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貿易コラム

特定原産地証明書の取得方法について解説しました!EPAに使われる原産地証明の申請・発行のタイミングなど。 | 輸送・ロジスティクス

特定原産地証明書の取得方法について解説しました!EPAに使われる原産地証明の申請・発行のタイミングなど。

貿易での商取引で意識することの1つに関税があります。これにより製品の代金が関税により上がってしまい、輸入後に価格面での競争力がなくなってしまいます。 それを避けるために特定原産地証明書を使うのですが、これにより協定を結んでいる国同士であれば特恵税率という関税が無税・減税というメリットあります。 今回はこの特定原産地証明書の取得方法する方法について解説したいと思います。 関連するブログへのリンクを貼っておきますのでご一読いただければ理解がより深まると思います。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/epa/?lang=ja" target="_blank"] [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/certificate-of-origin/?lang=ja" target="_blank"] [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/normal-co/?lang=ja" target="_blank"] 一般の原産地証明書と特定原産地証明書の違い まずは原産地証明書の違いについてお話したいと思います。一般に原産地証明書といわれるものは貨物の原産地を証明するためのもので、輸入国の法律や規則に基づく要請や契約や信用状で指定がある場合に提出します。 一方、今回のテーマである特定原産地証明書は日本が締約する「EPA経済連携協定」に基づくものです。協定によって決められた特恵関税の適用を目的としているものです。 各地の商工会議所ではありません。ここが違うポイントとして重要なところです。 発給機関の違い ・一般の原産地証明書:各地の商工会議所 ・特定原産地証明書:日本商工会議所 各地の商工会議所と、日本商工会議所 発行機関が「各地の商工会議所」か「日本商工会議所」か、字面で見ると大して違いが無いように思えてきますが実際は全く異なる機関です。 もし一般の原産地証明書の取得のために各地の商工会議所で貿易登録をしていたとしても、特定原産地証明書を取得するためには改めて日本商工会議所にも貿易登録をしなければなりません。 例えば日本商工会議所の名古屋事務所が名古屋商工会議所の中にあるように両者の距離感が近いので勘違いされやすいのですが、日本商工会議所への貿易登録が済んでいなければ発行は決して叶いません。 特定原産地証明書の取得が必要となりそうな場合には必ず事前に貿易登録をしておくように忘れないでください。 EPAの規定などを確認する 日本商工会議所への貿易登録を済ませ、輸出しようとする産品のEPA税率の有無と税率を確認しします。そして、それぞれのEPAに定められる原産地規則に基づいた原産資格があることをちゃんと確認できたら日本商工会議所に判定審査を依頼します。 ちなみにこのように、「産品がそれぞれEPAに定められる原産地規則等を満たしている」とその産品は特定原産品と呼ばれます。 申請は窓口ではなくインターネットで 原産品の判定を依頼するためにはオンラインの専用システム「特定原産地証明書発給システム」から「原産品判定依頼書」を入力し日本商工会議所に提出をします。 特定原産地証明書関連の申請は一般の原産地証明書とは違って、窓口申請ではなくインターネットでの申請ができるのです!これはとても便利ですね。 日本商工会議所が原産品判定に関して必要な情報を受理してから原産品判定番号を付与するまでの期間は、原則3営業日かかります。なるべく早く済ませるようにしましょう。 特定原産地証明書の取得 ここまで完了しましたら後は輸出する産品に対する特定原産地証明書を取得します。こちらも原産品判定の依頼と同様オンラインシステムから申請可能です。 日本商工会議所が証明書発給に必要な情報を受理してから審査結果を通知するまでの期間は、原則2営業日かかります。 何かと日にちのかかる申請ですので余裕をもって準備してください。 発給手数料 発給時には交付と引き換えに発給手数料を納付する必要があります。基本料は申請1件につき2,000円、加算額は1品あたり500円です。 原産品判定番号の使用が20回を超えると21回目から50円になります。 ★特定原産地証明書の発給手数料 ・2,500円(1回目~20回目) ・2,050円(21回目以降) 発給審査が完了しますとシステムから発給申請一覧で発給手数料を確認することができます。 納付方法 発給手数料は原則、発給事務所の窓口で交付と引き換えに納付します。こちらはチケット制ではなく現金で支払うことができます。事務所が遠い場合は銀行振り込みも認められていますし、月当たりの件数か金額が多い場合は後日振り込み払いとすることもできます。 ご自分の都合に合わせて確認してみて下さい。 特定原産地証明書の受け取り 原則通り手数料を窓口で現金払いする場合にはシステムから「引換書・受領書」を印刷し、窓口へ出向いて引換書の提出とともに現金で納付すれば完了です。 発給申請は輸出者しかできませんが引換は代理でも問題ありません。 多少の手数料が取られるとは思いますがわざわざ足を運ぶ手間が減りますし、そのまま現地への発送も依頼してしまえばより楽かつタイムリーな手配になります。 申請のタイミング 申請は船積みが確定してから船積みまでが原則とされています。船積みが確定というのは曖昧な表現ですがおススメはBLの内容を確認してからです。 というのも、原産地証明書にはBL番号を入力することこそありませんが船積み地や便名などの情報も入力しなければならないからです。 特定原産地証明書の取得には例外もあり ここでざっとお話しましたことは特定原産地証明書の一般的な流れです。実際は協定ごとに異なる原産地規則がありますのでそれぞれの協定に基づく形で発給されます。 例えば、日シンガポール協定に基づく特定原産地証明書のうち、ビール等4品目に対する証明書に限り一般の原産地証明書と同じように各地の商工会議所で発行されます。 また日オーストラリア協定は自己申告制度が導入されていますので、輸出者、生産者さらには輸入者が原産品申告書を作成することが可能です。原産品申告書は税関様式に則ったフォームであれば問題ないので、この場合は特定原産地証明書を取得する必要がありません。 代わりに原産品明細書が必要だったり事前教示が勧められたりしていますので、一概にどちらが楽と言えるものではなさそうですが輸出者輸入者の双方にとってメリットのある方法を選ぶことができます。 まとめ 特定原産地証明書の取得の流れにつきましてご理解いただけましたでしょうか。 EPA自体、この数年で始まったものですので、これからまた規則が変わることは十分に予想されます。特定原産地証明書の取得が必要な方はいつも最新の情報をチェックしておくようにされると良いでしょう。

