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貿易コラム

航空運賃の計算方法を解説!貨物の実重量と容積重量を正しく計算してクーリエやLCLとメリットを比較しよう。 | 輸送・ロジスティクス

航空運賃の計算方法を解説!貨物の実重量と容積重量を正しく計算してクーリエやLCLとメリットを比較しよう。

航空運賃の具体的な計算方法をご存知ですか?海上輸送よりも輸送日程が短いというメリットがある航空輸送ですが、費用の把握をしておけば必要以上の輸送費用を抑えることにも繋がります。 また貨物の重さによっては航空輸送の中でもDHL、Fedexというクーリエサービスを選んだ方が輸送費用を低く抑えることができる場合もあります。 今回はこの航空輸送費用の具体的な計算方法をご説明します。 容積重量と航空運賃の計算方法について動画で解説 航空運賃はどのように計算されるのか? 一見、難しそうな航空運賃の計算ですが実は、必要な要素を理解して計算の仕方を覚えておけば意外と簡単に費用計算を行うことができます。 航空運賃を計算する時の要素 ・実重量 ・容積重量 ・航空運賃(航空レート) 費用の計算を行う前にまず実重量と容積重量の比較が必要です。 実重量と容積重量を比較したときに、より単位が大きい重量が航空運賃の計算に適用される要素となります。 あとはより大きい重量に航空運賃(航空レート)をかけるだけで、航空運賃を算出することが出来ます。 航空運賃を計算する際に必要な要素 航空運賃を計算する際に必要な実重量・容積重量とはそれぞれ何を表しているのでしょうか?それぞれの重量の意味を知ることで実容量と容積重量の違いを確認しておきましょう。 実重量 文字通りになってしまいますが、実重量とは実際の重量のことを表します。つまり商品(パレットを含む)の重さを量りにかけた際の重量です。 容積重量 容積重量とは荷物の体積から換算される重量のことを言います。例えば体積が大きい荷物の場合、輸送を行っている航空機の面積を多く占めることになりますよね。 貨物が軽いからと言っても使用している面積が大きければ1回の輸送に対して送れる荷物量は少なくなってしまいます。 そのため実重量と容積重量と比較を行うことで体積も考慮に入れた航空運賃の算出が可能となります。 貨物の輸送には重さとサイズ両方が意図しています。実重量(kg)と容積重量(m3)という単位の違うものを比較しなければいけないので、その為の計算方法をご説明していきます。 実重量と容積重量の算出方法 実重量を計算する 貨物と貨物を梱包したカートン・パレットの重量を量りましょう。 容積重量を計算する 容積重量は、体積(cm3)を6,000で割ることで計算をすることができます。 容積重量(kg) = 体積(縦cm × 横cm × 高さcm) ÷ 6,000 航空運賃の計算方法 最後に、実重量と体積重量を比較して、より大きい重量に航空運賃を掛けましょう。 「実重量 or 容積重量」 × 航空運賃= 航空運賃 以上が航空運賃の計算方法です。次にタイへの貨物輸送を想定した計算式の例を見ていきましょう。 タイから日本への貨物を送る際の航空運賃を計算する ここではタイから日本へ貨物を送る場合を例として運賃の計算をしています。 (例) 貨物重量:500kg 貨物サイズ:縦115cm・横115cm・高さ165cm 1. 実重量を量る 貨物が1パレット分の実重量を500kgです。 2. 容積重量を計算する 縦115cm × 横115cm × 高さ165cmを1パレット。計算した体積を6,000で割れば、容積重量を計算することができます。 体積 = 115cm × 115cm × 165cm = 2,182,125㎤ 容積重量 = 2,182,115 ÷ 6,000 = 約363kg 縦115cm・横115cm・高さ165cmの場合、容積重量は363kgとなります。 3. Chargeable Weightを出す 実重量 500kg > 容積重量 363kg この場合は実重量をChargeable Weightとして採用します。 4. Chargeable Weightに航空運賃をかける タイから日本への航空運賃:THB 54/ 1kg 航空運賃 = 500kg × THB 54 = THB 27,000 今回の例では航空運賃はTHB 27,000となります。 クーリエサービスを使用する場合 45kg以下の荷物を輸送する場合、フォワーダーを通した航空輸送よりもDHLやFedexなどクーリエを使った輸送の方が費用を抑えることができます。 クーリエとは「国際宅配」をイメージするとわかりやすいかもしれません。 45kg以下の貨物の場合フォワーダーを通した航空輸送ではタリフレートと呼ばれる定価の航空運賃が適用されるのためです。45kg以下の貨物の場合はクーリエを利用した方が安く貨物を送ることができるのです。 これも損益分岐点のようなものがあるので50kgくらいではまだクーリエの方が安い場合が多いです。しかし100kgを超える航空貨物となるとフォワーダーのレートを使用した方がメリットがあります。 まとめ 航空運賃の計算方法はいかがでしたでしょうか?航空貨物の運送にかかる費用計算法を把握しておくことで、海上輸送やDHL、Fedexなどクーリエとの費用比較を行うことができます。その中で最適な費用を選択しましょう。

