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貿易コラム

アマゾンと税関局、コピー品対策で覚書!取り締まり強化。 | 物流ニュース・物流ラジオ

アマゾンと税関局、コピー品対策で覚書!取り締まり強化。

どうもこんにちは、飯野です。 本日は7月4日付の海事新聞から、「アマゾンと関税局、模倣品の水際阻止で覚書。取り締まり強化」についてお話していきたいと思います。 2022年7月4日イーノさんの物流ラジオ 模倣品への取り締まり強化 アマゾンジャパンは6月30日、財務省関税局と模倣品などの知的財産侵害物品の水際取り締まりに関する協力関係強化で、覚書を締結したと発表しました。 水際での模倣品業者の特定や悪質業者の取り締まりをより効率的に行い、模倣品などの国内流入防止をより一層強化するとのことです。 関税局とEC事業者の協力 財務省関税局がEC事業者と覚書を締結するのは初めてのことです。 両者は今後協力関係の強化方法について共同で検討し、税関が差し止めた模倣品や、関連する模倣品業者などに関する情報交換を進めていく方針です。 税関がコピー品を販売している業者の情報をアマゾンと共有し、アマゾンは自社で販売できないようにするような形ではないかと思います。 アマゾンの模倣品対策 アマゾンではさまざまな模倣品対策に取り組んでいて、2021年には模倣品対策のための活動に9億ドル以上を投資しました。 更に、模倣品撲滅を目的としたブランド保護のツールとサービスを日本でも提供しています。 模倣品対策 インターネットの普及と国境をまたいだECの拡大に伴い、模倣品などの流通は大きな問題になっています。 財務省関税局によると、ECプラットフォーム事業者が提供するサービスを介して貨物が急増しました。 税関職員の数が限られる中、増加する貨物の取り締まり強化が急務になっているということです。 最近のコピー品は精度が高すぎて、見分けが難しい場合もあります。 難しいところですが、コピー品はつかまされたくないので、こういった官民連携は良いなと思います。

北米東岸向けの運賃が1年ぶり1万ドル割れ!SCの修正要請も! | 物流ニュース・物流ラジオ

北米東岸向けの運賃が1年ぶり1万ドル割れ!SCの修正要請も!

どうもこんにちは、飯野です。 本日は、6月30日付の海事新聞から、「北米東岸向けコンテナ市況、1年ぶり1万ドル割れ。荷動き増も供給増で軟化か」についてお話していきたいと思います。 2022年6月30日イーノさんの物流ラジオ コンテナ運賃軟化 コンテナ運賃の軟化傾向が鮮明になってきています。 アジア発北米向けの短期(スポット)コンテナ運賃は、24日時点で西岸向けが40フィートコンテナ当たり7,384ドル、東岸向けが9,804ドルで、東岸向けが1万ドルを割り込むのは実に1年ぶりだということです。 4月から軟化傾向が続いていましたが、ここにきて落ち込み幅が大きくなっています。 需給環境も以前のように、ブッキングがなかなか取れないという状況ではなくなっています。 供給量の増加 一方、5月の北米東航コンテナ輸送量は前年同月比8%増の199万TEUとなり、単月実績では過去最高を記録しました。 荷動きは堅調なものの、サービス拡充に伴う供給量増で需給が緩んでいる模様です。 欧州調査会社シーインテリジェンスでは、5月下旬以降、北米向けの週当たり船腹供給量は、コロナ前の2019年(年率換算)に比べて10%以上も増加すると分析しています。 確かに、コロナ禍で最初コンテナが足りなくなり、コンテナを増やし、他の船会社もドル箱航路である、アジア北米間のサービスを増やしたため、供給は増えている状況です。 「もはや中国発で船積みのブッキングが取れないということはなくなっている。特に4月以降、船社から積んでくれと頼まれている状況だ」とある荷主関係者は述べています。 北米ピークシーズン 北米航路では昨年からの混乱もあり、各社ともすでにピークシーズン(繁忙期)入りで対応しています。 ただし、繁忙期にもかかわらず貨物が集まらず、足元では運賃を下げる動きが続出しているとのことです。 北米のピークシーズンは一般的に7−9月の10月の中国国慶説前までです。 SCでも価格修正 運賃軟化はスポットだけではありません。 一部ではサービスコントラクト(SC)を結んだ契約運賃でもブッキングが減少しています。価格に関するSCの修正要請も増加しているようです。 今はスポットレートの方が安いですが、SCを結んだフォワーダーや荷主はMQC(最低確約本数)があるため、MQC未達だとペナルティーや、次回以降のスペース獲得に影響が出てしまいます。 よって、SCを結んでいないフォワーダーが現在は有利かもしれません。 需要減退 ただ、これまで北米東航の荷動きを支えていた家具類などの需要減退を指摘する声も聞こえてきています。 消費財の貨物量も落ちつつあるという関係者もおり、潮の変わり目ではとの認識も増えています。 これは僕もラジオでお話しした内容です。北米での中古住宅の売れ行きが良くないため、家具などの需要は落ちています。 また消費も物よりサービスに以降しており、旅行が増えています。 エアーの需要軟化 これがエアーに至っては急下降しています。 コンテナ輸送の混乱によって好調だった航空貨物輸送でも、一足先に需給軟化の傾向が強まっています。 すでに日本発着の航空貨物市場は「今年3月が市況のピーク。今は需給軟化が鮮明になっている」と航空会社貨物部門担当者は発言しています。 フォワーダー集荷に苦戦 これまでに比べて状況が様変わりしているようです。 大手フォワーダーはこれまで、自前でチャーター機材を押さえていましたが、貨物量の急減で集荷に苦戦しています。 「フォワーダーは自社で確保したチャーター便を埋めるのに必死で、その余波が定期便に及んで貨物が集まらない」状況となっていると記事は締めくくっています。 上海ロックダウンから、工場が正常に稼働するまで1ヶ月はかかると言われていた。 日経新聞では北米の小売企業の在庫がすごいと報じていましたので、通常より仕入れボリュームは減る可能性が高くなっています。 また、北米労使交渉やヨーロッパでの労働者不足やストなどがどう影響していくか?というところがポイントです。 既にスローダウン作戦に入っており、いつもよりも作業ペースが落ちているのではないでしょうか。 北米西岸の船の沖まちが、どうなっていくかが、情報を更新していきたいと思います。