一般原産地証明の取得方法について!原産地証明を商工会議所で入手する方法について詳しく解説しました。 | 輸送・ロジスティクス

一般原産地証明の取得方法について!原産地証明を商工会議所で入手する方法について詳しく解説しました。

貨物を外国に輸送する時、貿易では原産地証明書を取得する場合があります。そして輸出で取得する原産地証明書は大きく分けて「一般原産地証明書」と、EPA経済連携協定に基づく「特定原産地証明書」の2種類があります。 どちらも「原産地証明書」という名称が含まれていますので不慣れな方は混同しがちだと思いますが取得目的も効果も大きく違います。 一般原産地証明 対象国:全世界 目的:輸入国側の法律や規則で必要。貿易取引の契約書や荷為替信用状(L/C)を運用 申請方法:窓口による書類申請 特定原産地証明 対象国:日本と経済連携協定を締結している国と地域 目的:EPA経済連携協定に基づき関税の優遇を受ける 申請方法:インターネットでの電子申請 どちらの原産地証明書を取得しようとしているかで、企業登録方法や申請手続もかなり変わってきますので、初めて取得をしようとするときにはご自分がどちらの証明書を求められているかをしっかりと確認してください。 今回は一般原産地証明書の取得方法について解説したいと思います。 特定原産地証明の取得方法は以下のリンク先の別記事にて解説していますが、それぞれに違いがありますので混同されないようにご注意下さい。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/epa-co/?lang=ja" target="_blank"] 原産地証明書とは? まず原産地証明書とは何かを簡単にご説明します。原産地証明書とはその名の通り、取引の対象となっている物品が特定の国又は地域で生産又は加工をされたことを証明する書類のことです。 貿易では基本的に関税を低くするために取得されることが多いです。英語では「Certificate of Origin」と表記されます。英文では「Cert」や「C/O」と略して呼ばれることもあります。 原産地証明書は輸出者が手配します。輸入の場合であれば輸出者から原本を入手するだけで基本的にはOKですので、取得方法は主に輸出者に関係する作業となります。 原産地証明書の全体像についてはこちらに記載をしました。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/certificate-of-origin/?lang=ja" target="_blank"] 一般原産地証明 さて以下に一般原産地証明書の取得方法について詳しく説明をしてきます。 一般原産地証明が必要とされるケース ・輸入国側の法律や規則で必要とされている場合 ・貿易取引の契約書やL/C(Letter of Credit)を使用するのに要求される場合 商工会の窓口のみで入手可能 一般原産地証明書は各地の商工会議所で窓口での書面申請により発給を受けることができます。郵送やメールで対応してくれる商工会議所は今のところ聞いたことがありません。 原産地証明書が必要とされる取引を開始する前に忘れずに商工会議所への登録を済ませて下さい。 さらに原産地証明書は原本でないと効果を発揮しません。 なので事前に原産地証明書用紙も商工会議所で購入しておきます。地域によって価格に違いはありますが窓口で100枚綴り500円程度で販売されています。 一般原産地証明の取得手続き さて船積が確定しましたら原産地証明書の発給手続きを始めます。各商工会議所のHPに印刷用のフォームがありますのでそちらに入力し、先ほど説明しました証明書用紙に印刷すると良いでしょう。 サインを除いてすべての記載事項を黒字または青字で英文で記載します。 記載ミスに注意 詳しい記載内容はここでは省略いたしますが、一字一句、決して間違いの内容に記載して下さい。窓口で申請する際にはかなり細かくチェックされます。 少しの間違いもないか何度も確認をしてから印刷をするようにしましょう。 サインも正確に 無事に記載事項が証明書用紙に印刷できましたら、サインを入れます。このサインは先に述べました貿易証明登録の際に商工会議所へ提出したサインでなければなりません。発給の際には登録のサインと相違がないかをしっかりとチェックされています。 少し自体が崩れているというだけで発給が不可となるケースもあります。なので他人の筆跡を真似てサインをしてもまず間違いなく見破られますので必ずサイン登録した本人がサインします。あらかじめ複数人のサインを登録しておくと安心ですね。 本人のサインであっても、登録の際と同じようなサインが書けるように十分注意してください。 商工会議所にて申請する 書類が準備できましたら商工会議所へ持参し発給申請をします。申請の際に一部は商工会議所側での控えとなりますので、ご自分の必要な部数 プラス 一部を持参するようにしてください。 窓口は平日の日中しか開いていません。夜間、土日は対応してもらえません。また、年末年始など混み合うときは午前で申請締め切りなどイレギュラーな対応となることもあります。 持参される際には窓口の空いている時間や申請の締め切り時間をあらかじめ確認しておく必要があります。 一般原産地証明所発行の手数料 申請の際にも手数料がかかります。こちらは1件あたり1,000円程度となります。券売機で必要な手数料分のクーポン券を購入して、それを申請書類と一緒に提出するスタイルです。 喫茶店のコーヒーチケットのように、10枚の値段で11枚綴りなどお得な冊子式クーポン券も各地で発売されていますので、度々原産地証明書を申請される方は購入されても良いでしょう。 無事に審査が通りましたら発給印やサインなどの入った原本が返却されます。後は現地へ送るなどすれば輸出側の手配は終了となります。 フォワーダーに依頼 申請手順としてはこんな感じでそれほど難しいものではありませんが、商工会議所へ出向いたりするのは少し手間に感じられますよね。お忙しい方は多少手数料が取られますがフォワーダーへ依頼するのも一つの手です。 商工会議所への申請はもちろん原産地証明書の作成から引き受けてくれるところも多いので料金がかかっても手間を減らしたい方はぜひフォワーダーに相談してみて下さい。 フォワーダーに依頼する際の注意点 フォワーダーに依頼する際の注意点ですが、フォワーダーが作成したとしてもサインは必ず貿易登録通りでなければなりません。 毎回、フォワーダーが作成したものを送ってもらってそれからサインしていては逆に手間ですので100枚綴りの証明書用紙を購入し、そちらに全てサインを入れてフォワーダーに預けておくという形で進めるとスムーズです。 これを受け入れていただけるかどうかもフォワーダー次第だと思いますので要相談です。 ちなみに、このやり方にOKが出てサインを入れる際ですが100枚一気にサインを入れると手が疲れてきてしまい、後半はサインが崩れてきて商工会議所からNGが出るレベルのサインになってしまう方も時々いらっしゃいます。 まとめ 一般原産地証明書の取得手順についてざっとお話ししましたがお分かり頂けたでしょうか。窓口でしか発行してもらえない書類ということで手間な側面はありますがまとめてサインをする、フォワーダーに依頼をするなどで対応が可能です。 是非ご参考にして下さい。

冷凍鶏肉をタイから輸入したい!動物検疫・植物届けなど、食肉の輸入手続きを解説しました。 | 物流コラム

冷凍鶏肉をタイから輸入したい!動物検疫・植物届けなど、食肉の輸入手続きを解説しました。

タイ産の食品と言いますとマンゴーやドリアンなどの植物・フルーツを思い浮かべる方が多いと思いかもしれません。タイは植物だけでなくブロイラー(食肉用の鶏)の飼育量が多く日本にとって最大の鶏肉・鶏肉調製品供給国なんです。 生産量こそ米国やブラジルに比べると少ないですが、きめ細かなカットや異物混入の低減などによりシェアを伸ばし冷凍鶏肉などの合計輸出額はブラジル次ぐ世界第二位で米国と同程度にまでなりました。 そんなにタイ産の鶏肉を食べている実感はないかもしれませんが、マクドナルドのチキンナゲットはタイ産の鶏肉なんです。先日、イオンの食品売り場で売られていた鶏肉の唐揚げも原産地を見たらタイでした。身近なところにタイ産の鶏肉はたくさんあるのです。 ではこのタイ産の冷凍鶏肉をどのような手順で輸入するのか?詳しく説明していきたいと思います。 食肉の輸入について動画で解説 冷凍鶏肉の輸入概要 食肉及び食肉製品の輸入に際しては家畜伝染予防法に基づく畜産物の輸入検査と、食品衛生法に基づく食品等輸入検査を受ける必要があります。 その2つをクリアしてから税関での申告となります。一つずつ見ていきましょう。 1. 動物検疫をする まずは家畜伝染予防法に基づいた動物検疫の手続についてご説明します。 海外から家畜の伝染病の侵入を防止するため、農林水産省が動物検疫所にて家畜から作られる肉製品などの畜産物を対象に輸出入検査を行っています。この検査は量の多少・個人用・商用等の用途にかかわらず必ず受ける必要があります。 食肉は家畜伝染予防法に基づく指定検疫物です。輸入される動物や畜産物などを介して日本に家畜の伝染性疾病の病原体が持ち込まれる恐れがあるので動物や畜産物などのうち特にその可能性の高いものを指定検疫物として指定しており鶏肉もそちらに該当します。 タイでHealth Certificateを取得する 指定検疫物の輸入にあたっては輸出国の政府機関、つまり日本の動物検疫所に相当する期間が行う検査に合格し、その機関の発行した輸出国検査証明書(Health certificate)の添付がなければ輸入してはならないとされています。 難しく聞こえますが輸出国での検査や証明する事項は輸出国と輸入国の間で事前に決められておりますし、普段から鶏肉を輸出されているタイの業者さんは慣れています。輸出が決まったらこの検査証明書を輸出者より入手しておきましょう。 貨物が到着してからの手続きの流れ 貨物が日本の港に到着しましたら原則として検査を希望する日の前日までに輸入港を管轄する動物検疫所へ以下の書類を提出して検査を受けます。 検査と共に必要な書類 ・輸入検査申請書(畜産物) ・Health Certificate ・B/L ・Invoice ・Packing List 検査の結果 合格となれば「合格証明書」が発行されます。万一、伝染性疾病の病原体への汚染(または汚染の可能性)が発見されると不合格となりますが消毒後に合格となります。 動物検疫の費用概算 動物検疫検査手続きは輸出入・港湾関連情報処理システム(NACCS)を使用してできますので、通関業者へ依頼するのが一般的かと思います。 費用の大体の目安としては ・動物検疫検査申請料:15,000円〜20,000円/品目 ・動物検疫検査立会費用:10,000円〜15,000円/件 ・動物検疫検査ショートドレ-料:20,000円〜25,000円/件 *MGシャーシ利用 検査の申請や立会は頑張って自身で行ったとしてもコンテナの輸送料金などはどうしても発生しますので、鶏肉の輸入の際には十分注意する必要があります。 2. 食品届の提出 - 食品検疫 動物検疫をクリアしますと次は食品検疫が待っています。ここからは厚生労働省管轄の食品検疫所への申請となります。 マンゴーの輸入解説でもお話ししましたが個人使用目的で輸入する際には特に手続は必要ありません。自分が自宅で冷凍鶏肉を食べる場合には規制はないのです。 なのでここでは商売目的での輸入についてのお話となります。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/frozen-mango-import/?lang=ja" target="_blank"] 食品検疫の必要性 まずは食品届を厚生労働省管轄の食品検疫所に提出します。 これは食品衛生法によるもので、人体への安全性を確保し衛生上の問題発生を防止するために避けては通れません。私たちの体内に入るものなのですから当然と言えば当然ですよね。 具体的に冷凍鶏肉をどれだけの量でタイのどこの誰から輸入するのか、それには日本で禁止されている添加物や残留農薬などが含まれていないかなどを検疫所に届け出て確認を受けることで税関からの輸入許可も受けることができるようになります。 届出申請は、輸入地を管轄する食品検疫所にて行います。通関業者に代行を依頼する場合は凡そ5,000円~1万円程度の代行手数料が発生します。届出のフォームは食品検疫所のサイト内にありますので自身で申請することも可能です。 食品届に必要な書類 必要書類 ・製造工程表 ・原材料表 これらは輸出者側で用意すべき書類ですので、輸入が決まったら早めに輸出者から入手しましょう。動物検疫でも提出した輸出国検査証明書は検疫合格後に返却されますのでそれを食品検疫でも提出すればOKです。2通必要なわけではありません。 食品届は貨物到着の7日前から事前提出ができますのでなるべく早く提出するようにすると良いでしょう。 食品検疫の検査 検査の内容が自主検査指導などであった場合には輸入者は自己の負担で、登録検査機関に検査を依頼しなければなりません。 書類審査・検査の結果、違法でないと判断されると「食品等輸入届出済証」が輸入者に渡されます。 3.税関で輸入申告をする 税関申告で必要書類 1. 動物検疫の合格証明書(動物検疫) 2. 食品等輸入届出済証(食品検疫) 3. B/L 4. Invoice / Packing List これらの書類をもって申告の際に以下の税表番号も入力することで、税関からの輸入も許可されます。 冷凍ブロイラーの税率 税表番号:0207.14.220 一般関税:12% EPA関税:8.5% 決して低いとは言えない関税がかかってきますのでこちらも忘れないで下さい。EPAを使う場合には原産地証明書の入手も必要です。 鶏肉は部位によって申告内容が異なる 鶏肉は骨付きのものや一匹丸々のもの、そして肝臓などの内臓といった部位によって税関への申請が変わってきます。 まとめ タイから冷凍の鶏肉を輸入する流れはざっとこんなところです。食肉を輸入するなんてハードルが高い、と思っていた方もいらっしゃるかもしれませんが、一つ一つの手順をちゃんと踏めば実現でいることがお分かりいただけましたでしょうか。 昨今のヘルシーブームにより、鶏肉の需要は今後も高まると予想されます。安全で安心でおいしい冷凍鶏肉を輸入することで日本の人たちの健康維持に貢献出来たりします。