海上輸出のBookingの流れを解説!タイでFCLコンテナ輸出を手配する時の必要書類と情報などを説明しました。 | フォワーダーの仕事

海上輸出のBookingの流れを解説!タイでFCLコンテナ輸出を手配する時の必要書類と情報などを説明しました。

貨物を海外に海上輸出したい時どのような手順で手続きを進めていくのでしょうか。小口の貨物をEMSやDHLなどの航空便で送った経験はあると思いますが、海上輸出となると個人レベルではあまり体験する機会がありません。 海上便で貨物を送るとなると海外引っ越しを除いて大体が商業用の貨物だと思います。海上輸送では混載便やコンテナ便などで輸送をするのですが今回は具体的なBookingの流れについてご説明していきたいと思います。 Bookingの流れを動画で解説 1. フォワーダーにBooking依頼をする もしあなたが貨物を海外に輸出したい時フォワーダーに予約の連絡をしましょう。基本的にはメールで行われます。 緊急の場合 LINEのチャットで依頼される場合や電話で依頼される場合もありますが後ほど正式にメールで依頼をして頂いております。 Booking依頼に必要な情報 1. 貨物:名前・種類 (一般貨物、危険品貨物、冷蔵貨物) 2. 積み地 3. 向け地 4. コンテナのタイプ(20ft, 40ft, 40HC) & コンテナの本数 5. 貨物重量 6. 希望スケジュール 7. 希望船社 8. その他特別なリクエスト フォワーダーへのBooking依頼の例 1. Cargo: Car Parts 2. POL: Bangkok 3. POD: Tokyo 4. Container: 40HC x 2, 20dry x 4 5. Cargo Weight: about 15ton/container 6. Schedule: ETD BKK 24th Mar 7. Carrier: TS Line 8. Remark: free time 21days このように要点を簡潔に書いてメールにてご連絡ください。 船会社のスケジュールについては別途フォワーダーにお問い合わせ下さい。 2. フォワーダーが船会社にBookingをする(スペースの確保) 頂いた予約依頼の情報を元にフォワーダーが船会社に予約依頼をします。この時に重要なのが本船のスペースです。 急ぎでない場合、遅れても良い貨物の場合はスペース確保は大きな問題ではないのですが出荷スケジュールが決まっている貨物については本船のスペースが確保できないと貨物を送ることが出来ません。 スペース確保の重要性については、こちらの記事に記載しております。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/about-forwarder/?lang=ja" target="_blank"] 3. Booking Confirmationを入手する フォワーダーが本船スペースを確保出来たら船会社からBooking Confirmation(書類)を入手し、またフォワーダーからお客様にもBooking Confirmation(書類)を送られます。 Booking Confirmationの内容 ・Shipperの名前 ・Cneeの名前 ・本船名 ・コンテナの種類・数量 ・ETD/ETA ・積み地/揚げ地 ・CY搬入日 ・CY Cut Off Date(CY締め切り) ・船会社名 ・備考 4. フォワーダーに書類を提出する 貿易実務の現場では急ぎや変更などが頻繁に行われますので上記の対応を取っていますが、正式なBooking予約では以下の書類をお客様(Shipper)よりご提出頂く事になります。 ・Shipping Instruction(通称:S.I) ・Invoice ・Packing List 出荷の1ヶ月前の予約や急ぎでない案件の場合、また何度も輸出している案件の場合、最初から上記の書類を手配して頂いてから予約をして頂いたほうがスムーズです。 InvoiceとPacking Listは商取引で一般的に使われるものですが、Shipping Instruction(S.I)はフォワーダーがB/Lを発行する際の元となる書類です。 5. 通関・トラックの手配を依頼する 輸出通関手配 貨物を海上輸出する際には輸出通関をしなければいけません。フォワーダーに貨物情報を知らせて通関手配を事前に準備します。 貨物によってはタイ政府からの書類を入手しないと輸出が出来ない上げ地(向け地)側で通関が通らない、関税が高くなる場合があります。 初めて輸出する貨物の通関につきましてはお早めにお問い合わせ下さい。 トレーラーの手配 またコンテナを工場まで持っていく為のトレーラーも必要です。港のカットオフの時間や積み込み時間を考慮して、何時にコンテナが到着してほしいかを確認しましょう。 トラックもフォワーダーに依頼すれば手配をしてもらえます。 6. コンテナを手配する お客様側からしたら依頼した日時に空のコンテナが到着しているのですが、私たちはその空のコンテナをコンテナデポから事前に取りに行っています。 朝一のローディングの場合は前日の夕方に空コンテナをピックアップしておき、翌朝にお客様の工場に向かいます。 コンテナデポでは予約した船会社からのコンテナが割り当てられるのですが、コンテナの質が悪い(穴あき、汚れ、サビなど)場合があります。 質の悪いコンテナが割り当てられてしまったらトラックドライバーは受け取りを拒否して、再度 新しいコンテナをピックアップするために列の後ろに並びなおさなければいけません。 タイでコンテナが時間通りに来ないという問題の背景にはこういうコンテナデポでの問題も関係しています。 7. 貨物を積み込む 一般的に貨物の積み込みはお客様によって行われます。フォークリフトを使ったり、作業員が手で直接積み込んだり、積み込み方法はお客様の貨物によってそれぞれ異なります。 トレーラーの待機時間 貨物の積み込みに時間がかかる場合、オーバータイムが発生することがあります。トレーラーの無料待機時間は主に2〜4時間です。 トラック業者によって異なる場合がありますが、弊社では4時間とさせて頂いております。 VGMをフォワーダーに連絡する VGMとは貨物の正しい重量を船社に報告するルールです。VGMの提出締め切りがありまして、締め切りまでにフォワーダーに貨物の実重量を連絡しなければいけません(誤差10%くらいならOK)。 提出方法は船会社によって異なりまして、特定のフォームにお客様のサインが必要なものや、フォワーダーがシステムで入力するだけで済むところもあります。 8. 港にコンテナを運び込む 貨物を積み終わったコンテナを港まで運びます。 CYカット(カットオフ・リターン) 港の事をCY(Container Yard)といい、予約した本船に貨物を載せるために「CYカット」という貨物を持ち込む締め切り日時が設けられております。飛行機の搭乗予約時間の締め切りのようなものです。 これは「カットオフ」や「リターン」という言葉でも使われます。 CYカットは”場合によって”延長可能です。 ※毎回延長可能ではありません。どうしても積み込みに時間がかかる、または港まで渋滞に巻き込まれてしまう可能性があります。 ”事前に”カットオフまでどうしても間に合いそうにないと分かった場合は、フォワーダーにカットオフの延長を依頼しましょう。 フォワーダーへの連絡なしにコンテナが港に遅れて到着しても受け取ってもらえませんのでご注意下さい。 9. 本船が出港する 貨物を搭載した本船がタイの港を出港します。 10. B/Lの発行 船が港を出港すると船会社よりB/Lが発行されます。主に出港日の翌日 or 2日後に発行されます。急ぎの場合はフォワーダーにご連絡下さい。 まれにB/L部隊がB/L作成に忙殺されていて発行に時間がかかる場合がございますので。 B/Lの役割と取り扱いについてはこちらの記事に記載しております。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/about-bl/?lang=ja" target="_blank"] まとめ 今回は輸出の一連の流れを説明しました。全体を理解していることで事前に準備しておくことや、もし問題が発生したときに備えることが出来ます。 もし何かご不明点がありましたら弊社スタッフまでお問い合わせ下さい。