LNG船の新造発注が増加!脱ロシアとカタールエナジー。マーケットに変化 | 物流ニュース・物流ラジオ

LNG船の新造発注が増加!脱ロシアとカタールエナジー。マーケットに変化

どうもこんにちは、飯野です。 本日は、6月28日付の海事新聞から、「LNG船の新造発注が急増。半年で過去最高を更新」についてお話していきたいと思います。 2022年6月29日イーノさんの物流ラジオ LNG船発注急増 LNG(液化天然ガス)船の発注が急増しています。 英クラークソン・リサーチによると、今年に入ってからの新造LNG船の発注隻数は94隻となり、過去最高だった2021年1年間の発注量の86隻をわずか半年で更新しました。 カタール国営石油・ガス会社であるカタールエナジーが進める大規模なプロジェクトが具体化したほか、エネルギーの脱ロシア依存を進める欧州向け荷動き増加をにらんだ発注が増えているようです。 カタールエナジーのLNG増産プロジェクト 現在のカタールエナジーの生産能力は年7,700万トンで、2026年から設備を順次立ち上げ、年間3,200万トン増やす予定です。 別の大規模増産プロジェクトもあり、2027年の稼働を計画しています。 この2つのプロジェクトが完成すれば、カタールは国内で年1億2600万トンの生産能力を抱えることになり、現在、カタールと輸出国上位を争う米国やオーストラリアを上回る規模になります。 このプロジェクトがエネルギー上の地政学に影響を及ぼすのは必至と言われています。 カタールの輸出先 増産分のうちカタールは半分を欧州、半分をアジアに販売する方針です。 欧州はウクライナ情勢を受けてロシア産LNGからの脱却をめざし、カタールからの調達に注目しています。 そのカタールエナジーはLNGを輸送するための船を100隻ほど増やそうとしています。 EU各国の脱ロシア 他には、EU各国がロシア産天然ガスの輸入を減らし、北米などからのLNG輸入を増やすことも、LNG船の発注を促している模様です。 EUはロシア産天然ガスを主にパイプライン経由で輸入しています。 それを北米や中東、アフリカなどからの輸入に切り替えるには、海上輸送用のLNG船が必要になります。 価格と需要の上昇 こういった背景から、LNG船の価格も、約10%上がってきています。 資機材価格の上昇に加え、造船所の船の受注でLNG船と競合する大型コンテナ船の発注が増え、LNG船の受注余力が乏しくなっていることも船価を押し上げているようです。 欧州向けなどLNGの輸送需要の高まりが予想される中で、安定的な輸送手段を確保したいLNG船社は、7−10年の長期の用船契約をする会社もあるようです。 脱ロシアはいつまで? 脱ロシアということでLNGの調達に注目が集まっていますが、中長期的にはどうなるのでしょうか? ロシアで政権が変わっても、LNGの取引は戻らないのか?と疑問もあります。 もしロシアとEUとLNGの取引が戻ったら、LNGの価格が急落し、船も持て余しちゃうのではないでしょうか。 その頃には他のクリーンエネルギー生産が増えていたりするかもしれません。 脱ロシアということでマーケットの動きが大きく変わっていると実感する記事でした。