原産地証明書について解説!EPAやFTAで優遇される特恵関税とは? | 輸送・ロジスティクス

原産地証明書について解説!EPAやFTAで優遇される特恵関税とは?

貿易や物流の仕事を必ず出てくる書類があります。それは原産地証明書です。既に貿易に携わっている人であれば「関税を安くするための書類でしょ??」と理解されているかもしれません。 実際にはその用途としての機能が強いのですが、今回は原産地証明書の全体像からご説明をしていきます。 原産地証明書とは? 原産地証明書とはその名の通り、取引の対象となっている物品が特定の国又は地域で生産又は加工をされたことを証明する書類のことです。牛肉や水産品のトレーサビリティのために発行されたりもしますが、貿易では基本的に関税を低くするために取得されることが多いです。 英語では「Certificate of Origin」と表記されます。英文メールでは「Cert」や「C/O」と略して呼ばれることも多いので海外とメールでよくやり取りをされる方は覚えておくといいでしょう。 原産地証明が必要とされる場面 さて原産地証明書は輸出でも輸入でも必要とされる場合があります。輸出で必要とされる場合は大きく二つあります。 一般原産地証明書(非特恵) まずは非特恵の原産地証明書です。これは契約上指定されていたり、輸入国側で輸入を禁じている国で作られた物品ではないことを確認するために必要だったりします。 詳しくはこちらの記事に書きました。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/normal-co/?lang=ja" target="_blank"] 特定原産地証明書 もう一つが特定原産地証明書です。これは経済連携協定(EPA)に基づくもので、この協定を結んでいる国の輸入者は特定原産地証明書を用いることで特恵関税の適用を受けることができ一般税率よりも低い関税率で輸入ができるのです。 輸入者は協定で決められている規則を満たしていることを証明するためにこの原産地証明書が必要となり、輸出者側が発行手続きをして送ってあげる必要があります。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/epa-co/?lang=ja" target="_blank"] EPAとは? ここでEPAという単語を初めて聞いたという方のために簡単にですがご説明したいと思います。EPA経済連携協定は、特定の国や地域同士での貿易や投資を促進するために輸出入に係る関税の撤廃・削減や投資環境の整備などを約束した条約です。 EPAとFTAの違い よく似たものに「自由貿易協定(FTA)」もあります。こちらは名前の意味する通り、特定の国や地域同士での物品及びサービス貿易の自由化を定めたものです。 EPAはFTAの内容も含めつつ貿易だけではなくさらに人の移動やや知的財産、投資など様々な分野での協力を含む幅広い経済関係の連携強化を目的とする協定です。 GSP - Generalized System of Preferences 輸入の場合では輸出と同じくEPAに基づく特恵関税制度に加えて、開発途上国・地域を原産地とする鉱工業産品および農水産品の輸入については、先進国による国際的途上国支援制度があります。 経済的に発展が遅れている、いわゆる発展途上国から輸入する貨物の関税を低くして日本へ輸出をすることで、発展途上国の経済力の上昇に貢献するというこの制度はもう何十年も前から取り組まれているのです。 この時の原産地証明書を使うのですがこの原産地証明書の名称は「Form A」です。 原産地証明書の種類 EPA - 日本と経済連携協定を結んでいる国々 シンガポール、メキシコ、マレーシア、チリ、タイ、インドネシア、ブルネイ、アセアン、フィリピン、スイス、ベトナム、インド、ペルー、オーストラリア、モンゴル。 そしてEPAに基づく特定原産地証明書の書式名は、連携している国同士の頭文字を取って名付けられています。 ・Japan - Thailand: 「JTEPA」 ・Vietnam - Japan: 「Form VJ」 例えば、日本とタイであればJTEPA(JAPANとTHAILANDのEPA)、日本とベトナムであればフォームVJ(VIETNAMとJAPAN)などです。これはわかりやすくてよいですね。 FTA - ASEANの自由貿易協定 そしてASEANで締結されている自由協定には色んな種類があり、それぞれの経済協定で使う原産地証明のフォームの名前も違います。 ASEAN諸国との取引をする時はどの貿易協定が使えるのかを事前に確認しておきましょう。 GSP - 日本と後発開発途上国 日本と特別特恵受益国として指定する受益国(47カ国)を原産地とする産品については、品目により無税になる関税の優遇措置があります。 この後発開発途上国から発行される原産地証明書は「Form A」です。 原産地証明の種類のまとめ 色んな原産地証明書の種類と名前が出てきましたので、少し整理をしましょう。 1. 一般原産地証明 2. 特定原産地証明 ・ EPA - 経済連携協定: JTEPA・VJ Formなど ・ FTA - 自由貿易協定: Form AK・Form Dなど ・ GSP - 一般特恵原産地証明: Form A 原産地証明書は2種類しかありません。「一般原産地証明」と「特定原産地証明」です。 一般原産地証明は原産地を証明するだけのものなので非特恵(関税の優遇なし)です。 一方で、特定原産地証明にはEPA、FTA、GSPがあります。それらは各国の経済連携協定(EPA)や自由貿易協定(FTA)、そして発展途上国に対しての経済的な特恵(GSP)があります。 全て関税に対する特恵(無税・減税)があります。 原産地の規則 さてここで日本とタイとの経済連携協定を使って輸出入をするとします。これは日本とタイとで結ばれた協定ですのでどちらかの国で生産されてさえいれば全て関税の削減又は撤廃が認めると考えがちですが実はそうでもないのです。 EPAの原産地規則で決められている条件をクリアしなければなりません。 詳細に説明するとかなり長くなってしまいますので簡単に説明しますと原産地の基準として3つの条件が定められています。 ①日本(タイ)で完全に生産された産品であること(WO) ②日本(タイ)の原産材料のみを使用して日本(タイ)で生産された産品であること(PE) ③外国の原材料を実質的な変更をして日本(タイ)で生産された産品であること(PS) このように、かなり細かい条件となっております。輸出入が決まりEPAを使って関税を低くしようと考えた場合にはこの条件をクリアしているかをしっかりと吟味しなくてはなりません。 どこで原産地証明書を取得するのか? その原産地証明書はどこで入手するのかと言いますと各地にある商工会議所で発行してもらえます。 輸入の場合は輸出国の行政機関が発行することとなります。当然ですが日本では発行することはできません。輸入が決まり次第、輸出者に原産地証明書を取得するよう依頼しましょう。 原産地証明書に関する注意点 原産地証明書は輸入通関の際に原本が必要となります。コピーではまず受け付けていただけません。航空機での輸入や海上輸送でも中国や韓国など船足の短い国の場合には、なるべく早く原本が手元に届くように輸出者側としっかり調整をして下さい。 そうでないと、原本を待つ時間がなくせっかく送ってもらった原産地証明書を使用することなく通常の関税を支払ったり、原本を待っている間に保管料が嵩んで結局関税よりも高くなってしまったりということも起きかねません。 まとめ 細かな条件は色々ありますものの原産地証明書は難解なものでは決してなく、協定や基準をしっかり理解して利用すれば輸出入の双方にメリットがあります。 まずは自分の貿易取引が特恵関税を使えるものであるのかどうか、調べるところから始めてみましょう!

