ホルムズ封鎖で世界の船腹10%に影響 ONE CEOが警告する最悪シナリオ

ホルムズ封鎖で世界の船腹10%に影響 ONE CEOが警告する最悪シナリオ | 物流ニュース・物流ラジオ

本日は3月4日の海事新聞の「ONE・ニクソン氏、『最悪のシナリオ』。世界のコンテナ船腹10%に影響」という記事から、現在懸念されているホルムズ海峡の封鎖リスクと、今後の海運・サプライチェーンへの影響についてお話をしていきます。

この記事を書いた人
飯野 慎哉(株式会社HPS CONNECT 代表取締役社長)

2016年にHPS Trade Co., Ltdを設立し、経営者として企業の物流課題を解決。 自身の経験を基に物流ノウハウを発信するYouTubeチャンネル「イーノさん」は登録者11万人を突破。 セミナーや講演、ブログを通して物流情報やグローバルでの仕事・挑戦・苦悩を発信。アジア・東南アジアに事業拡大中!

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ホルムズ海峡封鎖という「最悪のシナリオ」

ニクソンCEOは、米ロングビーチで開催中の国際会議のCEO対談において、ホルムズ海峡の封鎖を「想定し得るリスクの中で最悪のシナリオ」と位置付けました。

記事によると、現在同海峡周辺での滞留船は700隻超に上り、そのうちコンテナ船が約100隻を占めているとのことです。

さらに恐ろしいのは、直接足止めを受けている船だけではありません。サービス遅延やハブ港湾での滞留などが連鎖し、結果的に世界のコンテナ船隊の約10%が影響を受けているとされています。

世界の船腹の10%が正常に稼働していないというのは、グローバル物流において極めて深刻な事態です。

現状のポイント
・ホルムズ周辺で700隻以上が滞留
・コンテナ船は約100隻
・港湾遅延の連鎖で世界船腹の約10%が影響

影響拡大の原因と他ソースから見る現状

なぜここまで影響が拡大しているのでしょうか。

ホルムズ海峡は、海上輸送される原油の約30%、そしてLNGの約20%が通過する、世界のエネルギー輸送の大動脈です。

現在、地政学リスクの高まりによって戦争保険の手配が非常に困難になっています。

つまり、保険で資産をカバーできないため船を通せないという、経済的・制度的な障壁が発生しているのです。

ロイター通信やブルームバーグなどの報道でも、中東海域の緊張による海上保険料の急騰や、船社の配船見合わせが相次いでいることが報じられています。

ONEを含む多くの船社がすでに中東向け予約の停止を行っており、行き場を失った貨物が欧州やアジアの主要ハブ港に滞留し始めています。

その結果、港湾混雑が玉突き事故のように広がり、実質的な船腹供給が大きく削られている状態です。

供給減少の構図
航行停止 → ハブ港滞留 → 港湾混雑 → 世界船腹の実質減少

原油100ドルとサプライチェーン麻痺の可能性

この状況が長期化した場合、どのような影響が考えられるのでしょうか。

ニクソンCEOは、ホルムズ海峡が21日から25日以上閉鎖された場合、中東の生産拠点が保管スペースを失い、生産抑制に追い込まれる可能性を指摘しています。

その結果、原油価格が1バレル100ドルを突破するシナリオも現実味を帯びてきます。

原油価格の高騰は、そのままバンカーコスト(船舶燃料費)の上昇につながります。

本来であれば現在は、新造船の大量竣工によって船腹供給が増え、運賃が下落する局面にあります。

しかし今回の地政学リスクと港湾混雑により、世界の船腹の約10%が滞留しているため、実質的には供給が大きく減少している状況です。

つまり、

  • 燃料費の高騰
  • 実質的な船腹不足

という二つの要因が重なり、海上運賃は高止まり、あるいはさらに上昇する可能性があります。

ONEの戦略とAI活用

このような不透明な状況の中で、船社はどのように対応していくのでしょうか。

ニクソンCEOは、単なる定時到着率ではなく、予約時に提示した到着見込みを守る「DAB(Delivered As Booked)」という指標の改善に注力すると述べています。

さらに、AIを活用して

  • コンテナ需給予測
  • 積み付け計画
  • 気象航法

などを高度化し、業界全体で毎年5%以上の効率改善を目指すとしています。

また、ONEの中長期戦略「ONE2030」では、船隊規模を300万TEU水準まで拡大する計画も掲げられています。

なお、ニクソンCEOは7月1日付でシニアアドバイザーに退き、後任には元エミレーツ・シッピングラインCEOのティル・オレ・バレレット氏が就任する予定です。

まとめ

ホルムズ海峡の動向は、単なる中東地域の問題ではありません。

原油価格、海上運賃、そして世界中の製造業のサプライチェーンを直撃するグローバルリスクです。

また、約4万人の船員が影響を受けているという人道的な側面も忘れてはなりません。

荷主や物流関係者の皆様は、中東経由のサプライチェーンの見直しや、運賃高騰に対する長期的なリスクヘッジを、今まさに検討すべき段階に入っていると言えるでしょう。

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