コンテナ船会社ONEの業績がトヨタに次ぐ勢いだが、成長戦略はどうか?コンテナ船事業一本に懸念も。 | 物流ニュース・物流ラジオ

コンテナ船会社ONEの業績がトヨタに次ぐ勢いだが、成長戦略はどうか?コンテナ船事業一本に懸念も。

どうもこんにちは、飯野です。 本日は、「コンテナ船ONEがトヨタに次ぐ利益。一本足打法に懸念も」についてお話していきたいと思います。 2022年6月28日イーノさんの物流ラジオ ONE、トヨタに次ぐ高利益 日本郵船、商船三井、川崎汽船が共同出資するコンテナ船会社オーシャン・ネットワーク・エクスプレス(ONE)の業績が好調です。 2022年3月期の純利益は167億ドル(1ドル=112円換算で約1兆9000億円)と、前の期比5倍に拡大し、トヨタ自動車の2兆8501億円に次ぐ水準です。 ONEの利益規模 ただ景気の減速懸念が強まるなか、コンテナ船頼みの一本足打法には危うさも残ると報じられています。 ONEは事業開始から2年目の20年3月期に純利益が1億500万ドルと黒字化したばかりであり、それから2年間で160倍に急拡大しました。 親会社で利益規模が最も大きい日本郵船の1兆91億円を上回っています。 ONEの収益 前期はコンテナの積み高が増えておらず、増益要因のほとんどが運賃上昇によるものです。 ONEは世界的に見ても収益力が高いです。なぜなら、「ドル箱」といわれるアジア―北米航路の比率が3割と高いためです。 ONEの北米向け航路は21年3月期から満船が続いています。 成長戦略をどう進めるか、の課題もあります。 船会社の多角化 浮き沈みの大きいコンテナ船事業に頼るのはリスクが高く、世界の海運大手は事業多角化を急いでいます。 スイスのMSC(コンテナ船会社最大手)は22年3月、仏ボロレのアフリカ物流事業を57億ユーロ(約7,700億円)で買収しました。 マースクは2021年に香港物流会社LFロジスティクス、2022年には米物流会社パイロットフレイトサービスを買収すると発表し、4月には貨物航空機会社「マースクエアカーゴ」の設立を発表しました。 CMA-CGMも船以外の事業を買収しています。 ONE、コンテナ船事業に注力 これに対し、ONEは多角化と一線を画しています。 ジェレミー・ニクソンCEOは「環境戦略を主軸としておりコンテナ船事業に注力していく」と語っています。 親会社もONEの多角化に否定的です。 商船三井の社長は「ONEが次の成長を目指したいと真剣に考えた場合、物流や倉庫などの多角化は候補になるが、3社がすでに展開していて競争が発生してしまうため難しい部分が多い」と話します。 郵船ロジスティクス、MOLロジスティクス、K-Lineロジスティクス、と各社がロジスティクス会社を持っています。 ただ、コンテナ船事業への依存に危うさがあるのは否めないとしています。 足元で世界景気の減速懸念が強まっており、JPモルガン証券のシニアアナリストは「これから市況悪化が避けられない」と指摘しています。 ONEの成り立ちからの位置づけ ONEは開示していませんが、海運3社の業績予想から推定するとONEの今期の純利益は3割減の約1兆4000億円前後となる見通しです。 6月の現時点では海上運賃は下落しています。 北米西岸の労使交渉の経過次第でまた潮目は変わってくると思いますが、今のところはどうなるか分かりません。 親会社の各社はかつてコンテナ船事業の業績変動の大きさに悩み、統合して持ち分法適用会社にすることでリスクを遠ざけましたが、無縁ではいられないとのことです。 3社がONEをどう位置づけるかが改めて問われています。 ロジスティクスのみの勝負の危険性 邦船3社がすでにロジスティクスの会社を展開しており、他の船会社と成り立ちの経緯が異なっているため、ロジスティクス一本足になっています。 コンテナ一本でこのままMSCに追いつこうとするのもかなり差があるので、規模で勝負するのは厳しいところです。 よって「環境」というポジションに注目していますが、これは他の船会社も意識して取り組んでいるところです。 業界のトップがトータルロジスティクスに力を入れ始めており、今後それがトレンドになると思います。 日本の輸送規模は大きくなく、日本を絡めた航路は強みではなくなっていくでしょう。 今後はアジア・東南アジアではなく、インドやアフリカが生産地になったり、もしくはニアショアがスタンダードになった場合、今の戦略がうまく機能するのかどうかが注目です。