ドレーの依頼方法とは?スムーズに依頼するためのポイントとコツを解説しました。 | 輸送・ロジスティクス

ドレーの依頼方法とは?スムーズに依頼するためのポイントとコツを解説しました。

今回はドレーをスムーズに依頼するための手順とポイントやコツについて解説したいと思います。 まずドレーとは何かを軽くおさらいしましょう。ドレーとは海上輸送で使われているコンテナを陸上輸送することを言います。輸入の場合は保税地区にあるCY(コンテナヤード)から輸入者の工場など指定の場所まで輸送すること、輸出の場合はその逆で輸出者の工場や倉庫からCYまで輸送することです。 その輸送を主たる業務として経営している会社のことを「ドレー会社」と呼びます。ドレー会社はトラクタヘッドやシャーシを保有していますのでそちらに予約の手配をし輸送を依頼することとなります。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/container-drayage/?lang=ja" target="_blank"] 色んなドレー会社がある 基本的にはフォワーダーは多くのドレー会社と付き合いがあります。一つのドレー会社だけでは回せないですしドレー会社によって得意な分野も違います。 色んなドレー会社 ・遠距離のドレーを安く引き受けてくれる。 ・高いけど無理を聞いてくれる。 ・MGシャーシを沢山保有している。 など様々な会社がありますので依頼のTPOに併せてお願いするドレー会社を変えています。なので自身に付き合いのあるドレー会社などがなければフォワーダーに全てお願いしてしまえばよいでしょう。 フォワーダーは他の顧客分も含めて多くの依頼をドレー会社にしておりますので、その分スポットで依頼をするよりも安い料金でドレー輸送を依頼できる場合が多いです。 ドレー手配を依頼する時のポイント フォワーダーに依頼をする際にもいくつか覚えておいていただきたいポイントがあります。 まずは昨今ではドレーの確保が難しくなっていることです。これはドライバーの高齢化や人件費の高騰などにより人手不足となっているドレー会社が多いことが一つです。 また首都圏では最近こそ先行き不透明でそれほどでもありませんが、昨年ころはオリンピック関連施設の建設ラッシュなどでそちらに車両や人手が回ってしまっていたことなどもあげられます。 そういった事情から、ドレーの依頼は少しでも早めに!が原則です。 平常期と繁忙期 輸入の場合であれば日本への到着予定日が判明し納期の目途がついたらまずはドレーの確保をフォワーダーへ依頼するくらいでOKです。インボイスやパッキングリストといった通関に必要な書類はまだなくても構いません。 現地からのBLコピーとともに「こういった貨物が到着しますのでドレーの確保お願いします。納入は〇日を予定しています」と連絡すればすぐに手配してくれるはずです。 ・平常期:1週間前 ・繁忙期:2週間前(遅くとも) 中国など船足の短い国でしたらBLコピーがなくても先に情報だけ流しておくのも全然問題ありません。むしろ後で慌てなくて済みフォワーダーとしても大変助かりますのでドレー依頼はとにかく早めにが鉄則です。 繁忙期のドレー手配 そして繁忙期です。日本の年末年始、ゴールデンウイーク、お盆休みの前後は非常にドレーが混み合い、確保が難しいです。これはフォワーダーも胃をキリキリとさせているところです。 繁忙期のドレー手配のコツ ・年末年始:11月の終わり頃 ・ゴールデンウィーク:4月初旬〜中旬 ・お盆休み:7月後半頃 だいたい年末年始分は11月終わりころGW分は4月当初、お盆休み分は7月後半からドレーの確保合戦が始まりますので、2週間前でもすでに予約で一杯なんてこともざらにあります。 ここの時期に輸出入が決まりましたらすぐにフォワーダーへ連絡してドレーの確保を依頼しましょう。 MGシャーシの手配 あとはMGシャーシも確保が難しいです。そもそも所有しているドレー会社が少ないですし、大手と呼ばれるドレー会社でも所有本数は10本前後くらいです。 数少ないMGシャーシを取り合っているのが現状です。なので冷凍鶏肉や生鮮マンゴーなどMGシャーシで輸送する必要があるものの場合にもとにかく早く依頼するよう心掛けて下さい。 キャンセルについて あまり早く依頼するとキャンセル料が心配。。。という方もいると思いますが依頼先に確認が必要ですが基本的に3日前くらいまではキャンセル料はかからない会社が多いです。 直前に依頼が来て慌てて依頼をするよりも、事前に連絡を入れてもらって念のためにでも確保をしておく方がフォワーダーとしても心のゆとりができますしミスも減りますので有難いです。不確定だからと言って遠慮はせず早めに連絡してしまって問題ありません。 積み込み・積み下ろしの現場の調整 ドレーを依頼して納品(作業)日時が決定したら必ずその時間からバンニング又はデバンニング作業ができるよう現場の調整をしっかりしておいて下さい。 ドレー料金の解説でもお伝えしましたがスタートが遅れたりして余計な時間がかかると待機料が発生してしまいますので要注意です。 ドレーの依頼方法 ドレーの依頼方法もここで簡単にお話ししておきます。 フォワーダーにドレーを依頼する場合 フォワーダーへ依頼する際は輸入の場合はBLとA/N(アライバルノーティス)、納品日時と納品場所を連絡すればOKです。D/O(デリバリーオーダー)の手配や輸入許可書の受け渡しなどは全てフォワーダーでやってくれます。 輸出の場合も作業日時と作業場所、本船情報を伝えれば問題ありません。本船のbookingも同じフォワーダーへ依頼している場合には本船情報も既に業者が知っているので不要です。空のコンテナを船社へ予約する手続なども手配してくれますのでとても簡単です。 早めの依頼さえ心がけていただければ大きな問題も起きにくいでしょう。 自社でドレーを手配する場合 自分で依頼する際はフォワーダーに任せていた部分の手配が必要です。輸入であればD/Oと許可書をドライバーさんへ渡さなければなりません。輸出の場合は船社へ空コンテナの予約を入れる必要があるでしょう。 慣れてしまえば難しい手続ではありませんが手間はかかりますし、フォワーダー程タイムリーに手配もできないでしょうから、よほどの理由がない限りはドレーはフォワーダーへお任せするのがおすすめです。 ちなみに依頼方法ですがドレー会社は今でもfaxが主流となっています。 急ぎの場合はまず電話で仮予約をし、その後、注文書などの形で本船情報やコンテナ情報、納品or作業日時及び場所などを記載してfaxで送ります。そちらに料金を追記して送り返してもらえば料金の確認もできるのでgoodです。 まとめ ドレーの依頼のポイントはこのような感じになっています。自分でドレーの手配をすることが出来ますが、やはりフォワーダーに依頼する方が選択肢も多いしフレキシブルな対応も可能になります。 そして大切なことですが、とにかくは依頼を早めにすることを心がけていただければきっと大丈夫です!