Freight PrepaidとCollectの違いとは?貿易条件を理解しShipperとCneeから代金回収リスクを減らそう。

貿易には色んな専門用語があります。今回ご説明する用語は「Prepaid」,「Collect」です。筆者も国際物流の仕事に携わったときはこの貿易用語の理解が大変でした。 このような感じでした。。このような疑問を持っているのは筆者以外にもいらっしゃるでしょう。なので今回はPrepaidとCollectの違いについて分かりやすく解説をしていきたいと思います。 フレート・プリペイドとコレクトのアニメ動画解説 Freight Prepaid とCollectの違いとは まずPrepaidとCollect。これは運賃(Freight)のことを指しており、B/Lには”Freight Prepaid”と”Freight Collect”というように記載をされております。 違いを理解するのは簡単です。これらの英単語を翻訳したら以下のようになります。 Freight PrepaidとCollectの違い Freight:運賃 Prepaid: 事前に支払う Collect: 回収する Freight Prepaidは運賃を前払いする。すなわち輸出地側が運賃を支払うということになります。一方でFreight Collectは運賃を回収する。輸入地側で運賃を回収するという意味です。 誰が運賃を支払うのか ・Freight Prepaid: Shipperが運賃を支払う ・Freight Collect: Consigneeが運賃支払う ”運賃”とは何の運賃を支払うことなのか この場合の運賃というのは国際輸送費用です。なので海上運賃や航空運賃の事を指します。B/L(船荷証券)やAir Waybill(航空運送状)に記載するものなので輸出地側や輸入地側のトラック輸送費、港の費用、通関費用は関係ありません。 関連するインコタームズ 国際輸送費用を輸出者・輸入者のどちらが負担するのかということですので、これらはインコタームズにも関わってきます。 関連するインコタームズ  Freight Prepaid:C&F, CIF, CFR, DDU,DDP Freight Collect:EXW, FOB 上記では一般的に使用するインコタームズのみ記載しましたが、インコタームズの詳細についてはこちらをご確認下さい。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/incoterms/?lang=ja" target="_blank"] Prepaid/CollectはShipperとCnee次第 Freight PrepaidにするかFreight Collectにするかは、輸出者(Shipper)と輸入者(Cnee)のインコタームズの取り決めによります。 商品を購入する輸入者側が物流は自分でコントロールしたいという場合、ターム(インコタームズの事)をEXWやFOBにするでしょう。 また輸入者が物流のことは面倒だから輸出地側に完全に任せたいというのであれば、一般的にCIF条件などで取引されます。 積み地フォワーダー泣かせのFreight Collect これは弊社の案件の一例なのですが、タイ- インド間の取引でFreight PrepaidやFreight Collectにするかどうかで論争になった事があります。 タイ側で輸出者様と商談を進めており、輸出者様(タイ)が運賃を支払うFreight Prepaidで決まりかけていました。取引条件はCIFでした。 しかし、貨物を輸出しようとする直前に輸出者様(タイ)と輸入者様(インド)で話の内容が変わったのか、Freight Collectにするとの事。 EWXに変更になりました。この案件はタイで進めていたもので(タイで運賃を船会社から入手して案件獲得につながったので)、船社に対して私たちフォワーダーは運賃をPrepaid(前払い)しなければいけません。 MasterとHouse B/Lに記載されるFreight "Prepaid"と"Collect" ・Master B/L: Freight Prepaid ・House B/L: Freight Collect になります。 Master B/LとHouse B/Lの違いについてはこちらをご参照ください。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/hbl-mbl-difference/?lang=ja" target="_blank"] インドから代金を回収する そしてお客様から運賃の回収をするのはインドです。弊社のインド代理店がインドの輸入者様に連絡を取って運賃を回収して、タイに国際送金するという形になります。 こうなるとタイ側でのコントロールが難しくなるのです。 為替リスクが発生する 更にEXWですのでタイ側のトラック運賃、通関費用、港の諸費用は基本的にタイバーツで発生し、インド側にはUSDで請求をすることになります。ここで為替リスクが発生し為替に関しての取り決めなどもしなければいけません。 はたしてインドの会社が無事に支払日までに支払ってくれるのだろうか。。代金の支払いを遅らせる事が経理の実績だと言われるインド。 日本相手なら全く問題ないFreight Collectですが、インド相手だと出来ればFreight Prepaidで対応したい案件でした。 国際取引のバランスを取る 上記の例がややこしいのは積み地側/輸出者側で物流の取引がほぼ確定していた事です。これがインド側(揚げ地側)で物流業者が輸入者に営業をかけてインド側主体での取引だとそれほど問題視する事はなかったでしょう。 国際取引というのは、言葉・文化・通貨だけでなく、それぞれの国の商習慣の違いもあるので単純なものではありません。そのバランスを取れるのが物流においてはフォワーダーなのかなと思います。 まとめ 輸出者、輸入者の立場からしたらFreight PrepaidとFreight Collectは取引条件の取り決め事項ですので割と単純なルールです。 しかし単なる運賃支払いのルールではなく その取引が決まる背景まで含めて見た時、スムーズな国際取引をするためにはフォワーダーとの連携が重要になって来ます。

インコタームズのDDP・DDU・DAPの違いについて解説!輸入時の税金の支払いやリスク負担の分岐点とは? | インコタームズ

インコタームズのDDP・DDU・DAPの違いについて解説!輸入時の税金の支払いやリスク負担の分岐点とは?

[keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/ddu-ddp/" target="_blank"] インコタームズのDDPとDDUは、いわゆるドアtoドアで手配する貿易条件です。 お客様の貿易条件の取り決めは色々あります。輸出側と輸入側でどちらが物流の手配、費用負担・危険負担をするのか。全てのお客さまが貿易に詳しい訳ではありません。 タイのフォワーダーである筆者は基本的に自分たちでコントロール出来る物流を好みますのでDDP,DDUも頻繁に手配しています。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/incoterms2020-d-group/?lang=ja" target="_blank"] 【関連動画】インコタームズ2020のDAP/DPU/DDPについて解説 DDPとは DDPはDelivered Duty Paidの略称で貿易条件の種類であるインコタームズの一つです。 運賃と保険料を輸出者が負担する取引条件のことを指し、日本語では仕向地持込関税込渡しとも言います。 インコタームズの中で、Dグループと呼ばれる条件グループに含まれます。 DDPの特徴 DDPは現在11種類あるインコタームズの中で最も輸出者の負担が大きく、輸入者の負担が小さい取引条件です。 このDグループの条件(DDP/DAP/DPU(DAT))においてのみ輸入通関を輸出者が行います。また、輸入国における輸送費用まで輸出者が負担するのもこの条件だけです。 つまり輸出者は、契約時に定められた指定仕向地に貨物が到着するまでの費用と責任を負担することになります。 そのためDDP条件での取引では、自国だけではなく輸出地におけるフォワーダーや運送業者との取引経験など貿易の豊富な経験が輸出者には求められます。 一方、輸入者側から言えば、DDP条件では基本的に指定仕向地に貨物が到着するのを待っていればよく、貿易経験が浅い場合でも最もリスクの少ない取引条件だと言えます。 ただし、通関などに必要な書類を輸出者から求められた場合はそれに協力する必要があります。 DDPにおける貨物の引渡し場所、費用負担・危険負担の分岐点 DDP条件では、契約時に定められた輸入国側のある地点が貨物の引き渡し場所及び費用と責任の移転場所となります。この場所は指定仕向地と呼ばれ、指定仕向地に到着するまでは輸出者が費用(税金を含む、全ての輸送費用)や責任を負担することになります。 また危険負担には輸送中の商品ダメージなども含まれそうした損害が発生した場合の補償も輸出者の負担となります。 DDUとは Duty Unpaidの略称で日本語では仕向地持込関税抜き渡しとも呼ばれます。先ほど説明したDDP条件との違いは、輸入地における関税の支払いです。 DDP条件では輸入地における関税も輸出者が支払いますがDDU条件では輸入者が支払いの義務を負います。 インコタームズ2010での改正について ・DDU条件は廃止され、代わりにDAP条件が設けられた DDU条件は最新版であるインコタームズ2010では廃止され、同じDグループの取引条件であるDES、DAFと共に、新たに設けられたDAP条件へと移行することが推奨されています。 これには特にコンテナ輸送の場合、輸入地におけるターミナル使用料の負担義務がどちらにあるのかが不明確な為に荷下ろし義務を輸入者負担とするDAP条件でそれを解決するという目的があります。 DDU条件はDAP条件への移行が推奨されているものの未だに実務では使われる条件です。 また、DDU条件のようなインコタームズ2000の取引条件も使用が禁じられているわけではないので状況によってはDDU条件での取引となることもあるでしょう。 その場合、書類に”As per Incoterms 2000”などと記載するのが望ましいとされています。 DAP条件とは DAP条件は、インコタームズ2010で新たに設けられた取引条件です。Deliver At Placeの略称で、日本語では仕向地持込渡とも呼ばれます。 DAPは輸入港または輸入国におけるターミナル(埠頭、港湾地区の倉庫、コンテナヤード、鉄道の駅など)において、輸入通関前に、輸送手段(船や飛行機、トラックなど)の上で荷降ろしの準備ができた状態で貨物を輸入者に引き渡します。 引き渡しの時点で、危険・費用負担も輸入者へ移転します。つまり、荷降ろしにおける危険・費用は輸入者が負担することになります。 まとめ 今回はDDP条件とDDU条件について詳しく見てきました。DDP条件はインコタームズの諸条件の中でも最も輸出者の負担が大きく、輸入者の負担が小さい取引条件です。 輸出者の負担が最も小さいのはEXW条件でしたが、DDP条件はそれと真逆の取引条件だと言えるでしょう。 輸出者としてDDP条件を用いる際は現地での荷降ろしや通関業務などに問題がなく指定仕向地まで確実に貨物を送ることができることを十分に確認する必要があります。 そのためには現地のフォワーダーなど関連業者との連携が不可欠です。 フォワーダーを通しても輸入国で許認可取得や通関許可を取得するのが難しい場合はDDPを避けてDAPなど通関業務の無い取引条件を選択することが望ましいでしょう。 企業様の貿易・新人研修にお勧めの無料コンテンツ

インコタームズのCグループについて解説!CFR, CIF, CPT, CIPのそれぞれの費用・リスク負担の違いについて。 | インコタームズ

インコタームズのCグループについて解説!CFR, CIF, CPT, CIPのそれぞれの費用・リスク負担の違いについて。

今回はインコタームズのCグループである、CFR,CIF,CPT,CIPについてご説明をしていきます。 筆者はタイのフォワーダーとして活動をしているのですが、輸出国(製造国)であるタイにおいてお客様から多くの貿易条件にてBookingを頂いているのがCIFやCFRとなります。 CFR・CIF・CPT・CIPについて動画で解説 インコタームズ CFRとは CFRとは、Cost and Freightの略称で、日本語では運賃込条件と呼ばれます。CFRは、CIFから輸出者の保険料の負担を除いた条件です。貨物の引き渡し場所と危険移転は輸出港に停泊する船の甲板上に貨物が接地した時でCIFと同じです。 実務においては伝統的な表現であるC&Fと表現されることも多いようですが、正式にはCFRが正しい表記とされていますので、契約書などではCFRと記載しましょう。 Cグループのインコタームズを理解する時におさえるポイント CFRやCIFといったC類型に分類されるインコタームズでは、危険負担と費用負担が輸出者から輸入者へと切り替わる時点が異なります。 そのため、これからインコタームズを学ぼうとしている人や貿易の初心者の方にとっては理解しにくい部分があるかもしれません。 しかし保険や運賃の費用負担と事故などがあった場合に責任を負う危険負担を分けて考えると理解がしやすいと思います。 これはどのインコタームズにも言えることで、以下に挙げる貿易条件を構成する3つの要素を別々に考えることで混乱を避けることができます。 理解すべき分岐点 ・貨物の引渡し場所 ・危険負担の分岐点 ・費用負担の分岐点 ここを理解する事がインコタームズの違いを理解しやすくなるポイントです。 インコタームズ CIFとは CIFはCost, Insurance and Freightの略称で貿易条件の種類であるインコタームズの一つです。 運賃と保険料を輸出者が負担する取引条件のことを指し、日本語では運賃保険料込条件とも言います。 FOB条件などの場合に輸出者が負担する船積までの費用に加えCIF条件では輸入港到着までの運賃と保険料を負担する取引条件となっています。 CFR/CIFにおける貨物の引渡し場所、費用負担・危険負担の分岐点 CIF条件では、貨物の引き渡しは本船積み込み時に完了するとされています。船舶の甲板に貨物が接地(タッチダウン)した時点で危険負担も輸出者から輸入者へと移転します(FOBと同じ)。 しかし保険と運送にかかる費用については本船に積み込み後、船が輸入港へ到着するまでの区間についても輸出者側が負担することとなっています。 CIFの特徴 - 輸出者視点 ・リスク負担:輸出国で船の上に貨物を載せるまで ・費用負担:輸入国に到着するまで輸出者が負担 ですから、CIF条件で貨物についての責任が移転するとされている本船積み込み時とは、厳密に言えば貨物が船の甲板に置かれた時点ということになります。 ちなみに、最新版であるインコタームズ2010において、長年にわたり、FOB、CFR、CIFの各条件で危険負担の分岐点として想定されていた「本船の手すり (Ship's Rail)」の文言が削除され、物品の危険は「物品が本船の船上に置かれた(On board)」時に売主から買主に移転するとされました。 インコタームズ CPT/CIPとは インコタームズのCグループにはCFRとCIF以外にも、CPTとCIPがあります。CPTとCIPの条件も合わせて簡単に見てみましょう。 まずは用語の解説と、CPTとCIPの違いですが の略となります。 違いについてはCFRとCIFと同様にIのあるCIPが保険ありで、CPTが保険なしの条件になります。このようにして覚えるとそれほど難しくはないと思います。 CPT/CIPのリスク負担 CFRとCIFではリクス負担の切り替わる場所は船の甲板の上に貨物が乗ってからでした。 一方でCPTとCIPではリスク負担の切り替わる場所は輸出側のCYやCFSになります。 CPT/CIPの費用負担 そして費用負担についてですが、Cグループは全て同じで 輸入側の港までが輸出側の費用負担となります。 まとめ 今回は、CFR,CIF,CPT,CIP条件について見てきました。CIFの保険については、輸出者が義務付けられているのは最低限の填補範囲ですがこれについても取引相手と契約内容を確認しておく必要があります。 Cグループの条件(特にCFRとCIF)は比較的良く用いられる契約条件です。良い取引のために内容についてしっかりと理解しておきましょう。