商船三井、アンモニア燃料船の共同開発!2026年竣工予定。次世代燃料として注目。 | 物流ニュース・物流ラジオ

商船三井、アンモニア燃料船の共同開発!2026年竣工予定。次世代燃料として注目。

どうもこんにちは、飯野です。 本日は、6月26日付の海事新聞のニュースから、「商船三井、アンモニア燃料を使ったゼロエミッションの第1船を三井E&S造船・常石造船と開発」についてお話していきたいと思います。 2022年6月27日イーノさんの物流ラジオ アンモニア燃料船、開発 商船三井と常石造船、三井E&S造船の3社は6月24日、アンモニアを燃料とする外航液化ガス輸送船の建造に向けた共同開発を開始したと発表しました。 貨物として積載するアンモニアの一部を燃料として使用し、航海中のCO2(二酸化炭素)排出量ネットゼロを実現するということです。 アンモニアを貨物として輸送する一方でそのアンモニアの一部を燃料として使用するという点が面白いと思います。 この船は2026年ごろの竣工・運航開始を予定しています。 アンモニアは燃焼時にCO2を排出しないため、次世代のクリーンエネルギーとして世界的に関心が高まっています。 アンモニア燃料船について 今回の共同開発の船は、積載容量 4万立方メートル級の中型アンモニア・LPG輸送船を想定しています。 アンモニアの国際海上輸送の過半を担う船型となり、主要なアンモニア・LPG出荷・受け入れ港への入港が可能で多様な航路への投入が見込めます。 オーソドックスな船の形のため、汎用性が高いということです。アンモニアの舶用燃料化と海上輸送に対するニーズの増加が見込まれています。 石油の代替え燃料としてアンモニアは注目されており、石油を輸送する代わりに、アンモニアを輸送する船が開発されています。 アンモニアは既に肥料での使用実績があるため、運搬・貯蔵のノウハウがあります。よって、水素より先に次世代燃料として使われていくだろうと言われています。 次世代燃料の今後 今のところ、どの船会社も次世代燃料としてLNG、メタノール、アンモニア、水素と全方位で対応をしています。 商船三井は燃料だけでなく、風を使って船の推進力を増すシステムも開発しています。 環境対策がトレンドというか、必須になってきているので、各企業の動きに注目をしていきたいと思います。

北米の小売企業が在庫を一掃で再構築!サプライチェーンへの影響は? | 物流ニュース・物流ラジオ

北米の小売企業が在庫を一掃で再構築!サプライチェーンへの影響は?