冷凍マンゴーをタイから輸入したい!植物防疫・食品届・検査など食品の輸入手続について解説しました。 | 物流コラム

冷凍マンゴーをタイから輸入したい!植物防疫・食品届・検査など食品の輸入手続について解説しました。

近年は海外の名産品なども割と手軽に輸入食品販売店やネットショップで手に入るようになりましたね。 「自分でも個人輸入してあの国のあれが食べたい!」や「輸入食品ビジネスを立ち上げたい!」なんて思った方もたくさんいらっしゃるかもしれませんが、食品を輸入するには通常の輸入よりも複雑で手間がかかり費用も発生する手続が沢山あります。 今回はその食品の輸入手続について解説したいと思います。食品と言っても多岐に渡りますので、タイ産の冷凍マンゴーを題材として進めていきましょう。 冷凍マンゴーの輸入方法を動画で解説! 食品・植物を日本に輸入する 食品を輸入するのにはほとんどの場合、特別に資格や免許が必要なわけではありません。 極端な話、自動車部品メーカーが食品を輸入しようとしても、今から説明する厚生労働省や農林水産省の許可手続を取れば何の問題もありません。 1. 植物検疫・防疫をする まずマンゴーは食品であるとともに植物でもありますので、農林水産省管轄の植物検疫所の許可を受けなければなりません。 後で説明しますが食品は個人使用の場合は届出が不要ですが、植物は用途に関係なくすべてが検疫の対象です。 Phytosanitary Certificateをタイから入手 植物検疫をクリアするためにまずは輸出国政府機関が発行した「植物検疫証明書(Phytosanitary Certificate)」の取得が必要です。 これがなければ植物を輸入することはできません。輸出者から必ず入手するようにして下さい。入手できなければ貨物は輸入できず滅却処分となってしまいます。 植物、輸入禁止品等輸入検査申請書の提出 貨物が到着しましたら輸入地を管轄する植物防疫所へ植物検疫証明書とインボイス、パッキングリスト、BLなどの書類をそろえて「植物、輸入禁止品等輸入検査申請書」を提出し検査を受けます。 検査の結果、合格となれば「合格証明書」が発行されます。 万一、病害虫が発見されると不合格となりますが消毒によって病害虫を取り除くことが可能であれば消毒後に合格となります。消毒にかかる費用は輸入者負担です。 植物防疫検査にかかる費用概算 植物検疫検査手続きは輸出入・港湾関連情報処理システム(NACCS)を使用してできますので、通関業者へ依頼するのが一般的かと思います。 費用の大体の目安としては ・植物検疫検査申請料   1品目15,000円〜20,000円 ・植物検疫検査立会費用  1件 10,000円〜15,000円 ・植物検疫検査シフト料  1件 25,000円〜30,000円* ・保税定温倉庫への輸送  1件 25,000円〜30,000円**(定温コンテナ(リーファー)の場合) *輸入港コンテナヤードから植物検疫検査場所までのドレー(コンテナ輸送)料金のこと。 **検査には数日かかります。定温コンテナはCYに放置しておくわけにいきませんので保税定温倉庫へのショートドレー(短距離コンテナ輸送)が発生する為。 これくらいの費用は最低限かかってきます。検査の申請や立会は頑張って自身で行ったとしても、コンテナの輸送料金などはどうしても発生しますので、植物の輸入の際には十分注意する必要があります。 2. 食品届けの提出 - 食品検疫 植物検疫をクリアしますと次は食品検疫が待っています。ここからは厚生労働省管轄の食品検疫所への申請となります。 ちなみに、個人使用目的で輸入する際には特に手続は必要ありません。自分が自宅で冷凍マンゴーを食べる場合には規制はないのです。なのでここではビジネス目的での輸入についてのお話となります。 まずは食品届を厚生労働省管轄の食品検疫所に提出します。 食品検疫の必要性 これは食品衛生法によるもので、人体への安全性を確保し衛生上の問題発生を防止するために避けては通れません。私たちの体内に入るものなのですから当然と言えば当然ですよね。 具体的にどの国から何をどれだけ輸入するのか、それには日本で禁止されている添加物や残留農薬などが含まれていないかなどを検疫所に届け出て、確認を受けることで税関からの輸入許可も受けることができるようになります。 届出申請は輸入地を管轄する食品検疫所にて行います。 通関業者に代行を依頼する場合は凡そ5,000円~1万円程度の代行手数料が発生します。届出のフォームは食品検疫所のサイト内にありますので、自身で申請することも可能です。 先ほどの植物検疫所も今回の食品検疫所も、基本的には各税関官署の近くにあります。 食品届申請に必要な書類 必要書類 ・原材料表 ・製造工程表 ・その他(食品による) これらは輸出者側で用意すべき書類ですので、輸出すると決めたら早めに輸出者から入手しましょう。通関業者へ依頼を代行する場合にもこれらの書類を入手するのは輸入者の責任です。 食品届は貨物到着の7日前から事前提出ができますので、なるべく早く提出するようにすると良いです。なぜなら検疫所が申請書類だけでは輸入許可の判断が難しいと感じたり、何か怪しい点があると疑ったりした場合には検査になる可能性があるからです。 自主検査 検査の内容が自主検査指導などであった場合には輸入者は自己の負担で登録検査機関に検査を依頼しなければなりません。 費用が発生するのはもちろんですが、検査日数もかかります(約5営業日)ので輸入の際にはこのことも十分念頭においておくといいですね。 検査命令 また食品検疫では検査命令というものがあります。 輸入時の自主検査やモニタリング検査、国内流通段階での収去検査などにおいて法令違反が判明するなど法違反の可能性が高いと見込まれる食品等について輸入者に対し輸入の都度検査の実施を命じる制度です。 ここでの検査の費用も輸入者が負担し、検査結果が判明するまでは輸入することができません。 一部 免除対象のサプライヤーもありますし検査命令は必ずなされるわけではありませんが要請されれば必ず検査を実施する必要がありますので注意しなければなりません。 冷凍食品規格検査 さらに付け加えますと、冷凍マンゴーは冷凍食品規格検査というものもあります。 成分規格として大腸菌群の数が規格内に収まっているか、保存基準として定められている保存温度や容器が守られているかなどの検査があります。 これらの検査命令や冷凍食品規格検査をクリアするために分析検査費用として大体8万~9万円程度の費用がかかります。 今回は冷凍マンゴーを題材にとって解説しておりますが、他の食品でも様々な検査が設定されております。 輸入の前にはそれぞれの食品についてどのような検査が必要か、どれくらいの費用が発生しそうかをあらかじめ下調べすることが大切です。 検査合格 - 食品等輸入届出済証 書類審査・検査の結果、違法でないと判断されると「食品等輸入届出済証」が輸入者に渡されます。 税関で輸入申告を行う際にこの届出済証と植物検疫の合格証明書を添付し、申告の際に番号も入力することで税関からの輸入も許可されます。 つまりこの二つの検疫を経てやっと税関からの輸入許可が叶うこととなります。 まとめ 冷凍マンゴーの輸入くらい簡単に出来そう!と思われていた方もいらっしゃるかもしれませんが、一般的な商品の輸入よりもかなり手間と費用が掛かることをご理解頂けましたでしょうか。 かといって食品や植物の輸入をお勧めしていないわけでは決してありません。このような手続と費用が掛かることをきちんと理解し、正しい手順を踏めば問題なく輸入をすることができます。 通関業者でも食品専門のチームがある会社もありますので、そのようなところに依頼をして協力しながら二人三脚で進めていくと良いでしょう。