インコタームズのFOBを解説!FCAとの違いやリスク・費用負担、貿易条件のメリットについてお話しします。 | インコタームズ

インコタームズのFOBを解説!FCAとの違いやリスク・費用負担、貿易条件のメリットについてお話しします。

貿易取引において重要なのはリスク管理とコストです。筆者が輸入する時に頻繁に使う貿易条件はFOBなのですが、国によって貿易条件を変えております。 輸入の場合は慣れている国だとFOB、そうでない場合はCFR。使い分けが肝心です。今回は輸出者、輸入者のそれぞれの立場からインコタームズのFOBについて見ていく事にしましょう。 FOBについて動画で解説 貿易が得意な弊社の立場からFOBをどのようにして使うのかを含めて解説をしています。是非ご覧ください。 インコタームズ FOBとは FOBは日本語では本船渡し条件、または甲板渡し条件とも言います。 輸出地の港に停泊する船舶の甲板において費用や危険負担の責任が移転する取引条件のことです。 FOBは英語のFree On Board の略称でこの場合のBoardは船舶の甲板を指します。ですからFOBとは船舶の甲板において、輸出者が責任から自由になる(責任が輸入者へ移転する)という意味になります。 船積書類などには、「FOB TOKYO」のように、FOBの後には輸出港の名前が表記されます。「FOB TOKYO」であれば、「東京港に停泊する船舶の甲板において、責任が輸出者から輸入者に移転する」という意味になります。 輸出港の船舶上で責任が輸出者から輸入者へと移転するので輸出者にとってはリスクが比較的少なく、輸入者にとってはEXWよりは責任範囲が狭いものの一定以上の取引経験やリスクヘッジが求められる条件と言えるでしょう。 FOBにおける貨物の引渡し場所、費用負担・危険負担の分岐点 FOBでは費用や危険負担の責任は船舶の甲板に貨物が接地(タッチダウン)した時点で輸出者から輸入者に移転することになっています。 貨物が船舶に積載されてからは輸入者が責任を負いますが、貨物が積み込まれる船の予約については実際には輸出者が行うこともあります。 ちなみに、最新版であるインコタームズ2010において長年にわたり、FOB、CFR、CIFの各条件で危険負担の分岐点として想定されていた「本船の手すり (Ship's Rail)」の文言が削除され、物品の危険は「物品が本船の船上に置かれた(On board)」時に売主から買主に移転するとされました。 ガントリークレーンの恐怖 コンテナを使用する海上輸送の場合、コンテナをターミナルから船舶上に積み込むのは実際には港湾業者や船会社が行う業務です。 そのため輸出者は本船への積み込み作業を自社でコントロールすることができません。 なのでFOB条件ではガントリークレーンを使った本船への積み込みの間の責任も輸出者にあるとされるので積み込み時のリスクも考慮に入れなければいけません。 これに対しFCA条件では貨物が運送人の管理下にあるコンテナヤード(CY)で引き渡され、輸入者指定の運送人の管理下に置かれた時に貨物の引き渡しが完了し危険負担が輸入者に移転します。 輸出者側から見たFOB FOBは輸出者側は自国の港までの責任を持てばその後の船舶輸送や輸入地での輸送は輸入者に委ねることができるので、輸出者側から見たら比較的責任負担の軽い取引条件だと言えます。 輸出者としてはリスクを避けるためには、コンテナ輸送の場合はコンテナターミナルなどの運送人の施設で責任が移転するFCA条件をFOB条件の代わりに提案するのが望ましいとされています。 輸入者側から見たFOB 輸入者にとっては特定の輸入国から頻繁に輸入しているのであれば海上運賃の値下げ交渉をフォワーダーにする事が出来るのでFOB取引のメリットがあるでしょう。 一方で輸出者のほうが大量の貨物を輸出しているようなメーカーであればFOBではなくC&F取引の方が良いでしょう。何事も取扱量が多く、慣れているほうが手配するほうがスムーズですしコストメリットもあります。 ここで取引するフォワーダーがその輸出国からの物流に強いかどうかがポイントです。上述していますが頻繁に輸入をしているのであれば選択肢も多いでしょうしスムーズな取引が出来ます。 そうでなければ他の取引条件での交渉も検討した方が良いでしょう。 まとめ 今回はFOBについて詳しく見てきました。FOB条件は輸出港に停泊する船の甲板上で責任が移転します。 輸出者、輸入者どちらの立場の場合でも見積もりや取引にあたってFOB条件について正確に理解しておくことは重要です。FOB条件での取引を考える際はそのメリットやリスクについて十分に検討した上で契約を結びましょう。