どうもこんにちは、飯野です。 本日はウォールストリートジャーナルの記事から、「北米企業は在庫問題の中、サプライチェーンコストの上昇に直面している」についてお話していきたいと思います。 2022年6月23日イーノさんの物流ラジオ 物流コストの上昇 北米の企業が消費者需要に対応するために努力した結果、2021年の物流コストは約1兆8500億ドルで22%上昇した、と新しいレポートが発表されました。 これは国全体の経済生産の8%を占め、GDPに対する物流支出の割合は2008年以来最高となりました。 貨物業界の専門家によると、北米での物流混乱が続き、インフレが上昇する中、企業はサプライチェーンをリセットし、在庫を再構築しようとしているということです。 更に、新たな物流コストの上昇に直面しているとしています。 在庫コストの上昇 具体的にあがったコストとは在庫コストで、2020年に比べて約26%跳ね上がっています。 在庫は企業がサプライチェーンの混乱に対応するためのものでした。 中国やアジアに注文してから届くまでのリードタイムの長さや、小売業者やメーカーが需要とかけ離れた商品を抱えることになった事や、納期の遅れが原因です。 以前は中国に発注して、届くまでが安定していたため在庫コストはそこまで高くはありませんでした。 しかしコロナ禍では注文しても全然届かず、欠品させるわけにはいかず、また遅れて届いたものは需要がありません。 特にアパレルのシーズンものなどは需要がなくなります。 個人消費の変化 経営コンサルティング会社の方いわく、「今年は物流コストの上昇が多少緩和されると予想しているが、昨年の非常に高い水準から緩和されるだろう」と述べています。 また、物流の原動力となる個人消費は、ここ数カ月で再び大きく変化しています。 部屋着、家具、ホームセンターなどのカテゴリーを犠牲にし、燃料、旅行、仕事着といったものに、より多く支出するようになったのです。 よりサービスにお金を使うようになってきています。 今年の消費者支出を4.2%増加すると予測されていますが、その構成は変わりつつあり、「耐久財のカテゴリーは逆風に直面している」と指摘する声もあります。 中古住宅の大幅な販売減 例えば、日経新聞のニュースで、5月の北米の中古住宅販売件数は541万戸となり、前月から3.4%減り4カ月連続の減少と報じられました。 コロナ禍の販売減に見舞われていた2020年6月以来の低水準となりました。 在庫が少ないなかで価格は上がり続けており、ローン金利の上昇と合わせて住宅を購入しにくい状況に拍車がかかっています。 北米では現在、金利が高く、中古住宅の在庫も少ないため、必然的に価格が高くなります。中古住宅が売れなければ、家具などの住宅周辺商品が売れません。 「耐久財のカテゴリーは逆風に直面している」とはこういうことです。 各社の対応 ターゲット社は今月初め、過剰な在庫を一掃するため、海外の業者への発注を取り消し、顧客に割引を提供すると発表しました。 ギャップ社、コールズ社、メイシーズ社など他の大手小売業者も、手元に間違った商品が多すぎることを報告しています。 ある貨物ブローカーの会社は12月にロサンゼルス港とロングビーチ港の倉庫でハロウィーン・コスチュームを荷揚げしていたとのことです。 「在庫ではあるが、明らかに適正在庫ではない」と記事が締め括られています。 ターゲット社の様に、業者への発注を取り消すと、仕入れは減ります。特に耐久財、自動車、家電製品、パソコン、家具などの仕入れは減るでしょう。 全体的に輸送ボリュームは減り、港湾や国内での目詰まりとどう連動していくのかが注目です。 今後も北米国内の動きをアップデートしていきます。