コンテナ・ドレージとは?輸出・輸入で使うドレーの手配や料金体系を解説しました。 | 輸送・ロジスティクス

コンテナ・ドレージとは?輸出・輸入で使うドレーの手配や料金体系を解説しました。

昨今の日本では「ドレーが取れない」という言葉をよく聞きます。私も日本に貨物を送る時でスケジュール通りに必ず届けないといけない場合、ドレーの手配に関しては気を使ってしまいます。 またタイからであっても、「ドレーの費用は安くないな。。」という印象もあります。 このドレーとはいったい何のことでしょうか?今回はドレーの料金体系について解説したいと思います。 ドレーについて動画で解説 物流におけるドレーとは? まず「ドレーとは何か?」から説明を始めましょう。ドレーとは海上輸送で使われている20フィートや40フィートなどのコンテナを陸上輸送することを言います。 輸入の場合は保税地区にあるCY(コンテナヤード)から輸入者の工場など指定の場所まで輸送すること、輸出の場合はその逆で輸出者の工場や倉庫からCYまで輸送することです。 ドレーに関する名称 業者によっては「ドレージ」と呼ぶこともあります。違いはありません。同じ会社の中でもドレージと呼ぶ人とドレーと呼ぶ人に分かれることもあるくらい、何の差もないので気にしなくていいと思います。 アルファベットで綴る時は「DRAYAGE」となります。アライバルノーティスのチャージ費用として記載されていることもありますのでこのスペルは覚えておくとよいですよ。 その輸送を主たる業務として経営している会社のことを「ドレー会社」と呼びます。業務の性質上、港の周りに営業所のあることが多いですね。 ヘッド/ トラクタヘッド/ トレーラーヘッド 時々 トラックの頭だけが走っているような車両を大きな道路で見かけませんか? あれはトラクタヘッドであの後ろに海上コンテナを専用に積載するトレーラをつなぎ、そこにコンテナを固縛して、牽引して輸送先まで運んでいます。 2軸・3軸シャーシ そのトレーラのことをシャーシと呼びますので、ドレー車両のこと自体を「シャーシ」と呼ばれる方が乙仲には多い印象です。 ドレーの料金というのは「ラウンド制」、つまり往復料金で設定されています。 港からコンテナを引き取って倉庫や工場まで輸送し、倉庫で貨物を積み降ろししてまた港までコンテナ運ぶという流れですのでどうしても往復での依頼となるのはご理解いただけると思います。 ドレーの費用について 基本的には港から輸送先までの距離で決められています。細かく何キロで何円、というよりは地域で設定されている業者さんが多いです。 例えば名古屋港から豊田市であれば3万円という形ですね。宅配便の料金設定をイメージしていただければわかりやすいです。各業者さんで料金表をお持ちだと思いますので、都度確認していただければ問題ありません。 特に何もなければこの基本料金だけでドレーの依頼はできますが、他にも付加的に様々な料金がかかってきますのでそちらも十分注意をしておきましょう。 待機料金 まずは待機料金の発生する場合があります。コンテナを港から運んできてドライバーさんは、当然また港へ戻らなくてはならないので倉庫で工場を積み降ろししている際はその周辺で待機をしています。 通常の時間内であればこの待機料金も基本料金の中に含まれています。大体2時間くらいでしょうか。しかしその時間を超えて待機が発生した場合にはその分の待機料が請求されることになります。 1時間5,000円くらいが相場です。なのでドレーを依頼して倉庫へ着く時間を指定した際には、必ずその時間から積み降ろしが開始できるよう社内で調整しておくのがよいです。 3軸シャーシ その他には3軸費用というものがあります。シャーシには大きく分けて2軸と3軸があります。この軸とは、左右のタイヤを連結させている棒のことなので2軸の場合はタイヤ4個、3軸の場合はタイヤ6個になります。 貨物重量とシャーシの種類 もし、コンテナの総重量がおおよそで20フィートなら約20トン、40フィートなら約24トンを超える可能性がある場合は、3軸シャーシを使用しなければならないと国内関係法令で定められています。 運送会社としてこの法を破るわけには決していかないので、ドレー会社は重量の重い貨物の輸送依頼が来たら念のため3軸を用意したいと言うことが多いです。 3軸シャーシは大体プラス3,000円~5,000円かかりますし、2軸よりも圧倒的に台数が少ないので貨物の重量が大きい輸出入をされる場合にはその費用も意識してドレー依頼も早めに行うようにされると安心です。 MGシャーシ(Reefer用) あとはMGシャーシ費用というものがあります。これはリーファーコンテナと呼ばれる温度を一定に保つことのできる低温輸送用コンテナを運ぶことができるシャーシです。 MGはMotor Generatorの略で、電力を供給する発電装置がついており輸送中もリーファーコンテナ内の温度を保つことができます。 このMGシャーシは料金がとても高くなります。凡そ2倍ほどと思っていただいて大丈夫です。またシャーシ自体の購入費用が高いので保有しているドレー会社も少ないです。 大きいところでも数える程度しか保有していなく、リーファーコンテナの需要が高まる夏場などは取り合いになります。なのでもしもリーファーコンテナでの輸送があればすぐにシャーシを確保すると良いです。 走行距離 最後に1点、長距離のドレーを依頼する際にも注意が必要です。例えば東京港~青森県など長距離となる場合は交代要員としてもう一人ドライバーさんを乗せての運送となります。 当然ながら人件費が2倍となり合計でのドレー料金もかなり高くなります。 海上運賃が安いからといって遠くの港へコンテナを到着させたりすると結局ドレー料金が割高になり損をしてしまうこともありますので、輸出入の際にはコンテナドレー料金も念頭において計画を立てるようにされるとよいですね。 まとめ ドレーの料金体系についてご理解いただけましたでしょうか。正確な料金設定はドレー会社さんによってまちまちですので必ず確認してくださいね。 ドレーは通関業者を通して通関などと一式でご依頼される方が多いですが、自分で依頼することももちろんできます。そうすることで、お得なドレー料金を手配できる可能性もあります。 次回はその依頼のコツなどについてお話したいと考えています。

インコタームズ 2020と2010の違い・変更点について解説をしました。 | インコタームズ

インコタームズ 2020と2010の違い・変更点について解説をしました。

今回はインコタームズ 2020と2010の違いについて解説したいと思います。 10年ぶりの変更ということで業界の片隅で話題になっているインコタームズ2020ですがフォワーダー視点で解説をしていきます。 インコタームズとは? まずインコタームズとは何なのか?軽くおさらいしておきましょう。 インコタームズとは、貿易取引における費用負担や危険負担の範囲について取り決めた世界共通のルールです。「CIP」や「EXW」のように、アルファベット3文字で表されています。貿易取引を経験済の方であれば一度は必ず目にしているでしょう。 貿易取引では商品そのものの価格に加えて運賃や保険料、通関料、関税消費税など取引に関わる様々な費用が発生する上に、台風などの災害や事故など輸送中にも多くのリスクを抱えています。 そのため、その費用やリスクを誰がどの範囲まで負担するかということをインコタームズで明記しています。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/incoterms/?lang=ja" target="_blank"] インコタームズの法的強制力は? こう聞くと貿易において法的強制力を持つもののように思えますが、実は法律や国際協定ではないので強制力はありません。 しかし、輸出入者がお互いの責任範囲を明確にしてスムーズな取引をするためには非常に有効なルールであるため、国際貿易の慣習として世界中の取引で利用されています。 ですから必ずしもこのルールに則り貿易をする必要はありませんが、今後海外と取引をする上ではぜひ理解していただきたいと思います。 インコタームズ2010〜2020への変更点 さて2019年9月10日 ICC国際商業会議所から10年ぶりの改定となる「インコタームズ2020」が発表され、2020年1月1日より発効されました。 2010と2020の違いとしては以下の6つのポイントにまとめてみました。 インコタームズ2010と2020での違い 1. 前書きや利用者の解説ノートの設置 2. 項目別に費用の危険負担の比較が容易になった 3. CIF及びCIPにおける保険の補償範囲の違い 4. FCA,DAP,DPU,DDUで売り主又は買主が自己の輸送手段を用いての運送手配 5. FCA規則に船積済みの付記のあるB/Lを含める。 6. DATを廃止しDPUを新設 6つにまとめてもなんだか難しく聞こえてしまいますが一つずつ簡単に要旨を押さえていきましょう。 1. 前書きや利用者の解説ノートの設置 インコタームズのノートに前書きや利用者の解説箇所を設置してより理解しやすいようになりました。 2. 項目別に費用の危険負担の比較が容易になった 項目別に義務部分の対比をすることが簡単になりました。どのインコタームズを使用するとどの費用を負担することになるか、一目でわかるようになっています。 1と2のどちらもインコタームズの書籍を購入しないと読めません。ですがフォワーダーでも本を目を通している人は少ないので、特に読まなくても支障はないと思います。 3. CIF及びCIPにおける保険の補償範囲の違い CIFとCIPにおける保険の補償範囲の違いについては少し説明します。 インコタームズ2010では、売り主はロンドン国際保険業者協会のC約款又は類似の約款により規定されている最低限の補償範囲に準ずる補償を売り主負担で手配する義務が課されました。 約款とは簡単に言えば契約上の決め事で、つまりここでは保険契約を結ぶ場合の規則やルールですね。 そして2020ではCIFでは引き続きC約款が適用されますが、CIPではA約款に準拠する保険を付さなければならないというルールができました。 A約款は、すべてのリスクをカバーしています。なので買主にとって手厚い保険となり、売り主側の保険料は高くなります。 インコタームズ2020 ・CIF:C約款 ・CIP:A約款(オールリスク) つまりは商品そのものの価格も上がる可能性があります。そして保険料は日本側輸入時には課税標準(関税などをいくらにするかを決める際の価格)に組み込まれますので、消費税や関税も高くなることになります。 取引をされる場合にはそのことも念頭においてタームや保険付保の交渉をされるとよいでしょう。 4. FCA,DAP,DPU,DDUで売り主又は買主が自己の輸送手段を用いての運送手配 一部の規則において売り主又は買主が自己の運送手段を用いて運送の手配を行うことが認められました。フォワーダーの立場からしますとあまり関連のない規定となりますので詳細は割愛します。 5. FCA規則に船積済みの付記のあるB/Lを含める FCA規則で、輸出国で貨物の船積をする前に船積証明が付記されたBLの発行を求めることができるようになりました。 銀行の信用状で取引をされる方には便利になったかと思います。この規則を制定することで、FOBほど認知度が上がらないFCAを広めようという意図が感じられます。 6. DATを廃止しDPUを新設 DAT廃止及びDPU新設に関連してここからは改定後のインコタームズについてお話します。 改定によってインコタームズは2種類11条件となりました。 海上輸送と内陸水路運送のみで使える条件 ・FAS - Free Alongside Ship ・FOB - Free On Board ・CFR - Cost and Freight ・CIF - Cost Insurance and Freight 全ての輸送モードで使える条件 ・EXW - EX Works ・FCA - Free Carrier ・CPT - Carriage Paid To ・CIP - Carriage and Insurance Paid To ・DAP - Delivery At Place ・DPU - Delivery at Place Unloaded ・DDP - Delivery Duties Paid と大きく二つに分けられます。 つまり飛行機やコンテナで輸送をするのにFOBやCIFなどのインコタームズを指定するのは誤りということです。ここでいう海上輸送とは、在来船などのことを指しています。 インコタームズ Dグループの変更 変更点は2010ではあったDATが廃止され、DPUが新設されました。 DPUでは、売り主は、輸入国側の指定仕向け地までの輸送と荷卸し義務を負います。買主は輸入通関の部分で費用と危険を負担します。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/incoterms2020-d-group/?lang=ja" target="_blank"] INVOICE上のインコタームズ 実際にINVOICEを作成されている方はINVOICE上のインコタームズの記載の仕方が気になるところかと思います。 正しくは、”CIF SHANGHAI INCOTERMS[R]2020”のように記載することとされています。しかしながら、実際にはこのように正しく記載されているインボイスは少ないのが現実です。 多くは「CIP SHANGHAI」「FCA OSAKA」のような形で書かれています。そして通関上にも特に問題はありません。この記載でも運賃負担がどちらかは十分にわかりますので通関に差し支えないのです。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/inv-pkl/?lang=ja" target="_blank"] 輸出入者での合意が必要 前にも言いました通りインコタームズは推奨ルールでしかありませんので、このルールに則っていなかったとしても基本的な貿易取引条件さえ決めておけば貿易取引は完了できます。 もちろん事故や災害のリスクはいつも付きまといますが、万が一そのようなリスクに遭ったとしてもきちんとした契約書などがあれば当事者同士の話し合いで解決できるものです。インコタームズを絶対視しすぎず細かな部分は売買契約書などで定めておけば安心です。 また少し前にも言いましたように本来であれば、航空輸送などにFOBやCIFを使用するのは誤りです。でも現実のINVOICEでは数多く見られます。 まず正しい情報を知っておくこと 最近でこそ、正しくFCAやCIPと記載されているものも見受けられるようになりましたが、正直言いまして災害や事故などのリスクがなければFOBやCIFでINVOICEが作られていても何ら問題なく通関も荷役も進むのです。 しかしながら、フォワーダーの立場に立ってみますと顧客から頂いたINVOICEが正しくFCAやCIPと記載されていますと「あ、このお客様は物流のことをちゃんと勉強されて理解されているな」と一目を置くポイントとなります。 今後永く貿易を続けられるのであれば、この機会にぜひとも正しいインコタームズを使用していただきたいです。 まとめ インコタームズを一度に覚える必要はありません。改定された11種類のインコタームズをきちんと暗記し、スラスラと間違いなく説明できる人はフォワーダーの中でさえ少ないでしょう。 まずはご自分の貿易取引の中でよく使われている条件のものをしっかりと理解して覚えることが重要です。そして新たな貿易取引が始まった際などに新しいインコタームズを使用することになれば、またそのタームを自分で調べて理解し、覚えて正しく使用する。それで十分だと思います。 前回の改定が2010年、前々回が2000年であったことを考えますと次は2030年が予想されます。その際にも廃止や統合、新設があると考えられますので、テストのようにすべてを丸暗記しようと頑張るのではなく自分に必要なタームを一つ一つしっかりと理解しましょう。 そうすればいつ改定があっても慌てることなく対応できること間違いなしです。