貿易条件インコタームズの EXW・Ex-Worksについて危険負担やリスク移転などを徹底解説しました。 | インコタームズ

貿易条件インコタームズの EXW・Ex-Worksについて危険負担やリスク移転などを徹底解説しました。

貿易取引においてインコタームズを正しく理解する事で売り手・買い手間におけるトラブルを出来るだけ小さくする事が出来ます。 今回はEXWに焦点を当てて、輸出側(売り手)と輸入側(買い手)のそれぞれの立場でのメリットとデメリットについて解説をしていきたいと思います。 またインコタームズにおける基本的な情報につきましてはこちらにまとめています。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/incoterms/?lang=ja" target="_blank"] EXW(Ex-Works)について動画で解説 輸出者と輸入者の立場でそれぞれのデメリットについて解説をしていますので、是非ご参照ください。 EXWとは EXW(エクスワークス、またはイーエックスワークスと読む)は、貿易の取引条件を示すインコタームズと呼ばれる略称の一つです。 日本語では工場渡し条件、または工場引き渡し条件とも言います。 EXWの特徴 インコタームズには、全部で11種類の貿易条件がありますが、EXWはその中で最も売主にとって負担が少なく、リスクが小さい条件です。 EXWにおける費用負担・危険負担の分岐点 EXWでは売主が自社の拠点である工場や倉庫などにおいて貨物を買主に引き渡した時点で、費用と危険を負担する責任が買主へと移ります。 つまり引き取りに用いるトラックの経費などの輸出国での輸送費用から、輸出通関、船・飛行機等の運賃、輸入地での輸送費用まで、その後の費用や危険は全て買主が負担することになります。 インコタームズとして定められた11規則の中で買主側が輸出国での輸送費用や、輸出通関の費用を負担する規則はEXWだけとなっています。 ただし売主も関係省庁から輸出認可を取得したり輸出通関を行う際に輸入者が必要とする情報を提供したりすることについては、売主はサポートする義務があると定められています。 輸出者側から見たEXWはどんな条件? 輸出者側から見れば商品を期日内に生産し、自社の敷地内で買主に貨物を引き渡せば後はほぼ全ての業務を買主である輸入者が行ってくれるということになります。 そうした意味では、これから海外への輸出を始めようとしている場合や、輸出先の国が初めての貿易相手国である場合などに適した貿易条件だと言えます。 輸出経験の少ない事業者様はEXW条件での取引を検討してみると良いかもしれません。 輸出者側のメリットとデメリット では輸出者側から見たEXWのメリットとデメリットについて考えてみましょう。 輸出者側のメリット 輸出者としては貨物を自社の敷地で引き渡すだけで良いので梱包費用などを除いて基本的に物流費用は発生しません。 また事故や誤配など運送の間に生じる可能性のある危険についても輸入者側が責任を負うので危険負担も少なくて済みます。 さらに、フォワーダーなどとの契約や通関などの事務手続きも輸入者側の義務となり輸入者側が指定したフォワーダーが行うので輸出に伴う業務の負担も最小限となります。 こうしたメリットをまとめると、以下のようになります。 輸出者がEXWを利用する時のメリット 輸出者のメリット ・運送などの費用負担が最も抑えられる。 ・事故などがあった時の危険負担が最も少ない。 ・通関などの貿易手続きを行う必要がない。 輸出者側のデメリット ではEXWでは輸出者にとってのデメリットはないのでしょうか? 確かにEXWは最も輸出者の負担が少ないと言われていますが、買主との関係を考えると立場的に不利になることも考えられます。 実際の取引を考えてみましょう。 EXW条件で輸入を行う場合、事業者は相手の敷地内での貨物引渡し後 全ての運送業務を自社で手配しなければなりません。 そのためには、貿易取引について熟知している必要があります。つまりEXWにおける輸入者は貿易のベテランである可能性が高いのです。 このような取引相手に対し、輸出者が価格面で良い条件を引き出すことはかなり難しいと考えられます。相手は貿易の上級者である上、運送などのリスクを引き受けてくれるのです。 比較的経験の浅い輸出者の場合、EXWではこうした理由から国内外の販売価格を利用して大きく儲けるといったことは難しくなる可能性があります。 デメリットをまとめると以下のようになります。 輸出者がEXWを利用する時のデメリット 輸出者のデメリット ・貨物受渡し以降の輸送手段などを選ぶことができない。 ・買主が多くの業務を負担するため、価格交渉において不利になることも。 輸入者側から見たEXWはどんな条件? 輸入者側から見るとEXWは貿易相手国における輸送から全て自社で手配する必要があるので、現地の取引に慣れているなど豊富な経験や知識が必要とされる条件です。 輸入者側のメリット、デメリット 今度は輸入者側からみた場合EXWにはどのようなメリットとデメリットがあるのかを考えてみましょう。 輸入者側のメリット EXWは輸入者にとって良い点もあると考えられます。 EXWでは自社で運送会社や保険会社を選択することができるので、そうした意味でもEXWが買主にとっては最も安く輸入することができる条件だと言われています。 さらに、輸送などの手間やリスクを全て自社が負担することで値下げなどの有利な条件を相手に提案する事が可能です。 輸入者がEXWを利用する時のメリット 輸入者のメリット ・商品を最も安く輸入することができる条件と言われている ・輸送や危険の負担を担う分、取引相手との交渉において有利な立場に 輸入者側のデメリット 輸入者側のデメリットはやはり輸送に伴う危険を最も幅広く負担しなければならない点でしょう。 輸出者の敷地からあらかじめ定められた国内の地点まで全てのリスクについて責任を持たなければなりません。 また輸出国での輸送や輸出通関を行わなければならない為に、取引を行っているフォワーダーがそれらの手配について得意なのか可能なのかを確認する必要もあります。 もし取引先のフォワーダーがそれらの業務を行うことが出来ない場合は、他のフォワーダーを探すかEXWの使用を避けて契約しなければなりません。 輸入者がEXWを利用する時のデメリット 輸入者のデメリット ・危険や費用の負担について、最大の範囲で責任を負う必要がある ・輸出国での通関やフォワーダーの選定などについて、高い能力が必要とされる まとめ 今回はEXWについて詳しく見てきました。輸出者・輸入者の双方の立場からEXWの条件を考えていますので自社の状況に照らし合わせてお読みいただけるとよりイメージしやすいかと思います。 EXWはインコタームズの中では最も輸出者側の負担が少ない条件ですので、これから海外へ販売展開を考えている会社などは取引相手に一度EXWでの取引を打診してみるのも良いかと思います。 また、輸入者の場合も価格を抑えたい場合はEXWで輸入を行うことができないかフォワーダーなどと相談して検討してみると良いでしょう。

B/Lの内容を解説!間違いやすい箇所やミスした時の問題と対処法を解説します。

B/Lは貨物を国外に輸送する時に船会社やフォワーダーから発行される書類であり、また荷受側が貨物を受け取る為に使われるとても重要な書類です。 今回はB/Lに記載しなければいけない主要な項目やありがちなB/Lの記載ミスによる問題について解説していきたいと思います。 B/Lの主要項目は船社やフォワーダーによって書式は若干異なるのですが、基本的には共通しています。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/about-bl/?lang=ja" target="_blank"] 「船荷証券(B/L)」の主要項目 B/Lの主要項目 ① 船会社名 ② 船荷証券番号 (B/L No.) ③ 荷送人 (Shipper)※輸出者のこと ④ 荷受人 (Consignee)※輸入者のこと ⑤ 着荷通知先 (Notify Party) ⑥ 本船名 (Ocean Vessel) ⑦ 荷受地 (Place of Loading) ⑧ 荷揚げ港 (Port of Discharge) ⑨ 荷渡し地 (Place of Delivery) ⑩ 商品明細 (Description of Goods)* マーク、数量、重量、コンテナの本数など ⑪ B/Lの種類 ⑫ 運賃の支払い場所 * Prepaid(Shipper支払い) or Collect(Cnee支払い) ⑬ 揚げ地側の代理店情報 ⑭ 船積み年月日 B/Lのミスは貨物ストップを意味する B/Lの記載にスペルミスなどの間違いがあると修正(リバイス)しなければ通関で申告が出来ず揚げ地側で貨物の引き取りが出来ません。 B/LはShipperが発行するS.I(Shipping Instruction)を元に作成されますが、スペルミスは頻繁に見られます。 特にShipper, Cnee, Notify, Descriptionのミスには注意して下さい。社名や住所の英語記載でスペルミスは頻繁にあります。 また貨物の数量や重量がPacking Listと違う場合もよくあります。 B/Lを修正するには時間がかかる場合があり、貨物が到着しているのにB/Lの修正が出来ていないため貨物が取り出せないケースがあります。 オリジナルB/Lが既にCneeに送られている場合はB/Lを輸出地側に送り返さなければ修正できません。 B/Lの修正に時間がかかっている間にフリータイム(港での無料コンテナ保管期間)が切れてデマレージ(港でのコンテナ保管費用の超過料金)が発生する場合もあります。 コンテナ一本単位でデマレージが発生するので、コンテナ本数が多いShipmentだとかなりの金額になり大問題になります。 B/Lの記載内容についてはDraftの時点でしっかりと確認し、発行後も輸出地側と輸入地側で注意して確認しましょう。 ハウス B/Lのメリット B/Lには船会社が発行するマスターB/Lとフォワーダーが発行するハウスB/Lがあります。 B/Lを作成するときにミスをしないのが前提なのですが人が作成するものなので、やはりミスは発生する場合があります。 そのミスをいかに早くリカバーするか。経験もあり対応の良いフォワーダーのサービスを使っていると問題発生時にいち早く解決してくれます。 B/LもハウスB/Lを使う事で早急に問題が解決しやすくなるので、マスターB/LではなくハウスB/Lの利用をお勧めします。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/hbl-mbl-difference/?lang=ja" target="_blank"] まとめ 貿易においてB/Lは非常に重要な書類です。B/Lは有価証券ですので発行する船会社やフォワーダー側としても正確に厳しく管理しなければいけません。 またお客様にもS.Iに間違いがない事や、ドラフトB/Lの時点での確認にご協力をお願いしています。書類の内容をしっかりと確認してスムーズに貿易取引が進められるようにしましょう。