欧州港湾で混雑が悪化!世界各地で国際物流が不安定。ストライキ多発。 | 物流ニュース・物流ラジオ

欧州港湾で混雑が悪化!世界各地で国際物流が不安定。ストライキ多発。

どうもこんにちは、飯野です。 本日は6月22日付の海事新聞から「国際物流が混乱、欧州港湾の混雑が深刻化。世界各地で不透明感がある」についてお話していきたいと思います。 2022年6月22日イーノさんの物流ラジオ 北欧州で混雑悪化 国際物流の先行き不透明感が増しています。 労使交渉が続く北米西岸港湾で混雑悪化の懸念が高まるほか、なんと、現在、北欧州のハブ港では混雑が深刻化しており、港湾ストライキにも直面しています。 5月31日のラジオでも欧州の港で目詰まりが発生しているとお伝えしましたが、これは労働力不足が原因でした。 アジアハブ港へも影響 アジアでもハブ港の混雑や輸出国でのコンテナ不足が続いています。 国土交通省が6月17日開いた国際物流に関する官民情報共有会合で、マースクやJIFFA(国際フレイトフォワーダーズ協会)の代表者らによると、「欧州港湾ではコンテナがあふれかえり、往航・復航とも遅れが状態化している」とのことです。 欧州航路のスケジュールの順守率は大きく低下し、航海日数も増えているようです。 これは、対ロシアの経済制裁により、EU・英国税関当局が貨物検査を厳格化したことに加え、シンガポールなどアジア側のトランシップ港の混雑が要因とのことです。 シンガポールでの混雑がコロナ禍でも発生しており、マレーシアのクアラルンプール港も合わせてすごい混雑でした。 ヨーロッパで目詰まりが発生してきたため、経由地のシンガポールに貨物が滞留しているのか、と推測できます。 北欧州でスト多発 欧州の陸側では、輸送が中断されたロシア向け貨物の滞留により倉庫スペースが圧迫され、更にウクライナ人ドライバーの帰国でドライバーが不足しています。 それだけでなく、船社情報によると先々週、ハンブルクなどのドイツの港湾でストが行われたのに続き、6月20日、ベルギーのアントワープ・ブルージュ港で労働組合が24時間ストに入りました。 英国では今週、計3日間の鉄道ストが計画されるなど、欧州ではインフレなどを背景に労使の緊張感が高まっています。 インフレの加速 ヨーロッパでは、5月のユーロ圏消費者物価指数は前年同月比8.1%の上昇を記録し、過去最高を更新しています。 これにより、ECB(欧州中央銀行)は7月に0.25%の利上げをする方向に動いています。 中国のゼロコロナ政策 中国は、上海ロックダウンから「立ち上がりは比較的緩やか」であり、沖待ちなども限定的で、現在は滞留していた輸入貨物の処理が優先されています。 しかし、防疫措置のためにドライバーなどの人手不足が続き、トラックは奪い合いの状況です。 政府のゼロコロナ政策により、突然の地区封鎖なども起こっています。 物流混雑の要因多数 このように混乱している中で、中国からの出荷が欧米側の需要次第で急増し、2020年のような混乱を引き起こす可能性が危惧されています。 この記事から、ストが多い印象があります。 先日韓国でもトラックドライバーのストが全国規模であり、8日間続き、工場が止まるなど影響がありました。 欧米でのインフレ、労働者不足、ロシア・ウクライナ情勢の影響、更に、北米での高い需要、西岸港湾の労使交渉があり、中国はゼロコロナ政策と物流への影響は多数あります。 現在では昨年ほどの混雑はなく、スペースは取りやすいですが、7月以降がどうなるのでしょうか。 また目詰まりが発生する要因は十分にあるとおもいます。 引き続き情報更新をしていきたいと思います。

なぜ?北米西岸で5月は過去最高の取扱実績!東岸の混雑と上海ロックダウン。 | 物流ニュース・物流ラジオ

なぜ?北米西岸で5月は過去最高の取扱実績!東岸の混雑と上海ロックダウン。

どうもこんにちは、飯野です。 本日は、Job.comの記事から、「米国西岸でアジアからの輸入が急増、5月に予想外の過去最高を記録」についてお話していきたいと思います。 2022年6月21日イーノさんの物流ラジオ 北米西岸、5月に輸入量過去最高 アジアからの米国西海岸への輸入は5月に月間新記録を達成し、上海での2ヶ月以上のロックダウンや米国でのインフレ上昇にもかかわらず、歴史的なペースで商品が米国に入ってきていることが示されました。 北米西岸の混雑を避けるために、東海岸とメキシコ湾岸に向かう船が増えていましたが、東海岸とメキシコ湾岸の港の混雑が大きくなりました。 5月20日に東海岸の混雑が過去最高になっているとお伝えしたラジオがありますので、よろしければそちらもお聞きください。 東岸混雑の影響 東岸が混雑しているため、西海岸に貨物が戻ってきています。 5月の東海岸の割合は、4月の35.9%から33.5%に減少し、メキシコ湾岸の割合は6.7%から6.3%に減少しています。 東岸向け貨物は減ってきています。 一方で、アジアから西海岸への輸入は5月に約174万TEUとなり、前年比5.7%増。コロナ前の2019年5月に比べると、25.1%の大幅な上昇となりました。 LA、LB港に集約 西海岸の輸入の急増は、ほぼロサンゼルス-ロングビーチに集約しています。 西岸北部のシアトルとタコマへのアジアからの輸入は5月に11.5%減少し、オークランドのアジアからの輸入はわずか1%増加にとどまりました。 東岸への転用の限界 米国の小売業者が、現在進行中の西岸港湾の労使交渉のストで混乱を懸念し、東岸に貨物をまわそうとしましたが、東海岸への貨物転用の回漕には限界があるということを示しています。 「以前は、輸入業者が望むすべての貨物をシフトすることができたが、今は限界がある」と輸入会社のコンサルの方は伝えて記事が締め括られています。 今後、西岸混雑の可能性あり 2014年の前回のストでは、西海岸を避けて東海岸に貨物が集まりましたが、目詰まりがあったという情報はあまり聞きませんでした。 現在では東海岸の処理能力が限界のため、結局貨物が西海岸に戻ってきているというのが現状です。 東岸も混雑しているため、西岸も今後十分に詰まる可能性があるということが5月のデータで表されました。 また、4月の貨物が上海のロックダウンのため、他の港を経由して北米に向かったため、ずれ込んで5月に輸入となり、これも増加した原因の一つと考えられます。 また、個人的には小売業者が早々に在庫の積み増しをしているのかと思っています。 今、北米向けは割とスペースが取りやすい状態であり、西側の沖まちも20数隻くらいに減少しています。 これが今後どうなっていくかが注目です。