InvoiceとPacking Listの書き方について解説!貿易書類のサンプル・テンプレートとしてダウンロードも可能です。 | 輸送・ロジスティクス

InvoiceとPacking Listの書き方について解説!貿易書類のサンプル・テンプレートとしてダウンロードも可能です。

今回のテーマは貿易におけるINVOICEとPACKING LISTの書き方について分かりやすく解説していきたいと思います。 まず、そもそもINVOICEとPACKING LISTとは何でしょうか? 貨物を輸出するときには必ず作らなければならない書類、輸入するときには乙仲や通関業者へ提出しなければならない書類、との認識を持っていらっしゃる方は多いと思います。 では実際にどのような役割があるかについて確認していきましょう。 InvoiceとPacking Listの書き方を動画で解説しました 貿易におけるInvoiceの役割 まず最初にINVOICEの役割についてです。 INVOICEは日本語にすると「請求書」です。皆さんが通信販売などで商品を購入したときに商品とともに送られてくる請求書、それのことです。 貿易では、INVOICEを元にどんなものが輸出入されているかの確認や、輸入国でいくら税金を払わなければならないかの計算がされます。 なので「仕入書」や「送り状」と訳したほうがしっくりくるかもしれません。関税法上、輸出入の申告においてほぼ例外なく必要となる書類です。 貿易におけるPacking Listの役割 続いてPACKING LISTの役割です。こちらは日本語にすると「梱包明細書」です。 貿易ではPACKING LISTでどの貨物がどれくらいの数量で輸出入されているか、どのような荷姿で梱包されているか、貨物にどのようなマークが付けられているか、などの確認をします。 つまりInvoiceもPacking Listもどちらも貿易にとってなくてはならない書類ということです。 なので たかが仕入書、梱包明細書と思わず、正確な情報を明確に記載することが重要です。 絶対にやってはいけない事 間違っても、税金を安く済ませたいから商品の価格をわざと低く記載したり、運賃を節約するためにボリュームを小さめに記載したりすることはあってはならないことです。 もし仮に、乙仲業者や通関業者はうまくやり過ごせたとしても税関の事後調査で指摘されて多大な追加税を払うことにな理ます。 また船や飛行機に積載する段階になって判明して輸出できなくなり、貨物の引き取りや船のキャンセルで余計なお金や時間がかかったりするのは目に見えています。 そういったことを防ぐためにも、貿易にとって大切なこれらの書類の書き方をしっかり覚えておきましょう。 InvoiceとPacking Listの例 - ダウンロード可能 「書き方の前に書式はどこにあるの?」という方もいらっしゃるかもしれませんが、INVOICEもPACKING LISTも特定のフォームはありません。 もし1から作る必要があるという方がいらっしゃいましたら、弊社で使っているものをテンプレートとしてお使いください。 こちらからダウンロードすることが可能です。 【形式:エクセルファイル】 ・Invoice ・Packing List ・Shipping Mark Invoiceの書き方 それではまずINVOICEの書き方から解説します。 INVOICEには輸出入者情報に加えて、輸出入される物の品名・数量・金額、船やフライトの便名などの輸送情報などが主に記載されます。基本的には英語表記です。 そしてこのINVOICEが請求書としての役割にプラスして輸出入時の通関書類にもなるのです。つまりINVOICEを見ればその貿易の内容がわかるように作成することが重要です。 また、記入は細かく正しく分かりやすくというのが大切です。 Invoice作成時のポイント ここからは基本的な記載事項についてお話します。 売り手と買い手の情報 輸出者(=送り主、シッパーとも言います)の社名・住所・電話番号・FAX番号などを記載します。 同じように輸入者(=受取人、コンサイニーとも言います)の社名・住所・電話番号・FAX番号などを記載します。 Invoiceの番号について インボイス番号の決め方に特に決まりはありませんので、任意の番号で構いません。 連番にする、日付を利用する、送り先の国名や会社のイニシャルを入れる、などルール決めをしておくと便利でしょう。今まで見てきた感じではやはり日付を利用されているパターンが多かったです。 本船情報について 利用する飛行機や船の便名、出港日も記載します。業者に依頼していて不明な場合は確認しましょう。 支払条件はその貿易取引のものを正しく書いてください。電子送金決済を意味するT/Tなどが多いです。 到着する港や空港の名前、国名も記載しておきます。 取引条件について 貿易取引条件の明記も必要です。インコタームズで規定されている取引条件に沿って記載しておけば問題ないでしょう。 FOB OSAKAやCIF SHANGHAIといった表現で大丈夫です。 貨物の詳細情報について そして重要な、貨物の明細についてです。輸出入する貨物の品名、個数、単価、合計金額を記載します。 通関業者はこの品名を見て申告する税表番号を決めていきますので、分かりやすく詳しく書くことがポイントです。 できれば品名だけでなく材質や使用目的なども書いてあるとよいでしょう。材質ならWOODENやSTEEL、使用目的ならFOR CARなど書いてありますと通関業者はとても助かります。 シッピングマークについて シッピングマークはこちらも規定のものはありませんので任意で構いません。 オーソドックスなものは上から会社名、向け地、箱の番号(連番など)、生産国もしくは輸出国名(MADE IN JAPANなど)でしょうか。 サインして完了 最後に輸出者の名前と、担当者のサインを記入します。 近年はサイン入りのINVOICEでないと輸入申告ができない国も増えていますので、しかるべき担当者の方が忘れずにきっちりサインをするようにすると良いですね。 Packing Listの書き方 続いてPACKING LISTの書き方です。 PACKING LISTの内容は実はINVOICEとほぼ変わりません。フォームも同じものを使っている会社がほとんどです。 貨物の単価や合計金額ではなく、貨物の大きさや重さ、梱包前の重量と梱包後の重量などを記載します。 ケースの数や、どのケースに何が何個入っているかなども書かれていると、もし貨物が検査になったときにスムーズに進みます。 InvoiceとPacking Listをまとめる 実務上の話をしますと、実はPACKING LISTは、ほぼ例外なく必要なINVOICEとは違い、他の書類(B/Lや他の明細書)などで貨物の個数重量がわかるような書類があればなくてもOKです。 なので、輸送する貨物が少ない場合は、INVOICEとPACKING LISTを一つにまとめてしまっても問題ありません。 もちろん、貨物の管理には大変有効な書類ですし、到着地で貨物が行方不明になってしまった場合(嘘のような話ですが本当にあります)にもPACKING LISTがあると捜索に役立ちます。 ぜひ正確でわかりやすいPACKING LISTの作成も心掛けて頂ければと思います。 まとめ 以上がINVOICEとPACKING LISTの書き方となりますがいかがでしたでしょうか。 慣れてしまえばそれほど難しい書類ではありません。あらかじめフォーマットさえ決めてしまえば後は輸出入の都度、必要事項を書き換えるだけで作成することができるでしょう。 繰り返しになりますがINVOICEもPACKING LISTも細かく、正しく、わかりやすく、が重要です。 この3つのポイントを忘れずに作成すればスムーズな貿易取引が期待できます!