ハウスB/LとマスターB/Lの違いとは?メリットとデメリットを理解しよう。 | 物流コラム

ハウスB/LとマスターB/Lの違いとは?メリットとデメリットを理解しよう。

海上輸出を手配するときに一般的にフォワーダーにBookingをします。 その取り扱いの際にB/L(船積証券)を発行することになるのですが、お客様はハウスB/LかマスターB/Lのどちらか使用する事を選ぶことが出来ます。 ハウスB/LとマスターB/Lにはそれぞれメリット・デメリットがあり、その違いをしっかりと理解した上でBooking時にフォワーダー に伝えましょう。 それでは、ハウスB/LとマスターB/Lの違いについて解説していきましょう。 House B/LとMaster B/Lの違いについてのアニメ動画解説 ハウスB/LとマスターB/Lとは? B/LにはオリジナルB/L, サレンダードB/L, Sea Waybillなどの種類がありました。このB/Lの種類についてはこちらに詳しく記載しております。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/about-bl/?lang=ja" target="_blank"] ハウスB/LとマスターB/Lの違いは簡単に言うと発行者の違いです。 ハウスB/LとマスターB/Lの違い ・ハウスB/L - House B/L(HBL) : フォワーダーが発行 ・マスターB/L - Master B/L(MBL): 船会社が発行 貨物取り扱いにハウスB/Lを使用した場合 ハウスB/Lを発行する時には、同時にマスターB/Lも発行されています。 お客様にはハウスB/Lしか送られないので、その存在が分かりにくいのですがマスターB/Lはフォワーダーの業務で処理をされております。 ではHBLの書式例を見てみましょう。 ハウスB/Lの例 HBLの記載ポイント ① Shipper欄:貨物の輸出者名が記載 ② Cnee欄:貨物の輸入者名が記載 ③ B/Lのフォーマット:フォワーダーのものを使用 ④ B/Lの差入れ先:B/Lを発行したフォワーダーの代理店及び関連会社 ハウスB/L使用時のマスターB/Lの例 MBLの記載ポイント ① Shipper欄:輸出を手配するフォワーダー名を記載 ② Cnee欄:B/L差入れ先のフォワーダー名を記載 ③ B/Lのフォーマット:船社のものを使用 ④ B/Lの差入れ先:B/Lを発行した船社の代理店及び関連会社 HBLをお客様に使用する時のポイント このようにハウスB/Lを使用した際には1shipmentでB/LはハウスB/LとマスターB/Lの2セットが発行されています。 このように2セットのB/Lが存在しているので、輸入した貨物が通関で引っかかった時に、ハウスB/Lは問題ないけれどもマスターB/Lに間違いがあるという事が稀に発生します。 貨物取り扱いにマスターB/Lを使用した場合 ハウスB/Lではなく、お客様がマスターB/Lを使いたいと指定してくる事もあります。 その時のマスターB/Lの書式例を見てみましょう。 マスターB/L使用時のB/Lの例 MBLをお客様に使用した場合のポイント ① Shipper欄:貨物の輸出者名が記載 ② Cnee欄:貨物の輸入者名が記載 ③ B/Lのフォーマット:船社のものを使用 ④ B/Lの差入れ先:B/Lを発行した船社の代理店及び関連会社 先ほどのハウスB/Lを使用した場合とは違い、B/Lのフォーマットは船会社のもので、Shipperには貨物の輸出者名が記載されており、Cneeには貨物の輸入者が記載されています。 フォワーダーの名前はどこにも記載されていません。 では、このようにハウス・マスターB/Lを利用した際にどのようなメリット・デメリットがあるのか、以下に解説をしていきます。 ハウスB/Lのメリット・デメリットとは? ハウスB/Lのメリット ・発行するのが早い ・修正するのが早い ・フレキシブルな対応が可能 ・原産地証明の申請にも影響 ハウスB/Lのデメリット ・揚げ地でD/O費用(約USD50)が発生する ハウスB/L発行のポイント 一般的にB/Lは貨物港を出港した後に発行されますが、ハウスB/Lの場合は出航前からB/L作成の準備が出来ていたりするので、出航後すぐにお客様にB/Lをお届けする事が出来ます。 また国際輸送においてはB/Lにミスがある事は珍しくありません。Gross Weightが違ったり、サイズが違ったり、DescriptionにHS Codeを記載しなければいけなかったなど。 この時にハウスB/Lだとフレキシブルなサービスを提供しているフォワーダーであれば、すぐに修正する事が出来ます。 また原産地証明書の発行のスピードにも影響します。原産地証明書の発行にはB/Lが必要になります。 ハウスB/Lの場合は出航後にすぐにB/Lを入手する事が出来るので、すぐに原産地証明書の申請が可能になります。 特に近隣国へ輸出する時はHBLがお勧め! 近隣国への輸出の場合、書類を発行している間に貨物が到着してしまっているというのはよくあります。 必要書類がないと輸入通関が進められませんので迅速な書類発行というのは物流では非常に重要なポイントなのです。 マスターB/Lのメリット・デメリットとは? マスターB/Lのメリット ・揚げ地でD/O費用が発生しない。 ※DOC Feeとして約USD20のみ マスターB/Lのデメリット ・発行に時間がかかる ・修正に時間がかかる ・フレキシブルな対応は無し ・原産地証明の入手に時間がかかる ハウスB/Lと反対の事がマスターB/Lを使用すると発生します。 船会社がB/Lを発行するので一般的には船が港を出港してから、早くて翌日 or 翌々日にB/Lが発行されます。 海外でよくあるケースですが船社のB/L発行部隊の人材不足の問題やシステムエラーなどでとにかくB/Lの発行が遅くなる事もしばしばあります。 それでもお客様からはマスターB/Lを使ったとしてもミスがないように注意するよう指示され、B/L発行後とにかく超特急で持ってくるように依頼されたりすることもあります。 まとめ 昨今の物流においてはとにかくスピード化が進んでいます。お客様も在庫を出来るだけ作らないようにスケジュールを組んで製造していますので、貨物と書類の流れが同じように進まないと製造・輸送スケジュールに影響してしまいます。 貨物は動いていますので、それを取り扱う為の「書類」を迅速に扱えるかどうか。 私たちはフォワーダーですので、フォワーダーの立場でものを言ってしまいますがハウスB/Lを使用した方がかなり安全です。 文化・言葉が違う国際間の取引ですし、更に言えば人間が書類作成し、取扱いを管理しています。国際間取引では何かしらの問題が発生してしまう事はよくあります。 安定的に問題をいかにしてコントロールするか。その為にハウス・マスターB/Lのメリット・デメリットを理解してご利用頂ければと思います。

