なのですが、冒頭で紹介した日通や三菱ロジでは、トップが「デジタル化するぞ!」と言ったら、関連会社のシステムも合わせられると思ってます。 大手は自社でアセットも持っているので、それに合わせたプラットフォームも開発がしやすいんですよね。そういう意味で大手企業ほどコンサバかと思っていますが、やるときはパワーを使って変えられる強みだと思います。 大手フォワーダーがデジタル化する脅威 デジタルフォワーダーというスタートアップが出て来て、いきなり市場が取れる程 この国際物流業界は甘くありません。確かにプラットフォームは便利ですし、これからはトレンドがきて、今後は一般化するでしょう。 しかし貨物を海外に運ぶというフォワーダーの仕事においての前提条件は、貨物を運べるスペースをしっかりと持っていることです。取り扱いスペースがなければ、見積もり・Booking・トラッキングをいくら便利にしても、そもそも運べません。 冒頭に紹介した日通は日本No.1フォワーダーの購買力を生かし、複数の船会社とスペースを契約。そのスペース状況をオンタイムで内部に共有しているとあります。 2022年下旬まで購買を制すものが有利 この記事を書いている現在はコロナによるコンテナ不足、本船のスペース不足の為に海上運賃が過去最高に高騰しています。特にアジアからアメリカやヨーロッパ向けなどは、貨物を送りたくても送れない状況が続いています。 こちらの記事でも書きましたが、現在はフォワーダーの二極化が始まっています。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/selected-forwarder/?lang=ja" target="_blank"] スペースが取れるフォワーダーはキャリア(船会社・航空会社)と共に収益を上げ、スペースが全く取れない会社は残念ながら仕事が取れません。 このコンテナ不足、スペース不足はいつになったら解消するのか?という話題はよく聞きます。現状からすると年内までは続くという見方が強まって来ました。 また2022年7月1日にアメリカ西海岸の労働組合の労働協約が失効するので、また北米西海岸で一悶着があり、コンテナの目詰まりが発生するでしょう。全くスペースが取れないことはないと思いますが、タイトな状態になる可能性は十分にあります。 中小フォワーダーはどうやって対抗すべきか? このような市場の状態において、中小フォワーダーはこれからどのようになっていくのでしょうか?結論を言いますと、従来のアナログで海上輸送・航空輸送のみを対応するフォワーダー1.0は淘汰されます。 すぐにではないでしょうが、全ての大手フォワーダーがデジタル化を完了させて攻め込まれると、中小のアナログフォワーダーは勝てません。 テクノロジー化が進むにつれてコストは下がります。更に大手は強い購買力でスペースが取れますし、物流管理をデジタル化することで人件費も下げられます。 中小フォワーダーの救世主が現れるか? このように書くと、自社でシステム開発をしなければいけない!莫大なコストがかかる!と心配になったかもしれませんね。大丈夫です、ご安心ください。 上述しましたが弊社でもデジタル化を進めようとしたくらいなので、他の中小フォワーダーでもデジタルプラットフォームを採用することは可能です。 実はフォワーダー用のプラットフォームを開発してくれる会社があります。また今後はサブスク(月額課金)でプラットフォームを使わせてくれる会社も増えてくるとも思います。 世界各地でトータル・ロジスティクスすべし プラットフォームを導入すれば大丈夫か?というと、そうではありません。プラットフォームはこれからの必要最低条件です。 プラットフォームが出来たことで、価格に透明性が生まれます。船会社・航空会社の代理店業としてスペースのみを販売していたフォワーダーは、この価格のガラス張りで「利ざや」が抜けなくなるのです。 デジタル化が進むことで簡単に価格が比較され、多くの場合で選ばれるのが最も安く貨物を運んでくれる会社。または適度な価格でワンストップ・サービスしてくれる会社です。 国際物流は海上・航空輸送だけではありません。その前後の陸送、通関、梱包など、また貨物によって運び方も変える必要があったりします。 海外の代理店との連携を強化する 更にいうと、トータルロジスティクス(ワンストップ)だけでは生き残れません。大手企業ももちろんトータルでサービスを提供して来ますし、ここでポイントになってくるのが 海外の支店・代理店の存在です。 国際物流は2国間で貨物輸送手配をします。そして大手企業は海外に自社の支店を持っていることが多いですが、それが足枷になるケースもあります。 海外に支店があるのと、海外の支店のサービスが良いは全く別の話。 これは大手フォワーダーに勤めていた人から聞いた話ですが、海外の支店のサービスが悪かろうと、そこを使わなければいけない縛りがあるそうです。 中小フォワーダーの場合は各地に支店がなく、ローカルのフォワーダーと代理店契約をしている場合も多いと思います。そして、そのなかで良い代理店を選べるというのが逆に強みだったりします。 まとめ やっとこの国際物流業界でも空気が変わって来ました。技術的には出来そうなのに 構造上の問題でなかなか進まなかったデジタル化。これがDXというトレンドワードによって、このコンサバ業界が動き始めたのです。 ここで変われない会社は間違いなく淘汰されます。弊社グループでもまだ変われていないので、個人的にこのまま行くとヤバいと感じていますが、大切なのは変わろうとする意思と行動。 もしデジタル化に時間がかかったとしても、中小フォワーダーと関連業者による強い連携があれば大手企業とも戦っていけると思っています。 さぁ、フォワーダー2.0に向かって動き出そう。 追伸 変わる必要なんてない!今後フォワーダー業界は安泰だ!と楽観している方のために、こちらの動画をご紹介します。 日本の海運の歴史を解説した動画ですが、かつては日本の船会社は12社ありました。現在の邦船社は3社(日本郵船・商船三井・川崎汽船)。コンテナ事業は1社(ONE)に統一されました。