インコタームズ2020 DAP/DPU/DDPについて解説しました。 | インコタームズ

インコタームズ2020 DAP/DPU/DDPについて解説しました。

今回はインコタームズ2020のDグループのDAP/DPU/DDPについて解説をしていきたいと思います。 インコタームズの2000/2010/2020と時代を経て、取引をより分かりやすく明確にする為の規則の変更がありました。しかし既に廃止されたDDUやDATなども普通に商習慣的に実務で使われたりします。 インコタームズのDグループでは変更された条件が複数あり少しややこしく感じてしまいますので、今回はインコタームズ2020のDグループにフォーカスを当てながらも、また廃止された条件やDグループの取り扱いの実務上の話や注意点もさせて頂きます。 インコタームズ2020のDグループを動画で解説 インコタームズについて まずインコタームズについて簡単に説明しておきましょう。インコタームズは簡単に言えば貿易取引において売り手と買い手での、費用負担とリスク負担の取り決め条件です。 売り手と買い手で、どこからどこまでの費用とリスクを負担するかを明確に決められた国際的な貿易条件だと覚えておいて下さい。 インコタームズの図解についてはこちらに分かりやすく記載しています。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/incoterms/?lang=ja" target="_blank"] インコタームズ2020のDグループ まずはDAP/DPU/DDPの「用語の解説」と「費用負担とリスク負担」について、それぞれ一つずつ説明していきます。 DAPについて まずはDAPです。DAPはDelivered at Placeの略称で仕向地持込渡しと日本語では呼びます。 DAPでは輸出者が輸入先の指定場所にて荷下ろしする前までの費用とリスクを負担します。 なので輸出側は荷下ろしをする義務はありませんし、荷下ろし中のリスクの負担は買い手になります。 そして輸入通関や関税・消費税を含む税金は輸入側の負担となります。 DPUについて そしてDPUですが、DPUはDelivered at Place Unloadedの略称で、荷卸込持込渡しです。 DPUの貨物の費用負担とリスク負担では輸出者が輸入先の指定の場所にて荷下ろしが完了するまでの費用とリスクを負担します。 輸入通関は買い手の負担になり、輸出側に輸入通関をする義務はありません。 DDPについて 最後にDDPです。DDPはDelivery Duty Paidの略称で仕向地持ち込み渡し関税込みと日本語では言います。 DDPは配送が完了するまでの費用とリスクを売り手が全て負担する取引条件です。 DPUやDAPでは通関は買い手負担でしたが、DDPでは通関や税金も売り手が負担する事になります。 インコタームズ2020 Dグループの違い一覧 Dグループの費用負担とリスク負担をまとめるとこのようになります。 Dグループまとめ DAP (仕向地持込渡し) ・輸出側の負担:指定先までの輸送費用とリスク ・輸入側の負担:通関・関税・消費税、積み下ろし作業 DPU (荷卸込持込渡し) ・輸出側の負担:指定先までの輸送費用とリスク、積み下ろし作業 ・輸入側の負担:通関・関税・消費税 DDP (仕向地持ち込み渡し関税込み) ・輸出側の負担:指定先までの輸送費用とリスク、通関・関税・消費税を負担 ・輸入側の負担:積み下ろし作業 DDPの荷下ろしの義務ですが買い手が負担する事になっています。 もしあなたが買い手側として、荷下ろしが難しい機械設備などの輸送で、どうしても貨物の荷下ろしを輸出者側の責任でやってほしいならDPUを指定しましょう。 契約書・船積み書類への記載方法 インコタームズのDグループでは荷下ろしする場所を明記することが大切です。なので契約書やInvoiceなどではこのように記載します。 DAP/DPU/DDP 「住所」 Incoterms2020. DPU 「ABC Warehouse Shinagawa」 Incoterms2020 場所にはTokyoやKobeなどの港や地域の名称ではなく、特定の場所が分かるように記載をしましょう。 輸入側のフォワーダーについて インコタームズのDグループは輸入側の買い手が指定する届け先まで貨物を手配しなければいけません。 なので輸出者である売り手は、輸入先の事をよく知っている必要があります。この時に必要なのが輸入側でのフォワーダーです。 輸出側で取引のあるフォワーダーがこれから貨物を送る地域にフォワーダーの支店や代理店があるのかを確認しなければいけません。 DDPでよくある問題 輸入先のフォワーダーとDDPについて実務的な例をあげます。 DDPは輸入時の関税と消費税を輸出者が払うことになっています。しかしそれは輸入側のフォワーダーが税金を一旦 立替えており、後に輸出側のフォワダーに請求書が送られています。 この時にもし税金の金額が大きいとちょっと問題になります。輸入側のフォワーダーで税金の立替の上限金額を決めている会社も少なくありません。 輸出側と輸入側のフォワーダーの関係も重要です。取引を始めたばかりの代理店であれば高額な税金の立替は拒否される可能性が高いです。 なのでDDPを依頼された輸出側のフォワーダーは事前にInvoiceを輸入側に送って、税金の立替について輸入側と確認をしなければいけません。 DDUとDATは使えないのか? インコタームズの2010と2020で既に廃止されているDDUとDATですが、全く使うことが出来ないのか?というと問題なく使えます。 インコタームズは売り手と買い手の間で取引がスムーズに行われるように決められた規則ですが、法律ではありません。 インコタームズ2020ではICC(国際商業会議所)がDATの代わりにDAPを使いましょうと推奨していますが、あくまで推奨です。 売り手と買い手での明確な合意があれば取引で問題などが生じたとしても、話し合いなどで解決することが出来ます。 なので契約書やInvoiceにDDUやDATと記載して、売り手と買い手でそれに合意をしていたら基本的に問題はありません。 まとめ 今回はインコタームズ2020のDグループについて詳しく解説をしました。 現在では新しいインコタームズの規則が決まったばかりですが、まだまだ商習慣的にインコタームズ2010で廃止されたDDUが使われていたりします。 今回説明したようにインコタームズはあくまで規則であり、売り手と買い手の取引の合意をサポートするものです。義務ではありません。 ですが物流の担当者として新しい情報をしっかりと理解し、お客様との取引で明確な合意の元で取引が出来るようになりましょう。