B/Lについて解説!貿易取引において重要なB/Lの種類と役割とは? | 物流コラム

B/Lについて解説!貿易取引において重要なB/Lの種類と役割とは?

貿易事務や実務で覚えなければいけない書類の代名詞である「B/L」。貿易においてB/L(船荷証券)は非常に重要な役割を持ちます。 今回はB/Lの役割について出来るだけ分かりやすく解説をしていきたいと思います。 B/Lについての解説動画はこちら B/Lの役割と流れについてのアニメ動画解説 B/Lの種類についてのアニメ動画解説 B/L(Bill of Lading)とは 簡単に言えばB/Lとは「貨物受領書類」&「貨物引渡し書類」です。 B/Lを発行するのは輸出者側の船会社で、船が港を出航したタイミングで発行されます。 そしてB/Lがなければ輸入者は港に到着した貨物を引き取ることが出来ません。故にB/Lを紛失してしまうと大問題に繋がってしまいます。 国際貿易の中では製品(モノ)と製品代金(カネ)のやり取りにこのB/L(カミ)が活用されるケースが多々あります。 貨物が完成し、船積みを完了したとしても輸入者側からの代金が支払われていない場合、輸出者側はB/Lを差し押さえる事で代金回収リスクを防ぐことが出来ます。 反対に輸入者が製品代金を支払ったにも関わらずB/Lが送られてこないケースも稀にあります。それを避ける為に貿易取引ではL/C(Letter of Credit)を利用する事もあります。 L/Cについての詳しい説明はまた別の機会にしますが、L/Cを使う事で輸出者は代金回収リスクを避け、輸入者は支払ったにも関わらず製品未納リスクを避ける事が出来ます。 B/L発行から貨物引き取りまでの流れ ※オリジナルB/Lを使用した場合。 ① 本船が港を出港する(ETD) ② 船社からB/Lが発行される ③ 輸出者(Shipper)が輸入者(Cnee)にB/Lを郵送する ④ 輸入者がB/Lを船社(or フォワーダー)に差し入れる ⑤ 船社が貨物をリリースする ※詳しくはB/Lを入手する事で、D/Oという貨物引き渡し書類と交換して貨物を引き取ります。 B/Lには船会社が発行するMaster B/Lとフォワーダーが発行するHouse B/Lがあります。MBLとHBLの違いについてはこちらに記載しています。 [keni-linkcard url="http://forwarder-university.com/hbl-mbl-difference/?lang=ja" target="_blank"] では以下にB/Lの種類とその役割について解説していきましょう。 オリジナルB/Lとは 通常B/Lはオリジナルという「原本」を売り手(輸出者)と買い手(輸入者)の間で貿易取引に用います。このオリジナルB/Lの原本を買い手(輸入者)が入手出来れば貨物を港から取り出す事が出来ます。 オリジナルは3部発行されます。3部発行される理由としてはB/Lの紛失を防ぐ為です。オリジナルB/Lは「原本」を輸出者から輸入者にDHLやFEDEXなどのクーリエ便で郵送します。 1度に3部送るのではなく、飛行機を2便、3便と分けて送る事でB/Lの紛失リスクを防ぐことが出来るのです。 サレンダードB/Lとは サレンダーとはB/Lの元地回収の事です。上述したようにオリジナルB/Lでは原本が輸入者側に到着しないと貨物を港から引き出すことが出来ません。 ですが輸送先が近い場合(レムチャバンからホーチミンは3−4日間)や船足が早い便で貨物を輸送した場合、貨物がB/Lより早く港に到着してしまう事はよくあります。 スピーディーに貨物を取り出す為にB/Lを輸出者側(元地)で回収するのがサレンダーです。 この場合、輸出者側から船会社にサレンダーのリクエストをして、サレンダー費用を船会社に支払います。タイだとサレンダー費用はTHB1,300 - 1,500/BLくらいです。 B/Lに”Surrendered” というスタンプが押され、輸出者はその書類の「コピー」をメールやFAXで輸入者に送り、このB/Lのコピーで貨物の引き出しが可能になります。 輸出者がオリジナルB/Lを輸入者に送らず、代金の入金確認が出来たらB/Lをサレンダーして、そのコピーをメールするというケースはよくあります。 輸出者が船会社にサレンダー費用を支払うのは輸入者から代金の回収について問題がないからですね。 Sea Waybillとは Sea WaybillはB/Lとは違い有価証券ではありません。故にSea Waybillを使って貨物を輸送すると輸入者側の商品代金の有無は関係なく、輸入者によって貨物が港で引き出すことが出来るのです。 オリジナルB/LやサレンダードB/Lと比べて、Sea Waybillが発行されたら貨物が取り出せるというスピードのメリットはあるのですが、輸出者側に代金回収リスクが生まれてしまいます。 またSea Waybillは有価証券ではないのでL/Cにも利用される事はほとんどありません。 故にSea Waybillは輸出者と輸入者の間で長く取引があり信用がある場合や、子会社・グループ会社間で信用が確保されている場合に利用されます。 稀にお客様(輸出者)からSea Waybillを依頼されることがありますが、Sea Waybillの特徴をしっかりと説明させて頂いております。 まとめ 今回はB/Lについての基本概要を説明しましたが、今回の内容は「モノ」・「カネ」・「カミ」の概要を理解する為に事務取引の手順を一部省略して解説しています。 貿易実務担当者であれば上記の内容を理解していることが最低条件です。まずは概要を理解しましょう。