コンテナ取扱量が世界で減少傾向!北米・北欧州は金利アップ! | 物流ニュース・物流ラジオ

コンテナ取扱量が世界で減少傾向!北米・北欧州は金利アップ!

どうもこんにちは、飯野です。 本日は、Joc.comの記事から、「船会社の利益が過去最高の一方で、動きは冷え込みに直面!」についてお話していきたいと思います。 2022年6月20日イーノさんの物流ラジオ コンテナ取扱量軟化 コンテナ船業界は輸送会社が第1四半期に記録的な収益を上げたため、過去最高の収益を叩き出しました。 新しい貿易予測によると、世界のコンテナ取り扱い数量は軟化しており、来年も継続することが分かりました。 2022年の世界のコンテナ輸送量は前年比1.7%減になるという予想もあります。 世界の貿易全体で減少傾向 また世界の輸送量の鈍化は、コンテナ貿易統計(CTS)にも表れており、今年4月までの輸送量は前年同期比3.6%減となっています。 これは世界全体でのコンテナ取り扱いボリュームの話で、特に欧州で物量減少の兆候が顕著になってきているようです。 欧州・地中海地域では、消費者の景気動向に対する信頼度が過去2番目に低いという報告もあります。 中国からの北欧への輸入量は減少傾向にあり、中国-北ヨーロッパの数量は今年最初の4ヶ月間で、3.8パーセントの減少。これは上海のコロナ渦のロックダウンが原因とみられています。 アジアから北米の輸入は増加 全体的にコンテナ量が減速している中、米国のアジアからの輸入は5月に月間新記録を達成しました。 5月のアジアからの輸入量は約174万TEUで、前年同月比5.7%増となり、パンデミック前の2019年5月から25.1%増と大きく跳ね上がっています。 そんな中、アメリカのFRBは先週金利を0.75%引き上げ、インフレ抑制をしようとし、これにより商品の動きも抑えられるとみられています。 船会社の収益 コンテナの物量は減少していますが、船会社の収益に減速はありません。 第1四半期の業績発表後、複数の大手輸送会社のCEOは、太平洋横断およびアジア-ヨーロッパ間のトレードレーンの価格が下落しているにもかかわらず、大幅なプレミアム価格で締結済みの長期契約(SC)により、2022年以降の収益性は確保されている、とアナリストに語っています。 つまり、スポットレートは落ちていますが、高い価格のSC契約で輸送しないといけないため、船会社の収益には影響をしていないということです。 アジア-北米間のレート アジア-米国西海岸航路のスポットレートは6月初めに契約レートを下回ったものの、1FEU、40フィートあたり7,517ドルで前年比17%増となりました。 北米航路のスポットレートは引き続き高い水準にあります。 一方でアジア-北欧州航路のスポットレートは、1月以降30%減の5,942ドル/TEUですが、前年同月比ではわずかに上回っています。 アジア-北欧州航路の契約運賃は平均5,531ドル/TEUでスポット運賃とそこまで差がありません。 高い長期契約により、船会社は安定 北米では上海ロックダウン中でも5月は過去最高のコンテナ取扱量でした。 FRBの0.75%の利上げに、今後の継続的な利上げの可能性もあり、どれだけ需要が落ち着くかがポイントです。 北欧州向けのボリュームは落ちていますが、高い水準のSC運賃で船会社は安定した収益を確保できています。 しかし、欧州各国でも次々と利上げをしています。 景気後退から欧州のコンテナ輸送ボリュームは引き続き下がっていく可能性が高いです。 大幅にボリュームが下がると高い運賃契約であっても、それなりに影響は出ると思います。 最近の世界の貿易の流れをお伝えしました。

CFSチャージ20年ぶりの価格改定へ!混載業者のコスト吸収が限界に。価格転嫁浸透なるか。 | 物流ニュース・物流ラジオ

CFSチャージ20年ぶりの価格改定へ!混載業者のコスト吸収が限界に。価格転嫁浸透なるか。

どうもこんにちは、飯野です。 本日は6月17日付の海事新聞から、「海上混載業界、約20年ぶりのCFSチャージ改訂。コスト吸収に限界」についてお話していきたいと思います。 2022年6月17日イーノさんの物流ラジオ CFSチャージの値上げ広がる 海上の混載業者(LCL業者)を中心に、CFSチャージの値上げが広がっています。 CFSとは、Container Freight Stationの略で、一つのコンテナに満たない荷主の貨物を集め、一つのコンテナに仕立て上げるのがLCL業者です。 そのコンテナを仕立て上げる場所をCFSと呼びます。 LCL業者は市場が成熟し競争が激化する中、CFSの現場費用をはじめさまざまなコストの上昇分を吸収してきました。それが新型コロナウイルス禍もあり、限界にきています。 20年ぶりの改定 複数のLCL業者が3月末から4月上旬に、CFSチャージの改定を明らかにしたのに続き、5月から今月にかけても同様の発表が出ています。 金額は各社が個別に設定していますが、新料金は1RT(レベニュートン)当たり5,000円前後ということです。 これまでCFSチャージは3,980円/RTが一般的で、一部の例外を除き、CFSチャージは約20年間3,980円に据え置かれ、前回値上げ時の実荷主の反発が予想されたため、上げ幅も数百円でした。 LCL業者の負担 CFSチャージは船社のサーチャージ類とは連動せず、LCL業者などが独自に設定する数少ないサーチャージの一つです。 一般的に、特にLCL専業者はCFSを持たず、混載貨物のバンニング・デバンニングなどの作業を外部に委託しています。 現在、LCLにかかるコストは大きく上昇し、業務も煩雑になっています。 CFSに関しては、港湾労働者の不足と人件費上昇などを背景に委託先から値上げ要請が増え、値上げ幅も拡大していました。 CFS事業撤退も 貨物の荷姿が多様化していることも、委託先のCFS事業者の負担になっています。 1つのコンテナに複数の荷主の貨物を入れるため、梱包形態や重さがそれぞれ違います。積み込み時や、輸送中に荷崩れがしないように気をつけないといけません。 人手と手間がかかる割に利益が低い、とCFSを一般倉庫に切り替え、CFS事業から撤退する企業も目立つようです。 上がらないCFSチャージ 去年は船が日本に寄港しなかったため、製造業が作った貨物を出したくても出せない状態でした。 よって、倉庫の需要が増え、倉庫業の利益は上がりましたが、CFSはずっと値上げできずにいました。 LCL業者の関係者は「何年も綱渡りの状態が続いていたが、このままでは仕事を受けてくれるCFSがなくなり、LCL自体が成り立たなくなってしまう」と危機感をあらわにしています。 価格転嫁が浸透 現在は原油高も続いている上、物流の「2024年問題」を控え、今後は一段のコスト高も予想されます。 2024年問題はトラックドライバーに時間外労働の上限規制が適用されるものです。とはいえ、CFSチャージを満額収受できるかは個別の交渉次第になります。 複数の関係者は「そもそも1RT当たり1,000円の値上げでは20年のもろもろのコスト上昇分を賄えない。採算が大きく崩れている」と打ち明けています。 先行した企業からは、「顧客の理解を得られるようになってきた」との声が聞かれます。業界全体に価格転嫁が浸透する流れが生まれつつあるようです。 日本企業の対応 日本は企業努力で値上げを吸収する傾向があります。 北米の物価上昇がすごいのは、割と早い段階で価格転嫁するからだと思います。 CFSチャージは20年上がらなかったですが、こういったことの積み重ねで給料が上がらない現況です。 日本の企業はやっぱり変わっていかないといけないと強く思う次第です。